特許第6484071号(P6484071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484071
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20190304BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G01B11/25 H
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-47191(P2015-47191)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-166811(P2016-166811A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】山下 龍麿
(72)【発明者】
【氏名】染野 義博
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/091306(WO,A1)
【文献】 特表2006−505784(JP,A)
【文献】 特開2012−237604(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0236288(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/011179(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01C 3/00 − 3/32
G01N 21/84 − 21/958
G06T 1/00 − 1/40
G06T 3/00 − 9/40
H04N 5/222 − 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光源と、前記光源から出射された光を被測定物体に照射する照射光学系と、被測定物体から反射された反射光を撮像する受光素子と、前記受光素子が受光した前記反射光に基づいて被測定物体を検出する検出部と、を備え、
前記照射光学系は、前記光源から出射される光を、間隔の異なる少なくとも2種類の規則的なパターンに変換して基準面の同じ領域に与える変換手段を有し、
前記少なくとも2種類のパターンが、被測定物体の形状を検出するためのパターンと、被測定物体の移動情報を検出するためのものであって形状の検出のための前記パターンの間隔よりも大きな間隔を有するパターンと、を含むことを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記少なくとも2種類のパターンは、いずれもドットパターンであって、前記ドットパターンを構成するドットの特性値が、パターンの種類ごとに異なることを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記少なくとも2種類のパターン、ドットパターンとラインパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記ドットパターンのドットと前記ラインパターンのラインは特性値が互いに異なることを特徴とする請求項3に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記特性値は、輝度、ドット径、形状、明度、色相、波長、及び位相のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記光源は1つであり、前記変換手段は、入射光を回折させる回折格子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物体検出装置。
【請求項7】
前記光源から出射された光を分割する光分割手段を備え、前記光分割手段によって分割された光が、複数の前記回折格子にそれぞれ入射することを特徴とする請求項6に記載の物体検出装置。
【請求項8】
前記光分割手段はビームスプリッタであることを特徴とする請求項7に記載の物体検出装置。
【請求項9】
前記回折格子は、入射光を回折させて互いに異なる複数のパターンを生成することを特徴とする請求項6に記載の物体検出装置。
【請求項10】
前記光源は2つであり、前記変換手段は、2つの前記光源からの入射光をそれぞれ回折させる2つの回折格子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の物体検出装置。
【請求項11】
前記回折格子はホログラム素子であることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドットパターンを有する測定光を被測定物体に照射し、この反射光に基づいて被測定物体を検出する物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、コヒーレント光源を使用して被測定物体を検出する物体検出装置に関する発明が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された物体検出装置は、コヒーレント光源から生成されたランダムスペックルパターンが照明領域に照射され、照明領域からの光応答が画像化ユニットで検出される。