特許第6484370号(P6484370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6484370
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20190304BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   H01L21/52 F
   H05K13/04 B
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-105715(P2018-105715)
(22)【出願日】2018年5月31日
【審査請求日】2018年8月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501184434
【氏名又は名称】アサヒ・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】石井 正明
【審査官】 土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/031806(WO,A1)
【文献】 特開2003−273166(JP,A)
【文献】 特開2017−183481(JP,A)
【文献】 特開平04−010631(JP,A)
【文献】 特開2014−179420(JP,A)
【文献】 特開2003−218509(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0230589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子部品と第2電子部品を基板に実装する電子部品実装装置であって、
前記基板における前記電子部品の非実装面に直接もしくは間接に対向する台座コアと、
前記第1電子部品に直接もしくは間接に対向する第1加圧コアと、
前記第2電子部品に直接もしくは間接に対向する第2加圧コアと、
前記第1加圧コアの第2端部と前記第2加圧コアの第2端部に接触可能であると共に、前記第1加圧コアと前記第2加圧コアの前記第2端部を押さえる第1端部を有する蓋部材と、
前記蓋部材の第2端部に接触可能であると共に、前記蓋部材を押さえる端部を有する押さえ部材と、
前記台座コアと、前記第1加圧コアと前記第2加圧コアとを、移動させて遠近させる制御を行う移動制御部と、を備え、
前記移動制御部が、前記台座コアと、前記第1加圧コアと前記第2加圧コアを近接させることで、
前記第1加圧コアは、前記台座コアと共に、前記第1電子部品に圧力を付与し、
前記第2加圧コアは、前記台座コアと共に、前記第2電子部品に圧力を付与し、
前記第1加圧コアおよび前記第2加圧コアは、前記台座コアへの遠近において、相互に独立して移動し、
前記第1加圧コアが前記第1電子部品に加圧をする際の前記第1加圧コアの第1端部の位置と、前記第2加圧コアが前記第2電子部品に加圧をする際の前記第2加圧コアの第1端部の位置とは、前記第1電子部品の厚みと前記第2電子部品の厚みの差分によって、相違することが可能であり、
前記台座コアは、前記第1加圧コアおよび前記第2加圧コアが付与する圧力の内、余分である余分圧力を可動によって逃がすことができる、電子部品実装装置。
【請求項2】
前記第1電子部品と前記第2電子部品の厚みの相違により、前記第1加圧コアの前記第1端部位置と前記第2加圧コアの前記第1端部位置とが相違する場合には、
前記蓋部材は傾くことで、前記第1加圧コアの前記第1端部位置と前記第2加圧コアの前記第1端部位置の相違を吸収すると共に、前記第1加圧コアが付与する圧力と前記第2加圧コアが付与する圧力とを略同一にする、請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記蓋部材が傾いている場合であっても、前記蓋部材を押さえつける、請求項2記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記蓋部材が傾く場合および傾かない場合において、
前記第1加圧コアは、前記第1電子部品に第1圧力で加圧し、
前記第2加圧コアは、前記第1電子部品と厚みの相違する前記第2電子部品に第2圧力で加圧し、
前記第1圧力と前記第2圧力は、略同一である、請求項2または3記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
前記第1加圧コアの第2端部は凸形状を有し、前記蓋部材の前記第1端部は凹形状を有し、前記凸形状と前記凹形状とは、摺動可能に組み合わさり、
前記第2加圧コアの第2端部は凸形状を有し、前記蓋部材の前記第1端部は凹形状を有し、前記凸形状と前記凹形状とは、摺動可能に組み合わさる、請求項1から4のいずれか記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
