(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483676
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】針カニューレを備える注射デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20190304BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/24 502
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-527247(P2016-527247)
(86)(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公表番号】特表2016-538916(P2016-538916A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014071746
(87)【国際公開番号】WO2015062845
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】13191052.3
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/899,413
(32)【優先日】2013年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベントスン, ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】アイレットセン, ラース
(72)【発明者】
【氏名】イェンスン, カスパ ボー
(72)【発明者】
【氏名】キアク, フレズレク コー
【審査官】
田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04416663(US,A)
【文献】
特表2012−514602(JP,A)
【文献】
特開昭63−024955(JP,A)
【文献】
特開平03−178671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存薬を含む薬学的な液体薬物を注射するための注射デバイスであって、
注射すべき前記薬学的な保存薬を含む液体薬物を含む内部チャンバ(21)を有するカートリッジ(20)を支持するハウジング(1)と、
複数の注射に使用可能であり、かつ先端(13)を備える前部(11)、および後部(12)を有する針カニューレ(10)であって、後部(12)が、前記カートリッジ(20)の前記内部チャンバ(21)と液体連通するように適合される、針カニューレ(10)と、
後続して行われる注射との間の期間に、前記針カニューレ(10)の少なくとも前記先端(13)を浄化するための所定容積の液を収納する貯蔵器(31)を遠位に備える伸縮式の針を覆うシールド(30)であって、前記伸縮式の針を覆うシールド(30)が、第1の弾性部材(40)により第1の位置へと遠位方向に付勢され、かつ注射中に、前記第1の弾性部材(40)のバイアスに抗して第2の位置へと近位方向に移動し、
前記第1の位置は、前記針カニューレ(10)の前記前部(11)の前記先端(13)が前記貯蔵器(31)の内側に位置する位置であり、かつ
前記第2の位置は、前記針カニューレ(10)の前記前部(11)の前記先端(13)が前記貯蔵器(31)の外側に、かつ前記貯蔵器(31)の遠位に位置する位置である、伸縮式の針を覆うシールド(30)とを備え、
前記伸縮式の針を覆うシールド(30)の前記貯蔵器(31)に収納された前記所定容積の液が、前記カートリッジ(20)の前記内部チャンバ(21)に存在するものと同一の前記薬学的な保存薬を含む液体薬物であり、前記同一の薬学的な保存薬を含む液体薬物は、前記伸縮式の針を覆うシールド(30)の前記貯蔵器(31)と、前記カートリッジ(20)の前記内部チャンバ(21)との両方に存在する、注射デバイス。
【請求項2】
前記薬学的な保存薬を含む液体薬物は、インスリン、インスリン類似体、GLP−1、またはGLP−2などの血糖調節薬である、請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
前記針カニューレ(10)は、ハブ(15)に固定される、請求項1または2に記載の注射デバイス。
【請求項4】
前記ハブ(15)が、前記注射デバイスに前記ハブ(15)を取り付けるための結合手段(16)を備える、請求項3に記載の注射デバイス。
【請求項5】
前記伸縮式針シールド(30)の前記貯蔵器(31)は、遠位方向に遠位の隔壁(32)を、かつ近位方向に近位の隔壁(33)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の注射デバイス。
【請求項6】
前記貯蔵器(31)の前記近位の隔壁(33)は、前記伸縮式針シールド(30)に対して移動可能である、請求項5に記載の注射デバイス。
