特許第6483809号(P6483809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483809多波長レーザによる選択領域における高速成形システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483809
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】多波長レーザによる選択領域における高速成形システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20190304BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20190304BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20190304BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20190304BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20190304BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20190304BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20190304BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20190304BHJP
   B29C 64/364 20170101ALI20190304BHJP
【FI】
   B23K26/34
   B23K26/21 Z
   B23K26/00 P
   B22F3/105
   B22F3/16
   B29C64/268
   B33Y30/00
   B29C64/393
   B29C64/364
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-510577(P2017-510577)
(86)(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公表番号】特表2017-532204(P2017-532204A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】CN2015087237
(87)【国際公開番号】WO2016026415
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】201410406399.3
(32)【優先日】2014年8月18日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517053342
【氏名又は名称】中国科学院重慶緑色智能技術研究院
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING INSTITUTE OF GREEN AND INTELLIGENT TECHNOLOGY,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】段 宣明
(72)【発明者】
【氏名】劉 潔
(72)【発明者】
【氏名】曹 洪忠
(72)【発明者】
【氏名】范 樹遷
(72)【発明者】
【氏名】鄭 美玲
(72)【発明者】
【氏名】劉 基権
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−274136(JP,A)
【文献】 特開2001−321978(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0163717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
B22F 3/00− 3/26
B29C 64/00−64/40
B33Y 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源、ダイクロイックミラー、光を折り曲げるための反射ミラー、レーザ伝播制御手段、レーザ集光走査手段、成形キャビティ、粉末搬送手段、粉末敷設手段、気体循環制御手段、リアルタイム監視手段、昇降手段、粉末回収手段及びコンピュータを含む多波長レーザによる選択領域における高速成形システムであって、
前記レーザ光源は、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームを供給するためのレーザ装置を含み、2つの波長のレーザビームを分離させるためのダイクロイックミラーが、前記第1波長のレーザビームと前記第2波長のレーザビームとを分離させ、
前記第1波長のレーザビームの波長範囲は200nm〜1.1μmであり、前記第2波長のレーザビームの波長範囲は700nm〜10.6μmであり、前記第1波長のレーザビーム及び前記第2波長のレーザビームは、それぞれ連続レーザ、パルスレーザまたは準連続レーザであり、