前記凸形状および前記凹形状の表面は、曲面を有する、請求項5記載の電子部品実装装置。
【請求項7】
前記蓋部材の第前記2端部は凸形状を有し、前記押さえ部材の前記端部は凹形状を有し、前記凸形状と前記凹形状の表面は、曲面を有し、摺動可能に組み合わさる、請求項1から6のいずれか記載の電子部品実装装置。
【請求項8】
前記台座コアは、前記第1加圧コアおよび前記第2加圧コアの両方の領域に対応する領域を、前記基板に対向させる、請求項1から7のいずれか記載の電子部品実装装置。
【請求項9】
前記押さえ部材は、前記蓋部材に圧力を加える弾性部材を有し、
前記弾性部材は、前記蓋部材と前記第1加圧コアとの組み合わせ面および前記蓋部材と前記第2加圧コアとの組み合わせ面の隙間を低減し、前記押さえ部材と前記蓋部材の間に隙間を設ける、請求項1から8のいずれか記載の電子部品実装装置。
【請求項10】
前記第1加圧コアと前記第1電子部品の間、および前記第2加圧コアと前記第2電子部品との間の少なくとも一方に、シートが設置される、請求項1から9のいずれか記載の電子部品実装装置。
【請求項11】
前記台座コアを格納する第1型枠と、
前記第1加圧コア、前記第2加圧コア、前記蓋部材および前記押さえ部材を格納する第2型枠を更に備え、
前記移動制御部は、前記第1型枠と前記第2型枠の少なくとも一方を移動させることで、前記台座コアと、前記第1加圧コアおよび前記第2加圧コアの遠近の移動を制御する、請求項1から10のいずれか記載の電子部品実装装置。
【請求項12】
前記第2型枠は格納空間を有し、
前記格納空間は、前記押さえ部材を着脱自在の状態で固定し、前記第1加圧コア、前記第2加圧コア、および前記蓋部材を、非連結の状態で格納する、請求項11記載の電子部品実装装置。
【請求項13】
前記第1電子部品および前記第2電子部品に加わる圧力を検出する圧力検出部を更に備え、
前記台座コアは、前記圧力検出部が検出した圧力に基づいて、余分圧力を逃がす、請求項1から12記載の電子部品実装装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に実装する、電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子機器、測定機器、輸送機器、精密機器などは、半導体集積回路を始めとした多くの電子部品を備えている。プロセッサ、画像処理回路、音声処理回路、種々のセンサーなどは、高集積化が進み、多くの機能が電子部品の中に集積されている。この電子部品が、これらの機器に必要となっている。
【0003】
この電子部品は、リードフレーム、フレキシブルフレーム、電子基板、金属ベース、ヒートシンクなどの基板に実装される必要がある。基板そのものが電子機器などに組み込まれる場合には、この組み込まれる基板に電子部品が実装される。あるいは、製造工程において必要となる基板に電子部品が実装される場合がある。電子機器などが、電子部品を必要とする際に、基板を介して実装する必要があるからである。
【0004】
このように、半導体集積回路などの電子部品が、リードフレームや電子基板、金属ベース、ヒートシンクなどの基板に実装されることが多々ある。
【0005】
ここで、電子部品を基板に実装するに際して、基板と電子部品との間に接着剤を塗布して、圧力と熱を加えて接着剤による実装を行う工法がある。この工法による実装装置を、シンタリング装置と呼ぶことがある。なお、ここでの基板は、単層のもの積層のもの、1枚で構成されるもの、複数枚が張り合わされて構成されるものなどがある。
【0006】
シンタリングとは、焼結によって接着することを言い、ここでは、圧力と熱を加えて、接着剤を焼結させて基板に電子部品を実装することである。圧力と熱による焼結を利用して実装する装置を、シンタリング装置とよぶことがある。
【0007】
基板において、電子部品を実装する位置である実装位置が設定される。この実装位置に接着剤が塗布される。更に、電子部品がこの接着剤に接触するように、電子部品が実装位置に設置される。この状態で、電子部品に圧力と熱が付与される。
【0008】
この圧力と熱の付与によって、接着剤による基板への電子部品の接着が実現される。この結果、基板と電子部品との間に接着層が生じる。この接着層を介して、電子部品は、基板へ実装されることになる。
【0009】
このように、電子部品が電子機器などへの格納を実現するために、あるいは電子部品を用いた次の製造工程のために、電子部品が基板に実装される。接着剤を介して、圧力と熱とで実装するので、大量の電子部品を実装することに適している。このような電子部品実装装置を、シンタリング装置と呼ぶことがある。
【0010】
