【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトで発明に関連する商品の外観を公開した。https://melody.international/(ウェブサイトの掲載日:平成30年10月1日)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示データ生成部は、前記超音波検査装置の中心位置に対して、前記複数の超音波受信部のうち、受信した前記反射超音波の強度が相対的に大きな超音波受信部が設けられている位置に向けて前記超音波検査装置を移動させることを推奨するための前記表示用データを生成する、
請求項5に記載の超音波検査装置。
前記発信超音波の周波数と前記複数の超音波受信部のそれぞれが受信した前記反射超音波の周波数との差に基づく複数のドップラー信号を生成するドップラー信号生成部をさらに有し、
前記表示データ生成部は、前記複数のドップラー信号の強度に基づいて前記表示用データを生成する、
請求項5又は6に記載の超音波検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
[超音波検査装置1の概要]
図1は、超音波検査装置1の外観を示す図である。
図2は、超音波検査装置1の内部において超音波センサが配置された位置を示す図であり、
図1におけるX−X線断面図である。
図3は、超音波検査装置1の内部構造を示す模式図である。
図1(a)は、超音波検査装置1の上面視図であり、
図1(b)は、超音波検査装置1を
図1(a)における矢印Aの側から見た図である。
図1(c)は、超音波検査装置1の斜視図である。
【0018】
以下、
図1〜
図3を参照しながら、超音波検査装置1の構成の概要を説明する。超音波検査装置1は、筐体11に設けられた突起部12と、筐体11に形成された開口13とを有する。突起部12は、例えば、超音波検査装置1を用いて検査をする人(以下、ユーザという)が、最適な位置に超音波検査装置1を固定するためのベルトを接続するために用いられる。
【0019】
超音波検査装置1は、例えば胎児の心拍数を計測するための超音波トランスデューサを有する装置である。ユーザは、検査をする際に、超音波検査装置1における突起部12が設けられている側と反対の側の面を人体の表面に接触させながら移動させる。超音波検査装置1は、筐体11の内部に設けられた超音波発信用デバイスから発信された超音波(以下、発信超音波という)の周波数と、発信超音波が人体内で反射した超音波である反射超音波の周波数との差に基づくドップラー信号に基づいて、胎児の心拍の周期及び強度に対応する信号を生成する。
【0020】
超音波検査装置1は、ドップラー信号に基づいて生成される信号を、例えば無線通信回線を介して外部端末に送信する。外部端末は、例えばスマートフォン、タブレット、コンピュータ又はディスプレイである。ユーザは、外部端末において、ドップラー信号に基づく信号として、例えば心拍の周期及び強度を示す波形を視認することができる。
【0021】
また、超音波検査装置1は、内部にスピーカ22を有しており、ドップラー信号に対応する音信号を発する。音信号は、筐体11に形成された開口13を介して超音波検査装置1の外部に発せられる。ユーザが胎児の心拍を検査する場合、ユーザは、スピーカが発した胎児の心音を聞くことができるので、直感的に胎児の状態を把握することができる。
【0022】
超音波検査装置1は、例えば、反射超音波の強度又はドップラー信号の強度に対応する大きさの音信号を発する。反射超音波の強度は、例えば反射超音波の最大電圧により表され、ドップラー信号の強度は、例えばドップラー信号の最大電圧により表される。超音波検査装置1がこのように構成されていることにより、超音波検査装置1が胎児の位置に近いほど、ユーザは大きな音で胎児の心音を聞くことができる。したがって、ユーザは、超音波検査装置1が発する心音を聞きながら、心音が大きくなる位置を探ることができるので、超音波検査装置1を適切な位置に移動させやすい。
【0023】
