【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、これらの問題を克服することである。従って、本発明は、車両の容器に水素を充填するためのHRSに関し、HRSは、水素供給源と、車両の容器に接続可能な水素取出し口と、プロセスコントローラ、複数のプロセス測定装置、最終プロセス要素、及びHRSの作動の監視と制御を容易にする、関連する複数の基本プロセス制御機能を備える基本プロセス制御システムと、を備え、HRSは更に、安全コントローラと、複数の安全測定装置と、複数の最終安全要素と、関連する複数の安全計装機能と、を備える安全計装システムを備え、最終プロセス要素と最終安全要素の少なくとも1つは、関連するプロセスコントローラ、又は、関連する安全コントローラそれぞれの制御のもとで、HRSの作動のトリップを容易にすることを特徴とする。
【0007】
HRSの作動のトリップは、プロセスコントローラによるプロセス制御機能の実行により行われるのが好適であり、もし、何らかの理由でトリップが起こらない場合は、HRSの作動は、安全コントローラによる安全計装機能の実行によりトリップされると有利である。
【0008】
基本プロセス制御機能と安全計装機能は、好ましくは、安全コントローラのマイクロプロセッサにより実行されるプログラムコードであり、プロセス制御機能は、好ましくは、プロセスコントローラにより実行されるプログラムコードである。
【0009】
HRSのトリップ作動は、好ましくは、HRSの作動の即時停止という結果になり、例えば、危険な状況が検出された場合は、燃料補給プロセスは即時停止され、冷却システム、コンプレッサなどを停止する。危険な状況は、例えば、高すぎる圧力又は温度、低すぎる圧力又は温度、漏洩、火気などである。
【0010】
HRSの作動を停止できる最終要素は、好ましくは、ノズルへの水素流路における水素の流量を停止する弁、又は、煙突を介して、水素放出を容易にする弁である。最終要素は、制御信号に反応することにより画定され、最終要素の制御の結果の例としては、水素流量を停止し、水素を煙突から外に安全に誘導すること、コンプレッサをトリップすることなどを挙げることができる。
【0011】
本発明の実施の形態によれば、基本プロセス制御機能の数は、安全計装機能の数よりも多い。安全に関連する、すなわち、危険な状況に繋がる可能性のある基本プロセス制御機能のみが、安全計装システムにより監視されると好適である。そのため、基本プロセス制御機能と同じ数の安全計装機能は必要でない。
【0012】
本発明の実施の形態によれば、安全計装機能は、基本プロセス制御機能へ入力を提供する。
【0013】
本発明の実施の形態によれば、入力は、HRSの作動のモードを変更、好ましくは、HRSの作動を停止するために使用される。これは、安全計装機能がその入力(の安全性)を評価し、その結果が、危険な状況が起きている、又は、起こりそうであるという状況においては利点である。そのため、安全計装機能は、プロセスコントローラに、HRSの作動を停止するように依頼することができ、及び/又は、その最終安全要素により、HRSの作動の停止を開始することができる。
【0014】
作動のモードの停止又は変更は、好ましくは、危険な状況がエスカレートすることを防止するために、可能な限り速く行われる。
【0015】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラ及びプロセスコントローラは、独立したマイクロプロセッサを備える。コントローラが完全に独立しているという点において利点がある。
【0016】
本発明の実施の形態によれば、車両の容器に水素を充填するときの水素の温度は、マイナス20℃より低く、好ましくは、マイナス30℃より低く、最も好ましくは、マイナス33℃とマイナス40℃との間である。
【0017】
本発明の実施の形態によれば、車両の容器へ燃料補給する端部側での水素の圧力は、500バール以上であり、好ましくは、750バール以上であり、最も好ましくは、875バール以下である。燃料補給の開始圧力は、好ましくは、HRSディスペンサモジュールに接続するときの容器における圧力に依存して、1から700バールである。好ましくは、燃料補給の端部側における圧力は、ホース及びノズルを含むHRS構成要素が、HRSディスペンサを車両に接続する圧力に制限されるべきである。可能な限り多くの水素を車両容器に燃料補給するためには、端部側の圧力は、好ましくは、800と875バールの間である。
【0018】
