特許第6483733号(P6483733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483733シンガスを生成するための炭素質材料のガス化のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483733
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】シンガスを生成するための炭素質材料のガス化のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/02 20060101AFI20190304BHJP
   C10J 3/20 20060101ALI20190304BHJP
   C02F 11/10 20060101ALI20190304BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20190304BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C10J3/02 M
   C10J3/02 L
   C10J3/20
   C02F11/10 Z
   B09B3/00 302A
   B09B3/00 302B
   B09B3/00 302Z
   C08J11/12
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-24323(P2017-24323)
(22)【出願日】2017年2月13日
(62)【分割の表示】特願2014-508366(P2014-508366)の分割
【原出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2017-133013(P2017-133013A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】61/516,646
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/516,704
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/516,667
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/427,144
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513137592
【氏名又は名称】イネオス バイオ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100170944
【弁理士】
【氏名又は名称】岩澤 朋之
(72)【発明者】
【氏名】ベル ピーター エス
(72)【発明者】
【氏名】コ チン−ワン
(72)【発明者】
【氏名】スレイプ ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ブレッシャーズ スコット
(72)【発明者】
【氏名】オクフェミア キム
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−028211(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/154788(WO,A1)
【文献】 特表2010−500420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/02
B09B 3/00
C02F 11/10
C08J 11/12
C10J 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温シンガスを生成するための炭素質材料のガス化方法であって、下記工程:
(a)前記炭素質材料をガス化ゾーン内で第1分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて前記炭素質材料の一部をガス化して第1ガス生成物を生成する工程;
(b)前記炭素質材料の残存部分を燃焼ゾーン内で第2分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて前記炭素質材料のさらなる部分をガス化して第2ガス生成物と、炭素を含む固形灰分とを生成する工程;
(c)前記第1ガス生成物と前記第2ガス生成物を混ぜ合わせて、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)及びタールを含む生シンガスを生成する工程;及び
(d)前記生シンガスをタール破壊ゾーン内で第3分子酸素含有ガスと接触させて前記高温シンガスを生成する工程、ここで、前記タール破壊ゾーン、1つ以上の接続ゾーンを介してガス化ゾーンに接続されており前記燃焼ゾーン及び前記ガス化ゾーンは、単一のユニットの一部であり、前記1つ以上の接続ゾーンの各々は前記タール破壊ゾーンと前記ガス化ゾーンを接続しており、且つ前記第3分子酸素含有ガス、前記1つ以上の接続ゾーンに取り付けられた1つ以上のガス入口を介して前記タール破壊ゾーンに導入される
を含み、
前記高温シンガス中のCO/CO2モル比が0.75より大きく、かつ固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比が0.1未満であり、
前記ガス化ゾーンが、内部で分子酸素含有ガスを水平方向に分布させるための1つ以上のガス化炉床を含み、前記燃焼ゾーンが、内部で分子酸素含有ガスを垂直方向に分布させるための1つ以上の燃焼炉床を含み、
ガス化ゾーンから燃焼ゾーンへ炭素質材料を移動する手段が、少なくとも1つの移動ラムであ且つ
前記燃焼ゾーンにおける酸素投入量と前記ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンにおける総酸素投入量との比が0.4〜0.6の範囲内である、
前記方法。
【請求項2】
前記生シンガス中の前記CO/CO2モル比が0.75より大きい、請求項1の方法。
【請求項3】
前記固形灰分の炭素含量が10質量%未満である、請求項1又は2の方法。
【請求項4】
ガス化ゾーンに入る炭素質材料フィード中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量が、燃焼ゾーンに入る炭素質材料フィードの未変換部分中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量未満である、請求項1〜3のいずれか1項の方法。
【請求項5】
前記ガス化炉床の1つ以上が、前記第1ガス生成物及び第2ガス生成物の1つ以上との熱交換によって前記炭素質材料の予熱を達成する、請求項1〜4のいずれか1項の方法。
【請求項6】
前記炭素質材料が、炭素質液体製品、炭素質産業液体再生品、炭素質一般固形廃棄物(MSW又はmsw)、炭素質都市廃棄物、炭素質農業材料、炭素質林業材料、炭素質木材廃棄物、炭素質建築材料、炭素質植物材料、炭素質産業廃棄物、炭素質発酵廃棄物、炭素質石油化学副産物、炭素質アルコール製造副産物、炭素質石炭、タイヤ、プラスチック、廃棄プラスチック、コークス炉タール、軟質繊維、リグニン、黒液、ポリマー、廃棄ポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PETA)、ポリスチレン(PS)、下水汚泥、動物廃棄物、作物残渣、エネルギー作物、森林加工残渣、木材加工残渣、畜産廃棄物、家禽廃棄物、食品加工残渣、発酵過程廃棄物、エタノール副産物、廃穀物、廃微生物、及びそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項の方法。
【請求項7】
前記第1分子酸素含有ガス及び第2分子酸素含有ガスに含まれる分子酸素の総量と、前記炭素質材料フィードに含まれる全ての炭素を完全に二酸化炭素に酸化するのに必要な分子酸素の総量との比が0.1〜0.9の範囲内である、請求項1〜6のいずれか1項の方法。
【請求項8】
分子酸素を、無水ベースで炭素質材料1トン当たり0〜75lb(34kg)-モルの比率で前記ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンに導入する、請求項1〜7のいずれか1項の方法。
【請求項9】
前記ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンの温度が800℃以下である、請求項1〜8のいずれか1項の方法。
【請求項10】
前記タール破壊ゾーンの温度が900℃より高い、請求項1〜9のいずれか1項の方法。
【請求項11】
下記:
内部で分子酸素含有ガスを水平方向に分布させるための1つ以上の炉床を含むガス化ゾーン;
