特許第6483847号(P6483847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スウェマック・イノヴェーション・アーベーの特許一覧

<>
  • 特許6483847-髄内釘 図000002
  • 特許6483847-髄内釘 図000003
  • 特許6483847-髄内釘 図000004
  • 特許6483847-髄内釘 図000005
  • 特許6483847-髄内釘 図000006
  • 特許6483847-髄内釘 図000007
  • 特許6483847-髄内釘 図000008
  • 特許6483847-髄内釘 図000009
  • 特許6483847-髄内釘 図000010
  • 特許6483847-髄内釘 図000011
  • 特許6483847-髄内釘 図000012
  • 特許6483847-髄内釘 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483847
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】髄内釘
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/74 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   A61B17/74
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-546006(P2017-546006)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(65)【公表番号】特表2017-535401(P2017-535401A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】EP2014075489
(87)【国際公開番号】WO2016082861
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】516171908
【氏名又は名称】スウェマック・イノヴェーション・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ドラワ
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−237108(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0274745(US,A1)
【文献】 特表2012−531955(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0179551(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0265202(US,A1)
【文献】 特開2011−206420(JP,A)
【文献】 特表2012−505672(JP,A)
【文献】 特表2000−513593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/72−17/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向ボア(2)を有する長尺本体(1)を備え、前記長尺本体(1)は、近位部(5)を通して延在し近位ロッキング部材を受けるための斜め横方向ボア(7)を有する近位部(5)と、遠位部(6)を通して延在し遠位ロッキング部材を受けるための少なくとも1つの横方向ボア(8)を有する遠位部(6)と、を含み、近位横方向ボア(7)の入口端は、陥凹面(11)を有する凹部(9)として構成され、前記陥凹面(11)は、陥凹側面部(15)と陥凹近位面部(16)および陥凹遠位面部(17)とから構成された近位大腿骨骨折用の髄内釘であって、
凹部(9)が前記長尺本体(1)の近位本体部(5)の外周において切り欠かれたときに形成された外縁(13)および内縁(14)により、陥凹側面(11)は境界され、
