特許第6483664号(P6483664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483664ボタン型電池の収納部、及び医療用電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483664
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ボタン型電池の収納部、及び医療用電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   H01M2/10 P
   H01M2/10 U
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-513670(P2016-513670)
(86)(22)【出願日】2015年3月10日
(86)【国際出願番号】JP2015056977
(87)【国際公開番号】WO2015159613
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-82890(P2014-82890)
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】平塚 貴子
(72)【発明者】
【氏名】井尻 朋応
(72)【発明者】
【氏名】小澤 仁
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和樹
(72)【発明者】
【氏名】大川 純子
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−329489(JP,A)
【文献】 特開平6−176747(JP,A)
【文献】 特開2001−250523(JP,A)
【文献】 特開平11−185721(JP,A)
【文献】 実開平7−34553(JP,U)
【文献】 実開平5−87811(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン型電池を収容するための電池収容部と、
前記電池収容部を開閉可能に閉じることができる蓋部材と
を備え、
前記蓋部材は、前記閉じた状態における前記電池収容部と対面する内面に、前記ボタン型電池が着脱可能となっており、
前記蓋部材の前記内面には、
前記ボタン型電池の装着領域に隣接し、前記装着領域の直径方向における正反対の領域の夫々に立設することで、前記ボタン型電池を案内する2箇所のガイド部と、
前記2箇所のガイド部の夫々と一体的に形成され、前記ボタン型電池を上から押えるようにして係止する爪部と、
前記装着領域の周辺であって、前記ボタン型電池をスライドする方向に、少なくとも前記ボタン型電池の厚みよりも低い突起部と
が形成され、
前記突起部は、前記装着領域側に、前記装着領域から離れるに従って徐々に高さを増すようにされた傾斜面が形成されている
ことを特徴とするボタン型電池の収納部。
【請求項2】
前記電池収容部は、前記ボタン型電池の主面に配置された電極と接触する接続端子部を有しており、
前記ボタン型電池の前記主面を前記蓋部材の内面に向けた場合、前記ボタン型電池は前記爪部に当たって装着できないようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載のボタン型電池の収納部。
【請求項3】
ボタン型電池を電源とする医療用電子機器であって、
前記ボタン型電池を収容するための電池収容部と、
前記電池収容部を開閉可能に閉じることができる蓋部材と
を備え、
前記蓋部材は、前記閉じた状態における前記電池収容部と対面する内面に、前記ボタン型電池が着脱可能となっており、
前記蓋部材の前記内面には、
前記ボタン型電池の装着領域に隣接し、前記装着領域の直径方向における正反対の領域の夫々に立設することで、前記ボタン型電池を案内する2箇所のガイド部と、
前記2箇所のガイド部の夫々と一体的に形成され、前記ボタン型電池を上から押えるようにして係止する爪部と、
前記装着領域の周辺であって、前記ボタン型電池をスライドする方向に、少なくとも前記ボタン型電池の厚みよりも低い突起部と
が形成され、
前記突起部は、前記装着領域側に、前記装着領域から離れるに従って徐々に高さを増すようにされた傾斜面が形成されている
ことを特徴とする医療用電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン型電池の収納部、及びこれを備えた医療用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
小型で軽量なボタン型電池は様々な電子機器に利用されており、その一例として医療用電子機器でも数多く利用されている。
例えば、体温を計測する電子体温計では、体温を演算したり表示したりするための電源として、ボタン型電池が用いられている(特許文献1参照)。また、患者が自宅等で体温等の生体情報を電子体温計等の機器で計測した後、かかる計測データを読み取ることができる生体情報収集装置が提案されており(特許文献2参照)、このような生体情報収集装置にも、例えば病院等に持参等することから、小型・薄型化が図られており、その電源としてボタン型電池が用いられている。
【0003】