図2に示すように、超音波検査装置1は、超音波を発信するデバイスである複数の超音波発信部241と、反射超音波を受信するデバイスである複数の超音波受信部242と、を有する。
図2に示す例においては、円周状に配置された6個の超音波発信部241及び6個の超音波受信部242、並びに円周状に配置された超音波発信部241及び超音波受信部242の内側に配置された2個の超音波発信部241及び2個の超音波受信部242が設けられているが、超音波検査装置1が有する超音波発信部241及び超音波受信部242の数は任意である。また、
図2に示す例においては、超音波発信部241と超音波受信部242とが交互に配置されているが、他の態様で複数の超音波発信部241及び複数の超音波受信部242が配置されていてもよい。
【0024】
図3は、
図1(a)における矢印Aの側から超音波検査装置1の内部を透視した状態を模式的に示している。超音波検査装置1は、筐体11の内部に、各種の電子部品が実装されたプリント基板P1、並びに超音波発信部241及び超音波受信部242が実装されたプリント基板P2を有する。プリント基板P1とプリント基板P2とは、コネクタ又はケーブル(不図示)により電気的に接続されている。
【0025】
また、超音波検査装置1の筐体11における超音波発信部241及び超音波受信部242が設けられている側の反対側には、スピーカ22が設けられている。スピーカ22は、コネクタ又はケーブルによりプリント基板P1と電気的に接続されている。
【0026】
[超音波検査装置1の機能構成]
図4は、超音波検査装置1の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、超音波検査装置1は、制御部21と、スピーカ22と、無線ユニット23と、超音波センサ部24と、信号生成部25と、を有する。制御部21、無線ユニット23及び信号生成部25は、例えばプリント基板P1に実装されており、超音波センサ部24はプリント基板P2に実装されている。信号生成部25は、ドップラー信号生成部251、音信号生成部252及び無線データ生成部253を有する。
【0027】
制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでおり、CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、超音波検査装置1の動作を制御する。超音波検査装置1が、信号生成部25の少なくとも一部の機能を実行してもよい。
【0028】
スピーカ22は、ドップラー信号に対応する音信号を出力する。スピーカ22は、プリント基板P1に対して超音波センサ部24が設けられている側の反対側に設けられている。スピーカ22が、超音波センサ部24が設けられている側の反対側に設けられていることにより、ハウリングが発生しにくい。また、スピーカ22が、超音波センサ部24が設けられている側の反対側に設けられていることにより、ユーザの手にも音による振動が伝わるので、心拍を耳以外でも感じることができる。
【0029】
スピーカ22は、所定の周波数の範囲内(すなわち共振周波数)において、他の周波数の音よりも大きな音を出力することができる。共振周波数の範囲の下限値は、可聴帯域において電気インピーダンスが最大となる周波数である。スピーカ22の共振周波数の範囲は任意であるが、本実施の形態のスピーカ22の共振周波数の範囲は、一例として200Hz以上10kHz以下であり、スピーカ22が出力する音の音圧レベルは、200Hz以上10kHz以下の範囲において−10dB以上であるとする。
【0030】
また、スピーカ22は、
図1(a)に示す複数の開口13が設けられている領域の位置付近に設けられている。スピーカ22が、超音波検査装置1の中央位置と超音波検査装置1の外周との間の位置に設けられていることにより、ユーザが、スピーカ22を掌で塞がないように超音波検査装置1を保持しやすい。例えば、ユーザは、
図1(a)におけるAの矢印の側に小指が位置するようにして超音波検査装置1を保持することにより、開口13の少なくとも一部が指の間から露出した状態になるので、ユーザが、スピーカ22が出力する音を聴きやすい。
【0031】
