(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、検出感度の低下を抑制し、誤検出を防止することができる異物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸引手段と、
一端部が前記吸引手段に接続され、他端部が予め定める異物検出対象空間に配設された通気管であって、前記吸引手段によって、前記一端部から管内の空気が吸引される通気管と、
前記通気管の途中に設けられ、遮光性の検出空間を形成し、この検出空間内に異物の検出領域を有する検出空間形成体であって、前記検出空間に清浄空気を導入するための清浄空気導入孔を有する検出空間形成体と、
前記検出空間形成体に設けられ、前記検出領域で空気中の異物を光学的に検出する異物検出手段と、
前記吸引手段を、予め定める第1時間だけ吸引動作させた後、予め定める第2時間だけ停止させる一連の吸引/停止動作を繰り返すように、前記吸引手段を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする異物検出装置である。
【0007】
また本発明において、前記異物検出手段は、
前記検出領域に向けて光を発生する発光素子と、
前記検出領域で前記発光素子の光軸と交差する光軸を有する受光素子と、
前記受光素子の光軸に沿って前記検出領域に関して前記受光素子とは反対側に延び、前記検出領域に臨んで開口し、前記検出領域から遠ざかった位置で閉鎖され、前記受光素子の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲を遮光空間とする遮光部材と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また本発明において、前記検出空間形成体の前記清浄空気導入孔には、集塵フィルタが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御手段によって吸引手段が吸引動作している第1時間においては、吸引手段によって通気管の他端部から管内の空気が吸引され、異物検出対象空間に配設された通気管の一端部から、異物検出対象空間内の空気が吸引される。通気管の途中には、検出空間形成体が設けられる。この検出空間形成体は、清浄空気導入孔を有するので、吸引手段の吸引力によって通気管内を通る空気の流れによって、検出空間内に滞留している空気が、検出空間よりも下流側に通気管へ引き込まれ、これによって清浄空気導入孔から外気が検出空間内へ引き込まれる。このような検出空間へ引き込まれる清浄な空気にによって、検出空間の壁面および異物検出手段などへの異物の付着が抑制されるとともに、既に付着した異物が除去される。
【0010】
制御手段によって吸引手段の吸引動作が停止されている第2時間においては、通気管内の空気の流れは停止するので、検出空間への吸引作用がなくなり、清浄空気導入孔から外気が検出空間に引き込まれない。このとき検出空間形成体よりも上流側の通気管内の空気のうち、検出空間の近傍の通気管内の空気が検出空間内に拡散して、検出空間内の空気と混合する。
【0011】
このように第1時間においては、通気管から検出空間内に流入した空気は、清浄空気導入孔から流れ込んだ清浄空気によって希釈され、煙粒子などの異物の付着が防がれるとともに、付着している異物が除去される。また、第2時間においては、吸引手段の吸引動作が停止しているので、清浄空気導入孔から検出空間内へ清浄空気の流入がなくなり、検出空間に異物検出対象空間から吸引された空気が混合し、この混合空気中の異物が異物検出手段によって光学的に検出される。
【0012】
通気管の途中に検出空間形成体が設けられることによって、検出空間には通気管を流れる空気によって、いわばエジェクタが構成され、清浄空気導入孔から清浄な外気を検出空間に取込んで、清浄空気の流れによって異物の付着を防止し、付着した異物を除去することができる。
【0013】
また本発明によれば、異物検出手段は、発光素子と、受光素子と、遮光部材とを有する。遮光部材は、受光素子の光軸に沿って、検出領域に関して受光素子とは反対側に延び、検出領域に臨んで開口し、検出領域から遠ざかった位置で閉鎖され、受光素子の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲が遮光空間とされる。このような遮光空間が遮光部材によって形成されるので、受光素子に外乱光が受光されることが防がれ、検出精度の低下、誤検出の発生を排除することができる。
