(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の磁気抵抗素子および前記第2の磁気抵抗素子のそれぞれは、直列および/または並列な1つ以上のMTJ素子を備える、請求項1に記載の磁気抵抗スイッチセンサ。
前記プッシュプルハーフブリッジの感度方向は、前記第1の磁気抵抗素子および前記第2の磁気抵抗素子の固定層の磁気モーメントの方向に平行である、請求項1に記載の磁気抵抗スイッチセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の図は、本発明の具体的な実施例を明瞭かつ完全に説明することで、本発明の技術的解決策の実施を明らかにする。
【0022】
実施の例
図1に示されるとおり、MTJ磁気トンネル接合構造は、ナノスケールの多層膜によって形成され、すなわち反強磁性層1と、磁性固定層2と、非磁性酸化物層3と、磁性自由層4とで形成される。磁性固定層2の磁気モーメント5の向きは、磁性自由層4の磁気モーメント6の向きに対して垂直または角度を有する。磁性自由層4の磁気モーメント6の向きは、外部磁界7の大きさおよび向きに依存する。MTJ構造の機構は、下記に示され、すなわちMTJ構造の抵抗は、磁性固定層2の磁気モーメント5の向きと磁性自由層4の磁気モーメント6の向きとの間の角度に依存する。磁性自由層4の磁気モーメント6の向きが外部磁界7のもとで回転するとき、構造の抵抗も変化する。
【0023】
図2に、外部磁界7が磁性固定層2に平行であり、印加磁界の強度がH1よりも大きい場合、磁性自由層4の向きも外部磁界7に平行であることが示されている。したがって、磁性自由層4は、磁性固定層2に平行である。この状況において、MTJ構造は、最小の抵抗を示す。外部磁界7が磁性固定層2に逆平行であり、印加磁界の強度がH2よりも大きい場合、磁性自由層4の向きも外部磁界7に逆平行である。したがって、磁性自由層4は、磁性固定層2に逆平行である。この状況において、MTJ構造は、最大の抵抗を示す。H1とH2との間の磁界範囲が、MTJの測定範囲である。
【0024】
本発明は、磁性自由層の磁気モーメントの方向をバイアスするために、以下のやり方または以下のやり方の組み合わせを使用する。磁性自由層の磁気モーメントの以下の向きは、磁性固定層の磁気モーメントの向きに対して垂直または或る角度にあり、磁性固定層の磁気モーメントの向きと引き付け合い、反強磁性材料の薄い層を自由層の上方または下方に配置することで、磁気モーメントの方向が交換結合によってバイアスされ、磁気モーメントの方向が、磁性自由層と磁性固定層との間のネール(Neel)結合によってバイアスされ、電流コイルのセンサとの一体化によって、磁気モーメントの方向が、同じ方向の順電流によってバイアスされ、磁気モーメントの方向が、近傍の永久磁石によってバイアスされる。
【0025】
図3に、第1の磁気抵抗素子11と、第2の磁気抵抗素子12と、ASIC(特定用途向け集積回路)チップ13とを備える先行技術のプッシュプル磁気抵抗スイッチセンサが示されている。ASICならびに第1の磁気抵抗素子11および第2の磁気抵抗素子12が、アセンブリを形成しており、2つの磁気抵抗素子11および12は、プッシュプルハーフブリッジ回路を形成するようにも接続されている。11および12の検出素子は、直列および/または並列な1つ以上のMTJ磁気抵抗素子によって構成される。MTJ磁気抵抗素子は、強磁性自由層および強磁性固定層を含む多層のナノスケール構造である。2つのMTJ素子の内部の自由層の磁気モーメント121および122は、逆平行な向きに設定される。同様に、2つのMTJ素子の内部の固定層の磁気モーメント111および112も、逆平行な向きに設定される。固定層の磁気モーメント111および固定層の磁気モーメント112は、各々のMTJ素子において自由層の磁気モーメント121および自由層の磁気モーメント122の方向に対して垂直に回転させられる。プルプッシュハーフブリッジ回路の検出方向70は、固定層の磁気モーメント11および12に平行である。外部磁界が検出方向70に沿って加えられるとき、一方の磁気抵抗素子の磁気モーメントは、外部磁界および固定層に平行になろうとし、したがって抵抗が小さくなる。一方で、他方の磁気抵抗素子の磁気モーメントは、固定層に逆平行になろうとし、したがって抵抗が大きくなり、結果としてプッシュプルの出力V
OUT(残りのすべての図では、V
OUT=V
Bridge)がもたらされる。出力曲線が、
図4に示されている。
