(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室(130)が外側反応器室であり、前記酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応室(140)が、前記2つの一次反応器室(130、140)を備える前記同軸の配置にある内側反応器室である、請求項1に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン。
【背景技術】
【0002】
デュアルモードロケット推進システムおよびデュアルモードロケットエンジン(スラスタとも称される)が、当分野で知られている。現在、多くの宇宙船が、より大きな推力運転のための二元推進薬エンジンと、およびより小さい推力のための、または最小のインパルスビットが重要であるときの単元推進薬エンジンとによるデュアルモード推進システムを用いている。当分野では、二元推進薬エンジンと単元推進薬エンジンとの両方に適した推進薬の選択は、非常に有毒性のあるいくつかの推進薬に限られている。このような二元推進薬は、モノメチルヒドラジン(MMH)および非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)など、ヒドラジンまたはその派生物を含んでいる。デュアルモードスラスタの例は、二次燃焼増幅スラスタ(SCAT:Secondary Combustion Augmented Thruster)と称されるスラスタである。デュアルモード能力(つまり、単元推進薬モードまたは二元推進薬モードのいずれかで運転する能力)を有する二元推進薬スラスタを備える二元推進薬デュアルモードロケット推進システムは、例えば米国特許第6,135,393号に記載されており、そこではヒドラジンが燃料として用いられ、好ましくは、四酸化窒素(NTO)が酸化剤として用いられる。
【0003】
高い性能を必要とする特定の推進システムについてのミッション要求は、一式の長所の形態によって定められる。最も重要な長所の形態のうちの1つは比推力(I
sp)であり、これは、このような推進システムのまさに目的である、宇宙船が達成できる最大の速度変化を表している。比推力は、推進薬質量流量の単位当たり、エンジンによって発生される推力として定義される。推力がニュートン(N)で測定されるとき、流量は1秒(s)当たりのキログラム(kg)で測定され、そして、比推力の測定の単位はNs/kgである。かなりの速度変化の要件のある中形から大形の宇宙船については、これは最も重要なパラメータである。寸法が限られる可能性のある小形の宇宙船については、推力密度、つまり、推進薬体積当たりのNsが、有力な長所の形態であり得る。別の長所の形態はロケットエンジンの推力であり、これは、操作がどのくらいの期間を要するのか、および、どのくらいの加速を提供するのかを決定する。さらに別のパラメータは、エンジンが発生できる最小または最小限のインパルスビット(Ns)であり、これは、操作がどれだけ正確に実施できるかを決定する。
【0004】
ヒドラジン(燃料)と四酸化窒素(酸化剤)との両方、およびそれらの派生物は、毒性、発癌性、および腐食性などが非常にあり、また、漏洩および排出の場合に引き起こし得る環境への深刻な影響に関する重大な懸念と関連付けられるため、人間にとって極めて有害である。そのため、それらの取り扱いおよび安全要件は、非常に厳しく、時間を取られ、費用が掛かる。
【0005】
ECHA(欧州化学機関:European Chemicals Agency)は、化学品およびその安全な使用についての欧州共同体規則であるREACH(化学品の登録、評価、認可および制限に関する規則:Registration、Evaluation、Authorisation and restriction of Chemicals)内で、ヒドラジンが新規の開発での使用について禁止され得ることを導く可能性のある非常に高い懸念の物質として、ヒドラジンを特定している。欧州宇宙機関(ESA:European Space Agency)による構想である、きれいな宇宙は、従来の有害な推進薬の代用も求めている。
【0006】
フランスでは、宇宙船がもはや使われなくなったときに軌道から離脱されることを求める、宇宙デブリに関する宇宙活動法(Space Operation Act)という新しい法律がある。
【0007】
技術上の重大な成果は、多くの宇宙用途に対して単元推進薬としてヒドラジンを代用することが実現可能であることである。これは、LMP−103S単元推進薬混合物を含むHPGP(登録商標)技術(例えば、WO2012/166046に記載されている)と、典型的には0.5Nから200Nまでの範囲である対応するスラスタ(例えば、WO02/095207に開示されている)とを用いて成功裏に実施されている。A 1 N HPGP(登録商標)推進システムが、主要なPRISMA人工衛星において宇宙における地球軌道で数年にわたって運用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ヒドラジン、四酸化窒素、およびそれらの派生物の使用を回避するデュアルモード推進システムを提供することが望ましい。しかしながら、これまで、実行可能なロケット推進システム、ロケットエンジン、および、先行技術の有害なヒドラジン推進薬と匹敵する性能のある対応する代替の推進薬は、実現されてこなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、先行技術のデュアルモード化学推進システムと匹敵する性能(つまり、所与のシステム質量についての全力積の観点で)を持った推進システムが、貯蔵可能な危険有害性の低い液体推進薬を用いるデュアルモード化学ロケットエンジンによって実現できることを見いだした。
