(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン冷却水とエンジンオイルと変速機オイルとが流れ、前記エンジンオイルと前記変速機オイルとの間に流量差が存在するパワートレーンを有する車両に搭載される車両用熱交換器において、
複数のプレートが積層されることにより、前記エンジン冷却水を流すための第一流路と、前記エンジンオイルを流すための第二流路と、前記変速機オイルを流すための第三流路と、が形成され、前記プレートの積層方向に隣接する各流路間で熱交換を行い、
前記第一流路が、前記第二流路および前記第三流路のうち、内部を流れている流体の流量の少ない側とのみ隣接している領域を含み、
前記変速機オイルの流量が前記エンジンオイルの流量よりも少ないパワートレーンを有する車両に搭載され、
前記第一流路、前記第三流路および前記第一流路の順に隣接する流路群を一つ以上含み、かつ前記第一流路が前記第三流路とのみ隣接している領域を含む第一領域と、
前記第二流路、前記第三流路、前記第二流路、前記第一流路および前記第二流路の順に隣接する流路群を一つ以上含む第二領域と、を有し、
前記第一領域および前記第二領域は、前記積層方向において隣接していることを特徴とする車両用熱交換器。
前記第二領域に含まれる前記第三流路は、前記第一領域に含まれる前記第三流路よりも、前記車両用熱交換器を流れる前記変速機オイルの流れ方向の上流側に位置していることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の車両用熱交換器。
前記第一流路、前記第二流路および前記第三流路を構成する前記プレートには、隣接する流路間における流体の流れ方向が対向流の関係となるように、前記エンジン冷却水、前記エンジンオイルおよび前記変速機オイルの流入孔と流出孔とがそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用熱交換器。
各流入孔および各流出孔は、前記プレートにおいて、前記第二流路の流入孔および流出孔を結ぶ直線と、前記第三流路の流入孔および流出孔を結ぶ直線とが、互いに交差するような位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用熱交換器。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る車両用熱交換器について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0024】
本発明に係る車両用熱交換器は、車両に搭載され、エンジン冷却水(以下、「Eng冷却水」という)、エンジンオイル(以下、「Engオイル」という)および変速機オイル(以下、「T/Mオイル」という)の3種類の流体を熱交換させる三相型の熱交換器である。本発明に係る車両用熱交換器が搭載される車両としては、例えばAT車、CVT車およびHV車が挙げられる(以降の記載における「車両」も同様)。
【0025】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る車両用熱交換器は、Eng冷却水とEngオイルとT/Mオイルとが流れ、EngオイルとT/Mオイルとの間に流量差が存在するパワートレーン、具体的には、Eng冷却水およびEngオイルの流量と比較して、T/Mオイルの流量が少ないパワートレーンを有する車両に搭載されるものを想定しており、流量の少ないT/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量を向上させることを主な目的としている。
【0026】
車両用熱交換器1は、
図1に示すように、ベース20上にアルミニウム合金等からなる複数のプレート(板体)10が積層され、これらが一体的に接合されることにより構成されている。そして、車両用熱交換器1では、最上部の蓋材として機能する平板状プレート10aと、複数の皿状プレート10bとが組み合わされる(積み上げられる)ことにより、隣接する二つのプレート10間に各流体が流れる流路が形成されている。なお、車両用熱交換器1は、例えばベース20を介して、車両のエンジンユニットに直載される。
【0027】
図1では図示を省略したが、各プレート10間にはフィン(例えば波状フィン)が収容されており、各プレート10および各フィンは、加熱処理等により一体的に接合されている。なお、前記した「皿状」とは、例えば同図の皿状プレート10bのように平面が窪んでおり、かつ底面および側面を有する形状のことを示している。
【0028】
<各流路の概要>
車両用熱交換器1では、具体的には
図1に示すように、複数のプレート10(平板状プレート10aおよび皿状プレート10b)が積層されることにより、Eng冷却水を流すための第一流路11と、Engオイルを流すための第二流路12と、T/Mオイルを流すための第三流路13と、が形成されている。そしてこれにより、プレート10の積層方向(以下、単に「積層方向」と表記する)の上下に隣接する各流路間で、プレート10(具体的には皿状プレート10bの底面)を介して、各流体が熱交換を行うように構成されている。
【0029】
ここで、
図1では、第一流路11に相当する空間をハッチングなしで、第二流路12に相当する空間を斜線状ハッチングで、第三流路13に相当する空間をドット状ハッチングでそれぞれ示している。なお、本実施形態における「流路」とは、具体的には複数のプレート10が組み合わされることにより区画された所定の空間のことを示している。
【0030】
第一流路11、第二流路12および第三流路13は、プレート10(具体的には皿状プレート10bの底面)を隔てて配置されており、各流路内を流れる流体が互いに混合しないように区画されている。また、同種の流体が流れる流路は、後記する層間連通路113,123,133(
図2参照)を介して連通している。
【0031】
<各流路の配置>
車両用熱交換器1は、
図1に示すように、全13層で構成されており、上から1,3,5,9,13層目に第一流路11が、上から6,8,10,12層目に第二流路12が、上から2,4,7,11層目に第三流路13が配置されている。なお、同図において各流路の隣にカッコ書きで示した番号(1)〜(13)は、各流路を上から数えた場合の層順を示している。以降の説明で登場する「○層目」という記載は、
図1で示した上記番号と同様に、各流路を上から数えた場合の層順を示している。
【0032】
車両用熱交換器1では、複数の流体が熱交換を行う領域として、第一領域と第二領域の二つを有している。第一領域は、T/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量の向上を目的とした領域である。第一領域は、第一流路11、第三流路13および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、第一流路11と第三流路13とが積層方向に交互に配置されている。本実施形態における第一領域は、