内部で分子酸素含有ガスを垂直方向に分布させるための1つ以上の炉床を含む、前記ガス化ゾーンに続く燃焼ゾーンここで、前記ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンは、単一のユニットの一部であり、かつ0.75より大きいCO/CO2モル比を有する生シンガスを形成するのに有効であり、固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比0.1未満である;及び
前記生シンガスを前記ガス化ゾーンから1つ以上の接続ゾーンを介して受けるのに有効なタール破壊ゾーン、ここで、前記1つ以上の接続ゾーンの各々は前記タール破壊ゾーンと前記ガス化ゾーンを接続している、
含むガス化装置であって、
前記接続ゾーンは分子酸素含有ガスを添加するための入口を有
前記ガス化装置は、前記ガス化ゾーンから前記燃焼ゾーンへ炭素質材料を移動するための少なくとも1つの移動ラムをさらに含み、且つ
前記燃焼ゾーンにおける酸素投入量と前記ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンにおける総酸素投入量との比が0.4〜0.6の範囲内である、前記ガス化装置。
【請求項12】
前記ガス化ゾーンが10個までの炉床を含む、請求項11のガス化装置。
【請求項13】
前記燃焼ゾーンが5個までの炉床を含む、請求項11又は12のガス化装置。
【請求項14】
前記ガス化ゾーン、燃焼ゾーン及びタール破壊ゾーン内に少なくとも1つのガス入口をさらに含む、請求項11〜13のいずれか1項のガス化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全て2011年4月6日に提出された米国仮出願第61/516,646号、第61/516,704号及び第61/516,667号の優先権を主張する。これら全ての内容全体を参照によってここに援用する。
一酸化炭素及び水素を含む発生炉ガス又は合成ガス又はシンガスを生成するための炭素質材料のガス化のための装置及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
一酸化炭素及び水素を含む発生炉ガス又は合成ガス又はシンガスを生成するための炭素質材料のガス化は技術上周知である。典型的に、WO 2009/154788に記載されているように該ガス化プロセスは、準化学量論量の酸素をガス化プロセスに供給して一酸化炭素の生成を促進する、炭素質材料の部分酸化又は空気不足酸化を含む。WO 2009/154788に記載されているように、ガス化プロセスは、蒸気及び二酸化炭素(CO2)の1種以上の添加によってさらに影響を受け得る。ガス化プロセスの成功は、生成されるシンガスの品質に大きく左右される。生成されるシンガスでは高含量の一酸化炭素(CO)及び水素(H2)が望ましい。換言すれば、特に発熱量のため又は化学薬品製造のために生成物シンガスを使用するためには、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)等の希釈剤の含量をできる限り低くすべきである。
種々の鉱物質は炭素質材料の一部を形成することが多い。炭素質材料のヒドロ炭素質部分はCO、CO2及びH2に変換し、ヒドロ炭素質部分から分離した鉱物質は、いずれの未変換炭素質材料又は未変換炭素とともに灰分を形成する。灰分の量及び組成(例えば炭素含量)は、ガス化装置の滑らかな作動並びに灰分の処分に影響を及ぼし得る。ガス化装置内の灰分の融解及び凝集はスラグ化及びクリンカー形成を引き起こすことがあり、これはガス化装置の部分的又は完全な閉塞につながる恐れがある。従って、灰分の融解を回避するガス化プロセスを有することが有利である。灰分中の未燃焼燃料又は炭素の含量が低いことも有利である。
James T. Cobb, Jr. (“Production of Synthesis Gas by Biomass Gasification,” James T. Cobb, Jr., Proceedings of the 2007 Spring National AIChE Meeting, Houston, Texas, April 22-26, 2007)は、Consutech Gasifier (BRI Energy LLC)について記載しており、この第1段階は、酸素富化空気を用いて950°F(510℃)でガス化装置として作動する標準的な階段火格子燃焼器(多くの場合MSW焼却炉として使用される)である。第2段階は、2000〜2250°F(1093〜1232℃)で作動し、最小限の酸素を用いてタールを分解する熱処理器である。
WO 2009/154788は、2段階ガス化装置について記載している。この装置では、炭素質材料が第1段階に供給され、この段階で空気、酸素富化空気又は純粋酸素が制御された比率で注入され得る。第1段階の温度と酸素投入量は、炭素質材料の部分酸化のみが起こるように制御される。第1段階からのガス生成物が第2段階に移動する。灰分は第1段階から除去される。第1段階からのガス流に含まれるいずれのタールの分解及び部分酸化をも達成するために純粋酸素が第2段階に導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
WO 2009/154788に記載されているガス化装置のような2段階ガス化装置は種々の廃棄炭素質材料からシンガスを生成するのに有効であり、高品質シンガスを生成できるが、このガス化プロセスから生じた灰分中では一般的に高い炭素含量が観察される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
炭素質材料のガス化のための方法及び装置を提供する。本方法は生シンガスを生成し、これをさらにタール破壊ゾーン内で処理加工して高温シンガスを形成することができる。高温シンガスは、約0.75より大きい高温シンガス中のCO/CO2モル比及び約0.1未満である固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比を有する。固形灰分の炭素含量は約10%未満である。
生シンガスを生成するための炭素質材料のガス化のための方法を提供する。本方法は、前記炭素質材料をガス化ゾーン内で第1分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて前記炭素質材料の一部をガス化して第1ガス生成物を生成する工程を含む。前記炭素質材料の残存部分を燃焼ゾーン内で第2分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて前記炭素質材料のさらなる部分をガス化して第2ガス生成物と、炭素を含む固形灰分とを生成する。第1ガス生成物と第2ガス生成物を混ぜ合わせて生シンガスを生成する。生シンガスは約0.75より大きいCO/CO2モル比及び約0.1未満の固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比を有する。固形灰分の炭素含量は約10%未満である。
【0005】
別の態様では、ガス化ゾーンに入る炭素質材料フィード中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量は、燃焼ゾーンに入る炭素質材料フィード中の未変換部分中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量未満である。ガス化ゾーンは1つ以上のガス化炉床を含み、燃焼ゾーンは1つ以上の燃焼炉床を含み得る。前記ガス化炉床の1つ以上は、前記第1ガス生成物及び第2ガス生成物の1つ以上との熱交換によって炭素質材料の予熱を達成する。
別の態様では、第1分子酸素含有ガス及び第2分子酸素含有ガスに含まれる分子酸素の総量と、炭素質材料フィードに含まれる全ての炭素を完全に二酸化炭素に酸化するのに必要な分子酸素の総量との比は0.1〜0.9の範囲内である。本方法によれば、分子酸素を、無水ベースで炭素質材料1トン当たり約0〜75lb(34kg)-モルの比率でガス化ゾーン及び燃焼ゾーンに導入する。ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンの温度は800℃以下である。
【0006】
別の態様では、高温シンガスを生成するための炭素質材料のガス化方法である。この方法は、前記炭素質材料をガス化ゾーン内で第1分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて前記炭素質材料の一部をガス化して第1ガス生成物を生成する工程を含む。炭素質材料の残存部分を燃焼ゾーン内で第2分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて炭素質材料のさらなる部分をガス化して第2ガス生成物と、炭素を含む固形灰分とを生成する。前記第1ガス生成物と第2ガス生成物を混ぜ合わせて、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)及びタールを含む生シンガスを生成する。この生シンガスは約0.75より大きいCO/CO2モル比を有する。生シンガスをタール破壊ゾーン内で第3分子酸素含有ガスと接触させて前記高温シンガスを生成する。タール破壊ゾーンは900℃より高い温度を有する。高温シンガス中のCO/CO2モル比は約0.75より大きく、かつ固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比は約0.1未満である。固形灰分の炭素含量は約10質量%未満である。