このようなボタン型電池については、その電源容量の少なさから交換するのが一般であり、このため、電池は着脱できる構造になっている。例えば、特許文献1の場合、その図5及び図6に示されるように、ボタン型電池が着脱可能に収容される凹状部SPと、この凹状部SPの開口部を覆う蓋部材24とを有している。凹状部SPは、ボタン型電池の外周面に隣接して配置された壁面部30Rを有し、ボタン型電池の脱落を防止している。そして、ボタン型電池を交換する際は、蓋部材24を取り外して、凹状部SPに収容されたボタン型電池を取り出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−65424号公報
【特許文献2】特許3759784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の凹状部SPと蓋部材24とからなるボタン型電池の収納部では、ボタン型電池が凹状部に深く収容されているので、ボタン型電池を取り外すことが難しく、その交換作業が容易ではない。特許文献1では、ボタン型電池を囲む壁面部30Rに切り欠きがあり、そこから爪楊枝等の先の細い器具を挿入して、一般的な着脱構造と比べればボタン型電池を取り外し易くしているが、それでも取り外しが簡単であるとまでは言えず、特に、高齢者や看者が取扱う医療用電子機器については尚更である。
そこで、本発明は、ボタン型電池の交換作業を簡単に行うことができる電池の収納部および医療用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、ボタン型電池を収容するための電池収容部と、前記電池収容部を開閉可能に閉じることができる蓋部材とを備え、前記蓋部材は、前記閉じた状態における前記電池収容部と対面する内面に、前記ボタン型電池が着脱可能となっており、前記蓋部材の前記内面には、前記ボタン型電池の装着領域に隣接し、前記装着領域の直径方向における正反対の領域の夫々に立設することで、前記ボタン型電池を案内する2箇所のガイド部と、前記2箇所のガイド部の夫々と一体的に形成され、前記ボタン型電池を上から押えるようにして係止する爪部と、前記装着領域の周辺であって、前記ボタン型電池をスライドする方向に、少なくとも前記ボタン型電池の厚みよりも低い突起部とが形成され、前記突起部は、前記装着領域側に、前記装着領域から離れるに従って徐々に高さを増すようにされた傾斜面が形成されていることを特徴とするボタン型電池の収納部により解決される。
【0007】
上記構成によれば、ボタン型電池を収容するための電池収容部と、電池収容部を開閉可能に閉じることができる蓋部材とを備え、この蓋部材は、閉じた状態における電池収容部と対面する内面に、ボタン型電池が着脱可能とされている。そうすると、ボタン型電池を蓋部材に装着しておけば、電池収容部に対する蓋部材の開閉に伴って、ボタン型電池を電池収容部から着脱できる。従って、電池収容部がボタン型電池を収容する深い凹状であっても、その凹状部から簡単にボタン型電池を取り出せる。
ここで、蓋部材の内面には、ボタン型電池の装着領域に隣接し、装着領域の直径方向における正反対の領域の夫々に立設する2箇所のガイド部を有する。従って、ボタン型電池を蓋部材に装着する際、例えば、2個所のガイド部どうしを結ぶ仮想線と略直交する一方向にボタン型電池をスライドするように押せば、ガイド部で案内されながら2箇所のガイド部どうしの間、即ち、ボタン型電池の適正な装着領域に容易に配置される。
そして、2箇所のガイド部どうしの間にボタン型電池を配置すれば、2箇所のガイド部と一体的に形成された2箇所の爪部により、ボタン型電池を上から押さえて蓋部材に固定することができる。
また、ボタン型電池を蓋部材から取り外すには、ボタン型電池を上記一方向にスライドするように押せばよく、ボタン型電池を押してスライドさせ続ければ、ボタン型電池は上から押えられていた爪部の位置から離れるので、当該爪部による係止状態が解除されて、蓋部材から取り外すことができる。
なお、上記「上から押えて」とは、ボタン型電池の蓋部材からの離脱を防止する趣旨であり、当該離脱さえなければ、ボタン電池を蓋部材の内面に押し付けなくてもよい。また、上記「2箇所のガイド部」とは、ボタン型電池の直径方向の正反対の夫々の領域にガイド部が形成されていることを意味するものであり、各個所に複数のガイド部が形成されることを除外するものではない。
【0008】
さらに、蓋部材の内面は、ボタン型電池の装着領域の周辺であって、スライドする方向に、少なくともボタン型電池の厚みよりも低い突起部を有する。このため、ボタン型電池を蓋部材から取り外す際、上述のようにガイド部で案内されながらボタン型電池を指で押してスライドさせると、ボタン型電池は背の低い突起部に当たって、片側が持ち上げられながらスライドする。従って、例えば蓋部材が小さくて、その縁部に壁部やリブ等があったとしても、それらを乗り越えてボタン型電池を蓋部材から取り外すことができる。
【0009】
しかも、前記突起部は、前記装着領域側に、前記装着領域から離れるに従って徐々に高さを増すようにされた傾斜面が形成されている。
従って、ボタン型電池を取り外す際、装着領域にあるボタン型電池を突起部に向けて押してスライドさせると、ボタン型電池は、突起部の傾斜面に案内されながら容易に持ち上げることができるので、より容易にボタン型電池の交換作業を行うことができる。
【0010】
また、好ましくは、前記電池収容部は、前記ボタン型電池の主面に配置された電極と接触する接続端子部を有しており、前記ボタン型電池の前記主面を前記蓋部材の内面に向けた場合、前記ボタン型電池は前記爪部に当たって装着できないようになっていることを特徴とする。