【0026】
対応するASICチップ13が、pa定常電圧V
DD(残りの図では、V
Bias)をもたらすとともに、プッシュプルハーフブリッジ出力電圧信号をスイッチング信号へと変換するために、プッシュプルハーフブリッジと接続される。ASICチップ13は、種々のスイッチ信号出力信号の種々の技術的要件に応じて様々であってよい。ASICチップ13を、
図8に示されるような両極性(bipolar)のスイッチング信号、
図9に示されるような単極性(unipolar)の出力信号、または
図11に示されるような全極性(omnipolar)のスイッチング信号を出力するように構成することができる。
【0027】
以上の例ならびに
図1、
図2、および
図3は、詳細な背景情報として提示されており、参照として本明細書に含められる中国特許出願第201110125153.5号からのものである。
【0028】
高い温度および低い温度の両方の場合におけるプッシュプルハーフブリッジ出力電圧と印加磁界との間の関係が、
図4の曲線に示されており、この実施形態の磁気抵抗スイッチセンサにおいて、高い温度および低い温度の範囲が、動作を制限する。この例では、高い温度は100℃であって、HTで示されており、低い温度は0℃であって、LTで示されている。
図4において、曲線35は
図2の曲線に相当するが、
図4の曲線は、検出軸7に対して素子の固定方向が180度回転させられている。結果として、プッシュプルハーフブリッジの第1の磁気抵抗素子11は、負の勾配を有する磁気抵抗伝達曲線を有し、プッシュプルハーフブリッジの第2の磁気抵抗素子12は、正の勾配を有する磁気抵抗伝達曲線を有し、したがって
図4において、プッシュプルハーフブリッジの出力V
Bridgeの伝達曲線は、中間点V
Mid24においてバランスし、V
Bridgeは、この関係ゆえに、印加磁界に対して正の勾配を有する。
【0029】
低い温度におけるプッシュプルハーフブリッジ出力電圧V
Bridgeが、実線の曲線21によって示されており、曲線21から出力20を見て取ることができ、出力電圧V
Bridgeは、最小値V
MinLT23を有し、最大値V
MaxLT25まで次第に増加する。第1のプッシュプルハーフブリッジ磁気抵抗素子11および第2の磁気抵抗素子12は、負の抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)および対応する負の抵抗感度温度係数(TCRS:Temperature Coefficient of Resistance Sensitivity)を有している。プッシュプルブリッジ構造を使用するとき、対応する電圧感度温度係数(TCV)は、−1000ppm/℃である。これは、V
biasおよび印加磁界7が同じでも、100℃を超える温度差で、V
Bridgeが−10%変化することを意味している。V
Bridgeについて、高い温度における曲線が、破線の曲線22として描かれており、曲線22は、最小値V
MinHT26から最大値V
MaxHT27に至る。V
biasの半分に曲線の中間点が位置し、V
Mid24である。V
biasの典型的な値は1ボルトであり、したがってV
Midは0.5Vである。
【0030】
後述される比較器回路の出力は、
図4の電圧信号、すなわちプッシュプルハーフブリッジ87がもたらす出力電圧V
Bridge、および内部電圧基準回路がもたらす別の電圧、すなわち基準電圧V
Refである比較器回路の入力における2つの電圧入力信号に依存する。V
Refの値は、後述されるデジタル制御回路によって制御される。V
Refの値は、後述されるデジタル制御回路によって制御される。V
Refについて考えられる1つの値が、
図4に29として示されている南側電圧動作点(V
OPS)であり、V
Refについて考えられるもう1つの値が、
図4に28として示されている北側電圧動作点(V
OPN)である。低い温度におけるV
Bridgeの曲線21は、印加磁界の値H
OPS−LT30において電圧レベルV
OPS29と交わり、印加磁界の値H
OPN−LT31において電圧レベルV
OPN28と交わる。高い温度におけるV
Bridgeの曲線22は、印加磁界の値H
OPS−HT32において電圧レベルV
OPS29と交わり、印加磁界の値H
OPN−HT33において電圧レベルV
OPN28と交わる。
【0031】
したがって、比較器の回路スイッチング動作は、磁気抵抗ブリッジセンサの動作温度に比例して増加する絶対値の印加磁界において生じる。これが、「出力の温度依存性」と呼ばれ、通常は検出の用途にとって望ましくない影響である。
