【課題を解決するための手段】
【0008】
表面の光学的特性を調査するための本発明の方法によれば、調査対象の表面に向かって放射が照射装置によって当該表面に対して所定の入射角で照射され、この表面によって散乱及び/若しくは反射された放射、又は一般にこの表面によって発された放射の(少なくとも一部)は、当該表面に対して所定の検出角度をなして配置された、白黒画像を記録する画像記録ユニットを有する放射検出装置に達する。この場合、この放射検出装置は、この装置に当たる放射の空間分解検出を可能とする。一般に、白黒画像を記録するカメラに代えて、光の照射方向に対して直角をなす面内に単一タイプの画像記録素子を有するカメラを使用することも可能であり、このカメラ又はこのカメラのそれぞれの画像記録素子は、放射強度に関する情報を供することも、照射された波長に関する情報を供することも共に可能である。これは、異なった色成分用の画素が照射方向に直列配置されていることによって実施可能である。
【0009】
本発明によれば、照射装置は当該表面に向かって第1の波長域の放射を照射し、画像記録ユニットは、その表面から散乱及び/又は反射された、つまり、一般に表面から発されたこれらのビームの第1の空間分解画像を記録する。更に、照射装置は当該表面に向かって第2の波長域の放射を照射し、画像記録ユニットは表面から散乱及び/又は反射されたこの放射の第2の空間分解画像を記録する。この場合、第1の波長域の放射と第2の波長域の放射とは互いに少なくとも部分的に相違しており、これらの放射は少なくとも部分的に時間的にずらされて当該表面に達する。ただし、この場合、第1の波長域の放射と第2の波長域の放射とは当該表面に向かって同一の入射角で照射される。空間分解画像とは、この場合、実際の画像として理解されるだけでなく、この画像から集成又は導出される多数のデータ(例えば強度値)としても理解される。
【0010】
従って、本発明によれば、より高度な空間分解能、向上した線形性、向上した要素再現性、より高度な測定動特性と同時にコンポーネントの相対的低価格性が達成される白黒画像カメラ又はグレースケールカメラ(又は一般に特定の単一タイプの画素を有するカメラ)が画像の記録に使用されるように提案されるとはいえ、それにもかかわらず、同じく光学的な色印象を達成するために、照射装置が当該表面に向かって異なった色の光を照射し、こうして、異なった色成分を有する多数の画像が記録されるようにすることが提案される。それぞれの場合に記録されたこれらの画像をベースとして、更には、それぞれの表面の色の影響又は更にエフェクト顔料の色の影響に関する帰結を引き出すことも可能である。
【0011】
当該表面から散乱及び/又は反射された放射は、一般に、照射装置によって照射された放射の結果としてもたらされる、とりわけ、画像記録装置にもたらされる放射であるのが有利である。
【0012】
この場合、個々のエフェクト顔料が画像全体の閾値の形成によって個々別々に表されるようにすると共に、これらのエフェクト顔料の固有な光学的特性、例えば色、反射挙動、空間散乱特性が決定されるようにすることが可能である。加えて、閾値の形成によってエフェクト顔料をヒストグラムで個別に表すことが可能である。
【0013】
こうした閾値の決定は、局所的にも、輝度ヒストグラムでも、いずれでも使用することが可能である。閾値は、この場合、例えば画像の全体的輝度又は画像コントラスト値に応じて決定可能な固定値又は動的値として使用することが可能である。
【0014】
有利な方法において、閾値の数学的形成は固定的又は動的方法で実施され、閾値の形成は画像情報、例えば画像輝度又は画像コントラストから導出される。
【0015】
異なったスペクトル照明による異なった画像のフレーク特性を計算することにより、結果として、それぞれの照明角度でのエフェクト顔料の光学的特性を決定することができる。エフェクトフレークの光学的特性に当てはまることは、とりわけ、全体としての表面にも当てはまる。
【0016】
有利な方法において、第1の波長域の放射による当該表面の照射と、第2の波長域の放射による照射とは、互いに完全に時間的にずらして実施される。
【0017】
更に別の有利な方法において、当該表面に向かって照射される2つの放射の波長も互いに完全に切り離されている。一例として、緑色光が第1の照射に使用され、赤色光が第2の照射に使用される。
【0018】
従って、画像は意図的に白黒画像カメラで記録されるが、それはこれがより高い分解能を有すると共に、このカメラの異なったRGB検出ユニットからいかなるエラーも生じないからである。また、カラーカメラを使用し、それぞれのセンサ素子の図形を統合することも可能であろう。
【0019】
画像記録ユニットは、複数の同一の光素子、つまり、とりわけ特定の単一タイプの光素子を有し、それゆえ、白黒画像又はグレースケール画像の記録にのみ適した画像記録ユニットであるのが有利である。
【0020】