従って、ボタン型電池の表にして装着すべき電極面を、誤って蓋部材の内面に向けた場合、ボタン型電池を蓋部材に取り付けることができず、誤った装着を防止できる。
【0011】
また、上記課題は、ボタン型電池を電源とする医療用電子機器であって、前記ボタン型電池を収容するための電池収容部と、前記電池収容部を開閉可能に閉じることができる蓋部材とを備え、前記蓋部材は、前記閉じた状態における前記電池収容部と対面する内面に、前記ボタン型電池が着脱可能となっており、前記蓋部材の前記内面には、前記ボタン型電池の装着領域に隣接し、前記装着領域の直径方向における正反対の領域の夫々に立設することで、前記ボタン型電池を一方向にスライド可能なように案内する2箇所のガイド部と、前記2箇所のガイド部の夫々と一体的に形成され、前記ボタン型電池を上から押えるようにして係止する爪部と、前記装着領域の周辺であって、前記スライドする方向に、少なくとも前記ボタン型電池の厚みよりも低い突起部とが形成されている医療用電子機器により解決される。
従って、高齢者や看者等の非力な者が使用者になり易く、電池交換の頻度が比較的に多いボタン型電池を利用した医療用電子機器であっても、既述したボタン型電池の着脱構造を利用することにより、ボタン型電池を容易に交換できる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明によれば、ボタン型電池の交換作業を容易に行うことができる電池の収納部および医療用電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好ましい実施形態の医療用電子機器を含むシステムの例として、生体情報管理システムを示す概略図。
図2図1のデータカードの主な構成例を示す概略ブロック図。
図3図1に示すデータカードの好ましい形状例を示す表面図。
図4図1に示すデータカードの好ましい形状例を示す裏面図。
図5図4に示す蓋部材の内面側を示す平面図。
図6】蓋部材の内面側を示す斜視図。
図7図4に示す容器型の裏面部材から蓋部材を取って露出させた電池収容部の平面図。
図8図7の電池収容部の斜視図。
図9】蓋部材の取付け部が筐体の装着部に挿入されて、蓋部材が固定される様子を示す図。
図10】蓋部材においてボタン型電池を装着する操作と、ボタン型電池を取り外す操作を示す図。
図11】蓋部材に対して、ボタン型電池を表裏逆向きに取り付けようとする場合の例を示す図。
図12】本実施形態の変形例であって、図6に対応した蓋部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0015】
図1は、本発明の好ましい実施形態の医療用電子機器を含むシステムの例として、生体情報管理システム1を示す概略図である。
図1の生体情報管理システム1は、計測した体温・血圧・血糖値などの生体情報をデータカード10に入力して管理をするといったシステムである。
この生体情報管理システム1では、生体情報計測装置として、利用者(被検者)の体温を計測する電子体温計50、血圧を計測する電子血圧計3、血糖値を計測する血糖計4、及び体脂肪・筋肉量・骨量などの人間の体の組成を計測する体組成計5を有している。これら電子体温計50、電子血圧計3、血糖計4等は、利用者(被検者)の自宅6や病院内で、利用者(被検者)または看護師等の士医療従事者が自宅6や病院内で体温等の生体情報の計測に用いられる電子医療用機器の一例である。
データカード10も利用者(被検者)または医療従事者が自宅6や病院内で用いる医療用電子機器であり、具体的には、扁平なカード状とされ、利用者(被検者)または医療従事者がポケット等に収容して容易に携帯できる大きさとされている。
【0016】
図1に示すように、生体情報管理装置であるデータカード10と、電子体温計50等の生体情報計測装置は、それぞれ近距離無線通信装置TMを内蔵しており、データカード10及び電子体温計50等が相互に近接して配置されると、電磁誘導等によるデータ通信が可能な構成となっている。したがって、利用者(被検者)が例えば、電子体温計50を用いて体温を測定した後、利用者(被検者)自身または医療従事者はデータカード10を電子体温計50に近接させると、医療データのデータ通信が開始され、電子体温計50が記憶している体温情報がデータカード10へ送信される構成となっている。
【0017】
図1に示すように、生体情報管理システム1は、自宅や調剤薬局または病院7に配置される医療従事者用の端末装置(パーソナルコンピュータ)80を有している。この端末装置80は、病院内にある場合は院内LAN等で病院サーバSV等に接続され、患者(被検者)の自宅にある場合は、インターネット等で病院サーバSV等に接続され、患者(被検者)のデータ等を参照可能な構成となっている。
また、端末装置80は、図1に示すように、端末用リードライタ装置81を有している。このため、利用者(被検者)が病院に行く時に上述したデータカード10を持参し、端末用リードライタ装置81に近づけることで、データカード10内に記憶された体温等の生体情報を、端末装置80を介して、病院サーバSVに入力等することができると共に、端末装置80のディスプレイ82に、当該生体情報を表示させることができる。
【0018】
図1に示すデータカード10は、データカード10が通信を開始する際に近距離無線通信を行うため、例えば12.56MHzの電磁波等を発振する「ボタンスイッチ11」を有する他、「OK」を示す緑色のLEDランプ12aおよび「NG」を示す赤色のLEDランプ12bを有している。
