(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483968
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】歯科用X線撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20190304BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A61B6/14 300
A61B6/03 360Q
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-142901(P2014-142901)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-16276(P2016-16276A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100069420
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 武
(72)【発明者】
【氏名】関根 庸隆
【審査官】
伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−529359(JP,A)
【文献】
特表2014−512933(JP,A)
【文献】
特開2002−315746(JP,A)
【文献】
特表2013−518649(JP,A)
【文献】
特開2007−068842(JP,A)
【文献】
特開2006−204329(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0129058(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02708188(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に向けてX線を照射するX線源と、被検者を通過したX線を検出するX線撮像手段と、被検者の周りに前記X線源およびX線撮像手段を一体的に有する旋回アームと、旋回アームを旋回させるための旋回駆動手段と、旋回駆動手段を支持する装置フレーム(本体)と、被検者の所望のX線撮影領域を表示可能な表示手段と、を有する歯科用X線撮影装置において、前記歯科用X線撮影装置に、3Dスキャナを搭載し、前記表示手段に、被検者位置付け時に既知のX線撮影領域と、前記3Dスキャナで被験者をスキャンした3D画像をオーバレイ表示可能に構成するとともに、
前記3Dスキャナは、被験者を中心とする周囲に少なくとも3個搭載し、前記旋回アームは回転しない状態にして、固定位置からの少なくとも3個のスキャン画像からリアルタイムな3Dスキャンを可能に構成し、
さらに、前記歯科用X線撮影装置に被験者位置を調整する被験者位置調整手段と、その調整量を検知可能な検知手段とを有し、合成手段により、前記少なくとも3個の3Dスキャナによりスキャンした3D画像と、既知のX線撮影領域とをリアルタイムに重ねて表示手段に表示し、操作者がオーバレイ表示した画像を見ながら被験者位置調整手段を操作することで被験者の所望のX線撮影領域を既知のX線撮影領域の範囲内に移動することが可能に構成し、前記既知のX線撮影領域がCT撮影のFOV領域であるとともに、前記既知のX線撮影領域は、操作者がFOVの撮影領域を被検者の体格や撮影領域の大きさによって選択できるように予め何パターンか既知部分CT撮影領域記憶手段に保存しておき、被検者の体格や撮影領域の大きさに合わせて選択可能としたことを特徴とする歯科用X線撮影装置。
【請求項2】
前記被験者位置調整手段が、旋回駆動手段の回転中心を水平方向に移動させる移動テーブルであることを特徴とする請求項1記載の歯科用X線撮影装置。
【請求項3】
前記被験者位置調整手段が、旋回アームの下方に設けられた被検者位置付け用の椅子、被検者位置付け用チンレスト(顎を載せる台)、または被検者位置決め用のヘッドサポートであることを特徴とする請求項1記載の歯科用X線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線撮影装置、特に、歯科用断層撮影装置において患者の位置決めを容易に行うように構成配置した歯科用X線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、X線撮影装置において患者の位置決めを行うには、特許文献1(特許第3807833号)および特許文献2(特開2010−46360号)に記載されているものがある。即ち、特許文献1には、X線を照射するX線源と、被検者を通過したX線を検出するイメージセンサと、X線源およびイメージセンサを支持する支持アームと、支持アームを移動させるための移動手段とを具備する兼用X線撮影装置が記載されており、この移動手段によって、CTモードの場合にX線源およびイメージセンサをCT画像形成軌跡に沿って移動し、パノラマモードの場合にX線源およびイメージセンサをパノラマ画像形成軌跡に沿って移動し得るようにしており、従って、パノラマ断層撮影に加えて、部分CT断層撮影を得ることができる兼用X線撮影装置を提供すると共に部分CT断層撮影を得ることができる専用部分CTX線撮影装置を提供するようにしている。
