(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483774
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】自律走行車を制御及び操作するための装置
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20060101AFI20190304BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05B19/042
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-177317(P2017-177317)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-81678(P2018-81678A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2017年9月20日
(31)【優先権主張番号】15/353,555
(32)【優先日】2016年11月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516267603
【氏名又は名称】バイドゥ・ユーエスエイ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Baidu USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ウェズリー シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジ リー
(72)【発明者】
【氏名】ウェンディー ルー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ジュンウェイ バオ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィー ホアン
【審査官】
山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−105499(JP,A)
【文献】
特表2016−517554(JP,A)
【文献】
米国特許第06208522(US,B1)
【文献】
特開2015−170678(JP,A)
【文献】
実開昭57−191087(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G05B 19/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御サーバコンパートメント、計算サーバコンパートメント及び入出力(IO)サブシステムコンパートメントを含む複数のコンパートメントが収容されるシャーシと、
前記入出力サブシステムコンパートメントに挿入され、複数の入出力モジュールを有し、前記入出力モジュールの少なくとも1つまたは複数が1つ又は複数のセンサに接続される入出力サブシステムと、
前記計算サーバコンパートメントに挿入され、複数の周辺機器相互接続エクスプレス(PCIe)リンクを介して前記IOサブシステムから前記センサデータを受信し、前記センサデータに基づいて計画及び制御データを生成して、前記自律走行車を制御する計算サーバと、
前記制御サーバコンパートメントに挿入され、イーサネット接続を介して前記計算サーバに連結され、前記計算サーバから受信した前記計画及び制御コマンドに基づいて、複数の制御コマンドを前記自律走行車のハードウェアへ送信することで前記自律走行車を制御し操作する制御サーバと、を備え、
前記入出力サブシステムコンパートメントはほぼ垂直方向に配置され、前記入出力サブシステムは前記シャーシのトップから垂直に前記入出力サブシステムコンパートメントに挿入され、
前記入出力サブシステムコンパートメントは、前記シャーシの上端から前記シャーシの下端まで伸びる垂直通路として配置されており、前記シャーシの上端及び下端がそれぞれ前記入出力サブシステムの前端及び後端を露出させる頂部開口及び底部開口を含み、
前記入出力サブシステムの前端はそれぞれ前記複数の入出力モジュールを受け入れる複数の入出力スロットを含み、前記入出力サブシステムの後端は、前記入出力モジュールの温度を冷却する1つ又は複数の冷却ファンを含み、
前記入出力サブシステムは、第1前端が前記垂直通路を経由して前記シャーシの上端から露出する第1入出力サブシステムユニットと、第2前端が前記垂直通路を経由して前記シャーシの下端から露出する第2入出力サブシステムユニットと、を備える
ことを特徴とする自律走行車を制御及び操作するための装置。
【請求項2】
前記計算サーバコンパートメントはほぼ水平方向に配置され、前記計算サーバは前記シャーシの後端から水平に前記計算サーバコンパートメントに挿入される
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御サーバコンパートメントはほぼ水平方向に配置され、前記制御サーバは前記シャーシの後端から水平に前記制御サーバコンパートメントに挿入される