また、集積度の高い半導体素子、パワーデバイス、大型の電子素子などの電子部品は、高い発熱を生じさせることが多い。このような発熱性の高い電子部品は、熱伝導性の高い金属ペーストを接着剤として基板に実装することが行われる。このとき、電子部品、金属ペースト、基板の経路において熱伝導が高くなるように、電子部品が強固に金属ペーストを介して基板に実装されることが好ましい。
【0011】
すなわち、電子部品を実装するシンタリング装置は、電子部品を十分に圧力を加えて基板に実装する必要がある。
【0012】
このようなシンタリング装置と呼ばれる電子部品実装装置についての技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2016−507164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1は、半導体ダイ封入方法又は半導体ダイキャリア実装方法は、複数の半導体ダイを保持するための第一ツール部を提供するステップ及び第一ツール部上に半導体ダイを提供するステップ;第二ツール部を提供するステップであり、第一ツール部及び第二ツール部のうちの一つは、各可動挿入部材によって半導体ダイの表面領域上に圧力を加えることを可能にする複数の可動挿入部材を有する、ステップ;及び、第一ツール部と第二ツール部との間に空間を規定し、半導体製品が空間内に配置されるように、第一ツール部及び第二ツール部を組み合わせるステップ、を含む。可動挿入部材は、半導体ダイの表面領域上に圧力を加える。可動挿入部材によって加えられる圧力は、監視され、調節される。続いて、第一ツール部及び第二ツール部は分離され、処理された半導体ダイが取り外される半導体ダイ実装装置を開示する。
【0015】
特許文献1は、複数の半導体ダイを樹脂を用いて基板に同時実装する技術を開示する。このとき、半導体ダイと基板とを、可動部材と固定部材とが挟んでいる構成を有している。この構成に基づいて、上下移動できる可動部材が、半導体ダイに圧力を加え、固定部材がこれを受ける。この結果、接着剤による実装が実現される。
【0016】
しかしながら、特許文献1の技術は、可動部材が半導体ダイに圧力を加える。すなわち、固定部材で受けられている半導体ダイと基板とに、移動する可動部材が圧力を加えるので、半導体ダイや基板に破損が生じる懸念がある。圧力を付与しすぎることによる破損が生じうるからである。あるいは、圧力を付与しすぎなくても、移動してくる可動部材が、直接半導体ダイや基板に圧力を付与すること(直接可動部材が押す、あるいはフィルムなどを介して押す)とになり、この動作によって、半導体ダイや基板が破損しうるからである。
【0017】
逆に、破損を生じさせないように圧力を弱めると、樹脂による実装が不十分となる問題もある。このいずれも生じさせないようにするためには、付与する圧力を、半導体ダイや基板の種類などに応じて、最適値を探る必要がある。このような最適値を探ることは、製造工程における負担を増加させる問題がある。
【0018】
また、可動部材により付与される圧力が不適であると、半導体ダイと基板との間の接着層の厚みが厚く残ってしまうことがある。半導体ダイと基板との間の接着層が厚い場合において、半導体ダイが高周波半導体であったり、パワー半導体であったりする場合には、その性能が十分に引き出されないなどの問題にもつながる。
【0019】
このため、付与される圧力が不適であると実装精度が不十分となって、実装された半導体ダイ(電子部品)の性能不足を生じさせる問題にもつながる。あるいは、実装不十分となって、実装後の不具合につながりかねない問題もある。
【0020】
また、基板に複数の電子部品を実装する必要があり、複数の電子部品の実装を一度に行う必要がある。製造工程の効率化やコスト削減のためである。このとき、基板、接着剤、電子部品の積層において、複数の電子部品のそれぞれにおいて、その厚みが不均一になることがある。
【0021】
厚みが不均一である際に、電子部品のそれぞれに対応する可動部材による圧力の付与が対応していないと、複数の電子部品のそれぞれにおいて、実装のばらつきが生じてしまう問題が有る。実装のばらつきは、性能のばらつきや耐久性のばらつきに繋がり好ましくない。特許文献1では、可動部材が直接的に半導体ダイに圧力を加えるのでこのばらつきを吸収しにくい問題がある。
【0022】
また、特許文献1の図8においては、複数の電子部品のそれぞれにインサート200をあてがい、この複数のインサートの上から変形可能な部材350で圧力を付与する態様が示されている。複数の電子部品の厚みにばらつきがある場合には、インサートの高さに差が出ることになる。変形可能な部材350が、インサートの高さの差を吸収できるので、インサートの高さの差が生じても対応できることを、特許文献1は、開示している。
【0023】
しかしながら、変形可能な部材350が変形してインサート200の高さの差を吸収すると、インサート200のそれぞれに付与される圧力に相違が生じる。すなわち、複数の電子部品をまとめて実装する際に、複数の電子部品のそれぞれに異なる圧力を付与してしまうことになってしまう。
