特許第6483710号(P6483710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483710回転するブレードが受ける振動を測定するためのタービンエンジンアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483710
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】回転するブレードが受ける振動を測定するためのタービンエンジンアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01H 11/02 20060101AFI20190304BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G01H11/02 C
   G01H17/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-542185(P2016-542185)
(86)(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公表番号】特表2017-502289(P2017-502289A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】FR2014053510
(87)【国際公開番号】WO2015097396
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年11月30日
(31)【優先権主張番号】1363470
(32)【優先日】2013年12月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タロン,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】カゾー,ジャン−イブ
(72)【発明者】
【氏名】ショーバン,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ,ジュリアン
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04757717(US,A)
【文献】 米国特許第03208269(US,A)
【文献】 特開平07−026901(JP,A)
【文献】 特開平10−068654(JP,A)
【文献】 特開昭57−165718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンのためのアセンブリ(E)であって、アセンブリ(E)は、ケーシング(1)およびケーシング(1)内で回転可動なインペラ(2)を備え、インペラ(2)は、ケーシング(1)に対向する先端部(21)を有する少なくとも1つのベーン(20)を含み、アセンブリ(E)は、先端部(21)が磁石(3)を含むこと、ならびにケーシング(1)が第1および第2の導電体(4、7)を含むことを特徴とし、各導電体は、その端子間に、インペラ(2)が回転されるときにベーン(20)の先端部(21)が受ける振動を表す、対向する先端部(21)の磁石(3)によって誘導される電圧を生成するように適合され、第1の導電体(4)は、インペラ(2)の回転軸(z)の周囲に延在し、かつ2つの対向する端部(42、42’)を含む第1の中心部(40)を備え、第2の導電体(7)は、第1の中心部(40)によってその2つの端部(42)と(42’)との間に残された空間(46)を通過する第2の中心部(70)を備え、
第1の中心部(40)が、インペラ(2)の回転軸(z)の周囲で磁石(3)の通過面内に延在し、第2の中心部(70)は、通過面に対して直角に延在しており
第1の中心部(40)が、インペラ(2)の回転軸(z)の点を中心とする円の一部を形成し、第2の中心部(70)は、前記円の1点で通過面を通過する、アセンブリ(E)。
【請求項2】
磁石(3)が、インペラ(2)の回転軸(z)に対する径方向軸に沿って磁場を放出するように適合され、生成された磁場は、径方向軸の周囲で等方性である、請求項1記載のアセンブリ(E)。
【請求項3】
各導電体の端子に接続された電圧増幅器(5)をさらに備える、請求項1または2に記載のアセンブリ(E)。
【請求項4】