図1に示す端末装置80、病院サーバSV、データカード10、電子体温計50、電子血圧計3、血糖計4、及び体組成計5は、それぞれ、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memo
ry)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらはバスを介して接続されている。
【0019】
図2は、図1のデータカード10の主な構成を示す概略ブロック図である。
図2に示すように、データカード10は、計時部13aを有するマイコン13を有している。このマイコン13は、ボタン型電池BAを電源として、上述の「OK」ランプ12aや「NG」ランプ12bを含む「カードディスプレイ(LED)12」、「ボタンスイッチ11」を制御する他、「電源スイッチ15」や電子体温計・端末用リードライト装置等と近距離無線通信を行うための「データカード用リードライタ装置16」を制御する構成である。
さらに、マイコン13は、不揮発性メモリ17を制御し、データカード10の判断・制御を行う。不揮発性メモリ17には、各種医療情報や利用者(被検者)に関する情報(例えば体温情報)等の情報が記憶できる。
【0020】
図3は、図1に示すデータカード10の好ましい形状例を示す表面図であり、図4は、このデータカード10を示す裏面図である。
図3図4に示すデータカード10の筐体20は、扁平で長方形状のプラスチック製の部材である。筐体20は、ほぼ長方形状で板状の表面部材21と、ほぼ長方形状ではあるが深さを有する容器型の裏面部材22と、蓋部材30を有していて、幅55mm,長さ85mm,厚みが6mm,重さが25g程度である。表面部材21の四隅の角部21Aは、ほぼ1/4円周形状に形成されている。
【0021】
上述した「OK」を示す緑色のLEDランプ12aおよび「NG」を示す赤色のLEDランプ12bと、ボタンスイッチ11が、表面部材21に配置されている。例えば、「OK」を示す緑色のLEDランプ12aは、医療データの通信が正常に行われた際に点灯または点滅し、「NG」を示す赤色のLEDランプ12bは、医療データの通信が正常に行われなかった際に点灯または点滅する。
【0022】
図3図4に示すように、薄型で容器型の裏面部材22はほぼ長方形の裏面部23と、4つの側面部24,25,26,27を有している。側面部24,25,26,27の4つの角部22Aは、表面部材21の四隅の角部21Aの形状に合わせて、ほぼ1/4円周形状に形成されている。図3に示すように、表面部材21は、裏面部材22の側面部24,25,26,27の内側に嵌合して固定されることで、表面部材21と裏面部材22は一体化されている。
【0023】
図4に示すように、裏面部材22の右下部分(角部)には、切欠き部分90(図8参照)が設けられている。この切欠き部分90を塞ぐようにして、蓋部材30が着脱可能に取り付けられている。この蓋部材30は、開く方向Dに沿って指Fで押してスライドすることで、筐体20から取り外すことができる。この切欠き部分90の端面は、直線部分91,92と、ほぼ1/4円周部分93を有している。
蓋部材30は、全体的にほぼ板状の部材であり、切欠き部分90の切欠き端面の形状に合わせて直線部分31,32と、ほぼ1/4円周部分33と、直線状の外側部分34,35と、ほぼ1/4円周部分36を有している。
【0024】
図5図4に示す蓋部材30の内面側を示す平面図、図6図4の蓋部材30の内面側を示す斜視図である。なお、図5ではボタン型電池BAが搭載されておらず、図6ではボタン型電池BAが搭載されている様子を示している。また、図5の一点鎖線で囲った図は、後述する突出部41の拡大斜視図、図5の二点鎖線で囲った図は、図5のA―A線断面図である。また、ここにいう「内面」とは、図4に示す蓋部材30が表されている外面と反対側の面であり、蓋部材30で図8の電池収容部101を閉じた状態における電池収容部101と対面する面である。
【0025】
ここで、蓋部材30の構造を説明する前に、図6に示すボタン型電池BAの構造例を簡単に説明すると、ボタン型電池BAはコイン型電池ともいい、多くは一次電池であり、例えばリチウム電池やアルカリマンガン電池等である。ボタン型電池BAは、全体が薄い円柱状であり、プラス電極29Aとマイナス電極29Bと絶縁体29Cを有する。プラス電極29Aは、蓋部材30の内面38と対面して配置される円形状の底面29Dと、この底面29Dと電気的につながった外周側面29Eを有する。このようなボタン型電池BAは、図6のように主面に配置されたマイナス電極29Bを上向きにした場合、略絶縁体29Cの位置に段部(図の場合は上向きの段部)29Fを有している。
なお、種類としては、大きさ(直径)や厚さの違いにより、CR1620,CR2016,CR2025,CR2032,CR2354,CR2453,CR3032等がある。ここで、上2桁の数字は直径(mm),下2桁の数字は厚さを示している。例えば、CR1620は、直径16mm,厚さ2.0mm、CR2032は、直径20mm,厚さ3.2mmである。本願明細書では、CR2032を例として説明する。
【0026】
図5図6に示すように、蓋部材30は、後述する筐体側の電池収容部101(図8参照)を閉じた際に固定するための取付け部60を有している。取付け部60は、図6においては下側に向いたほぼ断面L字型の爪61を有しており、この爪61は弾性変形をし、図8の容器型の裏面部材22の装着部70に挿入されて係合可能とされている。これにより、図4に示すように、蓋部材30は、容器型の裏面部材22の切欠き部90を塞ぐようにして、筐体20に対して着脱可能に取り付けられる。