無線ユニット23は、ドップラー信号に対応するデータを外部端末に送信する。無線ユニット23は、例えば心拍波形を示すデータを送信する。無線ユニット23は、例えばWi−Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)の規格に対応する電波を送信する。
【0032】
超音波センサ部24は、超音波を発信する超音波発信部241と、超音波発信部241が発信した発信超音波が人体内で反射した超音波である反射超音波を受信する超音波受信部242と、を有する。超音波発信部241は、例えば胎児の心拍を監視するために適した周波数として、1MHzの超音波を発信する。超音波発信部241は、ユーザの操作(例えば電源を入れる操作)に応じて制御部21から通知される指示に基づいて超音波の発信を開始したり、超音波の発信を停止したりする。超音波発信部241は、発信した超音波に基づく信号をドップラー信号生成部251に入力する。超音波受信部242は、受信した反射超音波に基づく信号をドップラー信号生成部251に入力する。
【0033】
信号生成部25は、各種の信号を生成する。具体的には、ドップラー信号生成部251は、発信超音波の周波数と反射超音波の周波数との差に基づくドップラー信号を生成する。ドップラー信号生成部251は、例えば、公知の自己相関法を用いることにより、反射超音波の自己相関関数に基づいてドップラー信号を生成する。ドップラー信号は、例えば、発信超音波を反射する血液の流速に応じた値を示す信号である。超音波発信部241が発信する超音波の周波数が1MHzである場合、ドップラー信号の周波数は、例えば約100Hzとなる。ドップラー信号生成部251は、生成したドップラー信号を音信号生成部252に入力する。
【0034】
音信号生成部252は、ドップラー信号に対応する音信号を生成する。音信号生成部252は、例えば、反射超音波の強度又はドップラー信号の強度に対応する大きさの音信号を生成する。音信号生成部252は、生成した音信号をスピーカ22に入力し、音信号に基づく音がスピーカ22から出力される。音信号生成部252が反射超音波の強度又はドップラー信号の強度に対応する大きさの音信号を生成することにより、例えば胎児の心臓に近い位置に超音波が発信された場合にユーザは大きな心拍音を聞くことができるので、ユーザが、音の大きさに基づいて超音波検査装置1の位置を調整しやすい。
【0035】
音信号生成部252は、音信号の大きさが検査対象物の位置に応じて高い精度で変化するように、複数の超音波受信部242が受信した複数の反射超音波の強度、又は複数の反射超音波それぞれに基づく複数のドップラー信号の強度を合算した値に対応する音信号を生成してもよい。複数の超音波受信部242のうち一部の超音波受信部242が検出した反射超音波の強度と他の超音波受信部242が検出した反射超音波の強度との差が大きい場合に比べて、複数の超音波受信部242それぞれが検出した反射超音波の強度が同等レベルである場合の方が、複数の反射超音波の強度又は複数のドップラー信号を合算した値は大きくなる。
【0036】
したがって、検査対象物の位置が超音波検査装置1の中心位置に近く、複数の超音波受信部242が検出した反射超音波の強度の間のばらつきが小さければ小さいほど複数の反射超音波の強度又は複数のドップラー信号の強度を合算した値が大きくなるので、スピーカ22が発する音が大きくなる。その結果、ユーザが、スピーカ22が発する音を聴きながら、超音波検査装置1の中心位置を所望の位置(例えば胎児の心臓に近い位置)に合わせやすくなる。
【0037】
ところで、人の聴覚特性においては、200Hz以下の周波数の音に対する感度が比較的低い。したがって、ドップラー信号の周波数が約100Hzである場合、100Hzのドップラー信号がそのままスピーカ22から出力されると、ユーザがドップラー信号を聴き取りにくい。そこで、音信号生成部252は、例えばドップラー信号を逓倍することにより音信号を生成する。具体的には、音信号生成部252は、スピーカの共振周波数を含む周波数範囲に音信号が含まれるようにドップラー信号を逓倍する。
【0038】