2つの導電体(4、7)が、インペラ(2)に対向するケーシング(1)の内面(10)に位置する摩耗性堆積部内に少なくとも一部埋め込まれ、摩耗性堆積部は、常磁性体または反磁性体でできている、請求項1〜のいずれか一項に記載のアセンブリ(E)。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載のタービンエンジンのためのアセンブリ(E)のベーン(20)の振動を測定するための方法であって、
ケーシング(1)内でのインペラ(2)の回転(101)をさせるステップと、
導電体(4、7)の各々の端子で、ケーシング(1)に対向するベーン(20)の先端部(21)に含まれた磁石(3)によって誘導されるそれぞれの電圧を測定するステップ(103)と、
磁石(3)の速度を決定するステップ(104)と、
2つの測定電圧および決定された磁石(3)の速度に基づいて、ベーン(20)の先端部(21)が受ける軸方向の振動速度を計算するステップ(105)と、
を含む、方法。
【請求項6】
磁石(3)の速度の決定(104)が、
第2の導電体(7)の端子における電圧時間信号の取得であって、信号は、少なくとも2つの連続するピークを有し、(3)は、インペラ(2)の回転軸(z)の周囲の先端部(21)のそれぞれの回転の間に第2の導電体(7)に対向する、取得するステップと、
インペラ(2)の回転軸(z)に対する磁石(3)の径方向位置、およびピーク間の経過期間に基づく磁石(3)の速度の計算するステップと、
を含む、請求項に記載の測定方法。
【請求項7】
振動速度が、第2の導電体(7)の端子で測定された電圧に対する第1の導電体(4)の端子で測定された電圧の比率と決定される磁石(3)の速度を乗じることによって計算される(105)、請求項またはに記載の測定方法。
【請求項8】
測定ステップの前に行われる、1つおよび/または他の誘導電圧を増幅するステップ(102)をさらに含む、請求項のいずれか一項に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可動ブレードの分野に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、回転されるときにそのようなブレードが受ける振動の特性評価の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
インペラは、複数のブレード、またはベーンを備えるハブである。タービンエンジンの設計および認可の間に、ケーシング内のそのような回転可動インペラが、そのようなタービンエンジンの原動機の動作域において励振されやすい好適な周波数を有するかどうかを検証することが必要である。
【0004】
また、この動作域において特定される好適なモードについて、関連する振動制限のレベルを定量化することも必要である。
【0005】
動作中のブレードが受ける振動を特徴付けるための最初の既知の技術は、インペラに貼り付けられた変形ゲージの使用からなる。材料の表面で微小変形を測定することから、周波数領域にあるブレードを特徴付け、材料内部の拘束値を計算することが可能である。
【0006】
しかしながら、この最初の技術は、多くの短所を有する。
【0007】
第1に、ベーンに貼り付けられたゲージは、特に、高圧タービンに計装が施される場合、非常に高い温度を伴う可能性のある大きな遠心力(約100,000g)を受ける。その結果として、ゲージの寿命が制限される。
【0008】
第2に、ゲージの設置は、相当の知識、詳細点、および時間を要する(特に、ゲージが設定されるセメントの焼成のため)。
【0009】
第3に、可動インペラに埋め込まれたゲージから発信される信号を固定マーカーまで伝える必要がある。このため、原動機シャフト上の接続ワイヤは、回転するコレクタまで通じていなければならない。ワイヤの長さおよびコレクタの回転接続以外に、騒音測定値の生成、原動機上に回転するコレクタを一体化するための予備試験には、時間とコストが掛かる。
【0010】
回転するベーンに対向して、したがって固定マーカー内に位置付けられる、光プローブの使用に基づく第2の技術は、これらの短所を排除するために提案された。
【0011】
この第2の技術は、ベーンの2つの振動状態について光プローブの前の時間経過の広がりを測定する(振動の存在下または非存在下において)。「チップタイミング」と称されるそのような測定方法は、ベーン先端部における交互シフトの大きさを再度計算する。モード形を知ることによって、ベーンの先端部におけるシフトのレベルがベーンの拘束レベルに関連付けられる。
