(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0012】
図1は、機能パネル2を設置した屋根1の一例を示している。屋根1は棟(大棟)を有するものであればよく、例えば、妻切屋根、寄棟屋根、入母屋屋根などが挙げられる。屋根1の屋根頂部3には棟包部材4が設けられている。棟包部材4は屋根1の棟を上方から包むように覆って設けられている。棟包部材4は屋根頂部3の稜線5の長手方向において屋根頂部3の略全長にわたって設けられている。ここで「略全長」とは、全長と、全長よりもわずかに短い長さとを含む概念である。
【0013】
機能パネル2は太陽エネルギーを活用するものである。機能パネル2としては、太陽熱を収集して水などの熱媒を温める太陽熱収集パネルや、太陽光の照射により発電する太陽電池パネルなどが例示される。機能パネル2は平板状に形成され、機能パネル2の機能(熱媒を温めたり発電したりする機能)が発現されるパネル本体6と、パネル本体6の周囲に設けられる枠体7とを備えて形成されている。
【0014】
図1では、複数の機能パネル2が屋根1の屋根面8に設置されている。屋根1には屋根頂部3の両側に第一の屋根面8と第二の屋根面18とが形成されている。第一の屋根面8と第二の屋根面18は傾斜面であって、それぞれ屋根頂部3から屋根1の軒に向かって下り傾斜するように形成されている。
図1においては、機能パネル2は二つの屋根面8、18のうち、一方の第一の屋根面8に設置されている。また、これに限られず、機能パネル2は二つの屋根面8、18のうち、他方の第二の屋根面18に設置されてもよいし、あるいは第一の屋根面8と第二の屋根面18の両方に設置されていてもよい。
【0015】
複数の機能パネル2は屋根頂部3の稜線5の長手方向と略平行に並んで設置されている。ここで「略平行」とは、平行と、平行よりもわずかに外れた状態とを含む概念である。また機能パネル2は棟包部材4に近接して設置されている。すなわち、機能パネル2は棟包部材4と接して設置されるか、あるいは機能パネル2は棟包部材4と接していなくてもわずかな隙間を介して設置されている。このように機能パネル2は棟包部材4に近接して設けられ、屋根1の軒側の方に大きく突出しないようにして設けられている。従って、機能パネル2よりも軒側において、屋根面8に機能パネル2が設置されていない広い空きスペースが確保され、この空きスペースを有効に利用することが可能となる。例えば、機能パネル2として太陽熱収集パネルが用いられる場合は、機能パネル2よりも軒側の空きスペースに太陽熱収集パネルとは異なる他の機能パネル(太陽電池パネルなど)を設置することが可能となる。また空きスペースおける屋根面8が太陽電池付きの屋根材9で形成される場合は、空きスペースにおいて発電が可能となる。尚、屋根材9は太陽電池付きのものだけでなく、通常の瓦や窯業系材料で形成される平板状の屋根材などが使用可能である。
【0016】
図2には、屋根頂部3の一部の平面図が示されている。屋根頂部3には複数の棟包部材4が設けられている。複数の棟包部材4の少なくとも一部は、換気機能を有する換気棟包部材10で形成され、棟包部材4の少なくとも一部は、換気機能を有さない非換気棟包部材11で形成されている。
図2においては、換気棟包部材10の長手方向の両側に隣接して非換気棟包部材11が設けられている。屋根1の棟は、換気棟包部材10の箇所で換気可能な換気棟として形成されている。
【0017】
棟包部材4には複数の固定部材12
(第一の固定部材12)が設けられており、この
第一の固定部材12により機能パネル2の棟側端部が棟包部材4に固定されている。機能パネル2の棟側端部は、屋根面8に設置された機能パネル2において、屋根1の傾斜方向で上端部となる端部である。換気棟包部材10には、ベース部材13と第一の固定具14とからなる
第一の固定部材12が設けられている。非換気棟包部材11には、第二の固定具15からなる固定部材
(第二の固定部材)が設けられている。第一の固定具14と第二の固定具15は同一のものが用いられる。
【0018】
図3は、屋根1の棟部分の一部の斜視図が示されている。棟木16には複数の垂木17の上端部が載置されて固定されている。複数の垂木17は棟木16の長手方向に沿って所定の間隔を介して並んで配置されている。また各垂木17は棟木16の両側(棟木16の長手方向に直交する方向)に斜め下方に突出するように設けられている。垂木17の上には野地板などの屋根下地19が設けられている。屋根下地19の上面は棟木16の両側において斜め下方に傾斜するように形成されている。屋根下地19の上面には多数の屋根材9が設けられている。これら多数の屋根材9の上面により第一の屋根面8と第二の屋根面18が形成されている。第一の屋根面8と第二の屋根面18の交差部分が屋根1の棟20として形成されている。第一の屋根面8と第二の屋根面18は棟20を挟んで屋根1の軒側に向かって傾斜するように形成されている。従って、棟20は略山型に形成されている。