また、図5図6に示すように、蓋部材30は平板部分37を有しており、平板部分37の縁部には、直線状の壁部34,35と、略1/4円周状の壁部36が、ボタン型電池BAを取り付ける側に立っている。これら壁部34,35,36は、平板部分37の剛性を高めると共に、図4に示すように切欠き部90を塞いだ状態で、筐体20(裏面部材22)の側面部25,27と角部22Aの一部を構成するようになっている。
また、図6の取付け部60は、後述する突出部40,41どうしを結ぶ仮想線の延長線上であって、突出部40に近接して配置され、そして、取付け部60と突出部40との間の部分37aにおける板厚D1は、平板部分37の他の部分に比べて薄く形成されている。これにより、取付け部60の変形により生じる応力が突出部40に与える影響を少なくして、蓋部材30を筐体20に着脱する際に、ボタン型電池BAが蓋部材30から外れてしまうことを防止している。
【0027】
図5図6の平板部分37の内面38には、円形状の位置決め用の凹部39が形成されている。この位置決め用の凹部39は、ボタン型電池BAの装着領域(装着すべき適正な領域)であり、当該装着領域に対応した平面形状を有している。(図の場合、凹部39の直径は、ボタン型電池BAの円形状の底面29Dの直径とほぼ同じである)。そして、このボタン型電池BAの装着領域である凹部39にボタン型電池BAを載置すると、プラス電極29Aの円形状の底面29Dと外周側面29Eの一部が浅くはめ込まれて、ボタン型電池BAは、マイナス電極29Bを上にして位置決めされる。
この凹部39はごく浅い深さとされ、図の場合は0.2〜0.5mm程度で1mmにも満たない深さであるが、後述する爪部40B,41Bと共同して、ボタン型電池BAを蓋部材30に位置決め規制される(円周方向には回動自在であり、上下方向は、爪部40B,41B,凹部39で規制される)。
【0028】
そして、平板部分37の内面38には、内面38を上向きにしてボタン型電池BAをその上に装着した状態で、上側に向かって突出する2つの突出部40,41が、例えば、弾性熱可塑性樹脂であるスチレン系樹脂(ハイインパクトスチロール,ABS樹脂等)で形成されて所要の弾性力を備えている。添加物として、銀ゼオライト,銀シリカゲル,リン酸ジルコニウム銀化合物等の銀化合物を1.5重量%程度添加することで抗菌性を備えることができる。
対向するこの突出部40,41は、ボタン型電池BAを蓋部材30に位置決め規制する機能(円周方向には回動自在)、及びボタン型電池BAを着脱する際の案内となるガイド機能を発揮させるためのものであり、ガイド部40A,41Aと爪部40B,41Bを有している。
爪部40B,41Bは、ボタン型電池BAを蓋部材30に縦方向に位置決め規制するもので、径方向に0.5〜1.0mm程度の高さであり、いずれか1つでも機能する。
【0029】
ガイド部40A,41Aは、位置決め用の凹部(装着領域)39の円周に沿って隣接しており、ボタン型電池BAを装着した状態では、ボタン型電池BAの外周側面29Eに隣接し、ボタン型電池BAの直径方向DLにおける正反対(180度反対側)の領域S1,S2の夫々に、略垂直に立ち上がるように立設して、2個所とされている。すなわち、ガイド部40A,41Aは、その間にボタン型電池BAを介在させて、ボタン型電池BAの直径方向DLに沿って、互いに対向するように配置されている。
これにより、ボタン型電池は、ガイド部40Aとガイド部41Aとを結ぶ仮想線(直径方向DLの線)と略直交するスライド方向SLにのみ通すことが可能となる。従って、使用者は、ボタン型電池BAを蓋部材30に装着する際は、ガイド部40Aとガイド部41Aの間にボタン型電池BAをスライドさせるように押して、ガイド部40A,41Aに案内されながら、位置決め用の凹部39にボタン型電池BAを配置できる。また、ボタン型電池BAを蓋部材30から取り外す際は、同様にボタン型電池BAをスライド方向SLにスライドさせるように親指等で300〜500gf程度の力で押して、容易に取り外すことができる。
【0030】
本実施形態のガイド部40A,41Aは、互いに対向する面18(図5の一点鎖線で囲った図参照)が、図6に示すように、ボタン型電池BAの外周側面29Eの一部分に当接して挟持するようにもなっている。
図5図6に示すガイド部40A,41Aは、ボタン型電池BAの外周側面29Eの円周方向に沿った所要の幅W(好ましくは円周方向の1/13程度)を有し、互いに対向する面18がボタン型電池BAの外周側面29Eに対応して湾曲することで、挟持度合を高めている。このように、ガイド部40A,41Aは所要の幅Wを有していても、互いを結ぶ仮想線の方向(図の方向DL)に所要の弾性力を有しているため弾性変形する。このようにして、ガイド部40A,41Aはボタン型電池BAを挟持すると共に、スライド方向SLに向けてボタン型電池BAをスライドさせることができる。
【0031】
爪部40B,41Bは、上述のように主に固定機能を発揮させるための部分であり、2箇所のガイド部40A,41Aの夫々と一体的に形成され、ボタン型電池BAの直径方向DLの正反対の夫々の領域S1,S2に配置されている。そして、図6に示すように、爪部40B,41Bはボタン型電池BAを上から押えるようにして係止している。なお、この「上から押える」とは、爪部40B,41Bでボタン型電池BAを内面38に強く押さえ付けることを意味するものではなく、ボタン電池BAが蓋部材30から離脱するような内面38からの浮きを防止する趣旨である。