より具体的には、音信号生成部252は、ドップラー信号を2倍以上に逓倍することにより音信号を生成する。ドップラー信号の周波数が約100Hzである場合、音信号生成部252がドップラー信号を2倍以上に逓倍することにより、スピーカ22は、約200Hz以上の周波数の音信号を生成することができるので、ユーザはドップラー信号に基づく心拍音を聞きやすい。特に、スピーカ22の共振周波数の範囲が200Hz以上10kHz以下である場合、音信号生成部252がドップラー信号を2逓倍又は3逓倍することが好ましい。
【0039】
図5は、音信号生成部252の構成例を示す図である。
図6は、音信号生成部252における逓倍処理について説明するための図である。
図5に示すように、音信号生成部252は、両波整流回路31と、バンドパスフィルタ32と、スピーカンプ33とを有する。
【0040】
図6(a)は、ドップラー信号生成部251から両波整流回路31に入力されるドップラー信号の波形の一例を示している。
図6(b)は、両波整流回路31から出力される信号の波形の一例を示している。
図6(c)は、バンドパスフィルタ32から出力される信号の波形の一例を示している。なお、
図6に示した波形は模式的な波形であり、実際の波形とは異なる。
【0041】
両波整流回路31は、ドップラー信号生成部251から入力されるドップラー信号を両波整流することにより、基準レベル未満の信号を基準レベル以上の信号に変換する。両波整流回路31は、変換後の信号をバンドパスフィルタ32に入力する。
【0042】
バンドパスフィルタ32は、両波整流回路31から入力された信号に含まれる周波数成分のうち、ユーザの可聴範囲に含まれる所定の周波数の成分を通過させ、他の周波数の成分を通過させないフィルタである。バンドパスフィルタ32は、例えば200Hz以上10kHz以下の周波数成分をスピーカンプ33へと通過させる。
図6(b)に示す信号から200Hz以上10kHz以下の周波数成分が抽出されることにより、
図6(c)に示すように、
図6(a)に示したドップラー信号が2逓倍された信号が生成される。
【0043】
スピーカ22が、このようにドップラー信号の周波数が逓倍された周波数の音を出力することにより、スピーカ22が発する振動が超音波センサ部24を振動させることに起因するハウリングの発生も防止される。なお、ハウリングの発生を防ぐために、音信号生成部252は、反射超音波の強度が最大の場合にハウリングが生じない大きさに音信号の最大値を制限してもよい。スピーカ22は、例えば、反射超音波の強度が閾値未満である場合に、反射超音波の強度に応じた大きさの音信号を発生し、反射超音波の強度が閾値以上である場合に、閾値に等しい反射超音波の強度に対応する音信号を発生する。
【0044】
[胎児の心拍音と母体の心拍音との分離]
ユーザが超音波検査装置1を用いて胎児の心拍を検査する場合、超音波受信部242が受信する反射超音波には、胎児の心拍に同期した信号と、母体の心拍に同期した信号とが含まれる。ユーザが胎児の心拍音を聴き取りやすくするために、音信号生成部252は、胎児の心拍に対応する音信号を選択的に生成する。具体的には、音信号生成部252は、人体内の胎児により反射した第1反射超音波と、人体内の母体により反射した第2反射超音波とを含む反射超音波のうち、第1反射超音波に基づいてドップラー信号生成部251が生成したドップラー信号に対応する音信号を生成する。
【0045】
音信号生成部252は、例えば、ドップラー信号に基づいて生成した音信号のうち、母体の平均的な心拍の周期に対して所定の範囲内の周期(例えば胎児の平均的な心拍の周期を含まない範囲内の周期)に対応する周波数成分を除去し、胎児の平均的な心拍の周期に対して所定の範囲内の周期に対応する周波数成分を抽出することにより、スピーカ22に出力させる音信号を生成する。音信号生成部252は、胎児の平均的な心拍の周期に対応する周波数成分の増幅率を、母体の平均的な心拍の周期に対応する周波数成分の増幅率よりも大きくして、スピーカ22に出力させる音信号を生成してもよい。
【0046】
[心拍信号の無線による送信]