【0019】
棟20には通気路21が形成されている。通気路21は棟20の長手方向と略平行に長く形成されている。また通気路21は第一の屋根面8と第二の屋根面18とに跨がるように形成されている。通気路21は棟20の箇所で屋根下地19を貫通して形成されている。従って、通気路21の上端は第一の屋根面8と第二の屋根面18とに開口して形成され、通気路21の下端は屋根下地19の下面(屋根裏の面)に開口して形成されている。また棟20には水切り部材22が設けられている。水切り部材22は金属薄板などの成形品であって、通気路21の上端の開口にほぼ沿うように四角枠状に形成されている。水切り部材22は通気路21の上端の開口からの雨水の侵入を低減するものである。
【0020】
また棟20を挟む第一の屋根面8と第二の屋根面18には笠木23が設けられている。笠木23は木製角材や樹脂製角材などで形成され、棟20の長手方向(屋根頂部3の稜線5の長手方向と同じ)と略平行に長く形成されている。笠木23は棟20の近傍位置に設けられている。また笠木23は、棟20の長手方向において、通気路21の上端の開口を除いて設けられている。
【0021】
そして、
図4のように、棟包部材4は棟20を跨ぐように第一の屋根面8と第二の屋根面18とにわたって配置され、第一の屋根面8と第二の屋根面18とに固定される。棟20は棟包部材4により上方から覆われる。また棟包部材4により屋根頂部3が形成される。ここで、棟包部材4のうち、換気棟包部材10は通気路21の上方に設けられ、非換気棟包部材11は笠木23の上方に設けられる。従って、
図4のものでは、屋根頂部3の稜線5の長手方向において、換気棟包部材10の両側に非換気棟包部材11が隣接して設けられている。このようにして換気棟により換気機能を有する屋根1が形成される。換気棟包部材10にはベース部材13と第一の固定具14とからなる複数の
第一の固定部材12が設けられる。また非換気棟包部材11には、第二の固定具15からなる複数の
第二の固定部材が設けられている。
第一の固定部材12は稜線5の長手方向に沿って所定の間隔を介して並べて設けられている。
【0022】
図5は、換気棟包部材10が設けられた箇所における屋根1の一部の断面図である。換気棟包部材10は金属薄板などを曲げ加工するなどして形成される成形品であって、上部材24と第一の下部材25と第二の下部材26とを一体化して形成されている。上部材24は幅方向(棟20の長手方向と直交する水平方向)の中央部が上方に突出するように屈曲されており、上部材24は断面略山型に形成されている。略山型の上部材24の頂部により稜線5が形成されている。上部材24の幅方向の両端部のうち、第一の屋根面8側の端部には第一の側壁部27が設けられている。第一の側壁部27は上部材24の裏面側に突出して形成されている。上部材24の幅方向の両端部のうち、第二の屋根面18側の端部には第二の側壁部28が設けられている。第二の側壁部28は上部材24の裏面側に突出して形成されている。第一の側壁部27と第二の側壁部28には換気口29が設けられている。換気口29は換気棟包部材10の長手方向に所定の間隔を介して複数個設けられている。第一の下部材25は上部材24の稜線5よりも第一の屋根面8側の下方に配置されている。第一の下部材25には第一の側壁部27よりも外側に突出する第一の固定片30が設けられている。第二の下部材26は上部材24の稜線5よりも第二の屋根面18側の下方に配置されている。第二の下部材26には第二の側壁部28よりも外側に突出する第二の固定片31が設けられている。上部材24と第一の下部材25の間及び上部材24と第二の下部材26の間には通気空間32が設けられている。通気空間32は上部材24の幅方向の中央部の下方と換気口29とに連通している。上部材24の下面及び第一の下部材25の上面及び第二の下部材26の上面には複数の邪魔板33が突出して設けられている。この邪魔板33により通気空間32がジグザグに形成されている。
【0023】
第一の下部材25は棟20に近接して第一の屋根面8の上面に載置され、第一の固定片30がビス等の固定手段で屋根材9や屋根下地19に固定される。また第二の下部材26が棟20に近接して第二の屋根面18の上面に載置され、第二の固定片31がビス等の固定手段で屋根材9や屋根下地19に固定される。このようにして換気棟包部材10が棟20を跨ぐようにして屋根1に設けられる。そして、通気路21と通気空間32と換気口29とを通じて屋内(屋根裏空間)と屋外との間で空気が出入りすることにより、屋内の換気が行われる。ここで、通気空間32は邪魔板33によりジグザグに形成されているので、換気口29から吹き込んだ雨水が通気路21にまで到達しにくくなっている。
