特許第6483965号(P6483965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483965
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】防火用スクリーン
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20190304BHJP
   A62C 2/06 20060101ALI20190304BHJP
   E06B 9/13 20060101ALI20190304BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   E06B5/16
   A62C2/06 502
   E06B9/13 D
   E06B9/58 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-125784(P2014-125784)
(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-3527(P2016-3527A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝
(74)【代理人】
【識別番号】100095533
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 安男
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】野口 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】関口 省吾
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−087495(JP,A)
【文献】 特許第2986390(JP,B2)
【文献】 特許第5199625(JP,B2)
【文献】 特開平07−097886(JP,A)
【文献】 実開平01−134195(JP,U)
【文献】 特許第3007651(JP,B2)
【文献】 実開平06−047586(JP,U)
【文献】 米国特許第04359079(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00−5/20
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の内側に取り付けられる上下枠及び左右枠と、左右枠に沿って配置されるガイド枠と、ガイド枠に収容されるガイド部材と、ガイド部材の案内溝に沿って巻き取り及び巻き戻しされるスクリーンと、このスクリーンを巻き取って収容する収容ボックスを備える防火用スクリーンにおいて、
前記ガイド部材は、前記ガイド枠、その他の部材に固定されることなく独立していると共に、
前記ガイド部材は、前記ガイド枠の中空部において、その周囲にクリアランスが形成されるように収容されており、
前記ガイド部材は、スリットを備えており、
前記ガイド部材の前記スリットが形成された面の該スリットを挟んだ両端間の寸法が、前記ガイド枠の自由端の間隔よりも大きいことを特徴とする防火用スクリーン。
【請求項2】
前記ガイド部材は、略口状の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の防火用スクリーン。
【請求項3】
前記スクリーンのボトム枠の端部が、前記ガイド枠の開口に入り込むことを特徴とする請求項1又は同2に記載の防火用スクリーン。
【請求項4】
前記建物開口部の内側であって、且つ、開口部の額縁部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の防火用スクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、防火設備として使用できる防火用スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
万が一の火災の際に、発生する恐れがある人的被害等を防ぐため、建物の開口部の非防火サッシに防火シャッター等を設置することが、要請されている。
建物の開口部を防火仕様に改修する方法として、外付の防火シャッターを付加する方法がある。
しかし、建物の開口部の外側に庇がある場合や、収納ボックスが大きい場合には設置できず、また開口部が出窓のように外に飛び出す形状の場合にも設置できないことがある。
また、防火シャッターは一般に金属製スラットから構成されているが、防火シャッターの建物開口部の内側への設置は,意匠的にも受け入れ難いし、梁等の内部の制約も多い。
【0003】
特許文献1には、建物の室内側に、シャッターボックスとシャッターレールとシャッターの受け台からなるシャッター枠を設け、金属製スラットの代わりに透明フィルムによるスラットを設けたシャッターが開示されている。
このシャッターは、防火用ではないが、シャッターボックス、シャッターレール及びシャッター受け台が室内面から露出して、防火対策の面で、そのまま防火用スクリーンに応用することはできない。また、シャッターボックスが室内面から突出しており、かかる構成は、室内の調和を乱し意匠的にも受け入れ難いものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−170453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、防火用スクリーンの構成を建物の開口部の内側への取付に適したものにすること、スクリーンの操作性を高めること、耐火性、不燃性を高めること等の課題を解決するための防火用スクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、建物開口部の内側に取り付けられる上下枠及び左右枠と、左右枠に沿って配置されるガイド枠と、ガイド枠に収容されるガイド部材と、ガイド部材の案内溝に沿って巻き取り及び巻き戻しされるスクリーンと、このスクリーンを巻き取って収容する収容ボックスを備える防火用スクリーンにおいて、前記ガイド部材は、前記ガイド枠、その他の部材に固定されることなく独立していると共に、前記ガイド部材は、前記ガイド枠の中空部において、その周囲にクリアランスが形成されるように収容されており、
前記ガイド部材は、スリットを備えており、前記ガイド部材の前記スリットが形成された面の該スリットを挟んだ両端間の寸法が、前記ガイド枠の自由端の間隔よりも大きいことを特徴とする防火用スクリーンとした(請求項1に記載の発明)。
【0007】
上記発明において、前記ガイド部材は、略口状の形状を有していることを特徴とする防火用スクリーンとした(請求項2に記載の発明)。
上記発明において、前記スクリーンのボトム枠の端部が、前記ガイド枠の開口に入り込むことを特徴とする防火用スクリーンとした(請求項3に記載の発明)。
【0008】