【0012】
しかしながら、この第2の技術は、測定された振動に関する周波数情報をもたらさない。実際、ベーン先端部におけるシフトの全体的なレベルだけは、どのベーンモードが励振されるかが分からなくても、この第2の技術によって特定可能である。振動を監視する目的のためには、この限界は非常に不利であり得る。
【0013】
また、「チップタイミング」プロセスは、ときに曖昧さを有するため、記録されたシフトのレベルに原因となる励振の順序を特定することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、回転されるときにベーンが受ける振動の特性評価を可能にすること、特に、ベーンが受ける振動速度を定量化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、また第1の態様によれば、タービンエンジンのためのアセンブリが提案され、アセンブリは、ケーシングおよびケーシング内で回転可動なインペラを備え、インペラは、ケーシングに対向する先端部を有する少なくとも1つのベーンを含み、アセンブリは、先端部が磁石を含むこと、ならびにケーシングが第1および第2の導電体を含むことを特徴とし、各導電体は、その端子間に、インペラが回転されるときにベーンの先端部が受ける振動を表す、対向する先端部の磁石によって誘導される電圧を生成するように適合され、第1の導電体は、インペラの回転軸の周囲に延在し、かつ2つの対向する端部を含む第1の中心部を備え、第2の導電体は、第1の中心部によってその2つの端部の間に残された空間を通過する第2の中心部を備える。
【0016】
第2の態様によれば、第1の態様によるタービンエンジンのためのアセンブリのベーンの振動を測定する方法であって、
ケーシング内でインペラの回転をさせるステップと、
導電体の各々の端子で、ケーシングに対向するベーンの先端部に含まれた磁石によって誘導されるそれぞれの電圧を測定するステップと、
磁石の速度を決定するステップと、
2つの測定電圧および決定された磁石の速度に基づいて、ベーンの先端部が受ける軸方向の振動速度を計算するステップと、
を含む方法が提案される。
【0017】
磁石は、磁場を生成する。回転可動インペラがケーシングに対して回転されるとき、この磁場は、磁石を保持するベーンの先端部に対向して位置するケーシング内の導電体の各々において電流を誘導する。各電流は、対応する導電体の端子まで広がり、それによってこれらの端子に電圧が現れる。各導電体の端子の電圧は、ベーンが受ける振動を特徴付けることを可能にする。さらに、タービンエンジンのための提案されるアセンブリにおける2つの導電体の相互配置は、2つの電圧を得ることを可能にし、そこからベーンの先端部における軸方向の振動速度が決定され得る。
【0018】
したがって、タービンエンジンのための提案されるアセンブリは、その振動を特徴付けるために、インペラに対する拘束の直接測定を克服し、ベーンに連結された可動マーカーにおける大掛かりな計装を回避することを可能にする。機器を搭載したベーンの軸方向の振動を定量化するために、この可動マーカーにおいて、計装は最小限であり(たった1つの磁石がベーンに組み込まれる)、また、ケーシングに連結された固定マーカーにおいても最小限である(ケーシング上または内への2つの導電体の挿入)。
【0019】
第1の態様によるアセンブリは、以下の特徴単独で、またはそれらの技術的に可能な組み合わせのうちのいずれか1つで補完され得る。
【0020】
第1の中心部は、インペラの回転軸の周囲で磁石の通過面内に延在することができ、第2の中心部は、通過面に対して直角に延在することができる。そのような実施形態において、第1の導電体の端子で測定される電圧は、この通過面の外で引き起こされる磁石の振動を表し、この電圧は、ベーンのその回転軸の周囲の回転運動とは無関係である(そのため、ベーンがいずれの振動も受けない完全な状況では、磁石が中心部の一部に対向している場合、導電体の端子の電圧は、最小限となるであろう)。
【0021】
