(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脱水、クロマトグラフィー分離及び更なる処理工程後の残留物であって、1種又は複数種の未転化ヘキシトール、前記1種又は複数種のヘキシトールからの1種又は複数種のモノ脱水物質、又は未転化物質とモノ脱水物質の両方を含有する残留物が、前記脱水工程に再循環される、請求項1に記載のプロセス。
前記粗製脱水生成物混合物の前記残留物及び1種又は複数種のイソヘキシドが豊富な前記生成物のうちの1つ又は両方を、水素源を使用して触媒の存在下にて水素化する工程をさらに含む、請求項1又は3に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
背景技術
例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトール及びガラクチトールなどの六炭糖(他には、ヘキシトールとして知られる)から誘導される糖アルコールが長い間知られている。特に近年では、工業的に重要な多くの用途において石油ベースの物質に取って代わるために、かかる物質の内部脱水生成物の可能性のある使用にかなりの関心が集まっている。相当するヘキシトールの元の内部構造から2つの水分子を酸触媒除去することによって製造される、イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドなどのジアンヒドロヘキシトールは、テレフタル酸などの石油ベースモノマーの代わりに使用されており、又は使用することが提案されているが、特に、イソソルビドの場合には、かなりの数の更なる用途が、開発されることが予想されていた、予想されている、又は予想される。
【0003】
しかしながら、米国特許第7,122,661号及び米国特許第8,008,477号で関連付けられるように、今までは一般に、酸触媒脱水工程から直接得られる組成物に、精製処理を適用するためにこれらの使用の大部分が必要とされていた。これらの組成物は通常、立体異性体イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドのそれぞれ、並びにそれより脱水が少ない物質、例えばソルビタン、マンニタン及びイジタン、様々な酸化又は分解生成物、オリゴマーもしくはポリマー副生成物、様々な「性質の定義が不十分な高度に着色された種」を含有する。例えば米国特許第8,008,477号の第2欄35行目を参照のこと。
【0004】
上記の米国特許第7,122,661号及び米国特許第8,008,477号に示されるように、様々な理由により、より高い純度で内部脱水生成物を得るために(特にイソソルビドなどのジアンヒドロヘキシトールを得るため)、多くのアプローチが以前に提案されていた。これらのアプローチの一部では、ジアンヒドロヘキシトールが生成される脱水プロセスに変更を加えることによって純度を向上しようと努めたが、他のアプローチは、ジアンヒドロヘキシトール組成物が形成された後の精製の形態を要した。
【0005】
例えば、英国特許第613,444号には、水/キシレン媒体中で行われる脱水に続いて、アルコール/エーテル混合物から蒸留及び再結晶化されることによって、イソソルビド組成物が生成されることが記述されている。
【0006】
国際公開第00/14081号には、低級脂肪族アルコールからの蒸留及び再結晶化、又は水素化ホウ素ナトリウム存在下及び不活性雰囲気中での蒸留のみが記述されている。
【0007】
米国特許第4,408,061号では、気体ハロゲン化水素又は液体フッ化水素脱水触媒がカルボン酸助触媒と共に使用され、続いてこのように得られた粗製イソソルビド又はイソマンニド組成物が蒸留される。
【0008】
米国特許第4,564,692号には、「イオン交換体及び/又は活性炭」での予備精製に続いて、蒸発による濃縮、所望のイソヘキシドの結晶のシーディング、水からの結晶化が簡潔に言及されている。
【0009】
従来の酸触媒脱水法に手を加えるか、あるいは上記の参考文献に記載のかかる方法の直接的な生成物を精製するための、費用が高い場合が多い異なる技術を使用するよりもむしろ、水素の存在下にて特定のバイメタル触媒を使用することによってジアンヒドロヘキシトールを生成することも提案されている。例えば、欧州特許第380,402号には、加圧下及び銅と貴金属もしくは金との組み合わせをベースとする特定の触媒の存在下にて、糖アルコールを水素と反応させることによるジアンヒドロヘキシトールの合成が記述されている。
【0010】
しかしながら、米国特許第6,013,812号では、これらの触媒はかなり急速に活性を失う傾向があることが確認され、かつ酸安定性Ru、Rh、Pd及び/又はPtベースの水素化触媒及び水素が脱水工程中で使用される、従来の酸触媒脱水に対して改良点を提案している。
【0011】
その一部として米国特許第7,122,661号に、イオン交換工程に続いて脱色処理工程を使用することにより、溶媒媒体から蒸留した後の比較的高コストかつ低収率の結晶化工程を必ずしも含まない、純度99.5%以上及び向上した貯蔵安定性のイソヘキシドを得るプロセスが記載されている。さらに詳しくは、蒸留されたイソヘキシド組成物は、アニオン樹脂とカチオン樹脂の混床又はカチオン樹脂とアニオン樹脂の連続床であり得る少なくとも1つのイオン交換手段での処理に続いて、少なくとも1つの「脱色手段」での処理にかけられると記述されている。脱色手段は、顆粒状又は微粉状の活性炭であり得る。特定の実施形態において、脱色手段での第2処理は、イオン交換処理工程前に企図され、向上した安定性のイソソルビド組成物が、同じ工程−イオン交換処理に続いて脱色手段処理によるそのプロセスによって生成されると述べられ、意外なことに、逆の順序で行った場合には、不安定にする作用が生じると述べられていた。
【0012】