図1に示すように、上から順に、第一流路11、第三流路13、第一流路11、第三流路13および第一流路11の全5層で構成されている。
【0033】
また、第一領域は、
図1に示すように、第一流路11が、第二流路12および第三流路13のうち、内部に流れている流体の流量の少ない側である第三流路13とのみ隣接している領域を含んでいる。すなわち、第一領域は、積層方向の一方側では第三流路13と隣接し、かつ積層方向の他方側では第二流路12と隣接しないように配置された第一流路11を含んでいる。
【0034】
例えば1層目の第一流路11は、積層方向における一方側(下面側)でのみ、2層目の第三流路13と隣接しており、積層方向における他方側(上面側)では他の流路とは隣接していない。また、3層目の第一流路11は、積層方向における両側(両面側)で、2,4層目の第三流路13とそれぞれ隣接している。このように、第一領域は、第一流路11が第三流路13とのみ隣接している領域を有しており、これにより、Eng冷却水とT/Mオイルとが、Engオイルの影響を受けずに熱交換を行えるように構成されている。
【0035】
第二領域は、第二流路12、第三流路13、第二流路12、第一流路11および第二流路12の順に隣接する5層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、Eng冷却水とEngオイルとが熱交換を行うとともに、EngオイルとT/Mオイルとが熱交換を行うように各流路が配置されている。本実施形態における第二領域は、
図1に示すように、上から順に、第二流路12、第三流路13、第二流路12、第一流路11、第二流路12、第三流路13、第二流路12および第一流路11の全8層で構成されている。
【0036】
第一領域および第二領域は、
図1に示すように、積層方向において隣接しており、具体的には、第一領域の最下層(5層目)に配置された第一流路11と、第二領域の最上層(6層目)に配置された第二流路12とが隣接して配置されている。
【0037】
<各流路の流れ方向の概要>
以下、車両用熱交換器1の各流路における流体の流れ方向について、
図2を参照しながら説明する。同図において、実線で示した矢印は第一流路11内のEng冷却水の流れ方向F11を、二点鎖線で示した矢印は第二流路12内のEngオイルの流れ方向F12を、一点鎖線で示した矢印は第三流路13内のT/Mオイルの流れ方向F13を、それぞれ示している。なお、本実施形態における「流れ方向」とは、各流路の流入孔から流出孔に向かう方向のことを示している(後記する
図3および
図4参照)。
【0038】
また、
図2において、実線矢印、二点鎖線矢印および一点鎖線矢印の経路上に存在する黒丸は、各流体の各流入孔111,121,131および各流出孔112,122,132を概念的に示したものである。また、同図において、実線矢印、二点鎖線矢印および一点鎖線矢印の経路の一部を囲っている破線は、各流体の層間連通路113,123,133を概念的に示したものである。
【0039】
なお、本実施形態における「流入孔」とは、流路内に流体を導入する孔のうち、流体の流れ方向における最も上流側に形成された孔のことを示している。例えば
図2の1層目の第一流路11には、第一流入孔111の他にも、3層目の第一流路11から1層目の第一流路11にEng冷却水を導入するための孔(図示省略)が形成されているが、本実施形態では、より上流側に位置する孔(黒丸参照)を第一流入孔111としている。
【0040】
また、本実施形態における「流出孔」とは、流路外に流体を排出する孔のうち、流体の流れ方向における最も下流側に形成された孔のことを示している。例えば
図2の1層目の第一流路11には、第一流出孔112の他にも、1層目の第一流路11から3層目の第一流路11にEng冷却水を排出するための孔(図示省略)が形成されているが、本実施形態では、より下流側に位置する孔(黒丸参照)を第一流出孔112としている。
【0041】
(第一流路)
第一流路11を構成する2つのプレート10(平板状プレート10aおよび皿状プレート10b)には、エンジンまたは他の流路から第一流路11へEng冷却水を流入させるための第一流入孔111と、第一流路11からエンジンまたは他の流路へEng冷却水を流出させるための第一流出孔112とが形成されている。第一流入孔111および第一流出孔112は、具体的には
図2に示すように、第一流路11の上面を構成するプレート10の左右両側に形成されている。なお、同図では、一部の第一流入孔111および第一流出孔112のみに符号を付し、その他の符号は省略している。
【0042】
1層目(第一流路11)の第一流入孔111から第一流路11に流入したEng冷却水は、3,5,9,13層目の第一流路11に分岐して流入する。続いて、Eng冷却水は、各層の第一流路11内を、積層方向と直交する方向(プレート10の面方向)にそれぞれ流れた後に合流し、1層目(第一流路11)の第一流出孔112から車両用熱交換器1の外部(エンジン)へと流出する。
【0043】
第一流路11を構成する2つのプレート10(平板状プレート10aおよび皿状プレート10b)の間には、当該第一流路11の上下に配置された流路間における流体の流入および流出を可能とする層間連通路(例えば円筒状をなす)が、当該第一流路11を貫通するように形成されている。例えば、9,13層目の第一流路11を構成するプレート10の間には、Engオイル用の層間連通路123が形成されている。また、1,3,5,9,13層目の第一流路11を構成するプレート10の間には、T/Mオイル用の層間連通路133が形成されている。
【0044】
(第二流路)
第二流路12を構成する2つのプレート10(皿状プレート10b)には、エンジンまたは他の流路から第二流路12へEngオイルを流入させるための第二流入孔121と、第二流路12からエンジンまたは他の流路へEngオイルを流出させるための第二流出孔122とが形成されている。第二流入孔121および第二流出孔122は、具体的には
図2に示すように、第二流路12の下面を構成するプレート10の左右両側に形成されている。なお、同図では、一部の第二流入孔121および第二流出孔122のみに符号を付し、その他の符号は省略している。
【0045】
層間連通路123を介して12層目(第二流路12)の第二流入孔121から第二流路12に流入したEngオイルは、10,8,6層目の第二流路12に分岐して流入する。続いて、Engオイルは、各層の第二流路12内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、12層目(第二流路12)の第二流出孔122から、層間連通路123を介して車両用熱交換器1の外部(エンジン)へと流出する。
【0046】