前記レーザ伝播制御手段は、前記反射ミラーを介して前記第1波長のレーザビームを伝播させ前記第1波長のレーザビームのオンオフ、レーザの拡大、成形面に入射されるレーザパワーを制御する第1レーザ伝播制御手段と、前記反射ミラーを介することなく前記第2波長のレーザビームを伝播させ前記第2波長のレーザビームのオンオフ、レーザの拡大、成形面に入射されるレーザパワーを制御する第2レーザ伝播制御手段とを含み、
前記レーザ集光走査手段は、前記第1波長のレーザビーム及び前記第2波長のレーザビームをそれぞれ集光させるためのレーザフォーカスレンズと、同一の方向に伝播する同軸重畳レーザビームを形成するように前記第1波長のレーザビーム及び前記第2波長のレーザビームを重畳させるダイクロイックミラーと、成形平面においてレーザを走査させるための二次元ガルバノミラーとを含み、
前記リアルタイム監視手段は、成形溶融池の様子を監視するための画像形成ユニットと、溶融池の温度及び温度の分布を監視するための温度監視ユニットとを含むことを特徴とする多波長レーザによる選択領域における高速成形システム。
【請求項2】
前記レーザ伝播制御手段は、前記第1波長のレーザビーム及び前記第2波長のレーザビームをそれぞれ拡大するためのレーザ拡大ミラーと、レーザのオンオフを制御するためのレーザシャッターと、前記第1波長のレーザビーム及び前記第2波長のレーザビームのパワーをそれぞれ制御するためのレーザ減衰器とを含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形システム。
【請求項3】
前記成形キャビティは、ワークを取り出すための成形キャビティドアと、観察に用いられる観察窓と、リアルタイムの監視に用いられる透光窓と、レーザを入力するためのレーザ入射窓と、気体循環及び雰囲気の制御を実現するための気体流通口とを含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形システム。
【請求項4】
前記成形キャビティ内には、成形基板が設置され、
前記成形基板は、昇降手段に接続されるとともに前記昇降手段によって昇降し、
前記成形キャビティの底部には、粉末を回収するための通路がさらに設置され、
通路口には、粉末回収手段が連結されることを特徴とする請求項に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形システム。
【請求項5】
前記画像形成ユニットは、画像を撮像するためのCCDと、画像を表示するためのモニターとを含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形システム。
【請求項6】
前記温度監視ユニットは、赤外線画像を撮像するためのサーモグラフィと、サーモグラフィのデータを収集してコンピュータに入力するデータ収集カードとを含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形システム。
【請求項7】
請求項1−6のいずれか一項に記載の高速成形システムを用いた多波長レーザによる選択領域における高速成形方法であって、
コンピュータの製図ソフトウェアで幾何学的モデルを構築し、データをスライスして分層し、走査経路を計画するステップ1)と、
成形キャビティを真空吸引し、必要に応じてシールドガスを注入するステップ2)と、
粉末搬送装置で粉末の前処理及び搬送を行い、成形基板上に成形しようとする粉末を粉末敷設装置で敷設するステップ3)と、
敷設された成形しようとする粉末を、集光した第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームで同時に走査して溶融させることで、単層構造を形成するステップ4)と、
成形基板を一層降下させ、粉末の敷設及び選択的なレーザ走査工程を繰り返し、設計された幾何学的モデルの溶融成形を完成するステップ5)と、
未溶融の金属粉末をクリーニングし、成形された構造を取り出すステップ6)と、を含むことを特徴とする多波長レーザによる選択領域における高速成形方法。
【請求項8】
前記粉末のサイズは、10nm〜200μmであることを特徴とする請求項に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形方法。
【請求項9】
前記成形しようとする粉末は、金属粉末、プラスチック粉末、セラミックス粉末、コーテッドサンド粉末及びポリマー粉末を含むことを特徴とする請求項に記載の多波長レーザによる選択領域における高速成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元レーザ印刷技術に関し、特に、多波長レーザによる選択領域における高速成形システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元印刷技術では、コンピュータによって数値化モデルを設計してインテリジェント制御することで、材料を積層成型させ、最終的に複雑な3次元構造の実体部品を作製することができる。3次元印刷技術は、典型的なデジタル・マニファクチャリング、グリーン且つインテリジェント製造技術であり、航空宇宙、防衛産業、自動車、金型、家庭用電化製品、生物医学などの分野への応用が期待されている。
【0003】
