(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記案内情報生成手段は、前記経路情報どおりにユーザが移動できない場合、前記移動時間を短縮させることができる前記交通機関における推奨位置を示す情報を含む前記案内情報を生成する、請求項5または6に記載の情報処理システム。
前記移動時間推定手段は、前記特定された位置に基づいて、前記交通機関から降りた場所から前記所定場所までの経路探索を行って、前記移動時間を推定する、請求項1乃至4および5乃至8のいずれかに記載の情報処理システム。
前記所定場所は、前記交通機関から降りた後の乗換先の場所、前記交通機関から降りた駅の出口、または、前記交通機関から降りた駅の改札である、請求項1乃至9のいずれかに記載の情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム100の概略構成を示すブロック図である。情報処理システム100は、端末装置1およびサーバ2を備えている。
【0013】
端末装置1はユーザが使用するものであり、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコンといった電子機器である。端末装置1およびサーバ2の少なくとも一部はコンピュータにより実現される。また、端末装置1はネットワーク3を介してサーバ2と通信する。
【0014】
端末装置1は、通信部11と、操作入力部12と、出力部13と、位置測位部14と、制御部15とを有する。
【0015】
通信部11はネットワーク3を介して制御部15とサーバ2との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0016】
操作入力部12はユーザが端末装置1に操作を入力するためのインターフェースであり、例えばモバイル電子機器におけるタッチパネルやマイク、ノート型パソコンにおけるキーボードやタッチパッドである。
【0017】
出力部13は端末装置1からユーザへ各種情報を出力するインターフェースであり、例えば映像を表示する液晶ディスプレイである。具体的には、出力部13は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、後述する経路情報などを表示する。あるいは、出力部13は音声を出力するスピーカであってもよい。
【0018】
また、出力部13は情報をユーザへ直接提示するものでなくてもよい。例えば、出力部13は、外部に接続される表示手段および/または音声再生手段に映像信号および/または音声信号を出力するインターフェースであってもよいし、外部に接続される印刷装置にデータを出力するインターフェースであってもよいし、端末装置1内あるいは外部の記憶装置(不図示)へ出力して記憶させるものでもよい。以下では、出力部13がディスプレイであるとして説明を続ける。
【0019】
位置測位部14は端末装置1の位置を測位する。位置測位部14は、例えばGPS(Global Positioning System)受信装置(不図示)を有し、受信したGPS衛星信号に基づいて位置を測位してもよい。また、位置測位部14は、GPS測位のほか、通信中の基地局からの受信電波強度に基づく基地局測位、Wi−Fi(登録商標)アクセスポイントに基づくWi−Fi測位などで、端末装置1の位置を測位してもよい。あるいは、複数の手法で測位し、そのうち最も精度が高いものを選択的に使用してもよい。
【0020】
端末装置1の位置は緯度および経度で表現され得る。ユーザが端末装置1を使用している間、端末装置1の位置はユーザの位置とほぼ一致する。ただし、位置測位部14は正確に端末装置1の位置を測位できないこともあり、測位された現在位置が多少の誤差を含んでいてもよい。
【0021】
制御部15は、探索条件設定部151と、情報送信部152と、情報受信部153とを有する。これらの各部は、端末装置1内のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することによって得られる機能であってもよい。
【0022】
探索条件設定部151は探索条件を設定する。探索条件設定部151は、操作入力部12を介して、出発地、目的地、時刻に関する情報などの条件をユーザから受け付けることにより、探索条件を設定できる。あるいは、探索条件設定部151は探索条件の少なくとも一部をユーザ入力以外から設定してもよく、例えば位置測位部14により測位された端末装置1の位置を出発地としたり、現在時刻を出発時刻としたりしてもよい。また、探索条件は、移動にエレベータやエスカレータを利用するか否か、といったより詳細な条件を含んでいてもよい。
【0023】
情報送信部152は、通信部11およびネットワーク3を介して、探索条件などの情報をサーバ2に送信する。
【0024】
情報受信部153は、ネットワーク3および通信部11を介して、経路情報などの情報をサーバ2から受信する。
【0025】
一方、サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを有する。
【0026】
通信部21はネットワーク3を介して制御部23と端末装置1との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0027】
記憶部22は例えばハードディスクなどの固定型ストレージであり、経路ネットワーク情報データベース221、時刻表情報データベース222および駅構内情報データベース223を記憶している。各データベース内の情報は制御部23により利用され得る。
【0028】
経路ネットワーク情報データベース221は、経路ネットワーク情報として、例えば地図情報および交通ネットワーク情報を含む。
