特許第6484054号(P6484054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484054
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】車載電子装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/04 20060101AFI20190304BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20190304BHJP
   H01H 21/00 20060101ALN20190304BHJP
【FI】
   B60R11/04
   B62D25/12 Z
   !H01H21/00 330B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-28843(P2015-28843)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-150652(P2016-150652A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(72)【発明者】
【氏名】古石 朋久
(72)【発明者】
【氏名】大富 將司
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−066763(JP,A)
【文献】 特開2014−215418(JP,A)
【文献】 特表2010−501417(JP,A)
【文献】 特開2011−105129(JP,A)
【文献】 特開2001−058543(JP,A)
【文献】 特開平10−301162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/04
B62D 25/12
H01H 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる車載電子装置であって、
前記車両の外部の画像を取得するカメラと、
前記カメラを収容する収容部と、
前記収容部の内部と外部とを連通する開口部を開閉する蓋体と、
前記蓋体が前記開口部を閉じた状態において、前記蓋体の押圧に応じて作動し、作動時に前記車両の荷室の開閉体を開ける信号を送出するオープナスイッチと、
を備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載電子装置において、
前記開口部を経由して前記カメラを移動する移動機構、
をさらに備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載電子装置において、
前記移動機構は、前記カメラを回転軸で回転させつつ、前記回転軸を直線的に移動することを特徴とする車載電子装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の車載電子装置において、
所定方向に移動して前記オープナスイッチを作動させるスイッチノブ、
を備え、
前記蓋体は、押圧されると前記スイッチノブを押圧し、前記スイッチノブを前記所定方向に移動させることを特徴とする車載電子装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車載電子装置において、
前記蓋体の主面は、前記スイッチノブの主面に囲まれることを特徴とする車載電子装置。
【請求項6】
車両に設けられる車載電子装置であって、
前記車両の外部の画像を取得するカメラと、
前記カメラを保護する蓋体と、
前記蓋体が前記カメラを保護している状態において、前記蓋体の押圧に応じて作動し、作動時に前記車両の荷室の開閉体を開ける信号を送出するオープナスイッチと、
を備えることを特徴とする車載電子装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の車載電子装置において、
前記カメラは、前記車両の後方の画像を取得し、
前記オープナスイッチは、前記車両の後部荷室の開閉体を開ける信号を送出することを
特徴とする車載電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる車載電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車などの車両においては、トランクリッド及びテールゲートなどの後部荷室の開閉体を開けるためのオープナスイッチが、車両の後部に配置される。また、近年では、車両のドライバが車両の後方を確認できるように、車両の後方の画像を取得するカメラが車両の後部に配置される。
【0003】