第二流路12を構成する2つのプレート10(皿状プレート10b)の間には、当該第二流路12の上下に配置された流路間における流体の流入および流出を可能とする層間連通路(例えば円筒状をなす)が、当該第二流路12を貫通するように形成されている。例えば、6,8,10,12層目の第二流路12を構成するプレート10の間には、Eng冷却水用の層間連通路113と、T/Mオイル用の層間連通路133とが形成されている。
【0047】
(第三流路)
第三流路13を構成する2つのプレート10(皿状プレート10b)には、変速機または他の流路から第三流路13へT/Mオイルを流入させるための第三流入孔131と、第三流路13から変速機または他の流路へT/Mオイルを流出させるための第三流出孔132とが形成されている。第三流入孔131は、具体的には
図2に示すように、第三流路13の下面を構成するプレート10に形成されている。また、第三流出孔132は、具体的には同図に示すように、第三流路13の上面を構成するプレート10に形成されている。なお、同図では、一部の第三流入孔131および第三流出孔132のみに符号を付し、その他の符号は省略している。
【0048】
層間連通路133を介して11層目(第三流路13)の第三流入孔131から第三流路13に流入したT/Mオイルは、7層目の第三流路13に分岐して流入する。続いて、T/Mオイルは、各層の第三流路13内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流する。続いて、T/Mオイルは、4,2層目の第三流路13に分岐して流入する。続いて、T/Mオイルは、各層の第三流路13内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、2層目(第三流路13)の第三流出孔132から、層間連通路133を介して車両用熱交換器1の外部(変速機)へと流出する。
【0049】
第三流路13を構成する2つのプレート10(皿状プレート10b)の間には、当該第三流路13の上下に配置された流路間における流体の流入および流出を可能とする層間連通路(例えば円筒状をなす)が、当該第三流路13を貫通するように形成されている。例えば、11,7,4,2層目の第三流路13を構成するプレート10の間には、Eng冷却水用の層間連通路113が形成されている。また、11,7層目の第三流路13を構成するプレート10の間には、Engオイル用の層間連通路123が形成されている。
【0050】
<各流路間の流れ方向の関係>
以下、車両用熱交換器1の各流路間における流体の流れ方向の関係について、
図3および
図4を参照しながら説明する。
図3は、車両用熱交換器1において、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第一領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。また、
図4は、車両用熱交換器1において、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第二領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。
【0051】
また、
図3および
図4において、実線で示した矢印は、第一流入孔111と第一流出孔112とを最短距離で結んだ場合におけるEng冷却水の流れ方向F11の主線(代表的な流れ方向)を示している。また、二点鎖線で示した矢印は、第二流入孔121と第二流出孔122とを最短距離で結んだ場合におけるEngオイルの流れ方向F12の主線を示している。そして、一点鎖線で示した矢印は、第三流入孔131と第三流出孔132とを最短距離で結んだ場合におけるT/Mオイルの流れ方向F13の主線を示している。
【0052】
車両用熱交換器1の各流路を構成するプレート10には、積層方向に隣接する流路間における流体の流れ方向が対向流の関係となるように、Eng冷却水、EngオイルおよびT/Mオイルの流入孔と流出孔とがそれぞれ形成されている。
【0053】
(第一領域)
例えば
図3に示すように、車両用熱交換器1の各流路のうち、第一領域に含まれる第一流路11および第三流路13を構成するプレート10には、第一流路11におけるEng冷却水の流れ方向F11と、第三流路13におけるT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。
【0054】
ここで、前記した「対向流」の状態とは、
図3に示すように、異なる流体の流れ方向の主線が互いに交差している状態、あるいは異なる流体の流れ方向の主線が互いに対向している状態、を示している。なお、対向流ではない状態、すなわち異なる流体の流れ方向の主線が互いに交差しない状態、かつ異なる流体の流れ方向の主線が互いに対向しない状態は、「並行流」の状態といわれる。
【0055】
Eng冷却水の流れ方向F11とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になるか否かは、プレート10に形成された各流入孔および各流出孔の位置関係によって決定される。すなわち、第一流入孔111、第一流出孔112、第三流入孔131および第三流出孔132は、
図3に示すように、プレート10において、第一流入孔111および第一流出孔112を結ぶ直線(Eng冷却水の流れ方向F11の主線)と、第三流入孔131および第三流出孔132を結ぶ直線(T/Mオイルの流れ方向F13の主線)とが、交差するような位置にそれぞれ形成されている。
【0056】
より具体的には、第一流入孔111および第一流出孔112は、プレート10を平面視した場合の対向する二辺の幅中央の位置にそれぞれ形成されている。また、第三流入孔131および第三流出孔132は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。
【0057】
このように、車両用熱交換器1の各流路のうちの第一領域では、Eng冷却水の流れ方向F11の主線と、T/Mオイルの流れ方向F13の主線とが交差した状態となるため、Eng冷却水の流れ方向F11とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になる(例えば
図2の1,2層目参照)。このように隣接する流体同士が対向流となるように構成することにより、隣接する流体同士が単位時間当たりに熱交換できる相対的な量、および、隣接する流体同士が単位時間あたりに熱交換できる機会を、並行流と比較して増やすことができる。これにより、隣接する流体間の温度差を急速に縮めることができ、並行流の場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0058】
(第二領域)
図4に示すように、車両用熱交換器1の各流路のうち、第二領域に含まれる第一流路11、第二流路12および第三流路13を構成するプレート10には、第一流路11におけるEng冷却水の流れ方向F11と、第二流路12におけるEngオイルの流れ方向F12と、第三流路13におけるT/Mオイルの流れ方向F13とが、それぞれ対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。