【0010】
本発明によれば、燃料リッチ単元推進薬および酸化剤リッチ単元推進薬が、それぞれ、一次反応室および二次反応室を備えるデュアルモードロケットエンジンで用いられる。
【0011】
したがって、本発明の一態様は、燃料リッチ単元推進薬のための触媒を備える、燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室を有し、その第1の一次反応室が、第2の酸化剤リッチ単元推進薬の自身への注入のための手段を有する二次反応室に連結されるデュアルモード化学ロケットエンジンに関する。
【0012】
本発明のエンジンの一実施形態では、注入のための手段は、外部から二次反応室への、推進薬供給配管からの酸化剤リッチ単元推進薬を注入することを可能にする。
【0013】
本発明のデュアルモード化学ロケットエンジンの好ましい実施形態では、エンジンは、第1および第2の一次反応室を、二次反応室に連結された並列の配置で備え、燃料リッチ単元推進薬のための1つまたは複数の第1の一次反応室が、燃料リッチ単元推進薬のための触媒を備え、酸化剤リッチ単元推進薬のための1つまたは複数の第2の一次反応室が、酸化剤リッチ単元推進薬のための触媒を備える。この実施形態は、2つの単元推進薬のうちのいずれか一方、または、それらの組み合わせを用いることを可能にする。このような実施形態では、第2の酸化剤リッチ単元推進薬を二次反応室へと注入するための手段は、二次反応室の上流に配置され、第2の一次反応室の下流端から形成される。
【0014】
二元推進薬モード運転では、本発明のエンジンは、燃料リッチ単元推進薬と酸化剤リッチ単元推進薬との両方を使用する。二元推進薬モードにおける本発明のエンジンの運転は、単元推進薬モードで運転されている場合より、スラスタの推力および比推力を増大する利点を有する。
【0015】
別の態様では、本発明は、本発明のデュアルモード化学ロケットエンジンを備えるデュアルモード推進システムに関する。
【0016】
本発明を用いれば、「環境に優しい」代替の単元推進薬に基づいた統合型推進システム(UPS:Unified Propulsion System)が、つまり、すべてのエンジンが1つの同じ単元推進薬で運転できるシステムが、例えば、HPGP(登録商標)技術に基づいてなどで、実現され得る。このようなシステムは、小さい単元推進薬スラスタを、同じ推進薬供給システムに連結されたより大きいデュアルモードスラスタと共に含むことができる。
【0017】
本発明は、高性能で危険有害性の低い環境に優しい代替の推進薬を用い、先行技術のデュアルモードロケットエンジンおよび推進システムと比較して、時間およびコストの大幅な節約を実現する潜在力を有している。
【0018】
本発明の主な利点は、それぞれの単元推進薬に現在使用されている既存の優れた実績のある触媒および触媒床が、本発明でも使用できることである。そのため、燃料リッチ単元推進薬と酸化剤リッチ単元推進薬とに特有の一次熱/触媒反応器は、それぞれ、変更をまったく必要としない。
【0019】
好ましい実施形態では、本発明の推進システムは、危険有害性の低い環境に優しい推進薬を備える。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、LMP−103S(例えば、WO2012/166046に開示されている)が、燃料リッチ単元推進薬として使用される。LMP−103Sで運転されるスラスタは、地上燃焼試験および宇宙での燃焼の間、ヒドラジン(単元推進薬)と比較して、6%超で向上された比推力と、30%超で向上された推力密度とを示した。
【0021】
二元推進薬モードでの使用に対して環境的に優しい推進薬の好ましい組み合わせは、燃料リッチ単元推進薬としてのLMP−103Sと、酸化剤リッチ単元推進薬としてのH
2O
2とである。このような組み合わせを二元推進薬モードで使用するとき、NASA−Glenn化学平衡計算プログラム(Chemical Equilibrium Program)CEA2で実施された計算によれば、単元推進薬として使用されるだけのときのLMP−103Sに対して20%までの比推力の追加的な向上をもたらし、これは、非常に有害な従来の貯蔵可能な推進薬、つまり、MMHおよびNTOで運転される先行技術の二元推進薬エンジンの比推力と匹敵する。さらに、LMP−103SおよびH
2O
2の推進薬の組み合わせの推力密度は、従来の貯蔵可能な推進薬で運転される先行技術の二元推進薬エンジンの推力密度を5%までで超えることになる。