これらのオープナスイッチ及びカメラは、例えば、車両の後部のライセンスプレートの上部の部位に取り付けられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−193121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ライセンスプレートの上部の部位においては、ライセンスプレートを照明するライセンスランプなど、オープナスイッチ及びカメラ以外の他の部品も配置する必要がある(例えば、特許文献1参照。)。このため、オープナスイッチとカメラとを個別に配置すると、他の部品を配置するスペースが狭くなる。
【0006】
また、オープナスイッチは、ユーザが直感的に扱えるように、車両の後部の左右中央付近に配置することが望ましい。一方で、カメラも、その光軸が車両の左右中央線におよそ沿うように、車両の後部の左右中央付近に配置することが望ましい。このことから、オープナスイッチとカメラとを同一位置に配置できる技術が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、オープナスイッチとカメラとを同一位置に配置できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両に設けられる車載電子装置であって、前記車両の外部の画像を取得するカメラと、前記カメラを収容する収容部と、前記収容部の内部と外部とを連通する開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体が前記開口部を閉じた状態において、前記蓋体の押圧に応じて作動し、作動時に前記車両の荷室の開閉体を開ける信号を送出するオープナスイッチと、を備えている。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の車載電子装置において、前記開口部を経由して前記カメラを移動する移動機構、をさらに備えている。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の車載電子装置において、前記移動機構は、前記カメラを回転軸で回転させつつ、前記回転軸を直線的に移動する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の車載電子装置において、所定方向に移動して前記オープナスイッチを作動させるスイッチノブ、を備え、前記蓋体は、押圧されると前記スイッチノブを押圧し、前記スイッチノブを前記所定方向に移動させる。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の車載電子装置において、前記蓋体の主面は、前記スイッチノブの主面に囲まれる。
【0013】
また、請求項6の発明は、車両に設けられる車載電子装置であって、前記車両の外部の画像を取得するカメラと、前記カメラを保護する蓋体と、前記蓋体が前記カメラを保護している状態において、前記蓋体の押圧に応じて作動し、作動時に前記車両の荷室の開閉体を開ける信号を送出するオープナスイッチと、を備えている。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の車載電子装置において、前記カメラは、前記車両の後方の画像を取得し、前記オープナスイッチは、前記車両の後部荷室の開閉体を開ける信号を送出する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし5の発明によれば、ユーザは、開口部を開閉する蓋体を押圧することで、オープナスイッチを作動させて車両の荷室の開閉体を開けることができる。このため、オープナスイッチとカメラとを車両の同一位置に配置することができる。
【0016】
また、特に請求項2の発明によれば、ユーザは、カメラが移動する開口部を開閉する蓋体を押圧することで、オープナスイッチを作動させて車両の荷室の開閉体を開けることができる。
【0017】
また、特に請求項3の発明によれば、カメラを収容するスペースを小さくすることができる。
【0018】
また、特に請求項4及び請求項5の発明によれば、ユーザは、スイッチノブと蓋体とのいずれを操作しても、オープナスイッチを作動させることができる。ユーザは、スイッチノブと蓋体とを意識せずに、オープナスイッチを作動させることができる。
【0019】
また、請求項6の発明にれば、ユーザは、カメラを保護する蓋体を押圧することで、オープナスイッチを作動させて車両の荷室の開閉体を開けることができる。このため、オープナスイッチとカメラとを車両の同一位置に配置することができる。
【0020】