【0032】
温度補償およびプッシュプルブリッジ回路の詳細な回路図が、
図5に示されている。ブリッジの右半分が、破線の囲み87によって囲まれたプッシュプルハーフブリッジ磁気抵抗センサとして形成されている。このハーフブリッジは、
図4の曲線21に従う出力59(すなわち、V
Bridge)をもたらす特性を有する2つの磁気抵抗素子56および56’を有している。ブリッジの左半分は、破線86によって囲まれ、10個の抵抗器131〜140の直列で形成され、これらの抵抗器131〜140の値が磁界につれて変化することがない分圧器として設定され、破線の輪郭86によって表される回路チップ上にある。内部基準回路が、ハーフブリッジを構成する。内部基準回路86およびプッシュプルハーフブリッジ87が、フルブリッジを形成する。内部電圧基準回路86は、7つの電圧出力を含み、これら7つの電圧出力は、7つの異なる電圧信号を出力し、回路86の内部に、左側から利用することができる9個の電圧出力が存在する。これらのうち、南側電圧動作点(V
OPS)、南側電圧リセット点(V
RPS)、南側電圧スタンバイしきい値(V
STS)、北側電圧スタンバイしきい値(V
STN)、北側電圧リセット点(V
RPN)、および北側電圧動作点(V
OPN)の6個が、スイッチングしきい値として使用され、
図5に示されるとおりの接続ノードから取り出され、もう1つの出力が、電圧中間点(V
Mid)の出力である。2つの破線による囲み86および87は、同じシリコンチップ上に集積されてよい構成要素を有する。あるいは、87は、磁気抵抗素子を含む1つ以上の別のチップであってよい。ワイヤボンドおよび技術的に周知の他の方法が、必要であれば1つのチップから別のチップへの電気的接続を形成するために使用される。ブリッジ全体は、接地とV
bias63との間で動作し、V
bias63は、本特許出願において後述される回路によって制御される固定の電圧である。
【0033】
単極性、両極性、および全極性が、V
RefSおよび磁界スイッチング値について異なる挙動および値を有する磁気抵抗スイッチの3つの種類である。下記の表1に、しきい値の名称および値がまとめられている。示されている値が、あくまでも代表例にすぎず、所与の用途またはユーザの具体的な要件に合うように調節可能であることに、注意すべきである。この一般性は、印加磁界の値が磁気抵抗検出素子11および12の非飽和の有効範囲にあり、V
Refが63(V
Bias)未満である限りにおいて、当てはまる。例えば、両極性の値を取り上げる。H
OPSは、V
biasの59%に設定される。V
Bias=1.0ボルトと仮定すると、H
OPSは590mVである。このスイッチングは、+30Oeという印加磁界の値で生じる。
【0035】
単純な線形関係を通じて、
図4において、出力電圧V
OUTおよび磁界が線形な関係の曲線21を有し、表1の第5列に示されるように磁界(単位は、Oe)からV
Biasのパーセンテージへと変換が可能であることを見て取ることができ、表1の第6列「電圧値(mV)(V
Bias=1.0V)」は、この状況のもとでの条件V
Bias=1Vを示し、電圧値は、異なる基準電圧値において変化する。V
Biasが必ずしも1Vに固定されず、これが典型的な値にすぎないことを、理解することが重要である。表1の第7欄は、必要なスイッチセンサ磁界値の、Oeという典型的な単位による編集である。
【0036】
図6は、両極性および単極性型の磁気抵抗スイッチのためのアナログフィルタおよび比較器段の回路ブロック図である。比較器61は、高利得の増幅器である。比較器61の出力V
A67がHまたは1であるとき、出力電圧V
A67は、ハイ(high)状態にある。比較器61の出力V
A67がLまたは0であるとき、出力電圧V
A67は、ロー(low)状態にある。ハイ状態は、正の入力65に存在する電圧が負の入力66に存在する電圧よりも大きい場合に生じる。V
Aのハイ電圧の値は、V
CC81よりも小さいが、V
CC81にほぼ等しく、ロー電圧は、接地64または0ボルトよりも大きいが、接地64または0ボルトにほぼ等しい。比較器は、正の電源入力62を介して電源V
CCと接続されている。
【0037】
電圧入力は、
図5の電圧基準部86から由来する71’(V
Ref)および右側の磁気抵抗チップ87からの71(V
Bridge)である。V
Refは、
図7に示されるマルチプレクサMUX1 88の状態にもとづいてV