前記陥凹側面部(15)は、内縁(14)と外縁(13)との間に設けられるとともに、前記陥凹側面部(15)はそれぞれ、少なくとも1つの隆起(18)により構成され、 各隆起(18)は、前記長尺本体(1)の近位本体部(5)の長手方向軸(L)と実質的に平行に走るように少なくとも部分的に構成され、
各隆起(18)は、前記長尺本体(1)の近位本体部(5)を通して前記斜め横方向ボア(7)を横切って延びる長手方向平面に向かってある角度をなして走るように構成されたその平行部分(19)の近位にあるとともに、直接通り越して前記陥凹側面部(15)の遠位部分(23)となるように構成されたその平行部分の遠位にあり、それによって、前記近位ロッキング部材が大腿骨の大腿骨頸部を介して大腿骨頭部に挿入されるボアを形成するために大腿骨の穴形成手段を前記斜め横方向ボア(7)の入口端から前記斜め横方向ボア(7)を通過させるとき、各隆起(18)は、前記斜め横方向ボア(7)と一直線になるように前記穴形成手段を捉えて前記髄内釘を通してガイドするように構成されるとともに、前記穴形成手段がミスアライメントされたとき、各隆起(18)が前記穴形成手段に触れて、髄内釘の重要な部分を保護するために犠牲にされることによって、ミスアライメントに起因する髄内釘の重要な部分のダメージを低減するように構成されることを特徴とする近位大腿骨骨折用の髄内釘。
【請求項2】
各隆起(18)は、前記長尺本体(1)の近位本体部(5)を通して前記斜め横方向ボア(7)を横切って延びる長手方向平面に向かって弧状に走るように構成されたその平行部分(19)の近位にあるとともに、直接通り越して前記陥凹側面部(15)の遠位部分(23)となるように構成されたその平行部分の遠位にあることを特徴とする請求項1に記載の髄内釘。
【請求項3】
前記凹部(9)の最大長さは、約10mm〜20mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の髄内釘。
【請求項4】
前記凹部(9)の最大長さは、約15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の髄内釘。
【請求項5】
前記陥凹近位面部(16)の長さは、前記陥凹遠位面部(17)の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の髄内釘。
【請求項6】
各陥凹側面部(15)は、前記長尺本体(1)の近位部(5)を通して前記斜め横方向ボア(7)を横切って延びる長手方向平面から離れて弧状に走るように構成された前記隆起(18)の近位および遠位にあることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記
載の髄内釘。
【請求項7】
前記隆起(18)の近位にある各陥凹側面部(15)の弧状部分(22)の半径は、約5mm〜15mmであることを特徴とする請求項に記載の髄内釘。
【請求項8】
前記隆起(18)の近位にある各陥凹側面部(15)の弧状部分(22)の半径は、約10mmであることを特徴とする請求項6に記載の髄内釘。
【請求項9】
前記隆起(18)の遠位にある各陥凹側面部(15)の弧状部分(23)の半径は、約4mm〜12mmであることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の髄内釘。
【請求項10】
前記隆起(18)の遠位にある各陥凹側面部(15)の弧状部分(23)の半径は、約8mmであることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の髄内釘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近位大腿骨骨折用の髄内釘に関する。髄内釘は、長手方向ボアを有する長尺本体を備える。長尺本体は、斜め横方向ボアを有する近位部を備え、斜め横方向ボアは、近位部を通して延在し、近位ロッキング部材を受けるためのものである。長尺本体はまた、少なくとも1つの横方向ボアを有する遠位部を含み、横方向ボアは、遠位部を通して延在し、遠位ロッキング部材を受けるためのものである。斜め近位横方向ボアの入口端は、陥凹面を有する凹部として構成される。陥凹面は、陥凹側面部から構成され、陥凹側面部は、髄内釘の近位端および遠位端に向けられる。陥凹面は、陥凹近位面部と陥凹遠位面部とからさらに構成され、陥凹近位面部と陥凹遠位面部の両方は、髄内釘の側部に向けられる。
【背景技術】
