(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の側縁部は、前記第1の外周部を周回するように前記第1の外周部に接合され、前記第3の側縁部は、前記第2の外周部を周回するように前記第2の外周部に接合される、請求項2に記載の助手席用エアバッグ。
前記第1のセンターパネルは、助手席用エアバッグを膨張させるガスを供給するガス供給器を取り付け可能な取り付け口を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の助手席用エアバッグ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<車両構造200及びエアバッグ装置100の構成>
図1は、一実施形態に係る車両構造200の一例を、助手席に対して運転席とは反対側から側方視で模式的に示す側面図である。図示の車両構造200は、運転席が前列左側に位置し、助手席が前列右側に位置する場合の車両構造の一例である。車両構造200は、インストルメントパネル1と、フロントウィンドシールド4と、助手席用のエアバッグ装置100とを備える。
図1は、エアバッグ装置100に構成されるエアバッグ101が膨張展開した状態の一例を示す。
【0010】
インストルメントパネル1は、車両の助手席の前方に位置する内装部位(「ダッシュボード」とも呼ばれる)である。フロントウィンドシールド4は、車両の前窓に設けられた板材であって、例えば、インストルメントパネル1の上面に対して車室側に傾斜して設けられたガラス板である。
【0011】
エアバッグ装置100は、助手席に座る乗員を保護する乗員保護装置の一例であり、インストルメントパネル1内に設けられた格納部3に収容される。エアバッグ101が膨張展開する前の非作動状態では、格納部3の開口面は、インストルメントパネル1に設けられた不図示の扉部によって塞がれる。
【0012】
エアバッグ装置100は、インフレータ2と、リテーナ19と、エアバッグ101とを備える、助手席用エアバッグ装置の一例である。
【0013】
インフレータ2は、不図示の制御回路からの制御信号に基づいて、エアバッグ101を膨張展開させるガスを供給するガス供給器(ガス発生器)の一例である。インフレータ2は、ガス噴出孔が設けられた円柱状のガス噴出部2aと、ガス噴出部2aの側面から延びるフランジ2bとを有する。ガス噴出部2aは、取り付け口34及びリング開口71に挿入される。取り付け口34は、エアバッグ101のパネル表面に設けられた孔であり、リング開口71は、バッグリング70に設けられた孔である。
【0014】
ガス噴出部2aが取り付け口34及びリング開口71に挿入され、且つ、取り付け口34の周縁部39がバッグリング70とリテーナ19との間に挟まれた状態で、周縁部39とバッグリング70とリテーナ19とフランジ2bとが共にボルト72で締結される。これにより、エアバッグ101とインフレータ2がリテーナ19に固定される。なお、エアバッグ101とインフレータ2とリテーナ19とを固定する手段は、図示の形態に限られず、他の固定形態でもよい。
【0015】
エアバッグ101は、助手席が前列右側に位置する場合の助手席用エアバッグの一例である。膨張する前のエアバッグ101は、インフレータ2から供給されるガスによって膨張展開可能に折り畳まれた形態で、格納部3内のリテーナ19に収容される。エアバッグ101は、インフレータ2から供給されるガスにより膨張する一つのチャンバ10を有し、チャンバ10の膨張によって、インストルメントパネル1に設けられた不図示の扉部を押し開き、助手席に座る乗員に向けて膨張展開する乗員保護部材である。チャンバ10は、インフレータ2から供給されるガスによって膨張する膨張室である。
【0016】
エアバッグ101は、右センターパネル20の正面部31に対して乗員側にコブ状に盛り上がる隆起部130を有する。正面部31は、右センターパネル20の表面のうち乗員側に対向するパネル部分である。
【0017】
<エアバッグ101の形態>
図2は、膨張展開したエアバッグ101の形態の一例を、助手席の乗員側からの視点で示す正面図である。車幅方向5は、車両の左右方向を示し、天地方向6は、車両の上下方向を示す。
図3は、膨張展開したエアバッグ101の形態の一例を、助手席に対して運転席とは反対側から斜め上方の視点で示す上方斜視図である。
図4は、膨張展開したエアバッグ101の形態の一例を、助手席に対して運転席とは反対側から側方視で示す側面図である。
図5は、膨張展開したエアバッグ101の形態の一例を、運転席側から側方視で示す側面図である。
【0018】