【0022】
本発明は、非常に有害な貯蔵可能な液体推進薬を用いる従来のデュアルモード二元推進薬ロケット推進システムを、匹敵する性能を持つと共に大幅に危険有害性が低減された環境に優しい代替の推進薬システムであって、推進薬の取り扱いと燃料搭載作業とを大幅に軽減および容易化もする代替の推進薬システムで、代用するための可能な技術を提供する。
【0023】
本発明では、用語「単元推進薬」は、LMP−103Sなどの2つ以上の化合物を含み、したがって単元推進薬混合物と考えることができる単元推進薬と、H
2O
2(しかしながら実際には、典型的には水性であるため、ある程度の水を含むことになる)などの単一の化合物単元推進薬との両方を意味するために用いられている。
【0024】
用語「推進システム」は、本明細書では、推進薬容器、加圧剤容器、推進薬および加圧剤の充填サービス弁、推進薬および加圧剤の配管、遮断弁、推進薬システムフィルタ、圧力変換器、スラスタ/ロケットエンジン、ならびに、必要とされる他のミッション特有の流体部品を備える宇宙船、打上げロケット姿勢制御システムなどの推進的な推力を発生する目的のためのハードウェアおよびその構成部品の水力学的構成を意味するために用いられている。このようなシステムは、
図1に概略的に示されている。
【0025】
さらなる利点および実施形態は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明によれば、液体貯蔵可能な危険有害性の低い液体単元推進薬が用いられる。本発明のエンジンで用いられる単元推進薬は、それぞれ、燃料リッチ単元推進薬と酸化剤リッチ単元推進薬とである。
【0028】
本発明のエンジンは、デュアルモードでの危険有害性の低い推進薬の使用、または、二元推進薬の運転を可能にする新規の推進技術を構成する。
【0029】
適切な酸化剤リッチ単元推進薬は、「Oxidizer−rich liquid monopropellants for a dual mode chemical rocket engine」という名称の出願者の同時係属中のPCT出願により詳細に開示されている。
【0030】
本発明のエンジンは、燃料リッチ単元推進薬の分解のための触媒床を備える、前記燃料リッチ単元推進薬の分解のための第1の一次反応室130を備え、その第1の一次反応室は、第2の酸化剤リッチ単元推進薬の自身への注入のための手段125を有する二次反応室150に連結され、および、二次反応室150へと開放する。
【0031】
本発明のデュアルモード化学エンジンの一実施形態では、酸化剤リッチ単元推進薬が、外側からエンジンの二次反応室へと注入される。このような実施形態では、燃料リッチ単元推進薬が本発明のエンジンの単元推進薬モード運転で使用される。このような実施形態の例は、
図3に描写されている。
【0032】
本発明のデュアルモード化学ロケットエンジンの好ましい実施形態では、エンジンは、第1の一次反応室130および第2の一次反応室140を、二次反応室150に連結された並列の配置で備え、燃料リッチ単元推進薬のための1つまたは複数の第1の一次反応室130が、燃料リッチ単元推進薬のための触媒を備え、酸化剤リッチ単元推進薬のための1つまたは複数の第2の一次反応室140が、酸化剤リッチ単元推進薬のための触媒を備えている。このような実施形態では、第2の酸化剤リッチ単元推進薬を二次反応室へと注入するための手段125は、二次反応室150の上流に配置され、第2の一次反応室の下流端から形成され、その下流端が二次反応室150へと開く。このような実施形態では、燃料リッチ単元推進薬、または、酸化剤リッチ単元推進薬が、本発明のエンジンの単元推進薬モード運転で使用される。このような実施形態の例は、
図2に描写されている。
【0033】
一次反応室における触媒は、反応性分解および燃焼化学種に曝され、現在の設計限界より高い温度で運転されるとき、スラスタの寿命を限定する要素となる。本発明の主要な便益は、二次反応室における温度が大幅に上昇され得る一方で、一次反応器における触媒の温度が実質的には影響されないままとされ得ることである。したがって、単元推進薬に現在使用されている既存の優れた実績のある触媒および触媒床が、本発明でも使用できる。そのため、燃料リッチ単元推進薬に特有の第1の一次熱/触媒反応器と、酸化剤リッチ単元推進薬に特有の第2の一次熱/触媒反応器は、それぞれ、変更をまったく必要としない。
【0034】
本発明のエンジン設計を用いて、従来の液体の燃料リッチ単元推進薬と、このような液体の燃料リッチ単元推進薬のための対応する従来の触媒とは、本発明のエンジンにおいて第1の一次反応室で用いられ得る。したがって、例えば、ヒドロキシル硝酸アンモニウム(HAN)またはアンモニウムジニトラミド(ADN)に基づいた単元推進薬など、液体の酸化剤に基づいた単元推進薬のための従来の単元推進薬エンジンと比較して、本発明のエンジンの第1の一次反応室で使用される対応する単元推進薬のための触媒は、対応する従来の単元推進薬エンジンにおけるものと、特に温度に関して、同様の条件に曝されることになる。
【0035】