また、請求項7の発明によれば、カメラとオープナスイッチとの双方を車両の後部の中央位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、車載電子装置が配置される車両を示す図である。
図2図2は、車両の後部の断面図である。
図3図3は、車載電子装置の外観を示す斜視図である。
図4図4は、車載電子装置の外観を示す斜視図である。
図5図5は、車載電子装置の外観を示す斜視図である。
図6図6は、車載電子装置の電気的構成を示す図である。
図7図7は、車載電子装置の下面図である。
図8図8は、車載電子装置の上面図である。
図9図9は、車載電子装置の左側から見た側面図である。
図10図10は、車載電子装置の右側から見た側面図である。
図11図11は、カメラの動きを示す図である。
図12図12は、オープナスイッチの差動を説明する図である。
図13図13は、ブラケットの斜視図である。
図14図14は、ブラケットの断面図である。
図15図15は、ブラケットの取り付けを説明する図である。
図16図16は、車載電子装置の取り付けを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
<1.車載電子装置の概要>
図1は、本実施の形態の車載電子装置1が配置される自動車などの車両9を後方からみた様子を示す図である。図1に示すように、車載電子装置1は、車両9の後部のライセンスプレート93の上部における、車両9の左右中央に配置される。
【0024】
車両9の後部には、後部荷室であるトランクが設けられている。車載電子装置1は、このトランクの開閉体であるトランクリッド99を開けるための荷室開放機能と、車両9の後方の画像を取得する撮像機能とを備えている。
【0025】
図2は、図1のII−II線で示す位置の車両9の後部の断面図である。車両9の後部においては、金属製の車両用バックパネル91にライセンスプレート93が取り付けられている。ライセンスプレート93の上部においては、車両用バックパネル91に樹脂製のガーニッシュ92が取り付けられている。ガーニッシュ92の底面92aは略水平方向に沿っており、ガーニッシュ92と車両用バックパネル91との間には部品を配置可能な空間94が形成されている。
【0026】
車載電子装置1は、車両用バックパネル91に固定され、車載電子装置1の大部分は車両用バックパネル91とガーニッシュ92との間の空間94に配置される。車載電子装置1は、その底面1aが略水平方向に沿うように配置される。車載電子装置1の下部はガーニッシュ92の底面92aに形成された開口に嵌めこまれ、車載電子装置1の底面1aとガーニッシュ92の底面92aとの段差がほぼ無くなるようにされている。車両用バックパネル91とガーニッシュ92との間の空間94には、車載電子装置1の他に、ライセンスランプなどの他の部品も配置される。
【0027】
図3から図5は、車載電子装置1の外観を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、図中に示す三次元直交座標系(XYZ)を用いて、適宜、方向や向きを示す。この直交座標系は、車載電子装置1が備えるハウジング2に対して相対的に固定される。X軸方向は車両9の左右方向、Y軸方向は車両9の前後方向、Z軸方向は上下方向に相当する。以下、車両9に合わせて、+X側を「左側」、−X側を「右側」、+Y側を「前側」、−Y側を「後側」と称する(図1も併せて参照。)。また、+Z側を「上側」、−Z側を「下側」と称する。
【0028】
これらの図に示すように、車載電子装置1は、上下方向(Z軸方向)に対して傾斜したハウジング2を備えている。また、ハウジング2の周囲を囲むようにハウジング2にブラケット7が固定されている。このブラケット7が、車両用バックパネル91に固定されることで、車載電子装置1は車両9に対して固定される(図2も併せて参照。)。
【0029】
また、ハウジング2の下部の後側(−Y側)にはスイッチカバー25が突出して設けられている。このスイッチカバー25の内部には、トランクリッド99を開けるためのオープナスイッチ5が設けられる。オープナスイッチ5は、プッシュボタン式のスイッチであり下側(−Z側)から押圧すると作動する(オンとなる)。
【0030】
また、ハウジング2の下側には、オープナスイッチ5の操作のためにユーザが扱うスイッチノブ51が設けられている。スイッチノブ51には、ハウジング2の内部と車載電子装置1の外部とを連通する開口部6が形成される。そして、ハウジング2の下側には、この開口部6を開閉する蓋体31が設けられている。
【0031】
車載電子装置1の撮像機能の無効化時においては、図3に示すように、蓋体31が開口部6を閉じている。以下、図3に示す撮像機能の無効化時の車載電子装置1の状態を「非撮影状態」ST1という。
【0032】
