(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
本実施形態に係るアルコール含有ゼリーは、液体に溶解または分散させて飲料とするものである。また、アルコール含有ゼリーは、ジェランガムを含む。アルコール含有ゼリーに対するアルコールの含有量は、21重量%以上である。また、ジェランガムに対するCa(カルシウム)イオンの割合は、0.1重量%以上6.5重量%以下である。
【0012】
上述のように、本発明者は、新たなアルコール飲料の作製方法として、液体にアルコール含有ゼリーを溶解または分散させて飲料とすることを検討した。このようなアルコール含有ゼリーは、たとえば水等の液体に溶解または分散させて、お酒の割りものを提供するために用いることが想定され得る。このため、このようなアルコール含有ゼリーには、たとえば21重量%以上という高いアルコール濃度が求められる。しかしながら、高濃度アルコール含有であり、かつ液体への溶解性、分散性を有するアルコール含有ゼリーにおいては、離水が生じることが懸念された。このような離水は、製品の外観を損なうおそれや、製品の取扱性を低下させるおそれがあった。このため、液体に溶解または分散させて飲料とするアルコール含有ゼリーの耐離水性を向上させることが求められていた。
【0013】
鋭意検討の結果、本発明者は、アルコール含有ゼリー中にジェランガムを含ませ、かつジェランガムに対するCaイオンの割合を調整することによって、高濃度アルコール含有であり、かつ液体への溶解性、分散性を有するアルコール含有ゼリーの耐離水性を向上させることができることを新たに見出した。本実施形態に係るアルコール含有ゼリーは、このような知見に基づいて実現され得たものである。このように、本実施形態によれば、液体に溶解または分散させて飲料とするアルコール含有ゼリーについて、その耐離水性を向上させることが可能となる。
【0014】
以下、本実施形態に係るアルコール含有ゼリーについて詳細に説明する。
【0015】
アルコール含有ゼリーは、上述のとおり、液体に溶解または分散させて飲料とするために用いられる。これにより、たとえばお湯割りや、水割り、ソーダ割り等のお酒の割りものを簡便に作製することができる。また、このようなお酒の割りものを作る楽しみを消費者に提供することが可能となる。本実施形態において、アルコール含有ゼリーを用いて作製される飲料は、アルコール濃度が1%以上である酒税法上のアルコール飲料であってもよく、アルコール濃度が1%未満のノンアルコール飲料であってもよい。
【0016】
本実施形態においては、アルコール含有ゼリーが液体に分散しているとは、たとえばアルコール含有ゼリーを崩したものが液体に溶解せずに液体中に分散している状態が挙げられる。なお、アルコール含有ゼリーを用いて作製される飲料は、アルコール含有ゼリーのうちの一部が液体に溶解し、他が液体中に分散している状態であってもよい。
【0017】
アルコール含有ゼリーを溶解または分散させる液体は、飲用として用いることができるものであればとくに限定されないが、たとえば水、炭酸水、緑茶、ウーロン茶、ほうじ茶、および麦茶等に例示される茶類、オレンジ果汁やグレープフルーツ果汁に例示される果汁類や果実成分を含有する飲料、牛乳等の乳類等から選択される一種または二種以上を含むことができる。このような液体は、たとえばアルコールを含有するものであってもよい。
【0018】
本実施形態においては、アルコール含有ゼリーを、たとえば10倍量、90℃の純水に投入して1分間マドラーで撹拌することにより全体が純水に溶解するものとすることができる。これにより、液体への溶解性、分散性をより効果的に向上させることができる。なお、マドラーによる撹拌は、たとえばお酒の割りものをマドラーで撹拌して作製する際に通常採用され得る程度の速度により行うことができる。このようなアルコール含有ゼリーは、たとえばアルコール含有ゼリー中に含まれるジェランガムの配合割合や、後述する他の成分の種類や配合割合を適切に調整することによって実現することが可能となる。
【0019】
アルコール含有ゼリーは、たとえば常温(23℃)において固体状または半流動体状の形態を有する。半流動体とは、一定の粘性を有する流動体であり、固体と液体のとの中間に相当する形態を指す。本実施形態においては、消費者がアルコール含有ゼリーを溶解または分散させる際の嗜好性を考慮すると、常温(23℃)で固体状のアルコール含有ゼリーを好ましい態様の一例として採用し得る。
【0020】
アルコール含有ゼリーは、アルコールと、ゲル化剤としてジェランガムと、を含む。
【0021】
(アルコール)