‘661特許と同じ所有者に譲渡され、かつ唯一記名されているその発明者として‘661特許の発明者らのうちの一人を有する米国特許第号8,008,477号には、安定なイソソルビド組成物を製造する代替プロセスが記述されている。‘477特許によると、イソヘキシド組成物の安定性は必ずしも、その純度と相関せず、脱水工程又は蒸留工程における不活性雰囲気中かつ/又は水素化ホウ素ナトリウムの存在下での製造は同様に、これらの組成物の安定性を実質的に改善しなかった(第3欄58〜67行目)。むしろ、非気体状での、かつ蒸留工程後の特定の安定剤の使用「のみ」が、周囲温度及び穏やかな温度でのイソヘキシド組成物の貯蔵安定性の向上に役立った(第4欄1〜14行目)。適切な「安定剤」は、還元剤、酸化防止剤、酸素捕捉剤、光安定剤、抗酸剤、金属非活性化剤及びかかる物質のうちの少なくともいずれか2種類の混合物を含む群から選択される(第4欄48〜53行目)。特定の実施形態において、任意の更なる「精製工程」は、蒸留に続いて教示され、一例は、先の米国特許第7,122,661号に記載のタイプのイオン交換と脱色手段のどちらも使用することである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態の説明
第1の態様において上記のように、本発明は、色が低減された安定性イソヘキシドを製造するプロセスであって、蒸留、クロマトグラフによる分離、又は使用又は販売用の脱水生成物混合物中からイソヘキシド生成物を得るために、1種もしくは複数種のヘキシトールの酸触媒脱水から脱水生成物混合物を生じさせる他の方法の前に、脱水生成物混合物中に存在する特定の不純物が、最初に、クロマトグラフィーで脱水生成物混合物から実質的に分離され、次いで残余が、蒸留、クロマトグラフィー、溶媒再結晶化、融解結晶化及び溶媒洗浄及び濾過を受けて、脱水生成物混合物と比べてイソヘキシドが豊富な生成物が得られる、プロセスに関する。
【0019】
‘477特許は、イソヘキシド組成物の色安定性が「必ずしも」、その純度と関連しないと示唆しているが、我々は実際に、粗製脱水生成物混合物中に存在する、又は存在し得る多くの物質を同定し、かつこれらの不純物が、従来の100%融解完成イソヘキシド生成物において、又は従来の85重量%溶解生成物において、色の存在又は形成に(直接的又は間接的に)関連することを確認した。
【0020】
酸触媒脱水によってソルビトールからイソソルビドを製造するために、これらの物質は、有機塩及び無機塩、酸(例えば、ギ酸及びレブリン酸)、酸エステル(例えば、硫酸触媒脱水工程からの硫酸エステル、リン酸触媒脱水からのリン酸エステル、及び一般に所定の酸素酸触媒脱水からの酸エステル)、及びその共役塩基、フラン系化合物(例えば、2−アセチルフラン、5−メチルフルフラール及び種々の五炭素フラン系化合物)、例えば粗製イソソルビド生成物中の様々なエーテル官能基化不純物の酸触媒縮合からのオリゴマー及びポリマー物質を含み得る。
【0021】
さらに詳しくは、決して束縛されず、かつ本発明を制限するものではないが、
図3は、市販のソルビトール生成物の硫酸触媒脱水からの粗製脱水生成物混合物中に存在することが同定されている、又は存在すると考えられる多くの物質を表し、ガスクロマトグラフィー/質量分析によって、特に同定された硫酸エステルについては、液体クロマトグラフィー/質量分析によって示される所定の分子量の化合物の確認された存在に基づき、並びにソルビトールの脱水の先の経験に基づいて、これらの物質が形成され得る経路を仮定する。
【0022】
当業者には明らかであるように、説明される仮定された経路の複雑さを考慮すると、粗製脱水生成物混合物中に存在するすべての物質が
図3で同定されているわけではなく、あるいは、同定されようとも、定量化されようとも試みられてさえおらず、様々な(だが、一般に類似の)種が、硫酸の使用ではなく、他のプロセス又は手段による、他のヘキシトールの脱水において予想され得る。さらに、この性質の粗製脱水生成物混合物を蒸留すると(又は他の更なる処理をすると)、例えば用いられる特定の蒸留条件に応じて様々な程度で、また他の化合物が形成することが予想され得る。
【0023】
さらに、イソヘキシド生成物を製造かつ完成させるプロセス全体における特定の時点での粗製脱水生成物混合物中に存在する物質、及び/又は蒸留工程において、更なる処理においてその後、又は貯蔵中の一定時間後に形成される化合物の一部は、許容されない色を生じないが、それにもかかわらず、生成物によって経験されると予想することができる、特定の完成イソヘキシド生成物において貯蔵条件下にて一定期間に生じる進行中の色の変化によって、時間が経つにつれて完成イソヘキシド生成物の許容不可能な色の発生が生じ得ることは当業者であれば、理解されよう。
【0024】
これらの複雑さのすべてにもかかわらず、本発明者らは、特定の対策が、所定の完成イソヘキシド生成物の色を低減し、及び/又は色安定性を向上させるのに有効であると考え、当業者であれば、特定の完成イソヘキシド生成物の貯蔵での色の一定の低減及び/又は色安定性の向上を実現するために、本明細書に示されるガイダンスに基づき、特にそれらの不純物のクロマトグラフ分離を実行するために以下の作業例に基づき、任意選択的に以下に記載の更なる工程に取り掛かることができると期待する。
【0025】
特定の好ましい実施形態において、不純物の実質的な分離に続き、かつ更なる処理を行いイソヘキシド豊富な生成物を得た後の、残留物質は、製造プロセスの脱水工程に再循環するのに適した性質である。従来のイソソルビド製造からの蒸留残渣の再循環(残渣中の残留ソルビトール又はモノアンヒドロヘキシトール(ソルビタン)をそれぞれ脱水又はさらに脱水するための)は以前、脱水工程における転化に対する相殺的な負の作用のために実現不可能であったが、以下に実証されるように本発明からの蒸留残渣は、うまく再循環される性質であり得る。
【0026】
上述のように、相当する糖アルコール(及び/又はモノアンヒドロ糖アルコール)からイソヘキシド/ジアンヒドロヘキシトール/アンヒドロ糖アルコールを製造するための多くのプロセスが開発又は提案されている。ソルビトールからのイソソルビドの製造は、特に注目を集めていた。上記で参照される特許に記載のプロセスに加えて、本願譲受人に譲渡された米国特許第6,849,748号;米国特許第7,420,067号;及び米国特許第7,439,352号は、ソルビトールからイソソルビドを製造するために開発されたプロセスの一例であり、本発明を説明する、有用な非制限的背景を提供する。
【0027】
したがって、クロマトグラフィーによる除去工程を一般に、従来から知られている様々なかかるプロセスに従って1種又は複数種のヘキシトールの酸触媒脱水からの粗製脱水生成物混合物の処理に組み込むことができるが、例証的な一実施形態において、米国特許第7,439,352号に記載のプロセスに変更を加えて、以下に記載のように残余を蒸留する前に、粗製イソソルビド生成物混合物からイオン種を実質的に分離するクロマトグラフ手段が少なくとも組み込まれる。
【0028】
ここで