【請求項7】
前記遠位の隔壁(32)と前記近位の隔壁(33)の一方、または両方は、少なくとも第1の位置で、前記針カニューレ(10)の前記前部(11)の前記先端(13)を囲む刻まれた部分(34)を備える、請求項5または6に記載の注射デバイス。
【請求項8】
前記所定容積の薬学的な保存薬を含む液体薬物が、前記カートリッジ(20)の前記チャンバ(21)から、前記伸縮式針シールド(30)の前記貯蔵器(31)の中へと自動的に移送される、請求項1から7のいずれか一項に記載の注射デバイス。
【請求項9】
前記近位の隔壁(33)は、自動的に近位方向に移動され、それにより、前記伸縮式針シールド(30)の前記貯蔵器(31)の内側に真空が生成される、請求項8に記載の注射デバイス。
【請求項10】
前記貯蔵器(31)の前記近位の隔壁(33)は、第2の弾性部材(45)により近位方向に付勢される、請求項9に記載の注射デバイス。
【請求項11】
前記近位の隔壁(33)は、前記第2の弾性部材(45)の影響下で軸方向に移動する軸方向への可動要素(50)に固定される、請求項10に記載の注射デバイス。
【請求項12】
前記注射デバイスは、前記注射デバイスを最初に使用すると、所定量の薬学的な保存薬を含む液体薬物を前記貯蔵器(31)の中に自動的に排出する、請求項8に記載の注射デバイス。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の前記注射デバイスを準備する方法であって、
i)前記針カニューレ(10)の前記前部(11)の前記先端(13)が前記伸縮式針シールド(30)の前記貯蔵器(31)の内側に位置するように、前記伸縮式針シールド(30)を有する前記注射デバイスを前記第1の位置に保持するステップと、
ii)前記カートリッジ(20)の前記チャンバ(21)の内側に含まれている所定容積の前記薬学的な保存薬を含む液体薬物を、前記伸縮式針シールド(30)の前記貯蔵器(31)の中へと自動的に移送するステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記伸縮式針シールド(30)の前記貯蔵器(31)へと移送する前記ステップは、前記第2の弾性部材(45)により自動的に行われる、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは針カニューレと組み合わせた、注射ペンなどの注射デバイスに関する。本発明は特に、同じ針カニューレが複数の連続する注射に使用され、注射時以外の期間に自動的に浄化されるような注射デバイスに関する。さらに本発明は、このような注射デバイスを準備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドされた注射針組立体は、例えば、WO2008/077706および米国特許第5,292,314号から知られている。さらに、手動で操作できる伸縮式のシールドを有する注射器が、EP252,644(
図11〜
図13)で開示されている。ユーザがこの注射器をパージする必要があるとき、注射器に含まれた可変量の薬物が、伸縮式のシールドを形成するパージングチャンバの中に排出される。注射器をパージする前に、ユーザは、伸縮式のシールドを正しい位置へと手動で操作する必要がある。注射器をパージするとき、ユーザは、シールドのチャンバ内に排出される容積を決める。
【0003】
反復使用のための注射針を有する注射デバイスは、米国特許第3,354,881号および米国特許第4,416,663号で開示されている。反復使用するためのこれらの注射デバイスは、注射時以外の期間に針カニューレの先端を覆う伸縮式の可動シールドを有する。米国特許第4,416,663号では、伸縮式のシールドは、ばねであるとして特定される弾性手段により、その最初の覆う位置へと押される。さらに、伸縮式シールドは、注射時以外の期間に針カニューレの先端を浄化するための浄化作用物質を含む貯蔵器を備える。浄化作用物質は、米国特許第3,354,881号および米国特許第4,416,663号で共に滅菌液と呼ばれる。
【0004】
しかし、注射針は、注射時以外の期間は、注射デバイスに取り付けられて維持されるので、滅菌液は、針カニューレの管腔を通ってカートリッジの内部へと流入し、したがって、カートリッジ内に含まれる薬学的な液体薬物と混合されて、薬物を汚染するおそれがある。その結果、次に注射が行われるとき、カートリッジに流入した滅菌液が、カートリッジの薬学的な液体薬物と共にユーザの体内に注射されることになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、反復使用を行うための針カニューレを備えた注射デバイスを提供することであり、カートリッジ内に含まれている液体の薬学的薬物は、伸縮式シールドの貯蔵器に含まれた浄化液により汚染されず、扱いにくい物理的な弁もしくは同様のものを使用することなく動作する。
【0006】
本発明は特許請求の範囲で定義される。それによれば、第1の態様では、本発明は、以下の細部を含む注射デバイスに関する。