【0024】
図6は、ベース部材13と第一の固定具14とからなる
第一の固定部材12が示されている。ベース部材13は帯状の金属薄板などを曲げ加工するなどして形成される成形品であって、短尺の帯状体で形成されている。ベース部材13は換気棟包部材10に被冠される被冠部34と、棟20を挟んで位置する二つの屋根面8、18に固定される一対の屋根面固定部35、42とを有している。被冠部34の断面形状は換気棟包部材10の上部材24の断面形状と略同一に形成されている。従って、被冠部34は、換気棟包部材10の外形に沿うように略山型に形成されている。被冠部34は上片部36とその両端に設けられた第一の側片37と第二の側片38とで形成されている。上片部36の長手方向の略中央部には上方に突出する屈曲部39が形成されている。上片部36の上面は屈曲部39から両側端に向かって下り傾斜するように形成されている。上片部36の上面の傾斜角度は屈曲部39で上片部36の折り曲げ度合いにより調整可能に形成されている。後述のように、機能パネル2が屋根下地19と略平行となって設置されるように、ベース部材13の頂部(屈曲部39)が形成されている。上片部36には屈曲部39を挟む両側の位置に第一の固定孔40と第二の固定孔41が設けられている。第一の側片37と第二の側片38は上片部36の裏面側に略垂直に突出して形成されている。第一の側片37の下端には第一の屋根面固定部35が外側に突出するように形成されている。第二の側片38の下端には第二の屋根面固定部42が外側に突出するように形成されている。
【0025】
第一の固定具14は金属成形品等で形成され、断面略下向きコ字状の本体部43と結合片44とを備えている。本体部43の一端には内側に突出する押さえ部45が設けられている。本体部43の他端には結合片44が外側に突出して形成されている。結合片44には厚み方向に貫通する固着孔46が設けられている。
【0026】
そして、
図5のように、被冠部34が換気棟包部材10に被冠されることにより、ベース部材13が換気棟包部材10の上に設けられる。また第一の屋根面固定部35が第一の屋根面8に載置され、ビス等の固定手段47で屋根材9や屋根下地19に固定される。また第二の屋根面固定部42が第二の屋根面18に載置され、ビス等の固定手段48で屋根材9や屋根下地19に固定される。ここで、換気棟包部材10の換気口29が第一の側片37や第二の側片38で閉塞されにくいように、換気棟包部材10に対するベース部材13の取り付け位置が調整される。これにより、換気棟包部材10の換気機能を妨げにくくなる。
【0027】
第一の固定具14は屈曲部39よりも第一の屋根面8側において被冠部34の上に設けられる。この場合、結合片44の固着孔46とベース部材13の第一の固定孔40とを位置合わせし、固着孔46と第一の固定孔40に設けたボルト及びナットなどの締結具98で結合片44と被冠部34とが結合される。尚、第二の屋根面18に機能パネル2を設置する場合は、第一の固定具14は屈曲部39よりも第二の屋根面18側に取り付けられ、第二の固定孔41を利用して第一の固定具14は被冠部34の上に設けられる。
【0028】
そして、機能パネル2はその棟側端部(上端部)が第一の固定具14により固定される。すなわち、機能パネル2の棟側端面において枠体7の外面には係止突起部49が設けられており、この係止突起部49が押さえ部45と被冠部34の間で挟持される。また機能パネル2の棟側端部が第一の屋根面8側の被冠部34の上面に載置される。このようにして機能パネル2の棟側端部が
第一の固定部材12を介して換気棟包部材10に近接して設けられる。ここで、機能パネル2の下面は屋根下地19の上面と平行になることが好ましい。従って、屈曲部39で上片部36の上面の傾斜角度を調整することにより、上片部36の上面に載置される機能パネル2の傾斜角度を調整し、機能パネル2の下面と屋根下地19の上面とが平行になるようにする。
【0029】