【0059】
Eng冷却水の流れ方向F11と、Engオイルの流れ方向F12とT/Mオイルの流れ方向F13とが、それぞれ対向流の関係になるか否かは、プレート10に形成された各流入孔および各流出孔の位置関係によって決定される。すなわち、第一流入孔111、第一流出孔112、第二流入孔121、第二流出孔122、第三流入孔131および第三流出孔132は、
図4に示すように、プレート10において、第一流入孔111および第一流出孔112を結ぶ直線(Eng冷却水の流れ方向F11の主線)と、第二流入孔121および第二流出孔122を結ぶ直線(Engオイルの流れ方向F12の主線)と、第三流入孔131および第三流出孔132を結ぶ直線(T/Mオイルの流れ方向F13の主線)とが、互いに交差するような位置にそれぞれ形成されている。
【0060】
より具体的には、第一流入孔111および第一流出孔112は、プレート10を平面視した場合の対向する二辺の幅中央の位置にそれぞれ形成されている。また、第二流入孔121および第二流出孔122は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。また、第三流入孔131および第三流出孔132は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。
【0061】
例えば
図4に示すような矩形状のプレート10においては、第二流入孔121および第二流出孔122がある四隅の対角の位置に形成されている場合、第三流入孔131および第三流出孔132は、平面視で第二流入孔121および第二流出孔122とは重ならない四隅の対角の位置に形成される。
【0062】
このように、第二流入孔121、第二流出孔122、第三流入孔131および第三流出孔132をプレート10の対角四隅に配置し、Engオイルの流れ方向F12の主線とT/Mオイルの流れ方向F13の主線とを交差させることにより、両者を交差させない場合(例えば流れ方向F12,13の主線が並行となるように各流入孔および各流出孔を四隅に配置)と比較して、EngオイルとT/Mオイルがすれ違う量を相対的に増やすことができる。従って、EngオイルおよびT/Mオイルを効率良く熱交換させることができる。
【0063】
このように、車両用熱交換器1の各流路のうちの第二領域では、Eng冷却水の流れ方向F11の主線と、Engオイルの流れ方向F12の主線と、T/Mオイルの流れ方向F13の主線とが互いに交差した状態となることで、Eng冷却水の流れ方向F11とEngオイルの流れ方向F12とが対向流の関係になる(例えば
図2の13,12層目参照)とともに、Engオイルの流れ方向F12とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になる(例えば同図の12,11層目参照)。従って、それぞれの流れ方向が並行流の関係である場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0064】
ここで、車両用熱交換器1では、
図2に示すように、変速機からT/Mオイルが流入する第三流入孔131が第二領域側にあり(11層目の第三流入孔131参照)、変速機へT/Mオイルを流出させる第三流出孔132が第一領域側にある(2層目の第三流出孔132参照)。そのため、第二領域に含まれる第三流路13は、第一領域に含まれる第三流路13よりも、車両用熱交換器1を流れるT/Mオイルの流れ方向の上流側に位置している。従って、車両用熱交換器1におけるT/Mオイルと他の流体との熱交換に着目した場合、
図2に示すように、まず第二領域において、T/MオイルとEngオイルとが熱交換を行い、その後に第一領域において、T/MオイルとEng冷却水とが熱交換を行うことになる。
【0065】
なお、上記の第二領域における熱交換は、例えば
図2の12層目(第二流路12)〜10層目(第二流路12)や、8層目(第二流路12)〜6層目(第二流路12)における熱交換のことを示している。また、上記の第一領域における熱交換は、例えば同図の5層目(第一流路11)〜1層目(第一流路11)における熱交換のことを示している。
【0066】
ここで、
図5は、一般的な車両におけるエンジンおよび変速機の暖機完了前(暖機中)を示すコールド時における各流体の温度の推移を示している。同図に示すように、暖機完了前における各流体の温度は、全体的に見ると、Eng冷却水の温度が最も高く、その次にEngオイルの温度が高く、T/Mオイルの温度が最も低い。このような条件下では、3種類の流体のうち、温度差の小さいT/MオイルおよびEngオイルを最初に熱交換させ、その後にT/MオイルとEng冷却水とを熱交換させることが好ましい。このような順序で各流体を熱交換させることにより、温度差の大きいT/MオイルおよびEng冷却水を最初に熱交換させ、その後にT/MオイルとEngオイルとを熱交換させた場合と比較して、T/Mオイルの蓄熱量を大きくすることができる。従って、
図5で示した温度推移よりも、T/Mオイルをより速く、効率的に昇温することが可能となる。
【0067】
例えば
図5では、1800secの時点でT/Mオイルが85℃前後まで昇温されているが、上記のように、T/MオイルおよびEngオイルを最初に熱交換させ、その後にT/MオイルとEng冷却水とを熱交換させることにより、1800secよりも前の時点で、T/Mオイルを85℃前後まで昇温することが可能となる。また、上記のような順序で各流体を熱交換させることにより、変速機の暖機が促進されてフリクションが低減するため、燃費も向上する。
【0068】
また、
図6は、一般的な車両におけるエンジンおよび変速機の暖機後を示すホット時における各流体の温度の一例を示している。同図に示すように、車両が高速走行または登坂走行(高負荷走行)を行っている場合、各流体の温度は、T/Mオイルの温度が最も高く、その次にEngオイルの温度が高く、Eng冷却水の温度が最も低い。このような条件下では、3種類の流体のうち、温度差の小さいT/MオイルおよびEngオイルを最初に熱交換させ、その後にT/MオイルとEng冷却水とを熱交換させることが好ましい。このような順序で各流体を熱交換させることにより、T/Mオイルの放熱量を大きくすることができ、T/Mオイルを効率的に降温することが可能となる。
【0069】
以上のような理由から、車両用熱交換器1では、前記したように第二領域に含まれる第三流路13を、第一領域に含まれる第三流路13よりも、T/Mオイルの流れ方向の上流側に配置することにより、まず第二領域において、温度差の小さいT/MオイルとEngオイルとを熱交換させた後、第一領域において、Engオイルと熱交換した後のT/MオイルとEng冷却水とを熱交換させるようにしている。これにより、流量の少ないT/Mオイルを効率的に昇温または降温させることができる。
【0070】