【0029】
地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図データは現実の道路を表した地図である。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。
【0030】
交通ネットワーク情報は交通網や道路網を規定する情報である。
【0031】
交通網の情報としては、交通機関の路線情報、料金情報などを含む。以下では、交通機関が電車である例を主に説明するが、バス、航空機、船など他の交通機関にも本実施形態を適用可能である。
【0032】
道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。ノードは例えば緯度および経度で特定され、詳細地図の位置と対応している。
【0033】
時刻表情報データベース222は、時刻表情報として、交通ネットワーク情報に含まれる交通機関の時刻表についての情報を含む。例えば、時刻表情報は、交通ネットワーク情報に含まれる電車について、各駅の発車時刻を示す。
【0034】
駅構内情報データベース223は、駅構内情報として、交通ネットワーク情報に含まれる駅についての情報を含む。
【0035】
駅構内情報は、駅ごとに、駅構内の施設に関する情報を含んでいる。駅構内施設情報には、施設ID、施設名称、施設の位置情報が関連付けられている。駅構内の施設の一例には、改札、売店、トイレ、階段、エレベータ、エスカレータ、待合室、喫煙所、飲食店、休憩室、売店、自動販売機、ベンチ、屋根、電光掲示板などが挙げられる。
【0036】
また、駅構内情報は、駅構内の通路網の情報を含んでいる。この通路網の情報も、ノードおよびリンクの組み合わせによって表現される。ノードは、リンクの両端に設定されるほか、人が通過する上記の施設にも設定され得る。リンクは、通路そのものに加え、ホーム上の階段ノードと、階段の行先のフロアにおける階段ノードとを接続するものを含む。さらに、リンクは、ホーム上のエレベータノードと、エレベータの行先のフロアにおけるエレベータノードとを接続するもの、および、ホーム上のエスカレータノードと、エスカレータの行先のフロアにおけるエレベータノードとを接続するものを含んでいてもよい。
【0037】
さらに、駅構内情報には、各施設と、電車の停止位置との関係が関連付けられていてもよい。具体例として、ホーム上のある位置にある階段と、その階段に対する最寄りの車両とが関連付けられている。ここで、最寄りの車両について、路線、方面(上り下り、○○行)、車両番号といった情報が含まれる。車両番号は、「4号車」といった絶対番号でもよいし、「前から4両目」といった相対番号でもよい。また、最寄りの車両に代えて、最寄りの車両のドアが関連付けられていてもよい。その他、エレベータやエスカレータと、電車の停止位置との位置関係が関連付けられていてもよい。
【0038】
なお、説明の便宜上「駅」と呼んでいるが、交通機関が船である場合には駅構内情報が港構内の情報であってもよいし、交通機関が航空機である場合には駅構内情報が空港構内の情報であってもよい。
【0039】
ここで、記憶部22内の各データベースの少なくとも一部は、ネットワーク3を介してサーバ2と接続された外部の装置内に記憶されてもよい。
【0040】
制御部23は、情報受信部231と、移動情報取得部232と、位置特定部233と、移動時間推定部234と、経路探索部235と、情報送信部236とを有する。これらの各部は、サーバ2内のプロセッサ(不図示)が所定のプログラムを実行することによって得られる機能であってもよい。
【0041】
情報受信部231は、ネットワーク3および通信部21を介して、探索条件などの情報を端末装置1から受信する。また、情報受信部231は、記憶部22から、経路ネットワーク情報、時刻表情報および駅構内情報を受信する。受信した各情報は制御部23で使用される。
【0042】
移動情報取得部232は出発地から目的地までの移動情報を取得する。移動情報とは、出発地から目的地までどのように移動するか、という「道筋」を示す情報である。本実施形態では、少なくとも一部に交通機関(以下では電車について説明する)を使用して移動することを想定している。ただし、移動情報は、ある駅を何時何分に発車する電車を使用すべきか、といった具体的な時刻まで含んでいなくてもよい。
【0043】
移動情報取得部232は、自宅から勤務地まで、など予め定めた移動情報を取得してもよい。あるいは、移動情報取得部232は、探索条件に含まれる出発地および目的地に基づき、必要に応じて経路ネットワーク情報および駅構内情報を用いて経路探索を行うことで移動情報を取得してもよい。駅構内の経路探索を行う場合には、駅構内情報が用いられる。経路探索の際に平均探索を行って、移動に要する平均的な時間を得てもよい。
【0044】
位置特定部233は、移動情報に含まれる交通機関に乗る位置および/または交通機関からユーザが降りる位置を予測して特定し、特定された位置を示す位置情報を生成する。交通機関が電車である場合、前者を乗車位置と呼び、後者を降車位置と呼ぶ。乗車位置および降車位置は、電車の「前寄り」、「後寄り」といった大雑把なものでもよいし、「3号車」、「前から4両目」といった車両単位でもよいし、「3号車の1つ目のドア」といったドア単位などより細かいものでもよい。
【0045】
位置の特定手法は種々のものが考えられる。例として、駅構内情報に基づき、改札やエレベータなど所定の施設に近い位置に停止する車両を乗車位置あるいは降車位置として特定してもよい。あるいは、ユーザが乗車位置あるいは降車位置を指定してもよい。また、乗換がある場合には、乗換前の路線と乗換後の路線との組み合わせに基づいて特定してもよい。より具体的な例については後述する。
【0046】