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御サーバコンパートメントは前記計算サーバコンパートメントの上方に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記シャーシの後端の一部として形成される前記垂直通路の後側は、さらに前記入出力サブシステムの第1サイドパネルを露出させる開口を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記入出力サブシステムの前記第1サイドパネルはPCIeコネクタの第1組を含んで、前記入出力サブシステムが1つ又は複数のPCIeリンクケーブルを介して前記計算サーバに連結されることを可能にする
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記計算サーバの前端は、さらにPCIeコネクタの第2組を含み、前記PCIeコネクタの第2組が前記PCIeリンクケーブルで前記PCIeコネクタの第1組に接続される
ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記シャーシの前端の一部として形成される前記垂直通路の前側は、さらに前記入出力サブシステムの第2サイドパネルを露出させる開口を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記入出力サブシステムの前記第2サイドパネルは、前記第2サイドパネルに設置されたセンサコネクタの組を含んで、複数のセンサがセンサケーブルを介して前記入出力サブシステムに連結されることを可能にする
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記シャーシ内のイーサネットスイッチコンパートメントに収容されるイーサネットスイッチを含むイーサネットスイッチモジュールをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記イーサネットコンパートメントは前記制御サーバコンパートメントの上方に位置し、前記イーサネットスイッチモジュールは前記シャーシの後端によって露出する1つ又は複数のイーサネットコネクタの第1組を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記イーサネットスイッチモジュールは前記シャーシの上端から前記イーサネットコンパートメントに設置される
ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記計算サーバの前端は、1つ又は複数のイーサネットコネクタの第2組を含んで、前記計算サーバがイーサネットケーブルを介して前記イーサネットスイッチモジュールの前記イーサネットコネクタの第1組に連結されることを可能にする
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記制御サーバの前端は1つ又は複数のイーサネットコネクタの第3組を含んで、前記制御サーバがイーサネットケーブルを介して前記イーサネットスイッチモジュールの前記イーサネットコネクタの第1組に連結されることを可能にする
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記シャーシ内の記憶コンパートメントに収容される記憶モジュールをさらに備えており、前記記憶モジュールが複数の記憶装置を含んで、前記制御サーバ及び前記計算サーバに利用されるセンサデータを記憶する
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記記憶モジュールは、複数の記憶スロットを含んでおり、各記憶スロットが1つ又は複数の記憶装置を有するメモリカードを受け入れる
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記記憶モジュールは前記シャーシの上端から前記記憶コンパートメントに設置され、前記シャーシの上端は前記記憶モジュールの前端を上方に露出させる
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記制御サーバ、前記計算サーバ及び前記入出力サブシステムに給電し、前記シャーシ内の電源コンパートメントに収容される電源ユニットをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記電源ユニットは前記シャーシの上端から前記電源コンパートメントに設置される
ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、大体自律走行車を操作することに関する。より具体的には、本発明の実施形態は自律走行車を制御及び操作するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自律モードで動作する(例えば、自律走行)車両は乗員、特に運転者を特定の運転関連の責任から解放することができる。自律モードで動作する場合、車両は車載センサを使用して様々な場所にナビゲートすることができ、それにより車両は人との対話を最小限に抑える場合又は乗客がない場合にも走行できる。