【0024】
複数の電子部品に異なる圧力付与で実装することは、実装度合いに差が生じてしまう。実装度合いに差が生じれば、実装後の電子部品のそれぞれでの性能差、性能のばらつき、実装のばらつきによる不良や不具合の発生などの問題を引き起こす。
【0025】
また、特許文献1の図9には、一つのピストン410が、プレート360を介して3つの電子部品をまとめて加圧して実装する態様が示されている。このときも、一つのピストン410が3つの電子部品をまとめて加圧するので、電子部品のそれぞれに付与される圧力に差が生じてしまう。また、直接加圧するピストン410は、電子部品のそれぞれに対向していないので、プレート360を介して、圧力が分散されたりなどで不十分あるいは不均一な圧力付与となり得る。
【0026】
このため、図9の態様であっても、複数の電子部品のそれぞれの実装度合いに差が生じてしまう。実装度合いに差が生じれば、実装後の電子部品のそれぞれでの性能差、性能のばらつき、実装のばらつきによる不良や不具合の発生などの問題を引き起こす。
【0027】
このように、特許文献1を始めとする従来技術には、(1)電子部品や基板の破損、(2)複数の電子部品を同時実装する際に、付与圧力を均一にできない、(3)結果として、複数の電子部品の実装度合いにばらつきを生じさせてしまう、との問題があった。電子部品のそれぞれには、種類あるいは製造精度に起因する厚みのばらつきがある。上述の問題は、このような厚みのばらつきがある場合に、特に顕著となる。
【0028】
本発明は、電子部品や基板の破損を生じさせにくく、厚みのばらつきに係らず複数の電子部品を、実装ばらつきを低減して、基板に実装できる電子部品実装装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題に鑑み、本発明の電子部品実装装置は、第1電子部品と第2電子部品を基板に実装する電子部品実装装置であって、
基板における電子部品の非実装面に直接もしくは間接に対向する台座コアと、
第1電子部品に直接もしくは間接に対向する第1加圧コアと、
第2電子部品に直接もしくは間接に対向する第2加圧コアと、
第1加圧コアの上部と第2加圧コアの上部に接触可能であると共に、第1加圧コアと第2加圧コアの上部を押さえる蓋部材と、
蓋部材の上部に接触可能であると共に、蓋部材を押さえる押さえ部材と、
台座コアと、第1加圧コアと第2加圧コアとを、移動させて遠近させる制御を行う移動制御部と、を備え、
移動制御部が、台座コアと、第1加圧コアと第2加圧コアを近接させることで、
第1加圧コアは、台座コアと共に、第1電子部品に圧力を付与し、
第2加圧コアは、台座コアと共に、第2電子部品に圧力を付与し、
第1加圧コアおよび第2加圧コアは、台座コアへの遠近において、相互に独立して移動し、
第1加圧コアが第1電子部品に加圧をする際の第1加圧コアの第1端部の位置と、第2加圧コアが第2電子部品に加圧をする際の第2加圧コアの第1端部の位置とは、第1電子部品の厚みと第2電子部品の厚みの差分によって、相違することが可能であり、
台座コアは、第1加圧コアおよび第2加圧コアが付与する圧力の内、余分である余分圧力を可動によって逃がすことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の電子部品実装装置は、固定部材が圧力を付与しつつ、可動部材が余分な圧力を逃がす構成であることで、電子部品や基板に過剰な圧力が付与されることが防止できる。このとき、固定部材による圧力付与での圧力の最適値制御も軽減されるので、装置における負荷が軽減される。
【0031】
また、圧力が過少になりすぎることも防止できるので、接着層が厚くなってしまい、実装後の電子部品の性能不足が生じることも防止できる。
【0032】
また、複数の実装部品を同時に実装できる。このとき、複数の実装部品の厚みが異なる場合でも、それぞれに同等の圧力を付与でき、実装度合いのばらつきを生じさせることを防止できる。
【0033】
また、本発明の電子部品実装装置は、多くの部材が連結なく組み合わされているので、実装対象の電子部品の相違に対して、一部の部材を入れ替えるだけで、応用範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】電子部品が実装された基板の正面図である。
図2】電子部品が実装された基板の側面図である。
図3】本発明の実施の形態1における電子部品実装装置の模式図である。
図4】本発明の実施の形態1における動作説明その1での加圧状態を示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態1における動作説明その1の加圧が完了して実装された状態を示す模式図である。