【0014】
また本発明によれば、検出空間形成体の清浄空気導入孔に集塵フィルタが設けられるので、検出空間に取込まれる空気を、より清浄度の高いものとすることができる。これによって微小な異物の検出空間への侵入を防止することができ、異物の検出精度を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態の異物検出装置1を備えた火災感知設備2の概略的構成を示す系統図である。
図2は異物検出装置1の外観を示す斜視図であり、
図3は
図2の右方から見た異物検出装置1の側面図であり、
図4は
図2の上方から見た異物検出装置1の平面図である。
図5は
図4の切断面線V−Vから見た異物検出装置1の断面図であり、
図6は
図2の左方から見た異物検出装置1の側面図であり、
図7は
図6の切断面線VII−VIIから見た異物検出装置1の断面図であり、
図8は
図6の切断面線VIII−VIIIから見た異物検出装置1の断面図である。本実施形態では、一例として、異物検出装置1が船舶の船倉などの異物検出対象領域17内の複数の荷室などである異物検出対象空間8のそれぞれに火災感知器として用いられる形態について説明する。本発明は、船舶の荷室に限らず、建物の部屋、工場および倉庫を異物検出対象空間として実施することもできる。
【0017】
本実施形態の異物検出装置1は、吸引手段である吸引ファン3と、一端部6aが吸引ファン3に接続され、他端部6bが異物検出対象空間8に配設された通気管6であって、吸引ファン3によって、一端部6aから管内の空気が吸引される通気管6と、通気管6の途中に設けられ、検出空間形成体40と、検出空間形成体40に設けられ、検出領域111で空気に混在する異物を光学的に検出する異物検出手段110と、吸引ファン3を、予め定める第1時間W1だけ吸引動作させた後、予め定める第2時間W2だけ停止させる一連の吸引/停止動作を繰り返すように、吸引ファン3を制御する制御手段である制御装置60と、を含む。
【0018】
異物検出手段110が検出対象とする異物は、火災によって発生する煙粒子、煤などの微粒子である。通気管6は、各荷室8と各異物検出装置1とを接続する上流側枝管と、吸引ファン3の吸引ポートに他端部6bが接続されたヘッダとしての主管と、主管と各異物検出装置1とを接続する下流側枝管とを含んで構成される。各上流側枝管は、各異物検出対象空間8の天井から積荷が収納された該異物検出対象空間8内に一端部6aが露出して配設される。
【0019】
制御装置60は、コンピュータによって実現されてもよい。この場合、コンピュータに搭載される記憶装置に吸引動作を実行させる第1の時間W1および停止時間である第2の時間W2を設定するように構成される。第1の時間W1を、たとえば10〜60secとし、第2の時間W2を、たとえば10〜60secとしてもよい。
【0020】
検出空間形成体40は、遮光性の検出空間45を形成し、この検出空間45内に異物の検出領域111を有し、検出空間45に清浄空気を導入するための清浄空気導入孔9を有する。清浄空気としては、使用環境が塵埃、油ミストなどの異物の浮遊量が少ない環境であれば、外気を直接取込むようにしてもよい。
【0021】
異物検出手段110は、検出領域111に向けて光を発生する発光素子112と、検出領域111で発光素子112の光軸と交差する光軸を有する受光素子113と、受光素子113の光軸に沿って検出領域111に関して受光素子113とは反対側に延び、検出領域111に臨んで開口し、検出領域111から遠ざかった位置で閉鎖され、受光素子113の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲を遮光空間とする遮光部材118と、を含む。
【0022】
検出空間形成体40の清浄空気導入孔9には、集塵フィルタ19が設けられる。集塵フィルタは、少なくとも煙粒子の粒径0.3μm以上の粒径を有する粒子を、たとえば99.997%以上の捕集率で捕集することができるフィルタであってもよい。このような集塵フィルタ19としては、たとえばHEPAフィルタ(High Efficiency Partculate Air Filter)を用いることができる。また、集塵フィルタ19は、検出空間形成体40の清浄空気導入孔9に着脱可能に取付けられていることが好ましい。これによって目詰まりした際に、あるいは目詰まりする前に、集塵フィルタ19を新たなものと容易に交換することができ、集塵フィルタ19の保守管理作業を容易化することができる。