移動時間推定部234は、位置情報に基づいて、当該交通機関から降りた後から所定場所までの移動時間を推定する。この所定場所は目的地までの「道筋」上にあるのが望ましい。この場合、交通機関から降りた位置から目的地までの少なくとも一部の移動時間が推定される。移動時間推定部234は、当該交通機関から降りた後から所定場所までの経路探索を行って、移動時間を推定することができる。
【0047】
具体例として、移動時間は乗換における降車ホーム(乗換前の路線のホーム)から乗車ホーム(乗換後の路線のホーム)までの移動に要する乗換時間であってもよい。乗換時間は降車ホームのどこで(前方か後方かなど)降車するかに応じて変わってくる。また、乗換で駅や交通手段が変わる(電車からバスへの乗換など)場合、移動時間は降車場所から乗車場所までの移動に要する乗換時間であってもよい。別の例として、移動時間は降車した位置から駅出口や改札までの移動に要する時間であってもよい。
【0048】
経路探索部235は、推定された移動時間を考慮し、少なくとも一部に上記交通機関を使用して出発地から目的地まで移動する経路を探索し、経路情報を生成する。経路探索の際、必要に応じて経路ネットワーク情報、時刻表情報および駅構内情報を用いることができる。経路情報は、「道筋」を示す移動情報とは異なり、ある駅を何時何分に発車する電車を使用する、目的地に何時何分に到着する、といった具体的な時刻を含んでいる。
【0049】
情報送信部236は、通信部21からネットワーク3を介して、生成された経路情報を端末装置1に送信する。
【0050】
図2は、
図1の情報処理システム100の処理動作の一例を示すシーケンス図である。まず、端末装置1の探索条件設定部151は探索条件を設定する。探索条件は情報送信部152によりサーバ2に送信される(ステップS1)。
【0051】
これに応じて、サーバ2の情報受信部231は探索条件を受信する(ステップS11)。そして、移動情報取得部232は探索条件に基づいて経路探索を行い、出発地から目的地までの「道筋」を示す移動情報を取得する(ステップS12)。
【0052】
図3は、移動情報の一例を模式的に示す図である。同図では、ユーザU1が出発地O1から目的地Dまでの経路探索を要求し、ユーザU2が出発地O2から目的地Dまでの経路探索をしたことを想定している。出発地O1,O2の最寄駅はともにA駅であるとする。ただし、出発地O1からはA駅の改札g1が近く、出発地O2からはA駅の改札g2が近い。このようなことは、経路ネットワーク情報および駅構内情報から把握される。
【0053】
この場合、ユーザU1用の移動情報は、出発地O1から徒歩で改札g1まで行き、A駅からP線の電車に乗ってB駅まで行き、B駅でQ線の電車に乗り換えてC駅まで行き、C駅で降り、C駅から徒歩で目的地Dまで行くことを示している。一方、ユーザU2用の移動情報は、出発地O2から徒歩で改札g2まで行き、以降はユーザU1用の移動情報と同様である。
【0054】
このように、移動情報は、どのような場所を経由すればよいのか、どの交通機関を用いればよいのか、などの道筋を示す。
【0055】
図2に戻り、位置特定部233は、移動情報に含まれる電車の、乗車位置および/または降車位置を特定する(ステップS13)。これにより、特定された位置を示す位置情報が生成される。
【0056】
図4は、位置特定手法の一例を説明する図であり、
図3と対応している。
図4に示すように、駅構内情報によると、A駅において、改札g1はP線の電車の4号車の停止位置に近いとする。また、改札g2はP線の電車の1号車の停止位置に近いとする。
【0057】
移動情報において、ユーザU1は改札g1からA駅のホームに入る。改札g1は4号車の停止位置に近く、ユーザは4号車に乗る可能性が高い。よって、位置特定部233はユーザU1のP線の電車の乗車位置を「4号車」と特定する。別の例として、位置特定部233は乗車位置を「電車の後寄り」と特定してもよいし、「4号車の後ろのドア」と特定してもよい。
【0058】
一方、移動情報において、ユーザU2は改札g2からA駅のホームに入る。改札g2は1号車の停止位置に近く、ユーザは1号車に乗る可能性が高い。よって、位置特定部233はユーザU2のP線の電車の乗車位置を「1号車」と特定する。別の例として、位置特定部233は乗車位置を「電車の前寄り」と特定してもよいし、「1号車の前のドア」と特定してもよい。
【0059】
図2に戻り、移動時間推定部234は、位置情報を考慮して、交通機関から降車した後の移動時間を推定する(ステップS14)。
【0060】
図5は、移動時間推定手法の一例を説明する図であり、
図4と対応している。
図5に示すように、駅構内情報によると、P線B駅のホーム(
図5(a))において、階段ST1が電車の4号車の停止位置付近にある。この階段ST1はQ線B駅のホームの階段ST2につながっている。Q線B駅のホーム(
図5(b))において、階段ST2は電車の4号車の停止位置付近にある。よって、階段ST2からきたユーザはQ線の電車の4号車に乗る可能性が高い。
【0061】
位置情報において、ユーザU1の乗車位置は4号車であるため、そのままB駅で4号車から降りると考えられる。
図5(a)に示すように、4号車から階段ST1までは近い。このことを考慮し、ユーザU1がB駅でP線の電車からQ線の電車に乗り換えるのに要する移動時間は、比較的短い3分であると推定される。
【0062】
一方、位置情報において、ユーザU2の乗車位置は1号車であるため、そのままB駅で1号車から降車すると考えられる。
図5(a)に示すように、1号車から階段ST1までは遠い。このことを考慮し、ユーザU2がB駅でP線の電車からQ線の電車に乗り換えるのに要する移動時間は、比較的長い10分であると推定される。
【0063】