図6】本発明の実施の形態1における動作説明その2での開始時を示す電子部品実装装置の模式図である。
図7】本発明の実施の形態1における動作説明その2での、加圧開始を示す電子部品実装装置の模式図である。
図8】本発明の実施の形態1における動作説明その2での、加圧状態を示す電子部品実装装置の模式図である。
図9】本発明の実施の形態2における電子部品実装装置の模式図である。
図10】本発明の実施の形態2における弾性部材を備える電子部品実装装置の模式図である。
図11】本発明の実施の形態2における型枠を備える電子部品実装装置の模式図である。
図12】本発明の実施の形態2における圧力検出部を備える電子部品実装装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の発明に係る電子部品実装装置は、第1電子部品と第2電子部品を基板に実装する電子部品実装装置であって、
基板における電子部品の非実装面に直接もしくは間接に対向する台座コアと、
第1電子部品に直接もしくは間接に対向する第1加圧コアと、
第2電子部品に直接もしくは間接に対向する第2加圧コアと、
第1加圧コアの上部と第2加圧コアの上部に接触可能であると共に、第1加圧コアと第2加圧コアの上部を押さえる蓋部材と、
蓋部材の上部に接触可能であると共に、蓋部材を押さえる押さえ部材と、
台座コアと、第1加圧コアと第2加圧コアとを、移動させて遠近させる制御を行う移動制御部と、を備え、
移動制御部が、台座コアと、第1加圧コアと第2加圧コアを近接させることで、
第1加圧コアは、台座コアと共に、第1電子部品に圧力を付与し、
第2加圧コアは、台座コアと共に、第2電子部品に圧力を付与し、
第1加圧コアおよび第2加圧コアは、台座コアへの遠近において、相互に独立して移動し、
第1加圧コアが第1電子部品に加圧をする際の第1加圧コアの第1端部の位置と、第2加圧コアが第2電子部品に加圧をする際の第2加圧コアの第1端部の位置とは、第1電子部品の厚みと第2電子部品の厚みの差分によって、相違することが可能であり、
台座コアは、第1加圧コアおよび第2加圧コアが付与する圧力の内、余分である余分圧力を可動によって逃がすことができる。
【0036】
この構成により、2つ以上の電子部品を、同時並行的に実装できる。加えて、2つ以上の電子部品のそれぞれの厚みに違いがある場合でも、電子部品のそれぞれに略同一の圧力を付与することができ、実装不足や破損などを生じさせることを防止できる。
【0037】
本発明の第2の発明に係る電子部品実装装置では、第1の発明に加えて、第1電子部品と第2部品の厚みの相違により、第1加圧コアの端部位置と第2加圧コアの端部位置とが相違する場合には、
蓋部材は傾くことで、第1加圧コアの端部位置と第2加圧コアの端部位置の相違を吸収すると共に、第1加圧コアが付与する圧力と第2加圧コアが付与する圧力とを略同一にする。
【0038】
この構成により、複数の電子部品への圧力付与を同等にできる。
【0039】
本発明の第3の発明に係る電子部品実装装置では、第2の発明に加えて、押さえ部材は、蓋部材が傾いている場合であっても、蓋部材を押さえつける。
【0040】
この構成により、押さえ部材から蓋部材を介して第1加圧コアおよび第2加圧コアが圧力を付与できるので、複数の電子部品に同等の圧力を付与できる。
【0041】
本発明の第4の発明に係る電子部品実装装置では、第2または第3の発明に加えて、蓋部材が傾く場合および傾かない場合において、
第1加圧コアは、第1電子部品に第1圧力で加圧し、
第2加圧コアは、第1電子部品と厚みの相違する第2電子部品に第2圧力で加圧し、
第1圧力と第2圧力は、略同一である。
【0042】
この構成により、複数の電子部品を同時並行的に実装する場合でも、電子部品の厚みの違いによって、破損や実装不足などを生じるのを防止できる。
【0043】
本発明の第5の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、第1加圧コアの第2端部は凸形状を有し、蓋部材の底面は凹形状を有し、凸形状と凹形状とは、摺動可能に組み合わさり、
第2加圧コアの第2端部は凸形状を有し、蓋部材の底面は凹形状を有し、凸形状と凹形状とは、摺動可能に組み合わさる。
【0044】
この構成により、第1加圧コアと第2加圧コアとの高さが異なる場合でも、蓋部材は、これらとの接触を維持しながら傾くことができる。この接触維持での傾きによって、第1加圧コアと第2加圧コアの付与する圧力は、略同一となる。
【0045】
本発明の第6の発明に係る電子部品実装装置では、第5の発明に加えて、凸形状および凹形状の表面は、曲面を有する。
【0046】
この構成により、摺動しやすく、蓋部材の傾きが実現できる。
【0047】
本発明の第7の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、蓋部材の上面は凸形状を有し、押さえ部材の底面は凹形状を有し、凸形状と凹形状の表面は、曲面を有し、摺動可能に組み合わさる。