【0002】
上記したタイプの髄内釘は、従来において多くの異なる形態が既に知られている。したがって、転子骨折および大腿骨頸部骨折または大腿骨頭部骨折を修復するために、近位端から大腿骨へ打ち込まれる髄内釘を提供することが知られている。髄内釘の長尺本体の近位部における斜め横方向ボアは、近位ロッキング部材、例えばラグスクリューをガイドし、近位ロッキング部材は、大腿骨の大腿骨頸部を介して大腿骨頭部に挿入される。ラグスクリューと同様に、多くの近位ロッキング部材には、近位ロッキング部材が大腿骨頭部にねじ込まれるようにするねじ山がつけられている。長尺本体の近位部はとりわけ、セットスクリューまたは他の結合または係合部材を挿入するための長手方向ボアにより構成され、該セットスクリューまたは他の結合または係合部材は、近位ロッキング部材が回転することなく、斜め横方向ボア中を軸方向に動くことができるように、近位ロッキング部材と相互に作用する。
【0003】
いくつかの従来の形態は、応力を低減するとともに疲労強度を高めるために、髄内釘の近位部における斜め横方向ボアの入口端および/または出口端の周りで髄内釘に凹部を設けることにより形成される陥凹面を有する。陥凹面は、凹部が形成されるときに形成される、例えば凹部が髄内釘の外縁へとミルされるときに形成される、外縁と内縁との間に規定され、陥凹面は、4つの部分、すなわち、髄内釘の近位端および遠位端に向けられるか又は髄内釘の側部に配置される2つの陥凹側面部と、1つの陥凹近位面部および1つの陥凹遠位面部とを備え、陥凹近位面部と陥凹遠位面部の両方は、髄内釘の側部に向けられるか又は斜め横方向ボアの近位および遠位に配置される。好ましくは、陥凹面の外側境界を構成する縁は、丸みを帯びたコーナーを有する長方形または正方形を形成するとされている。
【0004】
しかし、リーマまたは他の穴形成手段が、大腿骨中に近位ロッキング部材のためのボアをつくるのに用いられるとき、リーマまたは他の穴形成手段の横方向および/または長手方向のミスアライメントに起因して、陥凹面が損傷した場合、陥凹面は、高い応力が集中するエリアが損傷を受け、髄内釘の容易な損傷を生じさせる。なぜなら、髄内釘は、その結果、これらの損傷エリアでおよび/またはこれらの損傷エリアの近くで、約50%少ない抵抗を有するからである。したがって、リーマまたは他の穴形成手段のミスアライメントは、重大であるとともに、従来の形態において満足に解決されなかった問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、リーマまたは他の穴形成手段のミスアライメントが防止されるか又は少なくともミスアライメントに歯止めがかけられるように、髄内釘の近位部に斜め横方向ボアの入口端を構成することにより、上記したタイプの髄内釘を改良することにあり、すなわち、その結果、髄内釘の斜め横方向ボアと一直線になるか又は実質的に一直線になるようにリーマまたは他の穴形成手段はガイドされ、しかも髄内釘の重要な部分が影響を受けないので起こりうるミスアライメントに起因する損傷は低減される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、本発明によれば、少なくとも1つの隆起を有する斜め横方向ボアの入口端に、陥凹面の陥凹側面部を構成することにより、達せられる。
【0007】
したがって、本発明の主要な態様において、リーマがミスアライメントされたとき、隆起が例えばリーマに最初に触れる髄内釘が提供される。起こりうるミスライメントに起因する損傷は次いで少ない応力のあるエリアにおいて生じる。隆起は、いわば重要なエリアを保護するために犠牲にされ、それと同時に隆起は、リーマを捉えて髄内釘を通して安全にガイドする。髄内釘の損傷に対する抵抗および疲労抵抗は、改善される。
【0008】
本発明にかかる髄内釘の好適な実施形態およびその特徴は、添付のクレームに定義される。
【0009】
本発明は以下に、添付の図面を参照しながら2つの非限定的な例を用いてさらに説明される。
【0010】
添付図面は、必ずしも一定のスケールで描かれてはおらず、本発明のいくつかの特徴の寸法は明確にするために誇張されることがあることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の髄内釘の第一実施形態の概略斜視図である。