【0007】
1つ以上の炉床を含むガス化ゾーン;1つ以上の炉床を含む、ガス化ゾーンに続く燃焼ゾーン(ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンは、約0.75より大きいCO/CO2モル比を有し、かつ固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比が約0.1未満である生シンガスを形成するのに有効である);及び生シンガスをガス化ゾーン及び燃焼ゾーンから接続ゾーンを介して受けるのに有効なタール破壊ゾーン;を含むガス化装置を提供する。一態様では、ガス化ゾーンは10個までの炉床を含む。一態様では、燃焼ゾーンは5個までの炉床を含む。別の態様では、ガス化装置は、ガス化ゾーンから燃焼ゾーンへ炭素質材料を移動するのに有効な少なくとも1つの固体移動デバイスを含む。ガス化装置は、ガス化ゾーン、燃焼ゾーン及びタール破壊ゾーン内に少なくとも1つのガス入口を含でもよい。
本方法の上記及び他の態様、いくつかの態様の特徴及び利点は、以下の図面からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ガス化ゾーンと燃焼ゾーンとを含むガス化装置の概略図である。
図2】ガス化ゾーンと燃焼ゾーンとを含み、ガス化ゾーンが4つのセクション又は炉床を含むガス化装置の概略図である。
図3】ガス化ゾーンと燃焼ゾーンとを含み、ガス化ゾーンが4つのセクション又は炉床を含み、燃焼ゾーンが2つのセクション又は炉床を含むガス化装置の概略図である。
図4】ガス化ゾーンと、燃焼ゾーンと、タール低減ゾーンとを含み、ガス化ゾーンが5つのセクション又は炉床を含むガス化装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、ガス化ゾーンと燃焼ゾーンとを含むガス化装置の概略図である。ここで図1を参照すると、ガス化装置(10)はガス化ゾーン(103)と燃焼ゾーン(200)を含む。ガス化ゾーンは、ガス(例えば、酸素含有ガス、蒸気、二酸化炭素)を添加するための1つの入口:入口102を含み;燃焼ゾーンはガスを添加するための1つの入口:入口202を含む。炭素質材料フィード(101)をガス化ゾーン(103)に添加することができる。固形灰分の蒸気(205)を燃焼ゾーン(200)から除去することができる。生シンガスの蒸気(105)をガス化ゾーン(103)から除去することができる。
図2は、ガス化ゾーンと燃焼ゾーンとを含み、ガス化ゾーンが4つのセクション又は炉床を含むガス化装置の概略図である。ここで図2を参照すると、ガス化装置(11)はガス化ゾーン(113)と燃焼ゾーン(230)を含む。ガス化ゾーン(113)は4つのガス化炉床:炉床-I(310)、炉床-II(320)、炉床-III(330)、及び炉床-IV(340)を含む。各ガス化炉床は、ガスを添加するための1つの入口:炉床-Iにはガス入口111、炉床-IIにはガス入口121、炉床-IIIにはガス入口131、及び炉床-IVにはガス入口141を含む。燃焼ゾーンは、ガスを添加するための1つの入口:ガス入口202を含む。炭素質材料フィード(101)をガス化ゾーン(113)の炉床-I(入口炉床)に添加することができる。固形灰分の蒸気(205)を燃焼ゾーン(230)から除去することができる。生シンガスの蒸気(105)をガス化ゾーン(113)から除去することができる。
図3は、ガス化ゾーンと燃焼ゾーンとを含み、ガス化ゾーンが4つのセクション又は炉床を含み、燃焼ゾーンが2つのセクション又は炉床を含むガス化装置の概略図である。ここで図3を参照すると、ガス化装置(12)はガス化ゾーン(123)と燃焼ゾーン(232)を含む。ガス化ゾーン(123)は4つのガス化炉床:炉床-I(410)、炉床-II(420)、炉床-III(430)、及び炉床-IV(440)を含む。各ガス化炉床は、ガスを添加するための1つの入口:炉床-Iにはガス入口411、炉床-IIにはガス入口421、炉床-IIIにはガス入口431、及び炉床-IVにはガス入口441を含む。燃焼ゾーンは2つの炉床:炉床-V(416)、炉床-VI(220)を含む。各燃焼炉床は、ガスを添加するための1つの入口:炉床-Vにはガス入口511、及び炉床-VIにはガス入口521を含む。炭素質材料フィード(101)をガス化ゾーン(123)の炉床-I(入口炉床)に添加することができる。固形灰分の蒸気(205)を燃焼ゾーン(232)の炉床-VI(出口炉床)から除去することができる。生シンガスの蒸気(105)をガス化ゾーン(123)から除去することができる。
図4は、ガス化ゾーンと、燃焼ゾーンと、タール低減ゾーンとを含み、ガス化ゾーンが5つのセクション又は炉床を含むガス化装置の概略図である。ここで図4を参照すると、ガス化装置(13)はガス化ゾーン(143)、燃焼ゾーン(500)、接続ゾーン又はのど(スロート)部(300)及びタール低減ゾーン(400)を含む。ガス化ゾーン(143)は5つのガス化炉床:炉床-I(110)、炉床-II(120)、炉床-III(130)、炉床-IV(140)、及び炉床-V(150)を含む。各ガス化炉床は、ガスを添加するための1つの入口:炉床-Iにはガス入口611、炉床-IIにはガス入口621、炉床-IIIにはガス入口631、炉床-IVにはガス入口641、炉床-Vにはガス入口651を含む。燃焼ゾーンはガスを添加するための1つの入口:ガス入口202を含む。接続ゾーン又はのど部(300)はガスを添加するための1つの入口:ガス入口301を含む。炭素質材料フィード(101)をガス化ゾーン(143)の炉床-I(入口炉床)に添加することができる。固形灰分の蒸気(205)を燃焼ゾーン(500)から除去することができる。高温シンガスの蒸気(405)をタール低減ゾーン(400)から除去することができる。
【0010】
図面の数図を通じて対応する参照記号は対応する構成要素を表す。当業者は、簡単かつ明瞭にするために図中の要素を示してあり、必ずしも縮尺に合わせて描かなくてよいことを理解しているであろう。例えば、本方法及び装置の種々の態様の理解を深める助けになるように図中のいくつかの要素の寸法を他の要素に比べて拡大してよい。また、これらの種々の態様が見えにくくならないように、商業的に実行可能な態様で有用又は必要である共通の十分理解されている要素は描画されないことが多い。
【0011】
詳細な説明
定義
特に指定のない限り、本開示ではこの明細書全体を通じて下記用語を以下のように定義し、用語は以下に規定する定義の単数又は複数形を包含し得る。
いずれの量をも修飾する用語「約」は、実世界条件内、例えば、研究室、パイロットプラント、又は生産施設内で遭遇される当該量の変動を表す。例えば、「約」で修飾されるときの混合物又は量に使用される成分又は測定値の量には、生産プラント又は研究室で実験条件下にて測定する際に典型的に払われる配慮の変動及び度合が含まれる。例えば、「約」で修飾されるときの生成物の成分の量には、プラント又は研究室内の複数実験のバッチ間の変動及び分析方法に固有の変動が含まれる。「約」による修飾の有無にかかわらず、量には当該量に等価な量が含まれる。本明細書で言及され、「約」で修飾されるいずれの量をも本開示では「約」で修飾されない量として利用することもできる。
【0012】
本明細書で用いる「炭素質材料」は、例えば石炭、及び石油化学製品等の炭素に富む材料を表す。しかしながら、本明細書では、炭素質材料には、固体、液体、気体、又はプラズマ状態であれ、いずれの炭素材料も含まれる。炭素質材料と考えられる多数のアイテムのうち、本開示は以下のものを企図する:炭素質材料、炭素質液体製品、炭素質産業液体再生品、炭素質一般固形廃棄物(MSW又はmsw)、炭素質都市廃棄物、炭素質農業材料、炭素質林業材料、炭素質木材廃棄物、炭素質建築材料、炭素質植物材料、炭素質産業廃棄物、炭素質発酵廃棄物、炭素質石油化学副産物、炭素質アルコール製造副産物、炭素質石炭、タイヤ、プラスチック、廃棄プラスチック、コークス炉タール、軟質繊維(fibersoft)、リグニン、黒液、ポリマー、廃棄ポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PETA)、ポリスチレン(PS)、下水汚泥、動物廃棄物、作物残渣、エネルギー作物、森林加工残渣、木材加工残渣、畜産廃棄物、家禽廃棄物、食品加工残渣、発酵過程廃棄物、エタノール副産物、廃穀物(spent grain)、廃微生物(spent microorganisms)、又はそれらの組合せ。
用語「軟質繊維(“fibersoft”又は“Fibersoft”又は“fibrosoft”又は“fibrousoft”」は、種々の物質の軟化及び濃縮の結果として生じるタイプの炭素質材料を意味し;一例では、炭素質材料は種々の物質の蒸気オートクレーブによって生成される。別の例では、軟質繊維は、一般廃棄物、産業廃棄物、商業廃棄物、医療廃棄物の蒸気オートクレーブの結果として生じる繊維性粥状材料を含み得る。