図1に戻ると、米国特許第7,439,352号に本来記述されているプロセス10において、ソルビトールは、参照番号12によって示されるように反応器14に供給される。ソルビトール12は最初に、融解状態へと加熱され、次いでイソソルビドへの脱水を促進するための触媒の存在下にて反応器14内で脱水され、流出水16及びイソソルビドを含む脱水生成物混合物18が生成される。次いで、脱水生成物混合物18を第1蒸留装置20において第1蒸留にかけて、第1イソソルビド留出物22及び第1留出残渣24が形成される。次いで、第1イソソルビド留出物22を第2蒸留装置26において第2蒸留にかけて、精製イソソルビド生成物28及び第2蒸留残渣30が形成される。
【0029】
さらに詳しくは、
図1のプロセス10の第1工程において、当技術分野で公知の標準法によって、ソルビトールを融解する。例えば、撹拌機、温度プローブ、及び真空ラインを備えた三つ口フラスコ丸底フラスコにそれを入れることによって、ソルビトールを融解することができる。好ましくは、ソルビトールを少なくとも100℃から200℃に加熱する。ソルビトール粉末については、具体的な例を提供するために、好ましい融解温度は98〜105℃であり、さらに好ましい融解温度は98〜100℃である。融解したら、ソルビトールを撹拌にかける。
【0030】
次いで、ソルビトールの脱水を促進する触媒を融解出発原料に添加する。一般に、例えば可溶性酸、酸性イオン交換樹脂、及び無機イオン交換物質などの酸触媒が、ソルビトールなどの糖アルコールの脱水を促進するために使用されている。硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、及びp−メタンスルホン酸が、使用され得る好ましい可溶性酸の例として挙げられるが、当業者であれば、同様な特性を有する他の可溶性酸も有用であることは理解されよう。
【0031】
ゼオライト粉末は、使用することができる無機イオン交換物質の例であり;特にタイプZSM−5アンモニウム型ゼオライト粉末などの酸性ゼオライト粉末が使用され得る。有用であると言われるゼオライト粉末の例としては、限定されないが、CBV 3024又はCSV 5534G(どちらもZeolyst Internationalから入手可能である)、及び/又はT-2665又はT-4480(どちらもUnited Catalysis,Inc.から入手可能である)が挙げられる。当業者であれば、本明細書には具体的に挙げられていないが、同様な特性を有する他のゼオライト粉末も有用であり得ることは理解されよう。
【0032】
スルホン化ジビニルベンゼン/スチレンコポリマー酸性イオン交換樹脂は、可能性のある酸性イオン交換樹脂触媒の一例を提供する。例としては、限定されないが、BioRad Laboratoriesから市販のAG50W-X12、Rohm & Haasから市販のAmberlyst 15又はAmberlyst 35、Mitsubishi Chemical Corp.から市販のRCP21H、及びDowex 50Wx5(Dow Chemical Co.)が挙げられる。スルホン化ジビニルベンゼン/スチレンコポリマー酸性イオン交換樹脂、Amberlyst 35は、ソルビトールからイソソルビドを生成するのに特に好ましい樹脂として挙げられる。当業者であれば、使用することができる同様な特性を有する他の酸性イオン交換樹脂に気が付くだろう。
【0033】
使用される触媒の量は、一般に約0.01〜0.15当量(重量による)であると示される。触媒の好ましい量は、0.1当量(重量による)である。
【0034】
真空下にて、高温で、かつ反応混合物を撹拌しながら、脱水を行うことができる。真空は、圧力0.05〜40トルにわたる範囲であることができ、好ましい圧力は1〜10トルである。具体的な例として、ソルビトールをイソソルビドに脱水するのに好ましい圧力は1〜10トルである。脱水の温度は、90〜140℃であり得る。特定の実施形態において、脱水温度は、98〜130℃、特に120〜130℃であり得る。脱水は、かかる温度にて約2時間にわたって行われる。1トル〜10トルの真空下にて融解ソルビトール/触媒混合物から水が除去される。脱水反応は好ましくは、バッチ式又は連続式で実施することができる反応器内で行われる。酸触媒が固体酸触媒(例えば、酸性イオン交換樹脂)である実施形態において、反応器は好ましくは、それに固体酸触媒が添加されるバスケットを保持又は含有し得る。
【0035】
脱水手順に続いて、得られた脱水生成物混合物18が精製される。一実施形態では、真空蒸留が使用される。さらに具体的な実施形態において、真空蒸留は、フィルム蒸発器、具体的にはワイプフィルム蒸発器を用いて行われる。本発明において有用であるワイプフィルム蒸発器装置の一例は、垂直撹拌薄膜処理装置である。ワイプフィルム蒸発器の利点としては、粘性溶液の取り扱い、向上した生成物純度、及び生成物分解が低減されるか、又は無くなる、少ない滞留時間が挙げられる。具体的に、ソルビトールからのイソソルビドの製造に関して、ワイプフィルム蒸発器の使用は、蒸留で約収率80%、蒸留中の無視できるほどの水の損失(重合の減少が起こる)が生じ、かつ残留物からのイソソルビド及びソルビタンの更なる回収を提供すると言われていた。蒸留プロセスによって、第1イソソルビド留出物22が生じる。
【0036】
第1蒸留装置20に使用するポット温度及び真空は変動し得るが、140〜190℃の蒸気温度が好ましい。最も好ましい蒸気温度は、160〜170℃、特に165〜170℃である。真空圧力は、0.05トル〜40トル、好ましくは1トル〜10トルであり得る。イソソルビドの真空蒸留では、真空圧力1〜10トル、ポット温度180℃、及び蒸気温度160〜170℃が最も好ましいと言われる。その後に結晶化を伴う、濾過又は活性炭の添加などの代替の精製方法もまた有用であると言及される。
【0037】
次いで、第1イソソルビド留出物22を好ましくは、例えば第2ワイプフィルム蒸発器を使用して、第2蒸留装置26における第2真空蒸留にかけ、精製イソソルビド生成物28及び第2蒸留残渣30が形成される。第2ワイプフィルム蒸発器は、第1ワイプフィルム蒸発器と同じタイプであってもよいし、異なっていてもよい。第2真空蒸留の条件(例えば、真空圧力及び温度)は、第1真空蒸留の条件と同じであってもよいし、異なっていてもよく、そのパラメーターは上述される。2つのフィルム蒸発器を使用することによって、潜在的に有害な有機溶媒を使用することなく、イソソルビドを生成かつ精製することが可能となる。