図2図2は、図1にかかる髄内釘の概略正面図である。
図3図3は、図1および図2にかかる髄内釘の概略断面図である。
図4図4は、図1の髄内釘の近位部を通る斜め横方向ボアの主に入口端の一部分の概略拡大斜視図である。
図5図5は、図2の髄内釘の近位部を通る斜め横方向ボアの主に入口端の一部分の概略拡大正面図である。
図6図6は、図3の髄内釘の近位部を通る斜め横方向ボアの主に入口端の一部分の概略拡大断面図である。
図7図7は、本発明にかかる髄内釘の第二実施形態の概略斜視図である。
図8図8は、図7にかかる髄内釘の概略正面図である。
図9図9は、図7にかかる髄内釘の概略断面図である。
図10図10は、図7の髄内釘の近位部を通る斜め横方向ボアの主に入口端の一部分の概略拡大斜視図である。
図11図11は、図8の髄内釘の近位を通る斜め横方向ボアの主に入口端の一部分の概略拡大正面図である。
図12図12は、図9の髄内釘の近位部を通る斜め横方向ボアの主に入口端の一部分の概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下に2つの実施形態により例示される。しかしながら、当然のことながら、実施形態は、本発明の原理を説明するために含まれ、添付の特許請求の範囲に記載されるような本発明の要旨を限定するためではないことが理解される。実施形態の詳細は、互いに組み合わせることが可能である。
【0013】
図1図3は、既に述べたように、本発明にかかる髄内釘の第一実施形態を図示し、図7図9は、本発明にかかる髄内釘の第二実施形態を図示する。髄内釘は、両方の実施形態において、長手方向ボア2を有する長尺本体1を備える。その近位端で、長手方向ボア2は、スレッドにより又はセットスクリューもしくは他の適切な結合もしくは係合部材(図示省略)を受ける他の手段により、好適に構成される。その近位端で、長手方向ボア2はまた、スレッドにより、又は大腿骨中の髄内釘の適切な配置および固定のために、髄内釘に対する正しい位置において、適切な取付けおよびターゲッティングデバイス(図示省略)を受けるフィッテング4により、好適に構成される。
【0014】
長尺本体1は、近位本体部5と遠位本体部6とから構成される。近位本体部5は、斜め横方向ボア7により構成される。この斜め横方向ボア7は、長尺本体1の近位本体部5を通して延在するとともに、近位ロッキング部材、好ましくは大腿骨頭部中へねじ込まれるラグスクリュー(図示省略)を受けるために設けられる。セットスクリューまたは他の結合または係合部材が近位ロッキング部材に係合するとき、斜め横方向ボア中の近位ロッキング部材の軸方向運動、例えば、長尺本体1に対する近位ロッキング部材の変位が、回転することなく可能となるように、斜め横方向ボア7は、長手方向ボア2を横断する。近位ロッキング部材の回転止めを容易にするために、近位ロッキング部材には、その長手方向に延在する1つまたは複数の溝が設けられる。遠位本体部6は、少なくとも1つの横方向ボア8により構成される。この横方向ボア8は、長尺本体1の遠位本体部8を通して延在するとともに、大腿骨骨幹軸へとねじ込まれる遠位ロッキング部材(図示省略)を受けるために設けられる。
【0015】
特に図3図6図9、および図12にそれぞれ図示されるように、斜め横方向ボア7の入口端も出口端も陥凹され、すなわち凹部9と凹部10とをそれぞれ備え、凹部9および凹部10において陥凹面11および陥凹面12がそれぞれ形成される。出口端にて陥凹面12が同じ概略のビルドアップを有することが可能であるにしても、入口端にて陥凹面11を有する凹部9は、本発明にふさわしいものであり、以下に、より詳細に説明される。図3、4、および図8にそれぞれ最もよく示されるように、陥凹面11は、外縁13および内縁14によりそれぞれ境界され、凹部9が、髄内釘の長尺本体1の近位本体部5の外周にミルされたとき又は他の切り欠きがなされたとき、外縁13および内縁14が形成される。したがって、陥凹面11の外縁13と内縁14との間に、2つの陥凹側面部15と、1つの陥凹近位面部16および1つの陥凹遠位面部17とがそれぞれ設けられ、2つの陥凹側面部15は、髄内釘の長尺本体1の近位端および遠位端に向けられるか、または、長尺本体1もしくは髄内釘の側部に配置され、1つの陥凹近位面部16と1つの陥凹遠位面部17の両方は、長尺本体1もしくは髄内釘の側部に向けられるか、または、その入口端で斜め横方向ボア7の近位および遠位に配置される。