【実施例1】
【0013】
まず、本発明である方杖梁について説明する。
図1は、方杖梁を適用した建物の正面図である。
図2は、方杖梁を適用した建物の一部を拡大した正面図である。
図3は、方杖梁を示す正面図である。
【0014】
図1に示すように、木造建物100は、建物の屋根の頂部に長手方向に水平に配置された棟木材210(図面においては手前から奥に配置)、屋根に瓦などを敷くために棟木材210の両側に下方へ傾斜するように配置された屋根材200、屋根材200を受けるために棟木材210の横から複数本を所定の間隔で斜めに下した垂木材(図示せず)、垂木材を支えるために棟木材210と平行に配置した母屋材(図示せず)、屋根材200を含む建物全体を支えるために石材やコンクリートなどの土台410を介して地面に対して垂直に複数本(例えば、建物の四隅など)が立てられた柱材400、建物の短手方向に隣接する柱材400、400a間を渡すようにそれらの上に水平に配置することにより屋根材200などの荷重を柱材400、400aに伝える方杖梁300、棟木材210及び母屋材を支えるために方杖梁300から垂直に立てられた束材220などを備える。
【0015】
方杖梁300は、一の柱材400とそれに隣接する他の柱材400aとの間に置かれる水平な梁材310と、梁材310の下側に沿って配置され両端が下方に湾曲した補強材340、梁材310と補強材340の間に介在させる端スペーサ320及び中スペーサ330等を有する。梁材310と柱材600とが交わっている隅を、方杖や筋交などの斜材で補強する代わりに、方杖梁300を使用して補強する。なお、梁材310は棟木材210と直交する方向に配置されるが、棟木材210と平行な方向に配置される桁材(図示せず)と柱材400との間に方杖梁300を適用しても良い。
【0016】
補強材340は、柱材400と柱材400aの間を渡すように、梁材310の下側に取り付ける。補強材340は、厚い木材であると撓らせるのが困難であるため、薄い木材を複数枚重ね、それらをまとめて撓らせることにより、両端側を下げて中央側が盛り上がるように湾曲させる。補強材340は、木材を湾曲した形状で切り出すことも可能であるが、木材を撓らせて湾曲させるのが好ましい。
【0017】
補強材340の中央部は、梁材310の下面に接しており、上面に接着剤を塗布することにより梁材310に貼着される。補強材340の両端は、柱材400と柱材400aとで押さえることで挟持される。なお、釘などの金具で固定すると、空けた穴の周りが金具との摩擦等により破損する場合や、金属の腐食や木材の腐朽などにより緩むおそれがあるので、木材同士を接着剤などで固着する。
【0018】
補強材340の両端付近と梁材310との間に存在する隙間には、それを埋めるために端スペーサ320及び中スペーサ330を挟み込む。端スペーサ320及び中スペーサ330を使用することで、補強材340を撓らせた状態で保持する。端スペーサ320と補強材340、及び端スペーサ320と梁材310も接着剤で貼着する。同様に、中スペーサ330と補強材340、及び中スペーサ330と梁材310も接着剤で貼着する。
【0019】
図2に示すように、端スペーサ320及び中スペーサ330は、梁材310と撓らせた補強材340の間に板材を挟み込んで、水平な梁材310と湾曲した補強材340の間隙350を埋める。端スペーサ320は、柱材600の側面と接する端側に配置される。また、中スペーサ330は、梁材310と補強材340が接する中央部と、端スペーサ320との間に配置される。
【0020】
端スペーサ320及び中スペーサ330は、間隙350が略三角状であることから、横向きの略台形状であり、当該形状の木材を切り出しても良いし、薄い木材を重ねて当該形状に成形しても良い。例えば、梁材310に近い上部は間隙350が中央部付近まで延びているので長い板材を入れ、補強材340に近い下部は下に行くほど間隙350が短くなるので補強材340に届く長さの板材を入れれば良い。
【0021】
また、
図3に示すように、方杖梁300は、補強材340の中央部と、両端部2つの端スペーサ320と、中間部2つの中スペーサ330の5点で、梁材310を支持しているが、間隙350を充填材360で埋めても良い。補強材340の中央部と、2つの端スペーサ320の3点だけでは、梁材310を支持するには不十分であるので、少なくとも2つの中スペーサ330を加えた5点以上で梁材310を支持することが好ましい。
【0022】
次に、本発明である方杖梁の施工方法について説明する。
図4は、方杖梁の製造方法の流れを示す図である。
図5は、方杖梁を適用した建物の例を示す斜視図である。
図6は、方杖梁を応用した建物の例を示す正面図である。
【0023】
図4(a)に示すように、梁材310が反らないように、梁材310を平坦な作業台500の上に載置する。梁材310は、上面を下向きにして作業台500に載せ、仮止めする等して一時的に固定すれば良い。作業台500などを使用しないと、端スペーサ320等を挟んだ際に補強材340だけでなく梁材310までが湾曲する可能性がある。
【0024】
図4(b)に示すように、柱材400が当てられる位置に保持板510を立て、仮止めする等して一時的に固定する。保持板510に側面を当接させながら、端スペーサ320の上面を梁材310の下面に接着剤を用いて貼着520する。また、梁材310の中央部と端スペーサ320の間の任意の位置において、中スペーサ330の上面を梁材310の下面に接着剤を用いて貼着520する。梁材310の中央部と、中スペーサ330の下面と、端スペーサ320の下面とを延長させて繋いだときに、円弧状になれば良い。すなわち、複数のスペーサの下面が間欠的な円弧状となる。
【0025】
図4(c)に示すように、補強材340として、撓らせることが可能な程に薄い板材を複数枚重ねて、それぞれの間に接着剤を塗布して貼着520する。厚みのある1枚の板材だと撓らせることが困難でも、薄い板材を複数枚貼り合わせて同じ厚さになってもそれぞれが撓ることで湾曲させることが可能となる。梁材310の中央部、中スペーサ330、端スペーサ320に対して、補強材340を上方から押し当てる。
【0026】
図4(d)に示すように、補強材340は湾曲した状態で当接するので、補強材340の上面と梁材310の下面とを接着剤で貼着520し、補強材340の上面と中スペーサ330の下面とを接着剤で貼着520し、補強材340の上面と端スペーサ320の下面とを接着剤で貼着520する。各材が固着されたら、仮止めしていた作業台500及び保持板510を取り外せば良い。
【0027】
図5の木造建物100aに示すように、中央に頂点のある屋根材200だけでなく、左右に傾斜しない屋根材200aを方杖梁300で支えても良い。また、奥側から手前側に傾斜するような屋根材200aを方杖梁300で支えても良い。さらに、トタンなどの金属製の屋根材200aを使用しても良いし、複数の凹凸が繰り返される波形の屋根材200aを使用しても良い。
【0028】
また、
図6の木造建物100bに示すように、梁材310を補強するものとして方杖梁300を使用するだけでなく、屋根材200bを補強するために方杖梁300aを応用しても良い。例えば、棟木材210から左右に傾斜している垂木材の下側に沿って、それぞれ方杖梁300aを配置して支えても良い。
【0029】
本発明によれば、木造建物の梁材がその自重や屋根の重みなどで撓むのを抑制することができる。上方に湾曲する補強材を梁材の下側に当てることにより、梁材に掛かる荷重を軽減することができる。重量のある太い梁材を使用しなくても、薄い梁材を補強することができるので、軽量化を図ることもできる。
【0030】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、梁材の上側に補強材を取り付けても良い。また、垂直材と水平材が交差する箇所であれば取り付けることが可能である。