(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は、ケーブルが収納された収納部材の一例を示す斜視図である。
[収納部材]
本発明は、各種収納部材の被覆構造体に関するものであり、特に各種ケーブル等を収納する収納部材(1)(「ケーブル収納部材」ともいう。)に好ましく適用できるものである。本発明のケーブル収納部材は、ケーブル(6)が収納・取り出し可能な構造であり、上部開口部(1a)を有する長尺体であれば特に限定されない。例えば、
図1に示すような、横断面形状が底面と少なくとも2つ以上の側面からなる凹型の他、断面形状が半円状、V字状、U字状、等のものが挙げられる。その材質は、鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、等が使用できる。
【0017】
[熱発泡性樹脂シート]
本発明の熱発泡性樹脂シート(2)は、火災等により周囲温度が所定の発泡温度に達すると発泡し、炭化断熱層を形成するものである。熱発泡性樹脂シート(2)としては、構成成分として樹脂成分、難燃剤、発泡剤、炭化剤及び充填剤を含有するものが好適である。このうち、樹脂成分としてはビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂等、難燃剤としてはポリリン酸アンモニウム等、発泡剤としてはメラミン、ジシアンジアミド、アゾジカーボンアミド等、炭化剤としてはペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等、充填剤としては二酸化チタン等が挙げられる。
【0018】
各成分の配合比率は、好ましくは、固形分換算で、樹脂成分100重量部に対して、難燃剤50〜1000重量部、発泡剤5〜500重量部、炭化剤5〜600重量部、及び充填剤10〜300重量部である。熱発泡性樹脂シート(2)の厚みは、適用部位等により適宜設定すれば良いが、好ましくは0.2〜10mm程度、より好ましく0.5〜6mm程度である。
【0019】
また、本発明の熱発泡性樹脂シート(2)は、上記構成成分を含むシートのみから構成されていてもよいが、少なくとも一方の面に繊維質シートが積層されていることが好ましい。これにより、形成された炭化断熱層の脱落防止効果を高めることができる。
【0020】
このような繊維質シートとしては、有機繊維、及び/または無機繊維等を含むシートが挙げられ、好ましくは目付け100g/m
2未満(より好ましくは5g/m
2以上95g/m
2以下、さらに好ましくは10g/m
2以上90g/m
2以下)である。
【0021】
有機繊維としては、例えば、パルプ繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、塩化ビニル繊維、セルロース繊維等、またはそれらの織布、不織布等が挙げられる。有機繊維は、150℃程度の温度領域で溶融して液体状態になるようなものであってもよいが、かかる温度領域で溶融しないものの方が好ましい。
【0022】
無機繊維としては、例えば、ロックウール、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ−アルミナ繊維、カーボン繊維、炭化珪素繊維等、またはそれらの織布、不織布等、さらに鉄、銅等の金属細線が挙げられる。このような無機繊維は、熱を加えても溶融せず、さらに補強材としても作用し、発泡した炭化断熱層を保持できるので、収納部材(1)からの脱落防止効果に優れている。特に無機繊維が網目構造を有していれば、熱発泡性樹脂シート(2)及びこれに熱を加えることにより形成される炭化断熱層をより効率よく補強することができ、収納部材(1)からの脱落を防止することができるので好ましい。
【0023】
繊維質シートは、無機繊維と有機繊維からなる複合シートであって、該無機繊維が網目状に配列されたシートであり、その少なくとも一方(一面)に有機繊維の織布又は不織布が積層され、無機繊維の網目の一部又は全部が有機繊維で塞がれているようなものが好ましい。無機繊維と有機繊維を組み合わせることにより、熱による溶融成分が吸着され、継ぎ目部分の剥れ等を防止することができる。また、網目を有機繊維で塞いでいれば、熱発泡性樹脂シート(2)製造時に無機繊維の網目構造が崩れにくく、簡便に製造することができる。
【0024】
図2は、本発明の被覆構造体の一例を示す斜視図である。また、
図3は、本発明の被覆構造体の一例を示す横断面図である。
面図を示す。
【0025】