第1の一次反応室130および140は、好ましくは、例えばHANまたはADNに基づいた液体単元推進薬など、従来の液体の燃料リッチ単元推進薬混合物の分解のための従来の技術を用いる。
【0036】
燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室は、ADNに基づいた液体単元推進薬のための、対応する液体ADN単元推進薬スラスタで現在使用されている従来の反応器と、および、HANに基づいた液体単元推進薬のための、対応する液体HAN単元推進薬スラスタで現在使用されている従来の反応器と、同様の反応器設計に基づくことができる。
【0037】
本発明のロケットエンジンの概して好ましい実施形態は、第1および第2の一次反応室130および140を、二次反応室150に連結された並列の配置で備えている。
【0038】
燃料リッチ単元推進薬の混合物と酸化剤リッチ単元推進薬の混合物とは、それぞれ、本発明の目的のためにHANに基づかれ得る一方、燃料リッチ単元推進薬の混合物と酸化剤リッチ単元推進薬の混合物とが、それぞれ、他に指示されていない場合、ADNに基づかれ得ることは、概して好ましい。
【0039】
第1および第2の一次反応室が並列な配置となっている実施形態
第1の一次反応室130および第2の一次反応室140を、二次反応室に連結された並列の配置で備える実施形態を、ここでより詳細に説明する。
【0040】
燃料リッチ単元推進薬を用いる単元推進薬モードでの運転と、特定の酸化剤リッチ単元推進薬に基づいて、燃料リッチ単元推進薬および酸化剤リッチ単元推進薬の両方を用いる二元推進薬モードでの運転とに加えて、エンジンは、例えば過酸化水素など、酸化剤リッチ単元推進薬のみを用いて単元推進薬モードで運転されてもよい。運転のこのモードは、燃料リッチ単元推進薬の推力との比較として、または、余剰であるとして、より小さい推力で十分であるとき、もしくは、例えば、燃料リッチ単元推進薬がもはや利用できない場合や、燃料リッチ単元推進薬供給配管に沿ういずれかに不具合がある場合に、有用であり得る。
【0041】
第1の一次反応室130および第2の一次反応室140は、関連する単元推進薬の意図した床負荷と所望の熱伝達とに依存して、並列な1つまたは複数の反応室から各々成り得る。例えば、燃料リッチ単元推進薬のための複数の第1の一次反応室130は、酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応室140へと組み込まれ得るか、または、別々の一次反応室がハニカムの別々の小室に配置されるハニカム構造も考えられる。
【0042】
好ましい実施形態では、並列な第1の一次反応室130および第2の一次反応室140は、同軸の配置にある。このような実施形態の例は、
図2に示されている。同軸の構成は、第1の一次反応室と第2の一次反応室との間の所望の熱交換にも対応し、それによって二次反応室における二次燃焼のために分解ガスを調節する。このような構成は、簡単で効果的な注入器110を使用することも可能にさせる。
【0043】
同軸の配置の好ましい構成では、燃料リッチ単元推進薬のための反応室130は、酸化剤リッチ単元推進薬のための反応室140を包囲している。
【0044】
好ましい実施形態では、液体で水性のADNに基づく単元推進薬、例えばLMP−103、LMP−103S、およびFLP−106など、特にはLMP−103Sが、燃料リッチ単元推進薬として使用される。
【0045】
好ましい実施形態では、過酸化水素(H
2O
2)が、酸化剤リッチ単元推進薬として使用される。
【0046】
過酸化水素は、おそらく、世界中で最も研究された単元推進薬である。しかしながら、単元推進薬としての過酸化水素の比推力は比較的小さく、濃縮に応じて1,600〜1,800Ns/kgの範囲である。比較的小さい比推力と、過酸化水素の貯蔵可能性についての懸念とが、ヒドラジンを選び、過酸化水素を宇宙船の反応制御システム(RCS)から排除してしまっている。過酸化水素は、二元推進薬モードで酸化剤としても使用でき、少なくとも1934年から推進の目的のために研究されてきた。過酸化水素は、反応性があり、その最も安定した形態で貯蔵されているときでも、時間と共にゆっくりと分解する。貯蔵可能性についての懸念と、過酸化水素の安全な使用とが、何年にもわたって議論されてきた。これらの懸念が誇張され得ることと、過酸化水素が安全に取り扱いできることとが報告されている。しかしながら、現在の最先端の技術の推進薬の毒物に関する懸念および発癌性の懸念が、少なくともここ10年の間、過酸化水素への新たな興味につながった。
【0047】
好ましい単元推進薬の組み合わせでは、液体で水性のADNに基づいた単元推進薬が、燃料リッチ単元推進薬として用いられ、過酸化水素が、酸化剤リッチ単元推進薬として用いられる。液体で水性のADNに基づいた単元推進薬の好ましい単元推進薬の組み合わせは、液体で水性のADNに基づいた単元推進薬だけ、もしくは、酸化剤リッチ単元推進薬がH
2O
2だけであるか、そのいずれかを用いる単元推進薬モードで、または、両方の単元推進薬を用いる二元推進薬モードにおいてのいずれかで運転できるシステムに対応する。