【0038】
‘352特許に記載の代替の実施形態において、第1イソソルビド留出物22を融解結晶化にかけ、その結晶化では、第1イソソルビド留出物22は融解するまで加熱され(イソソルビドの融点は約65℃)、次いで結晶化点に達するまで時間の経過にしたがって冷却されるが、物質が凝固するほどには冷却しない。実際には、スラリー状コンシステンシーが好ましく、そのため物質を遠心分離することができる。本明細書で使用される「スラリー状コンシステンシー」という用語は、いくつかの微粒子と液体との混合物である物質を意味する。遠心分離は、物質の凝固を避けるため、また不純物が取り除かれた所望のイソソルビド生成物を有するためにも、比較的短期間で比較的高速にて行われる。例えば、遠心分離は、3000〜4000rpmにて5分間行われるが、当業者であれば、精製される物質の量に応じて、遠心分離の期間が理想的に変動することは理解されよう。いずれの場合にも、得られたイソソルビドは、少なくとも純度98%であると示され、(「スラリー」の固体性に応じて)大部分の場合には99%を超える純度である。
【0039】
代替方法として、‘352特許には、第1イソソルビド留出物22を溶媒再結晶化にかけることができることも企図されている。有用であると言及される溶媒としては、限定されないが、アセトン、酢酸エチル、及びエタノール及びメタノールなどの低分子量アルコールが挙げられる。
【0040】
‘352特許に記載のさらに他の実施形態において、第1イソソルビド留出物22の更なる精製は、溶媒洗浄に続いて濾過に第1留出物22をかけることを含み得る。好ましくは、溶媒は冷たく、例えば0〜23℃の温度を有する。言及される溶媒は、アセトン、酢酸エチル、及びエタノール及びメタノールなどの低分子量アルコールを含む。濾過は、当技術分野でよく知られている手段によって行われると記述されていた。
【0041】
本発明によるプロセスの一実施形態において、米国特許第7,439,352号に記載の前述の実施形態のいずれかに従ったプロセスに、イオン交換及びイオン排除のうちの1つ又は両方を含むように変更を加えて、粗製脱水生成物混合物の残余をさらに精製する前に、例えば
図1に示す連続蒸留工程によってイオン種を除去する。
【0042】
変更されたかかるプロセス32の一例を
図2に概略的に図示する。本発明の粗製イソソルビド不純物除去システム34は、第1蒸留装置20の上流に配置され、システム34の前のプロセス32の他の要素は、
図1に関して上記に記述されているとおりである(同じ参照番号を使用して、示されている)。
図2に図示されるシステム34の、かつ以下にさらに説明される特定の実施形態において、ナノ濾過又は限外濾過、イオン排除、イオン交換及び炭素又は樹脂床吸着は、互いの組み合わせで機能し、粗製脱水生成物混合物18からイオン種の実質的にすべてを除去するだけでなく、特に貯蔵時の完成イソヘキシド生成物における発色に寄与する他の種(又はかかる種の前駆物質)も除去される。様々なイオン種又は他の種は、先に記述されるように、かつ
図3によって提案されるように、可溶化有機塩及び無機塩、ギ酸及びレブリン酸、ギ酸エステル及びレブリン酸エステル、並びに他の酸エステル(例えば、硫酸触媒脱水工程からの硫酸エステル、リン酸触媒脱水からのリン酸エステル、及び一般に所定の酸素酸触媒脱水からの酸エステル)、及びその共役塩基、フラン系化合物、オリゴマー及びポリマー物質、及び関連する分解中間体又は前駆物質を含み得る。
【0043】
定量的用語において、粗製イソソルビド不純物除去システム34の後、好ましくは総イオン種1000ppm以下(総重量に対して)が粗製脱水生成物混合物中に残る。さらに好ましくは、100ppm以下が残り、最も好ましくは50ppm以下が残る。
【0044】
代替方法として、ソルビトールの脱水において生成され得る脱水及び分解生成物の数が示された場合(
図3で一部実証されるように)、粗製イソソルビド不純物除去システム34の後、ギ酸100ppm以下が残る場合、さらに好ましくはギ酸10ppm以下が残る場合、またさらに好ましくは1ppm以下が残る場合に、色に関連する不純物の「実質的にすべてが」分離されているとみなすことができる。
【0045】
図2を参照すると、非イオンオリゴマー及びポリマー不純物を除去するために、イオン排除及びイオン交換が用いられる場合、もう一方の前にいずれかを炭素又は樹脂床吸着と共に、任意選択であるが好ましくは特に以下と共に、使用することができる。任意選択であるが、好ましくは
図2に示される。ナノ濾過又は限外濾過は、イオン排除工程、イオン交換工程又はその両方の上流で使用され、例えば、
図3に示す提案される反応経路によって、粗製脱水生成物混合物18において形成され得る、主に、特に高分子量のオリゴマー又はポリマー種でのファウリングから樹脂を保護する。
【0046】
融解ソルビトール12は、硫酸を使用して反応器14において脱水され、粗製脱水生成物混合物18が生成される。混合物18は一般に、水酸化ナトリウムなどの強塩基で中和され、次いで希釈水を65%溶液に添加する。次いで、中和された粗製脱水生成物混合物18を粗製イソソルビド不純物除去システム34に供給する。
【0047】
図2で説明される、特定の粗製イソソルビド不純物除去システム34は、イオン交換及び/又はイオン排除樹脂に続いて、本発明者らの実験において沈殿及びファウリングする傾向を有した粗製脱水生成物混合物18(保持液38によって示される)中の少なくともそれらの高分子量オリゴマー又はポリマー不純物を除去するために、第1ナノ濾過又は限外濾過工程36を含む。本発明者らの実施例において以下で使用される硫酸触媒粗製イソソルビド生成物混合物に関しては、本発明者らは、約1000〜10,000の分画分子量を有する膜が満足の行くものであることを見出したが、当業者であれば、異なる方法によって、又は異なる条件下で生成された他の粗製イソヘキシド生成物混合物に関しては、他のナノ濾過又は限外濾過膜が最良であり得るか、あるいは実施するには経済的に全く価値がないこともあり得ることを理解されよう。本発明者らの特定の条件下で試し、かつ有用であると判明した膜の例としては、GE Power and Water GE-series、及びPW-seriesポリエーテルスルホン限外濾過膜、Sepro PES5、PES 10ポリエーテルスルホン、及びPVDP4ポリフッ化ビニリデン限外濾過膜が挙げられる。
【0048】