− 注射すべき薬学的な液体薬物を含む内部チャンバを有するカートリッジを保持するハウジング。薬学的な液体薬物は、液体薬物を生物静止性に維持する、すなわち、液体薬物中に、特に微生物である生物の成長または増殖を阻止する保存薬を含む。
− 前部および後部を有する複数の注射に使用可能な針カニューレ。後部は、カートリッジの内部チャンバと液体連通するように適合され、また前部は、ユーザの皮膚を貫通するように適合された鋭利な先端を有する、また
− 後続して行われる注射時以外の期間に、針カニューレの少なくとも先端を浄化するための所定容積の液を保持する貯蔵器を遠位に備える伸縮式の針を覆うシールド。伸縮式の針シールドは、伸縮式の針シールドとハウジングの間に動作可能に位置する、好ましくは圧縮ばねである弾性部材により遠位方向に押される。
【0007】
伸縮式で可動の針を覆うシールドは、第1の位置と第2の位置の間で、針カニューレに対して軸方向に、かつ伸縮式に移動可能である。第1および第2の位置は、次のように規定される。
− 針カニューレの前部の先端が貯蔵器の内側に維持される第1の位置、および
− 針カニューレ(10)の前部の先端が貯蔵器の外側に、かつ貯蔵器の遠位に位置する第2の位置。
【0008】
カートリッジの内側に含まれる薬学的な液体薬物の汚染を阻止するために、シールドの浄化貯蔵器内の液は、カートリッジの内側の薬学的な保存薬を含む液体薬物に存在するものと同じ保存薬を含む。この方法では、同じ保存薬が両方の液に存在するので、伸縮式シールドの貯蔵器から、針カニューレの管腔を通ってカートリッジのチャンバへと戻る液の逆流が、カートリッジの内側の液体薬物を汚染することはない。したがって、逆流は、カートリッジのチャンバの内側の保存薬の濃度を極めてわずかに上昇させるだけである。
【0009】
伸縮式シールドの貯蔵器の液の容積は、注射デバイスの製造により予め決められており、また後続して行われる注射時以外の期間に、針カニューレの先端が、液中に完全に浸漬されるように予め決められることが好ましい。このことは、シールドの貯蔵器の充填されるレベルが、すべての状況で、針カニューレの少なくとも先端が液中に浸漬されて維持されるのに十分でなくてはならないことを示唆する。
【0010】
注射デバイスは、任意の種類の事前に充填された注射デバイス、または耐久性のある注射デバイスとすることができる。注射デバイスの駆動機構は、手動で、またはばねで負荷をかけることができる。手動によることは、ユーザは、カートリッジから液体薬物を押し出すのに必要な力を送達することを意味し、またばねで負荷をかけることは、ばね、すなわち、圧縮またはトルクばねが注射に提供され、かつ完全に、または部分的に、取り付けられた針カニューレの管腔を通して液体薬物を押し出すために使用されることを意味する。
【0011】
伸縮式シールドの貯蔵器内の液は、好ましい例では、フェノールもしくはメタクレゾール、またはそれらの任意の組合せである。保存薬はまた、滅菌された注射可能な水の溶液で、伸縮式シールドの貯蔵器の内側に提供することもできる。しかし、最も有益なことは、貯蔵器内の浄化液として、注射デバイス内の薬学的な保存薬を含む液体薬物を使用することである。カートリッジの内側の、かつ伸縮式シールドの貯蔵器の内側の、薬学的な保存薬を含む液体薬物は、したがって、同一のものである。好ましい例では、液体薬物は、インスリン、インスリン類似体、GLP−1、またはGLP−2など、血糖調節薬である。さらなる例では、薬学的な保存薬を含む液体薬物は、成長ホルモンとすることもできる。薬学的な保存薬を含む液体薬物は、例として、会社Novo Nordisk A/Sから市販されている任意の液体薬物とすることができ、例えば、NovoRapid(登録商標)、NovoLog(登録商標)、Levemir(登録商標)、NovoMix(登録商標)、Tresiba(登録商標)、Ryzodeg(登録商標)、Xultophy(登録商標)、Victoza(登録商標)、Saxenda(登録商標)、またはNorditropin(登録商標)などであり、それらはすべて、液体薬物を生物静止性に維持する保存薬を含む。
【0012】
針カニューレは、一例では、注射デバイスに恒久的に固定される。代替的に、針カニューレは、接着、溶接、または同様のものによりハブに固定することができる。ハブは、その場合、注射デバイスに恒久的に固定される、またはハブを注射デバイスに取外し可能に接続するための接続手段を備える。ハブが注射デバイスに取外し可能に結合される例では、伸縮式シールドは、針組立体の一部を形成するように、ハブと共に提供することができる。針カニューレが、直接的に、またはハブを介して注射デバイスに恒久的に固定されたとき、好ましいデバイスは、いわゆる事前に充填された注射デバイスである。
【0013】
一例では、伸縮式シールドの貯蔵器は、伸縮式シールドにおける貫通開口部として作られ、それは遠位の薄膜により遠位方向で覆われ、かつ近位の薄膜により近位方向で覆われる。これらの薄膜または隔壁は、一般にカートリッジで使用される標準的な隔壁から知られているゴム組成から作られることが好ましい。