OPまたはV
RPのいずれかであってよい。各々の入力は、標準的なRC低域通過フィルタ72および72’を通過する。各々のフィルタは、抵抗73、73’およびコンデンサ74、74’を有する。3dBのロールオフ周波数が、通常の
周波数F=1/[(2π)×(RC)] 式(1)
によって計算され、ここでRおよびCは、それぞれ抵抗およびコンデンサ(単位は、オームおよびファラッド)である。この製品における典型的なカットオフ周波数は、100kHzである。このフィルタは、いくつかの目的を果たし、すなわち1)高周波雑音信号を取り除き、2)高利得の比較器がV
RefがV
Bridgeに等しく、あるいはV
Bridgeに近い場合に高および低の出力値の間を行き来するスイッチングの「跳ね返り」を軽減する。
【0038】
比較器61およびフィルタ72、72’(まとめて、低域通過フィルタ91と称される)は、ブロック図が
図7に示されるより大きな回路の一部である。電源が、V
CC81と接地64との間に接続される。電圧レギュレータ83が、安定なアナログ電圧バイアス63(V
Bias)を供給する。マルチプレクサ88(MUX1)が、内部基準回路86からの基準電圧出力のうちの1つを低域通過フィルタ91への入力71’と接続するスイッチである。ブリッジ出力V
Bridgeが、低域通過フィルタ91の入力71と接続される。低域通過フィルタ回路91の出力端子と比較器61の入力とが、電気的に接続される。比較器61の出力V
Aが、デジタル制御回路92の入力と接続される。デジタル制御回路92から2つの出力が存在し、一方がMUX1 88であり、他方がラッチおよびドライバ回路93への接続である。次いで、これが、出力段を駆動する。出力段は、大きな電力を使用することなく迅速にスイッチング可能な二連のトランジスタ94および95を有する。回路の出力は、85のV
OUTである。
【0039】
デジタル制御システム92および一連の「論理動作モード」が、本発明の2つの部分である。「論理動作モード」は、以下の特性を有する。
1)「1」および「0」での抽象的な論理または二値表現。
2)デジタルメモリなどにおける同じモードの電子回路表現。
3)特定の「論理動作モード」であることの結果として生じる一連の「電子動作」。最も興味深いデジタル制御システムは、2つ以上の「論理動作モード」を有する。その場合、さらなる要件は、
4)異なるモードの明確に定義された有限集合、および
5)実現されたときに1つのモードから別の明確に定義されたモードへの論理動作モードの切り替わりを生じさせる「トリガ条件」の明確に定義された自己矛盾のない集合である。
【0040】
デジタル制御回路92は、二値モード名の電子表現および論理モードへの進入時に必要な「電子動作」を実行する論理プログラムを含み、「トリガ条件」の具現化時に或るモードから別のモードへのスイッチングを実行するプログラムをさらに含む。
【0041】
図8が、両極性の磁気スイッチセンサについて、出力電圧対印加磁界を示している。
図7に示した磁気抵抗スイッチ回路は、出力対印加磁界7について、2つの形態を生み出すことができる。第1の形態、すなわち両極性が、
図8に示されている。出力が、2つの電圧値V
HIGH103およびV
LOW104の間で切り替わる。スイッチングの推移101および102は、磁界の値H
OPSおよびH
RPNにおいて生じる。この挙動のために、デジタル制御回路92は、V
OPSおよびV
OPNを比較器へと伝えられる2つの基準電圧として選択するためにMUX1 88を使用しなければならない。真理値表が、両極性のスイッチ動作について、下記の表2の上半分に示される。
【0042】
図9が、単極性のスイッチについて、出力電圧対印加磁界を示している。
図7に磁気抵抗スイッチ回路からの出力について考えられる第2の形態は、
図9に示される単極性の形態である。出力が、2つの電圧値V
HIGH103およびV
LOW104の間で切り替わる。スイッチングの推移106および107は、磁界の値H
OPSおよびH
RPSにおいて生じる。この挙動のために、デジタル制御回路92は、V
OPSおよびV
OPSを比較器61へと伝えられる2つの基準電圧として選択するためにMUX1 88を使用しなければならない。単極性のスイッチ動作についての真理値表が、下記の表2の下半分に示される。
【0043】
【表2】
電圧A(VA)の挙動がトリガ条件にマッチするとき、MUX1は、示される基準電圧(V
REF)を維持し、あるいは示される基準電圧(V
