(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
足首以上を被う脚部と、脚部の下方に編成され踵を被う袋状に形成された踵ポケットと、脚部及び踵ポケットに連続し、足の爪先に向かって編成された足部と、足部の先端に編成され、足の爪先を収容する袋状に形成された爪先ポケットとを備え、
前記足部は、前記爪先ポケット寄りに形成された前側編地部と、前記踵ポケット寄りに形成された後側編地部と、前記前側編地部と前記後側編地部との間に設けられた中央編地部とに3等分可能で、前記前側編地部に設けられ足の内側及び外側の双方から互いに対向する方向に圧迫する第1圧迫部と、前記脚部の下端部に形成され足の内側及び外側の双方から互いに対向する方向に圧迫する第2圧迫部と、前記後側編地部に形成され足の内側及び外側の双方から互いに対向する方向に圧迫する第3圧迫部との少なくともいずれか1つが設けられ、
前記第1圧迫部は、足の甲側から底面側に亘って第1中足骨の先端部が位置する部分を被覆可能な第1内圧迫部と、足の甲側から底面側に亘って第5中足骨の先端部が位置する部分を被覆可能な第1外圧迫部とを有し、前記第1内圧迫部と前記第1外圧迫部とは互いに分離して又はアーチ状に形成され、
前記第2圧迫部は、内踝の直下を含む部分を被覆可能な第2内圧迫部と、外踝の直下を含む部分を被覆可能な第2外圧迫部とを有し、第2内圧迫部と第2外圧迫部とは、互いに分離して又はアーチ状に形成され、
前記第3圧迫部は、舟状骨が位置する部分又はその下方と、立方骨が位置する部分とを被覆可能で、足の下方を通るように両側方間に亘ってアーチ状に形成されているソックス。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるソックス1について、図を用いて説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。また、本明細書において、爪先側又は爪先方向を前側又は前方、踵側又は踵方向を後側又は後方と称し、足の甲側を上側、足底側を下側と称する。
【0017】
図1に示すように、本発明のソックス1は、概略、
図2に示す足Fを挿入する開口端縁1aを成す口編部2と、口編部2の下端から編成され足首以上を被う脚部3と、脚部3の下方に編成されて踵を被う袋状に形成された踵ポケット4と、脚部3及び踵ポケット4に連続し、足の爪先に向かって編成された足部5と、足部5の先端に編成され、足の爪先を収容する袋状に形成された爪先ポケット6とを有している。
【0018】
そして、ソックス1は、足部5を前側編地部5Aと、後側編地部5Bと、中央編地部5Cとにほぼ三等分されたうちの前側編地部5A及び後側編地部5B、並びに脚部3の下端部のそれぞれに圧迫部7を有している。
圧迫部7のうち、前側編地部5Aには第1圧迫部11が形成され、脚部3の下端部3bには第2圧迫部12が形成され、後側編地部5Bには第3圧迫部13が形成されている。
【0019】
以下、本実施形態のソックス1の詳細について説明する。
図1及び
図3に示すように、口編部2は、編地の端部を環状に編成し、袋状にしてほつれやまくれ上がりを防止し、足Fを挿入する開口端縁1aを強化している。
口編部2の下方には、環状に身編地8が編成されている。
身編地8の下方には脚部3が編成されている。
【0020】
脚部3は、身編地8を挟んで口編部2の下方から連続して環状に編成され、足首以上の部分を適宜の長さで被い得るように設けられている。脚部3は、その下端部3bから履き口に向かって0度以上45度以下のテーパ角で、好ましくは0度より大きく30度以下で拡大し、着用時にゆったりするよう形成されている。
脚部3の下端部3bには、間隔を空けて左右対称となる位置に第2圧迫部12が形成されている。
【0021】
詳細には、第2圧迫部12は、
図2に示すように内踝F1の直下で踵ポケット4及び足部5までの部分と、
図4に示す外踝F2の直下で踵ポケット4及び足部5までの部分とを含むように編成されている。
図4に示すように、内踝F1の直下を被覆可能な位置に設けられた第2圧迫部12は、第2内圧迫部12aを構成し、外踝F2の直下を被覆可能な位置に設けられた第2圧迫部12は、第2外圧迫部12bを構成している。
【0022】
図3及び
図4に示すように、第2内圧迫部12aと第2外圧迫部12bとは、互いに対向する位置に設けられており、ソックス1の着用時に内踝F1の直下と外踝F2の直下とに接触し得る位置で圧迫するようになっている。また、第2内圧迫部12a及び第2外圧迫部12bは、非着用時矩形で、ほぼ同寸法に形成されている。