その後のイオン交換及び/又はイオン排除樹脂のファウリングが心配である場合には、他の対策並びにナノ濾過又は限外濾過膜の使用の代替方法が考慮され得る。本発明者らの目的では、ナノ濾過又は限外濾過工程36の包含が、ファウリングを防ぐのに有効であり、そのため、本発明者らは、ファウリングが少なくとも一部、混合物18中の高分子量物質の溶解性を低減する(ジャケッティング、保温、蒸気加熱器等によって解決することができる)、粗製脱水生成物混合物18の冷却の機能であるか、粗製脱水生成物混合物18のpH(中和でのより厳しいpH制御によって解決することができた)に少なくとも一部関連するかどうかを決定することに着手しなかった。
【0049】
ナノ濾過又は限外濾過工程36に続いて、少なくとも1種類の強酸カチオン交換樹脂を使用して疑似移動床クロマトグラフィーを介して、濾過粗製脱水生成物混合物18からイオン種(42)を除去するために、イオン排除工程40が用いられる。好ましい樹脂は、体積中央直径290〜317μmを有する、クロマトグラフ等級、ゲルタイプ樹脂であり、80%を超える粒径範囲が280〜343μmであり、60%を超える粒径範囲が294〜392μmであり、12%未満、さらに好ましくは8%未満、理想的には6%未満の架橋密度を特徴とし、粗製脱水生成物混合物18中に存在する最高濃度のカチオンに相当するカチオン形である。イオン排除工程40は、回分式、半回分式又は連続式で行われ、固定層配置又は連続的擬似移動層システムによって行われ得る。
【0050】
特定の実施形態32において、イオン排除工程40に続いて、更なるイオン不純物(46)を除去するために、好ましくは、水素形の少なくとも1種類の高度に架橋された強酸カチオン交換樹脂と、水酸化物形の1種類の高度に架橋されたマクロ細孔強塩基アニオン交換樹脂と、を含む固定層配置を使用することによって、イオン交換工程44が行われる。イオン排除工程40で使用される物質に関しては、以下に具体的な例が示されており、示されるタイプの様々な樹脂は市販されており、当業者には公知であり、粗製脱水生成物混合物18から上記の種類の更なる不純物を除去するためのイオン交換工程44において適切な樹脂を有効に選択かつ使用することは、かかるイオン交換樹脂の使用における当業者の能力の範囲内に十分にあるだろう。
【0051】
次いで、炭素又は樹脂床吸着工程48が実施形態32において使用され、残存し得る、更なるイオン性オリゴマー及びポリマー不純物及び/又は着色体(50)が主に除去される。好ましくは、1つ又は複数の活性炭を有する固定層配置が使用される。適切な活性炭としては、限定されないが、泥炭から得られるNorit(登録商標)SA2蒸気活性炭、石炭から得られるCalgon CPG(登録商標)−LF低酸可溶性鉄含有率顆粒状活性炭、Calgon CAL(登録商標)石炭ベースの顆粒活性炭、Nuchar(登録商標)SN化学活性化木材ベース粉末状活性炭、Norit(登録商標)RO 0.8高表面積ペレット化活性炭、Nuchar(登録商標)WV-B低密度、高表面積顆粒状活性炭、ココナツ殻から得られるCalgon PCB(登録商標)活性炭、Calgon BL(登録商標)粉末状、再凝集石炭ベース活性炭、Nuchar(登録商標)RGC高活性、低灰分、低可溶性鉄顆粒状活性炭、及びNuchar(登録商標)SA-20化学的活性化、木材ベース粉末状活性炭が挙げられる。適切な吸着樹脂としては、限定されないが、マクロ孔質スチレンジビニルベンゼン型樹脂、例えばDowex Optipore L493及びDowex Optipore SD-2樹脂が挙げられる。
【0052】
粗製イソソルビド不純物除去システム34に続く、粗製脱水生成物混合物18の残余52が次いで濾過され(図示せず)、システム34から樹脂及び炭素のいずれかが除去され、残余52に持ち越される。次いで、残余52をさらに処理して、最終的に完成イソソルビド生成物(
図2の28’)が得られ、その生成物は、粗製脱水生成物混合物18と比較して目的のイソソルビド物質が豊富であり、更なる製品の製造に使用するか、又は販売することができる。
図2に概略的に示される特定の例証的な実施形態において、最初に、脱水工程(図示せず)において濾過残余52から水を除去し、残余52から軽ガスを脱ガスする(図示せず)。これらの物質の製造及び精製において熱履歴の発生を有するこれらのイソヘキシド生成物において色がさらに容易に生じるという理由から、好ましくは、脱水工程は、より低い温度及びより高い真空を要する。その後、イソソルビドの濃縮は、既知の精製方法によって、例えば第1及び第2蒸留装置20及び26それぞれにおける連続的蒸留によって従来通りに達成することができ、第1及び第2蒸留装置20及び26は好ましくは、目的のイソソルビド生成物28’の更なる熱履歴を最小限に抑えるために、
図1と同様な薄膜蒸発又はワイプフィルム蒸発を利用する。
【0053】
粗製イソソルビドを予め蒸留するシステム34による不純物の除去は、システム34が使用されず、不純物を含有する粗製イソソルビド生成物が蒸留される場合と比較して、低い固有色及び向上した色安定性と共に著しく高い収率(例えば
図3又は他に提案されている手法において形成される様々な分解生成物に対して、収量の損失を防ぐことによって)を提供することが見出されている。その後の蒸留工程からのイソソルビド蒸留残渣(
図2の例証的な実施形態における24’及び30’を合わせて、イソソルビド蒸留残渣ストリーム又は凝集54が形成される)は、プロセスの前部に再循環され、未転化ソルビトール及びソルビタン部分脱水生成物を使用して更なるイソソルビドを製造することができることから、不純物の除去は、更に収率を向上する精製も可能にする。以前には、システム34により除去される不純物は、反応器14で行われる脱水に悪影響を及ぼす傾向があることから、イソソルビド蒸留残渣はこのように再循環される余地がなかった。
【0054】
考えられる代替の一実施形態において、一部のソルビタンを含有するイソソルビド蒸留残渣は、ソルビトールよりもソルビタンの脱水に最適化された条件下にて別々に脱水され、再循環することができない。他の代替の実施形態では、イソソルビド蒸留残渣は、要求の少ない特定のイソソルビド生成物最終用途及び適用において直接的に有用であるように十分に改善された色を有し得る。考えられるさらに他の代替の実施形態において、ソルビタンはそれ自体が、特定の用途(例えば、食品において)に有用な製品であり、そのためソルビタンの少なくとも一部が、残余を再循環する前にイソソルビド蒸留残渣からこれらの用途のために除去され得る。