被測定物体が照明領域に移動したときに得られるパターン画像と、被測定物体が存在していないときのランダムスペックルパターンの参照画像とでスペックルパターンのずれを検出し、三次元測量法を利用して、被測定物体の三次元マップを構築する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5001286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の物体検出装置においては、被測定物体の形状を詳細に検出しようとすればするほど、ドットパターンの密度を高める必要がある。しかし、ドットパターンの密度を高めた場合、検出すべきドットの数が多くなることから、処理負荷が大きくなってしまっていた。さらに、このような高密度のドットパターンを用いて、被測定物体の移動を検出すると、検出ドット数が多いために被測定物体の移動速度に処理が追いつかず、例えば移動速度を検出することができない等の問題点があった。このように、物体検出装置においては、測定したい項目によって最適なドットパターンは異なってくるが、従来の物体検出装置においては、それぞれの項目に応じた最適なドットパターンを用意することができなかった。
【0006】
そこで本発明は、複数の検出項目に応じた複数のパターンを有する測定光を被測定物体に照射することのできる物体検出装置を提供することを目的とする。さらには、本発明は、複数のドットパターンを同時に照射することが可能な物体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本発明の物体検出装置は、少なくとも1つの光源と、光源から出射された光を被測定物体に照射する照射光学系と、被測定物体から反射された反射光を撮像する受光素子と、受光素子が受光した反射光に基づいて被測定物体を検出する検出部と、を備え、前記照射光学系は、前記光源から出射される光を、間隔の異なる少なくとも2種類の規則的なパターンに変換して基準面の同じ領域に与える変換手段を有し、前記少なくとも2種類のパターンが、被測定物体の形状を検出するためのパターンと、被測定物体の移動情報を検出するためのものであって形状の検出のための前記パターンの間隔よりも大きな間隔を有するパターンと、を含むことを特徴としている。
これにより、検出項目ごとに最適なパターンの光を用いることができるため、各項目について高い検出精度で、過剰な処理負担をかけずに検出処理を行うことができる。異なるパターンの光を同時に照射できるため、被測定物体の検出を効率的に行うことができる。
【0008】
(2)本発明の物体検出装置において、少なくとも2種類のパターンは、いずれもドットパターンであって、構成するドットの特性値が互いに異なることが好ましい。
これにより、少なくとも2種類のパターンを明確に判別することができるため、被測定物体の検出を正確に行うことができる。
【0009】
(3)本発明の物体検出装置において、少なくとも2種類のパターンは、ドットパターンとラインパターンであることが好ましい。
これにより、検出項目に最適なパターンを選ぶことが可能となるため、検出精度の向上を図ることができる。
【0010】
(4)本発明の物体検出装置において、ドットパターンのドットとラインパターンのラインは特性値が互いに異なることが好ましい。
これにより、ドットパターンとラインパターンを明確に判別することができるため、被測定物体の検出を正確に行うことができる。
【0011】
(5)上記(2)又は(4)において、特性値は、輝度、ドット径、形状、明度、色相、波長、及び位相のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
これにより、測定条件等に合わせて、パターンの識別が容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
(6)本発明の物体検出装置において、光源は1つであり、変換手段は、入射光を回折させる回折格子であることが好ましい。
【0013】
(7)上記(6)において、光源から出射された光を分割する光分割手段を備え、光分割手段によって分割された光が、複数の回折格子にそれぞれ入射することが好ましい。
複数のパターンを、分割した光ごとに生成することにより、生成するパターンやその特性値の自由度が高まるため、検出項目に最適なパターンを生成することができる。
【0014】
(8)上記(7)において、光分割手段はビームスプリッタであることが好ましい。
【0015】
(9)上記(6)において、回折格子は、入射光を回折させて互いに異なる複数のドットパターンを生成することが好ましい。
1つの回折格子で複数のパターンを生成できるため、簡便かつ小型の装置を実現することができる。
【0016】
(10)本発明の物体検出装置において、光源は2つであり、変換手段は、2つの光源からの入射光をそれぞれ回折させる2つの回折格子であることが好ましい。
光源ごとに複数のパターンを生成するため、生成するパターンやその特性値の自由度が高まるため、検出項目に最適なパターンを生成することができる。
【0017】
(11)上記(10)において、回折格子はホログラム素子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、複数の検出項目、例えば被測定物体の形状と移動情報に応じた複数のパターンを有する測定光を被測定物体に照射することのできる物体検出装置を提供することができる。さらに、本発明によれば、複数のドットパターンを同時に照射することが可能な物体検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態における光源及び照射光学系を示す平面図である。