【0003】
自律走行の設計に用いられる人工知能アルゴリズムの導入に伴って、ソフトウェアアルゴリズムに要求される計算能力を転送するには、自律走行車のハードウェアプラットフォームは大量の計算アクセラレータ(例えば、専用プロセッサ、FPGA及びGPU)を必要とし、従来、複数のコンピュータでホスティングし且つイーサネット(登録商標)を介して相互接続することで実現される。すべての部材を十分に冷却すると同時に、車両トランク内の一般的に下へ流れる(続いて流れ出す)気流に適応する必要がある。市販の軽自動車に対して、コンパクトなフォームファクタにパッケージ化されて軽自動車のトランクに組み立てられ、多くの異なるタイプのセンサに接続され、全システムの高精度な時間同期(time synchronization)を提供する。従来のモデルは通常、大量の計算能力をサポートせず、且つ自動車トランク環境の熱条件を十分に配慮せずに設計した小型構造である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様によれば、自律走行車を制御及び操作するための装置を提供し、この装置は、
制御サーバコンパートメント、計算サーバコンパートメント及び入出力(IO)サブシステムコンパートメントを含む複数のコンパートメントが収容されるシャーシと、
前記入出力サブシステムコンパートメントに挿入され、複数の入出力モジュールを有し、前記入出力モジュールの少なくとも1つまたは複数が1つ又は複数のセンサに接続される入出力サブシステムと、
前記計算サーバコンパートメントに挿入され、複数の周辺機器相互接続エクスプレス(PCIe)リンクを介して前記IOサブシステムから前記センサデータを受信し、前記センサデータに基づいて計画及び制御データを生成して、前記自律走行車を制御する計算サーバと、
前記制御サーバコンパートメントに挿入され、イーサネット接続を介して前記計算サーバに連結され、前記計算サーバから受信した前記計画及び制御コマンドに基づいて、複数の制御コマンドを前記自律走行車のハードウェアへ送信することで前記自律走行車を制御し操作する制御サーバと、を備える。
【0005】
本発明の実施形態は、図面の各図に限定されるのではなく例示的に示され、図面において、同じ参照符号が類似する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る自律走行車を制御及び操作するためのハードウェアプラットフォームを示す斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る自律走行車を制御及び操作するためのハードウェアプラットフォームを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを示す背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを示す下面図である。
【
図5】一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを収納するシャーシを示す斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るIOサブシステムを示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る計算サーバを示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る制御サーバを示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る収納シャーシを示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るイーサネットスイッチモジュールを示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る電源ユニットを示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る制振プラットフォームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、検討した詳細を参照して本発明の様々な実施形態及び態様を説明し、添付の図面は、前記様々な実施形態を示す。以下の説明及び図面は、本発明の例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多くの詳細が記載されている。しかしながら、場合によって、本発明の実施形態の説明の簡潔さから、周知又は従来の詳細は記載されていない。
【0008】