【0048】
この構成により、蓋部材と押さえ部材同士も摺動しながら接触した組み合わせを維持できる。蓋部材が傾くときでもこれは同じとなり、接触による組み合わせとその圧力維持が可能である。
【0049】
本発明の第8の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、台座コアは、第1加圧コアおよび第2加圧コアの両方の領域に対応する領域を、基板に対向させる。
【0050】
この構成により、台座コアは、複数の加圧コアに対応できる。
【0051】
本発明の第9の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、押さえ部材は、蓋部材に圧力を加える弾性部材を有し、
弾性部材は、蓋部材と第1加圧コアとの組み合わせ面および蓋部材と第2加圧コアとの組み合わせ面の隙間を低減し、押さえ部材と蓋部材の間に隙間を設ける。
【0052】
この構成により、蓋部材が傾く場合でも、押さえ部材から蓋部材を介する圧力が、きちんと加圧コアに伝わる。
【0053】
本発明の第10の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、第1加圧コアと第1電子部品の間、および第2加圧コアと第2電子部品との間の少なくとも一方に、シートが設置される。
【0054】
この構成により、電子部品の保護ができる。
【0055】
本発明の第11の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、台座コアを格納する第1型枠と、
第1加圧コア、第2加圧コア、蓋部材および押さえ部材を格納する第2型枠を更に備え、
移動制御部は、第1型枠と第2型枠の少なくとも一方を移動させることで、台座コアと、第1加圧コアおよび第2加圧コアの遠近の移動を制御する。
【0056】
この構成により、全体を動作させることで、組み合わせでの各要素による圧力付与が実現できる。
【0057】
本発明の第12の発明に係る電子部品実装装置では、第11の発明に加えて、
第2型枠は格納空間を有し、
格納空間は、押さえ部材を着脱自在の状態で固定し、第1加圧コア、第2加圧コア、および蓋部材を、非連結の状態で格納する。
【0058】
この構成により、蓋部材の傾きが実現できつつ、第1加圧コアによる圧力と第2加圧コアによる圧力が略同一となる。
【0059】
本発明の第13の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、第1電子部品および第2部品に加わる圧力を検出する圧力検出部を更に備え、
台座コアは、圧力検出部が検出した圧力に基づいて、余分圧力を逃がす。
【0060】
この構成により、過剰な加圧による電子部品の損傷などを防止できる。
【0061】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0062】
(電子基板への電子部品の実装)
本発明での基板への電子部品の実装について説明する。図1は、電子部品が実装された基板の正面図である。図2は、電子部品が実装された基板の側面図である。基板100は、リードフレーム、金属ベース、ヒートシンクや電子基板などであり、フレキシブル基板、テープ基板、シート基板なども含まれる。また単層、積層などの様々な構造をもっている。
【0063】
図1は、基板100を上から見た状態を示している。基板100に、単数または複数の電子部品200が実装される。図1では、複数の電子部品200が実装されており、この状態のままで基板100が電子機器などに格納されてもよいし、電子部品200毎に分割されて使用されてもよい。
【0064】
また、図1図2の示されるように、2つの電子部品200が対となって実装される。本発明での電子部品実装装置は、2つ(3以上)の電子部品を同時並行的に実装する。このため、実装後の基板100では、図1図2のように、2つの電子部品200が対になるように実装されている。もちろん、図1図2は、2つの電子部品200が対として実装される状況を明確にするためであり、実際に実装された基板100において、電子部品200がこのような配置でなければならないわけではない。また、2つの電子部品200を同時並行的に実装するだけでなく、3つ以上の電子部品200を同時並行的に実装することでもよい。
【0065】
図2に示されるように、電子部品200は、基板100に接着層210を介して実装される。接着層210は、接着剤などであり、接着剤の結合機能によって電子部品200が基板100に実装される。実装前は、接着剤が塗布等されており、これに実装のための圧力及び熱が加わって実装された後に、接着層210が形成される。
【0066】