レーザによる選択領域における高速成形技術は、高精度の3次元印刷技術であり、精密、複雑、小型の部品の製造に適する。現在、レーザによる選択領域における高速成形は、主にレーザによる選択領域における焼結及びレーザによる選択領域における溶融の2つの技術によって実現される。選択されるレーザ光源としては、通常、10.6μmのCOレーザや1.08μm程度のファイバレーザまたは固体レーザが用いられる。高速成形の製造工程において、レーザ走査領域内の材料を急熱・急冷することにより、製造した構造内に大きい熱応力が生じ、構造の変形、さらに、クラックが発生しやすくなる。成形キャビティ内において加熱及び保温の対策を立てることで、成形用レーザのエネルギー利用率を高めるとともに構造内部の熱応力を減らすことができるが、成形領域外の粉末を破壊しやすく、材料を繰り返し利用することができなくなることで、構造の成形コストが高くなる。成形領域外の材料を破壊せずに構造内部の熱応力を減らすために、F.Abe等は、レーザによる選択領域における溶融で金属構造を製造する過程において、波長が10.6μmのCOレーザ及び波長が1.064μmのNd:YAGレーザを用いて、成形面における2本のレーザビーム同士間の距離を調節することで、Nd:YAGレーザで成形した後、COレーザによる加熱で降温速度を下げて構造内部の熱応力を減らす方法を提案している。F.Abe等、Journal of Materials Processing Technology,2001,111,210−213を参照されたい。また、史玉生等は、3本のレーザビームで金属粉末を複合的に走査して溶融させることで高速に成形させる方法を提案している。具体的には、波長が10μmよりも長い第1レーザビームで予熱し、波長が1.1μmよりも短い第2レーザビームで溶融成形し、波長が10μmよりも長い第3レーザビームで後続の熱処理を行うことで、レーザによる成形の速度を加速するとともに、構造の熱応力を減らすことができる。史玉生等、3本のレーザビームで金属粉末を複合的に走査して溶融させることで高速に成形させる方法(公開番号:CN101607311A、公開日:2009年12月23日)を参照されたい。しかしながら、この方法では、3本のレーザビームを別々で走査を行うため、手間が掛かるほか、3本のレーザビームを前後に走査することにより成形効率を低下させ、異なるレーザの走査間隔において熱損失が発生し、エネルギー消費効率が低くなる。また、Jan Wilkes等は、COレーザによって照射面積が20mm×30mmの成形領域を形成し、成形領域内においてNa:YAGレーザで走査を行うことでレーザによる選択領域における溶融によりセラミックス構造の製造を実現する。その結果、COレーザによる予熱により、セラミックス構造の製造時における熱応力を良好に減らすことができる。Jan Wilkes等、Rapid Prototyping Journal,2013,19,51−57を参照されたい。しかしながら、この方法では、大きいCOレーザのスポットで成形領域を長時間照射しなければならず、高いレーザパワーが必要とされ、レーザのエネルギー消費効率が低いほか、照射領域における材料の無駄が発生する。このため、成形構造の熱応力を減らすとともに成形効率や成形精度を高めるほか、未成形領域の材料の破壊を軽減可能な新たな技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高精度かつ高性能、効率のよい同軸の多波長レーザによる選択領域における高速成形システム及びその方法を提供することである。本発明では、短波長のレーザビームで選択領域における溶融成形を行い、短波長のレーザビームと同軸的に重畳した長波長のレーザ装置で予熱及び後続の熱処理を行う。光と物質の相互作用からみると、短波長のレーザビームの集光スポットのサイズが小さく、フォントエネルギーが高いため、成形効率及び成形精度の向上に有利である一方、長波長のレーザビームの集光スポットのサイズが大きいため、短波長のレーザを完全にカバーして成形前後の予熱及び後続の熱処理の実行を保証することができ、その結果、レーザの成形効率をより一層高めるとともに構造の熱応力を減らすことができる。
【0005】
本発明の目的は、多波長レーザによる選択領域における高速成形システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る多波長レーザによる選択領域における高速成形システムは、レーザ光源、レーザ伝播制御手段、レーザ集光走査手段、成形キャビティ、粉末搬送手段、粉末敷設手段、気体循環制御手段、リアルタイム監視手段、昇降手段、粉末回収手段及びコンピュータを含む。前記レーザ光源は、第1波長のレーザビームを供給するための第1レーザ装置と、第2波長のレーザビームを供給するための第2レーザ装置とを含むか、または第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームを同時に供給するためのレーザ装置を含む。前記レーザ集光走査手段は、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームをそれぞれ集光させるためのレーザフォーカスレンズと、同一の方向に伝播する同軸重畳レーザビームを形成するように第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームを重畳させるダイクロイックミラーと、成形平面においてレーザを走査させるための二次元ガルバノミラーとを含む。前記リアルタイム監視手段は、成形溶融池の様子を監視するための画像形成ユニットと、溶融池の温度及び温度の分布を監視するための温度監視ユニットとを含む。
【0007】