本発明の被覆構造体は、収納部材(1)外周面の長手方向に複数の熱発泡性樹脂シート(2)を設けることができる。該熱発泡性樹脂シート(2)同士の継ぎ目部分は、つき合わせても、重なり部を有していてもよいが、重なり部を有する方が好ましい。また、熱発泡性樹脂シート(2)は、所望の耐熱保護性に合わせて、2枚以上重ねて被覆してもよい。
【0026】
本発明は、
図2、
図3に示すように、収納部材の開口部(1a)において当該熱発泡性樹脂シート(2)の端部が収納部材内側に折り返され、折り返し部(2a)を形成している。折り返し部の長さ(2L)(収納部材の端部から熱発泡性樹脂シート(2)の端部までの長さ)は、収納部材の形状により適宜設定すればよいが、好ましくは20mm以上(より好ましくは30mm以上)である。このような範囲であることによって、火災等により収納部材が高温に晒された場合であっても、優れた耐熱保護性を有することができる。一般に、収納部材では、内部に収納されるケーブル等により熱が伝わり収納部材内部の温度が外部よりも先に上昇する場合がある。このような場合、熱発泡性樹脂シート(2)や後述の接着剤(3)が軟化するおそれがあり、場合によっては熱発泡性樹脂シート(2)が脱落する危険性がある。これに対して、本発明の被覆構造体のように、熱発泡性樹脂シートの端部が収納部材内側に折り返されている折り返し部(2a)を有することにより、収納部材内部の温度が外部よりも先に上昇した場合においても、熱発泡性樹脂シート(2)の脱落を防止することができ、耐熱保護性をいっそう高めることができる。また、収納部材外周面に沿って、熱発泡性樹脂シートを施工できるため、すっきりとした仕上がりとなり、美観性にすぐれた被覆構造体を得ることができる。また、施工性においても好適である。
【0027】
本発明では、収納部材(1)の表面に熱発泡性樹脂シート(2)を被覆する場合、接着剤(3)を用いることが好ましい。接着剤(3)を用いる場合、少なくとも収納部材内側に折り返された熱発泡性樹脂シートが、接着剤で固定されていればよく(
図3−1)、必要に応じ、収納部材外周面の任意の場所が接着剤で固定されてもよい。また、収納部材外周面全体が接着剤で固定されている態様も好適である(
図3−2)。
【0028】
本発明における接着剤(3)としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、パラフィン等を主原料とした水分散型、水溶性型、溶剤型の接着剤等、公知のものを使用することができる。接着剤には、必要に応じて、上述した熱発泡性樹脂シートに配合されるような難燃剤、発泡剤、炭化剤、充填剤、等を添加することもできる。なお、本発明において、接着剤には粘着剤も包含される。
【0029】
本発明の被覆構造体の施工方法としては、上記被覆構造体が得られる限り、特に限定されない。接着剤を用いて被覆する場合、
・収納部材(1)に接着剤を塗付し、熱発泡性樹脂シート(2)を貼着させる方法、
・予め熱発泡性樹脂シート(2)片方の面に接着剤を塗付したものを使用し、収納部材(1)に貼着させる方法、
・あるいは上記2つの方法を組み合わせて貼着させる方法、
等が挙げられる。なお、接着剤は、少なくとも収納部材内側の折り返し部(2a)における熱発泡性樹脂シート(2)が固定されるように塗付しておけばよい。
【0030】
さらに、本発明では、
図4のように、収納部材(1)と熱発泡性樹脂シート(2)の間に断熱層(4)を設けることができる。断熱層(4)を設けることにより、よりいっそう本発明の効果を高めることができる。本発明における断熱層(4)としては、例えば、空気層(4a)及び/または断熱材層(4b)が挙げられる。また、断熱層(4)の厚さは、所望の性能により適宜設定すればよい。
【0031】
空気層(4a)を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、
・収納部材(1)の外周面にスペーサー(7)等を取り付けた後、熱発泡性樹脂シート(2)を被覆する方法(
図5−1)、
・収納部材(1)の断面外周及び折り返し部の長さに対して、余剰の熱発泡樹脂シート(2)を用い、空気層(4a)が形成されるように被覆する方法(
図5−2)、
等が挙げられる。なお、スペーサー(7)の形状は、空気層(4a)を設けることが可能であれば特に限定されない。また、その材質は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミナ、チタン、銅等の金属が好ましい。本発明においてスペーサー(7)は、収納部材(1)の外周面の任意の箇所に設ければよいが、収納部材(1)の外周面を囲うように設けることもできる。このようなスペーサー(7)を設けることにより、耐熱保護性を高めるこができる。