本発明の実施の形態によれば、HRSは、車両の容器に水素を充填することを容易にし、HRSは、水素供給源と、車両の容器に接続可能な水素取出し口と、HRSの作動の監視と制御をするプロセスコントローラと、を備え、第1のパラメータの値は、プロセス測定装置により測定され、HRSを制御するプロセスコントローラへの入力として使用され、プロセスコントローラによるHRSの制御は、第1のパラメータのプロセス評価に基づいてHRSの作動を停止することを含み、HRSは、HRSの複数のパラメータを監視し、少なくとも部分的には、HRSを制御するように構成されている安全コントローラを更に備え、第1のパラメータの値はまた、安全測定装置によっても測定され、安全コントローラへの入力として使用され、安全コントローラは、第1のパラメータの安全評価を行い、安全コントローラの制御は、HRSの作動の通常モードから、作動の非通常モードへの変更を、第1のパラメータの値の安全評価に基づいて、最終安全要素の状態を変更することにより容易にする。
【0019】
本発明のHRSは、例えば、ソフトウェアによる構成要素における故障の結果としてのHRSにおける深刻な事故のリスクを削減するという点において利点がある。これは、安全コントローラにより提供される上位の監視、又は、プロセスコントローラにより行われる制御及びプロセスコントローラを支配して作動のモードを変更する安全コントローラの権利によるためである。従って、HRSの制御は、プロセスコントローラにより行われ、作動パラメータの値が限界を外れ、プロセスコントローラが行動を取らない場合のみ、安全コントローラは、HRSの制御を受け継ぎ、安全モードにする(HRSのトリップ)ことを確実にする。すなわち、通常作動の間、安全コントローラは、HRSの制御に干渉せずに、HRSの作動を監視するのみである。
【0020】
水素供給源は、好ましくは、弁を介して、HRSへの水素の流量を可能にする水素ストレージである。水素ストレージは、HRSの一部(内部ストレージ)又は、HRSの外部に位置するストレージである。或いは、水素取入れ口は、水素供給ネットワークなどに接続できる。
【0021】
監視はまた、制御システムのコントローラ、特には、安全コントローラにおいて行われる計算も含むことができる。従って、内部比較、集積、及び任意の種類の計算もまたパラメータの値という結果になり、このパラメータの値は、プロセス又は安全コントローラの何れかによるHRSの制御に使用できる。監視が単に計算の場合は、第1の及び第2の測定装置は、コントローラのデータプロセッサであることがよくある。好ましくは、ここで言及されるコントローラは、安全コントローラ及びプロセスコントローラであるが、しかし、必要であれば、追加コントローラを、プロセス及び安全コントローラがそれぞれの機能を行うことをサポートすることにおける異なる目的で使用できる。
【0022】
第1の及び第2の測定装置は、HRSの略同じ位置において同じパラメータを測定する同一の装置であってよい。測定装置の例としては(計算のための上記のプロセッサの他に)、圧力、温度、流量、時間、弁の位置(例えば、開/閉)などを監視するためのトランスデューサを挙げることができる。
【0023】
測定装置により測定されるパラメータ(第1の、第2の、・・・第Nパラメータ)の値は、直接、又は間接的に、流量、圧力、温度、水素濃度などを表わす、例えば、「1」又は「0」(例えば、値は「オン」又は「オフ」)、離散値、又は連続値であってよい。
【0024】
パラメータの値の評価は、例えば、その値を、そのパラメータに対する最小又は最大許容可能値であることがよくある閾値と比較することであってよい。評価はまた、互いに距離をおいて位置している圧力の2つの測定値の比較であってよく、この測定値は、水素の流量を表すことができる測定値、すなわち、間接的測定値であってよい。安全コントローラにより行われる評価は、安全評価と称されることがあり、プロセスコントローラにより行われる評価は、プロセス評価と称されることがある。
【0025】
安全コントローラとプロセスコントローラは、上記第1のパラメータのようなパラメータを、複数の異なるプロセス及び安全測定装置から受信できるということは言及されるべきである。
【0026】
安全コントローラとプロセスコントローラは、同じ筐体(enclosure)において実現することができるが、依然として、安全コントローラとプロセスコントローラは、好ましくは、個々のマイクロプロセッサを有しており、更に、故障問題の1つを削減又は削除するために、完全に独立して作動することが要求される。
【0027】
安全コントローラにより行われる制御は、最終安全要素と称されるアクチュエータにより行われる。安全コントローラは、例えば、燃料補給プロセスを制御するようには設計されておらず、HRSを、非安全作動モードから安全作動モードにするように設計されている。プロセスコントローラにより行われる制御は、最終プロセス要素と称されるアクチュエータにより行われる。安全コントローラとは反対に、プロセスコントローラは、HRSの完全な制御を容易にする。最終要素は弁であることが多い。
