(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液透過性の表側シートと、液透過性又は液不透過性の裏側シートと、前記表側シートと裏側シートの間に排泄液を吸収する吸収性ポリマー粒子を設けられた吸収体において、
前記表側シートと裏側シートを、複数の第1接合部と複数の第2接合部で接合し、
平面視において、前記第1接合部を幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在して設け、前記第2接合部を前後方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在して設け、
前記第1接合部と、前記第1接合部に隣接する第1接合部と、前記第2接合部と、前記第2接合部に隣接する第2接合部で区画される部位の前記表側シートと裏側シートを離間させて複数のセルを形成し、
前記吸収性ポリマー粒子をセル内に設け、
前記第1接合部の少なくとも1つに前後方向に延在する開口部を設け、
前記開口部を、幅方向の中心に位置する前記第1接合部に設けられた第1開口部と、幅方向の左側部に位置する前記第1接合部に設けられた第2開口部と、幅方向の右側部に位置する前記第1接合部に設けられた第3開口部で形成し、
前記第1開口部と、前記第2開口部と、前記第3開口部を、不連続な破断形状に形成し、
平面視において、前記第2開口部を幅方向の中心に向かって円弧形状に形成し、前記第3開口部を幅方向の中心に向かって円弧形状に形成したことを特徴とする吸収体。
前記セルを、前記吸収性ポリマー粒子を少量設けた第1セルと、前記吸収性ポリマー粒子を多量設けた第2セルで形成し、前記第1セルを開口部の前後方向の両端部の近傍に配置した請求項1記載の吸収体。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<使い捨ておむつ>
本発明の液拡散性に優れ、装着時の違和感を軽減した吸収体について図面を参照しながら説明する。本明細書では、「前後方向」は腹側と背側を結ぶ方向をいい、「幅方向」は前後方向と直交する方向をいい、「上下方向」は装着時の使い捨ておむつの胴回り方向と直交する方向をいい、「内面」はそれぞれの部材の身体側面をいい、「外面」とはそれぞれの部材の反身体側面をいうものとする。
【0022】
図1,2に示すように、使い捨ておむつ100は、身体側の液透過性のトップシート1と、反身体側の液不透過性のバックシート2と、トップシート1とバックシート2の間に配置された吸収体3から形成されている。また、バックシート2の外面には、外装シート20が設けられている。
【0023】
吸収体3の幅方向の外側には、排泄物の外部への漏れを防止するために脚周り用の立体ギャザー30がそれぞれ設けられ、立体ギャザー30の外側には、排泄物の外部への漏れを防止する脚周り用の平面ギャザー40がそれぞれ設けられている。
【0024】
吸収体3の前後方向の外側には、吸収体3が延在しないエンドフラップ部EFがそれぞれ設けられ、吸収体3の幅方向の外側には、吸収体3が延在しないサイドフラップ部SFがそれぞれ設けられている。
【0025】
サイドフラップ部SFの背側には、幅方向の外側に向かって延在するファスニングテープ50がそれぞれ設けられ、外装シート20の外面の腹側には、使い捨ておむつ100の装着時にファスニングテープ50を係止するターゲットシート60が設けられている。
【0026】
(トップシート)
トップシート1は、吸収体3の外周縁よりも外側に延在し、延在部の外面は、ホットメルト等の接着剤を介してバックシート2の内面に固定されている。
【0027】
トップシート1としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。トップシート1に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m
2が好ましく、厚みは0.05〜1mmが好ましい。
【0028】
(バックシート)
バックシート2は、吸収体3の外周縁よりも外側に延在し、吸収体3に吸収された排泄物の外部への移動を遮断するものである。
【0029】
バックシート2としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート2の単位面積あたりの重量は13〜40g/m
2が好ましく、厚みは0.01〜0.1mmが好ましい。
【0030】
(吸収体)
図5,6に示すように、第1実施形態の吸収体3は、トップシート1側の液透過性の表側シート71と、バックシート2側の液不透過性の裏側シート72と、表側シート71と裏側シート72の間に配置された吸収性ポリマー粒子73から形成されている。
【0031】
吸収性ポリマー粒子73は、表側シート71と裏側シート72を接合した接合部74の内周部に位置する表側シート71と裏側シート72が離間して形成された複数のセル75内にそれぞれ設けられている。これにより、吸収性ポリマー粒子73を吸収体3の一部分に遍在することを防止することができ、吸収体3の吸収性能を維持することができる。また、吸収性ポリマー粒子73は、表側シート71と裏側シート72に対して非固定とすることもできるが、表側シート71又は裏側シート72にホットメルト接着剤を介して接着させることもできる。これにより、切断機のカッタの刃こぼれ等を防止でき生産性を高めることができる。
【0032】
吸収体3の幅方向の中心に位置する前後方向に延在する接合部(請求項における「第1接合部」)74Aには、前後方向に向かって延在する開口部(請求項における「第1開口部」)76が形成されている。これにより、多くのセル75が排泄液を吸収して膨潤して吸収体3の剛性が高まった場合においても、開口部76の左側に位置する吸収体3と、開口部76の右側に位置する吸収体3が、装着者の歩行に合わせて前後方向にそれぞれ容易に移動して違和感を低減することができる。
【0033】