さらに、前記第1波長のレーザビームの波長範囲は200nm〜1.1μmであり、前記第2波長のレーザビームの波長範囲は700nm〜10.6μmである。第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームは、それぞれ連続レーザ、パルスレーザまたは準連続レーザである。
【0008】
さらに、前記レーザ伝播制御手段は、レーザビームを折り曲げるためのレーザ反射ミラーと、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームをそれぞれ拡大するためのレーザ拡大ミラーと、レーザのオンオフを制御するためのレーザシャッターと、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームのパワーをそれぞれ制御するためのレーザ減衰器とを含む。
【0009】
さらに、前記成形キャビティは、ワークを取り出すための成形キャビティドアと、観察に用いられる観察窓と、リアルタイムの監視に用いられる透光窓と、レーザを入力するためのレーザ入射窓と、気体循環及び雰囲気の制御を実現するための気体流通口とを含む。
【0010】
さらに、前記成形キャビティ内には、成形基板が設置される。前記成形基板は、昇降手段に接続されるとともに前記昇降手段によって昇降する。前記成形キャビティの底部には、粉末を回収するための通路がさらに設置される。通路口には、粉末回収手段が連結される。
【0011】
さらに、前記画像形成ユニットは、画像を撮像するためのCCDと、画像を表示するためのモニターとを含む。
【0012】
さらに、前記温度監視ユニットは、赤外線画像を撮像するためのサーモグラフィと、サーモグラフィのデータを収集してコンピュータに入力するデータ収集カードとを含む。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、多波長レーザによる選択領域における高速成形方法を提供することである。本発明に係る多波長レーザによる選択領域における高速成形方法は、コンピュータの製図ソフトウェアで幾何学的モデルを構築し、データをスライスして分層し、走査経路を計画するステップ1)と、成形キャビティを真空吸引し、必要に応じてシールドガスを注入するステップ2)と、粉末搬送装置で粉末の前処理及び搬送を行い、成形基板上に成形しようとする粉末を粉末敷設装置で敷設するステップ3)と、敷設された成形しようとする粉末を、集光した第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームで同時に走査して溶融させることで、単層構造を形成するステップ4)と、成形基板を一層降下させ、粉末の敷設及び選択的なレーザ走査工程を繰り返し、設計された幾何学的モデルの溶融成形を完成するステップ5)と、未溶融の金属粉末をクリーニングし、成形された構造を取り出すステップ6)と、を含む。
【0014】
さらに、前記粉末のサイズは、10nm〜200μmである。
【0015】
さらに、前記成形しようとする粉末は、金属粉末、プラスチック粉末、セラミックス粉末、コーテッドサンド粉末及びポリマー粉末を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、短波長のレーザで材料を成形することで、成形における解像度や精度を向上させることができる。また、本発明によれば、2つの波長のレーザで同軸的かつ同時に走査することで、成形工程の効率を高めることができる。さらに、本発明によれば、長波長のレーザで予熱及び後続の熱処理を行うことで成形構造の熱応力を減らすことができるほか、選択的な予熱により、未成形領域の材料を破壊することがなく、材料のコストを削減することができる。
【0017】
本発明の他の利点、効果及び特徴については、後述する明細書でより詳しく説明する。なお、本発明の他の利点、効果及び特徴は、当業者が後述する明細書を参照、研究したり、本発明を実施したりすることにより容易に想到し得るものである。
以下、本発明の目的、技術内容及び利点をより明確にするために、実施形態の説明に必要な添付図面を参照しながら本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図2】本発明の他の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態の多波長レーザによる選択領域における高速成形方法を示すフローチャートである。
図4】本発明のレーザが集光して形成されるレーザスポットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
下記本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。本発明の好適な実施形態は、本発明を説明するためのものであり、決して本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの構成を示す図である。図1に示すように、このシステムは、第1光路に位置する第1レーザ装置1及びそのレーザ伝播制御手段3と、第2光路に位置する第2レーザ装置2及びそのレーザ伝播制御手段4と、レーザ集光走査手段5と、成形基板6と、粉末搬送手段7と、粉末敷設手段8と、リアルタイム監視手段9と、昇降手段10と、粉末回収手段11と、コンピュータ12とを含む。
【0021】