【0028】
好ましくは、安全コントローラは、同時に、複数の異なるパラメータを監視している。
【0029】
好ましくは、安全コントローラは、HRSの作動のモードを監視及び変更するのみである。これは、1つコントローラのみがHRSを制御しているが、2つのコントローラが、HRSを監視し、その両者が、より安全な状況を得るために、作動のモードを変更する権限を有しているという点において利点がある。これは、HRSの作動を停止することを含む、HRSの作動を制限することを意味することがよくある。
【0030】
本発明の実施の形態によれば、プロセス及び安全測定装置により測定される第1のパラメータは、水素供給源と水素出力口との間の水素流路において測定され、第1のパラメータは、圧力、水素の流量、弁の位置、温度、及び時間を含むリストから選択される。好ましくは、パラメータはディスペンサにおいて測定され、又は、少なくとも、車両に最も近い、すなわち、ノズルの形状の水素出力口に最も近い適切な測定装置により測定される。水素流路は、水素ライン、弁、及び他の構成要素により画定され、この水素流路を通って、車両に燃料補給するときに水素が流れ、水素流量において行われる測定は、好ましくは、これらの構成要素により、又はこれらの構成要素において行われる。
【0031】
これらのパラメータはすべて、上記のような第1のパラメータと称される。これらのパラメータは、好ましくは、水素取出し口に可能な限り近いディスペンサにおいて測定される。これらのパラメータは、その値がその限界を超えると、危険な状況を示すので、重要パラメータと区分される。従って、これらのパラメータを監視して、定義された限界内に保ち、それにより、車両の容器の安全な充填を確実にすることは好適である。そのような限界は、HRSの設計が基づいている設計パラメータにより定義できる。
【0032】
上述したように、第1のパラメータの値は、他の測定値に基づいて、間接的に決定できる。例としては、水素の濃度が必要なときに、2つの圧力測定値と温度測定値から導出できる水素の流量を挙げることができる。
【0033】
本発明の実施の形態によれば、プロセスコントローラと安全コントローラとの間の通信は、安全コントローラからプロセスコントローラへの一方向である。これは、プロセスコントローラが、安全コントローラにより行われる支配的制御行動を通知され、従って、プロセスコントローラにより可能とされるべきであるという点において利点がある。従って、安全コントローラは、プロセスコントローラよりも高い制御レベルを有し、それにより、安全コントローラがプロセスコントローラの制御を支配することを可能にする。
【0034】
好ましくは、安全状態信号のみが安全コントローラからプロセスコントローラに通信される。安全状態信号は、例えば、HRSの作動をトリップするような、安全コントローラにより行われる制御、安全コントローラの状態などに関する情報を備えることができる。
【0035】
安全コントローラの状態は、HRSの(作動の)健全性を示すので、2つの安全状態のみ、すなわち、通常作動状態と、アラーム作動状態が必要である。
【0036】
プロセスコントローラが、安全コントローラと通信するためのアクセスを制限されることは、安全コントローラが、安全制御において、プロセスコントローラからの入力を使用するリスクがないという点において、更に利点がある。従って、幾つかの実施の形態においては、プロセスコントローラが安全コントローラと通信できず、他の実施の形態においては、そのような通信が安全なとき、又は、例えば、安全と判定されるときのみ、すなわち、安全コントローラにおける通信レシーバが、所定の安全計装機能であるとき、又は、安全計装機能に影響を与えない、又は安全計装機能に対する制御された影響を確実にするときのみ通信が可能である。それにより、HRSの作動の向上された安全性に対して、2つの完全に分離した監視及び制御システムが得られる。
【0037】
本発明の実施の形態によれば、HRSが通常作動モードで作動しているが、同時に、第1の作動パラメータの値の安全評価がその限界を超えていると判定された場合は、安全コントローラは、停止信号をプロセスコントローラに通信する。
【0038】
本発明の実施の形態によれば、プロセスコントローラと安全コントローラは、同じ最終要素を制御している。これは、アクチュエータ(最終要素)が正しく制御されない場合でも、アクチュエータが危険な状況という結果になり得ない場所に位置して、その場所で、例えば、水素流量を制御している場合に利点である。
【0039】