このような具体的な移動時間は、移動時間推定部234が駅構内情報を用いた経路探索を行って算出してもよい。あるいは、P線B駅における降車位置のそれぞれに対する移動時間を予め駅構内情報データベース223に記憶しておいてもよい。また、朝夕のラッシュ時には乗換に要する移動時間が長くなるようにしてもよい。
【0064】
また、
図5では、乗換経路が階段ST1,ST2を経由する1つの経路しかない例を示している。これに対し、乗換経路が複数ある場合、移動時間推定部234は、乗換経路ごとに推定される複数の移動時間のうち、最長となる移動時間を採用してもよいし、最短となる移動時間を採用してもよい。
【0065】
なお、
図5(b)に示すように、ユーザU1,U2はQ線の電車の4号車に乗る可能性が高いことから、位置特定部233はQ線の乗車位置を「4号車」と特定してもよい。そして、移動時間推定部234はQ線の4号車を降りてC駅の出口(あるいは目的地D)まで移動するのに要する移動時間をさらに推定してもよい。
【0066】
図2に戻り、経路探索部235は、推定された移動時間に応じて、出発地から目的地までの最適な経路を探索する(ステップS15)。これにより、探索で得られた経路を示す経路情報が生成される。
【0067】
図6は、経路情報の一例を示す図であり、
図5と対応している。なお、出発時刻はユーザU1,U2ともに10時であるとしている。
【0068】
図6(a)は以下のようなユーザU1の経路情報を示している。出発地O1を10時に出発して徒歩でA駅に向かい、改札g1を通って10時15分にそのホームに到着する。そして、A駅を10時20分に発車するP線の電車(の4号車)に乗り、B駅で10時40分に降りる。ここで、
図5によると、ユーザU1のB駅での乗換に要する移動時間は3分であることから、10時45分にB駅を発車するQ線の電車に乗る。最終的には、目的地Dに10時55分に到着する。移動時間推定部234がQ線の電車から降りた後の移動時間を推定している場合、これを考慮した経路情報を生成できる。
【0069】
図6(b)は以下のようなユーザU2の経路情報を示している。出発地O2を10時に出発して徒歩でA駅に向かい、改札g2を通って10時15分にそのホームに到着する。そして、A駅を10時20分に発車するP線の電車(の1号車)に乗り、B駅で10時40分に降りる。この降車時刻はユーザU1の経路情報における降車時刻と同じである。
【0070】
ここで、
図5によると、ユーザU2のB駅での乗換に要する移動時間は10分である。よって、10時45分にB駅を発車するQ線の電車にユーザU2は乗れない。そこで、10時55分にB駅を発車するQ線の電車に乗る。最終的には、目的地Dに11時5分に到着する。
【0071】
図6(a),(b)を比べると分かるように、ユーザU1,U2はP線B駅での降車時刻が同じであるが、乗換に要する移動時間が異なる。本実施形態では、この乗換に要する移動時間を考慮して経路探索部235が経路を探索する。そのため、結果的にはユーザU1,U2で異なる経路情報、すなわち、ユーザU1,U2にとって最適な経路情報が生成される。
【0072】
図2に戻り、生成された経路情報は、情報送信部236により端末装置1に送信される(ステップS16)。これに応じて、端末装置1の情報受信部153は経路情報を受信する。そして経路情報は出力部13から出力される(ステップS2)。
【0073】
なお、移動情報に複数の交通機関が含まれる場合、ステップS13において、そのすべてについて位置特定部233は乗車位置および/または降車位置を特定するのが望ましい。そして、ステップS14において、移動時間推定部234は、特定された位置のそれぞれに対して、移動時間を推定するのが望ましい。さらに、ステップS15において、経路探索部235はすべての移動時間を考慮して経路探索を行うのが望ましい。
【0074】
さらに、移動情報は出発地から目的地までの道筋全体ではなく、その一部であってもよい。例えば、移動情報は、乗換前の交通機関と乗換後の交通機関との組み合わせ、ホームと改札との組み合わせ、ホームと駅の出口との組み合わせにおける道筋であってもよい。
そして、経路探索部235が経路探索をしながら、すなわち、出発地から目的地までの経路探索の拡散しながら、上記の組み合わせに対して移動時間を推定し、推定された移動時間を考慮して(例えば、乗換駅ノードでのノードコストとして)、その後の経路探索の拡散を続けるようにしてもよい。
【0075】
また、乗車位置を特定して移動時間を推定する例を示したが、降車位置を特定して移動時間を推定してもよい。何らかの手法により降車位置を直接特定してもよい、上述したように、乗車位置からそのまま降車すると考えて、乗車位置を降車位置として特定してもよい。
【0076】
すなわち、
図5に示すP線の電車(乗換前の電車)からQ線の電車(乗換後の電車)への乗換に要する移動時間を推定するために、P線の電車の乗車位置、同降車位置、Q線の電車の乗車位置、同降車位置のうち少なくとも1つの位置を特定すればよい。
【0077】
このように、第1の実施形態では、交通機関に乗る位置や交通機関から降りる位置を考慮して、経路探索を行う。そのため、より正確に乗換時間などの移動時間を推定でき、適切な経路情報を生成できる。
【0078】
以下、位置特定部233による乗車位置あるいは降車位置を特定する手法の例をいくつか説明する。
第1例として、位置特定部233は、駅構内情報を用い、駅構内の施設の位置や駅の構造に基づいて位置を特定できる。
【0079】
例えば、
図4では、改札の近くに停止する車両を乗車位置として特定する例を示した。他に、ホームにつながる階段、エレベータ、エスカレータ、乗換口の近くに停止する車両を乗車位置としてもよい。特に、探索条件においてエレベータやエスカレータを「利用する」ということが設定されている場合は、エレベータやエスカレータの近くに停止する車両を乗車位置とし、「利用しない」ということが設定されている場合は、階段の近くに停止する車両を乗車位置とするのが有効である。