図2】第1実施形態における受光素子を有する撮像部材、フレームメモリ、画像分析部、及び判別部の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態における基準面に形成されるパターンを示す説明図である。
図4】基準面に形成されるパターンの別の例を示す説明図である。
図5】基準面に形成されるパターンのさらに別の例を示す説明図である。
図6】第1実施形態の変形例における光源及び照射光学系を示す平面図である。
図7】第2実施形態における光源及び照射光学系を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る物体検出装置について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0021】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る物体検出装置は、図1に示す照射光学系20及び基準面11と、図2に示す、撮像部材31、フレームメモリ32、画像分析部33、及び判別部34と、を備える。図1に示す基準面11は平面であるが、基準面11は凹凸を有するものであってもよい。図1には、基準座標としてX−Y−Z座標が示されている。X−Y面は基準面11と平行な面であり、X−Z面は基準面11と垂直な平面である。
【0022】
照射光学系20は、コヒーレント光源であるレーザー光源21と、レーザー光源21から発せられる発散光束21Lを平行光束22Lに変換するコリメートレンズ22と、コリメートレンズ22で変換された平行光束22Lを2つの光束に分割するビームスプリッタ23と、ビームスプリッタ23で分割された2つの平行光束23L1、23L2がそれぞれ入射する2つの透過型のホログラム素子24a、24bとを有している。
【0023】
レーザー光源21は、人が目視できない近赤外線の波長領域のレーザー光を発する。あるいは、可視光のレーザー光を発するものであってもよい。
【0024】
ビームスプリッタ23は、ハーフミラー23aと全反射ミラー23bを有する。ハーフミラー23aは、コリメートレンズ22から入射した平行光束22Lの一部の光を透過させて平行光束23L1として射出するとともに、残りの光を全反射ミラー23b側へ反射する。全反射ミラー23bは、ハーフミラー23aからの入射光を全て反射して平行光束23L2として射出する。
【0025】
ホログラム素子24a、24bは、位相型の回折格子であり、入射光を所定のパターンに変換する変換手段として、平行光束23L1、23L2をそれぞれ回折させて、測定光として所定の発散角度を有する照射光束24L1、24L2をそれぞれ形成し、これらを基準面11に略同時に与える。照射光束24L1、24L2が基準面11に照射されると、基準面11に、2つの規則的なドットパターンが投影される。このドットパターンは、例えば図3に示すように、六角格子の頂点に配置されたドット41(黒い丸印)によるパターン41aや、このパターン41aよりも大きな六角格子の頂点に配置されたドット42(白抜きの丸印)によるパターン42aや、さらに大きな六角格子の頂点に配置されたドット43(ハッチングのついた四角印)によるパターン43aである。
【0026】
また、ドットパターンとしては、図4に示すように、行方向と列方向へ一定のピッチdで並ぶ正方格子の交点に配置した、第1ドット51(黒い丸印)と第2ドット52(白抜きの丸印)として配置してもよい。図4に示す第2ドット52は、2つの第1ドット51ごとに配置されており、行方向と列方向へ一定のピッチd’で並んでいる。したがって、第2ドット52のピッチd’は第1ドット51のピッチdの3倍となる。
【0027】
さらにまた、ホログラム素子24a、24bは、ドットパターンに代えて、又はドットパターンに加えて、規則的な形状を有するラインパターンを用いることもできる。例えば図5に示すように、一定のピッチで配置されたドットパターン61と、六角格子状のラインパターン62を基準面11上に形成してもよい。
【0028】
以上のようなドットパターンやラインパターンの形状・大きさ・間隔等は、ホログラム素子24a、24bにおける回折面の構造等によって任意に形成することができる。
【0029】
ここで、ドットパターンやラインパターンにおける「規則的」とは、いずれか1つのドット又はラインに着目したときに、そのドット(ライン)とそれぞれの方向で隣接するドット(ライン)との方向ならびに距離の相対関係が、他の全てのドット(ライン)において同じである関係を意味している。
【0030】
基準面11に投影される2つのドットパターンは、2つのホログラム素子24a、24bの回折面の構成を互いに異ならせることによって、特性値としての、基準面11における輝度が異なっている。この輝度の差は、検出環境や被測定物体の形状・色等によって生じる反射光の強度の変化に影響を受けない程度の大きさであることが好ましく、例えば、一方のパターンを構成するドットの輝度を他方のパターンを構成するドットの輝度の1.5〜10倍とするとよい。
【0031】
また、2つのドットパターンは、構成するドットが有する特性値として、輝度に代えて、又は、輝度に加えて、ドット径、形状、明度、色相、波長、及び位相のうち少なくとも1つ異ならせてよい。例えば、ホログラム素子24a、24bの出射面近傍にフィルタを設け、このフィルタを通してホログラム素子24a、24bからの出射光を基準面11にそれぞれ照射することによって、ドット径・形状・明度・色相・波長等に違いを生成することができる。