本明細書において、「一実施形態」又は「実施形態」とは、当該実施形態に説明した特定の特徴、構造、又は特性を本発明の少なくとも1つの実施形態に含めることができることを意味する。本明細書を通じて使用される「一実施形態では」という語句は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すとは限らない。明細書における「トルク力」(TF)とは、トルク又は回転力を意味する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、自律走行ハードウェアプラットフォームは、車両トランクに組み立てられる、統合され且つコンパクトな高性能計算環境を提供する。一実施形態によれば、ハードウェアプラットフォームは、制御サーバコンパートメント、計算サーバコンパートメント及び入出力(IO)サブシステムコンパートメントを含むいくつかのコンパートメントを収容するように、シャーシを備える。前記プラットフォームは、さらに、IOサブシステムコンパートメントに挿入されるIOサブシステム、計算サーバコンパートメントに挿入される計算サーバ及び制御サーバコンパートメントに挿入される制御サーバを備える。
【0010】
IOサブシステムはいくつかのIOモジュールを備える。少なくとも一部のIOモジュールは1つ又は複数のセンサに接続されることができる。センサは自律走行車の周囲環境を検知し且つ自律走行車の周囲環境を検知したセンサデータを生成することができる。イーサネットを介して接続される複数のコンピュータと対照的に、計算サーバは単一のコンピュータであり、1つ又は複数の周辺機器相互接続エクスプレス(PCIe)リンクを介してIOサブシステムからセンサデータを受信し、センサデータに基づいて計画及び制御戦略を決定することで自律走行車を制御する。次に、制御サーバは計算サーバから受信した計画及び制御戦略に基づいて適切な制御コマンドを自律走行車へ送信することで自律走行車を制御及び運転する。
【0011】
図1A及び
図1Bは本発明の一実施形態に係る自律走行車を制御及び操作するためのハードウェアプラットフォームを示す斜視図である。
図1Aに示すように、プラットフォームの前面斜視図であり、一実施形態によれば、プラットフォーム100は、前端又は前側101、後端又は後側102、上端又は上側103及び下端又は下側(図示せず)を有するシャーシを含む。前端101はフロントパネル105で覆われ、上端103はトップパネル107で覆われる。また、両側はいずれもサイドパネル104A及び104Bで覆われる(
図1B参照)。各サイドパネル104A及び104Bは、使用者がプラットフォーム100をポータブルプラットフォームとして携帯するためのハンドルを含む。
【0012】
一実施形態では、シャーシは、各種のサブシステム、例えば、
図1Aに示すように、当該前面斜視図におけるIOサブシステム111及び記憶モジュール112(記憶部とも呼称される)のような各種のサブシステムを収納又は収容する各種のコンパートメントを備える。トップパネル107は、取り外し可能であり、IOサブシステム111及び記憶モジュール112をそれぞれ
図5に示すIOサブシステムコンパートメント及び記憶コンパートメントに挿入又は
図5に示すIOサブシステムコンパートメント及び記憶コンパートメントから取り外すことを可能にする。トップパネルは、さらに開口又はウィンドウを含み、IOサブシステム111及び記憶モジュール112の前端又はインターフェースを上方に露出させ、例えば、使用者が部材(例えば、独立したIOモジュール又はメモリカードを挿入したり取り外したりする)に接近することを可能にする。フロントパネル105はIOサブシステム111の特定のコネクタ又はインターフェースを露出させる1つ又は複数の開口(又はウィンドウ又は切欠き)を含む。また、トップパネル107は空気循環用の濾過網部108(吸気濾過網と呼称される)を含み、シャーシ内に収容された部材を冷却することに用いられる。
【0013】
図1Bに示すように、背面斜視図であり、一実施形態によれば、後端102はバックパネル106で覆われ、前記バックパネルは各種の開口を有し、特定の部材をそれらの対応したコンパートメントに挿入し又はそれらのコンパートメントから取り外すことを可能にする。この例では、プラットフォーム100は計算サーバのコンパートメントに挿入される計算サーバ113、制御サーバコンパートメントに挿入される制御サーバ114、及びイーサネットスイッチコンパートメントに挿入されるイーサネットスイッチモジュール115を備える。この特定の実施形態では、
図5に示すように、計算サーバコンパートメント及び制御サーバコンパートメントはほぼ水平方向に位置する。従って、計算サーバ113は後端102から水平に計算サーバコンパートメントに挿入され又は計算サーバコンパートメントから取り外される。同様に、制御サーバ114は後端102から水平に制御サーバコンパートメントに挿入され又は制御サーバコンパートメントから取り外される。この特定の実施形態では、制御サーバコンパートメントは計算サーバコンパートメントの上方に位置する。計算サーバ113及び制御サーバ114の前端はバックパネル106の対応した開口を介して露出する。