例えば予備的キャリブレーションによって決定された個々の暗相又は感度又は線形性は、それぞれの画像記録に際して、画素レベルで数学的に考慮されるのが好ましい。こうして、個々の画素間に生ずることさえもあるコンポーネント公差(component tolerances)あるいはその他のアーティファクトが補償される。カラー画像カメラを使用する場合とは異なって、個々のカラー画素間の相違は、この場合、考慮される必要はなく、カラー画素に応じて情報が分離される必要もない。
【0021】
更に別の有利な方法において、画像記録ユニットによって記録された第1の画像と画像記録ユニットによって記録された第2の画像とは、互いに比較又は相互に計算される。より正確に言えば、それぞれの画像の特徴をなす(強度)値が互いに比較されるのが有利である。こうして、とりわけ、画像記録ユニットに当たる光の色成分を評価することができる。この場合、この比較が同じく、空間分解によるか又は画素レベルで実施されるのが有利である。こうして、画像記録ユニットの個々の画素素子の個々の信号が、それぞれの場合に互いに比較されるようにすることができる。この場合、エフェクト顔料の画像化に対応する複数の画素素子が統合されれば、結果として、(好ましくは平均化された)顔料固有特性が得られる。画像又は固有強度値が計算される場合には、これらの値は例えば互いに乗ぜられるか又は共に他の数学的演算例えば平均化、加算等に付されることが可能である。
【0022】
この場合、好ましくは、画像又はこれらの画像の詳細が、とりわけこの比較のために、数学的に整列されるようにすることが可能である。この場合、(とりわけ画素レベルでの)すべての画像の比較が実施されるようにすることも、あるいはまた、この比較を画像の個々の画素エリアに関係させるようにすることも共に可能である。この場合、エフェクト顔料の画像化にほぼ対応する画素エリア又は画素域がこの比較のために選択されるのが好ましい。これらのエリアを決定するために、上述したように、閾値の形成を利用することが可能である。
【0023】
この比較をベースとして、当該表面又は個々のエフェクト顔料の色特性(輝き)に関する帰結を引き出すことが可能である。
【0024】
各々の画素がそれに当たる光の輝度だけでなく、スペクトル情報も記録するように構成したカメラ技法も可能であろう。このタイプのカメラにあっては、それにもかかわらず、カラー画像カメラとは異なって、均一の画素が使用される。この点につき、本願出願人は保護を請求する権利を留保する。
【0025】
好ましい方法において、当該表面には塗料層が付されている。これは例えば好ましくは車両ボディーの表面であってよいが、これらの表面は家具例えばテーブル等の表面であることも可能であろう。
【0026】
更に別の好ましい方法において、当該塗料層は顔料、例えばエフェクト顔料を有する。これらのエフェクト顔料は、例えば、上述したように、層中に存在する小金属粒子であってよい。この場合、これらのエフェクト顔料はフロップ挙動(a flop behavior)すなわち、例えば、顔料に当たる光の角度に応じて生ずる特定の色彩変化あるいは強度変化さえも有するのが有利である。
【0027】
更に別の有利な方法において、照射装置は、互いに異なった2つの波長の放射が正確に同一の角度で当該表面に照射されるように設計されている。こうして、第1の波長域の放射と第2の波長域の放射とが表面に向かって互いに共線的に(in a collinear manner)照射されるようにするのが有利である。
【0028】
更に別の有利な方法において、第1の波長域とは異なり、また第2の波長域とも異なる第3の波長域の放射が、更に追加的に、当該表面に向かって第1の入射角で照射され、画像記録ユニットは表面によって反射及び/又は散乱された放射を記録し、こうして、この画像記録ユニットは更に第3の空間分解画像を記録する。
【0029】
この第3の画像の記録化も他の2つの画像から時間的にずらして実施されるのが有利である。こうすることにより、例えば3つの異なった色、例えば赤、緑及び青の光が当該表面に向かって照射されるようにすることが可能である。こうして、個々の顔料の色又は顔料が逆反射する光の色も画像の比較から決定することができる。例えば、画像記録ユニットの特定の画素が特定の点で高い赤領域の強度値を示す場合には、このことから、当該輝き又はエフェクト顔料は特に赤波長域の光を逆反射しているとの帰結を引き出すことができる。
【0030】
こうして、塗料中に含まれているエフェクト顔料の色の明度を近似的に、例えば、色の質量含有率例えばCIELab表色系で表すことができる。
好ましい方法において、放射は当該表面に向かって複数の照射装置によって異なった角度で照射され、続いて、画像記録装置によって記録される。別の方法として、照射装置が単一の波長域のみを供し、例えば異なったフィルタ素子が放射検出装置の前に配されることにより、検出器を基準にして他方の側で波長が分解されるようにすることも可能であろう。この場合にも、白黒画像カメラによって多数の画像が記録されるが、ただし、この場合、異なった色の局面が記録されるか又は異なった色の局面での空間分解画像が記録される。上記の変法とは異なって、この場合、照射装置によって供された放射の2つの波長域は相違しないが、ただし、むしろ画像記録ユニットに当たる放射の波長が相違しているのが好ましい。
