(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483818
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】接着剤転写システム
(51)【国際特許分類】
A24C 5/47 20060101AFI20190304BHJP
B05C 1/08 20060101ALI20190304BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20190304BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20190304BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A24C5/47
B05C1/08
B05D1/28
B05D7/00 F
B05D7/24 301P
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-518503(P2017-518503)
(86)(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公表番号】特表2017-537607(P2017-537607A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】GB2015052821
(87)【国際公開番号】WO2016055768
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年4月24日
(31)【優先権主張番号】1417773.7
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ファロン、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィッフェン、サム
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−526256(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0276966(US,A1)
【文献】
国際公開第00/076771(WO,A1)
【文献】
特表2005−514939(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00643928(EP,A1)
【文献】
特公昭59−044032(JP,B2)
【文献】
特開2011−130768(JP,A)
【文献】
特表2014−519821(JP,A)
【文献】
特公昭56−011506(JP,B2)
【文献】
国際公開第2013/165567(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/00 − 5/60
A24D 1/00 − 3/18
B05C 1/00 − 3/20
B05D 1/00 − 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チッピング紙ウェブが喫煙品フィルター組み立てユニットを介して供給される際にチッピング紙ウェブに接着剤のパターンを塗布するための接着剤転写システムであって、該システムは転写ローラーとアプリケーターローラーとを含み、転写ローラーはその表面にチッピング紙ウェブに塗布される接着剤のパターンに対応するパターンを形成する複数の彫刻された領域を有し、アプリケーターローラーは、転写ローラーにはさみ付けられ、転写ローラーとアプリケーターローラーが回転する際に、転写ローラーの表面で受けられた接着剤が彫刻された領域からアプリケーターローラー上に転写され、アプリケーターローラーと接触するチッピング紙の移動するウェブ上にその後の転写のための接着剤パターンをアプリケーターローラーに形成し、前記彫刻された領域は、転写ローラーの彫刻された領域それぞれに接着剤を離散させるための複数の個別の接着剤含有セルを含むシステム。
【請求項2】
各セルは30ミクロン程度の深さを有することを特徴とする請求項1記載の接着剤転写システム。
【請求項3】
各セルは0.45 ミクロン程度の幅を有することを特徴とする請求項1または2記載の接着剤転写システム。
【請求項4】
各セルは転写ローラーの表面を横断する方向に六角形の形状であることを特徴とする請求項2または3記載の接着剤転写システム。
【請求項5】
接着剤の溜めを収容するためのトラフを含み、転写ローラーはそれが回転する際に接着剤を取り上げるためにトラフ内に配置することができることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の接着剤転写システム。
【請求項6】
転写ローラーの表面に加圧下で接着剤を供給するように構成された接着剤アプリケーターを含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の接着剤転写システム。
【請求項7】