本発明の電子部品実装装置は、図1図2に示されるような実装を実現する。特に、上述したように、2つ(3以上も含む)の電子部品200を、同時並行的に実装する。ここで、同時並行的とは、電子部品実装装置の動作で一度に実装するとの意味であり、厳密な時間において同時という狭い意味を示すものではない。
【0067】
(実施の形態1)
【0068】
(全体概要)
図3は、本発明の実施の形態1における電子部品実装装置の模式図である。電子部品実装装置1が、電子部品200を実装する態様であることを、模式的に示している。基板100の表面に、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bが設置されている。電子部品実装装置1は、この2つの第1電子部品200Aと第2電子部品200Bとを、同時並行的に実装する。もちろん、上述の通り、第3電子部品や第4電子部品があってもよい。
【0069】
電子部品装置1は、台座コア2、第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4、押さえ部材5、移動制御部6を備える。
【0070】
台座コア2は、基板100における電子部品200の非実装面に直接的あるいは間接的に対向する。図3では、基板100の上面に第1電子部品200Aと第2電子部品200Bが設置されている。このため、台座コア2は、基板100の下方に位置する。台座コア2は、後述するように、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと近接することにより、基板100および電子部品に圧力および熱を付与する。
【0071】
第1加圧コア3Aは、基板100を基準として、台座コア2とは逆側に位置し、第1電子部品200Aに直接的もしくは間接的に対向する。第1加圧コア3Aは、後述するように、台座コア2と共に、基板100および第1電子部品200Aを挟んで加圧する。この加圧によって、基板100と第1電子部品200Aとの実装を実現する。
【0072】
第2加圧コア3Bは、基板100を基準として、台座コア2とは逆側に位置し、第2電子部品200Bに直接的もしくは間接的に対向する。第2加圧コア3Bは、後述するように、台座コア2と共に、基板100および第2電子部品200Bを挟んで加圧する。この加圧によって、基板100と第2電子部品200Bとの実装を実現する。
【0073】
ここで、直接的とは、間に介在する部材が無い状態であり、間接的とは間に何らかの部材が介在する状態である。例えば、保護シートなどが介在する場合もあり、この場合には、台座コア2や加圧コア3は、この保護シートを介して間接的に対向することになる。
【0074】
第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bのそれぞれは、基板100に対して移動可能である。図3では、基板100の下方に台座コア2が位置し、基板100の上方に第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとが位置する。このため、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとのそれぞれは、上下移動(昇降)できる。
【0075】
このとき、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとは、相互に独立して移動できる。
【0076】
蓋部材4は、第1加圧コア3Aの上部および第2加圧コア3Bの上部と接触可能であると共に、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの上部を抑える。すなわち、蓋部材4は、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとを、押さえ込む役割を果たす。図3では、それぞれの要素が上下方向に位置し、上下方向による加圧で、電子部品200を実装する。このため、蓋部材4は、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bを上方から押さえこむ。
【0077】
押さえ部材5は、蓋部材4を抑える。図3では、上下方向に各要素が位置しているので、押さえ部材5は、蓋部材4の上方にあって、蓋部材4の上方を押さえる。
【0078】
移動制御部6は、台座コア2、第1加圧コア3A、第2加圧コア3Bを移動させて遠近させる制御を行う。遠近であるので、台座コア2、第1加圧コア3A,第2加圧コア3Bのそれぞれを、遠隔させたり、近接させたりする。
【0079】