吸収体3の左側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に向かって延在する左側開口部(請求項における「第2開口部」)77が形成され、吸収体3の右側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に向かって延在する右側開口部(請求項における「第3開口部」)78が形成されている。なお、左側開口部77と右側開口部78は、開口部76を中心として対称に形成されている。これにより、装着者の歩行に合わせて左側開口部77の左側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、左側開口部77と開口部76の間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76と左側開口部77の幅方向の開口幅の拡大を抑制することができる。同様に、装着者の歩行に合わせて右側開口部78の右側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、右側開口部78と開口部76の間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76と右側開口部78の幅方向の開口幅の拡大を抑制することができる。
【0034】
開口部76、左側開口部77、及び右側開口部78の前後方向の両端部の近傍には、吸収性ポリマー粒子73の充填が少ない第1セル75Aを設け、その他の部位には、吸収性ポリマー粒子73の充填が多い第2セル75Aを設けている。これにより、装着者の歩行に合わせて開口部76、左側開口部77、及び右側開口部78の前後方向の両端部の近傍部位がそれぞれ容易に変形して違和感を低減することができる。
【0035】
表側シート71としては、トップシート1と同様に、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を用いる場合は、スパンボンド法、メルトブローン法、ニ一ドルパンチ法によって加工された繊維密度が高い不織布を用いるのが好ましく、また、プラスチックシートを用いる場合には、吸収性ポリマー粒子73の外径よりも小径の穴が形成されたプラスチックシートを用いるのが好ましい。これにより、吸収性ポリマー粒子73のセル75からの脱落を軽減することができる。
【0036】
裏側シート72としては、トップシート1と同様に、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。また、不織布を用いる場合は、スパンボンド法、メルトブローン法、ニ一ドルパンチ法によって加工された繊維密度が高い不織布を用いるのが好ましく、また、プラスチックシートを用いる場合には、吸収性ポリマー粒子73の外径よりも小径の穴が形成されたプラスチックシートを用いるのが好ましい。これにより、吸収性ポリマー粒子73のセル75からの脱落を軽減することができる。
【0037】
吸収性ポリマー粒子73としては、使い捨ておむつ、ナプキン等の吸収性物品に使用されている高吸収性ポリマー粒子が用いられる。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系があり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体等を用いることができる。
【0038】
吸収性ポリマー粒子73の吸水量は、40g/g以上で、吸水速度は、70秒以下、特に40秒以下のものが好ましい。これにより、トップシート1を透過した排泄液を吸収体3で吸効率良く吸収することができトップシート1に排泄液がいわゆる逆戻りするのを防止することができる。
【0039】
吸収性ポリマー粒子73のゲル強度は、1000Pa以上のものが好ましい。これにより、排泄液を吸収した吸収体3のべとつき感を低減することができる。
【0040】
吸収性ポリマー粒子73の粒径は、500μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けでふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが好ましい。
【0041】
第1セル75Aの吸収性ポリマー粒子73の目付け量は、要求される吸収量に応じて適宜定められるが、50〜175g/m
2とするのが好ましい。なお、目付け量が50g/m
2未満の場合は、吸収量の確保が困難になる。また、第2セル75Bの吸収性ポリマー粒子73の目付け量は、要求される吸収量に応じて適宜定められるが、175g/m
2350g/m
2とするのが好ましい。なお、目付け量が350g/m
2を超えた場合は、吸収量が過大になりすぎる。
【0042】
前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅は、5〜10mmに形成され、幅方向に延在する接合部(請求項における「第2接合部」)74Bの前後方向の幅は、5〜10mmに形成されている。また、セル75の前後方向と幅方向の幅は、10〜150mmに形成されている。これにより、トップシート1を透過した排泄液を吸収体3の全域に拡散させて、排泄液を複数のセル75で効率良く吸収することができる。
【0043】
接合部74は、超音波溶着やヒートシールのように表側シート71と裏側シート72を溶着させて接合するのが好ましが、ホットメルト接着剤を介して接合することもできる。また、セル75の形状は、平面視で正方形に形成されているが、長方形、菱形、六角形、円形、及び楕円形に形成することもできる。なお、セル75が六角形形状の場合には、接合部74Aは、六角形形状の幅方向の形状に沿って幅方向に凹凸しながら前後方向に延在し、同様に、接合部74Bは、六角形形状の前後方向の形状に沿って前後方向に凹凸しながら幅方向に延在する。
【0044】
開口部76の前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%以上が好ましく、開口部76の幅方向の幅は、特に制限はない。なお、第1実施形態の開口部76の前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの前後方向の長さに対して約62%に形成され、開口部76の幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0045】
左側開口部77と右側開口部78の前後方向の長さは、特に制限はないが、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%未満が好ましい、左側開口部77と右側開口部78の幅方向の幅は特に制限はない。なお、第1実施形態の左側開口部77と右側開口部78の前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約47%に形成され、左側開口部77と右側開口部78の幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0046】