2つの個々の内部アクチュエータを有しているさらなるアクチュエータを使用することができ、これらは、安全コントローラ及びプロセスコントローラにより制御できる。
【0040】
本発明の実施の形態によれば、プロセス測定装置及び安全測定装置は、略同じ位置において第1のパラメータを監視している。これは、温度又は圧力センサのような1つのトランスデューサの誤作動が、それ自体、このパラメータが監視されないということを引き起こさないという点において利点がある。従って、プロセス測定装置及び安全測定装置の1つが誤作動していても、他の装置がパラメータを測定し、HRSの制御に使用できる。
【0041】
本発明の実施の形態によれば、プロセス測定装置及び安全測定装置は、同じ筐体内に位置している。プロセス測定装置及び安全測定装置は、同じ筐体において実現でき、又は、2つの出力を有する1つの測定装置として実現できる。後者の場合、2つの出力は、異なる安全条件に準拠することができる。
【0042】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラは、HRSの通常作動の間は、常にアクティブである。これは、プロセスコントローラと安全コントローラの組み合わせにより提供される安全レベルが、常に維持されるという点において利点がある。
【0043】
通常作動は、HRSが車両に燃料補給する準備ができている、又は車両に燃料補給しているときとして理解されるべきである。作動の他のモードとしては、HRSのメンテナンスが行われるサービスモードがある。
【0044】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラを作動不可にすることができる。これは、安全計装システム、すなわち、安全コントローラ自身、又は接続された測定装置又は最終要素の整備部分に関して関連がある。
【0045】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラは、プロセスコントローラの安全レベルと等しい、又はそれより高い安全レベルである。
【0046】
本発明の実施の形態によれば、安全測定装置は、プロセス測定装置の安全レベルと等しい、又はそれより高い安全レベルである。これは、理論的には、プロセスコントローラとプロセス測定装置と比較して、安全コントローラと安全測定装置の、より高い信頼性を保証するという点において利点がある。コントローラ及び測定装置のような構成要素の安全レベルを定義する1つの方法は、機能安全IEC61508規格又は安全度水準(SIL評価)の必要条件に従うこと、及びそれに準拠することである。
【0047】
本発明の実施の形態によれば、プロセス測定装置及び安全測定装置は、異なる製品である。これは、プロセス測定装置及び安全測定装置の両者における誤作動のリスクを、例えば、同じ設計エラーが、両者の測定装置に影響を与えることがないので、削減されるという点において利点がある。従って、高温、又は所与の作動時間量は、両者の測定装置が同時に故障するこということを引き起こさない。
【0048】
本発明の実施の形態によれば、作動の通常モードから、非通常モードへの変更は、少なくとも1つの最終安全要素によりHRSの作動をトリップすることにより容易にされる。トリップとは、HRSの通常作動を停止するということとして理解されるべきである。好ましくは、トリップは、エラーが位置していると推定される場所に、水素ストレージに対して(向けて)下流に位置している弁の位置を変更することにより容易にされる。この代替として、又は、これに追加して、ノズルの近くに位置している弁もまた、自動車及びHRSのユーザを保護するために閉じられる。
【0049】
トリップすることの代替として、又はそれに追加して、安全コントローラはまた、水素の放出を容易にでき、ストレージ又は、水素ラインの部分における水素を隔離でき、サービス要員、消防団、医療関係者などとコンタクトを取ることができる。故障状況に関連して行われるリスクアセスメントに準拠することはすべて、エラー/故障により引き起こされた安全でない状況から離れて、少なくとも、水素の流量の停止を含む、安全な状況になることを記述している。
【0050】
プロセスコントローラもまた、トリップを容易にでき、及びこの代替として、特に、安全コントローラが変更を容易にする前に、プロセスコントローラが、作動の通常モードから通常モードへの変更を容易にする状況において、トリップを容易にできるということは言及されるべきである。
【0051】
本発明の実施の形態によれば、HRSのトリップは、安全コントローラ単独で作動される最終安全要素により容易にされる。これは、危険な状況を引き起こす可能性のあるトリップイベントにおけるそのようなアクチュエータの誤作動のリスクを削減するという点において利点がある。