以上のような構成を備える車両用熱交換器1によれば、積層方向において、第一流路11が第二流路12および第三流路13のうちの流量の少ない側(第三流路13)とのみ隣接している領域を有しているため、当該領域内において、他の流体(Engオイル)の影響を受けることなく、流量の少ない流体(T/Mオイル)とEng冷却水とを熱交換させることができる。従って、T/Mオイルの流量が、Engオイルの流量よりも少ないパワートレーンを有する車両に搭載される場合においても、T/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量を向上させ、T/Mオイルを十分に昇温または降温させることができる。
【0071】
前記した特許文献1における車両用熱交換器は、3種類の流体が同時に熱交換を行うため、例えばT/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量を、最適な値(所望の仕様)に設定することが困難であった。一方、本実施形態に係る車両用熱交換器1は、例えば第一領域における第一流路11および第三流路13の繰り返し数を増減することにより、T/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量の仕様変更を容易に行うことができる。すなわち、車両用熱交換器1は、三相型でありながら、2種類の流体のみが熱交換を行う第一領域を有しているため、この第一領域における各流路の層数を増減させることにより、2種類の流体の熱交換量を容易に調整することができる。
【0072】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る車両用熱交換器は、例えばEng冷却水およびT/Mオイルの流量と比較して、Engオイルの流量が少ないパワートレーンを有する車両に搭載されるものを想定しており、流量の少ないEngオイルの熱交換量を向上させることを主な目的としている。
【0073】
車両用熱交換器1Aは、
図7に示すように、複数のプレート10が積層されることにより構成されており、この点は前記した第1実施形態に係る車両用熱交換器1と同様である。一方、車両用熱交換器1Aは、同図に示すように、前記した第1実施形態とは、第一領域および第二領域における流路の配置が異なる。なお、以下では、第1実施形態と共通する構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0074】
<各流路の配置>
車両用熱交換器1Aは、
図7に示すように、全13層で構成されており、1,3,5,9,13層目に第一流路11が、2,4,7,11層目に第二流路12が、6,8,10,12層目に第三流路13が配置されている。このように、本実施形態と前記した第1実施形態とは、第二流路12が配置されている位置と、第三流路13が配置されている位置とが入れ替わっている。
【0075】
車両用熱交換器1Aでは、複数の流体が熱交換を行う領域として、第一領域と第二領域の二つを有している。第一領域は、EngオイルとEng冷却水との間の熱交換量の向上を目的とした領域である。第一領域は、第一流路11、第二流路12および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、第一流路11と第二流路12とが積層方向に交互に配置されている。本実施形態における第一領域は、
図7に示すように、上から順に、第一流路11、第二流路12、第一流路11、第二流路12および第一流路11の全5層で構成されている。
【0076】
また、第一領域は、
図7に示すように、第一流路11が、第二流路12および第三流路13のうちの流量の少ない側である第二流路12とのみ隣接している領域を含んでいる。すなわち、第一領域は、積層方向の一方側では第二流路12と隣接し、かつ積層方向の他方側では第三流路13と隣接しないように配置された第一流路11を含んでいる。
【0077】
例えば1層目の第一流路11は、積層方向における一方側(下面側)でのみ、2層目の第二流路12と隣接しており、積層方向における他方側(上面側)では他の流路とは隣接していない。また、3層目の第一流路11は、積層方向における両側(両面側)で、2,4層目の第二流路12とそれぞれ隣接している。このように、第一領域は、第一流路11が第二流路12とのみ隣接している領域を有しており、これにより、Eng冷却水とEngオイルとが、T/Mオイルの影響を受けずに熱交換を行えるように構成されている。
【0078】
第二領域は、第三流路13、第二流路12、第三流路13、第一流路11および第三流路13の順に隣接する5層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、Eng冷却水とT/Mオイルとが熱交換を行うとともに、EngオイルとT/Mオイルとが熱交換を行うように各流路が配置されている。本実施形態における第二領域は、
図7に示すように、上から順に、第三流路13、第二流路12、第三流路13、第一流路11、第三流路13、第二流路12、第三流路13および第一流路11の全8層で構成されている。
【0079】
第一領域および第二領域は、
図7に示すように、積層方向において隣接しており、具体的には、第一領域の最下層(5層目)に配置された第一流路11と、第二領域の最上層(6層目)に配置された第三流路13とが隣接して配置されている。
【0080】
<各流路の流れ方向の概要>
以下、車両用熱交換器1Aの各流路における流体の流れ方向について、
図8を参照しながら説明する。
【0081】
(第一流路)
1層目(第一流路11)の第一流入孔111から第一流路11に流入したEng冷却水は、3,5,9,13層目の第一流路11に分岐して流入する。続いて、Eng冷却水は、各層の第一流路11内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、1層目(第一流路11)の第一流出孔112から車両用熱交換器1Aの外部(エンジン)へと流出する。
【0082】
(第二流路)
層間連通路123を介して11層目(第二流路12)の第二流入孔121から第二流路12に流入したEngオイルは、7,4,2層目の第二流路12に分岐して流入する。続いて、Engオイルは、各層の第二流路12内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、11層目(第二流路12)の第二流出孔122から、層間連通路123を介して車両用熱交換器1Aの外部(エンジン)へと流出する。
【0083】
(第三流路)
層間連通路133を介して12層目(第三流路13)の第三流入孔131から第三流路13に流入したT/Mオイルは、10層目の第三流路13に分岐して流入する。そして、T/Mオイルは、各層の第三流路13内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流する。続いて、T/Mオイルは、8,6層目の第三流路13に分岐して流入する。続いて、T/Mオイルは、各層の第三流路13内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、6層目(第三流路13)の第三流出孔132から、層間連通路133を介して車両用熱交換器1Aの外部(変速機)へと流出する。