このため、陥凹面11の陥凹面部15、16、17の外側境界を構成する外縁13は、全体的に見ると、丸みを帯びたコーナーを有する長方形または正方形を形成する4つの辺を有する。見れば分かるように、陥凹面11の外縁13は、長尺本体1または髄内釘の近位本体部5の外周に見られる。陥凹面11の内縁14は、斜め横方向ボア7により形成される。それによって、エンドレスの陥凹面11を形成する陥凹面部15、16、17は、部分的に面取り可能である。それによって、陥凹面11の外縁13と内縁14との間の距離は、陥凹遠位面部17に部分的に示されるように、変えることが可能である。
【0016】
本発明によれば、斜め横方向ボア7の入口端での陥凹面11の陥凹側面部15のそれぞれは、少なくとも1つの隆起18により構成される。隆起18の目的は、上述したように、斜め横方向ボア7との正確なアライメントへと又は実質的に正確なアライメントへと、リーマなどの穴形成手段をガイドすることにより、リーマなどの穴形成手段のミスライメントを防止すること又は少なくとも弱めることにあり、さらに、それでもなおミスアライメントが少しでも発生した場合、ミスアライメントに起因する髄内釘に発生する応力を担うための隆起を用いることにより、髄内釘の重要な部分のダメージを低減することにある。例示した実施形態において、1つの隆起18は、各陥凹側面部15に形成される。隆起18は、好ましくは、陥凹面11を有する凹部9がミルされるのと同時に、またはその他の方法で髄内釘の長尺本体1の近位本体部5の外周の切り欠きがなされるのと同時に、形成される。
【0017】
各隆起18は、長尺本体1の近位本体部5の長手方向軸Lと実質的に平行に走るように、少なくとも部分的に構成される。各隆起18のサイズおよび形は、変更することが可能である。図1図6および図7図12は、隆起18の2つの異なる実施形態を図示する。
【0018】
したがって、図1図6に髄内釘が図示されており、各陥凹側面部15にある隆起18は、髄内釘の長尺本体1の近位本体部5を通して斜め横方向ボア7を横切って延びる長手方向平面に向かってある角度をなして走るように構成されたその平行部分19の近位および遠位にある。図示されるように、各陥凹側面部15にある隆起18は、長尺本体1の近位本体部5を通して斜め横方向ボア7を横切って延びる長手方向平面に向かって弧状に走るように構成されたその平行部分19の近位および遠位にあり、すなわち隆起の近位部分20および遠位部分21はそれぞれ、カーブし、好ましくは長手方向平面に向かって連続的にカーブしている。代替的に、隆起18の近位部分20および遠位部分21は、直線状または部分的に直線状または部分的にカーブとしてもよい。
【0019】
斜め横方向ボア7の入口端における凹部9は、約10mm〜20mmの最大高さを有し、好ましくは約14.5mmの最大高さを有し、すなわち髄内釘の長尺本体1の近位本体部5の長手方向に計られる陥凹近位面部16での外縁13と陥凹遠位面部17での外縁13との間の最大距離は、図1図6の実施形態において、約10mm〜20mm、好ましくは約14.5mmである。しかしながら、斜め横方向ボア7の入口端での凹部9の最大高さは、上記した範囲外にあってもよい。図7図12において、各陥凹側面部15にある隆起18は、髄内釘の長尺本体1の近位本体部5を通して斜め横方向ボア7を横切って延びる長手方向平面に向かってある角度をなして走るように構成されたその平行部分19の近位にあるとともに、直接通り越して陥凹側面部15の遠位部分となるように構成されたその平行部分の遠位にあり、すなわち図1図6の実施形態中の隆起18の遠位部分21に対応する図7図12の実施形態中の隆起18の遠位部分がない。したがって、図1図6の実施形態と比較すると、各陥凹側面部15にある隆起18は、長尺本体1の近位本体部5を通して斜め横方向ボア7を横切って延びる長手方向平面に向かって弧状に走るように構成されたその平行部分19の近位側のみにあり、すなわち隆起の近位部分20のみがカーブしており、好ましくは長手方向平面に向かって連続的にカーブしている。代替的に、隆起18の近位部分20は、直線状または部分的に直線状または部分的にカーブしてもよい。斜め横方向ボア7の入口端での凹部9は、約10mm〜20mm、好ましくは約15mmの最大高さを有し、すなわち髄内釘の長尺本体1の長手方向において計られる陥凹近位面部16での外縁13と陥凹遠位面部17での外縁13との間の最大距離は、図7図12の実施形態中、約10mm〜20mm、好ましくは約15mmである。しかしながら、斜め横方向ボア7の入口端での凹部9の最大高さは、上記した範囲外にあってもよい。