図の場合、爪部40B,41Bは、ガイド部40A,41Aの夫々の上端部から、互いに向かい合うように内側に向けて略水平に突出して形成されている。そして、爪部40B,41Bは、ボタン型電池BAの外周側面29Eの上縁部分、即ち、段部29Fに掛かるようになっている。これにより、本実施形態では、位置決め用の凹部39からボタン型電池BAが飛び出る事態を防止している。この際、爪部40B,41Bでボタン型電池BAを押えている状態では、ボタン型電池BAが当該凹部39から出ない範囲内で、蓋部材30の内面38から若干浮いても構わない。
なお、この2個所の爪部40B,41Bの互いに対向する面19(図5の一点鎖線で囲った図参照)はボタン型電池BAのリング状の絶縁体29Cに略対応して湾曲している。
【0032】
また、図5図6に示すように、前記蓋部材30の内面38の平板部分37上には、位置決め用の凹部(ボタン型電池BAの適正な装着領域)39の周辺であって、スライドする方向SLの片側に突起部42が形成されている。
突起部42は、ボタン型電池BAを取り外す際に、スライドさせたボタン型電池BAを持ち上げるリフトアップ機能を有し、ボタン型電池BAに突き当たってボタン型電池BAのスライドを完全に防止しないように、少なくともボタン型電池BAの厚みよりも低い高さHとされている。
また、突起部42は、装着したボタン型電池BAの外周側面29Eに隣接して配置するのが好ましく、これにより、ボタン型電池BAを故意に押すような外力が加わらない限り、ボタン型電池BAが装着領域を越えてスライド方向SLにスライドしてしまう事態も防止するストッパの機能を発揮できる。
このようなリフトアップ機能とストッパの機能を満たすため、突起部42の高さHは1〜2mm程度(即ち、使用されているボタン型電池BAの厚さの1/3〜1/2程度)、幅W2は1〜2mm程度とされるのが好ましい。即ち、突起部42の高さHは、2mmを超えるとボタン型電池BAを位置決め用の凹部39から外す時にリフトアップ機能の阻害となり、1mmより小さいとボタン型電池BAを装着するときに、スライド方向SLのストッパとしての機能が低下する。
また、幅W2は、2mmを超えるとボタン型電池BAを位置決め用の凹部39から外す時にリフトアップ機能の阻害となり、1mmより小さいとボタン型電池BAを装着するときに、スライド方向SLのストッパとしての機能が低下する。
なお、本実施形態の突起部42は、図5の二点鎖線で囲った図に示すように、位置決め用の凹部39の円周に沿って、当該凹部39の内周側面39aから連続して立ち上がるように形成されている。
【0033】
この突起部42は傾斜案内部43と平坦な頂部44を有している。
傾斜案内部43は、装着したボタン型電池BA側(位置決め用の凹部39側)に、ボタン型電池BAから離れるに従って徐々に高さを増すようにされた傾斜面であり、具体的には、ボタン型電池BAを取り外す際に突起部42に向かうSL方向に親指等でスライドさせた場合、蓋部材30の縁部の壁部34を乗り越えられる傾斜角度θとして、40度〜50度、好ましくは45度とするのがよく、これにより、ボタン型電池BAを突起部42に向かうSL方向に押すだけで、容易に取り外せる。この傾斜角度θは50度を超えると、ボタン型電池BAを位置決め用の凹部39から外す時に、容易なリフトアップ機能の邪魔となり、40度より小さいとボタン型電池BAを装着するときに、スライド方向SLのストッパとしての機能が低下する。
本実施形態の突起部42は、ボタン型電池BAを基準にしてスライド方向SLの片側にのみ形成されているが、本発明はこの形態に限られるものではなく、スライド方向SLのもう一方の片側S3にも突起部を設けてもよい。この際のS3側に設ける突起部は、突起部42と同様に装着領域側に傾斜面を有するように略同じ形状とするのが好ましい。これにより、互いに対向する突起部同士でボタン型電池BAを挟んで固定度合いを高められ、さらに傾斜面にガイドされながらボタン型電池BAを容易に装着することもできる。
【0034】
図7図4に示す容器型の裏面部材22の裏面部23から蓋部材30を取って、電池収容部101を露出させた平面図であり、図8はその電池収容部101の斜視図である。
図7図8に示すように、電池収容部101は、上述したボタン型電池を着脱可能に収容して、ボタン型電池と電気的に接続するようになっている。この電池収容部101と、図5及び図6で説明したボタン型電池BAを着脱可能に保持する蓋部材30とで、電池の収納部100(図4参照)が構成される。
【0035】
図7図8に示す電池収容部101は、電池収容空間部102と、マイナス接続端子部111と、プラス接続端子部112と、装着部70を有している。
電池収容空間部102は、図6に示す蓋部材30に取り付けられたボタン型電池BAを収容するための凹状の空間である。この電池収容空間部102は、縁部分120,121,122,123と、底面部125により形成されている。縁部分120には、プラス接続端子部112が固定されている。底面部125には、マイナス接続端子部111が固定されている。
【0036】
図7図8に示すマイナス接続端子部111は、図6に示すボタン型電池BAの主面に配置されたマイナス電極29Bと接触する接続端子である。マイナス接続端子部111は、リング状部分111Aと、接続端子部111Bと、導出部分111Cを有している。導出部分111Cは、図示しない電子回路に接続されている。