【0023】
第2内圧迫部12a及び第2外圧迫部12bの編地は、いずれもタックステッチ又はフロートステッチにより脚部3の他の部分よりも厚手に編成されているとともに、伸縮性が小さくなるように編成されている。更に、裏糸も他の部位よりも強くなるよう編成されている。これにより、第2内圧迫部12a及び第2外圧迫部12bにおいて、肉厚が確実に担保され、また着用時の伸び率を他の部分に比べて低くして、足に圧迫感を与えることができる構成になっている。
【0024】
図2及び
図3に示すように、脚部3の下方には、踵ポケット4が編成されている。
踵ポケット4は、踵をその両側面、後面及び下面から包み込めるようにした部分である。具体的には、踵ポケット4は、
図3に示すように、互いにほぼ平行な上辺15s及び下辺15t又は15kを有するとともに上辺15sの長さが同一の大小の第1の台形編地15A及び第2の台形編地15B、第2の台形編地15B及び第3の台形編地15C、並びに第3の台形編地15C及び第4の台形編地15Dを、その上辺15s,15s又は下辺15k,15kを突き合わせて、大−小−小−大と並べた形状に編成された編地17を用いて形成されている。
【0025】
踵ポケット4の立体形状は、2つの第2の台形編地15B及び第3の台形編地15Cの下辺15k付近で折り曲げた際に、互いに重なり合う平面視台形の側辺(トラバース端)15a,15a同士を接合させて、
図1に示すように、ゴアラインG1,G2,G3形成して設けられている。すなわち、踵ポケット4は、ゴアラインG1の上端を始端として編成され、始端よりも後方かつ下方に編成された領域を構成している。
【0026】
以上の構成を有する踵ポケット4は、足部5にフィットし得る踵の寸法範囲よりも大きく形成されている、すなわち足部5にフィットし得る足に対して一般的に形成される踵部分の寸法範囲よりも大きく形成されている。
なお、踵ポケット4は、特に限定されるものではないが、保湿性性の良いシルク等の混綿された糸が利用されている。
【0027】
踵ポケット4に続いて、足部5が編成されている。
足部5は、環状の編地20により形成され、足の甲側及び足底側を環状に被い得るように設けられている。
足部5は、この足部5を前後方向にほぼ3等分した場合に爪先ポケット6寄りに位置する前側編地部5Aと、踵ポケット4寄りに位置する後側編地部5Bとに、圧迫部7が編成されている。前側編地部5Aと後側編地部5Bとの間に位置する中央編地部5Cには、圧迫部は形成されていない。
【0028】
前側編地部5Aには、間隔を空けて左右対称となる位置に第1圧迫部11が形成されている。
詳細には、
図2,
図4及び
図5に示すように、第1圧迫部11は、
図2に示す母趾の付け根の近傍で、
図2に示す第1中足骨50の先端部50aが位置する部分を足の内側から取り囲むように被覆可能な部分と、不図示の小趾の付け根の近傍で、第5中足骨の先端部が位置する部分を足の外側から取り囲むように被覆可能な部分とに編成されている。なお、「第1中足骨50(又は第5中足骨)の先端部50aを含む部分を内側(又は外側)から取り囲むように被う」とは、言い換えると、同先端部の足の甲側から底面側に亘って略U字状に被うということである。
【0029】
第1中足骨50の先端部50aが位置する部分を被い得るように編成された第1圧迫部11は、第1内圧迫部11aを構成し、第5中足骨の先端部が位置する部分を被い得るように編成された第1圧迫部11は、第1外圧迫部11bを構成している。
第1内圧迫部11aと第1外圧迫部11bとは、互いに対向する位置に間隔を空けて編成され、ソックス1の着用時に足の第1中足骨50から第5中足骨の先端部が位置する足の甲の最幅広部を左右から圧迫するようになっている。
【0030】
第1内圧迫部11a及び第1外圧迫部11bは、非着用時矩形で、ほぼ同寸法に形成されている。その他、第1内圧迫部11a及び第1外圧迫部11bの編成構造は、第2圧迫部12の編成構造と同様である。
なお、足部5を編成する糸としては、特に限定されるものではないが、アンゴラ等の暖かく肌触りの良いものが使用されている。
【0031】
後側編地部5Bには、楔状骨51及び舟状骨52のいずれか一方又は双方が位置する足の部分又はそのやや下方と、不図示の立方骨が位置する足の部分とを被覆可能で、下方を通るように両側方間に亘ってアーチ状に設けられた第3圧迫部13が編成されている。
【0032】
第3圧迫部13は、非着用時、矩形の帯状に形成されている。第3圧迫部13は、
図2に示す踵ポケット4の前方ライン25に沿って編成されており、ソックス1の着用時に踵の直前の足の両側面間に亘って被覆し圧迫するようになっている。