【0003】
又、特許文献2には、X線撮影装置Mにおいて、表示手段は、関心領域rを指定するためのスカウト画像として第1のX線画像を表示し、指定手段は、表示手段に表示された第1のX線画像上で関心領域rを指定し、画像処理手段は、指定に基づき、関心領域rを観察基準方向から正視した正視X線CT画像を少なくとも含むX線CT画像である第2のX線画像を、第1のX線画像よりも高い解像度で生成し、スカウト画像に対して指定した関心領域を表示する際に、煩わしい操作をしなくとも、直感的に、しかも、詳細に観察し得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3807833
【特許文献2】特開2010−46360
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(株)データ・デザイン社 カタログ 3D Design−Scanning−”Atrec 3D Scanners”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1においては、パノラマ断層撮影および部分CT断層撮影を行い得る兼用断層撮影を行うために著しく複雑な機構を必要としており、特許文献2においても、スカウト画像に対して指定した関心領域を表示する際に、煩わしい操作をしなくとも、直感的に、しかも、詳細に観察し得るとしているが、実際に撮影を行うX線撮影装置自体がきわめて複雑な機構を必要としている。
また、スカウト画像を得るためにX線撮影が必要となり、被験者は余分なX線被曝の負担を強いられることとなった。
【0007】
一般に、歯科用レントゲン装置(パノラマ装置・コーンビームCT装置)においては、X線の広がり幅、フレーム画像のスキャンスピード、旋回アームの旋回速度等から既知の撮影領域が設定される。パノラマ装置の場合、その撮影領域は歯列に沿った馬蹄型となり、コーンビームCT装置の場合は円柱状のFOVとなる。このX線撮影領域に被験者の撮影患部が入るように位置付けしなければならない。しかし、撮影領域(断層域・FOV)を目視にて把握できないため、正確な位置付けは容易ではなく、撮影失敗により無効被曝、患者への負荷が懸念されることが多々ある。
【0008】
また、複数用意された撮影領域(断層域・FOV)の中から、操作者が、被験者の所望のX線撮影をするために最も適した撮影領域(断層域・FOV)を選択し、撮影前に目視にて撮影領域と被験者との位置関係を把握できる歯科用X線撮影装置はなかった。
【0009】
本発明の目的は、この問題を解決すべく、視覚的、直感的な位置付け方法を提供せんとするものである。
【0010】
本発明の他の目的は、3DスキャナをX線撮影装置に搭載することにより、極めて簡単な構成の歯科用X線撮影装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の歯科用X線撮影装置は、被検者に向けてX線を照射するX線源と、被検者を通過したX線を検出するX線撮像手段と、被検者の周りに前記X線源およびX線撮像手段を一体的に有する旋回アームと、旋回アームを旋回させるための旋回駆動手段と、旋回駆動手段を支持する装置フレーム(本体)と、被検者の所望のX線撮影領域を表示可能な表示手段と、を有する歯科用X線撮影装置において、前記歯科用X線撮影装置に、3Dスキャナを搭載し、前記表示手段に、被検者位置付け時に既知のX線撮影領域と、前記3Dスキャナで被験者をスキャンした3D画像をオーバレイ表示可能にしたことを特徴とする。
【0012】
又、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記3Dスキャナは、前記旋回アームに搭載し旋回アームの旋回により複数方向から取得した画像を合成することで3Dスキャン可能としたことを特徴とする。
【0013】
更に、被験者を支持する被験者支持台と、被験者位置を調整する被験者位置調整手段と、その調整量を検知可能な調整量検知手段と、前記表示手段上の表示位置を操作する入力手段とを設け、被験者を位置付けした後に一度旋回アームを旋回させながら被験者位置の3Dスキャン画像を取得し、合成手段にて既知のX線撮影領域と重ねて前記表示手段に表示し、前記入力手段により、前記表示手段上に表示された既知のX線撮影領域と、スキャンした3D画像のどちらかを移動調整することでその調整量から被験者位置調整手段を駆動して被験者の所望のX線撮影領域を既知のX線撮影領域の範囲内に移動することを可能とする。
【0014】
又、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記3Dスキャナは、被験者を中心とする周囲に複数個搭載し、固定位置からの複数個のスキャン画像からリアルタイムな3Dスキャンを可能としたことを特徴とする。