【0014】
一実施形態では、イーサネットスイッチモジュール115は上端103から垂直にイーサネットスイッチコンパートメントに挿入され又はイーサネットスイッチコンパートメントから取り外される。バックパネル106はイーサネットコネクタ(例えば、イーサネットジャック)を露出させる開口を含み、例えば計算サーバ113及び制御サーバ114等のほかの部材がイーサネットを介して相互に通信することを可能にする。この特定の実施形態では、イーサネットスイッチコンパートメントは制御サーバコンパートメントの上方に位置する。バックパネル106は、さらにIOサブシステム111の他側のインターフェースを露出させる1つ又は複数の開口を含み、IOサブシステム111が適切なケーブルでほかの部材(例えば、計算サーバ113)に接続されることを可能にする。バックパネル106は、さらに空気循環用の1つ又は複数の濾過網109(吸気濾過網と呼称される)を含み、シャーシに収容される部材を冷却することに用いられる。
【0015】
一実施形態では、冷気は上端103から吸気濾過網108を経てシャーシに吸入され、下へ流れてシャーシに収容される部材(例えば、イーサネットスイッチモジュール115、記憶モジュール112、制御サーバ114及び計算サーバ113)間の空間を通過して、部材で発生する熱を交換し、制御サーバ114と計算サーバ113の前端に設置される濾過網125〜126を経由してシャーシから離れる。また、一部の冷気は電源ユニット(図示せず)を通過して、その発生する熱を交換し、排気濾過網109から離れ、電源ユニットの温度を下げる。
【0016】
図2は本発明の一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを示す背面図である。
図2を参照して、バックパネル106は複数の開口を含み、各部材又はサブシステムをそれらに対応したコンパートメントに挿入し又はそれらのコンパートメントから取り外すことを可能にする。この例では、計算サーバ113は後端から水平に計算サーバコンパートメントに挿入し又は計算サーバコンパートメントから取り外すことができる。制御サーバ114は、後端から水平に制御サーバコンパートメントに挿入し又は制御サーバコンパートメントから取り外すことができる。計算サーバ113の前端は、ほかの部材、例えば1つ又は複数のイーサネットコネクタ201、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ202、PCIeコネクタ203A〜203Bに接続しようとする各種のインターフェースを備える。
図7は計算サーバ113の実例を示す。制御サーバ114の前端は、さらに1つ又は複数のイーサネットコネクタ204及びUSBコネクタ205を含む。
図8は本発明に係る特定の実施形態の制御サーバ114の実例を示す。
【0017】
一実施形態では、バックパネル106は、さらにイーサネットスイッチモジュール115のイーサネットコネクタ206を露出させる開口を含み、それによりほかの部材がイーサネットプロトコルで相互に通信することを可能にする。この例では、制御サーバ114はイーサネットケーブルを介して任意のイーサネットコネクタ204を任意のイーサネットコネクタ206に接続することでイーサネットスイッチモジュール115に接続されることができる。同様に、計算サーバ113はイーサネットケーブルを使用することで任意のイーサネットコネクタ201を任意のイーサネットコネクタ206と接続することでイーサネットスイッチモジュール115に接続されることができる。従って、計算サーバ113及び制御サーバ114はイーサネットプロトコルで相互に通信することができる。
図10は一実施形態に係るイーサネットスイッチモジュールの例を示す。
【0018】
一実施形態では、バックパネル106は、IOサブシステム111にアクセスするための各種のインターフェースを含むIOサブシステム111のサイドパネルを露出させる開口をさらに含む。この例では、
図2及び
図6に示すように、IOサブシステム111は、IOサブシステムユニット111A及びIOサブシステムユニット111Bの2つのIOサブシステムユニットを備える。IOサブシステムユニット111A〜111Bはそれぞれ複数のIOモジュールを備える。バックパネル106は、それぞれIOサブシステムユニット111A及びIOサブシステムユニット111Bのサイドパネルを露出させる第1開口211A及び第2開口211Bを含む。なお、IOサブシステム111は、より多くの又はより少ないIOサブシステムユニットを含んでもよい。IOサブシステムユニット111A及び111Bはそれぞれ、1つ又は複数のIOモジュールを収容する1つ又は複数のスロットを含む。各IOモジュールは処理ハードウェア(例えば、グラフィック処理ユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等)を含んでもよく、具体的な操作を実行する(例えば、センサから受信したセンサデータを処理したり、特定のアルゴリズムを実行したりする等)。
【0019】