【0055】
さらに他の実施形態において、蒸留、クロマトグラフィー、溶媒再結晶化及び融解結晶化及び溶媒洗浄及び濾過のうちの1種又は複数種によって、粗製脱水生成物混合物の残余(
図2の52)がさらに処理される前に、粗製脱水生成物混合物からのイオン種の実質的な分離が、1種又は複数種の酸化防止剤添加剤の添加と組み合わせられ、本願譲受人に譲渡された2012年10月31日出願の米国特許出願第61/720,466号「ADDITIVES FOR IMPROVED ISOHEXIDE PRODUCTS」の教示と一致する、イソヘキシド豊富な生成物が得られる。好ましい酸化防止剤は、イソヘキシドと少なくとも一部同時蒸留するのに十分な揮発性を有し、イソヘキシドに対する可溶性が高い。
【0056】
色安定性イソソルビドの好ましい酸化防止剤としては、ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(又はDTMP,CAS128−37−0)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA,2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソールと3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物、CAS25013−16−5)、2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール(DMMP,CAS6638−05−7)及び2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール(DMMP,CAS91−10−1)が挙げられる。これらのうち、BHA及びDMMPが好ましい。
【0057】
使用される酸化防止剤の量は、残余に対して10ppm(重量)と少ない範囲であり得る。さらに他の実施形態において、酸化防止剤の量は、残余に対して300ppm(重量)であり得る。一般に、添加される量は、本発明と組み合わせて、又は以下に記載される接触水素化手順と共に本発明を用いて、所定の最終用途及び所定のイソヘキシドに必要とされる色及び色安定性の改善を提供するのに十分である。
【0058】
他の実施形態において、簡潔に上述されるように、粗製脱水生成物混合物の残余がさらに処理されて完成イソヘキシド生成物が得られる前であるが、本明細書に教示されるように不純物の除去に続いて添加される1種又は複数種の酸化防止剤添加剤を使用する、又は使用しない、本発明のプロセスは、本願譲受人に譲渡された2012年10月31日出願の米国特許出願第61/720,457号「HYDROGENATION OF ISOHEXIDE PRODUCTS FOR IMPROVED COLOR AND/OR COLOR STABILITY」により詳細にさらに記述されるように、更なる処理前及び/後に行われる接触水素化工程と組み合わせて、イソヘキシド豊富な生成物を得ることができる。
【0059】
さらに詳しくは、本発明のプロセスが適用されている、粗製脱水生成物混合物及び粗製脱水生成物混合物の残余は、粗製脱水生成物混合物の残余をさらに処理して、更に使用又は販売するためのイソヘキシド完成品を得る前に、適切な触媒の存在下にて水素化され得る。色が改善された物質が製造される。代替方法としては(又はさらには)、更なる処理後のイソヘキシド生成物が、色を改善するために(色を低減するために)適切な触媒の存在下で水素化され得る。不均一系触媒が好ましく、本発明によるイオン種の除去と併せて、6.9MPa未満、ゲージ圧(1000psig)、好ましくは4.1MPa以下、ゲージ圧(600psig)の水素圧力が、上記で参照される組み込まれる出願でさらに詳述かつ実証されるように色が低減された生成物を提供するのに有効であり得る。
【0060】
所定のイソヘキシドの色の必要条件は当然のことながら、購入者ごとに、かつ最終用途ごとに異なる。また、粗製脱水生成物混合物自体の組成及び他の特性(例えば、pH)は、かかる混合物が生成される方法に応じて異なり、そのため一部の場合には、本発明によって、又は本願譲受人に譲渡された、組み込まれる参考文献によって提供される特定の解決策のみを適用することで十分であり得るが、他の状況では、本願譲受人に譲渡された、組み込まれる参考文献に記載の方策のいずれか又は両方をさらに用いることも必要な場合がある。いずれにしても、所定のイソヘキシド生成物の色の、必要とされる低減及び/又は色安定性の向上を達成するのに必要な技術又は技術の組み合わせを当業者は決定することができると考えられる。
【0061】
特定の色の必要条件は、上記のように異なり得るが、一般に、少なくとも一部本発明の手段によって製造された100%融解完成イソヘキシド生成物は、ASTM D1209に準拠して決定される、100以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、特に10以下のAPHA色を示すと期待される。従来の85%溶解生成物形態において、完成イソヘキシド生成物は好ましくは、100以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、特に10以下のAPHA色を示す。好ましくは、これらの組成物の色安定性は、酸化防止剤添加剤に関連する組み込まれた特許出願の実施例の手法において85℃で4週間促進老化した後に、100%融解生成物のAPHA色がまだ200未満であるような色安定性である。これに対して、85%溶解生成物については、好ましくは、APHA色はまだ、250未満である。100%融解生成物及び85%溶解生成物それぞれに対して、少なくとも200及び250のAPHA色基準を満たす組成物が、その用語が本明細書で使用される場合に「色安定性」とみなされる。
【0062】
本発明はさらに、以下の実施例によって説明される。
【実施例】
【0063】
実施例1