第1の中心部はさらに、インペラの回転軸の点を中心とする円の一部を形成することができ、第2の中心部は、前記円の1点で通過面を通過する。そのような実施形態は、ケーシングがインペラに対向する円筒状の内面を有する場合に実装することが簡単であり、さらに、この実施形態において、磁石によって生成された磁場は、次いで、同じ長さを有する導電体の中心部のそれぞれの部分に影響を与える。
【0022】
さらに、磁石は、インペラの回転軸に対する径方向軸に沿って磁場を放出するように適合され得、生成された磁場は、径方向軸の周囲で等方性である。そのような磁場の配置では、ベーンの軸方向の振動速度が、2つの導電体のそれぞれの端子で測定される電圧の比率に比例する。
【0023】
2つの導電体の端子の電圧は、概して低い。また、電圧増幅器が、導電体の端子に接続され得、この増幅器の出力において測定が行われる。
【0024】
また、2つの導電体は、インペラに対向するケーシングの内面に位置する摩耗性堆積部内に少なくとも一部埋め込まれ得、摩耗性堆積部は、常磁性体または反磁性体でできている。これにより、磁石の磁気の流れ(magnetic flow)はほとんど変更されず、磁石によって生成される全磁気の流れが、行われる測定に活用され得る。
【0025】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の説明から明らかになるが、それは純粋に例示的かつ非限定的であり、添付の図面に関連して考慮されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態によるタービンエンジンのためのアセンブリの部分断面図である。
図2a図1のアセンブリの概略斜視図である。
図2b図2aに示されるアセンブリの一部を詳細に示している。
図3】本発明の実施形態による、ベーンが受ける振動を測定する方法のステップのフローチャートである。
図4図1および図2に示されるタービンエンジンのためのアセンブリの異なる要素に関連するマーカーを示す。
図5図1および図2に示されるタービンエンジンのためのアセンブリの要素間の電磁相互作用を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
全ての図において、同様の要素は同一の参照番号を有する。
【0028】
図1を参照すると、タービンエンジンのためのアセンブリEは、ケーシング1およびケーシング1に対して回転可動なインペラ2を備える。
【0029】
ケーシング1は、インペラ2を収容する空間を画定する内面10を有する。この内面10は、例えば円筒状である。
【0030】
インペラ2は、回転軸に沿って(図1の平面に垂直に)延在する原動機シャフト24上に装着される。インペラ2は、シャフト24の周囲のディスク22、および複数のベーンを備える。各ベーンは、それぞれの先端部で終端するまで、ディスク22から実質的に径方向に延在する。このように、ケーシング1に対して可動なインペラ2によって占められる角度位置に関係なく、各ベーンの先端部は、ケーシング1の表面部分に対向している。
【0031】
参照番号20で示される、インペラのベーンのうちの少なくとも1つは、その先端部21に磁石3を備える。
【0032】
磁石3は、ベーン20と一体化されており、同様にディスク22と一体化されているが、これ以降、磁石3の運動は、ベーン20の先端部21の運動を表すものと見なされる。
【0033】
磁石3によって形成される磁場のトポロジーは、いくつかの巻きを有するソレノイドのトポロジーに類似する:それは、磁石3を取り囲み、かつ、そのN極からそのS極に配向されたトーラスを形成する。磁石3は、インペラ2の回転軸に対して径方向配向の磁場を生成するように適合される。
【0034】
図2aを参照すると、ケーシング1は、第1の導電体4および第2の導電体7を備える。
【0035】
各導電体4、7の端子は、同一であるかまたは異なる電圧増幅器5の入力に接続される。
【0036】
アセンブリEはまた、電圧増幅器(複数可)5の出力に計測デバイス6も備える。このデバイス6は、このデバイス6によって測定される電圧値に関する計算を実行するための手段を備える。
【0037】
図2bを参照すると、第1の導電体4は、インペラ2の回転軸の周囲で一巻きまたは一巻きの一部を形成する、いわゆる「中心」部を備える。この中心部40は、例えば、インペラ2に対向するケーシング1の内面10に固定される。
【0038】
中心部40は、インペラ2の回転軸の周囲で異なる角度位置に位置する2つの端部42、42’を備える。
【0039】