REF)へと切り替わる。記号「→」は、値の変化を示している。
【0044】
これまでの回路の例における「論理動作モード」は、2つのモード「0」および「1」あるいは「ハイ」および「ロー」に限られている。これらのモードへの進入時に生じる「電子動作」は、デジタル制御回路92が新たな基準電圧への切り替えのためにMUX1 88を使用することである。「トリガ条件」は、ハイからローまたはローからハイへの比較器61の出力の観察に関して定められる。これらのトリガ条件は、磁気抵抗センサ87のV
Bridgeが比較器61の入力信号のうちの1つであるため、外部から印可される磁界に直接関係する。これらは、「印加磁界トリガ条件」と呼ばれる。
【0045】
図10が、出力電圧と印加磁界との間の関係、抵抗ブリッジの間のプッシュプルを示すグラフである。トンネル磁気抵抗ブリッジセンサ87からの出力V
Bridge59が、曲線21として描かれている。これは
図4の曲線と同じ曲線であるが、ただ1つの温度だけが示されており、より多くのスイッチング磁界しきい値が示されている。曲線21は、H=0の軸について反対称である。電圧中間点V
Mid24は、V
Max25とV
Min23との間のほぼ中間である。比較器が切り替わる磁界の値は、南側Hスタンバイしきい値H
STS41、南側Hリセット点H
RPS43、南側H動作点H
OPS45、北側Hスタンバイしきい値H
STN42、北側Hリセット点H
RPN44、北側H動作点H
OPN46として示されている。
【0046】
図11が、全極性の磁気抵抗スイッチについてV
OUT対出力電圧対印加磁界7を示している。この回路は、両極性および単極性と同じアナログブリッジおよび基準電圧段を使用する。しかしながら、異なる比較器および論理回路が必要とされ、それらは下記の
図12および13に示されている。出力が、2つの電圧値V
HIGH103およびV
LOW104の間で切り替わる。スイッチングの推移47および48は、磁界の値H
OPSおよびH
RPSにおいて生じる。スイッチングの推移47’および48’は、磁界の値H
OPNおよびH
RPNにおいて生じる。この挙動のために、デジタル制御回路192は、V
STS、V
RPS、またはV
OPSを比較器へと伝えられる基準電圧として選択するためにMUX1 188を使用し、V
STN、V
RPN、またはV
OPNを比較器61へと伝えられる基準電圧として選択するためにMUX2 189を使用しなければならない。
【0047】
全体としての磁界範囲が、6つの論理動作モード、すなわち北側動作、北側リセット、北側スタンバイ、南側スタンバイ、南側動作、および南側リセットへと分割される。スタンバイモードは、H
STNおよびH
STSの間の磁界において生じる。これらのスタンバイモードは、独創的な特性を有する。具体的には、スイッチSW1 170およびSW2 270の作動によって電力を節約する新たな「電子動作」を有する。これは、MUX1 188およびMUX2 189による新たな基準電圧の選択に加えて行われる。6つの磁界領域における別個の論理動作モードについてのデジタルラベル[(111)、(110)、(101)、(001)、(010)、(011)]が、
図11の下部において、それぞれに対応する磁界範囲に示されている。全極性のスイッチ動作についての真理値表が、下記の表4に示される。MUX1、MUX2、SW1、およびSW2の「電子動作」、ならびに或るモードから別のモードへのスイッチに必要な「トリガ条件」が、表5の論理モードの表に示される。電流消費対動作モードの表が、表4に示される。
【0049】
表3において、列3および4の電圧AおよびB(V
AおよびV
B)がトリガ条件にマッチするとき、MUX1およびMUX2は、列5および6に示される状態を維持し、あるいは列5および6に示される状態へと切り替わる。加えて、SW1およびSW2は、列7および8に示される状態を維持し、あるいは列7および8に示される状態へと切り替わる。記号「→」は、値の変化を表す。SW1およびSW2の列において、「0」および「1」は、「スイッチ開」および「スイッチ閉」の状態を指す。
【0051】
2段の浮動出力の設計においては、状態101、000、および100を気にする必要がない。
【0052】
全極性磁気抵抗スイッチのためのアナログフィルタおよび比較器の回路図が、
図12に示される。
図6の比較器回路と同様の機能が実行される。しかしながら、追加の比較器が、全極性動作のために必要であり、電力の節約の特徴が追加される。
【0053】