図2〜5に示されるように、エアバッグ101は、右サイドパネル11と、左サイドパネル12と、右センターパネル20と、左センターパネル40とを備える。右サイドパネル11と左サイドパネル12は、車幅方向5に対置する一対のサイドパネルである。右サイドパネル11は、車幅方向5の車両外側のパネルであり、左サイドパネル12は、車幅方向5の車両内側のパネルである。つまり、左サイドパネル12は、車幅方向5において、右サイドパネル11とは反対側のパネルである。右センターパネル20と左センターパネル40は、車幅方向5に並列に線状の接合部113で縫合等により接合される一対のメインパネルである。右センターパネル20は、車幅方向5の車両外側のパネルであり、左センターパネル40は、車幅方向5の車両内側のパネルである。
【0019】
右サイドパネル11、左サイドパネル12、右センターパネル20及び左センターパネル40は、エアバッグ101の表面を構成するパネルである。隆起部130は、左センターパネル40の正面部51が右センターパネル20の正面部31に対して盛り上がることによって形成される。
【0020】
右センターパネル20は、右縁部21と、左縁部22と、正面部31とを有する第1のセンターパネルの一例である。右縁部21は、右サイドパネル11側の側縁部であり、左縁部22は、右縁部21とは反対側の側縁部である。正面部31は、右縁部21と左縁部22との間に位置し乗員に対向する側となるパネル表面である。
【0021】
左センターパネル40は、左縁部41と、右縁部42と、正面部51とを有する第2のセンターパネルの一例である。左縁部41は、左サイドパネル12側の側縁部であり、右縁部42は、左縁部41とは反対側の側縁部である。正面部51は、左縁部41と右縁部42との間に位置し乗員に対向する側となるパネル表面である。
【0022】
正面部31と正面部51は、いずれも、エアバッグ101が膨張展開した状態で助手席の乗員に対向する側(つまり、エアバッグ101に対して車両後方側)に張り出すパネル部位である。正面部31が正面部51に比べて助手席の乗員に正対する位置で展開するように、エアバッグ101は膨張展開する。
【0023】
右センターパネル20の左縁部22は、右センターパネル20の右縁部21とは反対側に突出する突出部30を有する。突出部30は、正面部51が正面部31に対して乗員側に盛り上がるように左センターパネル40の右縁部42に接合される湾曲部26を有する。突出部30は、隆起部130の右サイドパネル11側の側面を構成する。湾曲部26は、左縁部22の一部であり、突出部30の輪郭である。
【0024】
したがって、このような突出部30が設けられることにより、正面部31に対して盛り上がる隆起部130を容易に形成することができる。
【0025】
<エアバッグ101の各パネルの形態>
図6は、右サイドパネル11の一例を示す平面図である。右サイドパネル11は、外周部13を有する。右サイドパネル11は、第1の外周部を有する第1のサイドパネルの一例であり、外周部13は、第1の外周部の一例である。右サイドパネル11は、丸みを帯びた多角形のシート状に形成された一枚の基布である。右サイドパネル11は、少なくとも一つのベントホール15を有してもよい。ベントホール15は、チャンバ10内のガスがチャンバ10外に排気されることを可能にする開口である。
【0026】
図7は、左サイドパネル12の一例を示す平面図である。左サイドパネル12は、外周部14を有する。左サイドパネル12は、周長が第1の外周部よりも長い第2の外周部を有する第2のサイドパネルの一例であり、外周部14は、第2の外周部の一例である。左サイドパネル12は、丸みを帯びた多角形のシート状に形成された一枚の基布である。左サイドパネル12は、少なくとも一つのベントホール16を有してもよい。ベントホール16は、チャンバ10内のガスがチャンバ10外に排気されることを可能にする開口である。
【0027】
図8は、右センターパネル20の一例を示す平面図である。右センターパネル20は、シート状の一枚の基布であり、帯状の第1のセンターパネルの一例である。右センターパネル20は、右縁部21と、左縁部22と、一対の先端部35,36と、正面部31と、底面部32と、上面部33とを有する。
【0028】
正面部31は、チャンバ10の膨張時に乗員側に対向する部位となるパネル表面の一部である。底面部32は、チャンバ10の膨張時にエアバッグ101の底面側の部位となるパネル表面の一部である。上面部33は、チャンバ10の膨張時にエアバッグ101のウィンドシールド4側の部位となるパネル表面の一部である。
【0029】
右縁部21は、一方の先端部35から他方の先端部36まで右センターパネル20の長手方向7に延在する。右縁部21は、右センターパネル20の幅方向8の一方の側縁部である。右縁部21は、右サイドパネル11の外周部13(
図3,4,6参照)を周回するように外周部13に線状の接合部111で縫合等により接合される第1の側縁部の一例である。
【0030】