導電体4はまた、各々が中心部40のそれぞれの端部を延長する2つの分岐部44、44’も備える。
【0040】
中心部40は、好ましくは、インペラ2の回転軸の周囲でケーシング1の全外周を超えて延在しないが、インペラの回転軸の周囲に360度未満の角度をなす扇形によって形成される弧を形成する。2つの端部42、42’は、中心部40によって覆われていないケーシング1の外周の一部の境界を定めるが、この覆われていない部分は、後に「巻き開口部」として特定され、参照番号46で示される。
【0041】
分岐部44、44’は、ケーシング1内でインペラ2の回転軸に対して外側に、実質的に径方向に延在することができる。各分岐部44(それぞれ44’)は、それが延長する端部42(それぞれ42’)において、例えば、中心部40に対して80度〜100度、好ましくは90度の角度を形成する。
【0042】
中心部40、およびこの中心部40を延長する分岐部44、44’は、ベーン20がインペラ2の回転軸の周囲を回転する間に、磁石3の通過面と一致する平面(図2aおよび図2bの平面)内に延在する。
【0043】
インペラ2が、磁石3が中心部40の点に対向するように角度位置を占める場合、ベーン20が振動するときに中心部40に対して磁石3によって生成される磁場の相対運動は、分岐部44および44’において電流を誘導する。
【0044】
第2の導電体7は、第1の導電体4の端部42と42’との間に残された巻き開口部46を通過する、「中心」とも称される部分70を含む。
【0045】
この中心部70は、第1の伝導体4との電気接点を有さず、また、インペラ2に対向するケーシング1の内面10に取り付けられ得る。
【0046】
第2の導電体4は、具体的には、磁石3の通過面の点Pを通過するが、この点Pは、互いに対向する2つの端部42、42’の間、例えば、これらの端部42の間の途中に位置している。点Pは、伝導体4の中心部40と同じ半径に位置する。
【0047】
第2の導電体7の中心部70は、増幅器5に接続される、第2の導電体7の端子を形成する2つの分岐部によって、その端部の両方で延在する。
【0048】
インペラ2が、磁石3が中心部70の点Pに対向するように角度位置を占める場合、磁石3によって生成される磁場は、この点P付近の中心部70の一部において電流を誘導する。
【0049】
第2の伝導体7の中心部70は、この点Pの付近では好ましくは直線的であり、第1の導電体4が延在する平面に対して直角に配向され、したがって、中心部70は、インペラ2の回転軸zに平行になる。
【0050】
図2aおよび図2bに示される実施形態において、点Pと、第1の導電体4の中心部40とが、同じ円の部分を画定し、これにより、磁石3と中心部40の任意の点との間の空隙、および磁石3と点Pとの間の空隙が同一の長さを有する:磁石3によって生成される磁場Bは、次いで、導電体4、7の中心部40、70のそれぞれの部分に同等または同一の影響を与える。
【0051】
ベーンの振動を測定する方法の一般原則
図3は、磁石3を備えるベーン20が受ける振動を測定する方法のステップを示す。
【0052】
予備ステップ101において、インペラ2は、その回転軸の周囲で回転される。この回転されることにより、ベーン20の振動を生成されやすい。
【0053】
インペラ2の回転軸の周囲におけるベーン20の1回の回転周期は、2つの異なる段階を含み、各々が、ケーシング1に対して可動なインペラ2の角度位置のそれぞれの範囲に対応する:磁石3が中心部40の一部に対向している段階、および磁石3が2つの端部42と42’との間に残された巻き開口部46に対向している段階。
【0054】
磁石3が、第1の導電体4の中心部40の一部に対向しているとき、中心部40に対して磁石3によって生成される磁場Bに対する振動運動は、中心部40において第1の電流を引き起こし、それが、分岐部44、44’によって形成される端子まで流れる。電圧U1は、第1の導電体4の2つの端子間に生成される。
【0055】
同様に、磁石3が巻き開口部46に対向し、したがって、第2の導電体7の中心部70に対向しているとき、中心部70に対して磁石3によって生成される磁場Bの相対的な振動運動は、中心部70において第2の電流を誘導し、それが第2の導電体7の端子に伝搬する。次いで、電圧U2が、第2の導電体7の2つの端子間に生成される。
【0056】
電圧U1およびU2は、概して非常に低く、ステップ102の間に増幅器5によって増幅される。