【0080】
改札などが複数ある場合、予め定めた乗車位置ごとの乗車確率に基づいて、乗車位置を特定してもよい。乗車確率は、改札の規模(自動改札の数など)に応じて定めることができる。
【0081】
また、階段やエスカレータについては、位置のみならず向きを考慮してもよい。例えば、階段が1号車の停止位置と2号車の停止位置との間にあり、かつ、階段の導線が1号車の停止位置側を向いている場合には、1号車を乗車位置とすることができる。また、階段から3号車の停止位置までの通路は広いが4号車の停止位置までの通路は狭い、という場合には、3号車を乗車位置とすることができる。
【0082】
第2例として、位置特定部233はユーザからの入力に基づいて位置を特定できる。そのためには、操作入力部12を介してユーザにより設定された位置を、探索条件に含めておけばよい。この場合、操作入力部12をディスプレイ上に重ねて配置されたタッチパネルとするのが好都合である。
【0083】
図7は、ユーザから乗車位置の入力を受け付けるための画面の一例を示す図である。この画面は、探索条件を設定する際に、探索条件設定部151が出力部13に表示する。
【0084】
表示される画面の中央には、使用する駅(出発地の最寄駅、乗換(経由)駅、目的地の最寄駅、現在位置からの最寄駅など)の概略を示す概略表示51aが配置される。概略表示51aには、東西南北を把握できるよう、方位磁石を模したマーク51bが含まれる。駅が何階建てであるか、および、駅の何階が概略表示51aに表示されているのかを示してもよい(符号51c)。同図の場合、符号51cは、駅には地下1階(B1F)、1階(1F)、2階(2F)および屋上があり、斜線によって現在地下1階(B1F)が概略表示51aに表示されていることを示している。
【0085】
駅の概略表示51aには、ホーム51dや線路51eなどの構造が模式的あるいは忠実に示される。さらに、階段51fなど、ホーム上にある施設が表示されてもよい。駅構内において施設の位置を把握できるような表示であるのが望ましい。また、階段51fが1階(1F)につながることを明示してもよい。その他、エレベータやエスカレータなど他の施設を表示してもよい。
【0086】
この概略表示51aに駅の概略全体が収まらない場合、画面をスクロールさせるためのアイコン51gが表示されてもよい。同図ではユーザがアイコン51gをタッチすると、駅の北の方が表示される。
【0087】
表示される画面において、駅の概略表示51aの上方に、駅の経路52aが配置される。経路52aは、駅の出入口52bから、使用する交通機関の路線(ユーザが指定した路線など)のホーム52cまでの概略経路を示す。同図における概略表示52aは、駅のA4出入口52bから10mの位置に改札52dがあり、改札52dから10mの位置に下り階段52eがあり、階段52eから6mの位置に8番ホーム52cがあることを示している。
【0088】
表示される画面の下部に、乗車位置を設定するためのドラムロール53aが配置される。同図は「前から5両目」が選択された状態である。ドラムロール53aをフリックなどにより回転させることで、他の号車を選択することができる。また、推奨される号車(推奨位置)が明示されてもよい(符号53b)。推奨される号車は、階段52eから最も近い位置など、移動時間を短くできる(移動コストを小さくできる)号車である。
【0089】
乗車位置としてある号車を選択した状態で、ドラムロール53aの上方に配置された「完了」アイコンをユーザが選択すると、選択された号車が乗車位置として設定される。そして、探索条件設定部151はこの乗車位置を探索条件として設定する。このような探索条件がサーバ2に送信されることで、位置特定部233は乗車位置を特定できる。また、ユーザが「キャンセル」アイコンを選択すると、本画面は消える。
【0090】
なお、同図のような画面は、ある駅が指定された段階で、情報受信部153が駅構内情報データベース223から駅構内情報を取得することで、生成可能である。
【0091】
図8は、ユーザから乗車位置の入力を受け付けるための画面の別の例を示す図である。同図のドラムロール53aには、前から12両目の近くにエスカレータがあることを示すアイコン52c、同じく前から12両目の近くに階段があることを示すアイコン52d、前から13両目の近くにエレベータがあることを示すアイコン52eが含まれる。このように、各車両と施設との位置関係を示すことで、ユーザが乗車位置を選択することを補助してもよい。
【0092】
図7および
図8に示すように、推奨号車や、エスカレータなどの施設の位置を付加情報として表示することで、ユーザの利便性を向上できる。
【0093】
また、
図7および
図8は、ユーザが乗車位置を設定するための画面例であるが、降車位置を入力するための類似の画面を出力部13に表示してもよい。例えば、降車ホームにおけるある飲食店に行くような場合には、ユーザが降車位置を特定できるのが望ましい。
【0094】
第3例として、位置特定部233は、乗換における乗換前の路線と、乗換駅と、乗換後の路線との組み合わせに基づいて、位置を特定できる。より具体的には、
図5に示したように、乗換に使用される階段などの施設と、電車の停止位置との関係から乗車位置や降車位置を特定してもよいし、組み合わせごとに乗車位置や降車位置を予め記憶しておいてもよい。
【0095】
なお、乗換に要する移動時間は、乗換前の電車の乗車位置(または降車位置)と乗換に使用する施設との位置関係、および、乗換に使用する施設と乗換後の電車の乗車位置(または降車位置)との位置関係の少なくとも一方に基づいて、推定することができる。