接着剤アプリケーターは転写ローラーとアプリケーターローラーの間のニップで転写ローラーに接着剤を塗布するために転写およびアプリケーターローラーの間に位置することを特徴とする請求項6記載の接着剤転写システム。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか1項記載の接着剤転写システムを含む喫煙品フィルター組み立て装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙品、例えばフィルター付き紙巻きタバコを形成するために使用される装置を通って供給されるチッピング紙の移動するウェブ上に接着剤のパターンを塗布するための接着剤転写システムに関する。また本発明は本発明の接着剤転写システムを組み込んだ喫煙品フィルター組み立て装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻きタバコなどの喫煙品の組み立てに使用される装置は、フィルター付き紙巻きタバコを形成するためにフィルターをタバコロッドに取り付けるためのフィルター取り付けユニットを含む。二本分の長さのフィルターロッドが2本のタバコロッドと1本ずつフィルターロッドのいずれのかの端部で位置合わせされ、3本のロッドがこれらを接合するために「チッピング紙」として知られている包装材のパッチで包装される。中央に位置する二本分の長さのフィルターロッドは、それから2本に切断され、2本のフィルター付き紙巻きタバコを形成する。パッチはウェブをパッチに切断する前に装置内を移動する際に張力がかけられたチッピング紙のウェブの複数のセクションに接着剤転写システムを使用して塗布される接着剤を使用してフィルターとタバコロッドに貼り付けられる。製造される喫煙品の構造によって接着剤を時にはチッピング紙の面の不連続の領域に所定のパターンで塗布する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明のいくつかの実施態様ではチッピング紙ウェブが喫煙品フィルター組み立てユニットを介して供給される際にチッピング紙ウェブに接着剤のパターンを塗布するための接着剤転写システムが提供され、本システムは転写ローラーとアプリケーターローラーとを含み、転写ローラーはその表面にチッピング紙ウェブに塗布される接着剤のパターンに対応する
パターンを形成する複数の彫刻された
領域を有し、アプリケーターローラーは、転写ローラーにはさみ付けられ、転写ローラーとアプリケーターローラーが回転する際に、転写ローラーの表面で受けられた接着剤が彫刻された領域からアプリケーターローラー上に転写され、アプリケーターローラーと接触するチッピング紙の移動するウェブ上にその後の転写のための接着剤パターンをアプリケーターローラーに形成し、該彫刻された
領域は、転写ローラーの彫刻された領域
それぞれに接着剤を離散させるための
複数の個別の接着剤含有セルを含む。
【0004】
好ましい実施態様では各セルは30ミクロン程度の深さを有する。好ましくは各セルは0.45ミクロン程度の幅を有する。
【0005】
各セルは転写ローラーの表面を横断する方向に六角形の形状であってもよい。
【0006】
一部の実施態様では本発明のシステムは接着剤の溜めを収容するためのトラフを含み、転写ローラーはそれが回転する際に接着剤を取り上げるためにトラフ内に配置することができる。
【0007】
他の実施態様では本発明のシステムは転写ローラーの表面に加圧下で接着剤を供給するように構成された接着剤アプリケーターを含む。好ましくは接着剤アプリケーターは転写ローラーとアプリケーターローラーの間のニップで転写ローラーに接着剤を塗布するために転写およびアプリケーターローラーの間に位置する。
【0008】
別の態様では本発明による接着剤転写システムを含む喫煙品フィルター組み立て装置も提供される。
【0009】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施態様による接着剤転写システムの側面図である。
【
図2】
図1に例示した接着剤転写システムの転写ローラーの彫刻された領域を形成するセル状構造の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中で使用するように「喫煙品」なる用語は、 タバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかに関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロなどの喫煙可能な製品および発熱するが燃焼しない製品、電子タバコを含むエアロゾル発生装置などの他のニコチン送出製品を含む。喫煙品には喫煙者に吸引される気体流用のフィルターを設けてもよい。全ての喫煙品はフィルターを有していないが、本発明の実施態様は喫煙者に吸引される気体流用のフィルターがチッピング紙を使用して紙巻きタバコフィルター組み立て装置でタバコロッドに取り付けられる喫煙品に関する。
【0012】
紙巻きタバコフィルター組み立て装置(図示せず)の一部を形成する接着剤転写システム1を
図1に例示する。接着剤転写システム1は接着剤の溜め3を含むトラフ2とトラフ2上の軸「A」の中心に方向「C」に回転するように取り付けられ、湾曲した外周面5を有する転写ローラー4とを含む。転写ローラー4は溜め3内に突出してその湾曲面5が部分的にトラフ2に収容された接着剤に浸かるようになっている。作動中、転写ローラー4は、チッピング紙ウェブ供給機構(図示せず)などの紙巻きタバコフィルター組み立て装置の他の部品を同調するように回転させる。
【0013】
転写ローラー4の湾曲面5はチッピング紙ウェブ(T)に塗布される糊のパターンに対応するセル状のパターン6(
図2参照)に彫刻またはエッチング処理されている。回転すると、転写ローラー4の湾曲面5は溜め3から取り上げられた接着剤でコーティングされ、また転写ローラー4の彫刻された領域を満たす。