【0057】
ステップ103において、測定デバイス6は、増幅器(複数可)5によって増幅される電圧U1およびU2を取得する。
【0058】
ステップ104において、測定デバイス6は、1つおよび/または他の測定電圧に基づいて、ベーン20の回転速度を決定する。後に詳述されるように、ベーン20の回転速度は、回転軸の周囲における磁石の回転期間から推定され、この期間は、測定電圧における変動によって明らかにされる。
【0059】
ステップ104において、デバイス6は、2つの測定電圧に基づいて、ベーン先端部が受ける軸方向の振動速度を計算する。
【0060】
次に、前述の2つの段階の間の磁石3の電磁石作用について、より詳細に説明する。
【0061】
磁石3が中心部40に対向しているときのその電磁石作用
図4を参照すると、固定フレームRは、ケーシング1と関連付けられ、可動フレームR’は、磁石3と関連付けられている。
【0062】
固定フレームRは、中心O、zで示されるインペラ2の回転軸、ならびに原動機軸に垂直な平面を画定し、かつ磁石3の運動を拘束する、x軸およびy軸によって定義される。
【0063】
可動フレームR’は、磁石3の位置を表す中心O’、z軸に平行なz’軸、直線OO’によって支持されるx’軸、および直接3面体であるマーカーR’等の軸によって定義される。可動フレームR’は、固定マーカーRに対して角度θを形成する。
【0064】
一般的に、マーカーR’における点MのRからR’へのフレームの変化の法則は、以下の関係を強要する。
【数1】
【0065】
図5を参照すると、第1の伝導体4の中心部40の点は、点Mであると考えられる。これは、以下のように示すことができる。
【数2】
【0066】
この関係は、同等に、ベーン20の先端部の磁石3が、固定マーカー内に固定された中心部40に対して移動すること、または中心部40が可動マーカー内に固定された磁石3に対して移動することを示す。
【0067】
固定フレームR内で不動である中心部40に属する電子を考慮すると、回転するフレームR’におけるその見掛けの速度は、ベクトル
【数3】
すなわち、距離r+eにある固定マーカー内の回転するマーカーの点が有するであろう速度であり、eは磁石3と中心部40との間の空隙、rは距離OO’を表す。
【0068】
この点Mが、完全に磁石3の軸O’x’内にあることを考慮すると、電子がローレンツ力Flを受けた結果は、図5に示すように配向される。
【0069】
平面O’x’z内にあるデバイスが考慮され得、磁場Bの成分は、x’成分およびz成分上でのみ考慮され得る。ブレードの半径r、および磁石3と点Mの回転するマーカーの横座標との間の空隙とを考慮すると、回転するフレームにおける電子の進行速度は、距離r+eにある回転するマーカー内の固定点が有するであろう速度である。電動機電場は以下のように表すことができる。
【数4】
【0070】
磁石3がベーン20の振動を受けるとき、ベーン20の振動運動によってこのように生成された電動機電場は以下の通りになり、
【数5】
式中、
【数6】
である。
【0071】
中心部40において誘導される電流は、電動機電場が成分yに従って配向された場合、すなわち、伝導体の軸にある場合に、測定可能である。したがって、測定可能な成分は以下の通りである。
【数7】
【0072】
また、磁石3が中心部40の平面内に含まれるという仮説が立てられる場合、この成分は以下のように書き換えられる。
【数8】
【0073】
その結果として、磁石3が中心部40の平面内にある場合、z軸(回転軸)に沿った振動挙動のみが、測定可能な誘導電流をもたらす。したがって、振動活動が存在しない場合、測定可能な信号は存在しない。
【0074】
セグメントABが磁石3の影響を受ける磁場に存在する間に導電体4の端子で測定される瞬時電圧U1は、以下の形態で表され、
【数9】
【0075】
式中、lABは、磁石3の影響を受けるセグメントABの長さを示し、BX’は、磁石3によって生成される磁場の径方向成分であり、Vvibz’は、z’軸に沿った磁石3の振動速度成分である。
【0076】
磁石3が巻き開口部に対向しているときのその電磁石作用
磁石3が巻き開口部46に対向しているとき、導電体4は、磁石3の磁場Bの影響から逃れるが、第2の導電体7の中心部70は、この磁場Bに入り、以下の式によって表される電圧U2を生成し、
【数10】
【0077】