更に、被験者位置を調整する被験者位置調整手段と、その調整量を検知可能な検知手段とを有し、前記合成手段により、前記複数個の3Dスキャナによりスキャンした3D画像と、既知のX線撮影領域とをリアルタイムに重ねて表示手段に表示し、操作者がオーバレイ表示した画像を見ながら被験者位置調整手段を操作することで被験者の所望のX線撮影領域を既知のX線撮影領域の範囲内に移動することを可能とする。
【0015】
又、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記被験者位置調整手段が、旋回駆動手段の回転中心を水平方向に移動させる移動テーブルであって、前記旋回駆動手段の回転中心の位置を調整することで既知のX線撮影領域(の中心位置)を移動可能とする。
【0016】
又、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記既知の被験者位置調整手段が、旋回アームの下方に設けられた被検者位置付け用の椅子、被検者位置付け用チンレスト(顎を載せる台)、または被検者位置決め用のヘッドサポートである。
【0017】
又、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記歯科用X線撮影装置をパノラマX線撮影装置とし、前記既知のX線撮影領域をパノラマ断層域とする。
【0018】
又、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記歯科用X線撮影装置を歯科用CTパノラマX線撮影装置とし、前記既知のX線撮影領域がCT撮影のFOV領域とする。
【0019】
更に、本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記既知の撮影領域は、予め用意された複数の断層域やFOVから操作者が被験者の体格に合わせて選択可能とする。
【0020】
本発明歯科用X線撮影装置によれば、前記既知の撮影領域は、予め用意された複数の断層域やFOVから操作者が被験者の所望のX線撮影領域に合わせて選択可能とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、歯科用レントゲン装置(パノラマ装置、コーンビームCT装置)において、被検者の位置付けを行う際に、3Dスキャナを搭載することにより、被検者の位置と既知の撮影領域(断層域・FOV)の相関関係が視覚的、直感的に把握可能で、正確な位置付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明X線撮影装置の原理の一例を示すフローチャート図;
【
図2】本発明X線撮影装置の実施状態を示し、特にCBCTの場合のFOV表示を示す説明図;
【
図3】本発明X線撮影装置の実施状態を示し、特にパノラマの場合の断層域の表示を示す説明図;
【
図5】本発明X線撮影装置の原理の他の例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して以下に本発明を説明する。
先ず、
図1および
図4を参照して、1個の3Dスキャナを回転アームに搭載して使用する場合を説明する。
【0024】
この3Dスキャナとしては、例えばデータ・デザイン社により開発されているArtec 3D Scannerを使用する。
【0025】
本発明では、被検者1の口腔に向けてX線を照射するX線源2と、被検者1の口腔を通過したX線を検出するX線撮像手段3と、被検者1の周りに前記X線源2およびX線撮像手段3を対向して一体的に保持する旋回アーム4aと、該旋回アーム4aを旋回駆動させるための旋回駆動手段4と、該旋回駆動手段4を支持する装置フレーム35とを具備する歯科用X線撮影装置に、スキャンにより多方向から取得した画像を合成して3D画像を表示可能な3Dスキャナ10を搭載する。
【0026】
即ち、歯科用X線撮影装置のX線源2を設置している個所の近辺に3Dスキャナ10を搭載し、その出力側に合成手段32を経由して、第3切換スイッチ11または第4切換スイッチ29を経て表示手段20に接続する。
【0027】
又、本発明では、上記歯科用X線撮影装置に、被検者1を支持する支持台9(例えば椅子)に、被検者位置決め用チンレスト、即ち、顎を載せる台41、および被検者位置決め用のヘッドサポート40を設置し、上記被検者支持台9、チンレスト41、ヘッドサポート40は被検者位置調整手段21によって被検者の位置を前後左右に調整可能としている。また被検者位置調整手段21に組込まれている調整量検知手段22の検知情報から被検者の位置を把握可能とする。斯様に被検者支持台9、被検者位置調整手段21、調整量検知手段22により被検者の位置決め手段を構成している。
なお、被検者位置調整手段21は前後左右の調整の他、上下の移動に対しても調整可能としてもよい。
【0028】
図1の被検者支持台9に設けられた被検者位置調整手段21に変えて、