【0084】
<各流路間の流れ方向の関係>
以下、車両用熱交換器1Aの各流路間における流体の流れ方向の関係について、
図9および
図10を参照しながら説明する。
図9は、車両用熱交換器1Aにおいて、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第一領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。また、
図10は、車両用熱交換器1Aにおいて、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第二領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。
【0085】
(第一領域)
図9に示すように、車両用熱交換器1Aの各流路のうち、第一領域に含まれる第一流路11および第二流路12を構成するプレート10には、第一流路11におけるEng冷却水の流れ方向F11と、第二流路12におけるEngオイルの流れ方向F12とが、対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。
【0086】
第一流入孔111、第一流出孔112、第二流入孔121および第二流出孔122は、
図9に示すように、プレート10において、第一流入孔111および第一流出孔112を結ぶ直線(Eng冷却水の流れ方向F11の主線)と、第二流入孔121および第二流出孔122を結ぶ直線(Engオイルの流れ方向F12の主線)とが、交差するような位置にそれぞれ形成されている。
【0087】
より具体的には、第一流入孔111および第一流出孔112は、プレート10を平面視した場合の対向する二辺の幅中央の位置にそれぞれ形成されている。また、第二流入孔121および第二流出孔122は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。
【0088】
このように、車両用熱交換器1Aの各流路のうちの第一領域では、Eng冷却水の流れ方向F11の主線と、Engオイルの流れ方向F12の主線とが交差した状態となるため、Eng冷却水の流れ方向F11とEngオイルの流れ方向F12とが対向流の関係になる(例えば
図8の1,2層目参照)。従って、それぞれの流れ方向が並行流の関係である場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0089】
(第二領域)
図10に示すように、車両用熱交換器1Aの各流路のうち、第二領域に含まれる第一流路11、第二流路12および第三流路13を構成するプレート10には、第一流路11におけるEng冷却水の流れ方向F11と、第二流路12におけるEngオイルの流れ方向F12と、第三流路13におけるT/Mオイルの流れ方向F13とが、それぞれ対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。なお、同図に示した各流入孔および各流出孔の位置は、前記した
図4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
車両用熱交換器1Aの各流路のうちの第二領域では、Eng冷却水の流れ方向F11の主線と、Engオイルの流れ方向F12の主線と、T/Mオイルの流れ方向F13の主線とが互いに交差した状態となることで、Eng冷却水の流れ方向F11とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になる(例えば
図8の9,8層目参照)とともに、Engオイルの流れ方向F12とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になる(例えば
図8の12,11層目参照)。従って、それぞれの流れ方向が並行流の関係である場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0091】
以上のような構成を備える車両用熱交換器1Aによれば、積層方向において、第一流路11が第二流路12とのみ隣接している領域を有しているため、当該領域内において、T/Mオイルの影響を受けることなく、EngオイルとEng冷却水とを熱交換させることができる。従って、Engオイルの流量が、T/Mオイルの流量よりも少ないパワートレーンを有する車両に搭載される場合においても、EngオイルとEng冷却水との間の熱交換量を向上させ、Engオイルを十分に昇温または降温させることができる。
【0092】
また、前記した特許文献1における車両用熱交換器は、3種類の流体が同時に熱交換を行うため、例えばEngオイルとEng冷却水との間の熱交換量を、最適な値(所望の仕様)に設定することが困難であった。一方、本実施形態に係る車両用熱交換器1Aは、例えば第一領域における第一流路11および第二流路12の繰り返し数を増減することにより、EngオイルとEng冷却水との間の熱交換量の仕様変更を容易に行うことができる。
【0093】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る車両用熱交換器は、前記した第1,2実施形態と同様に、流量の少ない流体(T/MオイルまたはEngオイル)とEng冷却水との間の熱交換量を向上させるとともに、前記した第1,2実施形態と比較して、各流体間の熱交換量の仕様変更をより容易にすることを目的としている。
【0094】
車両用熱交換器1Bは、
図11に示すように、複数のプレート10が積層されることにより構成されており、この点は前記した第1,2実施形態に係る車両用熱交換器1,1Aと同様である。一方、車両用熱交換器1Bは、同図に示すように、前記した第1,2実施形態とは、各流路を分割する領域の数が異なる。なお、以下では、第1,2実施形態と共通する構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0095】
<各流路の配置>
車両用熱交換器1Bは、
図11に示すように、全12層で構成されており、1,3,5,7層目に第一流路11が、6,8,10,12層目に第二流路12が、2,4,9,11層目に第三流路13が配置されている。
【0096】
車両用熱交換器1Bでは、複数の流体が熱交換を行う領域として、第一領域、第二領域および第三領域の三つを有している。第一領域は、T/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量の向上を目的とした領域である。第一領域は、第一流路11、第三流路13および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、第一流路11と第三流路13とが積層方向に交互に配置されている。本実施形態における第一領域は、