アルコールは、食用のエタノールである。本実施形態において、アルコール含有ゼリー全体に対するアルコールの含有量は、21重量%以上である。これにより、液体に溶解または分散させてお酒の割りもの等を得るために適したアルコール濃度を有するアルコール含有ゼリーを実現することができる。ポーションタイプのアルコール含有ゼリーに関しては、その体積を低減することも可能となる。本実施形態においては、アルコール含有ゼリー全体に対するアルコールの含有量を、25重量%以上とすることがより好ましく、35重量%以上とすることがとくに好ましい。一方で、アルコール含有ゼリー全体に対するアルコールの含有量は、アルコール含有ゼリーの製造容易性や、耐離水性、溶解性、分散性、形状安定性等のバランスを向上させる観点から、60重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。
【0022】
(ゲル化剤)
ゲル化剤として含まれるジェランガムは、たとえばネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムのうちの一方または双方を含むことができる。これらの中でも、アルコール含有ゼリーの溶解性および分散性、耐離水性、形状安定性等のバランスをより効果的に向上させる観点から、脱アシル型ジェランガムを少なくとも含むことがより好ましい。
【0023】
本実施形態においては、アルコール含有ゼリーに対するジェランガムの含有量が、たとえば0.3重量%以下であることが好ましく、0.2重量%以下であることがより好ましい。これにより、アルコール含有ゼリーの液体に対する溶解性や分散性をより効果的に向上させることができる。このため、液体に溶解または分散させて飲料を作製する用途のためにより好適な特性を備えるアルコール含有ゼリーの実現が可能となる。また、アルコール含有ゼリーに対するジェランガムの含有量は、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。これにより、アルコール含有ゼリーを十分にゲル化させることができる。このため、アルコール含有ゼリーの取扱性や、形状安定性、消費者が飲料を作製する際の嗜好性をより効果的に向上させることが可能となる。
【0024】
なお、本発明者は、ジェランガムの含有量を上述の範囲に制御することによって、アルコール含有ゼリーの溶解性や分散性を向上させることができる一方で、離水しやすくなるおそれがあることを新たに知見した。そして、この知見に基づき鋭意検討した結果、ジェランガムに対するCaイオンの割合を適切に調整することによって、溶解性や分散性を向上させつつ、耐離水性を向上させることができることを見出した。このような知見に基づいて、ジェランガムの含有量と、ジェランガムに対するCaイオンの割合と、をそれぞれ適切に調整することによって、溶解性や分散性にとくに優れたアルコール含有ゼリーについて、その耐離水性をさらに向上させることが可能となる。
【0025】
本実施形態において、アルコール含有ゼリーは、たとえばジェランガム以外の他のゲル化剤をさらに含むことができる。他のジェランガムとしては、たとえばローカストビーンガム、キサンタンガム、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、トラガントガム、カロブビーンガム、寒天、こんにゃく粉、グルコマンナン、カシアガム、カードランおよび澱粉類から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムのうちの一方または双方を含む場合が、耐離水性、溶解性、分散性、形状安定性等のバランスを向上させる観点から好ましい態様の例としてあげられる。
【0026】
アルコール含有ゼリー中におけるゲル化剤の含有量は、たとえばアルコール含有ゼリー全体に対して0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。これにより、アルコール含有ゼリーの取扱性や、アルコール含有ゼリーを用いて飲料を作製する際の嗜好性をより効果的に向上させることができる。また、アルコール含有ゼリー中におけるゲル化剤の含有量は、たとえばアルコール含有ゼリー全体に対して0.5重量%以下であることが好ましく、0.4重量%以下であることがより好ましく、0.3重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、溶解性や分散性をより効果的に向上させることができる。
【0027】
(離水防止剤)
アルコール含有ゼリーは、たとえば離水防止剤を含むことができる。離水防止剤は、ゲル状物質からの離水を防止する機能を有するものであり、たとえばサイリュームシードガム、タマリンドシードガム、ι−カラギーナン、λ−カラギーナン、スクシノグリカン、CMC(カルボキシメチルセルロース)、MC(メチルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびフェヌグリークガムから選択される一種または二種以上を含むことができる。これにより、アルコール含有ゼリーの耐離水性と、溶解性および分散性と、のバランスをより効果的に向上させることができる。また、アルコール含有ゼリーの形状安定性を向上させることもできる。なお、本実施形態における離水防止剤とは、ゲル化剤として上記に例示したものを含まない概念である。