無線データ生成部253は、ドップラー信号に基づいて、無線ユニット23が外部端末に送信するための無線データを生成する。無線データ生成部253は、例えば、ドップラー信号をデジタル信号に変換し、所定の無線通信プロトコルにより定められたフレームフォーマットの無線データを生成する。無線データ生成部253は、生成した無線データを無線ユニット23に入力する。
【0047】
[第1の実施形態に係る超音波検査装置1による効果]
以上説明したように、超音波検査装置1は、発信超音波の周波数と反射超音波の周波数との差に基づくドップラー信号に対応する音信号をスピーカ22が発する。超音波検査装置1がこのように音信号を発することで、ユーザは、超音波検査装置1を用いて検査をしている間に、検査対象となる部位の状態を示す音を聴くことができる。したがって、ユーザが、例えば胎児の状態を確認しようとする際に、超音波検査装置1を接触させた母体を見ながら胎児の心拍音を聴くことができるので、ユーザが最適な位置を探りやすく、操作性が向上する。
【0048】
特に、超音波検査装置1は、反射超音波の強度、又は反射超音波に基づくドップラー信号の強度に基づいて大きさが変化する音を発することができるので、超音波検査装置1が胎児の位置に近い状態で大きな音を発する。したがって、ユーザは、音の大きさを参考にして最適な位置を探ることができる。
【0049】
また、超音波検査装置1は、スピーカ22の共振周波数に合った周波数の音を発することができるように、ドップラー信号を逓倍することにより音信号を生成する。超音波検査装置1がこのように構成されていることにより、ユーザが胎児の心拍音を聞きやすい。
【0050】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る超音波検査装置2の外観を示す図である。超音波検査装置2は、突起部12が設けられている側、すなわち超音波発信部241及び超音波受信部242が設けられている側の反対側に、超音波受信部242が受信した反射超音波の強度を示す情報を表示する表示部26をさらに有する点で、
図1に示した超音波検査装置1と異なり、他の点で超音波検査装置1と同等である。表示部26は、超音波検査装置1の筐体11における超音波センサ部24が設けられている側の反対側に設けられている。
【0051】
表示部26は、例えば、超音波検査装置2の筐体11の中心位置よりも外側の少なくとも4つの位置に設けられた複数の発光素子を含む。
図7に示す例においては、筐体11の中心位置に対してそれぞれ奥側、左側、手前側、右側に、複数の発光素子として、矢印の形をした発光領域である表示部26a、26b、26c、26dが設けられている。表示部26a、26b、26c、26dのそれぞれは、音信号の強度の変化に同期して輝度が変化する。表示部26a、26b、26c、26dのそれぞれは、例えば音信号の強度が大きければ大きいほど輝度を高くする。
【0052】
図8は、超音波検査装置2の機能構成を示すブロック図である。
図8に示すブロック図は、信号生成部25が表示データ生成部254をさらに有している点で、
図4に示した超音波検査装置1のブロック図と異なる。
【0053】
表示データ生成部254は、反射超音波に基づいて表示用データを生成する。表示データ生成部254は、例えば反射超音波の強度に基づく大きさの表示用データを生成する。表示データ生成部254は、生成した表示用データを表示部26に入力し、表示部26は、表示用データに対応する情報を表示する。表示データ生成部254は、ドップラー信号に基づいて表示用データを生成してもよい。
【0054】
表示データ生成部254は、例えば、ドップラー信号の強度に対応する情報を表示部26に表示させるための表示用データを生成する。具体的には、表示データ生成部254は、ドップラー信号の強度が大きければ大きいほど高い輝度に対応する表示用データを生成する。表示データ生成部254がこのように構成されていることにより、表示部26は、超音波検査装置2が例えば胎児の位置に近ければ近いほど表示部26が明るく表示される。その結果、ユーザは、超音波検査装置2が胎児の位置に近いかどうかを容易に判断することができる。
【0055】