接合部111は、右センターパネル20の右縁部21と右サイドパネル11の外周部13とを接合端128から接合端127まで縫合等により接合する。つまり、右縁部21の接合端128から右縁部21の接合端127までの線状の接合部111に沿った長さは、外周部13の接合端128から外周部13の接合端127までの線状の接合部111に沿った周長に等しい。
【0031】
左縁部22は、一方の先端部35から他方の先端部36まで右センターパネル20の長手方向7に延在する。左縁部22は、右センターパネル20の幅方向8において、右縁部21とは反対側のもう一方の側縁部である。左縁部22は、左センターパネル40の右縁部42(
図2,3,9参照)に線状の接合部113で縫合等により接合される第2の側縁部の一例である。また、左縁部22の一部である直線部28は、左サイドパネル12の外周部14(
図7参照)の一部に線状の接合部114で縫合等により接合される。
【0032】
接合部113は、右センターパネル20の左縁部22と左センターパネル40の右縁部42とを第1の接合端121から第2の接合端122まで縫合等により接合する。つまり、左縁部22の接合端121から左縁部22の接合端122までの線状の接合部113に沿った長さは、右縁部42の接合端121から右縁部42の接合端122までの線状の接合部113に沿った長さに等しい。
【0033】
接合部114は、右センターパネル20の左縁部22の一部(図示の場合、直線部28)と左サイドパネル12の外周部14の一部とを接合端122から接合端125まで縫合等により接合する。つまり、左縁部22の接合端122から左縁部22の接合端125までの線状の接合部114に沿った長さは、外周部14の接合端122から外周部14の接合端125までの線状の接合部114に沿った長さに等しい。
【0034】
先端部35は、右センターパネル20の長手方向7の一方の端部である。先端部36は、右センターパネル20の長手方向7の他方の端部であり、長手方向7において先端部35とは反対側の端部である。
【0035】
図8において、正面部31は、右センターパネル20の長手方向7の中間部の一例であり、底面部32と上面部33との間に位置する。底面部32及び上面部33は、正面部31の長手方向7の両側に接続され、一方の底面部32は、正面部31から先端部35に向けて長手方向7に延伸し、上面部33は、正面部31から先端部36に向けて長手方向7に延伸する。底面部32は、インフレータ2のガス噴出部2aが挿入される取り付け口34を有する。
【0036】
正面部31は、例えば、右センターパネル20の幅方向8において底面部32又は上面部33に比べて幅広であり、正面部31の幅L21は、例えば、底面部32の幅L25よりも広く、上面部33の幅L22よりも広い。幅L25は、幅L22よりも広い。正面部31は、エアバッグ101の膨張展開時に助手席の乗員の頭部(特に、顔面)を受け止める部位である。したがって、正面部31が幅方向8において底面部32又は上面部33に比べて幅広であることにより、助手席の乗員の頭部を確実に受け止めることができる。
【0037】
正面部31における右縁部21は、例えば、底面部32及び上面部33における右縁部21に対して右方に突出する湾曲部23を有する。例えば、底面部32における右縁部21は、直線部24を有し、上面部33における右縁部21は、直線部25を有する。湾曲部23は、直線部24,25に対して右方に突出する。
【0038】
正面部31における左縁部22は、底面部32及び上面部33における左縁部22に対して左方に突出する湾曲部26を有する。例えば、底面部32における左縁部22は、直線部24に平行な直線部28を有し、上面部33における左縁部22は、直線部25に平行な直線部29を有する。正面部31における左縁部22は、例えば、直線部28に平行な直線部27を有する。湾曲部26は、直線部27,28,29に対して左方に突出する。
【0039】
図9は、左センターパネル40の一例を示す平面図である。左センターパネル40は、シート状の一枚の基布であり、帯状の第2のセンターパネルの一例である。左センターパネル40は、左縁部41と、右縁部42と、一対の先端部55,56と、正面部51と、上面部53とを有する。
【0040】
正面部51は、チャンバ10の膨張時に乗員側に対向する部位となるパネル表面の一部である。上面部53は、チャンバ10の膨張時にエアバッグ101の上面側の部位となるパネル表面の一部である。
【0041】
左縁部41は、一方の先端部55から他方の先端部56まで左センターパネル40の長手方向17に延在する。左縁部41は、左センターパネル40の幅方向18の一方の側縁部である。左縁部41は、左サイドパネル12の外周部14(
図5,7参照)を周回するように外周部14に線状の接合部112で縫合等により接合される第3の側縁部の一例である。
【0042】