リング状部分111Aは、導出部分111Cに連続しており、リング状部分111Aの内側には、複数本の接続端子部111Bが半径方向に沿って設けられている。各接続端子部111Bの先端部側が、図7の図面上方向(N方向)に向けて立ち上げてある。これにより、電池収容空間部102内にボタン型電池BAを収容すると、複数本の接続端子部111Bの先端部は、図6に示すボタン型電池BAのマイナス電極29Bにより押されて弾性変形することで、マイナス電極29Bに対して確実に接触させることができる。
【0037】
また、電池収容空間部102内にボタン型電池BAを収容すると、プラス接続端子部112は、図6に示すボタン型電池BAの外周側面29Eに押し付けられて弾性変形することにより、電気的に接続される。プラス接続端子部112は、中央部分112Aと、中央部分112Aから左右に伸びた左右の接続端子部112B,112Bを有している。これにより、左右の接続端子部112Bの先端部は、図6に示すボタン型電池BAのプラス電極29Aの外周側面29Eにより押されて弾性変形することで、プラス電極29Aに対して確実に接触させることができる。
【0038】
このような電池収容部101は、図6のボタン型電池BAを保持した状態の蓋部材30を図7及び図8のスライド方向RRに滑らせて閉じることができ、電池収容部101を蓋部材30で閉じると、蓋部材30に保持されたボタン型電池BAが各端子部111,112に接触すると共に、電池収容空間部102は封止される。
具体的には、図6に示す蓋部材30の取付け部60を、図8に示す装着部70に挿入すると、これら取付け部60と装着部70とが嵌合される。
また、図6に示すように、蓋部材30の互いに直交する方向に沿って配置された縁部の壁部34及び壁部35には、夫々、水平方向の内側に向かって突出した係合凸部75を有している。この2つの係合凸部75は、取付け部60を図8の装着部70に挿入すると、図8に示す電池収容部101の開口端面から水平方向の外側に向かって突出した2つの凸部77の下側に形成された係合凹部76に入り込んで、嵌合するようになっている。
このようにして、図6の蓋部材30は、図8の電池収容空間部102を覆って閉じると共に、図4に示すように筐体20に固定される。
なお、図5に示すように、蓋部材30の2つの係合凸部75,75及び取付け部60は、これらを結ぶ仮想線が略正三角形となるように配置されている。係合凸部75の長さL1は、壁部34,35の長さL2の約1/3以上とするのが好ましく、これにより、図8の同様の長さを有する係合凹部76との嵌合面積を高めている。これに対し、嵌合のし易さを考慮して、係合凸部75の突出幅W1は1mm未満とあまり突出しないのが好ましい。
【0039】
図9(A)から図9(C)は、蓋部材30の取付け部60が、図8に示す装着部70に挿入されて、蓋部材30が固定される様子を示している。
図9(A)に示すように、蓋部材30の平板部分37には、既にボタン型電池BAが位置決めして固定されている。
図9(B)に示すように、装着部70は、断面矩形状の凸部71と断面矩形状の凹部72を有している。図9(B)に示す蓋部材30は、図9(A)に示す状態から表裏面を逆にして、そして取付け部60は、矢印Mで示すように、凸部71側にスライドしてはめ込む。これにより、図9(C)に示すように、取付け部60の爪61は、凹部72に嵌り込むので、蓋部材30を装着部70に対して固定することができる。この際、取付け部60と突出部40との間の部分37aは他の平板部分37よりも薄く、取付け部60が弾性変形しても突出部40が極力変形しないようにし、これにより、ボタン型電池BAの脱落を防止できる。なお、取付け部60を装着部70に挿入すると、図6の係合凸部75が図8の凸部77を乗り越えて、係合凹部76と嵌合されるようになっている。
また、ボタン型電池BAを交換する場合には、図9(C)に示すように蓋部材30を矢印P方向に押しながら、開く方向Dに沿って指で押してスライドすることで、ボタン型電池BAが保持された状態の蓋部材30を取り外すことができる。
【0040】
次に、主に図9図10を参照して、蓋部材30にボタン型電池BAを装着する操作と、ボタン型電池BAを取り外す操作について説明する。
本実施形態において、ボタン型電池BAを装着する方法は複数ある。図10(A)では、利用者(被検者)は、ボタン型電池BAの円形状のプラス電極29A側を内面38に向けて載せた状態で、指Fでボタン型電池BAを押してSL方向にスライドさせ、ボタン型電池BAを突出部40と突出部41との間に載置している。この際、図10(A)に示すように、突起部42が存在しない方(図5のS3の方)からボタン型電池BAを挿入してもよいが、突起部42が存在する方からボタン型電池BAを挿入してもよい。突起部42が存在しない方からボタン型電池BAを挿入する場合、ボタン型電池BAを力強く挿入してしまっても、ボタン型電池BAの外周側面29Eの一部分が突起部42に突き当たり、ボタン型電池BAを挿入し過ぎて、突出部40と突出部41との間にボタン型電池BAを配置できないような事態を有効に防止できる。
また、突起部42が存在する方からボタン型電池BAを挿入する場合、50〜100gf程度の極めて小さい力で押してスライドさせ、突起部42の傾斜面43がガイドになって、突出部40と突出部41との間にボタン型電池BAを容易に装着できる。
なお、本発明は、ボタン型電池BAをSL方向にスライドさせて、突出部40と突出部41との間に載置させる方法に限られるものではなく、相当の弾性変形が可能な突出部40,41の上からボタン型電池BAを押し込むように装着してもよい。