図7は、非換気棟包部材11が設けられた箇所における屋根1の一部の断面図である。非換気棟包部材11は金属薄板などを曲げ加工するなどして形成される成形品であって、上板部50と一対の側板部51,52と一対の取付部53,54とを備えて形成されている。上板部50は幅方向(棟20の長手方向と直交する水平方向)の中央部が上方に突出するように屈曲されており、上板部50は断面略山型に形成されている。略山型の上板部50の頂部により稜線5が形成されている。上板部50の幅方向の両端部のうち、第一の屋根面8側の端部には第一の側板部51が設けられている。第一の側板部51は上板部50の裏面側に突出して形成されている。上板部50の幅方向の両端部のうち、第二の屋根面18側の端部には第二の側板部52が設けられている。第二の側板部52は上板部50の裏面側に突出して形成されている。第一の側板部51の下端には外側に突出する第一の取付部53が設けられている。第二の側板部52の下端には外側に突出する第二の取付部54が設けられている。
【0030】
そして、上板部50の下面が笠木23の上面に載置され、側板部51,52で笠木23の外側面が覆われ、第一の取付部53が第一の屋根面8の上面に載置され、第二の取付部54が第二の屋根面18の上面に載置され、第一の取付部53がビス等の固定手段で屋根材9や屋根下地19に固定され、第二の取付部54がビス等の固定手段で屋根材9や屋根下地19に固定される。このようにして非換気棟包部材11が棟20を跨いで屋根1に設けられる。上板部50や側板部51、52がビス等の固定手段で固定されてもよい。
【0031】
第二の固定具15は第一の固定具14と同様に形成されている。第二の固定具15は非換気棟包部材11の頂部(稜線5)よりも第一の屋根面8側において上板部50の上に設けられる。この場合、結合片44の固着孔46からビス等の固定手段95を上板部50及び笠木23にまでねじ込んだり打ち込んだりする。このようにして第二の固定具15は非換気棟包部材11の上に固定される。尚、第二の屋根面18に機能パネル2を設置する場合は、第二の固定具15は非換気棟包部材11の頂部(稜線5)よりも第二の屋根面18側に取り付けられる。
【0032】
そして、機能パネル2はその棟側端部(上端部)が第二の固定具15により固定される。すなわち、機能パネル2の棟側端面において枠体7の外面には係止突起部49が設けられており、この係止突起部49が押さえ部45と上板部50の間で挟持される。また機能パネル2の棟側端部が第一の屋根面8側の上板部50の上面に載置される。このようにして機能パネル2の棟側端部が
第二の固定部材(第二の固定具15)を介して非換気棟包部材11に近接して設けられる。
【0033】
図8A、
図8B及び
図8Cは、ベース部材13の変形例である他のベース部材55を示している。尚、ベース部材13とベース部材55の共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】
ベース部材55の上片部36の長さ寸法(屈曲部39の長手方向と同じ方向の寸法)はベース部材13の上片部36の長さ寸法よりも大きく形成されている。ベース部材55の頂部の屈曲部39には頂部に沿ってスリット56が設けられている。スリット56は屈曲部39の長手方向と平行に長く形成されている。このスリット56により上片部36は屈曲部39の箇所で屈曲しやすくなり、上片部36の上面の傾斜角度の調整が行い易くなる。また、上片部36には複数のリブ57が設けられている。リブ57は屈曲部39の片側に設けられている。またリブ57は上片部36の裏面に突出して形成され、上片部36の傾斜方向に長く形成されている。このリブ57により上片部36が補強され、機能パネル2を載置しても変形等が起こりにくくなる。さらに、第一の側片37や第二の側片38には通気開口58が設けられている。通気開口58は第一の側片37や第二の側片38を厚み方向で貫通するように形成されている。また通気開口58は横方向に長く形成されている。このような通気開口58を設けることにより、換気口29が第一の側片37や第二の側片38で閉塞されにくくなり、換気棟包部材10の換気性能が低下しにくくなる。尚、符号59は固定手段48を差し込むための孔部である。
【0035】
図9A、
図9Bは、ベース部材13の変形例である他のベース部材60を示している。尚、ベース部材13及びベース部材55とベース部材60との共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
ベース部材60の上片部36の長さ寸法(屈曲部39の長手方向と同じ方向の寸法)はベース部材13の上片部36の長さ寸法よりも大きく形成されている。ベース部材60の頂部の屈曲部39はヒンジのように形成されている。上片部36は第一の板材61と第二の板材62とで形成されている。第一の板材61の屈曲部39側の端部には断面略円形の軸部63が設けられている。第二の板材62の屈曲部39側の端部には断面略C字状の摺動部64が設けられている。そして、摺動部64の内側に軸部63を嵌めこむことにより、軸部63と摺動部64とが互いに摺動可能なように連結される。そして、このヒンジと同様に形成される屈曲部39により上片部36は屈曲部39の箇所で屈曲しやすくなり、上片部36の上面の傾斜角度の調整が行い易くなる。