【0032】
照射光学系20と基準面11の間に被測定物体、例えば人の手が入ると、照射光束24L1、24L2が被測定物体によって反射される。この反射光は、図2に示すように、撮像部材31に入射し、撮像部材31が有する受光素子によって撮像される。受光素子としては、CCD(電荷結合素子)、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)等を使用する。撮像部材31は、物体の検出精度、検出手法等に応じて、照射光学系20に対して任意の位置に配置することができる。すなわち、撮像部材31と照射光学系20の光軸が略同一になるように配置してもよいし、一定の角度を持つように配置してもよい。
【0033】
図2に示すように、撮像部材31では、取得された画像がフレーム(コマ)毎にフレームメモリ32に蓄積される。フレームメモリ32には複数のフレーム分の画像が蓄積され、新たなフレームの画像が入力されると、最も古いフレームの画像が廃棄される。
【0034】
フレームメモリ32に蓄積された画像は、フレーム毎に画像分析部33に送られ、前後のフレームの画像を比較してどのドット像が移動したかが分析され、分析結果が判別部34に送られる。ここで、画像分析部33と判別部34は、受光素子が受光した反射光に基づいて、被測定物体の形状や移動情報を検出する検出部を構成する。
【0035】
判別部34は、画像分析部33から出力された画像について、予め定めた閾値に基づいて、輝度の異なる2つのドットパターン、例えば図3のドット41によるパターン41aとドット42によるパターン42aを判別する。
【0036】
判別部34は、2つのドットパターン41a、42aの判別後に、小さなドットパターン41aにおける反射光に基づいて被測定物体の形状を検出し、大きなドットパターン42aにおける反射光に基づいて被測定物体の移動情報を検出する。ここで、移動情報は、ドットパターン42aの複数のドット42のそれぞれについての、基準面11に対応する平面内での移動量や移動方向を含む。
【0037】
なお、検出に用いる2つのドットパターンの組み合わせは、上述の2つのドットパターン41a、42aに限定されず、例えば、被測定物体の形状の検出のために、ドットパターン41aを用い、被測定物体の移動情報の検出のために、ドットパターン41aより大きなドットパターン43aを用いても良い。
【0038】
このように、移動情報を検出するためのドットパターン42aのドット間隔を、被測定物体の形状を検出するためのドットパターン41aのドット間隔よりも大きくしたことにより、被測定物体が所定量、例えばドット41の間隔よりも大きな量より大きく移動した場合でも被測定物体の移動情報を確実に検出することができる。
【0039】
ここで、図4に示すドットパターンを用いる場合には、ドット間隔の小さな第1ドット51における反射光を用いて被測定物体の形状を検出し、ドット間隔の大きな第2ドット52における反射光を用いて被測定物体の移動情報を検出すると、図3に示すドットパターンを用いた場合の効果を得ることができる。
【0040】
また、図5に示すドットパターンとラインパターンを用いる場合には、面積の小さなドットパターン61における反射光を用いて被測定物体の形状を検出し、広い範囲に渡って配置されたラインパターン62における反射光を用いて被測定物体の移動情報を検出すると、図3に示すドットパターンを用いた場合の効果を得ることができる。
【0041】
第1実施形態の物体検出装置では、基準面11にドットパターンが投影されている状態で、撮像部材31で画像が取得される。その画像は、1フレーム毎にフレームメモリ32に蓄積され、画像分析部33では、前後のフレームの画像を比較してどのドットが移動したかが分析される。ドットの移動の分析としては、例えば第1フレームに続いて第2フレームの画像が取得される間に、照射光学系20と基準面11の間に被測定物体が入ったり、照射光学系20と基準面11の間にあった被測定物体が移動したことによるドット像の移動が、第1フレームにおけるドット像上を通るエピポーラ線上で起きることを利用して、エピポーラ線上におけるドットの移動距離に基づいて行う。
【0042】
以下に変形例について説明する。
図1に示す物体検出装置では、照射光学系20のビームスプリッタ23によって平行光束22Lを2つの光束に分割し、これらの光束を用いて2つのドットパターンを生成していたが、これに代えて、図6に示すように1つのホログラム素子123によって2つのドットパターンを生成する。なお、被測定物体からの反射光の受光や被測定物体の検出については、上述の実施形態と同様に、図2に示す、撮像部材31、フレームメモリ32、画像分析部33、及び判別部34によって行う。
【0043】
本変形例に係る物体検出装置は、図1に示す照射光学系120と基準面111を備える。基準面111は、図1の基準面11と同様の構成である。この照射光学系120は、コヒーレント光源であるレーザー光源121と、レーザー光源121から発せられる発散光束121Lを平行光束122Lに変換するコリメートレンズ122と、コリメートレンズ122で変換された平行光束122Lが入射する透過型のホログラム素子123とを有している。
【0044】