前記各防火用スクリーンは、建物開口部の内側であって、且つ、開口部の額縁部に固定されている構造とした(請求項4に記載の発明)。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、金属製スラットではなく、布状のスクリーンとすることで収容ボックスを小さくすることができ、開口部からの採光面積を大幅に小さくすることなく設置することができ、建物の開口部の内側への取付に適したものとなっている。
また、スクリーンの巻き取り及び巻き戻しをガイドするガイド部材をガイド枠とは独立させて構成したことで、スクリーンの操作性を高めることができる。
さらに、前記各防火用スクリーンは、建物開口部の内側であって、且つ、開口部の額縁部に固定されている構造としたので、各構成要素が室内面に露出する面積を少なくでき、耐火性、不燃性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明に係る防火用スクリーンの木造の納まりを示す縦中央断面図、
図2】同横断面図、
図3】同横断面図におけるガイド枠とガイド部材の要部拡大図、
図4】同防火用スクリーンの鉄筋コンクリート(RC)造納まりを示す縦中央断面図、
図5】同横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る防火用スクリーン1は、図1及び図2並びに図3及び図4のように、建物開口部2の内側に取り付けられる上下枠3,4及び左右枠5,6と、左右枠5,6に沿って、かつ、室内側に配置されるガイド枠7と、ガイド枠7に収容されるガイド部材8と、ガイド部材8の案内溝80に沿って巻き取り及び巻き戻しされるスクリーン9と、このスクリーン9を巻き取って収容する収容ボックス90を備えている。
【0012】
建物開口部2には、サッシ枠Sを介して引き違い窓等が取り付けられているが、それらの構成とは関係することなく、防火用スクリーン1を取り付けることができる。
【0013】
上下枠3,4及び左右枠5,6は、建物開口部2の内側において、その内周面に固定されるもので、例えば図1に示す木造納まりの場合には、開口部2の額縁部20の内周面21に固定されている。
即ち、上下枠3,4、左右枠5,6、ガイド枠7及び収容ボックス90は、前記内周面21に収まるように配置されている。
一方、RC造納まりの場合には、図4及び図5に示すように、アンカーAを介して額縁部20に固定されている。
【0014】
ガイド枠7は、左右枠5,6の室内側端に配置されているもので、図3に示すように、スクリーン9の先端辺91を取付けるボトム枠B(図1参照)の端部B1が入り込む開口70と、この開口70を除き中空状に形成されている中空部71からなっている。
前記開口70を形成するガイド枠7の自由端72は、ガイド部材8が当接可能になっており、その抜け止め防止手段となっている。
各中空部71には、図3に示すように、ガイド枠7に沿って、難燃性、不燃性の弾性材として、例えばスポンジからなる緩衝部73が設けられ、前記自由端72、72と中空部71の内壁間に固定されている。
【0015】
前記各ガイド部材8は、図3に示すように、前記スクリーン9の両縁のたて辺92をスライドさせる案内溝としてのスリット80を備える略口状の形材で形成され、ガイド枠7に沿うように長尺状に形成されていると共に、ガイド枠7、その他の部材に固定されることなく独立して、前記緩衝部73に略当接し得る状態で、例えば下枠4上に載置されている。
【0016】
かかるガイド部材8は、前記中空部71において、その周囲にクリアランスC(遊び/隙間)が形成されるように収容されている。
【0017】
前記スクリーン9は、耐火性、不燃性のもので、ガラスクロス若しくはシリカクロス、又はこれらのクロスに耐火塗料を塗布したもの、含浸させたものにより形成されている。
このスクリーン9のたて辺92には、抜止部93が取り付けられ、前記ガイド部材8のスリット80を塞ぐように位置されている。
この抜止部93は、スクリーン9が撓む力を受けた場合に、その両縁のたて辺92が、スリット80から抜け出ることを防ぐものであることから、スリット80より幅広に形成され、かつ、スクリーン9のたて辺92の上下間において、複数個に形成される(それぞれ図示せず)。
【0018】
前記スクリーン9のボトム枠Bには、ラッチ94が取り付けられ、このラッチ94が下枠4に係止されるようになっている。よって、スクリーン9による建物開口部2の閉鎖状態を維持できるようになっている。
【0019】
前記収容ボックス90には、前記スクリーン9の基端辺を取り付けたドラム95が収容され、スクリーン9が巻き取り、巻き戻されると共に、その途中において、一時的に、任意の位置で停止できる機構を備えている。
【0020】
以上の構成の防火用スクリーン1の作用効果は、次の通りである。
(1) 防火用スクリーン1は、建物開口部2の非防火サッシの構成に関係することなく、室内側に取付けることができ、その際に、布状のスクリーンを収容するコンパクトな収容ボックス90により、建物の開口部2の内側への取付に適したものとなっている。
(2) ガイド部材8は、前記中空部71において、独立すると共に、ガイド部材8の周囲にクリアランスCが形成されている。よって、ガイド部材8はその範囲で位置が変位可能となっており、スクリーン9に外力が作用する場合に、柔軟に対処させることができ、スクリーン9の操作性の向上につながる。
(3) また上記(2)の構成及び作用により、建物開口部2がスクリーン9により閉鎖されている状態で、スクリーン9に外力、例えば、煙、火炎が作用して撓む場合に、その力を直接的にスクリーン9の抜止部93に作用させることなく、スクリーン9の破損等を防ぐことができる。
(4) クリアランスCは、ガイド枠7とガイド部材8との間に断熱空間を形成することとなり、ガイド枠7の受ける熱が、直接的にスクリーン9の抜止部93に影響しないようになっている。
(5) 緩衝部73は、クリアランスCと共に、スクリーン9が外力により、撓む場合に、その力を直接的に抜止部93に作用させることなく、スクリーン9の破損等を防ぐことができ、またスクリーン動作の安定性、操作性を向上させることができる。
(6) 前記各防火用スクリーン1は、建物開口部2の内側の額縁部20に固定されているので、上下枠3,4、左右枠5,6、ガイド枠7、ガイド部材8、収容ボックス90の露出面積を少なくでき、耐火性、不燃性を高めることができる。
(7) スクリーン9の両端が前記ガイド部材8に収容され、その下端もボトム枠Bを介して下枠4に固定され、前記開口部2を閉鎖することができるので、延焼防止や、内部から外部への煙、火炎の吹き出しを防止することができる。
【0021】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 防火用スクリーン
2 建物開口部
20 額縁部 21 内周面

3,4 上下枠

5,6 左右枠

7 ガイド枠
70 開口 71 中空部
72 自由端 73 緩衝部

8 ガイド部材
80 案内溝(スリット)

9 スクリーン
90 収容ボックス 91 スクリーンの先端辺
92 スクリーンのたて辺 93 抜止部
94 ラッチ 95 ドラム

B ボトム枠 B1 端部
S サッシ枠
C クリアランス(遊び)
図1
図2
図3
図4
図5