【0048】
H
2O
2は、好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の濃度のものである。
【0049】
本発明のより好ましい実施形態によれば、LMP−103SおよびH
2O
2は、H
2O
2の貯蔵可能性が意図した使用にとって許容可能であるならば、燃料リッチ単元推進薬と酸化剤リッチ単元推進薬としてそれぞれ使用される。環境に優しい単元推進薬LMP−103SおよびH
2O
2を用いる二元推進薬モードにおける主題のロケットエンジンの運転は、NASA−Glenn化学平衡計算プログラムCEA2で実施された計算によれは、単元推進薬として使用されるだけのときのLMP−103Sに対して20%までの比推力の追加的な向上をもたらし、これは、非常に有害な従来の貯蔵可能な推進薬、つまり、MMHおよびNTOで運転される先行技術の二元推進薬エンジンの比推力と匹敵する。さらに、二元推進薬モードにおけるLMP−103SおよびH
2O
2の単元推進薬の組み合わせの推力密度は、従来の貯蔵可能な推進薬で運転される先行技術の二元推進薬エンジンの推力密度を5%までで超えることになる。
【0050】
本発明によれば、燃料リッチ液体のHANに基づいた単元推進薬混合物が、LMP−103Sと同じ方法で用いられ得る。
【0051】
図2を参照しつつ、本発明のロケットエンジン100の好ましい実施形態をここでより詳細に説明する。このような実施形態では、ロケットエンジンは、一連の冗長な流れ制御弁111、および、推進薬供給管121が続く、燃料リッチ単元推進薬のための1つの入口ポート101と、一連の冗長な流れ制御弁112、および、推進薬供給管122が続く、酸化剤リッチ単元推進薬のための1つの入口ポート102とを備えており、2つの一次反応室130、140へと導く。第1の一次反応室130は、燃料リッチ単元推進薬用であり、第2の一次反応室140は、酸化剤リッチ単元推進薬用である。第1の一次反応室130および第2の一次反応室140は、互いと並列に配置され、同軸の配置になっている。燃料リッチ単元推進薬のための反応室130は、推進薬を注入する前に、適切な推進薬の分解のために、電気ヒータを用いて、または、酸化剤リッチ単元推進薬のための隣接する一次反応室における分解によって発生される熱によってのいずれかによる予加熱を必要とする。
【0052】
エンジン100とその運転とをここでより詳細に説明する。二元推進薬モードでは、例えば、LMP−103Sなど、水性のADNに基づいた単元推進薬混合物といった、燃料リッチ単元推進薬が、注入器110を介して第1の一次反応室130へと注入され、そこで単元推進薬は熱/触媒的に分解され(ADNに基づいた単元推進薬の分解は、WO02/095207に開示されている)、熱を生成する発熱反応(LMP−103Sについては1,600℃まで)と、二次反応室150へと流れる燃料リッチガスとを引き起こす。非常に濃縮された(90%以上)過酸化水素など、酸化剤リッチ単元推進薬は、注入器110を介して第2の一次反応室140へと注入され、そこで酸化剤リッチ単元推進薬は熱/触媒的に分解され、熱を生成する発熱反応(90%のH
2O
2については900℃まで)と、二次反応室150へと同じく流れる酸素の余剰とを引き起こす。第1の一次反応室130および第2の一次反応室140の好ましい構成は、燃料リッチ単元推進薬のための反応器130が酸化剤リッチ単元推進薬のための反応器140を包囲する同軸の配置である。簡単な設計の注入器110が、
図2に示しているように、第1および第2の一次反応室のこの同軸の構成で使用できる。高温で多量の燃料リッチガスと酸素リッチガスとが、第1の一次反応室130および第2の一次反応室140からそれぞれ流れ、二次反応室150において混合するため、二次発熱燃焼が起こり、そこでの滞留ガス温度は大幅にさらに上昇させられ(ADNおよびH
2O
2の組み合わせについては約2,300℃まで)、これは、排気ガスがノズル170を通じて加速されることで推力を発生する前に、燃料効率、つまり、比推力の観点において、エンジンの性能を高める。
【0053】
本発明のロケットエンジン100は、例えば、LMP−103Sなど、水性のADNに基づいた単元推進薬混合物といった、燃料リッチ単元推進薬のみを第1の一次反応室130へと注入することで、より小さい推力およびインパルスビットのための単元推進薬モードでも運転でき、第1の一次反応室130では、排気ガスがノズル170を通じて加速されることで推力を発生する前に、推進薬は、熱/触媒的に分解され、熱を生成する発熱反応と、二次反応室150へと流れる燃料リッチガスとを引き起こし、二次反応室150では最終的な燃焼が起こる。
【0054】
本発明のロケットエンジン100は、第2の一次反応室140へと注入される、例えば非常に濃縮された(90%以上)過酸化水素といった、酸化剤リッチ単元推進薬のみの注入によって、より小さい推力およびインパルスビットのための単元推進薬モードでも運転でき、第2の一次反応室140では、排気ガスがノズル170を通じて加速されることで推力を発生する前に、推進薬は、熱/触媒的に分解され、熱を生成する発熱反応と、二次反応室150へと流れるガスとを引き起こす。