式中、lCDは、磁石の影響を受ける中心部70のセグメントの長さを示し、BX’は、磁石3によって生成される磁場の径方向成分を示し、Vrotは、磁石3の回転速度である。
【0078】
ベーンの回転速度の決定
対応する導電体7における電圧U2の生成に原因となる運動は、インペラ2のその軸の周囲の回転である。
【0079】
ベーン20の先端部21と一体化した磁石3の回転速度Vrotは、所定期間の間、第2の伝導体の端子で電圧時間信号U2の取得を連続的に実行することにより、測定デバイス6によってステップ104の間に決定され得、前記信号は、複数の電圧ピークを含み、各電圧ピークは、ベーンのそれぞれの回転の間に巻き開口部46に対向する磁石の経路に対応している。
【0080】
したがって、2つの連続するピークの取得時点の間の経過期間は、ベーンの回転期間を表し、磁石3の回転速度は、2つのピーク間の経過期間(またはそのような期間の平均)に基づいて、およびインペラの回転軸の周囲における磁石3の径方向位置OO’に基づいて(図4に示される)、デバイス6によって次いで計算され得る。
【0081】
ベーンの軸方向の振動速度の計算
電圧U1およびU2について以前に定義された関係を組み合わせることによって、以下の関係が得られる。
【数11】
【0082】
磁石によって生成された磁場が、その軸の周囲で等方性である場合、磁石の影響下における巻きの長さは等しい(lAB=lCD)。すると、以下の関係が得られる。
【数12】
【0083】
ステップ104の間に、磁石3(および、したがってベーン20)が受ける振動速度の軸方向成分が、電圧U1およびU2を定義する関係を組み合わせた以下の式に従って計算される。
【数13】
【0084】
この方程式によって、有利に、導電体4および7のいずれか一方における磁場の任意の測定を省略することができる(これらの量は上記方程式から除外される)。
【0085】
さらに、この付加的な方法により、ベーンの振動に関する定性的な情報だけではなく、定量的な情報も得ることができる。
【0086】
より正確には、それにより、回転時の磁場の振幅を測定する必要なく、振動速度のレベルを、第1の導電体の端子で測定された電圧信号から作成されたキャンベル線図上で明らかにされる共振周波数と関連付けることが可能となる。
【0087】
ベーンがエンジン運転指令(n×回転速度、nは整数)によって励振されると、電圧U1が増加する。提案されるアセンブリは、ベーンが励振されたときに、電圧情報を振動速度に変換することを可能にする。
【0088】
材料
導電体の各中心部40、70は、インペラ2に対向して、ケーシング1の内面10上に直接位置付けられてもよい。
【0089】
変形例として、伝導体の各中心部40、70は、ケーシング1の内側に位置付けられてもよいが、各中心部40、70と磁石3との間に位置するケーシング1の材料のいずれの部分も、磁石3によって生成される磁場の、中心部40、70への良好な伝達を促進することを確実にする。材料の前記部分は、実際、1に近い透磁率値を有するため、これらの材料が常磁性体および反磁性体でできていることを確実にすることができる。そうすると、磁石3の磁気の流れが若干変更されるため、磁石3によって生成される磁気の流れ全体が行われる測定に活用され得る。
【0090】
各導電体4、7は、例えば、インペラ2に対向するケーシング1の内面10に位置する摩耗性堆積部内に全体または一部が埋め込まれ、摩耗性堆積部は、そのような常磁性体または反磁性体でできている。
【0091】
磁石3は、800℃〜850℃のキュリー点を有するアルミニウム−ニッケル−コバルト(AlNiCo)をさらに含むことができる(キュリー点は、材料の自発磁化が消失する温度である)。
【0092】
増幅器5は、最大3000の利得を有利に適用する定電流型の増幅器であってもよい。約ミリボルトの測定可能な電圧を生成するように、導電体4の端子で電圧を上昇させることが可能である。
【0093】
記載されるタービンエンジンのためのアセンブリEは、ケーシングに類似する固定構造において回転可動な任意の種類のブレード:軸方向ホイール、遠心インペラ、高圧タービン、フリータービン等に適用され得る。
【0094】
そのようなアセンブリEを備えるタービンエンジンもまた、任意の種類の車両、特に航空機に埋め込まれ得る。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5