図3に示す非撮影状態ST1において、車載電子装置1の撮像機能が有効化されると、図4に示すように、ハウジング2の内部に収容されたカメラ3が開口部6を経由して外部に移動する。この際、蓋体31は開口部6を開ける。そして最終的に、図5に示すように、車両9の外部を撮影するための撮影位置にカメラ3が移動する。これにより、カメラ3のレンズ3cが完全に外部に露出し、カメラ3は車両9の外部(車両9の後方)の画像を取得できるようになる。以下、図5に示す撮像機能の有効化時の車載電子装置1の状態を「撮影状態」ST2という。
【0033】
また、図5に示す撮影状態ST2において、車載電子装置1の撮像機能が無効化されると、図4に示すように、撮影位置にあったカメラ3が開口部6を経由してハウジング2の内部に移動する。そして最終的に、図3に示すように、ハウジング2の内部の収容位置にカメラ3が移動し、蓋体31が開口部6を閉じる。これにより、カメラ3がハウジング2の内部に収容され、車載電子装置1は非撮影状態ST1に戻ることになる。
【0034】
<2.車載電子装置の電気的構成>
次に、車載電子装置1の電気的構成について説明する。図6は、車載電子装置1の電気的構成を示す図である。車載電子装置1は、撮像機能に係る第1系統11と、荷室開放機能に係る第2系統12との2つの系統を電気的構成として備えている。第1系統11と第2系統12とは独立して動作する。
【0035】
第1系統11は、前述したカメラ3とともに、移動機構4と、位置センサ32と、制御部10とを備えている。移動機構4は、ハウジング2の内部の収容位置と車両9の外部を撮影する撮影位置との間で開口部6を経由してカメラ3を移動する。位置センサ32は、移動機構4が移動するカメラ3の位置を検出し、カメラ3の位置を示す信号を制御部10に出力する。
【0036】
また、制御部10は、例えば、集積回路であり、撮像機能を有効化あるいは無効化する。制御部10は、撮像機能を有効化する場合は、移動機構4を制御してカメラ3を撮影位置に移動させるとともに、カメラ3に画像の取得を開始させる。また、制御部10は、撮像機能を無効化する場合は、カメラ3に画像の取得を停止させるとともに、移動機構4を制御してカメラ3を収容位置に移動させる。制御部10は、カメラ3の位置を示す位置センサ32からの信号に基づいて、カメラ3を撮影位置あるいは収容位置に移動させる。
【0037】
制御部10は、車両9に搭載された画像表示装置81からの信号に応じて、撮像機能を有効化あるいは無効化する。画像表示装置81は、例えば、車両9のシフトポジションを監視し、シフトポジションがリバースとなった場合に、画像送信を要求する信号を車載電子装置1に送信する。制御部10は、この信号に応答して撮像機能を有効化してカメラ3に画像の取得を開始させる。カメラ3は、取得した画像を画像表示装置81に送信する。これにより、車両9の後方の画像が画像表示装置81において表示される。
【0038】
また、画像表示装置81は、例えば、シフトポジションがリバース以外となった場合に、画像送信を停止する信号を車載電子装置1に送信する。制御部10は、この信号に応答して撮像機能を無効化する。
【0039】
一方、第2系統12は、前述したオープナスイッチ5を備えている。オープナスイッチ5は作動すると、トランクリッド99を開けるための開放信号を車両9に搭載されたリレーユニット82に送信する。リレーユニット82は、この開放信号を受信すると、アクチュエータ83を駆動してトランクリッド99のロックを解錠する。これにより、トランクリッド99が開くことになる。
【0040】
<3.車載電子装置の物理的構成>
次に、車載電子装置1の物理的構成についてより詳細に説明する。図7から図10は、、車載電子装置1の物理的構成を示す図である。図7は車載電子装置1の下側(−Z側)から見た下面図、図8は車載電子装置1の上側(+Z側)から見た上面図である。また、図9は、車載電子装置1の左側(+X側)から見た側面図、図10は車載電子装置1の右側(−X側)から見た側面図である。これらの図は、車載電子装置1の非撮影状態ST1を示している。
【0041】
図7に示すように、スイッチノブ51は、その後端(後側(−Y側)の端部)がオープナスイッチ5に上下方向(Z軸方向)に重なるように配置される。また、車載電子装置1の非撮影状態ST1においては、蓋体31の主面は、スイッチノブ51の主面に囲まれて配置される。蓋体31の主面とスイッチノブ51の主面とはほぼ段差なく配置され、これらは車載電子装置1の底面1aを形成する(図2も併せて参照。)。
【0042】
また、図9及び図10に示すように、蓋体31及びスイッチノブ51の双方は、ハウジング2の前側(+Y側)に設けられる支持軸29において、ハウジング2に対して回転可能に接続される。蓋体31の回転可能な範囲は、開口部6を開放できるように比較的大きな範囲となっている。一方で、スイッチノブ51の回転可能な範囲は、オープナスイッチ5を作動させるために必要となる比較的小さな範囲に制限される。