第3圧迫部13の編成構造は、第1圧迫部11及び第2圧迫部12の編成構造と同様である。
足部5の前方には、爪先ポケット6が編成されている。
【0033】
爪先ポケット6は、
図3に示すように、踵ポケット4と同様に、大小の第1の台形編地18A及び第2の台形編地18B、第2の台形編地18B及び第3の台形編地18C、並びに第3の台形編地18C及び第4の台形編地18Dを、その上辺18s,18s同士及び下辺18k,18k同士を突き合わせて、大−小−小−大と並べた形状に編成された編地19を用いて形成されている。
【0034】
この編地19を中心線L部付近で折り畳んだ際に、互いに重なり合う側辺(トラバース端)18a,18a同士を接合させて袋状に設けられ、後述する環状の編地と縫合されている。すなわち、爪先ポケット6は、
図2及び
図3に示す環状の編地20との縫合により形成された
図2に示す幅方向の縫製部G4よりも前方部分の編地35と、この先端部分に対向する足底側の部分の編地36とにより形成された部分を構成している。
【0035】
以上の構成を有する爪先ポケット6は、足部5にフィットし得る足の爪先の寸法範囲よりも大きく形成されている、すなわち足部5にフィットする足が一般的に有する爪先部分の寸法範囲よりも大きく形成されている。
なお、爪先ポケット6は、特に限定されるものではないが、保湿性の良いシルク等の混綿された糸が利用されている。
【0036】
次に、ソックス1の作製について
図3を用いて説明する。
ソックス1は、丸編靴下機によって、概略、口編部2,脚部3,踵ポケット4,足部5,爪先ポケット6の順に編成されている。
具体的に、ソックス1は口編部2から編成を開始する。口編部2は、丸編機シリンダに挿入されている全針を用いてシリンダを周回転して編成する。
【0037】
口編部2に続いて適宜コース数の身編地8を編成した後、身編地8の最終コースに連続して脚部3を編成する。脚部3は筒編を任意コースに段階的に度目調整することによりテーパ形状にする。
脚部3の下端部3bにおいては、筒状の脚部3の両側にくる位置に、脚部3の他の部分と編組織を変えて脚部3編地の他の部分よりも厚手で伸びを抑えた第2内圧迫部12aと第2外圧迫部12bとを編成する。
【0038】
脚部3の編成以後のコースは、任意のコース毎に編地両端の編み幅を減じて第1の台形編地15Aを編成し、その後編み幅を増加し第1の台形編地15Aと上辺15sを同じくする第2の台形編地15Bを第1の台形編地15Aの下辺15tのコース幅よりも小さくして編成する。
【0039】
そして、第2の台形編地15Bと下辺15kを同じくして、上辺15sのコース幅を先に編成した第2の台形編地15Bと同形の第3の台形編地15Cを編成する。その後更に、第3の台形編地15Cと上辺15sを同じくする第4の台形編地11Dを編成し、下辺15tが一番初めに編成した第1の台形編地15Aの下辺15tと同じコース幅になるようにする。
【0040】
第2の台形編地15B、第3の台形編地15C及び第4の台形編地15Dのそれぞれの編成時、各台形編地のトラバース端において、適宜コース端部のループに編み掛けすることで袋状の踵ポケット4を形成する。
【0041】
上記の如くして踵ポケット4が編成されるが、踵ポケット4の編成が終了した後は、全針を用いてシリンダを周回転し、筒編を任意コース構成することにより足の甲側と足底側とを被覆可能な足部5の編成が行われる。
足部5は、足部5を前後方向に3等分した最も爪先側の前側編地部5Aと、最も踵側の後側編地部5Bとにそれぞれ、編組織を変えながら第1圧迫部11と第3圧迫部13とを編成する。
また、足部5に続いて爪先ポケット6も編成する。爪先ポケット6の開口部はリンキング等適宜の手段により環状編地と縫合されて閉じられて、ソックス1が完成する。
【0042】
以上の構成を有する本発明のソックス1は、前側編地部5A、脚部3の下端部3b及び後側編地部5Bに、それぞれ第1圧迫部11、第2圧迫部12及び第3圧迫部13を編成したことから、足において副交感神経の働きを高め易くすることができる。したがって、就寝時にソックス1を着用することにより、睡眠を導入しやすくなるという効果を奏する。
【0043】
また、第1圧迫部11は、第1内圧迫部11aと第1外圧迫部11bとに分割し離間して編成されているので、足が窮屈になり過ぎず、側方において圧迫されている感覚を好適に付与することができる。従って、ソックス1は、副交感神経をより効果的に刺激することができるという効果を奏する。このことは第2圧迫部12についても同様のことが言える。