(外装シート)
外装シート20は、バックシート2の外面を覆い、使い捨ておむつ100の外面を布のような外観、肌触りとするものである。外装シート20としては、不織布で形成するのが好ましい。素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法は、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いて製作することができる。但し、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好ましい。
【0047】
不織布は一枚で使用する他、複数枚を重ねて使用することもでき、複数枚を重ねて使用する場合は、不織布相互をホットメルト等の接着剤を介して固定するのが好ましい。また、不織布を用いる場合は、その繊維目付けは10〜50g/m
2、特に15〜30g/m
2が好ましい。
【0048】
(脚周り用の立体ギャザー)
図3,4に示すように、脚周り用の立体ギャザー30を形成するギャザーシート31の基部31Aの外面は、バックシート2の内面の幅方向の外側部と外装シート20の内面の幅方向の外側部に前後方向に亘ってそれぞれ固定されている。また、ギャザーシート31の起立部31Bの前後方向の両端部は、トップシート1の内面の幅方向の外側部に固定され、ギャザーシート31の起立部31Bの前後方向の中間部は、トップシート1の内面には固定されておらず離間している。
【0049】
ギャザーシート31の起立部31Bには、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する複数の細長状の弾性伸縮部材32が所定の伸張状態で設けられている。これにより、使い捨ておむつ100の装着時には、弾性伸縮部材32の収縮力によって起立部31Bを装着者の股間部に向かって起立させて、起立部31Bの先端部を装着者の股間部に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0050】
ギャザーシート31としては、スパンボンド不織布等の不織布の他、バックシート2に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好ましい。
【0051】
弾性伸縮部材32としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材32の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸張率は150〜250%程度、特に160〜200%程度が好ましい。
【0052】
(脚周り用の平面ギャザー)
脚周り用の平面ギャザー40は、立体ギャザー30を形成するギャザーシート31の基部31Aに設けられている。サイドフラップ部SFを形成するギャザーシート31の基部31Aとバックシート2の幅方向の外側部には、幅方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する細長状の弾性伸縮部材41が所定の伸張状態で設けられている。これにより、使い捨ておむつ100の装着時には、弾性伸縮部材41の収縮力によって平面ギャザー40が装着者の脚部に押接させ排泄物の外部への漏れを防止することができる。
【0053】
弾性伸縮部材41としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。また、弾性伸縮部材41の間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度が好ましい。さらに、弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)が好ましく、また取り付け時の伸張率は150〜250%程度、特に160〜200%程度が好ましい。
【0054】
(ファスニングテープ)
図1〜3に示すように、サイドフラップ部SFの背側部には、それぞれ外側に向かって延在するファスニングテープ50が設けられている。ファスニングテープ50は、基材シート51と、基材シート51の内面の外側部に設けられた係止部52から形成されている。また、基材シート51の内側部は、ギャザーシート31と外装シート20の幅方向の外側部に固定されいる。
【0055】
基材シート51の素材は、不織布が好ましく、不織布としては公知のものを特に限定無く用いることができる。不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の製造方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。特にオレフィン系繊維を用いたスパンボンド不織布、SMS不織布が好ましい。使用する不織布の坪量は適宜定めることができるが、本体部5bにおける不織布の総坪量が20〜75g/m
2、特に26〜46g/m
2であり、固定部5f及び先端部5pにおける不織布の総坪量がそれぞれ35〜130g/m
2、特に46〜116g/m
2であると好ましい。この範囲内であれば、外装シート20とギャザーシート31の間に固定される基部における強度や剛性を確保でき、且つ本体部74の柔軟性や伸縮性の確保をすることができる。
【0056】
係止部52としては、メカニカルファスナーのフック材が好ましい。フック材は、多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。また、フック材に替えて粘着剤層を用いることもできる。
【0057】
(ターゲットシート)
ターゲットシート60としては、ループ糸が表面に多数設けられたプラスチックフィルムや不織布等が好ましい。これにより、装着者に使い捨ておむつ100を装着する場合には、ファスニングテープ50の係止部52をターゲットシート60に効率良く係止することができる。
【0058】
(中間シート)
実施形態1においては、トップシート1と吸収体3の間に、中間シート4が設けられている。これにより、トップシート1を透過した排泄液を吸収体3に速やかに移動させて、排泄液の逆戻りを防止することができる。なお、中間シート4は、トップシート1の外面に、ホットメルト接着剤、ヒートエンボスや超音波溶着によって固定されている。
【0059】