【0037】
機能パネル2の固定強度を確保するためには、ベース部材13は相応の厚みが必要となるが、その分、現場において屋根勾配に応じてベース部材13の頂部の屈曲部39の角度を調整することが困難となる。そのため、屋根勾配毎にベース部材13を用意することも考えられるが、製造や管理が煩雑となる。そこで、上述のベース部材55及び60のように屋根勾配に応じて、ベース部材55及び60の頂部の屈曲部39の角度を可変とすることで、機能パネル2の固定強度を十分に確保した上で、種々の屋根勾配に対応することができるものである。
【0038】
図10は、ベース部材13の変形例である他のベース部材65を示している。尚、ベース部材13及びベース部材55とベース部材65との共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
ベース部材65の上片部36の長さ寸法(屈曲部39の長手方向と同じ方向の寸法)はベース部材13の長さ寸法よりも大きく形成されている。すなわち、ベース部材65は棟20の長手方向に沿う方向に長い長尺体に形成されている。このようにベース部材65を長尺体に形成することにより、機能パネル2の棟側端部が載置されるベース部材65の長さを長くすることができ、機能パネル2を強固に支持することができる。また、複数個の通気開口58がベース部材65の長手方向に沿って並べて設けられている。これにより、換気口29が第一の側片37や第二の側片38で閉塞されにくくなり、換気棟包部材10の換気性能が低下しにくくなる。
【0040】
図11は、
図7に示す機能パネル2の設置構造の変形例を示している。尚、
図11において、
図7と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図11は、第二の固定具と非換気棟包部材11の上面との間にスペーサ67が設けられている。スペーサ67は、
図12のように、台座部68と、台座部68の両側に突出する支持片69とを備えて形成されている。台座部68の上面は先端に向かって下り傾斜するように形成されている。また、台座部68の後部には締結孔70が設けられている。そして、
図11のように、スペーサ67は支持片69をビスなどの固定手段71で上板部50の第一の屋根面8側の上面に固定されている。なお、支持片69には、予め固定手段71のための孔を設けていてもよい。機能パネル2の棟側端部は台座部68の先端側の上面に載置されている。また第二の固定具15は結合片44の固着孔46とスペーサ67の締結孔70とを位置合わせし、固着孔46と締結孔70に設けたボルト及びナットなどの締結具72で結合片44と台座部68とが結合される。このようにして第二の固定具15はスペーサ67に固定されている。なお、
図7の場合と同様に、ビス等の固定手段95により、第二の固定具15とスペーサ67とを同時に固定してもよい。
【0042】
そして、機能パネル2の棟側端面において枠体7の外面には係止突起部49が設けられており、この係止突起部49が押さえ部45と台座部68の間で挟持される。また機能パネル2の棟側端部が台座部68の上面に載置される。このようにして機能パネル2の棟側端部が
第二の固定部材
(第二の固定具15)を介して非換気棟包部材11に近接して設けられる。
【0043】
このようにスペーサ67を用いた場合は、機能パネル2の棟側端部が台座部68の上面の傾斜によって角度調整される。従って、機能パネル2が屋根下地19と略平行となるように、機能パネル2を角度調整して設置することができる。
【0044】
図13には、第一の屋根面8と第二の屋根面18の両方に機能パネル2を設置した例を示す。この場合、
第一の固定部材12としては、ベース部材13と第一の固定具14とが用いられる。この場合、被冠部34が非換気棟包部材11に被冠されることにより、ベース部材13が非換気棟包部材11の上に設けられる。また、被冠部34の第一の屋根面8側と第二の屋根面18側の両方に第一の固定具14が固定手段77で固定されて設けられる。そして、上記と同様にして、機能パネル2の棟側端面において枠体7の外面の係止突起部49が押さえ部45と被冠部34の間で挟持される。また一方の機能パネル2の棟側端部が第一の屋根面8側の被冠部34の上面に載置され、他方の機能パネル2の棟側端部が第二の屋根面18側の被冠部34の上面に載置される。このようにして二つの機能パネル2の棟側端部が
第一の固定部材12を介して非換気棟包部材11に近接して設けられる。