用語「一般固形廃棄物」又は「MSW」又は「msw」は家庭廃棄物、商業廃棄物、産業廃棄物及び/又は残留廃棄物を含む廃棄物を意味する。
【0013】
用語「シンガス」又は「合成ガス」は、各種量の一酸化炭素及び水素を含有するガス混合物に与えられる名称である合成ガスを意味する。製造方法の例としては、水素を生成するための天然ガス又は炭化水素の水蒸気改質、石炭及びいくつかのタイプの廃棄物発電ガス化施設におけるガス化が挙げられる。この名称は合成天然ガス(SNG)生成の際及びアンモニア又はメタノールの製造のための中間体としてのそれらの使用に由来する。シンガスは、フィッシャー・トロプシュ合成及び以前はMobilのメタノール-ガソリン(methanol to gasoline)法によって燃料又は潤滑油として用いる合成石油を製造する際の中間体としての使用を含む。シンガスは、主に水素、一酸化炭素、及びいくらかの二酸化炭素から成り、天然ガスの半分未満のエネルギー密度(すなわち、BTU含量)を有する。シンガスは可燃性であり、他の化学薬品の製造用燃料源として又は中間体として用いられることが多い。
【0014】
「トン(“Ton”又は“ton”)」は米国ショートトン、すなわち約907.2kg(2000lbs)を表す。
本明細書では、用語「タール」としては、限定するものではないが、気体タール、液体タール、固体タール、タール生成物質、又はその混合物が挙げられ、一般的に炭化水素及びその誘導体を含む。タールを測定するために利用し得る多数の周知のタール測定方法が存在する。1つの大ファミリーの手法としては、検出器と一体となった液相又は気相クロマトグラフィーに基づいた分析方法がある。タールの測定の場合の最も頻度の高い検出器は、炎イオン化検出器(FID)及び質量分析計である。別のファミリーの手法としては、スペクトルの検出及び分析を含む分光法がある。これは例えば赤外、紫外(UV)又はルミネセンス分光法、及びLIBS(レーザー誘起破壊分光(Laser-Induced Breakdown Spectroscopy))法である。燃焼ガスのモニタリングの別の手法はFTIR(フーリエ変換赤外)分光法である。例えばWO2006015660、WO03060480及び米国特許第5,984,998号等の多岐にわたる文書がこの手法に言及している。
タールの連続的なモニタリングを可能にする他の既知の電子的方法が存在する。これらの手法には、電気化学セルを備えた検出器及び半導体を備えたセンサーが含まれる。タール測定のために種々の質量分析法を利用してもよい。一態様では、タールの量を炭素の等価ppmとして表すことができる。この態様では、炭化水素はベンゼン又はアルコール、例えばメタノールであってよい。この態様では、タール含量の低減は約10ppm未満のベンゼンに等価なタール濃度又は約10ppm未満のベンゼンに相当するタール等価物を意味する。
【0015】
詳細な説明
下記説明は限定的意味で解釈すべきでなく、例示実施形態の一般原理を説明するという目的のためだけに構成されている。本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照して決定すべきである。
シンガスを生成するための炭素質材料のガス化のための方法及び装置を提供する。本方法では、炭素質材料のガス化のためにガス化装置を使用する。ガス化装置はガス化ゾーンと燃焼ゾーンを含む。炭素質材料フィードをガス化装置のガス化ゾーンに導入する。炭素質材料の化学変換を開始及び促進するため、第1分子酸素含有ガスをガス化ゾーンに供給して、炭素質材料フィードを分子酸素で処理する。炭素質材料フィードの一部をガス化ゾーン内でガス化して第1ガス生成物を生成する。炭素質材料からの一酸化炭素の形成を優先的に促進するため、ガス化装置、特にガス化ゾーン内への酸素の供給を制御する。一酸化炭素の生成を促進するため、準化学量論量の酸素を供給する。この作用は、ガス化ゾーン内で炭素質材料の不完全な変換を引き起こし;炭素質材料の一部だけがガス化ゾーン内でガス化される。炭素質材料の残存部分を燃焼ゾーンに移す。炭素質材料の未変換部分のガス成分への化学変換を促進するため、第2分子酸素含有ガスを燃焼ゾーンに供給して、炭素質材料の残存部分を分子酸素で処理する。このようにして前記炭素質材料のさらなる部分を燃焼ゾーン内でガス化して第2ガス生成物を生成する。第1ガス生成物と第2ガス生成物を混ぜ合わせて生シンガスを形成する。
【0016】
一態様ではガス化ゾーンと燃焼ゾーンは物理的に別々のユニットである。一態様ではガス化ゾーンと燃焼ゾーンは1つの単一ユニットの一部である。ガス化ゾーンは、従来技術で開示されているいずれのガス化設備であってもよく、例えば、限定するものではないが、移動床、固定床、流動床、飛沫同伴(entrained)流、向流(「上向き通風」)、並流(「下向き通風」)、向流固定床、並流固定床、向流移動床、並流移動床直交通風(cross draft)、ハイブリッド、直交流、直交流移動床、又はその一部であってよい。燃焼ゾーンは、従来技術で開示されているいずれのガス化設備であってもよく、例えば、限定するものではないが、移動床、固定床、流動床、飛沫同伴流、向流(「上向き通風」)、並流(「下向き通風」)、向流固定床、並流固定床、向流移動床、並流移動床直交通風、ハイブリッド、直交流、直交流移動床、又はその一部であってよい。一態様では燃焼ゾーンの少なくとも一部では固体流は下向きで、ガス流は上向きである。一態様では、ガス化ゾーンは直交流ユニットであり、燃焼ゾーンは向流ユニットである。一態様では、ガス化ゾーンは直交流ユニットであり、燃焼ゾーンは向流移動床ユニットである。一態様では、ガス化ゾーンは直交流移動床ユニットであり、燃焼ゾーンは、ガスが上向きに流れ、固体が下向きに移動する向流ユニットである。
【0017】
一態様では、ガス化ゾーンは、前記炭素質材料を第1分子酸素含有ガス並びに必要に応じて蒸気及びCO2の1種以上と接触させて前記炭素質材料の一部をガス化して第1ガス生成物を生成するための1つ以上のセクション又はガス化炉床を含み得る。種々の態様では、ガス化ゾーンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のセクション又はガス化炉床を含み得る。一態様では、燃焼ゾーンは、前記炭素質材料の残存部分を第2分子酸素含有ガスと接触させて前記炭素質材料のさらなる部分をガス化して第2ガス生成物及び固形灰分を生成するための1つ以上の燃焼炉床を含む。種々の態様では、燃焼ゾーンは、1、2、3、4、又は5個のセクション又は燃焼炉床を含み得る。一態様では、ガス化装置は1つのガス化炉床と1つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は2つのガス化炉床と1つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は3つのガス化炉床と1つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は4つのガス化炉床と1つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は5つのガス化炉床と1つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は2つのガス化炉床と2つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は3つのガス化炉床と2つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は4つのガス化炉床と2つの燃焼炉床を含む。一態様では、ガス化装置は5つのガス化炉床と2つの燃焼炉床を含む。一態様では、前記ガス化炉床の1つ以上を用いて前記炭素質材料の予熱を達成し得る。前記第1ガス生成物及び前記第2ガス生成物の1つ以上との熱交換によって前記予熱を達成することができる。一態様では、前記燃焼炉床の1つ以上は、上向流のガスと下向流の固体に適した配置を実現する。
【0018】
上記方法で生成される生シンガスは、下流の操作及び使用に望ましくないタールを含むことが多い。生シンガスのタール含量の低減は、前記生シンガスをタール破壊ゾーン内で第3酸素含有ガスと接触させることによって達成可能である。前記生シンガスに含まれるタールの部分酸化及び/又は分解をタール低減ゾーン内で達成する。このようにしてタールを含まないか又は実質的に低いタール含量の高温ガスを生成する。従って、一態様では、前記ガス化装置は、前記第1ガス生成物と前記第2ガス生成物とを含む前記生シンガスを第3酸素含有ガスで処理するためのタール低減ゾーンを含む。タール低減ゾーンは、円形又は正方形又は矩形又はいずれの他の断面でもよい水平又は垂直チャンバーであってよい。タール低減ゾーンは、水平又は垂直方向に対して傾いていてよい。タール低減ゾーンをガス化ゾーン若しくは燃焼ゾーン又はガス化ゾーンと燃焼ゾーンの両方に1つ以上の接続ゾーン又はのど部を介して接続することができる。一態様では、タール低減ゾーンを1つの接続ゾーンを介してガス化ゾーンに接続する。ガス入口をタール低減ゾーンに直接取り付けることができる。1つ以上のガス入口を1つ以上の接続ゾーン(のど部)に取り付けることができる。第3分子酸素含有ガスをタール低減ゾーンに直接導入することができる。1つ以上の接続ゾーンに取り付けられた1つ以上のガス入口を介して第3分子酸素含有ガスをタール低減ゾーンに導入することができる。