【0020】
上記した隆起18の特定の構成によって、例えば斜め横方向ボア7に対するリーマの横方向および/または長手方向の起こり得るミスアライメントの補正、および斜め横方向ボア7へのリーマの正確なガイドが容易になる。また、上述した2つの実施形態の大きな違いは、図7図12に図示された隆起18が、図1図6の隆起よりも長い平行部分19を有することであり、かつ図7図12に図示された隆起18が、直接通り越して隆起18の遠位に配置された陥凹側面部の部分となることである。それによって、使用時、このより長い平行部分19は、リーマまたは他の穴形成手段の、凹部9の上側近位部分における斜め横方向ボア7へのガイドをさらに向上する。本発明の要旨の範囲内で、隆起18をさらに修正することが可能であり、その結果、隆起18は、リーマまたは他の穴形成手段を、髄内釘を構成する長尺本体1の近位部5における入口端での凹部9の上側部分で斜め横方向ボア7へと上方へガイドすることができるとともに、リーマまたは他の穴形成手段のミスアライメントにより髄内釘がさらされる任意の応力に対処する。
【0021】
特に図2、5および図8、11にそれぞれ示されるように、隆起18は、陥凹面11の外縁13を与え、したがって陥凹面自体も与え、前からみたとき「くびれたウエスト」を有する形は、すなわち、陥凹側面部15は、完全に直線または平坦でもなく、陥凹側面部15は、その全体的な外観が丸みを帯びてもいないが、むしろ隆起での凹部9の幅の制限を形成する。この特徴は、図7図12の実施形態において、あまり顕著ではない。なぜなら、陥凹近位面部16の長さは、陥凹遠位面部17の長さよりも大きいからである。
【0022】
サイドからみたときに、陥凹面11の特定の設計および凹部9の特定の設計に寄与する別の特徴は、もちろん隆起18を別にすれば、各陥凹面部15が、髄内釘の長尺本体1の近位部分5を通して斜め横方向ボア7を横切って延びる長手方向平面から離れて弧状に走るように構成された隆起18の近位および遠位にあることである。各陥凹側面部15のこれらの近位部分および遠位部分は、それぞれ22および23で示される。各陥凹側面部15の弧状近位部分22の半径は、約5mm〜15mm、好ましくは約10mmであり、かつ弧状遠位部分23の半径は、約4mm〜12mm、好ましくは約8mmである。しかしながら、注目すべきは、各陥凹側面部15の弧状近位部分22の半径および弧状遠位部分23の半径が、上記した区間を外れてもよいことである。
【0023】
添付された特許請求の範囲の要旨の範囲内での本発明のさらなる修正は、本発明の概念および目的から逸脱することなく実施可能である。したがって、本発明は、上述した実施形態により又はこれらの実施形態を図示する図面により、限定されるようにとらえられるべきではない。むしろ、本発明の全範囲は、説明および図面を参照して、添付の特許請求の範囲により決定されるべきである。したがって、隆起は、陥凹側面部と一体なものとして図示されるが、隆起を例えば別個の部材として代替的に提供して、隆起を適切な手法で及び陥凹側面部に適している所に取り付けることは可能なはずである。次いで、ミスアライメントされたリーマまたは他の穴形成手段により生じる力に抵抗するための最適能力を有するとともに、ミスアライメントされたリーマまたは他の穴形成手段をガイドまたは向け直すための最適能力を有する適切な材料中に隆起を製造することもでき、それによって、隆起がガイド目的にベストな可能な形を得るように、隆起を製造することもできる。隆起とともに陥凹側面部を構成するための隆起の取り付けは、取り付けが固定で又は取り外し可能に行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
1 長尺本体
2 長手方向ボア
5 近位本体部(近位部)
6 遠位本体部(遠位部)
7 斜め横方向ボア
8 横方向ボア
9 凹部
11 陥凹面
15 陥凹側面部
16 陥凹近位面部
17 陥凹遠位面部
18 隆起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12