【0043】
スイッチノブ51の後端には、オープナスイッチ5に対向して突起部51bが設けられる。また、スイッチノブ51とハウジング2との間には、ゴムなどの弾性部材(図示省略)が介挿される。この弾性部材により、スイッチノブ51は、ハウジング2に対して下側(−Z側)に付勢される。
【0044】
ユーザがスイッチノブ51の主面を下側(−Z側)から押圧した場合、スイッチノブ51が支持軸29を中心に回転し、スイッチノブ51の後端が上側(+Z側)に微小に移動する。これにより、スイッチノブ51の突起部51bがオープナスイッチ5に接触してオープナスイッチ5を押圧し、オープナスイッチ5を作動させる。
【0045】
また、支持軸29の近傍においては、蓋体31とスイッチノブ51とに接触するコイルバネなどの付勢部材(図示省略)が設けられる。この付勢部材により、蓋体31は、開口部6を閉じるように、スイッチノブ51に対して上側(+Z側)に付勢される。
【0046】
また、図8に示すように、ハウジング2の内部においては、ハウジング2の内部空間を左右に区分する仕切壁21が設けられている。ハウジング2の内部の仕切壁21の左側(+X側)の空間は、カメラ3を収容する収容部23となっている。開口部6は、この収容部23の内部と車載電子装置1の外部とを連通する。蓋体31は、この開口部6を閉じることで、収容部23に収容されたカメラ3が塵や水分に接触することを防止し、カメラ3を保護する。
【0047】
図9に示すように、収容部23においては、カメラ3が収容されている。カメラ3の左右双方の側面には回転軸3aが設けられる一方で、収容部23の左右双方の壁面にはガイド溝23aが設けられる。ガイド溝23aは、一端が収容部23の奥部に向かい、他端が開口部6に向かうように直線的に延びている。
【0048】
カメラ3の回転軸3aは、このガイド溝23aに係合している。これにより、回転軸3aはガイド溝23aに沿って直線的に移動可能であるとともに、カメラ3は回転軸3aを中心に回転可能となっている。
【0049】
また、収容部23には、移動機構4の一部となるリンクレバー44と駆動軸43とが設けられている。リンクレバー44の一端は駆動軸43に接続され、駆動軸43が回転するとリンクレバー44は駆動軸43を中心に回転する。また、リンクレバー44の他端には係合溝44bが設けられ、この係合溝44bはカメラ3のレンズ3cの側とは逆側の端部に設けられる係合軸3bと係合している。このため、リンクレバー44が回転するとカメラ3が移動する。
【0050】
一方、ハウジング2の内部の仕切壁21の右側(−X側)の空間は、移動機構4のギア類を収容するギアボックス24となっている(図8参照。)。
【0051】
図10に示すように、ギアボックス24には、移動機構4の一部となるモータ41と複数のギア42とが設けられている。モータ41は、駆動力を発生する駆動源となり、制御部10の制御により回転する。また、複数のギア42は、モータ41の駆動力を駆動軸43に伝達する。したがって、モータ41が回転すると駆動軸43が回転し、この駆動軸43の回転によりリンクレバー44が回転し、その結果、カメラ3が移動することになる。
【0052】
また、ギアボックス24には、カメラ3の位置を検出する位置センサ32が設けられている。位置センサ32は、例えば、駆動軸43の回転角を検出するロータリーエンコーダであり、駆動軸43の回転角に基づいてカメラ3の位置を検出する。
【0053】
<4.カメラの動き>
次に、移動機構4によって移動されるカメラ3の動きについて説明する。図11は、カメラ3の動きを示す図である。
【0054】
図11の左側の非撮影状態ST1においては、カメラ3はハウジング2の内部の収容位置に収容されている。この非撮影状態ST1において、モータ41が回転すると駆動軸43が図中左回りに回転する。
【0055】
この駆動軸43の回転により、リンクレバー44が駆動軸43を中心に図中左回りに回転し、リンクレバー44がカメラ3の上端部を下側(−Z側)へ押す。押されたカメラ3の回転軸3aは、ガイド溝23aに沿って開口部6の向きへ直線的に移動する。また、カメラ3の係合軸3bがリンクレバー44によって移動され、カメラ3は回転軸3aを中心に図中右回りに回転する。
【0056】
その結果、図11の中央の状態ST12に示すように、カメラ3は、そのレンズ3cが下側(−Z側)へ向くように回転しつつ、全体として開口部6の向きへ移動する。また、カメラ3の下端部が蓋体31の内壁を押圧するため、蓋体31が付勢部材の付勢力に逆らって支持軸29を中心に回転して開口部6を開ける。
【0057】