【0019】
第1分子酸素含有ガスの導入用のガス入口をガス化ゾーン又はその中に含まれる1つ以上の炉床に取り付けることができる。第2分子酸素含有ガスの導入用ガス入口を燃焼ゾーン又はその中に含まれる1つ以上の炉床に取り付けることができる。これらのガス入口の1つ以上を介して蒸気又はCO2を導入してもよい。一態様では、ガス化ゾーン又はその中に含まれる1つ以上の炉床に取り付けられたガス入口を介して第1分子酸素含有ガス、蒸気及びCO2の1種以上を導入し得る。一態様では、ガス化ゾーン又はその中に含まれる1つ以上の炉床に取り付けられたガス入口に供給する前に第1分子酸素含有ガス、蒸気及びCO2の1種以上を前混合する。一態様では、燃焼ゾーン又はその中に含まれる1つ以上の炉床に取り付けられたガス入口に供給する前に第2分子酸素含有ガス、蒸気及びCO2の1種以上を前混合する。
一態様ではガス化ゾーンは入口炉床と、1つ以上のさらなるガス化炉床とを含み、炭素質材料フィードは入口炉床に導入される。一態様では、入口炉床に取り付けられたガス入口を介して第1分子酸素含有ガスを供給しない。一態様では、入口炉床にはガス入口を取り付けない。入口炉床に導入された炭素質材料は、熱を含有する第1ガス生成物及び第2ガス生成物の1つ以上と任意に接触する。従って前記第1ガス生成物及び第2ガス生成物の1つ以上に含まれる熱が炭素質材料と熱交換することによって炭素質材料の乾燥又は前乾燥が達成される。このようにして乾燥又は前乾燥された炭素質材料が引き続く炉床に移動する。炭素質材料の一部の熱分解又はガス化は入口炉床内でも起こり得る。
【0020】
移動ラム等の1つ以上の機械的デバイスを用いて、ガス化ゾーン内部の固体の移動、例えば1つのガス化炉床から次の炉床への移動、及び燃焼ゾーン内部の固体の移動、例えば1つの燃焼炉床から次の炉床への移動を促進して、ガス化ゾーンから燃焼ゾーンへの固体の移動を促進することができる。一態様では、固体の移動を促進するため、ガス化ゾーンの底部は燃焼ゾーンの底部より上のレベルに位置する。一態様では、固体が入口炉床から燃焼ゾーンへ移動するように、いずれのガス化炉床の底部をも前の炉床の底部より低いレベルに配置する。一態様では、固体が出口炉床に向かって移動するように、いずれの燃焼炉床をも前の炉床の底部より低いレベルに配置する。一態様では、固体が出口炉床へ向かって移動するように、いずれの燃焼炉床をも前の炉床の底部より低いレベルに配置する。ガス化ゾーンが入口炉床及び1つ以上のさらなるガス化炉床を含む態様では、入口炉床では移動ラムを使用せず;この入口炉床では、さらなるフィード固体(炭素質材料)を供給することによって、固体を次のガス化炉床の中へ押し込む。一態様では、燃焼ゾーン内で1つ以上の移動ラム(灰分除去ラム)を用いて固形灰分を除去する。いくつかの方法を利用して燃焼ゾーンから固形灰分を除去することができる。一態様では、燃焼ゾーン内への空気漏れを最小限にし、好ましくは回避するため、水をシールとして用いて灰分除去ラムが固形灰分を水のプールの中へ押し込む、水シールを利用する。次にコンベアベルトを用いて湿った灰分を水から出す。別の態様では、ロックホッパーシステムを介して灰分を除去して、燃焼ゾーン内への空気漏れを最小限にし、好ましくは回避する。例えば上部灰分ドアと下部灰分ドアとを含んでなる二重灰分ドアを用いてシールを形成することができる。一態様では、下部灰分ドアを閉じたままにしてシールを形成しながら、上部灰分ドアを開いて灰分を下向きに非燃焼ゾーン内へ落とすと、その中で灰分が冷め得る。灰分を除去するためには、まず最初に上部灰分ドアを閉じてシールを形成してから下部灰分ドアを開き、冷却した灰分を灰分除去ラムがガス化装置から押出す。この方法は乾燥灰分を取り出すので、灰分を直接利用するいずれの場合にも灰分の該直接利用の前に乾燥する必要がないことから有利であり得る。
【0021】
ガス化装置内では炭素質材料のガス化を促進するのに十分高い温度が達成される。しかしながら、温度は、炭素質材料フィードに含まれる非炭素質鉱物質がガス化装置内部で融解しないように十分低く維持される。換言すれば、ガス化ゾーン又は燃焼ゾーンのいずれの部分の温度も前記非炭素質鉱物質を含む灰分の融点温度を超えてはならない。典型的に、ガス化ゾーン内のみならず燃焼ゾーン内でも800℃を超えない気相温度が維持される。一態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の温度は260〜800℃の範囲内に維持される。従って前記非炭素質鉱物質を含む固形灰分は燃焼ゾーン内に蓄積し、固形灰分の蒸気は燃焼ゾーンから除去される。
タール低減ゾーンは短い接触時間を与えるが、タールの十分な破壊を確実にするのに十分に高い温度で操作される。タール低減ゾーン内の温度は900〜2000℃であってよい。タール低減ゾーン内における反応時間又は接触時間は、約0.5〜約5秒の範囲内であり得る。
【0022】
一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO2)を含み得る生シンガスが生成される。生シンガスには、より多くのCOとより少ないCO2が含まれることが望ましい。一態様では、前記生シンガスのCO/CO2モル比は約0.75より大きい。一態様では、前記生シンガスのCO/CO2モル比は約1.0より大きい。一態様では、前記生シンガスのCO/CO2モル比は約1.5より大きい。高温シンガスは一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO2)を含み得る。高温シンガスには、より多くのCOとより少ないCO2が含まれることが望ましい。一態様では、前記高温シンガスのCO/CO2モル比は約0.75より大きい。一態様では、前記高温シンガスのCO/CO2モル比は約1.0より大きい。一態様では、前記高温シンガスのCO/CO2モル比は約1.5より大きい。
非炭素質鉱物質を含有することに加えて、固形灰分は未変換炭素又は未変換炭素質物質を含み得る。一態様では、前記固形灰分の炭素含量は約10wt%未満である。一態様では、固形灰分の炭素含量は約5wt%未満である。一態様では、固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比は約0.1未満である。一態様では、固形灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比は約0.01未満である。
灰分の炭素含量及び炭素質材料フィードの炭素含量は、炭素又は炭素を含有する化学薬品に関係する。この態様では、多くの既知技法を利用して炭素含量を測定することができる。炭素を測定するために使用し得るいくつかの技法としては、限定するものではないが、強熱減量(LOI)試験、熱質量分析(TGA)、レーザープローブに基づいた光学的方法、マイクロ波照射を用いる方法、核磁気共鳴(NMR)を用いる方法、及び種々のASTM法(例えばASTM D6316参照)が挙げられる。
【0023】
前記炭素質材料フィード内の分子酸素含有ガスの不均等な分布のため、前記ガス化装置内には、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーン、又はその中に含まれる炉床の1つ以上に望ましくないホットスポットが生じることがある。これは生成される生シンガスの低品質をもたらし得る。ホットスポットは灰分の局所的融解を引き起こす恐れもある。前記ガス化ゾーン及び前記燃焼ゾーンの1つ以上に蒸気及び二酸化炭素の1種以上を注入することによってホットスポットの形成を低減又は防止することができる。従って、望ましくないホットスポットを防止するため、炭素質材料フィードをガス化ゾーン内で分子酸素と共に蒸気で処理してよい。炭素質材料フィードをガス化ゾーン内で分子酸素と共にCO2ガスで処理してよい。炭素質材料フィードを燃焼ゾーン内で分子酸素と共に蒸気で処理してよい。炭素質材料フィードを燃焼ゾーン内で分子酸素と共にCO2ガスで処理してよい。従って第1分子酸素含有ガスは蒸気及び二酸化炭素の1種以上を含み、第2分子酸素含有ガスは蒸気及び二酸化炭素ガスの1種以上を含んでよい。
【0024】
上述したように、一酸化炭素の生成を促進するため準化学量論量の酸素をガス化ゾーンに供給する。従って、一態様では、第1分子酸素含有ガス及び第2酸素含有ガスに含まれる分子酸素の総量と、炭素質材料フィードに含まれる全ての炭素を完全に二酸化炭素に酸化するのに必要な分子酸素の総量との比は0.1〜0.9の範囲内である。一態様では、第1分子酸素含有ガス及び第2酸素含有ガスに含まれる分子酸素の総量と、炭素質材料フィードに含まれる全ての炭素を完全に二酸化炭素に酸化するのに必要な分子酸素の総量との比は0.1〜0.9の範囲内である。一態様では、第1分子酸素含有ガス、第2酸素含有ガス及び第3酸素含有ガスに含まれる分子酸素の総量と、炭素質材料フィードに含まれる全ての炭素を完全に二酸化炭素に酸化するのに必要な分子酸素の総量との比は0.1〜0.9の範囲内である。一態様では、第1分子酸素含有ガス、第2酸素含有ガス及び第3酸素含有ガスに含まれる分子酸素の総量と、炭素質材料フィードに含まれる全ての炭素を完全に二酸化炭素に酸化するのに必要な分子酸素の総量との比は0.1〜0.9の範囲内である。