【0055】
第1および第2の一次反応室を有する本発明の実施形態の追加の便益は、燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室の必要とされる予加熱が、例えば、過酸化水素が用いられるときなど、第2の一次反応室によって発生される熱によって発生される熱によって実現できることである。過酸化水素の分解は、自発的な触媒作用だけによって実現され得るか、または、電気ヒータによって補助され得るが、便益は、スラスタが、反応器の予加熱なしで、または、非常に限定された電力および予加熱時間で完全に燃焼できることであり、その予加熱時間は、スラスタのサイズが大きくなるほど重要性を増す。電気ヒータは、図に示されていないが、必要により様々な位置に配置できる。
【0056】
第1の一次反応室130および第2の一次反応室140を有する前述の好ましい実施形態において、例えばADNまたはHANなど、酸化剤に基づいた単元推進薬は、酸化剤リッチ単元推進薬として用いられないが、これは、特にADNおよびHANの分解の間に生成される関連する高い温度および酸化種に関して、このような単元推進薬の触媒分解の間(つまり、酸化剤リッチ単元推進薬として調合されるとき)の状態に耐えられる公知の触媒がないためである。
【0057】
好ましい酸化剤リッチ単元推進薬はH
2O
2である。
【0058】
第2の一次反応室のない実施形態
第2の一次反応室140を備えていない、つまり、燃料リッチ単元推進薬のための一次反応室130だけを有する本発明の代替の実施形態を、ここでより詳細に説明する。
【0059】
第2の一次反応室を有していないロケットエンジンのこのような実施形態は、液体の燃料リッチ単元推進薬混合物を用い、二元推進薬モードでは、二次反応室へと注入される液体の酸化剤リッチ単元推進薬を追加的に用いる、単元推進薬モードまたは二元推進薬モードのいずれかで運転する能力を有する。
【0060】
一次反応室130および二次反応室150は、それぞれ互いに対して直列に配置されている。
【0061】
本発明の実施形態によれば、特に長期間の貯蔵性が必要とされる場合、二元推進薬モードにおける主題のロケットエンジンの運転は、燃料リッチ単元推進薬として、環境に優しい燃料リッチ単元推進薬LMP−103Sを用い、酸化剤リッチ単元推進薬として、ADNを70〜90%と、アンモニアを0〜10%と、残部の水とを含む、新規の酸化剤リッチ液体のADNに基づいた単元推進薬混合物を用いる。NASA−Glenn化学平衡計算プログラムCEA2で実施された計算によれば、このような単元推進薬の組み合わせを用いる本発明のロケットエンジンの運転は、単元推進薬として使用されるだけのときのLMP−103Sに対して10%までの比推力の追加的な向上をもたらし、これは、非常に有害な従来の貯蔵可能な推進薬、つまり、MMHおよびNTOで運転される先行技術の二元推進薬エンジンの比推力より約10%小さい。さらに、LMP−103Sおよび新規の酸化剤リッチADN混合物の組み合わせの推力密度は、従来の貯蔵可能な推進薬で運転される先行技術の二元推進薬エンジンの推力密度の94%までとなる。
【0062】
好ましくは、新規の酸化剤リッチADNに基づいた混合物は、ADNを70〜80%で含む。アンモニアの好ましい内容量は、重量で1〜10%、より好ましくは重量で5〜10%、特には重量で5〜8%の範囲内にある。100%までの残部は水である。
【0063】
デュアルモード化学ロケットエンジンでの使用のための酸化剤リッチADNに基づく好ましい単元推進薬は、ADNを約77%と、水を約17%と、アンモニアを約6%とを含む。
【0064】
燃料リッチHANに基づく単元推進薬混合剤は、特に長期間の貯蔵可能性が必要とされるとき、LMP−103Sと同じ方法で用いられ得る。
【0065】
一方、酸化剤リッチHANに基づく単元推進薬混合剤は、新規の酸化剤リッチADN単元推進薬混合物、つまり、HANを70〜80%と、アンモニアを0〜10%、好ましくはアンモニアを1〜10%、より好ましくはアンモニアを5〜10%と、残部の水とを含むHANに基づく単元推進薬混合物と同様の方法で用いられ得る。
【0066】
図3を参照しつつ、第2の一次反応室のない本発明のロケットエンジン200の好ましい実施形態をここでより詳細に説明する。
【0067】
このような実施形態では、本発明のデュアルモード化学ロケットエンジンは、燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室130と、一次反応室からの燃料リッチ燃焼ガスと共にさらに燃焼する酸化剤リッチ単元推進薬の分解のための二次反応室150とを備えている。
【0068】
このような実施形態の例は、
図3に示されており、一次反応室130と二次反応室150とが直列に配置されている。ロケットエンジン200は、一連の冗長な流れ制御弁111、および、推進薬供給管121が続く、燃料リッチ単元推進薬のための1つの入口ポート101と、一連の冗長な流れ制御弁112、および、推進薬供給管122が続く、酸化剤リッチ単元推進薬のための1つの入口ポート102とを備えている。