【0096】
第4例として、位置特定部233はユーザの属性に基づいて位置を特定できる。例えば、ユーザが老人、妊婦、怪我人またはペースメーカの装着者なら優先席がある車両を乗車位置として特定し、車椅子の人なら車椅子スペースがある車両を乗車位置として特定してもよい。また、ユーザが若い女性であれば、女性専用車両を乗車位置として特定してもよい。このようなユーザの属性は、予めユーザ自身がサーバ2に登録しておいてもよいし、探索条件に含めてもよい。
【0097】
第5例として、位置特定部233はユーザの嗜好に基づいて位置を特定してもよい。例えば、ユーザが喫煙者である場合には喫煙所近くの車両を乗車位置としてもよい。また、女性専用車両の希望有無、グリーン車の希望有無、弱冷房車の希望有無、優先席がある車両の希望有無、または喫煙車両の希望有無などに基づいて特定してもよい。このようなユーザの嗜好は、予めユーザ自身がサーバ2に登録しておいてもよいし、ユーザの行動履歴からサーバ2がユーザの嗜好を推定してもよい。
【0098】
その他の例として、天気や季節を考慮して位置を特定してもよい。例えば、雨または夏場の晴天の場合には、ホーム上の屋根がある範囲に停止する車両からユーザが乗車する可能性が高い。そのため、ホームに屋根がある範囲に停止する車両を乗車位置として特定してもよい。季節が夏の場合には、ホーム内で冷房の吹き出し口の近くに停止する車両やホームに屋根がある範囲に停止する車両を乗車位置として特定してもよい。一方、季節が冬の場合、ホーム上に設置された待合室の近くに停止する車両を乗車位置として特定してもよい。
【0099】
位置特定の精度を向上するために上述した各例を組み合わせてもよいし、他の手法によって乗車位置や降車位置を特定してもよい。
【0100】
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態は、経路探索後に、より早く目的地に到着する経路を再度探索するものである。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0101】
図9は、
図1の情報処理システム100の処理動作の別の例を示すフローチャートである。以下、
図3〜
図6に示すユーザU2の経路情報を用いて説明する。
【0102】
ステップS1,S2,S11〜S16は第1の実施形態と同様である。ステップS15において経路探索を行った後、経路探索部235は乗換に要する移動時間を短くすればより早く目的地に到着できるか否かを判定する。より具体的には、経路探索部235は、乗車(降車)位置を変えることで乗換に要する移動時間を短くでき、結果的に一本以上前の電車に乗れるか否かを判定する(ステップS17)。
【0103】
図3〜
図6に示した例では、ユーザU2はB駅に10時40分に到着し、乗換に要する移動時間は10分である。そのため、ステップS15で生成された経路情報は10時55分発の電車に乗ることを示していた。しかしながら、この移動時間を短くして5分未満になれば、10時45分の電車に乗れる。よって、経路探索部235は乗換に要する移動時間を短くすればより早く目的地に到着できると判定する。
【0104】
図9に戻り、そのような判定がなされた場合(ステップS17のYES)、経路探索部235は、1本前の電車を用いてより早く目的地に到着するための経路を再探索する(ステップS18)。
【0105】
図3〜
図6に示した例では、経路探索により、B駅を10時45分に発車する電車に乗る経路が得られる。また、この電車に乗るためには、乗換に要する移動時間を5分未満にする必要がある。そのためはどのように移動すればよいかについても、経路探索部235が判断する。
図5を参照すると、B駅において、P線の電車の4号車から降車すれば、Q線の電車への乗換に要する移動時間を3分にすることができる。
【0106】
よって、経路探索部235は、B駅において、P線の電車の4号車から降車ことを示す経路情報を生成する。より具体的には、経路情報は、A駅でP線の電車の(
図4に示す1号車ではなく)4号車に乗ることを示してもよい。あるいは、経路情報は、A駅でP線の電車の1号車に乗り、Q駅に到着するまでに電車内を移動して、4号車で降りることを示してもよい。
【0107】
新たな経路情報が生成されると、情報送信部236は、より早く到着する経路がある旨の情報と、新たな経路情報とを端末装置1に送信する(ステップS19)。情報送信部236はこのような情報を端末装置1にプッシュ通知してもよい。
【0108】
これに応じて、端末装置1の情報受信部153は、より早く到着する経路がある旨の情報と、新たな経路情報とを受信する(ステップS3)。そして、新たな経路情報に切り替えるか否かをユーザに問い合わせるための画面が出力部13に表示される。そして、ユーザが操作入力部12を介して新たな経路情報に切り替えることを指定した場合(ステップS4のYES)、出力部13には新たな経路情報が出力される(ステップS5)。
【0109】
これにより、ユーザはより早く目的地に到着するための経路を知ることができる。
【0110】
なお、
図9には種々の変形が考えられる。例えば、ステップS17でより早く目的地に到着する経路があると判定された場合、再度の経路探索を行う前にその旨を端末装置1に送信してもよい。そして、ユーザが新たな経路情報を要求した場合に、経路探索部235が新たな経路を探索するようにしてもよい。
【0111】
このように、第2の実施形態では、交通機関に乗る位置を考慮して再度の経路探索を行うため、より早く目的地に到着する経路をユーザに提示できる。
【0112】
(第3の実施形態)