【0028】
本実施形態においては、アルコール含有ゼリーの耐離水性と、溶解性および分散性と、のバランスを向上させる観点や、溶解または分散させる際の見た目をより優れたものとする観点から、サイリュームシードガム、タマリンドシードガム、およびカラギーナンから選択される一種または二種以上を含むことがより好ましい。これにより、アルコール含有ゼリーの形状安定性のさらなる向上を図ることも可能となる。
【0029】
アルコール含有ゼリー中における離水防止剤の含有量は、たとえばアルコール含有ゼリー全体に対して0.05重量%以上であることが好ましく、0.15重量%以上であることがより好ましい。これにより、アルコール含有ゼリーの耐離水性をさらに向上させることができる。また、アルコール含有ゼリー中における離水防止剤の含有量は、たとえばアルコール含有ゼリー全体に対して1.5重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがより好ましく、0.9重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、溶解性や分散性をより効果的に向上させることができる。
また、本実施形態において、離水防止剤としてサイリュームシードガムを用いる場合には、耐離水性の向上や、飲料作製時の外観をより良好なものとする観点から、アルコール含有ゼリー全体に対するサイリュームシードガムの含有量が0.5重量%以上であることがより好ましく、0.6重量%以上であることがとくに好ましい。
【0030】
アルコール含有ゼリーは、上述した各成分以外に、通常の飲料に配合できる他の添加物を添加することもできる。このような他の添加物は、たとえば乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、および塩化カルシウム等に例示されるカルシウム塩等を含む食品添加物としてのカルシウム塩、魚骨、卵殻、カキ殻、ホタテ殻等の貝由来、サンゴ、海藻、ミルク等の天然由来のカルシウム、ドロマイト、塩化マグネシウム、および炭酸マグネシウム等に例示されるマグネシウム塩、梅等の果実から得られる果汁や果肉、砂糖等に例示される糖類、クエン酸等に例示される酸味料、酸化防止剤、甘味料、香料、乳化剤、保存料、pH調整剤、品質安定剤、色素、甘味料から選択される一種または二種以上を含むことができる。本実施形態においては、とくにアルコール含有ゼリー中のCaイオン濃度を調整する等の観点から、たとえばカルシウム塩、果汁、および果肉等から選択される一種または二種以上を含むことができる。
【0031】
アルコール含有ゼリーは、ジェランガムに対するCaイオンの割合が0.1重量%以上6.5重量%以下である。これにより、上述したように、高濃度アルコール含有であり、かつ液体への溶解性、分散性を有するアルコール含有ゼリーの耐離水性を向上させることができる。このため、液体に溶解または分散して飲料を作製するために用いられるものとしてとくに好適なアルコール含有ゼリーを実現することが可能となる。また、アルコール含有ゼリーの形状安定性の向上に寄与することもできる。耐離水性と、溶解性および分散性と、形状安定性と、のバランスを向上させる観点からは、ジェランガムに対するCaイオンの割合が0.1重量%以上2.0重量%以下であることがより好ましく、0.15重量%以上1.8重量%以下であることがとくに好ましい。
なお、アルコール含有ゼリー中に含まれるCaイオンのジェランガムに対する割合は、たとえばアルコール含有ゼリー中のCaイオン濃度とジェランガムの配合割合から算出することができる。アルコール含有ゼリー中のCaイオン濃度は、たとえばアルコール含有ゼリー中に含まれるCaイオンの発生源となり得る成分の添加量から計算することや、原子吸光分光光度法を用いた測定により得ることが可能であり、これらのいずれの方法を採用しても同等のCaイオン濃度を得ることができる。
【0032】
本実施形態において、アルコール含有ゼリー中に含まれるCaイオンのジェランガムに対する割合は、たとえばアルコール含有ゼリー中の各成分の種類や配合割合をそれぞれ適切に調整することにより制御することが可能である。本実施形態においては、たとえば乳酸カルシウムおよびグルコン酸カルシウム等に例示されるカルシウム塩や、果肉成分、果汁成分、甲殻類、乳製品、魚類、海藻類、ごま等のCaイオンの発生源となり得る成分を含むこと、これらの種類や配合割合をジェランガム等の他の成分にあわせて適切に調整すること等が、ジェランガムに対するCaイオンの割合に影響を与える要因になり得るものであると推定されている。
【0033】
次に、容器詰めアルコール含有ゼリーについて説明する。