【0025】
固形灰分中の低い炭素含量及び生シンガス中の高いCO/CO2比を達成するためには、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の温度並びにガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内への酸素の供給比率の慎重な制御が必要である。燃焼ゾーンには、ガス化ゾーンに供給される炭素質材料中の利用可能な炭素の単位量当たりの酸素の量に比べて、高い量の、炭素質材料中の利用可能な炭素の単位量当たりの酸素が供給される。従ってガス化ゾーンに入る炭素質材料フィード中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量は、燃焼ゾーンに入る炭素質材料フィードの未変換部分中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量未満である。ガス化ゾーンに入る炭素質材料フィード中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量は0.1〜2.0lb/lbを含む範囲内であり得る。燃焼ゾーンに入る炭素質材料フィードの未変換部分中の総炭素の単位質量当たりの総酸素の質量は0.25〜2.5lb/lbを含む範囲内であり得る。炭素質材料に含まれるいずれの化学的に結合した酸素のみならず供給されるいずれの蒸気又はCO2に含まれる化学的に結合した酸素も炭素質材料の化学変換及びガス化に関与し得る。従って、供給すべき分子酸素の量を決定する際には、炭素質材料に含まれるいずれの化学的に結合した酸素のみならず供給されるいずれの蒸気又はCO2に含まれる化学的に結合した酸素をも考慮することが重要である。
【0026】
分子酸素を供給するため前記第1分子酸素含有ガスは空気を含んでよい。分子酸素を供給するため前記第1分子酸素含有ガスは酸素富化空気を含んでよい。分子酸素を供給するため前記第1分子酸素含有ガスは純粋酸素を含んでよい。分子酸素を供給するため前記第2分子酸素含有ガスは空気を含んでよい。分子酸素を供給するため前記第2分子酸素含有ガスは酸素富化空気を含んでよい。分子酸素を供給するため前記第2分子酸素含有ガスは純粋酸素を含んでよい。
一態様では、分子酸素含有ガスは1つ以上のガス化炉床内部に水平方向に分布する。一態様では、分子酸素含有ガスは1つ以上の燃焼炉床内で垂直方向に分布する。一態様では、1つ以上の燃焼炉床内の分子酸素含有ガスの導入は不連続的である。一態様では、1つ以上のガス入口は冷却デバイスを備えている。一態様では、前記冷却デバイスの1つ以上はガス入口上のウォータージャケットである。一態様では、1つ以上のガス入口は移動ラムから伸長している。一態様では、分子酸素含有ガスの導入のために移動ラムの表面上の添加ノズルを使用する。
第3分子酸素含有ガスは空気を含んでよい。第3分子酸素含有ガスは酸素富化空気を含んでよい。第3分子酸素含有ガスは純粋酸素を含んでよい。
一態様では、同じ分子酸素含有ガスをガス化ゾーン、燃焼ゾーン及びタール低減ゾーンの1つ以上に供給する。一態様では、異なる分子酸素含有ガスをガス化ゾーン、燃焼ゾーン及びタール低減ゾーンの1つ以上に供給する。
【0027】
前記分子酸素含有ガスを介してガス化ゾーン及び燃焼ゾーンに導入される分子酸素の総量は、無水ベースで炭素質材料1トン当たり約0〜約75lb(34kg)-モルの範囲内であり得る。種々の態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンに供給される分子酸素の量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり0〜5、0〜50(23)、0〜75(34)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50(23)、50(23)〜55(25)、55(25)〜60(27)、60(27)〜65(29)、及び65(29)〜70lb(32kg)-モル。種々の態様では、ガス化炉床及び燃焼炉床の1つ以上に供給される分子酸素の量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たりり0〜5、0〜50(23)、0〜75(34)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50(23)、50(23)〜55(25)、55(25)〜60(27)、60(27)〜65(29)、及び65(29)〜70lb(32kg)-モル。
ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンに導入される蒸気の総量は、無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり約0〜約50lb(23kg)-モルの範囲内であり得る。種々の態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンの1つ以上に添加される蒸気の量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり0〜5(2.3)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50lb(23kg)-モル。種々の態様では、ガス化炉床及び燃焼炉床の1つ以上に添加される蒸気の量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり0〜5(2.3)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50lb(23kg)-モル。
【0028】
ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンに導入される二酸化炭素ガスの総量は、無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり約0〜約50lb(23kg)-モルの範囲内であり得る。種々の態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンの1つ以上に添加される二酸化炭素ガスの量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり0〜5(2.3)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50lb(23kg)-モル。種々の態様では、ガス化炉床及び燃焼炉床の1つ以上に添加される二酸化炭素ガスの量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり0〜5(2.3)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50lb(23kg)-モル。
一態様では、蒸気と二酸化炭素ガスが両方ともガス化ゾーンに導入される。一態様では、酸素を供給する1つ以上のラインに蒸気及び二酸化炭素ガスの1種以上が注入され、分配ノズル直前で酸素ラインと混じり合う。
タール低減ゾーンに添加される酸素の総量は、無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり約0〜約75lb(34kg)-モルの範囲内であり得る。種々の態様では、タール低減ゾーンに供給される分子酸素の量としては下記から選択される範囲が挙げられる:無水ベースで炭素質材料フィード1トン当たり0〜5、0〜50(23)、0〜75(34)、5(2.3)〜10(4.5)、10(4.5)〜15(6.8)、15(6.8)〜20(9.1)、20(9.1)〜25(11)、25(11)〜30(14)、30(14)〜35(16)、35(16)〜40(18)、40(18)〜45(20)、45(20)〜50(23)、50(23)〜55(25)、55(25)〜60(27)、60(27)〜65(29)、及び65(29)〜70lb(32kg)-モル。
【0029】
前記ガス化装置の一態様では、可燃性及び毒性シンガスの環境内への漏出を避けるために圧力は負圧(準大気圧)で維持される。しかしながら、この作用はガス化装置内へ、例えば移動ラム及びドア周囲への空気漏れにつながる。該空気漏れは生シンガスの損失をもたらし得る。それは生シンガスの希釈を引き起こすこともある。従って空気漏れを減らすためにはガス化装置通風の慎重な制御が必要である。ガス化装置通風を0.01(2.5)〜0.5インチ水(125Pa)の範囲内の負圧(準大気圧)で制御することができる。これを達成する一手段は、手作業でファン速度を設定して(高温シンガス温度を制御し)、固体及び酸素供給比率を調整して通風を制御することによる。炭素質材料床下の二酸化炭素及び蒸気の1種以上の流量制御を利用して通風制御を達成することもできる。一態様では、例えば始動中に、圧力を大気圧又は大気圧より高くしてよい。