図5に示すように旋回駆動手段4の回転中心aを水平方向に前後左右に移動可能な被験者位置調整手段である移動手段21を設けることもできる。この場合も回転中心aに対して相対的に被検者の位置を移動させることができる。また、移動手段21は旋回アーム4aを、回転中心aの軸方向に沿って上下に移動可能とすることもできる。
【0029】
被検者を被検者支持台9に座らせ、被検者を固定した後一度旋回アーム4aを旋回駆動手段4の回転中心aを回転軸として回転させ、3Dスキャナによる被検者位置の3D画像を取得し、合成手段32に供給し、第3切換スイッチ11、または、第4切換スイッチ29を経て表示装置20に供給し、表示可能とする。
【0030】
既知パノラマ撮影領域制御手段30は、旋回駆動手段4の回転制御を行う回転制御手段33とフレーム画像のスキャン制御を行うパノラマ画像処理手段12から既存のパノラマ撮影領域を決定し、既存パノラマ撮影領域記憶手段24に記憶する。
また既知のFOV撮影領域制御手段31は、旋回駆動手段4の回転制御を行う回転制御手段33とフレーム画像のスキャン制御を行うCBCT用画像処理手段16から既存部分CT撮影領域を決定し、既存部分CT撮影領域記憶手段25に記憶する。
【0031】
次いで、既知パノラマ撮影領域記憶手段24又は既知部分CT撮影領域記憶手段25に夫々記憶されている所望の既知パノラマ撮影領域又は所望の既知部分CT撮影領域を、合成手段32に供給し3Dスキャナ10からの3D画像を合成し第3切換スイッチ11または第4切換スイッチ29を経て表示手段20に接続し、3D画像と既知の撮影領域との相関位置関係の変化を表示する。
【0032】
医師又は撮影技師がその表示を基に表示手段20の近傍に設けられた入力手段34(例えばマウス等)を用いて表示画面上の既知のX線撮影領域をドラッグしスキャンした3D画像上の所望の関心領域が既知のX線撮影領域に収まるように移動してドロップする。或いはスキャンした3D画像をドラッグして既知のX線撮影領域の中に3D画像上の所望の関心領域が収まるようにドロップする。
表示画面上の3Dスキャンした被験者の位置情報は、被験者支持台9上の被験者の位置と被験者位置調整手段21、調整量検知手段22を経由して同期しており、上記のようにドラッグアンドドロップの操作に沿って被験者位置調整手段21を制御して被験者支持台9を画面上で指示した位置まで移動することができる。
【0033】
なお、所望の既知パノラマ撮影領域記憶手段24および既知部分CT撮影領域記憶手段25は旋回駆動手段4の回転中心aを基準として得られる撮影領域であって、医師または撮影技師によって選択し得るようにしている。
例えば、既知パノラマ撮影領域の場合、大人、中人、子供用のアーチ状の撮影領域を予め何パターンか保存しておき、被検者の体格に合わせて選択可能としている。また既知部分CT撮影記憶手段25の場合は、FOVの撮影領域を被検者の体格や撮影領域の大きさによって選択できるように予め何パターンか保存しておき、被検者の体格や撮影領域の大きさに合せて選択可能にしている。これらの選択操作は撮影の前に医師または撮影技師によって行う。
また、ヘッドレスト等に、頭部サイズの測定可能なセンサを設け、被検者の頭のサイズから体格を自動認識できるようにしておくことで、操作者の選択操作がなくとも自動で被検者の撮影領域を選択できるようにすることもできる。
【0034】
次に、複数個の3Dスキャナを固定して使用する場合を説明する。即ち、歯科用レントゲン装置の周辺に、リアルタイムでスキャン可能な複数個(少なくとも3個)の3Dスキャナ(図示せず)を例えば3角形状に固定配置する。例えば装置フレーム35、X線源2、X線撮像手段3に3Dスキャナを各1個ずつ設け旋回アーム4aは回転しない状態にして、これら3Dスキャナを用いて3D画像を作成し、上述したように、合成手段32、第3切換スイッチ11または第4切換スイッチ29を経て表示装置20に供給する。
次いで、上述したように、所望の既知パノラマ撮影領域又は所望の既知部分CT撮影領域を、所望に応じ、合成手段32に供給し、表示装置20において3D画像および所望の既知の撮像領域(断層域・FOV)を夫々オーバレイ表示して、3D画像と既知の撮影領域との相関位置関係の変化をリアルタイムに表示し、医師又は撮影技師はその表示を基に被験者位置調整手段21を操作する。被験者位置調整手段21は、椅子の移動操作であっても、チンレスト41やヘッドレスト40の移動操作であってもよい。
また、旋回駆動手段4に設けられた移動テーブル21(被験者位置調整手段21)であってもよい。この操作に伴って3D画像はリアルタイムに移動し、所望の既知の撮影領域とオーバレイ表示させ、所望のX線撮影領域を既知のX線撮影領域の範囲内に移動し被検者の正確な位置決めを視覚的かつ直感的に行うことができる。
なお、複数個の3Dスキャナは上記例に限らず被験者周囲の固定位置からの撮影でもよく被験者支持台の周囲にアームや櫓を組んで固定してもよい。
【0035】
斯様にして、位置決めを行った際の表示装置の表示画面を
図2および
図3に夫々示し、