【0014】
例では、これらの薄膜もしくは隔壁の1つであって、好ましくは貯蔵器の近位の隔壁は、伸縮式シールドに対して移動可能であり得る。近位の隔壁のこの移動は、近位方向であることが好ましく、貯蔵器を充填することができる。
【0015】
遠位の隔壁の近位面が近位の隔壁の遠位面に当接する最初の位置では、針カニューレの管腔が、最初の位置で隔壁材料により覆われないようにする、刻まれた(carved out)部分が、隔壁の一方または両方にあることが好ましい。このように刻まれた部分が存在する場合、最初の量が貯蔵器中に排出されたとき、液体の薬学的薬物が流入する余地を有するように、当接状況にあっても、いわゆる貯蔵器が形成される。
【0016】
貯蔵器の充填は、完全に自動的に行われることが好ましく、また伸縮式シールドのそのように拡大する貯蔵器の内側に真空が生成されるように、近位の隔壁を近位方向に自動的に移動させることにより行われることが好ましい。この文脈において、自動的にということは、注射デバイスが、近位の隔壁の動きを生成する手段を備えることを意味する。近位方向の動きを生成するこの手段は、ばねもしくは同様の要素などの弾性的な手段であることが好ましい。近位の隔壁は、特定の一実施形態では、例えば、注射デバイスを最初に使用すると解放される引張りばねにより近位方向へと軸方向に移動され得る。
【0017】
近位の隔壁の軸方向の動き、したがって、生成される真空、および伸縮式シールドにおける貯蔵器の充填容積は、注射デバイスの製造により定められる。それは、ばねの力に固有のものとすることができるが、または近位の隔壁が移動できる距離を制限する様々な停止部を設けることができる。いずれにしても、貯蔵器の中に充填される液の容積は、もっぱら注射デバイスの製造により決められるものであり、したがって、注射デバイスは、この事前決定が注射デバイスに固有のものであるとしてユーザに送達される。したがってユーザは、製造者からの指示に従って注射デバイスを使用する必要があるだけであり、その後、貯蔵器は、所定の容積で自動的に充填される。
【0018】
一例では、近位の隔壁は、第2のばねの影響下で軸方向に移動する軸方向に移動可能な要素に固定されることが好ましい。移動可能な要素は、ユーザが、最初に用量を設定したときやはり自動的に解放され得る解放機構を動作させた場合、固定位置から伸縮式シールドに係合する位置へと、近位方向に移動することが好ましい。
【0019】
代替的に、注射デバイスは、注射デバイスを最初に使用すると、所定容積の薬学的な保存液を含む液体薬物を自動的に貯蔵器の中に排出する。一実施形態では、注射デバイスのキャップは、カートリッジ内側のゴムピストンが、相対的に移動して所定の容積を押し出すように、カートリッジを自動的に近位方向に摺動させる機構に結合され得る。この排出機構は、例えば、キャップを回転させると活動化されるように、キャップに結合させることができる。
【0020】
本発明は、一連の注射を行う前に、注射デバイスを準備する方法をさらに含む、すなわち、方法は、新しい注射デバイスが使用されるときに実行されることが好ましい。注射デバイスは、1度だけ使用される事前に充填された注射デバイスであり、カートリッジは、一連の注射の後で空になったとき、廃棄されることが好ましい。
【0021】
事前に充填された注射デバイスを使用するために、ユーザは、2つの簡単な操作を行う必要がある。本発明による方法は、したがって、少なくとも以下の2つのステップを含む、すなわち、
i)針カニューレの先端が伸縮式シールドの貯蔵器の内側に位置するように、伸縮式シールドを有する注射デバイスを第1の位置に保持するステップと、
ii)カートリッジのチャンバ内側に含まれている所定容積の薬学的な保存薬を含む液体薬物を伸縮式シールドの貯蔵器の中へと自動的に移送させるステップと
である。
【0022】
この方法によれば、ユーザは、まず、針カニューレの先端が確実に伸縮式シールドの貯蔵器の内側あるようにし、その後に、所定の容積がカートリッジのコンパートメントから伸縮式シールドの貯蔵器の中に自動的に移送されるように、解放機構が活動化される必要がある。
【0023】
解放機構は、ユーザが解放を活動化するために、物理的に取り外す必要のある可動要素とすることができる、またはそれは、ユーザが注射すべき用量を最初に設定するときに解放されるように、用量設定機構と一体化することができる。
【0024】
貯蔵器内に自動的に充填される容積は、注射デバイスの製造により定められる。それは、これも真空を生成するために使用されるばねのばね力の結果であり得る、生成される真空の大きさにより決定することができる。代替的に、それは、注射デバイスに設けられた1つまたは複数の物理的な停止部、すなわち、例えば、近位の隔壁の軸方向の動きを制限する停止部とすることができる。
【0025】
この方法は、さらなる実施形態では、第2のばねが、可動要素および近位の隔壁を近位方向に駆動して、貯蔵器の内側に真空を生成するように可動要素を解放することにより行われる。近位の隔壁がさらに近位方向に移動すると、この真空は成長し、また薬学的な保存薬を含む液体薬物は、カートリッジのチャンバから、針カニューレの管腔を介して、伸縮式シールドの貯蔵器の中に自動的に吸引される。