【0069】
エンジン200とその運転とをここでより詳細に説明する。二元推進薬モードでは、例えば、LMP−103Sなど、水性のADNに基づいた単元推進薬混合物といった、燃料リッチ単元推進薬が、注入器110を介して一次反応室130へと注入され、そこで推進薬は熱/触媒的に分解され(ADNに基づいた単元推進薬の分解は、WO02/095207に開示されている)、熱を生成する発熱反応(LMP−103Sについては1,600℃まで)と、二次反応室150へと流れる燃料リッチガスとを引き起こす。ADNに基づいた酸化剤リッチ単元推進薬混合物、または、非常に濃縮された(90%以上)過酸化水素など、酸化剤リッチ単元推進薬は、第2の注入器125によって、一次反応室130の下流の二次反応室150において、二次反応室150へと注入される。第2の注入手段125の部分的な拡大を
図4に示す。二次反応室150では、酸化剤リッチ単元推進薬が霧化および分解され、それによって、二次反応室150で、一次反応室130からの燃料リッチガスと混合する酸素の余剰を発生する。二次発熱燃焼が二次反応室で起こり、滞留ガス温度は大幅にさらに上昇させられ(2,300℃まで)、これは、排気ガスがノズル170を通じて加速されることで推力を発生する前に、燃料効率、つまり、比推力の観点において、エンジンの性能を高める。
【0070】
本発明のロケットエンジン200は、例えば、LMP−103Sなど、水性のADNに基づいた単元推進薬混合物のみを第1の一次反応室130へと注入することで、より小さい推力およびインパルスビットのための単元推進薬モードでも運転でき、第1の一次反応室130では、排気ガスがノズル170を通じて加速されることで推力を発生する前に、推進薬は、熱/触媒的に分解され、熱を生成する発熱反応と、二次反応室150へと流れる燃料リッチガスとを引き起こす。
【0071】
本発明の推進システム
本発明のデュアルモード推進システムの実施形態の簡略化された水力学的な概略図が、
図1に示されている。サービス弁22および32が、運転前に推進薬を推進システムへと充填するために使用されている。例えばLMP−103Sといった、燃料リッチ単元推進薬が推進薬容器21に収容されており、例えば非常に濃縮された過酸化水素H
2O
2、または代替で、酸化剤リッチHANもしくはADNに基づいた単元推進薬混合物といった、酸化剤リッチ単元推進薬が推進薬容器31に収容される。例えばヘリウムといった、高い圧力(つまり、数十メガパスカル(数百バール))に加圧しているガスが、推進システムの運転の前に、サービス弁11を介して加圧剤容器10へと充填される。推進システムは、遮断弁24および34の下流で推進薬配管における締め切りガスを放出することによって作動され、その後、最初の点火の前に推進薬のスラスタへの呼び入れを実施する。いずれかのスラスタを点火するとき、容器10からの加圧剤ガスが、圧力調節器12によって、ロケットエンジン運転推進薬供給圧力(つまり、数メガパスカル(数十バール))に下げるように調節される。加圧剤は、推進薬遮断弁13を通り、さらに逆止弁20および30を通り、推進薬容器21および31へと流れる。運転モード、つまり、単元推進薬モードまたは二元推進薬モードに応じて、推進薬容器21もしくは31のいずれか、または、両方からの推進薬が、点火するとき、推進薬フィルタ23および33をそれぞれ通り、主題のエンジンへと流れる。
【0072】
二元推進薬液体アポジエンジン(LAE)60は、50Nから10kNの間の評価された推力レベルを有している。本発明の推進システムでは、二元推進薬液体アポジエンジン60は、存在するとき、好ましくは本発明のデュアルモードエンジンである。
【0073】
図1にある本発明の液体アポジエンジン(LAE)60の好ましい実施形態は、
図2に示すロケットエンジン設計と似ているが、1つではなく複数の燃料リッチ推進薬のための第1の一次反応室130が、酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応室140へと組み込まれているという違いがある。酸化剤リッチ第2の一次反応室へと組み込まれた燃料リッチ第1の一次反応器の好ましい配置は、その逆はなく、燃料リッチ反応器のコアが、酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応器よりはるかに高温で作用するため、設計の熱特性の最適化によるものである。
【0074】
転用のデュアルモードスラスタ50は、5Nから50Nの間の評価された推力レベルを有している。本発明の推進システムでは、転用のデュアルモードスラスタ50は、存在するとき、エンジン100または200など、好ましくは本発明のデュアルモードエンジンである。
【0075】
RCSスラスタ40は、LMP−103Sで運転される好ましいECAPS 1Nから22N HPGPまでの単元推進薬スラスタである。
【0076】
本発明のデュアルモード推進システムのあらゆる単元推進薬ロケットエンジンは、ADNもしくはHANに基づいた単元推進薬または過酸化水素など、液体の燃料リッチ単元推進薬を好ましくは用いる。過酸化水素単元推進薬エンジンは、過酸化水素を酸化剤リッチ単元推進薬として用いる本発明のデュアルモードロケットエンジンを備えるシステムにおける単元推進薬エンジンとして、好ましいとされ得る。