図11に示すように、上から順に、第一流路11、第三流路13、第一流路11および第三流路13の全4層で構成されている。
【0097】
また、第一領域は、
図11に示すように、第一流路11が、第二流路12および第三流路13のうちの流量の少ない側である第三流路13とのみ隣接している領域を含んでいる。すなわち、第一領域は、積層方向の一方側では第三流路13と隣接し、かつ積層方向の他方側では第二流路12と隣接しないように配置された第一流路11を含んでいる。
【0098】
例えば1層目の第一流路11は、積層方向における一方側(下面側)でのみ、2層目の第三流路13と隣接しており、積層方向における他方側(上面側)では他の流路とは隣接していない。また、3層目の第一流路11は、積層方向における両側(両面側)で、2,4層目の第三流路13とそれぞれ隣接している。このように、第一領域は、第一流路11が第三流路13とのみ隣接している領域を有しており、これにより、Eng冷却水とT/Mオイルとが、Engオイルの影響を受けずに熱交換を行えるように構成されている。
【0099】
第二領域は、第三流路13、第二流路12および第三流路13の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、第二流路12と第三流路13とが積層方向に交互に配置されている。本実施形態における第二領域は、
図11に示すように、上から順に、第三流路13、第二流路12、第三流路13および第二流路12の全4層で構成されている。
【0100】
第三領域は、第二流路12、第一流路11および第二流路12の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでおり、第一流路11と第二流路12とが積層方向に交互に配置されている。本実施形態における第三領域は、
図11に示すように、上から順に、第一流路11、第二流路12、第一流路11および第二流路12の全4層で構成されている。
【0101】
また、第三領域は、
図11に示すように、積層方向の一方側では第二流路12と隣接し、かつ積層方向の他方側では第三流路13と隣接しないように配置された第一流路11を含んでいる。
【0102】
例えば7層目の第一流路11は、積層方向における両側(両面側)で、6,8層目の第二流路12とそれぞれ隣接している。このように、第三領域は、第一流路11が第二流路12とのみ隣接している領域を有しており、これにより、Eng冷却水とEngオイルとが、T/Mオイルの影響を受けずに熱交換を行えるように構成されている。
【0103】
第一領域、第三領域および第二領域は、
図11に示すように、積層方向において、この順に並んで隣接しており、具体的には、第一領域の最下層(4層目)に配置された第三流路13と第三領域の最上層(5層目)に配置された第一流路11とが隣接して配置され、第三領域の最下層(8層目)に配置された第二流路12と第二領域の最上層(9層目)に配置された第三流路13とが隣接して配置されている。
【0104】
<各流路の流れ方向の概要>
以下、車両用熱交換器1Bの各流路における流体の流れ方向について、
図12を参照しながら説明する。
【0105】
(第一流路)
1層目(第一流路11)の第一流入孔111から第一流路11に流入したEng冷却水は、3,5,7層目の第一流路11に分岐して流入する。続いて、Eng冷却水は、各層の第一流路11内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、1層目(第一流路11)の第一流出孔112から車両用熱交換器1Bの外部(エンジン)へと流出する。
【0106】
(第二流路)
12層目(第二流路12)の第二流入孔121から第二流路12に流入したEngオイルは、10,8,6層目の第二流路12に分岐して流入する。続いて、Engオイルは、各層の第二流路12内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、12層目(第二流路12)の第二流出孔122から車両用熱交換器1Bの外部(エンジン)へと流出する。
【0107】
(第三流路)
層間連通路133を介して11層目(第三流路13)の第三流入孔131から第三流路13に流入したT/Mオイルは、9層目の第三流路13に分岐して流入する。そして、T/Mオイルは、各層の第三流路13内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流する。続いて、T/Mオイルは、4,2層目の第三流路13に分岐して流入する。続いて、T/Mオイルは、各層の第三流路13内を、積層方向と直交する方向にそれぞれ流れた後に合流し、2層目(第三流路13)の第三流出孔132から、層間連通路133を介して車両用熱交換器1Bの外部(変速機)へと流出する。
【0108】
<各流路間の流れ方向の関係>
以下、車両用熱交換器1Bの各流路間における流体の流れ方向の関係について、
図13〜
図15を参照しながら説明する。
図13は、車両用熱交換器1Bにおいて、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第一領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。また、
図14は、車両用熱交換器1Bにおいて、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第三領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。また、
図15は、車両用熱交換器1Bにおいて、積層方向に沿って平面視したプレート10上に、第二領域の各流路の流入孔および流出孔の位置を投影して示したものである。
【0109】
(第一領域)
図13に示すように、車両用熱交換器1Bの各流路のうち、第一領域に含まれる第一流路11および第三流路13を構成するプレート10には、第一流路11におけるEng冷却水の流れ方向F11と、第三流路13におけるT/Mオイルの流れ方向F13とが、対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。なお、同図に示した各流入孔および各流出孔の位置は、前記した
図3と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0110】
車両用熱交換器1Bの各流路のうちの第一領域では、Eng冷却水の流れ方向F11の主線と、T/Mオイルの流れ方向F13の主線とが交差した状態となるため、Eng冷却水の流れ方向F11とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になる(例えば
図12の3,2層目参照)。従って、それぞれの流れ方向が並行流の関係である場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0111】