ホログラム素子123は位相型の回折格子であり、入射光を所定のパターンに変換する変換手段として、平行光束122Lを回折させて、測定光として所定の発散角度を有する照射光束123Lを生成し、基準面111に与える。照射光束123Lが基準面111に照射されると、基準面111に、複数のドット又はラインが略同時に投影される。このドットやラインは、図3図4、又は図5に示すような、複数の規則的なパターンを形成する。これらの複数のパターンは特性値、例えば輝度が互いに異なる。この複数のパターンは、ホログラム素子123の回折面の構成を異ならせることによって、特性値を異ならせている。パターンが2つである場合、ホログラム素子123は、回折面として、あるドットパターンに対応した第1の格子形状と、別のドットパターンに対応した第2の格子形状とを備えている。
【0045】
本変形例によれば、図1に示す照射光学系20よりも簡易かつ小型の構成を実現することができる。
【0046】
<第2実施形態>
つづいて、本発明の第2実施形態について図7を参照しつつ説明する。第2実施形態においては、光源が2つ設けられている点が第1実施形態と異なる。被測定物体からの反射光の受光や被測定物体の検出については、第1実施形態と同様に、図2に示す、撮像部材31、フレームメモリ32、画像分析部33、及び判別部34によって行うため、それらの詳細な説明は省略する。
【0047】
第2実施形態に係る物体検出装置は、図7に示す、2つの照射光学系220、230、ハーフミラー240、及び、基準面211と、図2に示す、撮像部材31、フレームメモリ32、画像分析部33、及び判別部34と、を備える。基準面211は、図1に示す基準面11と同様の構成である。
【0048】
第1照射光学系220は、コヒーレント光源である第1レーザー光源221と、第1レーザー光源221から発せられる発散光束221Lを平行光束222Lに変換する第1コリメートレンズ222と、第1コリメートレンズ222で変換された平行光束222Lが入射する第1マスク223と、第1マスク223から射出された光束が入射する透過型の第1ホログラム素子224とを有している。第1マスク223は、出射光が第1ホログラム素子224の所定の位置に入射するように、入射した平行光束222Lの一部を遮蔽して、残りを透過させる。
【0049】
第2照射光学系230は、第1照射光学系220と同様の構成であって、第1レーザー光源221、第1コリメートレンズ222、第1マスク223、及び第1ホログラム素子224にそれぞれ対応する、第2レーザー光源231、第2コリメートレンズ232、第2マスク233、及び第2ホログラム素子234を備える。第2照射光学系220の光軸230aは、第1照射光学系220の光軸220aと直交し、基準面211は第1照射光学系220の光軸220aに直交するように配置されている。
【0050】
レーザー光源221、231は、人が目視できない近赤外線の波長領域のレーザー光を発する。あるいは、可視光のレーザー光を発するものであってもよい。ホログラム素子224、234は、位相型の回折格子であり、入射光を所定のパターンに変換する変換手段として、入射した平行光束をそれぞれ回折させて、測定光として所定の発散角度を有する照射光束をそれぞれ生成する。
【0051】
第1ホログラム素子224で生成された照射光束はハーフミラー240を透過して基準面211に照射される。第2ホログラム素子234で生成された照射光束はハーフミラー240で全反射されて基準面211に照射される。これらの照射光束により、基準面211に、2つの規則的なパターンが投影される。このパターンは、例えば図3図4、又は図5に示されるような、ドットパターンやラインパターンである。
【0052】
基準面211に投影される2つのパターンは、2つのホログラム素子224、234の回折面の構成を互いに異ならせることによって、第1実施形態と同様に、特性値としての、基準面211における輝度が異なっている。
【0053】
また、2つの照射光学系220、230からの光束の出射は、検出項目の処理のタイミング等に合わせて、同時に行ってもよいし、時間をずらして行ってもよい。
【0054】
なお、その他の構成、作用、効果は第1実施形態と同様である。また、照射光学系は3つ以上設けても良く、照射光学系ごとに生成するパターン、及び、パターンを構成するドット又はラインの特性値を異ならせても良い。
【0055】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明に係る物体検出装置は、被測定物体の形状だけでなく移動情報等の検出に有用である。
【符号の説明】
【0057】
11、111、211 基準面
20、120 照射光学系
21、121 レーザー光源
22、122 コリメートレンズ
23 ビームスプリッタ
23a ハーフミラー
23b 全反射ミラー
24a、24b、123 ホログラム素子
31 撮像部材
32 フレームメモリ
33 画像分析部
34 判別部
41、42、43 ドット
41a、42a、43a ドットパターン
51 第1ドット
52 第2ドット
61 ドットパターン
62 ラインパターン
220 第1照射光学系
221 第1レーザー光源
222 第1コリメートレンズ
223 第1マスク
224 第1ホログラム素子
230 第2照射光学系
231 第2レーザー光源
232 第2コリメートレンズ
233 第2マスク
234 第2ホログラム素子
240 ハーフミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7