【0032】
また、断熱材層(4b)を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、
・収納部材(1)の外周面に断熱材を被覆した後、熱発泡性樹脂シート(2)を被覆する方法、
等が挙げられる。
【0033】
断熱材としては、例えば、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡系断熱材、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー等の繊維系断熱材等の公知の材料が使用でき、これらを収納部材(1)の外周面の少なくとも一部に被覆すればよい。これらの断熱材の被覆方法としては、乾式法あるいは湿式法のどちらでもよく、公知の方法で行えばよい。
【0034】
断熱層(4)を設ける場合も、上記接着剤(3)を用いて熱発泡性樹脂シート(2)を被覆することが好ましい。接着剤(3)を用いる場合、少なくとも収納部材の内側に折り返された部分の熱発泡性樹脂シートが、接着剤で固定されていればよい(
図4、
図5)。また、必要に応じ、収納部材外周面、断熱材層(4b)、あるいはスペーサー等の任意の場所が接着剤で固定されてもよく、断熱材層(4b)の場合、外周面全体が接着剤(3)で固定されていてもよい。
【0035】
断熱層(4)を設けた本発明の被覆構造体は、被覆方法に応じて熱発泡性樹脂シート(2)を発泡させる方向を設定することができる。熱発泡性樹脂シート(2)の発泡方向としては、収納部材(1)に対して、外側方向と内側方向がある。
【0036】
熱発泡性樹脂シート(2)の発泡方向が外側の場合、断熱層(4)としては空気層(4a)及び/または断熱材層(4b)が使用できる。具体的な被覆方法としては、例えば、
・断熱層(4)が空気層(4a)の場合は、収納部材(1)の外周面にスペーサー(7)等を取り付け、熱発泡性樹脂シート(2)をスペーサー(7)に接着剤等によりに固定させる方法、
・断熱層(4)が断熱材層(4b)の場合は、熱発泡性樹脂シート(2)を接着剤等により断熱材層(4b)に固定させる方法、
等が挙げられる。さらに、熱発泡性樹脂シート(2)として繊維質シートが積層されたものを使用する場合は、繊維質シートが断熱層側(収納部材側)となるように被覆することが好ましい。
【0037】
これに対して、熱発泡性樹脂シート(2)の発泡方向が内側の場合は、断熱層(4)として空気層(4a)を設け、好ましくは
図5−2のように収納部材(1)の断面外周の長さに対して余剰の熱発泡性樹脂シート(2)を用い、空気層(4a)を形成する。具体的な被覆方法としては、例えば、
・熱発泡性樹脂シート(2)として繊維質シートが積層されたものを使用し、繊維質シートが外側となるように被覆する方法、
・熱発泡性樹脂シート(2)の外周面を無機繊維質シート(8)で覆う方法、
・熱発泡性樹脂シート(2)として繊維質シートが積層されたものを使用し、繊維質シートが外側となるように被覆し、さらにその外周面を無機繊維質シート(8)で覆う方法(
図6)、
等が挙げられる。特に、上記無機繊維質シート(8)で覆うことにより、安定した発泡性を得ることができる。なお、無機繊維質シート(8)で覆う場合、少なくとも無機繊維質シート(8)の端部が接着剤、固定具(タッカー、ステープラ等)等(以下「接着剤等」ともいう。)で固定されていればよい。
【0038】
上記無機繊維質シート(8)としては、不燃性を有するものが好ましい。上記無機繊維質シート(8)の目付けは、好ましくは100g/m
2以上2000g/m
2以下(より好ましくは200g/m
2以上1500g/m
2以下)である。このような範囲であることにより、高い遮炎性を発揮するとともに、高温下に晒された場合でも、形状保持性に優れ、かつ高い強度を保持することができる。また、熱発泡性樹脂シート(2)が均一な厚みの炭化断熱層を形成することができる。その作用機構は明らかではないが、火災時等の高温下に晒された場合、優れた強度を有する上記無機繊維質シート(8)は熱発泡性樹脂シート(2)の基材として作用するため、熱発泡性樹脂シート(2)が内側方向に均一に発泡し炭化断熱層を形成することができると推察される。
【0039】