【0023】
図9Aは検出空間形成体40内の検出領域111における煙による散乱光を示す水平断面図であり、
図9Bは検出空間形成体40内における受光素子113のための遮光空間121を形成する遮光部材118の働きを説明するための水平断面図である。これらの
図9A、
図9Bは、前述の
図19に対応する。
図10は導入遮光部材41と導出遮光部材42とを背面寄りで下方から見た斜視図であり、
図11は導出遮光部材42と排気案内部材50とを正面寄りで下方から見た斜視図である。
図12は導入遮光部材41の正面図であり、
図13は導入遮光部材41の背面図であり、
図14は導入遮光部材41の底面図である。
図15は、導出遮光部材42の背面図であり、
図16は導出遮光部材42の平面図である。
【0024】
異物検出手段110は、検出空間形成体40を有し、この検出空間形成体40は、煙を含む空気が吸引ファン3によって吸引、圧送される通路の途中に遮光性の検出空間45を形成し、この検出空間45内に、煙の検出領域111を有する。検出空間45は、導入遮光部材41の仕切り板131と、垂下壁47と、導出遮光部材42の左右両側壁133、134と、正面壁135とによって形成される、矩形体、たとえば、直方体の空間である。導入遮光部材41と導出遮光部材42とは、遮光性の合成樹脂などから成り、少なくとも検出空間45を形成する内面は、乱反射を抑制する黒色であることが好ましい。
【0025】
導入遮光部材41の垂下壁47には、背面側に、発光素子112をその上部から保持する凹所が形成される発光素子保持部137が設けられる。発光素子112は、検出領域111に向けて光を発生する。垂下壁47の背面側にはまた、受光素子113をその上部から保持する凹所が形成される受光素子保持部138が設けられる。受光素子113は、検出領域111で発光素子112の光軸と交差する光軸を有する。
【0026】
発光経路形成部材115は、遮光性であり、中空であり、垂下壁47において、発光素子保持部137に連なり、発光素子112の光軸に沿って延び、検出領域111に関して発光素子112寄りで、発光素子112からの光が辿る、仮想線で示される発光経路114を形成する。発光経路形成部材115は、発光素子112の指向特性に従って、検出領域111で煙の検出に必要な発光素子112から発光される光の発光光軸に沿う拡がりを規定し、すなわち、発光光軸を中心とする仮想垂直平面内の円周上で、予め定める光度、または照度が得られる範囲、たとえば、指向角、半値角を規定し、煙の検出に不要な低強度の光の検出空間への放射を制限し、乱反射を抑制する。
【0027】
受光経路形成部材117は、遮光性であり、中空であり、垂下壁47において、受光素子保持部138(
図13,14)に連なり、受光素子113の光軸に沿って延び、検出領域111に関して受光素子113寄りで、受光素子113への光が辿る、仮想線で示される受光経路116を形成する。受光経路形成部材117は、受光素子113の指向特性に従って、検出領域111から煙の検出に必要な受光素子113の受光光軸に沿う入射光の拡がりを規定し、煙の検出に不要であって、検出領域111以外からの乱反射光の入射を制限し、誤検出を防ぐ。
【0028】
導出遮光部材42の下部にもまた、導入遮光部材41の発光素子保持部137、受光素子保持部138に対応する構成要素が設けられ、同一の数字の参照符に添え字aを付して示し、これらが上下に組み合されて保持機能を果たす。
【0029】
遮光部材118は、受光素子113の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲を遮光空間121とする働きをし、一対の遮光板122、123と、仕切り板131と、側壁133とによって囲まれて形成される。遮光空間121は、受光素子113の光軸に沿って検出領域111に関して受光素子113とは反対側に延び、検出領域111に臨んで開口し、検出領域111から遠ざかった位置で、実施の一形態では、側壁133によって閉鎖される。
【0030】
遮光部材118は、受光素子113の光軸に沿って検出領域111に関して受光素子113とは反対側で、受光素子113の対向する位置に、受光素子113の入射光の拡がりを、すなわち、受光感度が予め定める値以上得られる、たとえば、視野角が、覆いかぶさって包み込むように延びる設定される。