【0026】
定義
「注射ペン」は、通常、筆記するためのペンと幾分似ている長円形または細長い形状を有する注射装置である。このようなペンは、通常、管状の横断面を有するが、それらは、三角形、長方形もしくは正方形、またはこれらの幾何形状に近い任意の変形形態など、様々な横断面を容易に有することもできる。
【0027】
「針カニューレ」という用語は、注射中に皮膚の貫通を実施する実際の導管を記述するために使用される。針カニューレは、通常、例えば、ステンレス鋼などの金属材料から作られ、ハブに接続されて、「針組立体」ともしばしば呼ばれる完全な注射針を形成する。しかし、針カニューレは、ポリマー材料またはガラス材料からも作ることができる。ハブはまた、針組立体を注射装置に接続するための接続手段を担持し、かつ通常、適切な熱可塑性材料から成形される。「接続手段」は、例として、ルアー結合、バヨネット結合、ねじ接続、または例えば、EP1,536,854で述べられる組合せなど、それらの任意の組合せとすることもできる。
【0028】
「針ユニット」という用語は、容器中に担持される単一の針組立体を記述するために使用される。このような容器は、通常、閉じられた遠位端と、取外し可能な封止部により封止された開放近位端とを有する。このような容器の内部は、針組立体がいつでも使用できるように、通常、滅菌されている。ペン注射システム用に特に設計された針ユニットは、ISO規格11608−2で定義され、しばしば「ペン針」と呼ばれる。ペン針は、ユーザの中に貫通させるための前部と、薬物を含むカートリッジの中に貫通させるための後部とを有する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「薬物」という用語は、液体、溶液、ゲル、または微細懸濁液など、制御された方法で中空の針などの送達手段を通過できる任意の薬物を含む流動性のある薬剤を含むことを意味する。代表的な薬物は、ペプチド、タンパク質(例えば、インスリン、インスリン類似体、およびCペプチド)などの医薬品、ならびにホルモン、生物学的に誘導された、もしくは活性作用物質、ホルモンおよび遺伝子ベースの作用物質、栄養的な粉乳、および固形(調合された)もしくは液体の形態の他の物質を含む。さらに「保存薬を含む液体薬物」という用語は、任意の量の保存薬を含む任意の流動性のある薬物を包含することを意味する。一例では、保存薬は、フェノールもしくはメタクレゾール、またはそれらの任意の組合せとすることができる。しかし、保存薬を含むという表現は、これらの物質だけに限定されるべきではなく、実際には流動性のある薬物と保存薬の任意の組合せを意味するべきである。
【0030】
「カートリッジ」は、薬物を含む容器を記述するために使用される用語である。カートリッジは、通常、ガラスから作られるが、任意の適切なポリマーから成形することもできる。カートリッジまたはアンプルは、例えば、針カニューレの患者側ではない端部により貫通できる「隔壁」と呼ばれる貫通可能な薄膜により一端で封止されることが好ましい。このような隔壁は、通常、自己封止性があり、それは、針カニューレが隔壁から取り外された後、貫通中に生成された開口部が、固有の弾性によって自動的に封止されることを意味する。反対側の端部は、通常、ゴムまたは適切なポリマーから作られたプランジャまたはピストンにより閉じられる。プランジャまたはピストンは、カートリッジの内側で摺動可能に移動させることができる。貫通可能な薄膜と移動可能なプランジャとの間の空間は、薬物を保持しており、その薬物は、プランジャが、薬物を保持している空間の容積を減少させたとき押し出される。しかし、薬物を含めるために、剛性または可撓性のある、任意の種類の容器を使用することができる。
【0031】
カートリッジは、通常、プランジャが中に移動できない、より狭い遠位の首部分を有しているので、カートリッジの内側に含まれている液体薬物のすべてを、実際に吐出することができない。「最初の量」または「実質的に使用される」という用語は、したがって、カートリッジ中に含まれる注射可能な内容物を指しており、必ずしも内容物全体を指していない。
【0032】
本記述で使用される「恒久的に固定される」という用語は、本出願で、針カニューレおよび注射デバイスとして実施される部材が、分離するためには、ツールの使用を必要とし、部材が分離された場合、部材の少なくとも1つで恒久的に損傷を受けることを意味するように意図されている。
【0033】