【0044】
また、第3圧迫部13は、足部5の両側方から底部に亘って連続して形成されているため、締め付け感を得にくい楔状骨51又は舟状骨52の下方付近から立方骨に亘って圧迫感を付与することができるという効果を奏する。
【0045】
また、爪先ポケット6及び踵ポケット4は、足部5にフィットする足が一般的に有する爪先部分及び踵部分の寸法範囲よりも大きく形成されている。したがって、ソックス1の着用時に、爪先及び踵の部分がゆったりとして、リラックスしやすいという効果を奏する。また、爪先ポケット6及び踵ポケット4がゆったりとしているのに対し、各圧迫部7で足が圧迫されているため、爪先ポケット6及び踵ポケット4と圧迫部7とのギャップで押圧を感じ易くすることができるという効果を奏する。
【0046】
また、爪先ポケット6及び踵ポケット4が、保湿性が高いシルク等により形成されているため、就寝時にソックス1を履いた際の快適度が向上する。したがって、ソックス1は、着用中においてより心地よく、リラックスすることができるという効果を奏する。
【0047】
以上に説明した実施態様では、ソックス1が第1圧迫部11から第3圧迫部13の全てを備えた最適な例を説明したが、本発明のソックス1は、第3圧迫部13を有するだけでも構わない。なお、本発明のソックス1は、少なくとも第2圧迫部12を備えていることが好ましく、少なくとも第1圧迫部11を備えていることがより好ましい。更に、ソックス1は、第1圧迫部11から第3圧迫部13の内の2つの圧迫部7を備えていることが好ましく、第1圧迫部11と第2圧迫部12を備えていることがより好ましい。
【0048】
また、第1圧迫部11及び第2圧迫部12は、内側の圧迫部7と外側の圧迫部7とに分離している例を示したが、第1圧迫部11及び第2圧迫部12は、環状に編成されていなければ、甲側又は底部側に連続するようにアーチ状に設けられていてもよい。
また、爪先ポケット6及び踵ポケット4がゆったりと形成されていることは必須ではなく、強く締め付けるものでない限り、足の爪先及び踵に沿ってフィットするものであってもよい。
【0049】
また、圧迫部7は、足を圧迫し得るのであれば、厚手の編地の編成方法としてもタックステッチ又はフロートステッチに限定されるものではない。具体的には、圧迫部7に収縮力のある糸を使用して編地を収縮させて厚みを出す等して、足を圧迫できるようにしてもよい。また、圧迫部7の各箇所によってタックステッチ又はフロートステッチの編成を異ならせてもよい。また、圧迫部7においては、編地の伸び率を抑えるのが好ましいが、伸び率が抑えられていることは必須ではない。また、圧迫部の形状は矩形であることに限定されるものではなく、円形、楕円形その他の多角形で編成してもよい。
【0050】
なお、本発明のソックス1は、就寝時に副交感神経を刺激し睡眠の導入を促すことに特に効果を発揮するものであるが、利用場面として就寝時に限定されるものではなく、就寝時以外に用いてリラックス効果を得てもよい。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0052】
<評価>
図1−
図5で表した実施形態と同様のソックス1を20代〜80代の女性53名に着用して就寝してもらい、本発明のソックス1が睡眠に及ぼす効果を官能評価により検討した。
【0053】
本発明のソックス1の効果は、「履く前」と「履いた後」について、後述する8項目(Q1−Q8)からなるアテネ不眠尺度を用いた評価を行った。なお、アテネ不眠尺度とは、世界保健機構が中心となって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」により作成された評価法である。
【0054】
具体的には、実験開始前にアテネ不眠尺度による「履く前」の評価を行い、「履いた後」の評価は、「履く前」の回答を得た後、2週間以内に5回又は6回被験者に就寝時にソックスを履いてもらうことにより行った。「履く前」と「履いた後」との比較をウィルコクソンの順位和検定を用いて処理し、5%以下を有意差ありとした。
【0055】
被験者53名中38名が、アテネ不眠尺度で5点以下の不眠の疑いなし(以下「不眠なし群」)であり、15名が6点以上の不眠の疑いあり(以下「不眠症群」)であった。両群の年齢と睡眠時間に有意差はなかった。32名(不眠なし群26名,不眠症群6名)が研究開始前の就寝時にソックスを装着しておらず、11名(不眠なし群5名,不眠症群6名)がたまにソックスを装着しており、10名(不眠なし群7名,不眠症群3名)がいつもソックスを装着していた。