【0031】
図9Bに示されるとおり、遮光部材118によって、検出空間45内で、発光素子112から出射された光が、矢印で示されるように、どのように乱反射しようとも、乱反射光が遮光部材118の遮光空間121内に入った後でないと、受光素子113に到達しないので、受光素子113に到達する乱反射光を少なくできる。
【0032】
遮光部材118の遮光空間121内に入る光は、検出空間45内の乱反射によって、その光量であるエネルギが既に弱まっているので、受光素子113に到達して入射する、仮想線119で示される範囲の反射光は、自ずと弱くなり、したがって、受光素子113の光電流による検出動作に悪影響を及ぼさない。遮光部材118は、遮光板122、123のような隔壁などの単純な構成で実現できるので、検出空間形成体40と遮光部材118などとを含む構成要素を合成樹脂製とすることによって、射出成形の金型を簡単化できる。
【0033】
受光経路形成部材117の検出領域111寄りの端部に、受光素子113の受光経路116に関して発光素子112から遠ざかった位置に、発光素子112の発光経路114の外方で、検出空間45に上下に延びて突出する遮光性の突起125が設けられる。この突起125は、発光素子112の発光経路114の外方で、したがって、発光素子112から出射される光の検出領域111への煙検出に必要な拡がりの照射を妨げることなく、検出空間45内で乱反射した光が受光素子113へ入射することを防ぐことが確実である。
【0034】
実施の他の形態では、発光素子112の光軸に沿って検出領域111に関して発光素子112とは反対側に延び、検出領域111に臨んで開口し、検出領域111から遠ざかった位置で閉鎖され、発光素子112の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲を遮光空間121とする、もう1つの遮光部材を、さらに設けることができる。これによって、検出空間45における発光素子112からの光の乱反射をより一層確実に防ぐことができる。
【0035】
図17は、異物検出装置1の制御装置60の構成を示すブロック図である。処理回路62は、発光駆動回路146によって発光素子112を駆動させる。受光素子113の出力は、増幅回路147を介して処理回路62に与えられる。コネクタ61の通信用端子67は、通信回路148を介して処理回路62に接続され、これによって、処理回路62は遠隔の表示装置などとの信号の授受をすることができる。処理回路62は、表示素子92を点灯制御する。制御用電源回路149が備えられる。異物検出手段110は、検出空間形成体40、ならびに発光素子112、受光素子113、および処理回路62などの検出回路を含む制御装置60などによって、構成される。
【0036】
図18は、異物検出装置1の制御装置60に備えられる処理回路62の動作を説明するフローチャートである。ステップs1からステップs2へ移り、処理回路62を初期化し、ステップs3において、処理回路62は吸引ファン3の吸引動作を開始させるとともに、処理回路62に備えられるタイマによる計時動作を開始し、表示素子92を含むインジケータのための処理動作を行なう。ステップs4において、火災情報を送信するための処理動作を行なう。
【0037】
吸引ファン3が吸引動作している第1時間W1においては、吸引ファン3によって通気管6の他端部6bから管内の空気が吸引され、異物検出対象空間に配設された通気管6の一端部6aから、異物検出対象空間8内の空気が吸引される。通気管6の途中に設けられる検出空間形成体40の清浄空気導入孔9から、吸引ファン3の吸引力による通気管6内を通る空気の流れによって、検出空間45内に滞留している空気が、検出空間45よりも下流側の通気管6へ引き込まれ、これによって清浄空気導入孔9から外気が検出空間45内へ引き込まれる。このような検出空間45へ引き込まれる清浄な空気によって、検出空間45の壁面、発光素子112および受光素子113などへの異物の付着が抑制されるとともに、既に付着した異物が除去される。
【0038】
ステップs5において、処理回路62に備えられるタイマによる計時時間Wが予め定める第1時間W1以上経過したかを判断し、経過していなければ、ステップs3に戻る。ステップs5において、計時時間が第1時間W1以上経過したことが判断されると、ステップs6において、吸引ファン3の吸引動作を停止させる。