図11の中央の状態ST12から駆動軸43が図中左回りにさらに回転すると、リンクレバー44が駆動軸43を中心に回転し、カメラ3の上端部をさらに下側(−Z側)へ押す。押されたカメラ3の回転軸3aはガイド溝23aに沿って開口部6の向きへさらに移動するとともに、カメラ3は回転軸3a中心に図中右回りにさらに回転する。これにより、蓋体31が開口部6を大きく開け、カメラ3のレンズ3cが完全に外部に露出する。その結果、図11の右側に示すように、カメラ3は撮影位置に移動し、車載電子装置1は撮影状態ST2となる。
【0058】
また逆に、撮影状態ST2において、駆動軸43が図中右回りに回転すると、リンクレバー44が駆動軸43を中心に図中右回りに回転し、リンクレバー44がカメラ3の上端部を上側(+Z側)へ引く。これにより、カメラ3が上述した動きとは逆の動きを行い、最終的に図11の左側に示すようにカメラ3が収容位置に移動し、車載電子装置1は非撮影状態ST1となる。この際、蓋体31は、付勢部材の付勢力により開口部6を閉じる。
【0059】
このように、移動機構4は、カメラ3を回転軸3aで回転させつつ、回転軸3aを直線的に移動する。このため、カメラ3を単純に直線的に移動させる場合と比較して、カメラ3を収容するために必要なスペースを小さくすることができる。
【0060】
<5.オープナスイッチの作動>
次に、オープナスイッチ5の作動について説明する。前述のように、オープナスイッチ5は、ユーザがスイッチノブ51の主面を下側(−Z側)から押圧した場合に作動する。また、非撮影状態ST1においては、オープナスイッチ5は、ユーザが蓋体31の主面を下側(−Z側)から押圧した場合においても作動するようになっている。
【0061】
図12に示すように、蓋体31の支持軸29とは逆側の端部においては、支持軸29とは逆側に突出した当接部31aが設けられている(図4図5も併せて参照。)。車載電子装置1の非撮影状態ST1においては、この蓋体31の当接部31aは、スイッチノブ51の内部に設けられた当接部51aに対向して配置される。
【0062】
ユーザが蓋体31の主面を下側(−Z側)から押圧した場合は、蓋体31の当接部31aがスイッチノブ51の当接部51aに接触し、蓋体31がスイッチノブ51を上側(+Z側)に押圧する。これにより、蓋体31とスイッチノブ51とが一体的に支持軸29を中心に回転する。その結果、スイッチノブ51の後端が上側(+Z側)に移動し、オープナスイッチ5を作動させる。
【0063】
このようにユーザは、カメラ3が移動する開口部6を開閉する蓋体31を押圧することで、オープナスイッチ5を作動させてトランクリッド99を開けることができる。したがって、車載電子装置1がオープナスイッチ5とカメラ3との双方を一体的に備えた場合であっても、ユーザはオープナスイッチ5を通常どおり作動させることができる。
【0064】
また、ユーザは、車載電子装置1は底面1aとなるスイッチノブ51と蓋体31とのいずれを押圧したとしても、オープナスイッチ5を作動させてトランクリッド99を開けることができる。一般に、車載電子装置1の底面1aは視認しにくいが、ユーザは、スイッチノブ51と蓋体31とを意識せずに、オープナスイッチ5を作動させることができる。
【0065】
<6.車載電子装置の取り付け>
次に、車載電子装置1の車両9への取り付けについて説明する。図13は、ブラケット7の斜視図である。また、図14は、図13のXIV−XIV線で示す位置のブラケット7の断面図である。
【0066】
これらの図に示すように、ブラケット7の内部には開口部72が形成され、この開口部72にはゴムなどの弾性体で構成されるシール部材71が設けられている。シール部材71は、ブラケット7の開口部72に対向する対向面、及び、対向面に隣接する部分の全体を覆っている。
【0067】
図15に示すように、ブラケット7は、開口部72にハウジング2の一部を挿入した状態で、ハウジング2に取り付けられる。ブラケット7は、ハウジング2から周囲に突出して形成されたフランジ部27にネジなどの締結具などで固定される。ブラケット7とハウジング2との間にはシール部材71が介挿されるため、ブラケット7とハウジング2との間への浸水が防止される。
【0068】
さらに、図16に示すように、車両9の車両用バックパネル91の開口部91aにハウジング2の一部を挿入した状態で、ブラケット7がネジなどの締結具などで車両用バックパネル91に取り付けられる。これにより、車載電子装置1が車両9へ固定される。ブラケット7と車両用バックパネル91との間にはシール部材71が介挿されるため、ブラケット7と車両用バックパネル91との間への浸水が防止される。その結果、車両用バックパネル91の開口部91aから車両9の内部への浸水が防止される。
【0069】