図12の左側は、アナログ入力フィルタを示している。南側極基準電圧V
REF171が、低域通過フィルタ172と接続され、低域通過フィルタ172は、抵抗173およびコンデンサ174を含んでいる。低域通過フィルタ172の出力は、比較器161の負の入力166へと電気的に接続される。V
Bridge171’が、低域通過フィルタ172’と接続され、低域通過フィルタ172’は、抵抗173’およびコンデンサ174’を含んでいる。低域通過フィルタ172’は、第2の比較器261の負の入力266および第1の比較器161の正の入力165へと電気的に接続される。比較器の間のV
Bridgeの逆極性および電気的接続が、印加磁界に対するV
OUTに逆対称を持たせる。北側極基準電圧V
REF271が、低域通過フィルタ272へと電気的に接続され、低域通過フィルタ272は、抵抗273およびコンデンサ274を含み、フィルタ272は、第2の比較器261の正の入力265へと電気的に接続される。
【0054】
本実施形態の2つの比較器の実行は、第1の比較器161および第2の比較器261によって与えられる。第1の比較器161は、正の入力165および負の入力166を有する。さらに、167に出力V
Aを有する。B
Bias163と接地64との間の電力を受け取る。正の電源162が、0.05μAおよび2.0μAをそれぞれ供給する電流供給源168および169からの電流を運ぶ。第1のスイッチSW1 170が、電流供給源169が接続されるか否かを決定する。電流供給源168は、常に接続されている。第2の比較器261は、正の入力265および負の入力266を有する。さらに、267に出力V
Bを有する。B
Bias263と接地64との間の電力を受け取る。正の電源262が、0.05μAおよび2.0μAをそれぞれ供給する電流供給源268および269からの電流を運ぶ。第2のスイッチSW2 270が、電流供給源269が接続されるか否かを決定する。電流供給源268は、常に接続されている。
【0055】
電流供給の第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2は、動作時に消費される電力の量を減らすやり方を提供する。下記の表5が、種々のモードにおいて消費される電流の合計を示している。
【0057】
図13は、本発明の全極性低電力磁気抵抗スイッチセンサの好ましい実現の回路図を示している。接地64とV
CC81との間で電力を得ている。レギュレータ383が、安定かつより低い電圧の電源V
Bias163を、内部電圧基準回路86および磁気抵抗ブリッジ87へと供給する。マルチプレクサMUX1 188が、内部基準回路87の南側端からの基準電圧出力のうちの1つを低域通過フィルタ190へのV
Ref南側71’入力と接続するスイッチである。ブリッジ出力V
Bridgeが、低域通過フィルタ190の入力171’と接続される。マルチプレクサMUX2 189が、内部基準回路の北側端87からの基準電圧出力のうちの1つを低域通過フィルタ190へのV
REF南側271入力と接続するスイッチである。
【0058】
2つの比較器の出力V
AおよびV
Bが、デジタル制御回路192の入力と接続される。デジタル制御回路192(MUX1 188、MUX2 189、SW1 170、SW2 270)、ラッチおよび5つの出力ドライバ回路193からの5つの出力が存在する。次いで、これが、出力段を駆動する。出力段は、大きな電力を使用することなく迅速にスイッチング可能な二連のトランジスタ394および395を有する。回路の出力は、385のV
OUTである。入力における信号V
AおよびV
Bに対するデジタル制御回路192の応答は、表4および5ならびに
図14のタイミング図に詳しく示される。
【0059】
全極性磁気抵抗スイッチの信号対時間の図が、
図14に示される。時間軸には単位がなく、正確に線形というわけではない。定量的詳細を提示するものではなく、説明の助けとなるようなやり方で拡大/縮小されている。時間は、T
0、T
1、・・・、T
10と標記されている。2組のアナログ目盛りが存在する。上側のアナログ目盛りは、V
BridgeおよびV
Refからのアナログ信号を有する。下側のアナログ目盛りは、垂直方向にデジタル値を示している。
【0060】
磁気抵抗ブリッジ87からの出力V
Bridgeが、破線の曲線201にて描かれている。これは、磁石が移動し、正弦関数に似た印加磁界信号を磁気抵抗ブリッジへともたらすときに存在すると考えられるセンサによる信号を表している。V