「事前に充填された」注射デバイスという用語により、液体薬物を含むカートリッジが、注射デバイスを恒久的に破壊することなく取り外せないように注射デバイスに恒久的に組み込まれている注射デバイスを意味する。カートリッジ内の液体薬物の事前に充填された量が使用されると、ユーザは、通常、注射デバイス全体を廃棄する。これは、ユーザが、カートリッジが空になったとき、液体薬物を含むカートリッジを自分で変えることができる「耐久性のある」注射デバイスとは反対のものである。事前に充填された注射デバイスは、通常、複数の注射デバイスを含むパッケージで販売されるが、耐久性のある注射デバイスは、通常、一度に1つ販売される。事前に充填された注射デバイスを使用する場合、平均的なユーザは、1年に50から100もの注射デバイスを必要とする可能性があるが、一方、耐久性のある注射デバイスを使用する場合、単一の注射デバイスは、数年にわたり継続することができる。しかし、平均的なユーザは、1年に50から100の新しいカートリッジを必要とするはずである。
【0034】
本明細書で引用された公開物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、その全体が参照により組み込まれ、またある程度、各参考文献が個々にかつ具体的に参照により組み込まれるように示された場合、かつその全体が本明細書に記載された場合と同様に参照により組み込まれる。
【0035】
すべての見出し、および副見出しは、本明細書で便宜上使用されるだけのものであり、決して本発明を限定するものとして構成されるべきではない。
【0036】
本明細書で提供される任意の、かつすべての例、または例示的な文言(例えば、など(such as))の使用は、本発明をより明らかにするように意図されているに過ぎず、別の形で特許請求されない限り、本発明の範囲に対する限定を提示するものではない。本明細書におけるいずれの文言も、いずれかの特許請求されない要素を、本発明の実施に不可欠なものであることを示すものと解釈されるべきではない。本明細書における特許文献の引用および組み込みは、便宜上行われるに過ぎず、このような特許文献の有効性、特許性、および/または法的強制力のいずれの観点も反映するものではない。
【0037】
本発明は、適用可能な法律により許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題の変更形態および均等な形態のすべてを含む。
【0038】
本発明は、好ましい実施形態と共に、かつ図面を参照して以下でより完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】使用前の注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図2】伸縮式シールドの貯蔵器の充填中における注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図3】用量排出中の注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図4】使用前の第2の実施形態の注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図5】伸縮式シールドの貯蔵器の充填中における第2の実施形態の注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図6】用量吐出中における第2の実施形態の注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図7】連続して行われる注射時以外の期間の第2の実施形態の注射デバイスの一部の横断面図である。
【
図9】伸縮式シールドの貯蔵器の充填中における
図8の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図は概略的なものであり、分かりやすくするために簡略化されている。図は、本発明の理解に欠かせない細部を示しているが、他の細部は除かれている。全体を通して、同じ参照数字は、同一の、または対応する部分に使用される。
【0041】
以下で、「上側」および「下側」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、「時計回り」および「反時計回り」などの用語、または同様の相対表現が使用される場合、これらは、添付の図を参照しており、使用する実際の状況に対するものではない。示された図は、概略的な表現であり、そのため、様々な構造の構成、ならびにそれらの相対的な寸法は、例示目的だけに使用されるように意図されている。
【0042】
その文脈において、添付図における「遠位端」という用語は、ユーザの皮膚を実際に貫通する針カニューレ10の先端13を指すことを意味し、一方、「近位端」という用語は、注射中にユーザから離れた方向を示し、かつカートリッジ20の中へと貫通する反対側の端部を指すことを意味するように定義することは便利である。
【0043】
図1から
図3は、注射デバイスが針カニューレ10を担持する第1の実施形態を開示する。針カニューレ10は、示された実施形態では、ねじ山16により注射デバイスのハウジング1に取外し可能に接続されたハブ15に固定される。しかし、針カニューレ10は、多くの様々な方法で、ハウジング1に固定することもできる。針カニューレ10は、例えば、ハウジング1に恒久的に取り付けられた状態で形成することもできる。
【0044】