接合部112は、左センターパネル40の左縁部41と左サイドパネル12の外周部14とを接合端126から接合端122まで縫合等により接合する。つまり、左縁部41の接合端126から左縁部41の接合端122までの線状の接合部112に沿った長さは、外周部14の接合端126から外周部14の接合端122までの線状の接合部112に沿った長さに等しい。
【0043】
右縁部42は、一方の先端部55から他方の先端部56まで左センターパネル40の長手方向17に延在する。右縁部42は、左センターパネル40の幅方向18において、左縁部41とは反対側のもう一方の側縁部である。右縁部42は、右センターパネル20の左縁部22(
図2,3、8参照)に線状の接合部113で縫合等により接合される第4の側縁部の一例である。
【0044】
図9において、先端部55は、左センターパネル40の長手方向17の一方の端部である。先端部56は、左センターパネル40の長手方向17の他方の端部であり、長手方向17において先端部55とは反対側の端部である。
【0045】
正面部51は、左センターパネル40の長手方向17の中間部の一例であり、一対の先端部55,56の間に位置する。上面部53は、正面部51の長手方向17の片側に接続され、上面部53は、正面部51から先端部56に向けて長手方向17に延伸する。
【0046】
正面部51における左縁部41は、上面部53における左縁部41に対して左方に突出する湾曲部43を有する。例えば、上面部53における左縁部41は、直線部45を有する。正面部51における左縁部41は、例えば、直線部44を有する。湾曲部43は、直線部44,45に対して左方に突出する。
【0047】
例えば、正面部51における右縁部42は、直線部44に平行な直線部46を有し、上面部53における右縁部42は、直線部45に平行な直線部47を有する。直線部46と直線部47は、例えば図示のように、一直線上にある。
【0048】
図8において、正面部31の左縁部22は、幅方向8で右縁部21とは反対側に突出する突出部30を有する。突出部30の輪郭は、略半円状の湾曲部26に相当する。
図9の右縁部42の直線部46は、湾曲部26に沿って線状の接合部113で接合される。
【0049】
また、
図8,9は、右センターパネル20の左縁部22と左センターパネル40の右縁部42とが接合端121から接合端122まで接合部113により接合される前の平面視(以下、平面視Aという)の図である。
図9において、長さL43は、平面視Aで、右縁部42の接合端121から右縁部42の接合端122までの左センターパネル40の長手方向成分(長手方向17の成分)の長さである。
図8において、長さL24は、平面視Aで、左縁部22の接合端121から左縁部22の接合端122までの右センターパネル20の長手方向成分(長手方向7の成分)の長さである。長さL23は、平面視Aで、左縁部22の接合端121から左縁部22の接合端125までの右センターパネル20の長手方向成分(長手方向7の成分)の長さである。長さL43は、長さL24よりも長く、長さL24は、長さL23よりも短い。
【0050】
長さL43は長さL24よりも長く且つ左縁部22は突出部30を有するので、左縁部22と右縁部42とが接合端121から接合端122まで線状の接合部113に沿って接合されることにより、左センターパネル40は、撓んだ状態で右センターパネル20に接合される。そして、左センターパネル40の左縁部41が接合される左サイドパネル12の外周部14の周長は、例えば、右センターパネル20の右縁部21が接合される右サイドパネル11の外周部13の周長よりも長い。
【0051】
左縁部22と右縁部42とが接合部113に沿って接合され、右縁部21が外周部13に接合部111に沿って接合され、左縁部41が外周部14に接合部112に沿って接合され、直線部28と外周部14の一部とが接合部114に沿って接合される。そして、最後に、先端部35と先端部36,56とが接合される。このような接合工程を経ることによって、エアバッグ101内に一つのチャンバ10を容易に形成することができる。また、エアバッグ101はこれらの複数のパネルの接合により構成されるので、エアバッグ101が膨張展開した状態で、隆起部130を所望の形状に容易に隆起させることができる。
【0052】
また、例えば、車両がオフセット衝突や斜め衝突することにより、乗員の頭部が慣性でセンターインストルメントパネル寄りに斜めに移動しても、膨張展開したエアバッグ101は、乗員の顔面を正面部31で受け止めつつ、乗員の側頭部や後頭部を隆起部130の側面で受け止めできる。センターインストルメントパネルとは、助手席の前方に位置する内装部位と運転席の前方に位置する内装部位との間の内装部位である。隆起部130の側面とは、右センターパネル20の突出部30に相当するパネル表面である。乗員の側頭部や後頭部が隆起部130の側面で受け止められることにより、例えば、乗員の頭部の回転を抑えることができる。
【0053】
<エアバッグ101の各パネルの別形態>