【0077】
本発明のエンジンの二次燃焼室150は、非常に高い燃焼温度に耐えるために、イリジウムで裏打ちされたレニウムから好ましくは製作される。
【0078】
本発明の概念は、酸化剤および燃料を備える任意の液体単元推進薬合成物に適用可能である。
【0079】
0℃から90℃の間の温度で0メガパスカル(0バール)から3メガパスカル(30バール)の間で液体状態にある単元推進薬が好ましいとされる一方、高密度亜酸化窒素など、液体の単元推進薬も考えられる。
〔態様1〕
燃料リッチ単元推進薬のための触媒床を備える、前記燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室(130)を有し、前記第1の一次反応室(130)が、第2の酸化剤リッチ単元推進薬の自身への注入のための手段(125)を有する二次反応室(150)に連結される、デュアルモード化学ロケットエンジン(100、200)。
〔態様2〕
前記注入のための手段(125)が、外部から前記二次反応室(150)への、推進薬供給配管(122)からの酸化剤リッチ単元推進薬を注入することを可能にするように構成される、態様1に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン。
〔態様3〕
第1および第2の一次反応室(130、140)を、前記二次反応室(150)に連結された並列の配置で備え、
前記燃料リッチ単元推進薬のための1つまたは複数の第1の一次反応室(130)が、前記燃料リッチ単元推進薬のための触媒を備え、
前記酸化剤リッチ単元推進薬のための1つまたは複数の第2の一次反応室(140)が、前記酸化剤リッチ単元推進薬のための触媒を備える、態様1に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン。
〔態様4〕
前記燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室(130)と、前記酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応室(140)とが、同軸の配列で配置される、態様3に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン。
〔態様5〕
前記燃料リッチ単元推進薬のための第1の一次反応室(130)が外側反応器室であり、前記酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応室(140)が、前記2つの一次反応器室(130、140)を備える前記同軸の配置にある内側反応器室である、態様4に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン。
〔態様6〕
前記燃料リッチ推進薬のための2つ以上の第1の一次反応室(130)が、前記酸化剤リッチ単元推進薬のための第2の一次反応室(140)に組み込まれる、例えば液体アポジエンジンといった、態様4に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン。
〔態様7〕
態様1から6のいずれか一項に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン(100、200)を備えるデュアルモード推進システム。
〔態様8〕
液体貯蔵可能な危険有害性の低い燃料リッチ単元推進薬と、液体貯蔵可能な危険有害性の低い酸化剤リッチ単元推進薬とを備える、態様7に記載のデュアルモード推進システム。
〔態様9〕
前記燃料リッチ単元推進薬が、ADNに基づく、または、HANに基づく、態様7または8に記載のデュアルモード推進システム。
〔態様10〕
前記酸化剤リッチ単元推進薬が過酸化水素に基づく、態様7から9のいずれか一項に記載のデュアルモード推進システム。
〔態様11〕
前記酸化剤リッチ単元推進薬が、ADNに基づく、または、HANに基づく、態様7に記載のデュアルモード推進システム。
〔態様12〕
態様8もしくは9に記載された燃料リッチ単元推進薬、または、過酸化水素を用いる単元推進薬ロケットエンジン(40)を備える、態様7から11のいずれか一項に記載のデュアルモード推進システム。
〔態様13〕
態様1から6のいずれか一項に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン、および/または、態様7から12のいずれか一項に記載のデュアルモード推進システムを備える宇宙船。
〔態様14〕
態様1から6のいずれか一項に記載のデュアルモード化学ロケットエンジン、または、態様7から12のいずれか一項に記載のデュアルモード推進システムに収容される前記エンジンにおいて、第1の分離容器に貯蔵される、燃料リッチADNまたはHANに基づいた単元推進薬混合物と、第2の分離容器に貯蔵される、高濃縮された過酸化水素とを含む二元推進薬組み合わせの使用。