アルコール含有ゼリーは、たとえば容器に収容され、容器詰めアルコール含有ゼリーを構成する。これにより、アルコール含有ゼリーの保存性や利便性を向上させることができる。本実施形態においては、たとえば容器に収容されたアルコール含有ゼリーをグラス等の別容器に移した後に、当該別容器に液体を注ぎ、撹拌することによって飲料を作製することができる。なお、アルコール含有ゼリーが収容された容器は、保存性を向上させる観点から、容器口がシールされて内部が密閉された状態となっていることがより好ましい。
【0034】
本実施形態においては、たとえば一回使用分に小分けされたポーションタイプの容器に、アルコール含有ゼリーを収容することができる。これにより、アルコール含有ゼリーの保存性や利便性をより効果的に向上させることが可能となる。なお、アルコール含有ゼリーは、複数回使用分を一の容器に収容するように小分けされていてもよい。
【0035】
アルコール含有ゼリーを収容する容器の体積は、とくに限定されないが、たとえば5mL以上300mL以下とすることができる。これにより、アルコール含有ゼリーを一回使用分〜複数回使用分に小分けすることが可能となる。このため、アルコール含有ゼリーの保存性や利便性をより効果的に向上させることができる。アルコール含有ゼリーを一回使用分に小分けする場合には、たとえば上記容器の体積を30mL以上120mL以下とすることがより好ましい。
【0036】
本実施形態においては、アルコール含有ゼリーを、たとえば容器中の気体の占有体積が極力制限されるように容器に対して密着した状態となるように容器に充填することができる。これにより、アルコール含有ゼリーの品質を保持しやすくなり、また商品としての外観をより良好なものとすることができる。なお、気体の占有体積が極力制限されているとは、たとえば密閉された容器中に含まれる気体の体積が容器全体に対して0.5体積%未満である場合を指す。本実施形態では、密閉された容器中に含まれる気体の体積を、たとえば容器全体に対して0.3体積%未満とすることがより好ましく、0.1体積%未満とすることがとくに好ましい。
【0037】
図1および
図2は、それぞれ本実施形態に係る容器詰めアルコール含有ゼリーの一例を示す図であり、互いに異なる例を示している。
図1においては、ポーションタイプのカップ型容器にアルコール含有ゼリーが収容される場合が例示されている。また、
図2においては、ポーションタイプのスティック状の容器にアルコール含有ゼリーが収容される場合が例示されている。なお、アルコール含有ゼリーを収容する容器は、
図1および
図2に例示したものに限定されず、たとえばチューブ状やアルミパウチ状等のゼリーを収容するために一般的に採用され得る形態のものとすることができる。
【0038】
容器詰めアルコール含有ゼリーの製造方法は、とくに限定されない。本実施形態においては、たとえばアルコール含有ゼリーを構成する各成分を混合して得た混合物を容器に充填した後、これを冷却して固化させることにより、容器詰めアルコール含有ゼリーを得ることができる。
【0039】
次に、アルコール含有ゼリーを用いた飲料の作製方法について説明する。
本実施形態においては、たとえばアルコール含有ゼリーを液体に溶解または分散させて飲料を作製することができる。これにより、たとえばお湯割りや、水割り、ソーダ割り等のお酒の割りものを簡便に作製することができる。また、このようなお酒の割りものを作る楽しみを消費者に提供することが可能となる。本実施形態において、作製された上記飲料は、アルコール濃度が1%以上である酒税法上のアルコール飲料であってもよく、アルコール濃度が1%未満のノンアルコール飲料であってもよい。
【0040】
アルコール含有ゼリーを溶解または分散させる液体としては、上記に例示したものを使用することができる。アルコール含有ゼリーを溶解または分散させる液体の温度は、当該液体が液状として存在できる温度であればとくに限定されず、作製する飲料に応じて適宜設定することができる。アルコール含有ゼリーの溶解性または分散性を向上させる観点からは、上記液体の温度を、室温(23℃)以上とすることが好ましく、40℃以上とすることがより好ましく、50℃以上とすることがとくに好ましい。なお、上記液体の温度の上限値は、とくに限定されず、たとえば100℃とすることができる。
【0041】
アルコール含有ゼリーを溶解または分散させるために用いる液体の量は、とくに限定されず、作製する飲料のアルコール濃度に合わせて適宜設定することができる。アルコール含有ゼリーの溶解性および分散性を向上させる観点からは、上記液体の量を、質量換算でアルコール含有ゼリーの2倍量以上とすることが好ましく、3倍量以上とすることがより好ましく、4倍量以上とすることがとくに好ましい。上記液体の量の上限値は、とくに限定されず、質量換算でアルコール含有ゼリーの100倍量以下とすることができる。
【0042】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0043】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0044】
(アルコール含有ゼリーの作製)