対象者の年齢分布、及び、不眠なし群又は不眠症群については
図6に示した。
また、就寝時に靴下を履いて寝る人の割合は、「いつも履いて寝る」が19%、「たまに履いて寝る」が19%、「履かない」が62%であった。
【0056】
アテネ不眠尺度の8項目について、下記の官能評価を行った。Q1〜Q8の結果を、それぞれ
図7〜
図14に示す。
図7〜
図14で「普段靴下を履いて寝る」のグラフは、「いつも履いて寝る」「たまに履いて寝る」を選んだ人のデータを集計した。括弧内では、対象者全体の人数について述べている。
Q1:寝床についてから実際に寝るまで、時間がかかったか。
いつもより良い(『履く前』18名が『履いた後』44名)、
少し時間がかかった(『履く前』31名が『履いた後』7名)、
かなり時間がかかった(『履く前』4名が『履いた後』0名)、
非常にあるいは全く眠れなかった(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p<0.01)。
【0057】
Q2:夜間、睡眠の途中で目が覚めたか。
問題になることはなかった(『履く前』32名が『履いた後』42名)、
少し困ることがある(『履く前』18名が『履いた後』8名)、
かなり困っている(『履く前』2名が『履いた後』1名)、
深刻な状態あるいは全く眠れなかった(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p=0.04)。
【0058】
Q3:希望する起床時間より早く目覚めて、それ以降、眠れないことはあったか。
そのようなことはなかった(『履く前』34名が『履いた後』43名)、
少し早かった(『履く前』15名が『履いた後』7名)、
かなり早かった(『履く前』3名が『履いた後』1名)、
非常に早かったあるいは全く眠れなかった(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p=0.03)。
【0059】
Q4:夜の眠りや昼寝も合わせて、睡眠時間は足りていたか。
十分である(『履く前』16名が『履いた後』27名)、
少し足りない(『履く前』34名が『履いた後』22名)、
かなり足りない(『履く前』1名が『履いた後』2名)、
全く足りないあるいは全く眠れなかった(『履く前』1名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p=0.04)。
【0060】
Q5:全体的な睡眠の質について、どう感じているか。
満足している(『履く前』15名が『履いた後』32名)、
少し不満である(『履く前』30名が『履いた後』19名)、
かなり不満である(『履く前』8名が『履いた後』1名)、
非常に不満である全く足りないあるいは全く眠れなかった(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p<0.01)。
【0061】
Q6:日中の気分はどうだったか。
いつもどおり(『履く前』42名が『履いた後』48名)、
少し滅入った(『履く前』8名が『履いた後』4名)、
かなり滅入った(『履く前』2名が『履いた後』0名)、
非常に滅入った(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差はみられなかった(p=0.08)。
【0062】
Q7:日中の身体的および精神的な活動状態はどうだったか。
いつもどおり(『履く前』40名が『履いた後』50名)、
少し低下した(『履く前』10名が『履いた後』2名)、
かなり低下した(『履く前』2名が『履いた後』0名)、
非常に低下した(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p<0.01)。
【0063】
Q8:日中の眠気はあったか。
全くなかった(『履く前』11名が『履いた後』19名)、
少しあった(『履く前』35名が『履いた後』32名)、
かなりあった(『履く前』5名が『履いた後』0名)、
激しかった(『履く前』0名が『履いた後』0名)。
ソックス装着前後で有意差がみられた(p=0.02)。
【0064】
対象者全体の結果を見ると、『履く前』と『履いた後』の比較では、アテネ不眠尺度8項目中の7項目で改善がみられた。また、不眠なし群と不眠症群を比較したところ、不眠なし群ではQ1とQ5のみで有意差がみられたが、不眠症群ではQ1、Q2、Q4、Q5、Q6、Q7で有意差がみられ、入眠までの時間と睡眠の質に好影響がみられた。本実施例によって、本発明のソックス1は、入眠障害タイプや熟睡タイプに効果があることがわかった。