【0031】
従って同じく、本願出願人はこの手法の保護を請求する権利を留保する。この場合にも、2つの画像は同一入射角での放射によって記録される。
【0032】
更に別の有利な実施形態において、放射は複数の照射装置により、異なった入射角で当該表面に向かって照射される。こうして、例えば、当該表面に向かって光を特定の角度例えば45°、15°又は60°で照射することができよう。
【0033】
前記放射は光、特に好ましくは可視波長域の光であるのが有利である。
【0034】
別の方法として、光が当該表面に向かって単一の方向から照射され、複数の異なった検出装置によって記録されるようにすることも可能であろう。こうして、とりわけ、エフェクト顔料が照明されて、異なった角度で観察されるようにすることができよう。
【0035】
本発明は、更に、光学的表面特性を調査するための装置機構に関する。この装置機構は、調査さるべき表面に向かって、所定の入射角で、放射を照射する第1の照射装置を有する。加えて更に、この装置機構は、第1の照射装置によって当該表面に向かって照射され、表面から検出角度にて逆反射ないし返送された放射を記録する放射検出装置を有する。この場合、放射検出装置は、空間分解された白黒画像を記録する画像記録ユニットを有している。
【0036】
本発明によれば、照射装置は、互いに異なる少なくとも2波長域の放射を同一の入射角で−少なくとも部分的に、時間的にずらして−照射するのに適したように設計され、画像記録ユニットは、第1の波長域の放射に対応する第1の画像の記録化と、第2の画像の記録化とに適している。
【0037】
こうして、この場合、画像記録ユニットは2つの異なった波長の放射の画像を記録し、これらの異なった波長はそれぞれ同一の入射角で当該表面に向かって照射されるようにすることも提案される。この場合、当該放射とは、当該照射装置によって当該表面に向かって照射された上記の第1又は第2の波長域を有する放射であると理解されることとする。
【0038】
照射装置は第3の波長域の放射を照射するのに適していることも有利であると共に、画像記録ユニットが第3の空間分解画像(従って上記の波長域)の記録化に適していることも有利である。
【0039】
更に別の有利な実施形態において、本装置機構は少なくとも第1の画像を第2の画像と比較する比較装置を有する。この比較をベースとして、とりわけ、それぞれ当該表面又は当該エフェクト顔料の色特性に関する帰結を引き出すことが可能である。
【0040】
本装置機構は当該表面を異なった角度で照明する複数の照射装置を有するのが有利である。この場合、複数の照射装置、とりわけ好ましくは、すべての照射装置は、異なった波長域の光を供するのに適しているのが有利である。こうして、これらの照射装置は当該表面に向かって異なった角度で光を照射する。
【0041】
更に別の有利な実施形態において、照射装置は第1の波長域の放射を供する第1の光源と、第2の波長域の放射を供する第2の光源とを有すると共に、第1の波長域の放射と第2の波長域の放射とが当該表面に向かって同一の入射角で照射されるようにする照射指向装置を有する。この場合、第1の光源と、好ましくは第2の光源も、それぞれ発光ダイオードであるのが有利である。この場合、これらのLEDは当該表面に向かって異なった波長域の光を照射することができる。
【0042】
照射指向装置は、第1の光源と第2の光源との放射がほぼ共線的に当該表面に当たるようにする効果を有する。照射指向装置に代えて、単一の光源を設け、そのために−この光源の前に配することのできる−複数のフィルタ素子を設けることも可能であろう。また、こうして、異なった波長の光が当該表面に向かって共線的に投射されるようにすることも可能であろう。ただし、この場合には、当該表面に当たる放射の強度はそれぞれフィルタ素子によって弱められることになる。
【0043】
更に別の有利な実施形態において、照射指向装置は少なくとも1個のミラー素子を有する。このミラー素子は、例えば、特定の波長の光の透過を可能とし、その他の波長の光をほぼ完全に反射(吸収)するダイクロイックミラーであってよい。ただし、ミラー素子と同様に、あるいはミラー素子に加えて、その他の素子例えば拡散ディスク、レンズ等も使用することが可能である。
【0044】
更に別の有利な実施形態において、本装置機構は、記録された画像の比較から、当該表面の少なくとも一部分の色の特徴をなす情報を設定する少なくとも1つのプロセッサ装置を有する。少なくとも1つのエフェクト顔料、好ましくは、多数のエフェクト顔料の輝き又は光学的挙動の特徴をなす性質が設定されるのが好ましい。これにより、プロセッサ装置はそれぞれの画像を空間分解によって評価し、こうして、それぞれの場合に画像記録ユニットのそれぞれの画素につき空間分解によるか又は個別に比較を実施するのも有利である。