中間シート4としては、不織布を用いる他、多数の透過孔を有する樹脂フィルムを用いることもできる。不織布としては、トップシート1と同様の素材を用いることができるが、トップシート1よりも親水性が高いものや、繊維密度が高いものが、トップシート1から中間シート4への排泄液の移動特性に優れるため好ましい。
【0060】
<第2実施形態の吸収体>
次に、第2実施形態の吸収体3について説明する。なお、第1実施形態の吸収体93と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0061】
図7に示すように、吸収体3の幅方向の中心に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて、且つ、前後方向に向かって延在する開口部76Aが形成されている。なお、開口部76Aを形成する各開口部は、前後方向に長辺を有する長方形形状に形成されている。これにより、多くのセル75が排泄液を吸収して膨潤して吸収体3の剛性が高まった場合においても、開口部76Aの左側に位置する吸収体3と、開口部76Aの右側に位置する吸収体3が、装着者の歩行に合わせて前後方向にそれぞれ容易に移動して違和感を低減することができ、また、開口部76Aの近傍に設けられたセル75の破断を防止することができる。
【0062】
吸収体3の左側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて、且つ、前後方向に向かって延在する左側開口部77Aが形成され、吸収体3の右側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて、且つ、前後方向に向かって延在する右側開口部78Aが形成されている。なお、左側開口部77Aと右側開口部78Aを形成する各開口部は前後方向に長辺を有する長方形形状に形成されている。これにより、装着者の歩行に合わせて左側開口部77Aの左側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、左側開口部77Aと開口部76Aの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76Aと左側開口部77Aの幅方向の開口幅の拡大を抑制することができ、また、左側開口部77Aの近傍に設けられたセル75の破断を防止することができる。同様に、装着者の歩行に合わせて右側開口部78Aの右側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、右側開口部78Aと開口部76Aの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76Aと右側開口部78Aの幅方向の開口幅の拡大を抑制することができ、また、右側開口部78Aの近傍に設けられたセル75の破断を防止することができる。
【0063】
開口部76Aの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%以上であれは良く、開口部76Aの前後方向の離間の長さと幅方向の幅は、特に制限はない。なお、第2実施形態の開口部76Aの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約62%に形成され、開口部76Aの前後方向の離間の長さと幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0064】
左側開口部77Aと右側開口部78Aの前後方向の長さは、特に制限はないが、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%未満が好ましい、左側開口部77A及び右側開口部78Aの離間の長さ及び幅方向の幅は、特に制限はない。なお、第2実施形態の左側開口部77Aと右側開口部78Aの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約47%に形成され、左側開口部77A及び右側開口部78Aの離間の長さ及び幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対してそれぞれ約50%に形成されている。
【0065】
<第3実施形態の吸収体>
次に、第3実施形態の吸収体3について説明する。なお、第1実施形態の吸収体93と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
図8に示すように、吸収体3の幅方向の中心に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて、且つ、前後方向に向かって延在する開口部76Bが形成されている。なお、開口部76Bを形成する各開口部は前後方向に長辺対角線を有する菱形形状に形成されている。これにより、多くのセル75が排泄液を吸収して膨潤して吸収体3の剛性が高まった場合においても、開口部76Bの左側に位置する吸収体3と、開口部76Bの右側に位置する吸収体3が、装着者の歩行に合わせて前後方向にそれぞれ容易に移動して違和感を低減することができ、また、開口部76Bの近傍に設けられたセル75の破断をより防止することができる。
【0067】
吸収体3の幅方向の左側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて、且つ、前後方向に向かって延在する左側開口部77Bが形成され、吸収体3の幅方向の右側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に所定の間隔を隔てて、且つ、前後方向に向かって延在する右側開口部78Bが形成され吸収体3の前後方向の中心から前後方向に向かって延在し、前後方向に所定の間隔を隔てて形成された右側開口部78Bが形成されている。なお、左側開口部77Bと右側開口部78Bを形成する各開口部は前後方向に長辺対角線を有する菱形形状に形成されている。これにより、装着者の歩行に合わせて左側開口部77Bの左側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、左側開口部77Bと開口部76Bの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76Bと左側開口部77Bの幅方向の開口幅の拡大を抑制することができ、また、左側開口部77Bの近傍に設けられたセル75の破断をより防止することができる。同様に、装着者の歩行に合わせて右側開口部78Bの右側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、右側開口部78Bと開口部76Bの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76Bと右側開口部78Bの幅方向の開口幅の拡大を抑制することができ、また、右側開口部78Bの近傍に設けられたセル75の破断をより防止することができる。