【0045】
第一の屋根面8と第二の屋根面18の両方に機能パネル2を設置する場合は、機能パネル2を強固に固定するため、棟20の非換気部分であってもベース部材13を用いて施工するのが好ましい。また、屋根頂部3を挟んで対向する機能パネル2の間の空間は、機能パネル2に用いる熱媒を流通させる配管や、機能パネル2に給電したり機能パネル2から送電したりするための配線を配設するための配置スペースとして用いることができる。
【0046】
以上で説明した機能パネル2の設置構造は、太陽エネルギーを活用する機能パネルを屋根1に設置する構造であって、機能パネル2は、屋根1の棟20を挟んで傾斜した二つの屋根面8,18のうちの少なくとも一方の屋根面8に設置され、棟20を包む棟包部材4に
第一の固定部材12が設けられ、機能パネル2の棟側端部が
第一の固定部材12に固定されて機能パネル2が棟包部材4に近接して設けられていることを特徴とする。この場合、新規及び既存の屋根1に設けられた棟包部材4を利用して機能パネル2を設置することができ、新規及び既存の屋根1に適用可能である。また機能パネル2よりも軒側において屋根面8に広いスペースを確保して利用することができ、屋根面8の利用面積が低減しにくいものである。
【0047】
また上記の機能パネル2の設置構造において、棟包部材4の少なくとも一部は換気棟包部材10であり、
第一の固定部材12はベース部材13と第一の固定具14とを備え、ベース部材13は棟20を挟んで二つの屋根面8,18に固定される一対の屋根面固定部35、42と、換気棟包部材10にその換気機能を妨げることなく被冠される被冠部34とを有し、第一の固定具14は被冠部34の上に設けられ、機能パネル2は第一の固定具14により固定されていることが好ましい。この場合、屋根1の換気機能を有する箇所においても、
第一の固定部材12により機能パネル2を設置することができ、しかも、屋根1の換気機能も低下しにくいものである。
【0048】
また上記の機能パネル2の設置構造において、ベース部材13は帯状体に形成され、複数のベース部材13が棟20の長手方向に沿って並べて設けられていることが好ましい。この場合、換気棟包部材10の換気する部分(換気口29)がベース部材13で閉塞されにくくなって、屋根1の換気機能が低下しにくいものである。
【0049】
また上記の機能パネル2の設置構造において、ベース部材65は棟20の長手方向に沿う長尺体に形成され、換気棟包部材10の換気口29に対応する通気開口58を有していることが好ましい。この場合、通気開口58により換気口29が塞がれにくくなって、屋根1の換気機能が低下しにくいものである。
【0050】
また上記の機能パネル2の設置構造において、換気棟包部材10は略山型に形成され、ベース部材(13、55、60、65)は換気棟包部材10の外形に沿うように略山型に形成され、機能パネル2が屋根下地19と略平行となるように、ベース部材(13、55、60、65)の頂部は屋根1の勾配に対応して角度調整可能に形成されていることが好ましい。この場合、機能パネル2が屋根下地19と略平行となるように、ベース部材(13、55、60、65)で機能パネル2の傾斜角度を調整することができ、機能パネル2を安定して強固に設置することができる。
【0051】
また上記の機能パネル2の設置構造において、ベース部材55の頂部にはスリット56が設けられていることが好ましい。この場合、ベース部材55の頂部において、ベース部材55が曲げやすくなって、ベース部材55の角度調整を容易に行うことができる。
【0052】
また上記の機能パネル2の設置構造において、ベース部材60の頂部には、軸部63と、この軸部63に対して摺動する摺動部64とを備えていることが好ましい。この場合、ベース部材60の頂部において、ベース部材60が曲げやすくなって、ベース部材60の角度調整を容易に行うことができる。
【0053】
また上記の機能パネル2の設置構造において、棟包部材4の少なくとも一部は非換気棟包部材11であり、
第二の固定部材は第二の固定具15を備え、第二の固定具15は非換気棟包部材11の上に設けられ、機能パネル2は第二の固定具15により固定されていることが好ましい。この場合、ベース部材を用いなくても、機能パネル2を第二の固定具15により固定することができ、施工の手間を低減することができる。
【0054】
また上記の機能パネル2の設置構造において、機能パネル2が屋根下地19と略平行となるように、第二の固定具15がスペーサ67により角度調整されて設けられることが好ましい。この場合、スペーサ67で機能パネル2の傾斜角度を調整することができ、機能パネル2を安定して強固に設置することができる。