第1レーザ装置1及び第2レーザ装置2は、それぞれ波長の異なるレーザビームを供給する。また、レーザ伝播制御手段3、4は、第1レーザ装置1及び第2レーザ装置2から出力されるレーザビームのオンオフ、レーザの拡大、成形面に入射されるレーザパワーを制御する。
【0022】
レーザ集光走査手段5は、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームをそれぞれ集光、重畳させるとともに、成形面において走査を行う。
【0023】
成形キャビティの底部には、成形基板6が設置され、上方には、粉末の搬送及び前処理を行うための漏斗状の粉末搬送手段7が設置される。成形キャビティの粉末搬送手段に対応する下方には、粉末を成形基板上に敷設するための粉末敷設手段8が設置される。
【0024】
リアルタイム監視手段9は、成形溶融池の様子を監視するための画像形成ユニットと、溶融池の温度及び温度の分布を監視するための温度監視ユニットとを含む。画像形成ユニットは、画像を撮像するためのCCDと、画像を表示するためのモニターとを含む。温度監視ユニットは、赤外線画像を撮像するためのサーモグラフィと、サーモグラフィのデータを収集してコンピュータに入力するデータ収集カードとを含む。
【0025】
成形基板6は、昇降手段10に接続され、昇降手段10によって昇降する。
【0026】
成形キャビティの底部には、粉末を回収するための通路がさらに設置される。通路口には、未成形粉末を回収するための粉末回収手段11が連結される。
コンピュータ12は、レーザ伝播制御手段3、4と、レーザ集光走査手段5と、成形基板6と、粉末搬送手段7と、粉末敷設手段8と、リアルタイム監視手段9と、昇降手段10と、粉末回収手段11とに接続されて、成形工程中のレーザのオンオフ、レーザパワー、焦点距離の変更、走査速度、成形基板の昇降、粉末の搬送、粉末の敷設、溶融池の画像や温度データの収集、及び粉末の回収を制御する。
【0027】
図2は、本発明の他の実施形態に係るシステムの構成を示す図である。図2に示すように、このシステムは、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームを供給するレーザ装置1と、2つの波長のレーザビームを分離させるためのダイクロイックミラーと、光を折り曲げるための反射ミラーと、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームのレーザ伝播制御手段3、4と、レーザ集光走査手段5と、成形基板6と、粉末搬送手段7と、粉末敷設手段8と、リアルタイム監視手段9と、昇降手段10と、粉末回収手段11と、コンピュータ12とを含む。
レーザ伝播制御手段3、4は、レーザ装置から出力される第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームのオンオフ、レーザの拡大、成形面に入射されるレーザパワーを制御する。
【0028】
レーザ集光走査手段5は、第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームをそれぞれ集光、重畳させるとともに、成形面において走査を行う。
【0029】
成形キャビティの底部には、成形基板6が設置される。また、成形キャビティの上方には、粉末の搬送及び前処理を行うための漏斗状の粉末搬送手段7が設置される。成形キャビティの粉末搬送手段に対応する下方には、粉末を成形基板上に敷設するための粉末敷設手段8が設置される。
【0030】
リアルタイム監視手段9は、成形溶融池の様子を監視するための画像形成ユニットと、溶融池の温度及び温度の分布を監視するための温度監視ユニットとを含む。画像形成ユニットは、画像を撮像するためのCCDと、画像を表示するためのモニターとを含む。温度監視ユニットは、赤外線画像を撮像するためのサーモグラフィと、サーモグラフィのデータを収集してコンピュータに入力するデータ収集カードとを含む。
【0031】
成形基板6は、昇降手段10に接続され、昇降手段10によって昇降する。
【0032】
成形キャビティの底部には、粉末を回収するための通路がさらに設置される。通路口には、未成形粉末を回収するための粉末回収手段11が連結される。
【0033】
コンピュータ12は、レーザ伝播制御手段3、4と、レーザ集光走査手段5と、成形基板6と、粉末搬送手段7と、粉末敷設手段8と、リアルタイム監視手段9と、昇降手段10と、粉末回収手段11とに接続されて、成形工程中のレーザのオンオフ、レーザパワー、焦点距離の変更、走査速度、成形基板の昇降、粉末の搬送、粉末の敷設、溶融池の画像や温度データの収集、及び粉末の回収を制御する。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係る多波長レーザによる選択領域における高速成形方法を示すフローチャートである。図3に示すように、この方法は、コンピュータの製図ソフトウェアで幾何学的モデルを構築し、データをスライスして分層し、走査経路を計画するステップ1)と、成形キャビティを真空吸引し、必要に応じてシールドガスを注入するステップ2)と、粉末搬送装置で粉末の前処理及び搬送を行い、成形基板上に成形しようとする粉末を粉末敷設装置で敷設するステップ3)と、敷設された成形しようとする粉末を、集光した第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームで同時に走査して溶融させることで、単層構造を形成するステップ4)と、成形基板を一層降下させ、粉末の敷設及び選択的なレーザ走査工程を繰り返し、設計された幾何学的モデルの溶融成形を完成するステップ5)と、未溶融の金属粉末をクリーニングし、成形された構造を取り出すステップ6)と、を含む。