図2はCBCT撮影の場合のFOV表示を示し、
図3はパノラマ撮影の場合の断層域の表示を示す。
【0036】
上記3Dスキャナ10の代わりに、3次元座標を取得できる手段を使用することもできる。
【0037】
更に、本発明では、首尾よく被検者の正確な位置づけが行われた後の所望のパノラマ撮影領域又は所望の部分CT撮影領域に対してX線撮影を行う処理をも説明する。
【0038】
図1に示すように、X線を被検者1に照射するX線源2と、被検者1を通過したX線を検出するX線撮像手段3と、被検者1を中心に位置させてX線源2とX線撮像手段3とを旋回アーム4aを介して一定距離に相互に対向して固着し、前記被検者1の周りを旋回駆動手段4の旋回アーム4aによって相対的に旋回させるものとし、X線撮影は旋回駆動手段4を回転軸とし、該回転軸を回転中心aとして旋回アーム4a を1回転させる。この時、前記被検者1は、前記旋回駆動手段4の真下、すなわち、回転中心aに位置するものとする。
【0039】
次に、前記X線撮像手段3のCCDセンサは被検者1を透過したX線像をA/D変換手段5によって一定の面積を持つフレーム画像としてのデジタル電気信号に変換するものである。また、前記X線撮像手段3で得られた画像情報をフレーム画像として記憶する大容量フレーム画像記憶手段6は、その後段に、第1オン・オフスイッチ7を経て接続され、このフレーム画像の抽出やパノラマ画像をデジタル処理によって任意の断層面の形成を行うパノラマ用画像処理手段12と、該画像処理を行った画像を記憶する大容量処理画像記憶手段13と、該処理画像記憶手段13により、各断層像を表示する全画像表示記憶手段14とを設け、更に、その後段に該全画像表示記憶手段14のパノラマ画像を出力する出力手段15(例えば、CRTディスプレイ、液晶パネルのような画像表示装置や画像をプリントアウトするプリンタ等を駆動するための出力)を設ける。この出力手段15は第3切換スイッチ11の一方の接点を経て前記表示装置20に接続する。又、既知パノラマ撮影領域記憶手段24を経て合成手段32の出力を第3切換スイッチ11の他方の接点を経て表示手段20に接続する。
【0040】
更に、
図1に示すように、前記大容量フレーム画像記憶手段6には、その後段に、第2オン・オフスイッチ8を経て、前記大容量フレーム画像記憶手段6のフレーム画像を抽出してCT画像のデジタル処理によって任意の断層面の形成を行うCBCT用画像処理手段16と、該画像処理を行った画像を記憶するCBCT用画像記憶手段17と、該CBCT用画像記憶手段17の各断層像を表示するCBCT用画像表示記憶手段18と、該CBCT用画像表示記憶手段18の表示画像を出力する出力手段19とを設ける。これらCBCT用画像形成要素16,17,18,19は前記パノラマ用画像形成要素12,13,14,15と夫々並列に配置する。この出力手段19は第4切換スイッチ29の一方の接点を経て前記表示手段20に接続する。更に既知部分CBCT撮影領域記憶手段25を経て合成手段32の出力を第4切換スイッチ29の他方の接点を経て前記表示手段20に接続する。
【0041】
斯様に構成配置された本発明歯科用X線撮影装置において、上述したように、被検者の位置決めが成された後、直ちに、第3切換スイッチ11の他方の接点又は第4切換スイッチ29の他方の接点を夫々の切換スイッチ11,29の一方の接点に切換えて、X線撮影を行い、X線撮像手段3で得られた画像情報をA/D変換手段5、大容量フレーム記憶手段6を経て、パノラマ画像の場合には、第1オン・オフスイッチ7を経て、パノラマ用画像処理手段12、処理画像記憶手段13、全画像表示手段14で夫々信号処理されて出力手段15に所望のパノラマ画像を容易に得ることができ、又、CBCT用画像の場合も、同様に大容量フレーム記憶手段6の映像情報を、第2オン・オフスイッチ8を経てCBCT用画像処理手段16、CBCT用画像記憶手段17、CBCT用画像表示記憶手段18で夫々信号処理されて出力手段19に所望のCBCT画像を容易に得ることができるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 被検体(被写体)
2 X線源
3 X線撮像手段
4 旋回駆動手段
4a 旋回アーム
5 A/D変換手段
6 大容量フレーム画像記憶手段
7 第1オン・オフスイッチ
8 第2オン・オフスイッチ
9 被検者支持台
10 3Dスキャナ
11 第3切換スイッチ
12 パノラマ用画像処理手段
13 大容量処理画像処理手段
14 全画像表示記憶手段
15 出力手段
16 CBCT用画像処理手段
17 CBCT用処理画像記憶手段
18 CBCT用画像表示記憶手段
19 出力手段
20 表示手段
21 被検者位置調整手段
22 調整量検知手段
23 移動手段
24 既知パノラマ撮影領域記憶手段
25 既知部分CT撮影領域記憶手段
a 回転軸
29 第4切換スイッチ
30 既知のパノラマ撮影領域制御手段
31 既知のFOV撮影領域制御手段
32 合成手段
33 回転制御手段
34 入力手段
35 装置フレーム
40 ヘッドサポート
41 チンレスト