【0039】
処理回路62によって吸引ファン3の吸引動作が停止されている第2時間W2においては、通気管6内の空気の流れは停止するので、清浄空気導入孔9からの外気の検出空間45への吸引作用がなくなり、清浄空気導入孔9から外気が検出空間45には引き込まれない。このとき検出空間形成体40よりも上流側の通気管6内の空気のうち、検出空間45の近傍の通気管6内の空気が検出空間45内に拡散して、検出空間45内の空気に混合する。検出領域111には混合した空気が滞留し、混合した空気に煙粒子などの異物が存在していれば、発光素子112からの光が異物によって散乱し、受光素子113によって受光される。
【0040】
ステップs7では、受光素子113からの受光信号を、処理回路62に取り込み、ステップs8では、発光素子112を消灯する。ステップs9では、受光素子113からの受光信号の出力電圧レベルから、煙の濃度を演算し、火災の発生を判定する。受光素子113からの受光信号の出力電圧が、検出された煙の濃度に対応する予め定めるしきい値以上であって、火災が発生したものと判定されると、表示素子92を予め定める態様で、たとえば、点滅または連続点灯などして、火災の発生を目視表示する。火災が発生していなければ、表示素子92を消灯したままに保つ。ステップs10では、タイマの計時時間を零にリセットし、ステップs3に戻る。こうして、第1の時間W1は清浄空気を取り込んで検出空間45内の異物による汚損を抑制し、第2の時間W2は吸引を停止させて煙の濃度の検出を行なう。
【0041】
図19は、検出領域111における煙の濃度に対応する受光素子113からの出力電圧の時間経過を示すグラフである。受光素子113の出力電圧は、検出空間形成体40の検出空間45における検出領域111を通過する空気に含まれる煙の濃度に対応する。処理回路62は、
図18のステップs9において、受光素子113の出力に応答し、その出力電圧が、たとえば、参照符L1で示される予め定めるしきい値以上であるとき、火災が発生したものと判定して、表示素子92によって、火災の発生を表わす表示動作を行なわせる。
【0042】
図20は制御装置60による吸引ファン3のオン/オフ制御動作を説明する波形図である。制御装置60は、処理回路62を備え、処理回路62には第1時間W1および第2時間W2を計時する前述のタイマが備えられる。このタイマの経時動作によって、第1時間W1が経過すると、処理回路62は吸引ファン3の吸引動作を停止させる。これによって、通気管6および検出空間形成体40内の空気は、それまでの吸引ファン3の吸引力による運動エネルギまたは慣性によって流れ方向に移動し、吸引ファン3の停止直後に、検出空間形成体40よりも下流側の通気管6内に流れ込み、これによって下流側の通気管6内の空気が圧縮されるとともに、検出空間形成体40よりも上流側の通気管6内の空気が検出空間内に流れ込む。このような停止直後に検出空間45に流れ込む空気は、清浄空気導入孔9から流入した清浄な空気が混合していない。したがって吸引ファン3が吸引動作を停止している第2時間W2の期間に異物検出装置1によって、煙検出動作が実行される。
【0043】
前述の実施形態では、吸引ファン3が遠心ファンによって実現されたが、本発明の他の実施形態では、遠心ファンに代えて、空気を吸引、圧送する他の構成でもよく、軸流ファンなどでもよい。また、処理回路62によって吸引ファン3を第1時間W1は吸引動作させ、第2時間W2は停止する構成に代えて、本発明の他の実施形態では、処理回路62によって、吸引ファン3は連続して吸引動作させ、通気管6に開閉弁を介在させて、この開閉弁を第1時間W1は開弁し、第2時間W2は閉弁し、検出空間45への吸引力の導入/遮断を切換えるように構成されてもよい。さらに、処理回路62は、異物検出が可能であれば、第2時間W2の間、吸引ファン3を完全に停止させるのではなく、低出力の吸引状態で吸引動作を継続しながら異物検出を行なう、たとえばインバータ制御を実行可能に構成されてもよい。
【0044】
このように第1時間W1においては、通気管6から検出空間45内に流入した空気は、清浄空気導入孔9から流れ込んだ清浄空気によって希釈され、煙粒子などの異物の付着が防がれるとともに、付着している異物が除去される。また、第2時間W2においては、吸引ファン3の吸引動作が停止しているので、清浄空気導入孔9から検出空間45内へ清浄空気の流入がなくなり、検出空間45に異物検出対象空間8から吸引された空気が混合し、この混合空気中の異物が異物検出手段110によって光学的に検出される。