炭素質材料フィードを圧縮するスクリューフィーダーを使用することによって、酸素とともに入る空気を減らすことができる。パージドロックホッパー(purged lock hopper)を用いて酸素とともに入る空気を減らすこともできる。一態様では、例えば始動中に、空気漏れを許容してよい。
一態様では、特に始動を促進するため、天然ガス等のメタン含有ガスをガス化ゾーン、燃焼ゾーン及びタール低減ゾーンの1つ以上に導入する。
ガス化装置に供給される炭素質材料は下記から選択し得る:炭素質材料、炭素質液体製品、炭素質産業液体再生品、炭素質一般固形廃棄物(MSW又はmsw)、炭素質都市廃棄物、炭素質農業材料、炭素質林業材料、炭素質木材廃棄物、炭素質建築材料、炭素質植物材料、炭素質産業廃棄物、炭素質発酵廃棄物、炭素質石油化学副産物、炭素質アルコール製造副産物、炭素質石炭、タイヤ、プラスチック、廃棄プラスチック、コークス炉タール、軟質繊維、リグニン、黒液、ポリマー、廃棄ポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PETA)、ポリスチレン(PS)、下水汚泥、動物廃棄物、作物残渣、エネルギー作物、森林加工残渣、木材加工残渣、畜産廃棄物、家禽廃棄物、食品加工残渣、発酵過程廃棄物、エタノール副産物、廃穀物、廃微生物、又はそれらの組合せ。
本開示の一態様ではガス化装置に供給される炭素質材料フィードは、炭素質材料、炭素質液体製品、炭素質産業液体再生品、炭素質一般固形廃棄物(MSW又はmsw)、炭素質都市廃棄物、炭素質農業材料、炭素質林業材料、炭素質木材廃棄物、炭素質建築材料、炭素質植物材料、炭素質産業廃棄物、炭素質発酵廃棄物、炭素質石油化学副産物、炭素質アルコール製造副産物、炭素質石炭、タイヤ、プラスチック、廃棄プラスチック、コークス炉タール、軟質繊維、リグニン、黒液、ポリマー、廃棄ポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PETA)、ポリスチレン(PS)、下水汚泥、動物廃棄物、作物残渣、エネルギー作物、森林加工残渣、木材加工残渣、畜産廃棄物、家禽廃棄物、食品加工残渣、発酵過程廃棄物、エタノール副産物、廃穀物、廃微生物、又はそれらの組合せから選択される複数の炭素質材料を含む。
【0030】
一態様では、前記炭素質材料は水を含む。一態様では、前記炭素質材料は約50wt%未満の水を含む。一態様では、前記炭素質材料は約25wt%未満の水を含む。一態様では、前記炭素質材料は約15wt%未満の水を含む。一態様では、前記炭素質材料の含水量を前乾燥によって減らす。
一態様では、前記炭素質材料は無水ベースで約25wt%より多くの炭素を含む。一態様では前記炭素質材料は無水ベースで約50wt%より多くの炭素を含む。一態様では、前記炭素質材料は無水ベースで約0〜約50wt%の酸素の範囲内の酸素を含む。一態様では前記炭素質材料は無水ベースで約0〜約25wt%の水素の範囲内の水素を含む。一態様では、前記炭素質材料は無水ベースで約25wt%未満の灰分を含む。一態様では前記炭素質材料は無水ベースで約15wt%未満の灰分を含む。
種々の態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンの1つ以上の温度は下記温度範囲から選択され得る:260〜270℃、270〜280℃、280〜290℃、290〜300℃、300〜310℃、310〜320℃、320〜330℃、330〜340℃、340〜350℃、350〜360℃、360〜370℃、370〜380℃、380〜390℃、390〜400℃、400〜410℃、410〜420℃、420〜430℃、430〜440℃、440〜450℃、450〜460℃、460〜470℃、470〜480℃、480〜490℃、490〜500℃、500〜510℃、520〜530℃、530〜540℃、540〜550℃、550〜560℃、560〜570℃、570〜580℃、580〜590℃、590〜600℃、600〜610℃、610〜620℃、620〜630℃、630〜640℃、640〜650℃、650〜660℃、660〜670℃、670〜680℃、680〜690℃、690〜700℃、700〜710℃、710〜720℃、720〜730℃、730〜740℃、740〜750℃、750〜760℃、760〜770℃、770〜780℃、780〜790℃、及び790〜800℃。
種々の態様では、ガス化炉床及び燃焼炉床の1つ以上の温度は下記温度範囲から選択され得る:260〜270℃、270〜280℃、280〜290℃、290〜300℃、300〜310℃、310〜320℃、320〜330℃、330〜340℃、340〜350℃、350〜360℃、360〜370℃、370〜380℃、380〜390℃、390〜400℃、400〜410℃、410〜420℃、420〜430℃、430〜440℃、440〜450℃、450〜460℃、460〜470℃、470〜480℃、480〜490℃、490〜500℃、500〜510℃、520〜530℃、530〜540℃、540〜550℃、550〜560℃、560〜570℃、570〜580℃、580〜590℃、590〜600℃、600〜610℃、610〜620℃、620〜630℃、630〜640℃、640〜650℃、650〜660℃、660〜670℃、670〜680℃、680〜690℃、690〜700℃、700〜710℃、710〜720℃、720〜730℃、730〜740℃、740〜750℃、750〜760℃、760〜770℃、770〜780℃、780〜790℃、及び790〜800℃。
一態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の温度は同一である。一態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の温度は異なる。一態様では、燃焼ゾーン内の温度はガス化ゾーン内の温度より高い。一態様では、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の全ての炉床の温度は同一である。一態様では、異なる炉床は異なる温度で維持される。一態様では、1つ以上の燃焼炉床の温度は1つ以上のガス化炉床の温度より高くてよい。一態様ではガス化ゾーンの入口炉床から燃焼ゾーンの出口炉床へ温度が上昇する。
種々の態様ではタール低減ゾーン内の温度は下記温度範囲から選択され得る:900〜910℃、910〜920℃、920〜930℃、930〜940℃、940〜950℃、950〜960℃、960〜970℃、970〜980℃、980〜990℃、990〜1000℃、1000〜1010℃、1010〜1020℃、1020〜1030℃、1030〜1040℃、1040〜1050℃、1050〜1060℃、1060〜1070℃、1070〜1080℃、1080〜1090℃、1090〜1100℃、1100〜1110℃、1110〜1120℃、1120〜1130℃、1130〜1140℃、1140〜1150℃、1150〜1160℃、1160〜1170℃、1170〜1180℃、1180〜1190℃、1190〜1200℃、1200〜1210℃、1210〜1220℃、1220〜1230℃、1230〜1240℃、1240〜1250℃、1250〜1260℃、1260〜1270℃、1270〜1280℃、1280〜1290℃、1290〜1300℃、1300〜1310℃、1310〜1320℃、1320〜1330℃、1330〜1340℃、1340〜1350℃、1350〜1360℃、1360〜1370℃、1370〜1380℃、1380〜1390℃、1390〜1400℃、1400〜1410℃、1410〜1420℃、1420〜1430℃、1430〜1440℃、1440〜1450℃、1450〜1460℃、1460〜1470℃、1470〜1480℃、1480〜1490℃、1490〜1500℃、1500〜1510℃、1510〜1520℃、1520〜1530℃、1530〜1540℃、1540〜1550℃、1550〜1560℃、1560〜1570℃、1570〜1580℃、1580〜1590℃、1590〜1600℃、1600〜1610℃、1610〜1620℃、1620〜1630℃、1630〜1640℃、1640〜1650℃、1650〜1660℃、1660〜1670℃、1670〜1680℃、1680〜1690℃、1690〜1700℃、1700〜1710℃、1710〜1720℃、1720〜1730℃、1730〜1740℃、1740〜1750℃、1750〜1760℃、1760〜1770℃、1770〜1780℃、1780〜1790℃、1790〜1800℃、1800〜1810℃、1810〜1820℃、1820〜1830℃、1830〜1840℃、1840〜1850℃、1850〜1860℃、1860〜1870℃、1870〜1880℃、1880〜1890℃、1890〜1900℃、1900〜1910℃、1910〜1920℃、1920〜1930℃、1930〜1940℃、1940〜1950℃、1950〜1960℃、1960〜1970℃、1970〜1980℃、1980〜1990℃、1990〜2000℃。