次に、エアバッグ101に構成される各パネルについて、上述の形態とは異なる形態例について説明する。なお、上述の各パネルと同様の構成の説明については、同一の符号を付すことで、省略又は簡略する。
【0054】
図10は、右センターパネル60の一例を示す平面図である。右センターパネル60は、シート状の一枚の基布であり、帯状の第1のセンターパネルの一例である。右センターパネル60は、正面部31と、上面部33とを有する。左縁部22は、右縁部21とは反対側に突出する突出部30を有する。
【0055】
図11は、左センターパネル80の一例を示す平面図である。左センターパネル80は、シート状の一枚の基布であり、帯状の第2のセンターパネルの一例である。左センターパネル80は、正面部51と、上面部53とを有する。
【0056】
接合部113は、右センターパネル60の左縁部22と左センターパネル80の右縁部42とを接合端121から接合端124まで縫合等により接合する。つまり、左縁部22の接合端121から左縁部22の接合端124までの線状の接合部113に沿った長さは、右縁部42の接合端121から右縁部42の接合端124までの線状の接合部113に沿った長さに等しい。
【0057】
図12は、マウスパネル90の一例を示す平面図である。マウスパネル90は、シート状の一枚の基布であり、第1のセンターパネルに少なくとも接合される第3のセンターパネルの一例である。マウスパネル90は、インフレータ2を取り付け可能な取り付け口34を有する。マウスパネル90は、
図8の右センターパネル20の底面部32に対応する基布である。
【0058】
マウスパネル90の先端部95は、右センターパネル60の先端部65と左センターパネル80の先端部57の両方に重なって線状の接合部115により縫合等により接合される。接合部115での接合時、先端部65の接合端129は、先端部95の接合点116に一致し、先端部57の接合端122は、先端部95の接合点117に一致する。
【0059】
図10,11は、右センターパネル60の左縁部22と左センターパネル80の右縁部42とが接合端121から接合端124まで接合部113により接合される前の平面視(以下、平面視Bという)の図である。
図11において、長さL43は、平面視Bで、右縁部42の接合端121から右縁部42の接合端124までの左センターパネル80の長手方向成分(長手方向17の成分)の長さである。
図10において、長さL24は、平面視Bで、左縁部22の接合端121から左縁部22の接合端124までの右センターパネル60の長手方向成分(長手方向7の成分)の長さである。長さL43は、長さL24よりも長い。
【0060】
各パネルが接合部111,112,113,115で接合される。そして、最後に、先端部35と先端部36,56とが接合される。このような接合工程を経ることによって、上記同様に、エアバッグ101内に一つのチャンバ10を容易に形成することができる。また、エアバッグ101はこれらの複数のパネルの接合により構成されるので、エアバッグ101が膨張展開した状態で、隆起部130を所望の形状に容易に隆起させることができる。また、上記同様に、例えば、乗員の側頭部や後頭部を隆起部130の側面で受け止めることができ、乗員の頭部の回転を抑えることができる。
【0061】
以上、助手席用エアバッグ及びそれを備えるエアバッグ装置を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【0062】
例えば、本実施形態のエアバッグは、運転席が前列右側に位置し、助手席が前列左側に位置する場合の助手席用エアバッグに適用されてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、隆起部130は、車幅方向の内側のサイドパネル寄りに設けられることで、センターインストルメントパネルに向かって斜め方向に移動する乗員の頭部を確実に受け止めできる。しかしながら、隆起部130は、車幅方向の外側のサイドパネル寄りに設けられてもよい。これにより、隆起部130は、Aピラーに向かって斜め方向に移動する乗員の頭部を確実に受け止めできる。
【0064】
また、本実施形態に係るエアバッグは、長さL43が長さL24よりも長い形態を有するものに限られず、長さL43が長さL24よりも短い形態を有するものでもよい。
【0065】
また、2個以上のインフレータ2によってチャンバ10を膨張させることができるように、インフレータ2を取り付け可能な取り付け口34は、2個以上あってもよい。正面部31と隆起部130とが取り付け口34から最も突出するまでの時間が異なるように、ガスの流れを規制する壁がチャンバ10内に設けられてもよい。チャンバ10へのガスの供給タイミング又は供給量(出力量)を複数のインフレータ間で異ならせることにより、例えば、正面部31と隆起部130とが取り付け口34から最も突出するまでの時間を異ならせることができる。