【0014】
従来の接着剤転写システムでは、チッピング紙ウェブ(T)が転写ローラー4上にこれと直接接触して位置し、転写ローラー4上の余分な接着剤は、チッピング紙ウェブ(T)と接触する前に彫刻された領域6以外から転写ローラー4の面から転写ローラー4の湾曲面5にプレスされるドクターブレードによって除去される。それから接着剤はその上を通過するチッピング紙(T)によって接着剤に発生する表面張力により彫刻された領域6からチッピング紙ウェブ(T)上に引っ張られる。
【0015】
チッピング紙ウェブ(T)は薄く、比較的脆弱なので、発生する表面張力は全ての接着剤が転写ローラー4の彫刻された領域6からウェブの表面上に確実に引き抜かれるようにするには充分でない場合があり、またはパターン全体において局所領域に接着剤が過剰に塗布され、全パターンの他の領域には全くまたは殆ど塗布されない。従って、接着剤はチッピング紙ウェブ(T)に良好に転写されず、不均一になる。
【0016】
適切にかつ一定に接着剤をチッピング紙ウェブ(T)に塗布することは重要である。チッピング紙ウェブ(T)は薄いので、引張強度が低く、特に比較的高速でフィルター組み立て装置を通して供給されると、破れやすくなってしまう。チッピング紙ウェブ(T)が狭い領域に集中した過剰な接着剤によって濡らされると、その領域のウェブの引張強度はさらに減少し、破れがより生じやすくなる。さらにチッピング紙ウェブ(T)の1つの領域に集中して過剰な接着剤が塗布されるとチッピング紙ウェブ(T)の厚みを介して接着剤がにじみ出でしまい、チッピングウェブの見栄えを損なう。
【0017】
本発明の実施態様は2つのローラーによる糊転写装置を採用している。より具体的にはアプリケーターローラー7が転写ローラー4の上に転写ローラー4の回転軸「A」に平行な回転軸「B」を有して取り付けられている。アプリケーターローラー7は、アプリケーターローラー7が転写ローラー4から駆動され、これらが共に同じ速度で回転するように転写ローラーに連動させてもよい。アプリケーターローラー7の湾曲面8は滑らかであり、転写ローラー4の湾曲面4に対してニップ領域(N)でプレスされ、これにより転写およびアプリケーターローラー4、7が回転すると、糊が転写ローラー4の彫刻された領域6からアプリケーターローラー7の湾曲面上に転写され、接着剤の所望のパターンがアプリケーターローラー7の湾曲面に転写される。
【0018】
転写およびアプリケーターローラー4、7間のニップ(N)での圧力により彫刻された領域6以外の転写ローラー4の面の接着剤は、転写およびアプリケーターローラー4、7から搾り取られ、ニップ(N)を通過しない。これによりアプリケーターローラー7の滑らかな湾曲面8上に彫刻された領域6の形に対応する接着剤パターンが残る。
【0019】
接着剤が塗布される張力が掛けられたチッピング紙ウェブ(T)の表面は、矢印「D」の方向の経路に沿って供給され、その結果チッピング紙ウェブ(T)がニップ(N)から離れた位置でアプリケーターローラー7の湾曲面と接触するようになり、これによりアプリケーターローラー7が回転し続けると、アプリケーターローラー7上の接着剤パターンが続けてチッピング紙ウェブ(T)の表面上に所定のパターンで転写される。
【0020】
接着剤パターンがアプリケーターローラー7の表面8に位置しているので、接着剤パターンは表面8と接触しているチッピング紙ウェブ(T)によって表面8から効果的に拭き取られ、従ってチッピング紙ウェブ(T)が彫刻された領域から接着剤を引っ張り出すことができるようにする充分な表面張力の発生は、アプリケーターローラー7からチッピング紙ウェブ(T)に接着剤を適切にかつ一定に転写することの要因では最早なくなる。
【0021】
当然のことながら転写ローラー4の彫刻された領域6からアプリケーターローラー7の湾曲面上へ接着剤を確実に適切かつ効果的に転写するためにアプリケーターローラー7は転写ローラー4とのニップ(N)で充分かつ一定の表面張力を発生させる必要がある。これは溜め3から取り上げられた個別の量の接着剤が、ニップ(N)での表面張力が異なる彫刻された領域6に亘って延びた単独の塊としてではなく、
図2に示すように彫刻された領域内で個々のセル9に保持されるように彫刻された領域をセル状構造に分割することによって達成される。接着剤が彫刻された領域に亘って個々のセルを満たすように接着剤を分割することによって表面張力がセルの彫刻された領域に亘る位置に関係なく各セル9で実質的に同じなので、より一定の表面張力がニップ(N)で発生する。その結果さらにより均一かつ一定に接着剤がセルからアプリケーターローラー上へ転写される。各セル9は30ミクロン程度の深さと0.45ミクロン程度の幅を有するのが好ましい。隣接するセル間の距離Dは0.1ミクロン程度であってもよい。
【0022】
変更した実施態様では
図3の側面図に示すようにトラフ2が、接着剤が加圧下で転写ローラー4の彫刻された領域6に供給されるように加圧下で保持され、転写およびアプリケーターローラー4、7の間のニップ(N)に近くに配置される接着剤溜め9に変えられている。これは上記の実施態様より接着剤がチッピング紙ウェブ(T)に到達するのに移動する距離が短いという利点を有する。
【0023】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた接着剤転写システムを提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。