【0068】
開口部76Bの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%以上であれは良く、開口部76Bの前後方向の離間の長さと幅方向の幅は、特に制限はない。なお、第3実施形態の開口部76Bの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約62%に形成され、開口部76Bの前後方向の離間の長さと幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0069】
左側開口部77Bと右側開口部78Bの前後方向の長さは、特に制限はないが、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%未満が好ましい、左側開口部77B及び右側開口部78Bの離間の長さ及び幅方向の幅は、特に制限はない。なお、第3実施形態の左側開口部77Bと右側開口部78Bの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約47%に形成され、左側開口部77B及び右側開口部78Bの離間の長さ及び幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0070】
<第4実施形態の吸収体>
次に、第4実施形態の吸収体3について説明する。なお、第1実施形態の吸収体93と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
図9に示すように、吸収体3の幅方向の中心に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に向かって延在する波状の開口部76Cが形成されている。これにより、多くのセル75が排泄液を吸収して膨潤して吸収体3の剛性が高まった場合においても、開口部76Cの左側に位置する吸収体3と、開口部76Cの右側に位置する吸収体3が、装着者の歩行に合わせて前後方向にそれぞれ容易に移動して違和感をより低減することができる。
【0072】
吸収体3の左側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に向かって延在する波状の左側開口部77Cが形成され、吸収体3の右側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aには、前後方向に向かって延在する波状の右側開口部78Cが形成されている。これにより、装着者の歩行に合わせて左側開口部77Cの左側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、左側開口部77Cと開口部76Cの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76Cと左側開口部77Cの幅方向の開口幅の拡大をより抑制することができる。同様に、装着者の歩行に合わせて右側開口部78Cの右側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、右側開口部78Cと開口部76Cの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量よりも大きくして開口部76Cと右側開口部78Cの幅方向の開口幅の拡大をより抑制することができる。
【0073】
開口部76Cの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%以上であれは良く、開口部76Cの波状の左端部及び右端部の全体幅と幅方向の幅については特に制限はない。なお、第4実施形態の開口部76Cの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約62%に形成され、開口部76Cの全体幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約90%に形成され、開口部76Cの幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0074】
左側開口部77Cと右側開口部78Cの前後方向の長さは、特に制限はないが、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%未満が好ましい、左側開口部77C及び右側開口部78Cの波状の左端部及び右端部の全体幅及び幅方向の幅については、特に制限はない。なお、第4実施形態の左側開口部77Cと右側開口部78Cの前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約47%に形成され、左側開口部77Bと右側開口部78Bの全体幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約90%に形成され、左側開口部77Bと右側開口部78Bの幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。
【0075】
<第5実施形態の吸収体>
次に、第5実施形態の吸収体3について説明する。なお、第1実施形態の吸収体93と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図10に示すように、吸収体3の左側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aと、この接合部74Aの左側に隣接する接合部74Aと、さらに、この接合部74Aの左側に隣接する接合部74Aには、それぞれ、前後方向に向かって延在する第1左側開口部80Aと、前後方向に向かって延在する第2左側開口部80Bと、前後方向に向かって延在する第3左側開口部80Cが形成されている。
【0077】