この例では、IOサブシステムユニット111Aのサイドパネルは1つ又は複数のPCIeコネクタ212Aを含み、IOサブシステムユニット111Bのサイドパネルは1つ又は複数のPCIeコネクタ212Bを含む。PCIeコネクタ212A〜212BはそれぞれIOサブシステムユニット111A〜111Bに含まれるIOモジュールのうちの1つに接続されることができる。IOサブシステムユニット111A〜111BのIOモジュールのうちのいずれかは計算サーバ113のPCIeコネクタ203A〜203Bに接続されることができ、それにより1つ又は複数の対応したIOモジュールは対応するPCIeリンクを介して計算サーバ113と通信することができる。
【0020】
一実施形態では、IOサブシステムユニット111A及びIOサブシステムユニット111Bは同一又は類似した構成に設計されてもよい。IOサブシステムユニット111A〜111Bの前端は複数のスロットを含んで、複数のIOモジュールを収容する。IOサブシステムユニット111A〜111Bの後端はその上に取り付けられる冷却ファンを含んで、挿入されたIOモジュールの温度を冷却する。一実施形態では、同一のサイドパネル(例えば、PCIeコネクタ212A又は212Bを有するサイドパネルはシャーシのバックパネル106を介して露出される)を有するために、IOサブシステムユニット111A〜111Bのうちの一方の面が上向きであり、IOサブシステムユニット111A〜111Bのうちの他方の面が下向きである。この例では、
図1Bに示すように、IOサブシステムユニットの211A面は下向きであり、IOサブシステムユニットの211B面は上向きであり、それらのPCIeコネクタ212A〜212Bはバックパネル106を介して露出する。従って、IOサブシステムユニット111A〜111BのPCIeコネクタ212A及び212Bはシャーシの後端におけるPCIeリンクケーブルを介して計算サーバ113のPCIeコネクタ203A〜203Bに接続されることができる。各IOサブシステムユニットは、対称的に設計されてもよく、それにより、具体的にバックパネルアクセス要件及びIOモジュールの換気要件に応じて、上向き又は下向きに取り付けることができる。
【0021】
一実施形態では、IOサブシステム111の相対サイドパネルはセンサケーブルを介して1つ又は複数のセンサに接続される1つ又は複数のセンサコネクタ(例えば、
図1Aに示すセンサコネクタ131〜132)を備える。センサは、ビデオカメラ、全地球測位システム(GPS)、慣性測定ユニット(IMU)、レーダーユニット、光検知及び測距(LIDAR)ユニット、赤外センサ、車輪エンコーダ、ステアリングセンサ、スロットルセンサ、ブレーキセンサ等のうちの任意の1つであってもよい。
【0022】
図3は本発明の一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを示す平面図である。
図3に示すように、トップパネル107は記憶コンパートメントに収容された記憶モジュール112の前端を露出させる開口を含む。この実施形態では、記憶コンパートメントは垂直コンパートメントに配置される。記憶モジュール112はプラットフォームの頂部から垂直に記憶コンパートメントに挿入し又は記憶コンパートメントから取り外すことができる。記憶モジュール112の前端は1つ又は複数のスロットを含んで、例えば1つ又は複数の記憶装置(例えば、固体装置等)を有する1つ又は複数のメモリカード(例えば、プラグインカード)を受け入れる。
図9は、収納シャーシの例を示し、当該収納シャーシが複数の記憶スロットを含んで、1つ又は複数の記憶装置を有するいくつかのメモリカードを受け入れる。トップパネル107は、さらにIOサブシステム111の前端及び/又は後端を露出させる開口を含む。
【0023】
図4は本発明の一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームを示す下面図である。
図4に示すように、底部パネルはIOサブシステムモジュール111Aの後端及びIOサブシステムモジュール111Bの前端を露出させる開口を含む。
【0024】
図5は一実施形態に係る自律走行車を操作するためのプラットフォームが収容されるシャーシを示す斜視図である。
図5に示すように、シャーシ500は計算サーバコンパートメント501、制御サーバコンパートメント502、IOサブシステムコンパートメント503、イーサネットスイッチコンパートメント504、記憶コンパートメント505、及び電源コンパートメント506を備える。この実施形態では、計算サーバコンパートメント501はほぼ水平に配置されて、計算サーバ113がシャーシ500の後端からコンパートメント501にスライドすることを可能にする。同様に、制御サーバコンパートメント502はほぼ水平に配置されて、制御サーバ114がシャーシ500の後端からコンパートメント502にスライドすることを可能にする。制御サーバコンパートメント502は計算サーバコンパートメント501の上方に配置される。
【0025】