上記無機繊維質シート(8)に使用される無機繊維としては、特に限定されないが、例えば、ロックウール、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ−アルミナ繊維、カーボン繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、等が挙げられる。これらは2種以上組み合わせて使用することもできる。このような無機繊維は、優れた耐熱性を有し、高温下でも溶融しにくいため、本発明の効果を発揮することができる。また、本発明では、必要に応じて、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂により処理された無機繊維を使用することもできる。
【0040】
上記無機繊維質シート(8)の態様としては、上記範囲を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、織物、不織布、組布、等いずれの態様であってもよい。また、これらは2種以上組み合わせて使用することもできる。その中でも特に、本発明では、織物を使用することが好ましい。これにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。
【0041】
なお、本発明において、織物とは、無機繊維束を撚りなどで拘束した繊維糸群により形成されるものであり、たて糸とよこ糸がほぼ直角に上下交錯することにより構成されるものである。その構造としては、平織り、綾織り、朱子織り、たて二重織り、よこ二重織り、たてよこ二重織り、パイル織り、絡み織り、紋織り等が挙げられる。
【0042】
また、上記無機繊維質シート(8)は、耐熱温度が500℃以上(より好ましくは700℃以上)であることが好ましい。このような無機繊維質シートとしては、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ−アルミナ繊維、ステンレス鋼繊維、等の無機繊維より形成されるものが挙げられ、本発明では特に、シリカ繊維を含む繊維織物が好ましい。また、本発明では、必要に応じて、織物の片面及びまたは両面が、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂によりコーティング、ラミネート等されたものを使用することもできる。
【0043】
上記無機繊維質シート(8)の厚みは、0.1〜5mm(より好ましくは0.3〜2mm)であることが好ましい。このような範囲であることにより、本発明の効果がよりいっそう得られやすい。
【0044】
図7は、本発明の被覆構造体の別の一例を示す斜視図である。
図7に示すように、本発明の被覆構造体は、収納部材(1)の開口部にカバー(5)を有することができる。カバー(5)の形状は、収納部材(1)の開口部を覆うことができるものであれば特に限定されない。また、その材質は、特に限定されないが、収納部材(1)と同様のものを使用することが好ましい。
図7は、当該カバー(5)の少なくとも外周面に熱発泡性樹脂シート(2)が被覆されているものである。これにより、本発明の効果をいっそう高めることができる。熱発泡性樹脂シート(2)の被覆方法としては、特に限定されないが、上記接着剤(3)を用いることが好ましい。また、カバー(5)と熱発泡性樹脂シート(2)の間にも断熱層(4)を設けることができる。
【0045】
また、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内であれば、表面保護性、意匠性等を高める目的で、公知の保護層及び/または化粧層を熱発泡性樹脂シートの上に積層することもできる。このような保護層及び/または化粧層としては、例えば、JIS A6909 建築用仕上塗材、JIS K5658建築用耐候性上塗り塗料、JIS K5660 つや有合成樹脂エマルションペイント、JIS K5663 合成樹脂エマルションペイント、JIS K5668合成樹脂エマルション模様塗料等に規定されるものや、各種シート材料等、あるいは、金属、プラスチック等からなるフィルム材料等が挙げられ、これらを公知の方法で積層すればよい。
【実施例】
【0046】
以下に具体的な実施例を示す。
(熱発泡性樹脂シートの製造)
アクリル樹脂100重量部、メラミン90重量部、ジペンタエリスリトール90重量部、ポリリン酸アンモニウム320重量部、酸化チタン100重量部を主成分する混合物を温度120℃に設定した加圧ニーダーで混練して熱発泡性樹脂シート用混練物を調製後、ガラス不織布(目付け30g/m
2、厚さ0.25mm)上に混練物を積層し圧延ローラーによってシート状に加工し、膜厚1.5mmの熱発泡性樹脂シート(350mm×500mm)を作製した。
【0047】