上述した第1および第2の実施形態は、交通機関に乗る(または交通機関から降りる)位置を特定し、その位置に応じた経路探索を行うものであった。これに対し、以下に説明する第3の実施形態は、経路案内中に交通機関に乗った(または交通機関から降りた)位置を特定し、その位置に応じた経路案内を行うものである。
【0113】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システム100aの概略構成を示すブロック図である。以下、
図1との相違点を中心に説明する。
【0114】
端末装置1aの制御部15aは、経路案内部154を有する。経路案内部154は、サーバ2aで生成される案内情報に基づいて、ユーザに経路案内を行う。一例として、経路案内部154は、位置測位部14が測位する端末装置1aの位置が案内情報に設定されたガイダンスポイントと一致すると、右左折のタイミングや目印となる施設を出力部13に表示する。端末装置1aの位置が目的地に一致するまで、経路案内部154はこのような経路案内を行う。
【0115】
サーバ2aの制御部23aは、情報受信部231および情報送信部236に加え、経路情報取得部241と、案内情報生成部242と、位置特定部243と、移動時間推定部244とを有する。
【0116】
経路情報取得部241は、各データベースに記憶された情報を用いて経路探索を行い、探索条件に設定された出発地から目的地までの経路を示す経路情報を取得する。本実施形態では、経路の少なくとも一部に電車などの交通機関を用い、かつ、乗換があることを想定している。経路情報は、ある駅を何時何分に発車する電車を使用する、といった具体的な時刻を含んでいる。なお、経路情報取得部241は、経路探索を行うことなく、通勤経路など予め定めた経路情報を取得してもよい。
【0117】
案内情報生成部242は、経路情報に基づき、経路に沿ってユーザを目的地に導くための案内情報を生成する。案内情報は、ノードなどに設定されるガイダンスポイントや、当該ガイダンスポイントでのガイダンス内容を含んでいる。案内情報は情報送信部236により端末装置1aに送信される。
【0118】
位置特定部243は、経路案内中に、経路情報に含まれる交通機関にユーザが実際に乗った位置および/または交通機関から実際に降りた位置を特定し、特定された位置を示す位置情報を生成する。交通機関が電車である場合、前者を乗車位置と呼び、後者を降車位置と呼ぶ。
【0119】
位置の特定手法は種々のものが考えられる。第1の実施形態と同様に、駅構内情報に基づいて乗車位置あるいは降車位置を特定してもよい。あるいは、経路案内中に、
図7に示すような画面を出力部13から出力し、ユーザが乗車位置あるいは降車位置を指定してもよい。また、乗換前の路線と乗換後の路線との組み合わせに基づいて特定してもよい。
【0120】
別の手法として、電車内に無線装置を設けておき、この無線装置と端末装置1aとが接続することで、乗車位置を特定してもよい。あるいは、電車内の無線装置から、乗車位置を特定する識別信号を端末装置1aが受け取ることにより、乗車位置を特定してもよい。
【0121】
また、位置測位部14が測位した端末装置1aの位置に基づいて、乗車位置を特定してもよい。さらに、端末装置1aに加速度センサがある場合、加速度情報に基づいて自律航法で乗車位置を算出してもよい。より具体的には、加速度情報に基づいて階段を上りきった(あるいは下りきった)ことを検出し、その地点からの移動距離に基づいて乗車位置を特定できる。端末装置1aの加速度およびその位置の両方を用いて、乗車位置を特定してもよい。
【0122】
端末装置1aの加速度や位置を用いて乗車位置を特定する場合、端末装置1a内で乗車位置や降車位置を特定し、得られた位置情報をサーバ2aの位置特定部243に送信してもよい。あるいは、端末装置1aの加速度や位置を示す情報をサーバ2aの位置特定部243に送信し、位置特定部243が位置を特定してもよい。
【0123】
その他、第1の実施形態で説明した各例を適用してもよい。
【0124】
移動時間推定部244は、特定された位置に基づいて、交通機関を降りた後から、経路案内中の経路上の所定位置までの移動時間、特に乗換における乗換前の路線から乗換後の路線までの移動時間を推定する。具体的な推定手法は
図1の移動時間推定部234と同様である。
【0125】
さらに、案内情報生成部242は、移動時間推定部244により推定された移動時間に基づいて、経路案内中の経路における乗換に間に合うか否かを判定する。より具体的には、案内情報生成部242は、乗換後路線の電車の発車時刻までに、乗換後路線のホームまで移動できるか否かを判定する。そして、間に合うか否かの情報を含む案内情報を新たに生成し、情報送信部236から端末装置1aに送信する。移動時間は特定された位置から推定されるため、案内情報生成部242は特定された位置に応じて案内情報を生成することになる。
【0126】
図11は、
図10の情報処理システム100aの処理動作の一例を示すシーケンス図である。まず、端末装置1aの探索条件設定部151は探索条件を設定する。探索条件は情報送信部152によりサーバ2aに送信される(ステップS21)。
【0127】
これに応じて、サーバ2aの情報受信部231は探索条件を受信する(ステップS31)。そして、経路情報取得部241は探索条件に基づいて経路探索を行い、出発地から目的地までの経路を示す経路情報を取得する(ステップS32)。ここでの経路情報における乗換時間などの移動時間は、乗車位置などを考慮しない平均的な時間であってもよい。あるいは、第1の実施形態で説明したように、乗車位置などを考慮したより正確な時間であってもよい。
【0128】