表示データ生成部254は、ドップラー信号の強度の変化に応じて大きさが変化する表示用データを生成してもよい。この場合、表示部26は、例えば胎児の心拍に同期して輝度が変化するので、ユーザが心拍の状態を把握しやすくなる。
【0056】
ドップラー信号生成部251が、発信超音波の周波数と複数の超音波受信部のそれぞれが受信した反射超音波の周波数との差に基づく複数のドップラー信号を生成し、表示データ生成部254は、複数のドップラー信号の強度を合算した値に対応する表示用データを生成してもよい。この際、表示データ生成部254は、胎児の心拍に対応する複数のドップラー信号の強度に基づいて、表示用データを生成してもよい。
【0057】
例えば、表示データ生成部254は、複数の超音波受信部242が受信した複数の反射超音波の強度、又は複数の反射超音波に基づく複数のドップラー信号の強度を合算した値に対応する表示用データを生成する。複数の超音波受信部242のうち一部の超音波受信部242が検出した反射超音波の強度と他の超音波受信部242が検出した反射超音波の強度との差が大きい場合に比べて、複数の超音波受信部242それぞれが検出した反射超音波の強度が同等レベルである場合の方が、複数の反射超音波の強度、又は複数のドップラー信号の強度を合算した値は大きくなる。
【0058】
したがって、検査対象物の位置が超音波検査装置2の中心位置に近く、複数の超音波受信部242が検出した反射超音波の強度の間のばらつきが小さければ小さいほど複数の反射超音波の強度又は複数のドップラー信号の強度を合算した値が大きくなるので、表示部26が発する光が明るくなる。その結果、ユーザが、表示部26が発する光を視認しながら、超音波検査装置2の中心位置を所望の位置(例えば胎児の心臓に近い位置)に合わせやすくなる。
【0059】
表示データ生成部254は、複数の超音波受信部242それぞれが受信した反射超音波の強度に基づいて特定した向きを示す表示用データを生成してもよい。表示データ生成部254は、例えば、複数の超音波受信部242のうち、相対的に強い反射超音波を受信した超音波受信部242に対応する位置に設けられた表示部26の輝度が高くなるようにするための表示用データを生成する。
【0060】
表示データ生成部254は、複数の超音波受信部242それぞれが受信した反射超音波に基づくドップラー信号の強度に基づいて特定した向きを示す表示用データを生成してもよい。表示データ生成部254は、例えば、複数の超音波受信部242のうち、相対的に強いドップラー信号が生成された超音波受信部242に対応する位置に設けられた表示部26の輝度が高くなるようにするための表示用データを生成する。この際、表示データ生成部254は、胎児の心拍に対応する複数のドップラー信号の強度に基づいて、表示用データを生成してもよい。
【0061】
例えば、表示データ生成部254は、複数の超音波受信部242のうち、受信した反射超音波の強度が相対的に大きな超音波受信部242が設けられている位置に向けて超音波検査装置2を移動させることを推奨するための表示用データを生成する。具体的には、表示データ生成部254は、超音波検査装置2の中心位置に対して右側に配置された超音波受信部242が受信した反射超音波に基づくドップラー信号の強度が相対的に大きい場合、超音波検査装置2の右側に設けられた表示部26(
図7に示す例における表示部26d)の輝度を他の表示部26の輝度よりも高くする。表示データ生成部254は、超音波検査装置2を移動させるべき側の表示部26を点滅させるための表示用データを生成してもよい。
【0062】
表示データ生成部254がこのように構成されていることにより、ユーザは、胎児の心拍が強く検出されている位置が超音波検査装置2に対してどちらの側(例えば奥側、左側、手前側、右側)であるかを把握できる。したがって、ユーザが、胎児の心拍を検出しやすい位置に超音波検査装置2を移動しやすくなる。
【0063】
図9は、第2の実施形態に係る超音波検査装置2の変形例である超音波検査装置2aの外観を示す図である。超音波検査装置2aは、