(試験例1)
ステンレス鋼製の収納部材(凹型:底面幅100mm、側面高さ60mm、長さ500mm、厚み3.2mm)に、作製した熱発泡性樹脂シートのガラス不織布側が収納部材側となるように熱発泡性樹脂シートをアクリル系接着剤で貼り付けた。このとき、開口部において、熱発泡性樹脂シートの端部を収納部材内面へ折り返し、折り返し部の長さ20mmとなるように被覆し、熱発泡性樹脂シートの余りは切断した。以上より、
図2に例示される被覆構造体1を得た。
(評価1)
上記被覆構造体1を試験体とし、ISO834の標準加熱曲線に準じて1時間加熱試験を行った。その結果、均一な炭化断熱層が形成され、良好な耐熱保護性能を示した。
(評価2)
上記被覆構造体1を試験体とし、バーナーを使用し収納部材内部の温度を約500℃に上昇させた。その結果、熱発泡性樹脂シートは、脱落することなく形状を保持していた。
【0048】
(試験例2)
ステンレス鋼製の収納部材(凹型:底面幅100mm、側面高さ60mm、長さ500mm、厚み3.2mm)の外周面に、断熱材としてロックウール(厚さ10mm)を被覆した。次いで、作製した熱発泡性樹脂シート1のガラス不織布側が断熱材層側となるように、熱発泡性樹脂シートをアクリル系接着剤で貼り付けた。このとき、開口部において、熱発泡性樹脂シートの端部を収納部材内面へ折り返し、折り返し部の長さ20mmとなるように被覆し、熱発泡性樹脂シートの余りは切断した。以上より、
図4に例示される被覆構造体2を得た。
上記被覆構造体2について、上記評価1の評価を行った結果、収納部材の外側方向に均一な炭化断熱層が形成され、良好な耐熱保護性能を示した。またその際、収納部材内部の底面における温度変化を測定した。その結果、収納部材内部の温度上昇も200℃以下に抑制することができた。
さらに上記評価2の結果、熱発泡性樹脂シートは、脱落することなく形状を保持していた。
【0049】
(試験例3)
ステンレス鋼製の収納部材(凹型:底面幅100mm、側面高さ60mm、長さ500mm、厚み3.2mm)の外周面に、空気層(厚さ5mm)を形成するための、スペーサー(鉄製)を設置した。次いで、作製した熱発泡性樹脂シート1のガラス不織布側がスペーサー側(断熱層側)となるように、アクリル系接着剤で貼り付けた。このとき、開口部において、熱発泡性樹脂シートの端部を収納部材内面へ折り返し、折り返し部の長さ20mmとなるように被覆し、熱発泡性樹脂シートの余りは切断した。以上より、
図5に例示される被覆構造体3を得た。
上記被覆構造体3について、上記評価1の評価を行った結果、収納部材の外側方向に均一な炭化断熱層が形成され、良好な耐熱保護性能を示した。またその際、収納部材内部の底面における温度変化を測定した。その結果、収納部材内部の温度上昇も200℃以下に抑制することができた。
さらに上記評価2の結果、熱発泡性樹脂シートは、脱落することなく形状を保持していた。
【0050】
(試験例4)
ステンレス鋼製の収納部材(凹型:底面幅100mm、側面高さ60mm、長さ500mm、厚み3.2mm)の底面外側付近に、空気層が形成されるように、作製した熱発泡性樹脂シート1のガラス不織布側が外側となるように被覆し、収納部材の側面と熱発泡性樹脂シート1の端部をアクリル系接着剤で貼り付けた。このとき、開口部において、熱発泡性樹脂シートの端部を収納部材内面へ折り返し、折り返し部の長さ20mmとなるように被覆し、熱発泡性樹脂シートの余りは切断した。以上より、
図5−2に例示される被覆構造体4を得た。
上記被覆構造体4について、上記評価1の評価を行った結果、収納部材の内側方向に均一な炭化断熱層が形成され、良好な耐熱保護性能を示した。またその際、収納部材内部の底面における温度変化を測定した。その結果、収納部材内部の温度上昇も200℃以下に抑制することができた。
さらに上記評価2の結果、熱発泡性樹脂シートは、脱落することなく形状を保持していた。
【0051】
((試験例5)
試験例4で得られた被覆構造体4の外側を、さらに無機繊維質シート(シリカ繊維織物(朱子織り)、目付700g/m
2、厚さ0.7mm)で覆い、その端部をアクリル系接着剤で貼り付け、
図6に例示される被覆構造体5を得た。
上記被覆構造体5について、上記評価1の評価を行った結果、収納部材の内側方向に均一な炭化断熱層が形成され、良好な耐熱保護性能を示した。またその際、収納部材内部の底面における温度変化を測定した。その結果、収納部材内部の温度上昇も200℃以下に抑制することができた。
さらに上記評価2の結果、熱発泡性樹脂シートは、脱落することなく形状を保持していた。