【0035】
粉末のサイズは、10nm〜200μmである。
【0036】
成形しようとする粉末は、金属粉末、プラスチック粉末、セラミックス粉末、コーテッドサンド粉末及びポリマー粉末を含む。
【0037】
図4は、本発明のレーザが集光して形成されるレーザスポットを示す図である。図4に示すように、成形面には、波長が200nm〜1.1μmの第1波長のレーザビームによってレーザスポット13が形成され、波長が700nm〜10.6μmの第2波長のレーザビームによってレーザスポット14が形成される。第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームは、成形面において同軸的に照射されて集光する。波長が200nm〜1.1μmの第1波長のレーザビームによって成形面において形成されたレーザスポット13は、波長が700nm〜10.6μmの第2波長のレーザビームによって成形面において形成されたレーザスポット14よりも小さい。なお、レーザスポット13は、レーザスポット14と重畳するとともに、レーザスポット14に取り囲まれる。波長が700nm〜10.6μmの第2波長のレーザビームによって成形面において形成されたレーザスポット14は、粉末の予熱及び後続の熱処理を行うことができるとともに、波長が200nm〜1.1μmの第1波長のレーザビームと共に成形面の重畳領域における粉末の溶融成形を引き起こす。
【0038】
(実施例1)
以下、図1及び図3を参照しながら、ZrO−Alセラミックスの多波長レーザによる選択領域における高速成形を例として本発明を詳しく説明する。本実施例において、選択されたZrO−Alセラミックス粉末は、粒径が30〜60μmの略球状の粉末である。
【0039】
まず、成形するセラミックス構造を設計するとともに、データをスライス、分層して走査経路を計画する。次に、成形キャビティを真空吸引する。粉末搬送装置で粉末の前処理及び搬送を行い、成形基板6上に成形しようとするセラミックス粉末を粉末敷設手段8で敷設する。なお、敷設される単層のセラミックス粉末の厚さを60μmにする。532nmの緑色レーザ装置から出力されるレーザビームを第1波長のレーザビームとして選択し、そのレーザパワーが50〜150Wである。また、COレーザ装置から出力される、波長が10.6μmのレーザビームを第2波長のレーザビームとして選択し、そのレーザパワーが100〜400Wである。集光した第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームを用いて、敷設された、成形しようとする粉末を約200〜400mm/sの速度で同時に走査して溶融させることで、単層構造を形成する。なお、成形中における溶融池の様子及びその温度の分布をリアルタイム監視手段で監視する。
【0040】
昇降手段10により成形基板6を60μm降下させ、設計構造の溶融成形が完成するまで粉末の敷設及び選択的なレーザ走査の工程を繰り返す。次に、昇降手段10により、成形基板6の上面を成形前の所定位置まで上昇させ、未溶融のセラミックス粉末をクリーニングし、成形された構造を取り出す。
【0041】
(実施例2)
以下、図2及び図3を参照しながら、チタンの多波長レーザによる選択領域における高速成形を例として本発明を詳しく説明する。本実施例において、選択されたチタン粉末は、粒径が20〜30μmの略球状の粉末である。
【0042】
まず、成形するチタン構造を設計するとともに、データをスライス、分層して走査経路を計画する。次に、成形キャビティを真空吸引し、Arガスをシールドガスとして注入する。粉末搬送手段で粉末の前処理及び搬送を行い、成形基板6上に成形しようとするチタン粉末を粉末敷設手段8で敷設する。なお、敷設される単層のチタン粉末の厚さを50μmにする。図2に示すレーザ装置から出力される532nmの緑色レーザビームを第1波長のレーザビームとして選択し、そのレーザパワーが30〜50Wである。また、レーザ装置から出力される1064nmの近赤外レーザビームを第2波長のレーザビームとして選択し、そのレーザパワーが150〜200Wである。集光した第1波長のレーザビーム及び第2波長のレーザビームを用いて、敷設された、成形しようとする粉末を約300〜400mm/sの速度で同時に走査して溶融させることで、単層構造を形成する。なお、成形中における溶融池の様子及びその温度の分布をリアルタイム監視手段で監視する。
【0043】
昇降手段10により成形基板6を50μm降下させ、設計構造の溶融成形が完成するまで粉末の敷設及び選択的なレーザ走査の工程を繰り返す。次に、昇降手段10により、成形基板6の上面を成形前の所定位置まで上昇させ、未溶融の金属粉末をクリーニングし、成形された構造を取り出す。
【0044】
以上より、本発明の好適な実施形態は、本発明の技術的手段を説明するためのものであり、決して本発明を限定するものではない。上記好適な実施形態を参照しながら本発明を詳しく説明したが、当業者であれば、本発明の特許請求の範囲の保護範囲を逸脱しない限り、本明細書に記載された実施形態の形式及びその詳細に様々な変更を行うことが可能である。
図1
図2
図3
図4