【0031】
図1〜4を参照して本開示の具体的態様について説明する。そこで図1は、ガス化装置(10)が1つのガス化炉床を含んでなるガス化ゾーン(103)と1つの燃焼炉床を含んでなる燃焼ゾーン(200)とを含む、本開示の態様の概略図を提供する。炭素質材料フィード(101)がガス化ゾーンに導入される。第1分子酸素含有ガス(102)がガス化ゾーンに供給される。ガス化ゾーン内で第1ガス生成物が生成される。炭素質材料の未変換部分がガス化ゾーンから燃焼ゾーンへ移動する。第2分子酸素含有ガス(202)が燃焼ゾーンに供給される。燃焼ゾーン内で第2ガス生成物が生成される。固形灰分(205)が燃焼ゾーンから除去される。第1及び第2ガス生成物が混ぜ合わされて生シンガス蒸気(105)が生成され、これはガス化ゾーンから除去される。
【0032】
図2は、ガス化ゾーンが4つのガス化炉床:炉床-I、すなわち入口炉床(310)、炉床-II(320)、炉床-III(330)、及び炉床-IV(340)を含むガス化装置(11)の概略図を示す。炭素質材料フィード(101)がガス化ゾーンの炉床-I(入口炉床)に導入される。ガス化ゾーンの内部には、炉床-I、すなわち入口炉床からの固体が炉床-IIへ移動し;炉床-IIからの固体が炉床-IIIへ移動し;炉床-IIIからの固体が炉床-IVへ移動する。炭素質材料の未変換部分を含む固体がガス化ゾーンの炉床-IVから燃焼ゾーン(230)の中へ移動する。第1分子酸素含有ガスは、それぞれ炉床-I、炉床-II、炉床-III、及び炉床-IVに取り付けられたガス入口111、121、131、及び141を介して異なるガス化炉床に供給される。一態様では、分子酸素含有ガスは炉床-I(入口炉床)内に導入されない。第2分子酸素含有ガスはガス入口202を介して燃焼ゾーンに供給される。固形灰分(205)は燃焼ゾーンから除去される。
1つ以上の機械的デバイス(図示せず)、例えば移動ラム等を用いて、1つの炉床から次の炉床へ又は1つのゾーンから次のゾーンへ、例えば図2では、炉床-Iから炉床-IIへ、炉床-IIから炉床-IIIへ、炉床-IIIから炉床-IVへ、ガス化ゾーンの炉床-IVから燃焼ゾーンへの固体の移動を促進することができる。一態様では、炉床-I、すなわち入口炉床では移動ラムを使用せず、さらにフィード固体(炭素質材料)を供給することによって固体を次の炉床の中へ押し込む。
【0033】
図3は、ガス化ゾーン(123)が4つの炉床:炉床-I、すなわち入口炉床(410)、炉床-II(420)、炉床-III(430)、及び炉床-IV(440)を含むガス化装置(12)の概略図を示す。燃焼ゾーン(232)は2つの炉床:炉床-V(416)、及び出口炉床である炉床-VI(220)を含む。炭素質材料フィード(101)はガス化ゾーンの炉床-I(入口炉床)に導入される。ガス化ゾーンの内部では、炉床-I、すなわち入口炉床からの固体が炉床-IIに移動し;炉床-IIからの固体が炉床-IIIに移動し;炉床-IIIからの固体が炉床-IVに移動する。炭素質材料の未変換部分はガス化ゾーンの炉床-IVから燃焼ゾーンの炉床-Vへ移動する。燃焼ゾーンの内部では、炉床-Vからの固体が炉床-VI(出口炉床)へ移動する。第1分子酸素含有ガスは、それぞれ炉床-I、炉床-II、炉床-III、及び炉床-IVに取り付けられたガス入口411、421、431、及び441を介して異なるガス化炉床へ供給される。一態様では、分子酸素含有ガスは炉床-I(入口炉床)内へ導入されない。第2分子酸素含有ガスは、それぞれ炉床-V、及び炉床-VI(出口炉床)に取り付けられたガス入口511、及び521を介して異なるガス化炉床に供給される固形灰分(205)は燃焼ゾーンの炉床VI(出口炉床)から除去される。
1つ以上の機械的デバイス(図示せず)、例えば移動ラム等を用いて、1つの炉床から次の炉床へ又は1つのゾーンから次のゾーンへ、例えば図3では、炉床-Iから炉床-IIへ、炉床-IIから炉床-IIIへ、炉床-IIIから炉床-IVへ、ガス化ゾーンの炉床-IVから燃焼ゾーンの炉床-Vへ、及び炉床-Vから炉床-VIへの固体の移動を促進することができる。一態様では、炉床-I、すなわち入口炉床では移動ラムを使用せず、さらにフィード固体(炭素質材料)を供給することによって固体を次の炉床の中へ押し込む。
【0034】
図4は、ガス化ゾーン(143)、燃焼ゾーン(500)、及びタール低減ゾーン(400)を含んでなり、ガス化ゾーン(143)が5つの炉床:炉床-I、すなわち入口炉床(110)、炉床-II(120)、炉床-III(130)、炉床IV(140)、及び炉床-V(150)を含むガス化装置(13)の一態様の概略図を示す。炭素質材料フィード(101)はガス化ゾーンの炉床-Iに導入される。ガス化ゾーンの内部では、炉床-I、すなわち入口炉床からの固体は炉床-IIへ移動し;炉床-IIからの固体は炉床-IIIへ移動し;炉床-IIIからの固体は炉床-IVへ移動し、炉床-IVからの固体は炉床-Vへ移動する。炭素質材料の未変換部分を含む固体はガス化ゾーンの炉床-Vから燃焼ゾーン(500)内へ移動する。第1分子酸素含有ガスは、それぞれ炉床-I、炉床-II、炉床-III、炉床-IV、及び炉床-Vに取り付けられたガス入口611、621、631、641、及び651を介して異なるガス化炉床に供給される。一態様では、分子酸素含有ガスは炉床-I内へ導入されない。第2分子酸素含有ガスはガス入口202を介して燃焼ゾーンに供給される。
燃焼ゾーンからのガス生成物はガス化ゾーンへ移動し、ガス化ゾーンからのガス生成物と混ざり合って生シンガス流(図示せず)を生成し、これは接続ゾーン又はのど部(300)を通過してタール低減ゾーン(400)に入る。第3分子酸素含有ガスはガス入口301を介してのど部内に導入され、生シンガス流と第3酸素含有ガスが混ざる。一態様では、第3分子酸素含有ガスは直接タール低減ゾーンに導入される(図示せず)。一態様では、第3分子酸素含有ガスはのど部並びにタール低減ゾーンに導入される(図示せず)。生シンガスと酸素含有ガスの混合物は、タール低減ゾーン内で熱による処理を受ける。このようにして高温シンガスが生成され、高温シンガスの蒸気(405)はタール低減ゾーンから除去される。
【実施例】
【0035】
実施例1
この実施例ではガス化ゾーン、燃焼ゾーン及びタール破壊ゾーンを含むガス化装置を用いた。炭素質材料フィードをガス化ゾーン内に導入した。第1酸素含有ガスを無水炭素質材料1トン当たり約10(4.5)〜約15lb(6.8kg)-モルの比率でガス化ゾーンに供給して炭素質材料の一部をガス化し、第1ガス生成物を生成した。
ガス化ゾーンからの残存炭素質材料を燃焼ゾーンに送り、その中で第2分子酸素含有ガスを無水炭素質材料1トン当たり約10(4.5)〜約15lb(6.8kg)-モルの比率で供給して炭素質材料のさらなる部分をガス化し、第2ガス生成物を生成した。
第1ガス生成物と第2ガス生成物を混ぜ合わせて生シンガスを生成し、これをタール破壊ゾーンに導入した。第3酸素含有ガスを無水炭素質材料1トン当たり約20(9.1)〜約30lb(14kg)-モルの比率で供給した。高温ガスを生成してタール破壊ゾーンから除去した。
ガス化ゾーンに無水炭素質材料1トン当たり約10(4.5)〜約15lb(6.8kg)-モルの比率で二酸化炭素流をも供給した。燃焼ゾーンに無水炭素質材料1トン当たり約2(0.9)〜約5lb(2.3kg)-モルの比率で二酸化炭素流を供給した。
さらに、漏出のため無水炭素質材料1トン当たり約20(9.1)〜約30lb(14kg)-モルの空気がガス化プロセスに入った。
燃焼ゾーンへの酸素投入量とガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の総酸素投入量との比が約0.4〜約0.6の範囲内では、炭素質材料の有機又はガス化可能又は揮発性材料分の転化率は90%超え、一般的に約95〜約98%の範囲内であった。生じた残留灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比は約0.1未満、一般的に約0.04〜0.10の範囲内であった。生じた高温シンガス中のCO/CO2の比は約0.75より大きく;生じた高温シンガス中のCO/H2の比は1.5より大きく;CO/(CO+CO2)の比は約0.4より大きかった。
燃焼ゾーンへの酸素投入量とガス化ゾーン及び燃焼ゾーン内の総酸素投入量との比が約0.4未満では、炭素質材料の有機又はガス化可能又は揮発性材料分の転化率は約82%であった。生じた残留灰分の炭素含量対炭素質材料フィードの炭素含量の比は約0.3であった。
【0036】
本明細書で開示される発明を特定の実施形態、実施例及びその応用を利用して記載したが、当業者はそれに加えて、特許請求の範囲に明記される本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更形態及び変形形態を構成できるであろう。
図1
図2
図3
図4