本明細書に記載のように処理する必要がある粗製イソソルビド生成物を生成するために、顆粒状結晶質ソルビトール(3660.0g,20.091モル)を一例において、5L三つ口丸底フラスコに計量して入れた。温度制御マントルヒーターを使用して、ソルビトールが融解するまで、熱電対、機械攪拌機及び凝縮器を備えたフラスコを内部温度140℃加熱した。ドライアイスイソプロパノール浴内で1リットル容器を介して真空<10トルを適用した。ガラスシリンジを使用して、ゴム製セプタムを通して濃硫酸(20.3g,0.202モル)を添加した。真空(8.9トル)下にて139.2℃で100分間機械撹拌しながら、反応を行った。熱が下がり、温度は90.3℃に低下した。次いで、シリンジを使用してゴム製セプタムを通して、50%水液としての水酸化ナトリウム(32.07g,0.401モルを)を添加し、少なくとも15分間撹拌した。真空を破り、GC/FIDによる分析のために試料を採取した。得られた粗製反応混合物の分析によって、ソルビトールの転化率99.93%、イソソルビドに対する選択率70.75モル%、ソルビトールに対するイソソルビドの収率56.72%(重量)が示された。次いで、反応混合物を脱イオン水1.5リットルで希釈し、ブフナー漏斗を使用して0.2μmフィルターを通して濾過した。
【0064】
2つの更なるバッチで実質的に同じ手法で更なるイソソルビドを製造し、以下の実施例で詳述されるイオン排除、イオン交換及び蒸留研究用の複合物質を提供した。3つのバッチ製造の詳細を以下のように表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例2
固定床イオン交換クロマトグラフィーを使用した、非イオン成分からのイオン成分の分離
脱イオン水のスラリー中で、プロトン形の強酸性カチオン交換樹脂(DOWEX(商標)88スルホネート官能基化マクロ孔質スチレンジビニルベンゼン強酸カチオン交換樹脂,The Dow Chemical Company, Midland, MI)を#25 Aceガラスジャケットクロマトグラフィーカラム(内径25mm×長さ600mm)に300ccの目盛りまで添加した。脱イオン水の第2スラリー中で、水酸化物形の強塩基性アニオン交換樹脂(AMBERLITE(商標)FPA91 CI食品等級、マクロ網状強塩基アニオン交換樹脂,The Dow Chemical Company, Midland, MI)を#25Aceガラスジャケットクロマトグラフィーカラム(内径25mm×長さ600mm)に300ccの目盛りまで添加した。脱イオン水の第3スラリーにおいて、活性炭を#25Aceガラスジャケットクロマトグラフィーカラム(内径25mm×長さ600mm)に300ccの目盛りまで添加した。Teflonアダプターでカラムに蓋をし、1/8インチのTeflonチューブ及びSwagelok管継手を使用して、1)カチオン、2)アニオン及び3)炭素を直列に連結した。
【0067】
蠕動ポンプを使用してカラムを通して、室温にて流量20mL/分で、イソソルビド約31重量%、ソルビタン44重量%、硫酸ナトリウム1.7重量%の組成を有する、脱イオン水中で希釈された中和イソソルビド粗製反応混合物をポンピングした。回転蒸発器を使用して、カラムからの溶出液を脱水した。ICPによる分析から、残留ナトリウム6.2ppm及び残留硫黄2.4ppm(LOD:0.1ppm)が測定された。脱水されたイオン交換粗製物のHPLC/UVから、検出不可能なカルボン酸が示された。最終生成物は定性的に、暗褐色の出発原料から淡黄色の最終物質へと、著しい色の低減を示した。
【0068】
実施例3
擬似移動層クロマトグラフィーを使用した、非イオン成分からのイオン成分の分離
Calgon Carbon Corp, Pittsburgh, PAから市販の擬似移動層クロマトグラフィーシステム(SMB)において、PLC制御カルーセルに据え付けられた12個の#11Aceガラスクロマトグラフィーカラム(内径11mm×長さ450mm)に、ナトリウムイオン形で強酸カチオン交換樹脂(DOWEX(商標)MONOSPHERE(商標)99/310スルホネート官能基化スチレンジビニルベンゼン強酸カチオン交換樹脂)をスラリー充填した。Teflon管継手でカラムに蓋をし、1/16インチTeflonチューブでカラムを4領域に配管した。4つのEldex容積型ポンプを使用して、システムを通じて液体を分配した。
【0069】
脱イオン水で希釈され、かつ0.2μmフィルターを通して濾過された、中和されたイソソルビド粗製反応混合物をGC/FID及びカールフィッシャー法(Karl Fischer)によって分析し、イソソルビド46.025重量%、ソルビタン7.352重量%、及び水34.940重量%であった。供給溶液のIC及びICPによる分析から、ホルメート1541ppm、スルフェート697ppm及びナトリウム1929ppmが示された。
【0070】
イソソルビド溶液を領域3のカラム6内に速度1.5mL/分で供給した。脱イオン水を溶離剤として使用し、領域1のカラム1内に速度3.08mL/分にて供給した。抽出物は、イソソルビド34.81重量%、ソルビタン4.513重量%、ホルメート179ppm、スルフェート122ppm、ナトリウム217ppm、及び水54.67重量%で構成された。領域1のカラム2から水を速度4.51mL/分で抜き取り、濃縮物として速度1.73mL/分にて領域2のカラム3内に戻し、その結果、流量2.78mL/分で純生成物が得られた。イソソルビド1.748重量%、ソルビタン1.659重量%、ホルメート1152ppm、スルフェート480ppm、ナトリウム1812ppm、及び水86.45重量%で構成されるラフィネートを速度3.23mL/分にて領域3のカラム10から除去し、速度1.43mL/分にて領域4のカラム11に戻し、その結果、流量1.8mL/分で純ラフィネートが得られた。
【0071】
SMBカラムカルーセルの向流回転を10.75分間隔で段階的に行った。システム全体が15.6時間の実験経過中に7.3回、回転した。抽出物及びラフィネートストリームから採取した試料のGC/FID分析に基づいて、分離からのイソソルビドの収率は96.9重量%であり、ラフィネート中にソルビタンが失われたために、86%から88%への正規化純度の増加が示された。ホルメート、スルフェート及びナトリウムの総イオン排除は、それぞれ80.6重量%、71.7重量%、及び84.4重量%であった。意外なことに、供給物質からの着色体のバルクがラフィネート中に溶出し、その結果、真っ黒な非透明供給物質から、淡黄色の完全に透明な抽出物へと、イソソルビド溶液の色が著しく改善されることが確認された。
【0072】
実施例4
擬似移動層イオン排除及びイオン交換クロマトグラフィーを併せて使用した、非イオン成分からのイオン成分の分離:
実質的に実施例3に記載のように行われた一連の擬似移動層イオン排除からの抽出物を合わせて、イソソルビド29.45重量%、ソルビタン3.31重量%、ホルメート133ppm、スルフェート270ppm、ナトリウム193ppm、及び水67.14重量%の組成を有する、淡黄色イソソルビド水溶液約5ガロンが得られた。プロトン形のDOWEX(商標)88スルホネート官能基化マクロ孔質スチレンジビニルベンゼン強酸カチオン交換樹脂を脱イオン水でスラリー化し、5L固定層イオン交換カラムに4リットルの目盛りまで添加した。水酸化物形のDOWEX(商標)22強塩基アニオン交換樹脂を脱イオン水でスラリー化し、5L固定層イオン交換カラムに4リットルの目盛りまで添加した。蠕動ポンプを使用して流量約40mL/分で直列の固定層カチオン及びアニオン交換カラムを通して、イオン排除されたイソソルビド溶液をポンピングした。カラムからの流出液を回収し、回転蒸発器を使用して脱水し、分析した。イオン排除、イオン交換された、合わせたイソソルビド混合物の組成は、イソソルビド72.20重量%、ソルビタン8.12重量%、ホルメート0.8ppm、検出不可能なppmのスルフェート、水5.63重量%であった。
【0073】
実施例5
薄膜蒸発器(TFE)による、酸化防止剤の添加を伴う、イオン排除、イオン交換された粗製イソソルビド反応混合物の蒸留
熱電対、磁気撹拌子及び凝縮器を備えた5L三つ口丸底フラスコに、実施例4からのイオン排除、イオン交換、回転蒸発されたイソソルビド溶液約3078.86gを添加した。温度制御マントルヒーターを使用して、溶液を110℃に加熱し、凝縮器によって真空を5トルまで適用した。残留する水5.63重量%を溶液から蒸発させ、真空を破った。窒素下にて撹拌しながら、熱いイソソルビド溶液に2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(1.9415g,Sigma Aldrich 97%)を添加し、溶解させた。反応混合物を室温に冷却し、瓶詰めし、Pope Scientific, inc.(Saukville,Wisconsin)に蒸留のために輸送した。
【0074】
イオン排除、イオン交換され、かつ酸化防止処理された粗製イソソルビド反応混合物を最初に、脱ガス装置に通し、外部凝縮器と配列し、薄膜蒸発器で蒸留する前に、残留水、低沸点化合物、溶解ガスを除去した。脱ガスの温度を120℃で維持し、凝縮器温度を35℃で維持し、真空を15mmHgで設定した。イソソルビドを1021グラム/時で供給し、その結果、留出物1.5グラム、残留物1105.0グラムが回収された。
【0075】
内部凝縮器が配置された2’’の薄膜蒸発器(TFE)に流量711グラム/時にて、イソソルビド83.81重量%、イソマンニド0.19重量%、イソイジド0.07重量%、ソルビタン12.22量%、及びDTMP 600ppmの組成を有する、脱ガスされたイソソルビド残留物を供給した。主要なTFEハウジングの皮膚温度を170℃に維持した。真空を約1.2mmHgで保持した。内部凝縮器を75℃で維持した。TFEからの留出物(135グラム)及び残留物(31.0グラム)を回収し、GC/FIDによって、及びLC/UV/RIDによって分析した。イソソルビド留出物の組成は、イソソルビド99.53重量%、イソマンニド0.17重量%、イソイジド0.08重量%、ソルビタン0.20重量%、及びDTMP197ppmであった。純イソソルビド留出物の色は、APHA色スケールで6と測定された。イソソルビド残留物の組成は、イソソルビド13.09重量%、イソマンニド0.00重量%、イソイジド0.10重量%、及びソルビタン64.51重量%であった。留出物及び残留物試料の分析に基づく、蒸留の質量収率は97.1%であった。
【0076】
上述の同じイソソルビド脱ガス供給物質の一連の更なる2’’TFE蒸留を完了し、すべての条件はほぼ一定であり、蒸発器温度は徐々に高くなった。結果又は蒸留の実験は表3に示される。蒸留前に、検出不可能な又はほぼ検出不可能なレベルに低減されたイオン含有量を有する反応混合物からのTFE留出物の収率は、イオン種が最初に除去されない履歴値よりも著しく高く、色は著しく低かった。
【0077】
【表2】
【0078】
実施例6
塩を含有しないTFE残渣の再循環と共に、薄膜蒸発器(TFE)による、イオン交換イソソルビド粗製反応混合物の蒸留
中和、希釈、濾過され、かつ一連の固定層イオン交換樹脂で処理されて検出不可能なレベルまでイオン性化合物が除去された粗製イソソルビド生成物混合物を次いで、回転蒸発器を使用して脱水した。次いで、内部凝縮器を有する2’’POPE薄膜蒸発器(TFE)を使用して、イソソルビド約31.9重量%、ソルビタン51.9重量%を含有する脱水供給物質を蒸留した。ニードル弁を備えたガラス製の均圧化添加漏斗を使用して、約0.61グラム/分にて供給物質を一滴ずつ添加した。ヒートテープ及び保温材を使用して、供給物質を約70℃に維持した。主要なTFEハウジングの皮膚温度を160℃に維持した。ドライアイス及びイソプロパノールで満たされた外部冷トラップを通じて適用される真空調節器を使用して、真空を約4.5トルに維持し、揮発物(例えば、残留水)を回収した。プロピレングリコール/水で満たされた再循環浴を使用して、内部凝縮器を82℃に維持した。504RPMでのばね荷重式Teflonブレード回転によって、内壁に薄膜が形成された。
【0079】
TFEからの留出物(40.9g)及び残留物(84.76g)を回収し、GC/FIDによってそれぞれイソソルビド89.4重量%及び0.88重量%で分析し、この蒸留に関するイソソルビドの質量収率は98.0重量%となった。
【0080】
蒸留残渣(84.76g)を回収し、GC/FIDを使用してソルビタン81.1重量%及びソルビトール0.18重量%で分析した。ゴム製セプタム、短経路凝縮器及び電磁攪拌を備えた二つ口100mL丸底フラスコ中で、1,4−ソルビタンが豊富な蒸留残渣(22.9g)の留分を顆粒状結晶質ソルビトール(20.0g,0.110モル)と合わせた。均一になるまで、混合物を撹拌し、真空下にて加熱し、次いで140℃及び1トルにて約180分間にわたって濃硫酸(0.223g,0.002モル)で脱水した。その結果、ソルビトール転化率99.9%、1,4−ソルビタン転化率89.3%、イソソルビドに対する選択率75.1モル%であった。歴史的に、新たなイソソルビド反応に再循環されたイオン種を含有する粗製反応供給物質からの蒸留残渣は、50%を超える総転化率を達成することができていなかった。