【0052】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラにより行われる第1のパラメータの値の評価は、値が定義された閾値を超えるか、又は下回るかどうかを監視することを含む。通常作動の間は、第1のパラメータの値が2つの閾値に挟まれる細い区間内にあるべきである2つの閾値を定義することができるということは言及されるべきである。
【0053】
本発明の実施の形態によれば、閾値は、HRSの作動中に動的に決定される。これは、パラメータの監視が動的に行われ、それにより、周囲の条件(温度、圧力、湿度など)、燃料補給される車両、ストレージ、作動のモード、HRSの他の構成要素からの情報のような所与の状況に適合されるという点において利点がある。
【0054】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラは、HRSの作動をトリップするために使用される最終プロセス要素の制御を容易にする。
【0055】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラ上のソフトウェアプログラムは、プロセスコントローラ上のソフトウェアプログラムとは異なる。これは、2つのソフトウェアプログラムが同じではなく、好ましくは、同じプログラマにより作成されていないので、両者のコントローラにおいて同じエラーが起こるリスクが相当に削減されるという点において利点がある。
【0056】
本発明の実施の形態によれば、安全コントローラのソフトウェアプログラムは、複数の安全計装機能を実現する。安全計装機能とは、HRSの作動の安全に重要な、多数の輪郭を明確にされた制御機能として理解されるべきである。従って、HRSに関して安全性を高めるためには、これらの安全計装機能に関連する監視及び制御を高めることが有利である。安全計装機能は、漏洩、車両容器圧、冷却システム、車両に提供される水素の圧力などを監視(そして、必要であれば、例えばトリップなどの制御)ができる。
【0057】
本発明の実施の形態によれば、複数の安全計装機能は、作動のための個々のウィンドウを有している。これは、燃料補給プロセスに対する必要条件が、第1の燃料補給から次の燃料補給にかけて変化(周囲の条件、異なる開始圧力を有する異なる車両など)する可能性があるという点において利点がある。従って、作動の個々の安全計装機能ウィンドウは、開始及び停止し、すなわち、その監視は、いわゆる安全コントローラが、測定された弁の位置の変化、圧力又は温度の変化、検出された流量などのような、1つ又は一連のイベントを観測したときに、開始又は停止する。これは、例えば、燃料補給プロセスのような所与の状態として安全コントローラにより解釈され、安全コントローラは、作動の異なる状態における作動条件を知っているので、HRSの作動が安全かどうかを判定できる。
【0058】
本発明の実施の形態によれば、安全計装機能は、過剰水素流量監視(Excess Hydrogen Flow Monitoring)、スタートアップ燃料補給漏洩チェック(Start Up Refueling Leak Check)、水素提供圧力監視(Hydrogen Delivery Pressure Monitoring)、冷却区分モニタ(Cooling Catergory Monitor)、水素中間圧力監視(Hydrogen Middle Pressure Monitoring)、目標圧力監視(Target Pressure Monitoring)、及び車両開始圧力監視(Vehicle Start Pressure Monitoring)を含むリストから選択される。
【0059】
更に、本発明は、車両の容器に燃料補給するための先行する請求項のいずれか1項に記載のHRSの使用に関する。
【0060】
更に、本発明は、HRSの安全コントローラにおける実現のための安全計装機能を判定する方法に関し、方法は、HRSを制御するために必要な制御機能を、安全計装機能と、非安全計装機能に分割するステップと、安全コントローラが安全計装機能を監視するために必要な入力を判定するステップと、安全コントローラが、安全計装機能を制御可能となるために、安全コントローラから要求される出力を判定するステップを備える。
【0061】
更に、本発明は、請求項1〜28のいずれか1項に記載のHRSに関し、少なくとも部分的には、安全コントローラにより制御され、安全コントローラにより行われる制御は、少なくとも1つの安全計装機能に基づく。好ましくは、安全コントローラにより提供される制御は、HRSの作動のトリップである。
【0062】
以下において、本発明の幾つかの例としての実施の形態を、図面を参照して記述する。