一実施形態では、IOサブシステムコンパートメント503は計算サーバコンパートメント501と制御サーバコンパートメント502の対向端に配置される。IOサブシステムコンパートメント503はほぼ垂直方向に配置される。この実施形態では、IOサブシステムコンパートメント503はシャーシ500の上端から下端までの垂直通路として配置される。IOサブシステム111はシャーシ500の上端からIOサブシステムコンパートメント503に設置されることができる。一実施形態では、トップパネル107を取り外す必要があり、IOサブシステム111が下へIOサブシステムコンパートメント503にスライドすることを可能にする。
【0026】
一実施形態では、イーサネットスイッチコンパートメント504は制御サーバコンパートメント502の上方に位置する。この例では、イーサネットスイッチコンパートメント504はほぼ垂直方向に配置される。
図10に示すイーサネットスイッチモジュール115はシャーシ500の上端からイーサネットスイッチコンパートメント504に設置されることができる。
図10に示すように、イーサネットスイッチモジュール115はイーサネットポート又はコネクタのアレイを含み、ほかの部材からのイーサネットケーブルが前記アレイに連結することを可能にする。イーサネットスイッチモジュール115は、さらに垂直空気通路を含み、この例では、前記垂直制御通路は管状をしており、吸気濾過網108を介して受けた冷気が下へ流れ、下方の制御サーバ114に到達することを可能にする。
図8に示すように、制御サーバ114は頂なしの配置(open top configuration)を有し、それにより冷気が頂部から制御サーバ114のマザーボードに到達することを可能にする。制御サーバ114及び計算サーバ113は、それぞれ1つ又は複数の冷却ファンを含んで、冷気を下方に引き込む。
【0027】
同様に、記憶コンパートメント505は制御サーバコンパートメント502の上方に配置される。
図9は収納シャーシの斜視図を示し、前記収納シャーシが1つ又は複数のスロットを有し、1つ又は複数の記憶装置(例えば、個体記憶装置)を受け入れて、記憶モジュール112を形成する。この例では、イーサネットスイッチコンパートメント504はシャーシ500の後端付近に配置され、記憶コンパートメント505はシャーシ500の前端付近に配置される。
【0028】
シャーシ500は、さらに、ほぼ垂直方向に配置される電源コンパートメント506を備える。この例では、電源コンパートメントはイーサネットスイッチコンパートメント504/記憶コンパートメント505とIOサブシステムコンパートメント503との間に配置される。電源ユニット又はモジュール(例えば、
図11に示す電源ユニット)はシャーシ500の頂部から電源コンパートメント506に設置されることができる。電源ユニットは自律走行車の車両電池(例えば、12Vの直流電源)の電力を用い、電力を調整してプラットフォームのほかの部材、例えば、IOサブシステム111、計算サーバ113、制御サーバ114に割り当てることができる。制御サーバ114及び/又は計算サーバ113が普通の既成のコンピュータである場合、電源ユニットは、交流電力を生成して制御サーバ114及び/又は計算サーバ113に給電するDC/ACインバータを備えてもよい。
【0029】
一実施形態では、プラットフォーム100は車両のトランクに配置される。車両の移動に伴って、揺れる可能性がある。プラットフォームの振動を減少させるために、一実施形態によれば、プラットフォーム100は制振プラットフォームに配置されてもよい。
図12は本発明の一実施形態に係る制振プラットフォームの例を示す。
図12に示すように、制振プラットフォームはスタンド1201〜1203で支持される制振板1200を備える。スタンド1201〜1203は板1200を持ち上げて、板1200の下方に空間を作る。また、板1200は開口1211〜1212を含み、プラットフォーム100のIOサブシステム111と交換する空気循環を可能にする。一実施形態では、冷気は濾過網108を介してシャーシの頂部から吸入される。冷気は下へ流れてイーサネットスイッチコンパートメント504、記憶コンパートメント505、制御サーバコンパートメント502、計算サーバコンパートメント501を通過し、対応する部材で発生する熱を交換する。交換した熱を持つ暖かい空気又は熱気はシャーシのバックパネル及び/又は制御サーバ114及び計算サーバ113の前端に設置される濾過網を通過してシャーシから離れる。
【0030】
本発明の実施形態は、いずれかの特定のプログラミング言語を参照して説明されていないが、複数種のプログラミング言語で本明細書に記載の本発明の実施形態の教示を実現できることを理解すべきである。
【0031】
以上の明細書では、本発明の具体的な例示的な実施形態を参照してその実施形態を説明した。明らかなように、添付している特許請求の範囲に記載の本発明のより広い趣旨及び範囲を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。従って、限定的なものではなく例示的なものとして本明細書及び図面を理解すべきである。