【0045】
このように通気管6の途中に検出空間形成体40が設けられることによって、検出空間45には通気管6を流れる空気によって、いわばエジェクタが構成され、清浄空気導入孔9から清浄な外気を検出空間に取込んで、清浄空気の流れによって異物の付着を防止し、付着した異物を除去することができる。
【0046】
本発明の他の実施形態では、清浄空気導入孔に設けられるフィルタは、煙粒子以外に、たとえば、塵埃、虫などの異物、または外部からの外乱光などが検出空間45へ侵入し難くなればよく、たとえば多孔質の3次元の複雑に屈曲した連続気泡による連通孔を有する焼結金属、合成樹脂、不織布、紙などから成ってもよく、弾発性を有してもよく、剛性であってもよい。
【0047】
受光素子113、たとえば、シリコンフォトダイオードには、視野角、または指向半値角が存在し、視野角外の感度は、視野角内である正面に対して低い。本発明では、受光素子113の光軸に沿って検出領域111に関して受光素子113とは反対側で、受光素子113の対向する位置に、受光素子113の入射光の拡がりを、たとえば、後述の
図9Aの受光経路116のとおり、視野角を、覆いかぶさって包み込むように延びる遮光部材118を設ける。遮光部材118は、検出領域111に臨んで開口し、検出領域111から遠ざかった位置で閉鎖され、受光素子113の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲を遮光空間121とする。
【0048】
この遮光部材118によって、検出空間45内で、発光素子112、たとえば、発光ダイオードから出射された光が、どのように乱反射しようとも、乱反射光が遮光部材118の遮光空間121内に入った後でないと、受光素子113に到達しないので、
図9Bに示されるとおり、受光素子113に到達する乱反射光を少なくできる。遮光部材118の遮光空間121内に入る光は、検出空間45内の乱反射によって、その光量であるエネルギが既に弱まっているので、受光素子113に到達して入射する反射光は、自ずと弱くなり、したがって、受光素子113の光電流による検出動作に悪影響を及ぼさない。遮光部材118は、隔壁などの単純な構成で実現できるので、検出空間形成体40と遮光部材118などとを含む構成要素を合成樹脂製とすれば、射出成形の金型を簡単化できる。
【0049】
受光素子113には、視野角、または指向半値角が存在し、視野角外の感度は、視野角内である正面に対して低い。本発明では、受光素子113の光軸に沿って検出領域111に関して受光素子113とは反対側で、受光素子113の対向する位置に、受光素子113の入射光の拡がりを、たとえば、後述の
図9Aの受光経路116のとおり、視野角を、覆いかぶさって包み込むように延びる遮光部材118を設ける。遮光部材118は、検出領域111に臨んで開口し、検出領域111から遠ざかった位置で閉鎖され、受光素子113の光軸の周辺で指向特性に対応した範囲を遮光空間121とする。
【0050】
この遮光部材118によって、検出空間45内で、発光素子112、たとえば、発光ダイオードから出射された光が、どのように乱反射しようとも、乱反射光が遮光部材118の遮光空間121内に入った後でないと、受光素子113に到達しないので、後述の
図9Bに示されるとおり、受光素子113に到達する乱反射光を少なくできる。遮光部材118の遮光空間121内に入る光は、検出空間45内の乱反射によって、その光量であるエネルギが既に減衰しているので、受光素子113に到達して入射する反射光は、自ずと弱くなり、したがって、受光素子113の光電流による検出動作に悪影響を及ぼさない。遮光部材118は、隔壁などの単純な構成で実現できるので、検出空間形成体40と遮光部材118などとを含む構成要素を合成樹脂製とすれば、射出成形の金型を簡単化できる。
【解決手段】 吸引ファン3によって、通気管6を介して荷室などの異物検出対象空間8の空気を吸い込んで、空気中の煙粒子などの異物を光学的に検出する検出空間形成体40内の検出領域111に供給する。検出空間形成体40には清浄空気導入孔9が設けられ、吸引中は清浄空気導入孔9を介して検出空間45内に外気が導入され、壁面、異物検出手段110などのへ異物の付着を抑制し、付着した異物を除去する。