平面視において、第1左側開口部80Aの前後方向の中心、前側と後側に形成された第2左側開口部80Bのそれぞれの前後方向の中心、前側と後側に形成された第3左側開口部80Cのそれぞれの前後方向の中心を繋ぐ仮想線を円弧形状に形成するのが好ましい。
【0078】
また、吸収体3の平面視と直交する左側面視(
図10の吸収体3を左側から右側に視た場合)において、前側に形成された第3左側開口部80Cの後部を前側に形成された第2左側開口部80Bの前部に位置させ、前側に形成された第2左側開口部80Bの後部を第1左側開口部80Aの前部に位置させ、第1左側開口部80Aの後部を後側に形成された第2左側開口部80Bの前部に位置させ、後側に形成された第2左側開口部80Bの後部を後側に形成された第3左側開口部80Cの前部に位置させて、吸収体3の左側面視において、第1左側開口部80A、第2左側開口部80B、及び第3左側開口部80Cは、実質的に直線状に形成するのが好ましい。
【0079】
これにより、装着者の歩行に合わせて第3左側開口部80Cの左側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量、第3左側開口部80Cと第2左側開口部80Bの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量、第2左側開口部80Bと第1左側開口部80Aの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量、及び第1左側開口部80Aと開口部76の間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、吸収体3の左側部に位置するほど大きくして開口部76、第1左側開口部80A、第2左側開口部80B及び第3左側開口部80Cの幅方向の開口幅の拡大をより抑制することができる。
【0080】
吸収体3の右側部に位置する前後方向に延在する接合部74Aと、この接合部74Aの右側に隣接する接合部74Aと、さらに、この接合部74Aの右側に隣接する接合部74Aには、それぞれ、前後方向に向かって延在する第1右側開口部81Aと、前後方向に向かって延在する第2右側開口部81Bと、前後方向に向かって延在する第3右側開口部81Cが形成されている。なお、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B、及び第3右側開口部81Cと、第1左側開口部80A、第2左側開口部80B、及び第3左側開口部80Cは、開口部76を中心として対称に形成されている。
【0081】
平面視において、第1右側開口部81Aの前後方向の中心、前側と後側に形成された第2右側開口部81Bのそれぞれの前後方向の中心、前側と後側に形成された第3右側開口部81Cのそれぞれの前後方向の中心を繋ぐ仮想線を円弧形状に形成するのが好ましい。
【0082】
また、吸収体3の平面視と直交する左側面視において、前側に形成された第3右側開口部81Cの後部を前側に形成された第2右側開口部81Bの前部に位置させ、前側に形成された第2右側開口部81Bの後部を第1右側開口部81Aの前部に位置させ、第1右側開口部81Aの後部を後側に形成された第2右側開口部81Bの前部に位置させ、後側に形成された第2右側開口部81Bの後部を後側に形成された第3右側開口部81Cの前部に位置させて、吸収体3の右側面視において、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B、及び第3右側開口部81Cは、実質的に直線状に形成するのが好ましい。
【0083】
これにより、装着者の歩行に合わせて第3右側開口部81Cの右側に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量、第3右側開口部81Cと第2右側開口部81Bの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量、第2右側開口部81Bと第1右側開口部81Aの間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量、及び第1右側開口部81Aと開口部76の間に位置する吸収体3の前後方向に移動する移動量を、吸収体3の右側部に位置するほど大きくして開口部76、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B及び第3右側開口部81Cの幅方向の開口幅の拡大をより抑制することができる。
【0084】
第1左側開口部80A、第2左側開口部80B、及び第3左側開口部80Cのそれぞれの前後方向の長さを加算した前後方向の長さは、特に制限はないが、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%未満が好ましい、第1左側開口部80A、第2左側開口部80B、及び第3左側開口部80Cの幅方向の幅は、特に制限はない。同様に、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B、及び第3右側開口部81Cのそれぞれの前後方向の長さを加算した前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して50%未満であれは良く、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B、及び第3右側開口部81Cの幅方向の幅は、特に制限はない。なお、第5実施形態の第1左側開口部80A、第2左側開口部80B、及び第3左側開口部80Cの前後方向の長さ加算した前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約47%に形成され、第1左側開口部80A、第2左側開口部80B、及び第3左側開口部80Cの幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。また、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B、及び第3右側開口部81Cの前後方向の長さを加算した前後方向の長さは、前後方向に延在する接合部74Aの長さに対して約47%に形成され、第1右側開口部81A、第2右側開口部81B、及び第3右側開口部81Cの幅方向の幅は、前後方向に延在する接合部74Aの幅方向の幅に対して約50%に形成されている。