針カニューレ10は、ユーザの皮膚を容易に貫通するように研削された先端13を備える前部11と、カートリッジ20のチャンバ21の中に貫通させるための後部12とを有する。反対側のカニューレ端部もまた研削することができ、2つの端部は、管腔14を介して接続される。
【0045】
ハウジング1は、第1のばね40などの第1の弾性要素により遠位方向に押される伸縮式シールド30を遠位に備え、伸縮式シールド30は、非使用状況では、すなわち、注射していないとき、針カニューレ10の先端13を隠す。
【0046】
伸縮式シールド30は、開示された実施形態では、遠位の隔壁32により、遠位方向で封止され、かつ近位の隔壁33により、近位方向で封止された円筒形の貫通開口部として描かれた貯蔵器31をさらに備え、貫通開口部は貯蔵器31を形成する。
【0047】
遠位の隔壁32もしくは近位の隔壁33、または両方の隔壁32、33は、貯蔵器31の方向を向いている表面上に、第1の位置で、
図1で示す貯蔵器31を構成することのできる刻まれた部分34を備えることができる。
【0048】
さらに引張りばね35は、近位の隔壁33と、これも伸縮式シールド30に固定される壁36との間に含まれ、かつそれらに接続される。壁36はまた、伸縮式シールド30の一体部分として成形することもできる。近位の隔壁33と共にこの壁36はまた、針カニューレ10を支持し、かつガイドし、したがって、遠位の隔壁32を通り抜けるとき、針カニューレ10の前部11が曲がらないようにする。
【0049】
図1では、注射デバイスは、伸縮式シールド30が第1の位置に配置された状態で示されている。伸縮式シールド30は、ばね40により遠位方向に押され、また針カニューレ10の先端13は、貯蔵器31の内側に位置する(刻まれた部分34で示されている)。
【0050】
引張りばね35は、
図1で、その上向き位置で示され、図示していない解放機構により伸ばされた状態で保持される。好ましくはユーザにより、この解放機構が解放されたとき、引張りばね35は、
図2で開示されるように、近位の隔壁33を近位方向に引っ張る。この動きは、貯蔵器31の内側に真空を生成し、その真空は、薬学的な保存薬を含む液体薬物の一部を、カートリッジ20のチャンバ21から、針カニューレ10の管腔14を介して貯蔵器31へと移動させる。
【0051】
代替的に、近位の隔壁33は、恒久的な位置にあるようにすることもでき、したがって、固定された容積の貯蔵器31を画定する。この場合、注射デバイスの駆動機構は、注射デバイスが使用された最初の時に、所定量の薬学的な保存薬を含む液体薬物を貯蔵器31の中に注入するように設定することができる。その場合、隔壁32、33の一方が、貯蔵器31に閉じ込められた空気が貯蔵器31の充填中にそれを介して逃げることのできる通気エリアを備えることは、好ましいはずである。
【0052】
針カニューレ10の先端13は、
図2で、薬学的な液体薬物の量の中に浸漬され、また薬学的な液体薬物は、通常、保存薬物質を含むので、これらの保存薬は、先端13が貯蔵器31の内側にあるときは常に、針カニューレ10の先端13を浄化することになる。
【0053】
図3で矢印「A」により示されるように、ユーザが皮膚に対して注射デバイスを押し付けたとき、伸縮式シールド30は、第1のばね40のバイアスに対して、第2の位置へと近位方向に押される。針カニューレ10の前部11、および特に針カニューレ10の先端13は、したがって、遠位の隔壁32を貫通し、注射を手動または自動で実施することができる。
【0054】
注射の後に続いて、ユーザが、伸縮式シールド30を皮膚から取り外したとき、伸縮式シールド30は、第1のばね40により第1の位置へと押され、それにより、
図2で示すように、針カニューレ10の先端13を再度、貯蔵器31の内側のその浸漬された位置へと入るようになる。
【0055】
図4から
図7で開示される第2の実施形態では、同じ要素は、第1の実施形態のものと同じ番号を用いて番号付けされる。
【0056】
図4は、伸縮式シールド30が第1の位置にある注射デバイスを開示する。針カニューレ10は、伸縮式の移動可能なハブ15に取り付けられ、また伸縮式シールド30は、第1のばね40により遠位方向に押される。針カニューレ10の先端13は、
図4で、刻まれた部分34に制限される貯蔵器31の内側に位置する。示された実施形態では、この刻まれた部分34は、近位の隔壁33に形成されるが、遠位の隔壁32に、または隔壁32、33の両方に容易に設けることもできる。
【0057】
近位の隔壁33は、第2のばね45により近位方向に押される可動要素50により移動される。開示されていない解放機構は、可動要素50を固定し、ユーザが、実際に注射デバイスを活動化させる前に近位方向に移動するのを阻止する。この解放機構は、ユーザが注射デバイスを最初に使用する前に取り外す必要のある簡単な形態の、例えば、タブ(