図7に示した超音波検査装置2における表示部26の代わりに表示部26Lを有する点で超音波検査装置2と異なる。表示部26Lは、例えば液晶ディスプレイであり、表示データ生成部254が生成した表示用データに基づいてテキスト又は画像を表示することができる。具体的には、表示データ生成部254は、超音波受信部242が受信した反射超音波の強度、又はドップラー信号生成部251が生成したドップラー信号の強度に基づいて、反射超音波又はドップラー信号の強度が大きくなるように超音波検査装置2aを移動させることを支援するための情報を含む表示用データを生成する。
【0064】
図9(b)及び
図9(c)は、表示部26Lに表示されるテキストの例を示している。
図9(b)は、超音波検査装置2aの右側に配置された超音波受信部242が受信した反射超音波、又は当該反射超音波に基づくドップラー信号の強度が相対的に大きい場合に表示されるテキストとして、表示部26Lに「もっと右です」と表示されている場合を例示している。このテキストを視認したユーザは、超音波検査装置2aを右に移動させることで、超音波検査装置2aの中心位置を検査対象物の位置に近づけることができる。
【0065】
図9(c)は、超音波検査装置2aの位置が適正である場合に表示されるテキストとして、表示部26Lに「ちょうどよい位置です」と表示されている場合を例示している。表示データ生成部254は、例えば、複数の超音波受信部242それぞれが受信した複数の反射超音波の強度が所定の値以上であり、かつ複数の反射超音波の強度のばらつきが所定の範囲内である場合に、超音波検査装置2aの位置が適正であることを示す表示用データを生成する。表示データ生成部254は、複数の超音波受信部242それぞれが受信した反射超音波に基づく複数のドップラー信号の強度が所定の値以上であり、かつ複数のドップラー信号の強度のばらつきが所定の範囲内である場合に、超音波検査装置2aの位置が適正であることを示す表示用データを生成してもよい。表示データ生成部254がこのように構成されていることにより、超音波検査装置2aの位置が適正である場合に、ユーザが、超音波検査装置2aの位置を維持しやすくなる。
【0066】
[第2の実施形態に係る超音波検査装置2による効果]
以上説明したように、超音波検査装置2は、反射超音波に基づいて生成された表示用データに対応する情報を表示する。超音波検査装置2は、例えば、反射超音波の強度、又は反射超音波に基づくドップラー信号の強度に対応する輝度で発光素子を発光させたり、強度に対応する内容を示す情報をディスプレイに表示させたりする。超音波検査装置2がこのように構成されていることにより、ユーザは、超音波検査装置2を操作しながら超音波検査装置2の位置が適切であるか否かを把握できるので、操作性が向上する。特に、超音波検査装置2は、適切な位置の向きを示す情報を表示させることができるので、ユーザが超音波検査装置2を固定して計測を始めた後に胎児がお腹の中で動くことによって良好に計測ができていないことに気付いた場合に、適切な向きに超音波検査装置2を移動させることができる。
【0067】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る超音波検査装置3の機能構成を示すブロック図である。超音波検査装置3は、音信号生成部252を有しないという点で
図8に示した超音波検査装置2と異なり、他の点で同等である。超音波検査装置3は、音信号を出力することなく、反射超音波又はドップラー信号に基づく表示用データを出力する。表示データ生成部254が生成する表示データの態様は第2の実施形態に係る超音波検査装置2と同様である。超音波検査装置3が音信号を出力しない場合であっても、ユーザは、表示された情報に基づいて超音波検査装置3をどのように移動するべきかを認識できるので、操作性が向上する。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【解決手段】超音波検査装置は、超音波を発する超音波発信部と、超音波発信部が発信した発信超音波が人体内で反射した超音波である反射超音波を受信する超音波受信部と、を有する超音波センサ部と、反射超音波に基づいて表示用データを生成する表示データ生成部と、表示用データに対応する情報を表示する表示部と、を有する。