以上のように、本実施の形態の車載電子装置1は、車両9の外部の画像を取得するカメラ3と、カメラ3を収容する収容部23と、収容部23の内部と外部とを連通する開口部6を開閉する蓋体31とを備えている。また、車載電子装置1は、蓋体31の押圧に応じて作動して作動時にトランクリッド99を開ける開放信号を送出するオープナスイッチ5をさらに備えている。
【0070】
ユーザは、開口部6を開閉してカメラ3を保護する蓋体31を押圧することで、オープナスイッチ5を作動させてトランクリッド99を開けることができる。このため、一つの車載電子装置1が、オープナスイッチ5とカメラ3との双方を一体的に備えることができる。そして、車載電子装置1を車両9に配置することでオープナスイッチ5とカメラ3とを車両9の同一位置にコンパクトに配置することができる。その結果、車載電子装置1の近傍に他の部品を配置するスペースを確保できるとともに、オープナスイッチ5とカメラ3との双方を理想位置である車両9の後部の左右中央に配置できる。
【0071】
また、車載電子装置1は、上側(+Z側)に移動してオープナスイッチ5を作動させるスイッチノブ51を備えている。また、蓋体31は押圧されるとスイッチノブ51を押圧し、スイッチノブ51を上側(+Z側)に移動させる。このため、ユーザは、スイッチノブ51と蓋体31とのいずれを操作しても、オープナスイッチ5を作動させることができる。したがって、ユーザは、スイッチノブ51と蓋体31とを意識せずに、オープナスイッチ5を作動させることができる。
【0072】
<7.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0073】
上記実施の形態では、蓋体31を押圧した場合に蓋体31とスイッチノブ51とが一体的に移動していた。これに対して、蓋体31を押圧した場合に蓋体31のみが移動し、蓋体31がオープナスイッチ5を押圧してオープナスイッチ5を作動させるようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、蓋体31とスイッチノブ51とが別の部材として構成されていたが、蓋体の外縁を上記実施の形態のスイッチノブ51の外縁と略同一とし、蓋体がスイッチノブの機能を兼ねるようにしてもよい。この場合は、カメラ3が撮影位置に移動する際に、スイッチノブの機能を兼ねる蓋体全体が回転し、収容部の内部と外部とを連通する開口部が開放される。
【0075】
また、上記実施の形態では、ハウジング2の下部にオープナスイッチ5が配置されていたが、ハウジング2とは独立してオープナスイッチ5を設けてもよい。この場合は、例えば、蓋体31を押圧した場合にハウジング2の全体が移動し、ハウジング2の一部がオープナスイッチ5を押圧してオープナスイッチ5を作動させるようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、オープナスイッチ5はトランクリッド99を開けるものであると説明した。これに対して、オープナスイッチ5は、ステーションワゴン車におけるテールゲート、ハッチバック車におけるバックドアなど、他の態様の車両の荷室の開閉体を開けるものであってもよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、車載電子装置1は車両9の後部に配置されるものであったが、車両9の他の部位に配置されるものであってもよい。例えば、車載電子装置1は、車両9の前部に配置されるものであってもよい。この場合は、例えば、カメラ3は車両9の前方の画像を取得し、オープナスイッチ5は車両9の前部荷室の開閉体を開ける信号を送出する。
【0078】
また、上記実施の形態では、スイッチノブ51は上側(+Z側)に移動してオープナスイッチ5を作動させるものであったが、上側以外の所定方向に移動してオープナスイッチ5を作動させるものであってもよい。
【0079】
また、上記実施の形態では、移動機構4がカメラ3を回転させつつ直線的に移動させていた。これに対して、移動機構は、カメラ3を回転させるのみであってもよく、カメラ3を直線的に移動させるのみであってもよい。また、移動機構が、カメラ3を移動させずに、蓋体31のみを開閉させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 車載電子装置
3 カメラ
4 移動機構
5 オープナスイッチ
6 開口部
7 ブラケット
23 収容部
24 ギアボックス
31 蓋体
3a 回転軸
51 スイッチノブ
99 トランクリッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
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図15
図16