【0041】
そして、突出部40と突出部41との間にボタン型電池BAを配置すれば、図10(B)と図6に示すように、ボタン型電池BAの円形状のプラス電極29Aと外周側面29Eの一部を、蓋部材30の極浅い位置決め用の凹部39に嵌め込んで位置決めすることでき、この凹部39でボタン型電池BAの主面方向の動きを規制しつつ、爪部40B,41Bで凹部39からボタン型電池BAが出ないようにし、さらに、ガイド部40A,41Aでボタン型電池BAの直径方向DLの動きを規制することができる。
【0042】
このようにしてボタン型電池BAが内面38側に固定された蓋部材30は、図9(B)に示すように、図9(A)に示す状態から表裏面を逆にする。そして取付け部60は、矢印Mで示すように、凸部71側にスライドする。これにより、図9(C)に示すように、取付け部60の爪61は、凹部72に嵌り込むので、蓋部材30は、装着部70に対して固定することができる。
この状態では、図8に示す複数本の接続端子部111Bを、図6に示すボタン型電池BAの主面に配置されたマイナス電極29Bに対して接触させることができる。また、接続端子部112Bを、図6に示すボタン型電池BAのプラス電極29Aの外周側面29Eに対して接触させることができる。
【0043】
ところで、利用者(被検者)が蓋部材30に対して、ボタン型電池BAを表裏逆向きに取り付けようとしている図11に示すように、本実施形態では、ボタン型電池BAの主面(マイナス電極29B)を内面38に向けた場合、ボタン型電池は爪部40B,41Bに当たって装着できないようになっている。
即ち、ボタン型電池BAを保持するための爪部40B,41Bは、ボタン型電池BAの段部29Fと係止し、図11に示すように、利用者(被検者)が、蓋部材30に対して、当該段部29Fを下向きにしてHR方向に挿入しようとすると、ボタン型電池BAの外周側面29Eの特に角部分20Gが、爪部40B,41Bに突き当たるようになっている。 このように、爪部40B,41Bは表裏逆のボタン型電池BAが装着されて保持される
のを阻止する電池逆装着阻止部となっている。従って、利用者(被検者)が、蓋部材30に、表裏逆向きになったボタン型電池BAを誤って取り付けることを防止でき、ボタン型電池BAのプラス極とマイナス極の逆接続を防止することができる。
【0044】
次に、ボタン型電池BAを交換する場合には、図9(C)に示すように、蓋部材30を矢印P方向に押しながら、開く方向Dに沿って指Fで押してスライドすることで、取り外す。そして、図10(B)から図10(C)に示すように、利用者(被検者)は、ボタン型電池BAを指Fで凹部(装着領域)39に対してほぼ水平方向の一方向SLに押す。これにより、ボタン型電池BAの外周側面29Eの角部分20Gは、その円周方向反対側の角部分20GAを支点にして、突起部42の傾斜面43がガイドとなることで、傾斜面43に沿って摺動しながら持ち上げられるので、壁部34があったとしても、ボタン型電池BAをSL方向に沿って外す方向に押し出すことができる。これにより、ボタン型電池BAは蓋部材30から容易に取り外すことができる。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
例えば、図6では、ガイド部40A,41Aと爪部40B,41Bからなる突出部40,41は、ボタン型電池BAの直径方向DLの正反対の夫々の個所に一つずつ形成されているが、例えば、本実施形態の変形例に係る蓋部材の斜視図である図12に示すように、ボタン型電池BAの直径方向DLの正反対の夫々の個所に複数の突出部45,46,47,48が形成されていてもよい。即ち、本発明にいう「2個所」とは、所要の大きさを有する2つの領域を意味するものであり、例えば図12に示すように、ボタン型電池BAの外側における直径方向DLの一方の領域S1に複数の突出部45,46が、他方の領域S2に複数の突出部47,48が、夫々形成されてもよい。なお、図12の突出部45,46,47,48の夫々は、上述した機能を有するガイド部45A,46A,47A,48Aと、爪部45B,46B,47B,48Bを有している。
【0046】
また、本発明の上述した電池の着脱構造は、ボタン型電池を利用する機器であれば、図1のデータカード10だけに適用されるものではなく、防水性をあまり必要とせず、特にCR2032型のボタン型電池を使用する、その他の電子体温計(女性用体温計),歩数計(活動量計),耳式体温計,血糖計等の医療用電子機器にも適用され、さらに、医療用電子機器だけではなく、電子時計やその他の電子機器にも適用可能である。
また、同一の種類の複数の電池を同一平面に並べて収納できるような電池収納部としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10・・・データカード(医療用電子機器の一例)、20・・・データカードの筐体、21・・・筐体の表面部材、22・・・筐体の裏面部材、30・・・蓋部材、38・・・内面、40,41・・・突出部、40A,41A・・・ガイド部、40A,40B・・爪部、42・・・突起部、43・・・傾斜面、101・・電池収容部、111・・マイナス接続端子部、112・・プラス接続端子部、BA・・・ボタン型電池、F・・・・指
図1
図2
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図4
図5
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