各実施例および各比較例について、以下のようにしてアルコール含有ゼリーを作製した。まず、表1〜3に示す配合に従い各成分を混合し、混合物を得た。次いで、当該混合物を容積70mlのポーションタイプの容器に分割して充填した。次いで、容器内に気体が封入されないようにシールを行った。次いで、ポーションタイプの容器に充填された上記混合物を8時間かけて放冷して固化させた。これにより、1回分に小分けされたポーションタイプの容器に充填されたアルコール含有ゼリーを得た。得られたアルコール含有ゼリーは、容器中の気体の占有体積が極力制限されるように、容器に対して密着された状態で充填されていた。
【0045】
各実施例および比較例1〜3については、容器内に充填された上記混合物が放冷によって固化することにより、アルコール含有ゼリーが作製されていることが確認された。一方で、比較例4〜6については、容器内に充填された上記混合物が十分に固化しなかった。
【0046】
なお、アルコール含有ゼリー中に含まれる各成分の詳細は以下のとおりである。また、表1〜3において示される各成分の配合割合は、アルコール含有ゼリー全体に対する各成分の配合割合(重量%)を示している。
【0047】
(ゲル化剤)
ジェランガム:ケルコゲル、DSP五協フード&ケミカル(株)製
ローカストビーンガム:ソアローカストA−120、三菱化学フーズ(株)製
キサンタンガム:エコーガムT、DSP五協フード&ケミカル(株)製
【0048】
(離水防止剤)
タマリンドシードガム:グリロイド2A、DSP五協フード&ケミカル(株)製
ι−カラギーナン:タカラゲンTI−100C、(株)タカラゲン製
サイリュームシードガム:ソアリュームPG200、三菱化学フーズ(株)製
【0049】
各実施例について、得られたアルコール含有ゼリー38mlを、10倍量(380ml)であり、かつ液温90℃の純水に投入して1分間マドラーで撹拌した。その結果、全ての実施例において、アルコール含有ゼリー全体が純水に溶解したことを確認した。
【0050】
(Caイオンの割合)
各実施例および各比較例について、乳酸カルシウムの添加量から、ジェランガムに対するCaイオンの割合(重量%)を算出した。
【0051】
(耐離水性評価)
各実施例および各比較例について、上記で得られたアルコール含有ゼリーの耐離水性評価を次のように行った。まず、アルコール含有ゼリーを1週間、常温(25℃)にて保存した。次いで、アルコール含有ゼリーから生じた離水部をビーカーに移し、その重量を測定した。そして、離水部の重量が保存前のアルコール含有ゼリー全体の重量に対して、0.5%以下であるものを◎、0.5%超過1.0%以下であるものを○、1.0%超過であるものを×として評価を行った。
【0052】
(溶解性評価)
各実施例および比較例1〜3について、上記で得られたアルコール含有ゼリーの溶解性評価を次のように行った。まず、アルコール含有ゼリーを半分に切断したうちの一方をビーカー内に載置した後、当該ビーカー内へ90℃の純水を全体で150mlになるように注いでガラス棒でゼリーを潰しながら撹拌した。次いで、ビーカー内のアルコール含有ゼリーが純水へ完全に溶解するまでの時間を測定した。ここでは、溶解時間が5秒以下のものを◎、5秒超過10秒以下のものを○、10秒超過のものを△、完全に溶解しなかったものを×として評価を行った。
【0053】
なお、ゲル化剤と離水防止剤を併用した実施例7〜10、15、16において、他の実施例と比べて弾力性のあるアルコール含有ゼリーが得られていることを確認した。このような実施例7〜10、15、16に係るアルコール含有ゼリーについては、上記溶解性評価においてガラス棒で撹拌した際の溶解する様子がとくに見た目に優れたものであった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
表1〜3に示すように、各実施例に係るアルコール含有ゼリーは、耐離水性において良好な結果が得られた。これらのうち実施例1〜14、16については、溶解性についてとくに優れた結果が得られていることが分かる。
【0058】
(形状安定性評価)
実施例1〜5、7〜16について、上記で得られたアルコール含有ゼリーの形状安定性評価を次のように行った。まず、カードメーターを用いて、荷重200g、軸8mmφ、常温(20℃)の条件でアルコール含有ゼリーのゲル強度を測定した。そして、ゲル強度が80g/cm
2以上のものを◎、15g/cm
2以上80g/cm
2未満のものを○、5g/cm
2以上15g/cm
2未満のものを△、5g/cm
2未満のものを×として評価を行った。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
表4、5に示すように、実施例1〜5、7〜16に係るアルコール含有ゼリーは、製品として問題ない程度の形状安定性を示した。これらのうち、実施例1〜5、7〜11、13〜16については、形状安定性についてとくに優れた結果が得られていることが分かる。