Bridgeは、印加磁界に直接比例し、したがってこれら2つの曲線は、201と同じ組の垂直軸上に描かれている。左の軸は、印加磁界7の値を示している。右側の鉛直軸は、基準電圧値をしきい値の名称およびV
Biasの割合の両方として示している。グラフの上半分は、磁界の正(南側)の値およびV
Bridgeの正の値を有している。グラフの下半分は、磁界の負(北側)の値およびV
Bridgeの負の値を有している。
【0061】
V
REFSouthが、実線の曲線202として描かれている。3つの定常状態値V
STS、V
OPS、およびV
RPSを有している。3つの定常状態レベルV
STN、V
OPN、およびV
RPNを有しているV
REFNorthが、実線の曲線203として描かれている。曲線202および203について、或る状態から別の状態への切り替わりに、測定可能な時間が存在する。これら2つの信号は、電圧基準回路86から得られる。デジタル状態対時間が実線の曲線210にて示されているMUX1が、3つの南側V
REF値のうちの1つ、すなわちV
STS、V
OPS、またはV
RPSを選択し、デジタル状態対時間が実線の曲線211にて示されているMUX2が、3つの北側V
REF値のうちの1つ、すなわちV
STN、V
OPN、またはV
RPNを選択する。これらのデジタル状態は、電圧レベルではなく、むしろどのV
REFに接続されるのかを表している。
【0062】
第1の比較器および第2の比較器の出力接続が、電圧信号V
AおよびV
Bをそれぞれ運ぶ。これら2つのデジタルレベルは、接地およびV
BIASに近いデジタルレベル間を切り替わる実線の曲線204および205として時間に対して示されている。回路の外部出力接続385が、電圧レベルV
OUTを運び、電圧レベルV
OUTの信号対時間は、実線の曲線206として示されている。V
OUTは、接地およびV
CCに近いレベル間を切り替わる。3つの論理モードのラインが存在し、それらの出力対時間が、スタンバイ207、南側動作208、および北側動作209の実線の曲線として示されている。スイッチ1 170(SW1)およびスイッチ2 270(SW2)の状態が、実線の曲線212および213として時間に対して示されている。これらの曲線における高いレベルは、スイッチが閉じられ、追加の電流がその比較器の電源端子へと流れていることを意味する。回路によって使用される総休止電流が、実線の曲線214として時間に対して示されている。この曲線は、0.1μAおよび2μAという値の間を行き来する。回路が有効北側または南側スイッチングモードの一方であるとき、SW1またはSW2の両方でなく一方が開いている。「スタンバイ」モードにおいては、SW1およびSW2の両方が開いている。SW1およびSW2の両方が同時に閉じることはない。
【0063】
次に、時間に対する全体としての回路の動作を、V
Bridge曲線201として示される例示的な信号を使用して説明する。論理設計は、表3および4において上述した。T
0において、V
Bridge=0ボルトであり、モードはスタンバイ(001)であり、V
OUT=高である。V
Bridgeが増加し、T
1において第1の比較器における現在の電圧しきい値であるV
STSを横切る。これにより、V
Aが、時間dT=T
2−T
1の経過後に1へと切り替わる。第1の比較器への電力が低く、信号の遅延を引き起こすがゆえに、dTは比較的長く、例えば1ミリ秒である。続く切り替わりの事象が、論理回路のクロック周波数fによって設定される時間τのうちに生じる。時刻t
2+τにおいて、以下が生じ、すなわち論理スタンバイのライン207が0から1へと移行し、南側動作モード208が0から1になり、北側動作モードは0であり、MUX1 210がV
OPSを選択し、SW1 212が閉じる。回路は、南側動作モード(011)である。
【0064】
V
Bridgeが増加を続け、時刻T
3において曲線202によって示される第1の比較器における現在の電圧しきい値の値V
OPSを横切る。これにより、V
Aが0へと切り替わる。時間τ内の次のクロックサイクルにおいて、時刻T
3+τで以下が生じ、すなわち出力206が低になり、スタンバイのライン207が0であり、南側動作モード208が1から0へと移行し、北側動作モードは0であり、MUX1 210がV
RPSを選択し、曲線202をV
RPSへと移行させる。回路は、南側動作モード(010)である。
【0065】
V
Bridgeは、何らかの時点において減少し始め、時刻T