(第三領域)
図14に示すように、車両用熱交換器1Bの各流路のうち、第三領域に含まれる第一流路11および第二流路12を構成するプレート10には、第一流路11におけるEng冷却水の流れ方向F11と、第二流路12におけるEngオイルの流れ方向F12とが、対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。
【0112】
第一流入孔111、第一流出孔112、第二流入孔121および第二流出孔122は、
図14に示すように、プレート10において、第一流入孔111および第一流出孔112を結ぶ直線(Eng冷却水の流れ方向F11の主線)と、第二流入孔121および第二流出孔122を結ぶ直線(Engオイルの流れ方向F12の主線)とが、互いに交差するような位置にそれぞれ形成されている。
【0113】
より具体的には、第一流入孔111および第一流出孔112は、プレート10を平面視した場合の対向する二辺の幅中央の位置にそれぞれ形成されている。また、第二流入孔121および第二流出孔122は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。
【0114】
このように、車両用熱交換器1Bの各流路のうちの第三領域では、Eng冷却水の流れ方向F11の主線と、Engオイルの流れ方向F12の主線とが交差した状態となるため、Eng冷却水の流れ方向F11とEngオイルの流れ方向F12とが対向流の関係になる(例えば
図12の7,6層目参照)。従って、それぞれの流れ方向が並行流の関係である場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0115】
(第二領域)
図15に示すように、車両用熱交換器1Bの各流路のうち、第二領域に含まれる第二流路12および第三流路13を構成するプレート10には、第二流路12におけるEngオイルの流れ方向F12と、第三流路13におけるT/Mオイルの流れ方向F13とが、対向流の関係となるような位置に各流入孔および各流出孔が形成されている。
【0116】
第二流入孔121、第二流出孔122、第三流入孔131および第三流出孔132は、
図15に示すように、プレート10において、第二流入孔121および第二流出孔122を結ぶ直線(Engオイルの流れ方向F12の主線)と、第三流入孔131および第三流出孔132を結ぶ直線(T/Mオイルの流れ方向F13の主線)とが、交差するような位置にそれぞれ形成されている。
【0117】
より具体的には、第二流入孔121および第二流出孔122は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。また、第三流入孔131および第三流出孔132は、プレート10を平面視した場合の角部(丸角部)における対角の位置に形成されている。
【0118】
このように、車両用熱交換器1Bの各流路のうちの第二領域では、Engオイルの流れ方向F12の主線と、T/Mオイルの流れ方向F13の主線とが互いに交差した状態となることで、Engオイルの流れ方向F12とT/Mオイルの流れ方向F13とが対向流の関係になる(例えば
図12の10,11層目参照)。従って、それぞれの流れ方向が並行流の関係である場合よりも効率良く熱交換することが可能となる。
【0119】
以上のような構成を備える車両用熱交換器1Bによれば、積層方向において、第一流路11が第三流路13とのみ隣接する領域を有しているため、当該領域において、Engオイルの影響を受けることなく、T/MオイルとEng冷却水とを熱交換させることができる。従って、T/Mオイルの流量が、Engオイルの流量よりも少ないパワートレーンを有する車両に搭載される場合においても、T/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量を向上させ、T/Mオイルを十分に昇温または降温させることができる。
【0120】
また、本実施形態に係る車両用熱交換器1Bは、前記した第1,2実施形態と同様に、第一領域における第一流路11および第三流路13の繰り返し数を増減することにより、T/MオイルとEng冷却水との間の熱交換量の仕様変更を容易に行うことができるとともに、第一領域における第一流路11および第二流路12繰り返し数を増減することにより、EngオイルとEng冷却水との間の熱交換量の仕様変更を容易に行うことができる。
【0121】
以上、本発明に係る車両用熱交換器について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0122】
例えば前記した車両用熱交換器1は、
図1に示すように、全13層で構成され、第一領域が全5層、第二領域が全8層で構成されていたが、車両用熱交換器1の流路の積層数は、所望の熱交換量の仕様に応じて適宜変更可能である。すなわち、車両用熱交換器1における第一領域は、第一流路11、第三流路13および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。また、車両用熱交換器1における第二領域は、第二流路12、第三流路13、第二流路12、第一流路11および第二流路12の順に隣接する5層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。
【0123】
また前記した車両用熱交換器1Aは、
図7に示すように、全13層で構成され、第一領域が全5層、第二領域が全8層で構成されていたが、車両用熱交換器1Aの流路の積層数は、所望の熱交換量の仕様に応じて適宜変更可能である。すなわち、車両用熱交換器1Aにおける第一領域は、第一流路11、第二流路12および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。また、車両用熱交換器1Aにおける第二領域は、第三流路13、第二流路12、第三流路13、第一流路11および第三流路13の順に隣接する5層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。
【0124】
また前記した車両用熱交換器1Bは、
図11に示すように、全12層で構成され、第一領域、第二領域および第三領域がそれぞれ全4層で構成されていたが、車両用熱交換器1Bの流路の積層数は、所望の熱交換量の仕様に応じて適宜変更可能である。すなわち、車両用熱交換器1Bにおける第一領域は、第一流路11、第三流路13および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。また、車両用熱交換器1Bにおける第二領域は、第三流路13、第二流路12および第三流路13の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。また、車両用熱交換器1Bにおける第三領域は、第一流路11、第二流路12および第一流路11の順に隣接する3層の流路群を少なくとも一つ以上含んでいれば、積層数は特に限定されない。