さらに、案内情報生成部242は経路情報に基づいて案内情報を生成する(ステップS33)。そして、情報送信部236はこの案内情報を端末装置1aに送信する(ステップS34)。端末装置1aの情報受信部153は案内情報を受信する(ステップS22)。以上により端末装置1aおよびサーバ2aは経路案内モードとなる。
【0129】
経路案内モードにおいて、端末装置1aの経路案内部154は、案内情報および位置測位部14が測位した端末装置1aの位置に基づいて、ユーザに経路案内を行う(ステップS23)。
【0130】
一方、経路案内モードにおいて、目的地までの経路に乗換がある場合(ステップS35のYES)、サーバ2aの位置特定部243は、乗換前の電車について、ユーザの実際の乗車位置または降車位置を特定する(ステップS36)。そして、特定された位置に基づき、移動時間推定部244は乗換に要する移動時間を推定する(ステップS37)。さらに、案内情報生成部242は、案内中の経路情報と、推定された移動時間とを比較し、乗換に間に合うか否かの情報を含む案内情報を生成する(ステップS33)。この案内情報は端末装置1aに送信され(ステップS34)、乗換に間に合うか否かが経路案内の一部としてユーザに提示される(ステップS22,S23)。
【0131】
以上の処理を経路における乗換がなくなるまで繰り返す(ステップS35のNO)。そして、ユーザが目的地に到着すると、言い換えると、端末装置1aの位置が目的地に一致すると(ステップS24のYES)、経路案内が終了する。
【0132】
図12は、乗換に間に合うか否かを示す経路案内の一例を示す図である。特定された乗車位置で乗換に間に合わない場合、単に乗換に間に合わない旨を出力部13に表示してもよい。また、乗車位置から降車したのでは間に合わない場合、どのようにすれば移動時間が短縮するかを表示してもよい。例えば、乗換に間に合う推奨号車付近まで移動することを促してもよい。さらに、通常の速度ではなく急ぎ足で乗り換えることを促してもよい。
【0133】
また、特定された乗車位置で乗換に間に合う場合、単に乗換に間に合う旨を出力部13に表示してもよい。また、乗換に間に合うが、乗換において注意すべき点を通知してもよい。例えば、乗車位置から降車すると乗換駅ホームの階段が込み合うため、移動に時間がかかる見込みであることを通知してもよい。
【0134】
このように、第3の実施形態では、ユーザが電車に乗った位置(降りた位置)を特定し、乗換に間に合うか否かを判定する。そのため、乗換に間に合うか否かをユーザに提示でき、ユーザの位置に応じた適切な経路案内を行うことができる。
【0135】
なお、上述した第3の実施形態では、乗換に間に合うか否かに応じた案内情報を生成するものであった。その他、交通機関から降りて、探索条件に設定された目的地への到着時刻に間に合うか否かに応じた案内情報を生成してもよい。この場合、移動時間推定部244は交通機関から降りてから目的地までの移動時間を推定すればよい。
【0136】
(第4の実施形態)
上述した第3の実施形態は、乗換に間に合うか否かをユーザに通知するものであった。これに対し、以下に説明する第4の実施形態は、ユーザの実際の乗車位置や降車位置を考慮してリルートを行うものである。
【0137】
図13は、
図10の情報処理システム100aの処理動作の別の例を示すシーケンス図である。以下、
図11との相違点を中心に説明する。
【0138】
目的地までの経路に乗換がある場合(ステップS35のYES)、サーバ2aの位置特定部243は、乗換前の電車について、ユーザの実際の乗車位置または降車位置を特定する(ステップS36)。そして、経路情報取得部241は特定された位置を考慮して、再度経路探索を行う(ステップS32)。
【0139】
具体的には、経路情報取得部241は、特定された乗車位置から乗換駅で降りるとし、この降りた場所を出発地として乗換駅構内の経路を再度探索してもよい。
【0140】
あるいは、特定された乗車位置から乗換駅で降りるとし、移動時間推定部244がその場合の乗換に要する移動時間を推定しておく。そして、経路情報取得部241は、この移動時間に基づき、乗換に間に合う電車を含む経路を再度探索してもよい。
【0141】
例えば、実際の乗車位置に基づく移動時間を考慮すると、1度目の経路探索により得られた電車に間に合わない場合もある。この場合、1または数本後の電車を使用する経路や、他の交通機関を使用する経路が得られる。
【0142】
また、実際の乗車位置に基づく移動時間を考慮すると、1度目の経路探索により得られた電車より前の電車に乗れる場合もある。この場合、前の電車を使用し、結果的により早く目的地に到着する経路が得られる。
【0143】
そして、案内情報生成部242は新たな経路情報に基づいて新たな案内情報を生成する(ステップS33)。そして、その後は新たな案内情報に基づく経路案内が行われる(ステップS34,S22〜S24)。
【0144】
このように、第4の実施形態では、乗車位置を特定し、新たに経路を探索する。そのため、ユーザの乗車位置に応じた適切な経路案内を行うことができる。
【0145】
なお、第3および第4の実施形態では、乗車位置を特定する例を主に説明したが、降車位置を特定して同様の処理を行ってもよい。
【0146】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0147】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0148】
さらに、1または複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0149】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態には限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。