図4では「T」で示される)とすることができる。第1の実施形態では、引張りばね35を、その伸ばされた状態に固定するために、同様のタブを設けることができる。解放機構は、代替的に、用量ダイヤル(dose dial)に結合することができ、したがって、用量がダイヤルで調整された後、可動要素50が解放され、第2のばね45の影響下で、自動的に近位方向に移動する。この近位の動きにより、カートリッジ20の遠位端を覆うようにハブ15を押して、針カニューレ10の後部12がカートリッジ20のチャンバ21と液体連通する。
【0058】
ハブ15とカートリッジ20の間の結合は、示された実施形態では、針カニューレ10の後部12が、その後、以下で説明するように、この液体連通位置に留まるように設計される。
【0059】
可動要素50が近位方向に摺動すると、近位の隔壁33も同様に移動して、貯蔵器31の内側に真空を生成する。この真空は、所定量の薬学的な液体薬物を、カートリッジ20のチャンバ21から、針カニューレ10の管腔14を介して貯蔵器31の中へと吸引するが、貯蔵器31は、このように自動的に充填される。
【0060】
図5は、その近位の位置にある可動要素50を開示しており、近位の位置では、可動要素50に設けられた半径方向の隆起部51が、伸縮式シールド30の内側に設けられた同様の溝36内に固定されて、その後、可動要素50が伸縮式シールド30と共に伸縮して移動する。
【0061】
ユーザが、
図6で矢印「A」により示されるように、皮膚に対して伸縮式シールド30の遠位端を押すことにより注射を実施するとき、伸縮式シールド30と可動要素50は共に後退し、したがって貯蔵器31を同じ一定の容積で維持する。
【0062】
延ばされた要素を最大限手動で押すことにより、または電気的なモータ、もしくはばねモータにより自動的に注射が与えられた後、ユーザは、伸縮式シールド30を自分の皮膚から取り外し、その後、針カニューレ10の先端13が、貯蔵器31の中に再度入り、次の注射まで、浄化液に浸漬された状態で維持されるように、第1のばね40は、伸縮式シールド30および可動要素50を遠位方向に押す。
【0063】
伸縮式シールド30が、
図6で開示された第2の位置から、
図5で開示された第1の位置へと軸方向に移動するとき、針カニューレ10の先端13は、再度貯蔵器31の中に入って浄化され、次の注射まで清浄に保たれる。
【0064】
図8〜
図9でさらなる他の実施形態が開示され、様々な要素の同じ番号付けが維持されている。
【0065】
薬学的な液体保存薬を含む薬物は、カートリッジ20の内側で前方にゴムピストン25を移動させて、チャンバ21の容積を減少させることにより、針カニューレ10の管腔14を通って押し出される。ゴムピストン25を前方に移動させるために、ピストンロッド26は、図示されていない駆動機構により遠位方向に駆動される。
【0066】
図8では、注射デバイスの遠位端は、注射デバイスでは一般的であるが、保護キャップ2の内側に位置する。このキャップ2は、ユーザがキャップ2を回転させたとき、注射デバイスの遠位部分が近位方向に強制されて移動するように、注射デバイスに結合される。しかし、駆動機構によっていずれの近位方向への動きに対しても固定されたピストンロッド26により、ゴムピストン25は、その前の位置に留まる。
【0067】
キャップ2を回転させると、注射デバイスは、
図9で示すように、近位方向に距離「X」だけ移動する。この動きはまた、カートリッジを、ゴムピストン25に対して距離「Y」だけ軸方向に移動させ、それにより、所定量の薬学的な液体保存薬を含む薬物が貯蔵器31内に排出される。
【0068】
薬学的な保存薬を含む液体薬物の例
1つの具体的な例では、カートリッジ20のチャンバ21に、かつ伸縮式シールド30の貯蔵器31に含まれる液体の薬学的な薬物は、Novo Nordisk A/Sにより製造され、かつ販売されるNovoLog(登録商標)とすることができる。
【0069】
NovoLog(登録商標)は、滅菌した水溶性の透明な無色の溶液であり、以下のものを含む、すなわち、
・インスリンアスパルト100単位/mL
・グリセリン16mg/mL
・フェノール1.50mg/mL
・メタクレゾール1.72mg/mL
・亜鉛19.6mcg/mL
・無水リン酸水素二ナトリウム1.25mg/mL
・塩化ナトリウム0.58mg/mL
・注射用の水
である。
【0070】
NovoLogは、7.2〜7.6のPHを有し、またpHを調整するために塩化水素酸10%および水酸化ナトリウム10%を添加することができる。
【0071】
保存薬(フェノールおよびメタクレゾール)は、カートリッジ20のチャンバ21内と、伸縮式シールド30の貯蔵器31内との両方に同時に存在する。チャンバ21および貯蔵器31内の液は、同じ薬学的な保存薬を含む液体薬物であるので、針カニューレ10の管腔14を通る液の交換は、同一の薬学的な保存薬を含む液体薬物が、カートリッジ20のチャンバ21内に、かつ伸縮式シールド30の貯蔵器31内に存在するだけなので、注射される薬学的な保存薬を含む液体薬物に対する影響は何も有しない。
【0072】
いくつかの好ましい実施形態が、前述の記載で示されているが、本発明は、これらのものに限定されることはなく、添付の特許請求の範囲で定義される主題に含まれる他の方法で実施できることを強調すべきである。