4において、比較器1における現在の電圧しきい値である値V
RPSにおいて曲線202を横切る。これにより、V
Aが0から1へと切り替わる。時間τ内の次のクロックサイクルにおいて、時刻T
4+τで以下が生じ、すなわち出力206が低から高の論理になり(スタンバイのライン207が0であり、南側動作モード208が0であり、北側動作モードは0である)、MUX1 210がV
STSを選択し、曲線202をV
STSへと移行させる。回路は、南側動作モード(011)である。
【0066】
V
Bridgeは、何らかの時点において減少し始め、時刻T
5において、第1の比較器における現在の電圧しきい値である値V
RPSにおいて曲線202を横切る。これにより、V
Aが0から1へと切り替わる。時間τ内の次のクロックサイクルにおいて、時刻T
5+τで以下が生じ、すなわち出力206が低から高になり、スタンバイのライン207が0から1に移行し、南側動作モード208が0であり、北側動作モードは0であり、MUX1 212が閉じる。回路は、スタンバイモード(011)である。
【0067】
V
Bridgeは減少を続け、時刻T
6において、第2の比較器における現在の電圧しきい値である値V
STNにおいて曲線203を横切る。これにより、第2の比較器の出力V
B205が、時刻T
7において0から1へと切り替わる。この比較器の動作は、第2の比較器への電力が低いため、例えば1ミリ秒など、比較的長いdt=T
7−T
6を要する。T
7+τにおいて以下が生じ、すなわち出力206が高であり、スタンバイのライン207が1から0へと進み、南側動作モード208が0であり、北側動作モード209が0から1へと進む。MUX2 211が、V
OPNへと切り替わることで、V
Ref北側曲線203がV
OPNへとシフトする。SW2 213が閉じ、より多くの電源電流を第2の比較器へともたらす。回路は、北側動作モード(111)である。
【0068】
V
Bridgeは減少を続け、時刻T
8において、第2の比較器における現在の電圧しきい値である値V
OPNにおいて曲線203を横切る。これにより、第2の比較器の出力V
B205が、1から0へと切り替わる。T
7+τにおいて以下が生じ、すなわち出力206が高から低へと切り替わり、スタンバイのライン207が0であり、南側動作モード208が0であり、北側動作モード209が1から0へと進む。MUX2 211が、V
RPNへと切り替わることで、V
Ref北側曲線203がV
RPNへとシフトする。回路は、北側動作モード(110)である。
【0069】
V
Bridgeは増加し始め、時刻T
9において、第2の比較器における現在の電圧しきい値である値V
RPNにおいて曲線203を横切る。これにより、第2の比較器の出力V
B205が、0から1へと切り替わる。T
9+τにおいて以下が生じ、すなわち出力206が低から高へと切り替わり、論理ラインスタンバイのライン207が0から1へと切り替わり、南側動作モード208が0であり、北側動作モード209が0である。MUX2 211が、V
STNへと切り替わることで、V
Ref北側曲線203がV
STNへとシフトする。回路は、北側動作モード(111)である。
【0070】
V
Bridgeは減少を続け、時刻T
10において、第2の比較器における現在の電圧しきい値である値V
STNにおいて曲線203を横切る。時間τ内の次のクロックサイクルにおいて、時刻T
10+τで以下が生じ、すなわち出力206が高であり、論理レベルスタンバイのライン207が0から1に移行し、南側動作モード208が0であり、北側動作モードは0である。SW2 213が閉じる。回路は、スタンバイモード(001)である。
【0071】
中国特許出願第201110125153.5号明細書と比べ、この低電力の磁気抵抗スイッチセンサは、以下の利点を有する。
1)スイッチの雑音を軽減するためのフィルタ処理機能をもたらす。
2)電力を少なくするための記載の方法は、回路における動作周波数のわずかな低下しかもたらさない。
【0072】
本発明に使用される技術的解決策の以上の詳細な説明が、例示であって限定を意味するものではない好ましい実施形態であることを、理解すべきである。当業者であれば、本明細書を検討することで、実施形態に記載の技術的解決策にもとづいて、いくつかの技術的特徴を改良または同等の代替物で置換することができ、そのような改良または置換は、本発明の種々の実施形態の改良版の技術的解決策を本発明の技術的思想および技術的範囲から逸脱させるものではない。