ここで、移動制御部6は、台座コア2と、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bとを、近接させる。この近接によって、第1加圧コア3Aは、台座コア2と共に、第1電子部品200Aに圧力を付与する。このとき、加圧コア3と台座コア2とは、圧力に加えて熱も加える。圧力と熱とによって、電子部品200を基板100に実装できるからである(以下においても、同様である。以下において、圧力を付与すると記載があるが、実装においては圧力と熱が付与されている。ただし、圧力の付与や制御を説明する関係上、記載においては圧力の付与のみを記載していることがある。ただし、実際での実装動作では熱も付与されている。)。近接によって、第1加圧コア3Aと台座コア2とは、基板100と第1電子部品200Aを挟むからである。
【0080】
同様に、近接によって、第2加圧コア3Bは、台座コア2と共に、第2電子部品200Bに圧力および熱を付与する。近接によって、第2加圧コア3Bと台座コア2とは、基板100と第2電子部品200Bを挟むからである。
【0081】
この移動制御部6による第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとの移動は、相互に独立して動作する。このため、第1加圧コア3Aは、第1電子部品200Aに圧力および熱を付与し、これと独立した状態で、第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bに圧力および熱を付与できる。
【0082】
この独立性により、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bの厚みが相違する場合でも、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bのそれぞれは、個別かつ柔軟に対応できる。
【0083】
すなわち、第1加圧コア3Aが第1電子部品200Aに加圧する際の第1加圧コア3Aの第1端部31Aの位置と、第2加圧コア3Bが第2電子部品200Bに加圧する際の第2加圧コア3Bの第1端部31Bの位置とは、第1電子部品200Aの厚みと第2電子部品200Bの厚みの差分によって相違することが可能である。厚みが異なれば、第1加圧コア3Aの第1端部31Aの位置と第2加圧コア3Bの第1端部31Bの位置とが、異なる。
【0084】
この位置の異なった状態で第1加圧コア3Aが第1電子部品200Aに圧力を付与し、第2加圧コア3Bが、第2電子部品200Bに圧力を付与する。このため、第1電子部品200Aに加わる圧力と第2電子部品200Bに加わる圧力とは同等の状態となる。電子部品200の厚みの差分があっても、それぞれに加わる圧力が異なってしまうことが防止できる。
【0085】
また、台座コア2は、圧力付与方向のベクトルに沿って、圧力付与時に動くことができる。この可動によって、台座コア2は、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bが付与する圧力の内、余分圧力を逃がすことができる。これも加わって、第1加圧コア3Aが第1電子部品200Aに加える圧力と、第2加圧コア3Bが第2電子部品200Bに加える圧力とが、同等となる。逆側から第1加圧コア3Aや第2加圧コア3Bの圧力を受けるときに、台座コア2が加圧コア3による加圧方向に動くことで、この圧力の内、余分な圧力である余分圧力を逃がすことができる。
【0086】
以上のように、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとが独立して加圧しつつ(および熱を加える)、それぞれの第1端部の位置が相違できる(接触位置が相違できる)こと、更には、台座コア2が加圧コアのそれぞれの余分圧力を逃がすことで、厚みの差分が有り得る第1電子部品200Aと第2電子部品200Bのそれぞれに同等の圧力を付与することができる。この結果、電子部品200のいずれかを破損させたり、いずれかの実装が不十分になったりといった問題を防止できる。
【0087】
(蓋部材)
蓋部材4は、第1加圧コア3Aの上部と第2加圧コア3Bの上部と接触可能である。図3では、上下方向に部材が位置しているので、蓋部材4は、第1加圧コア3Aの上部と第2加圧コア3Bの上部と接触可能であるが、横方向などの位置関係であれば、この関係に対応する部位と接触可能である。
【0088】
蓋部材4は、接触によって、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとを押さえる。この押さえによって、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bによる加圧が不十分となることを防止できる。
【0089】
ここで、蓋部材4は、斜めに傾くことも水平となることも可能である。蓋部材4は、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと接触可能なだけで組み合わされており、部材接続や固定接続されていないからである。第1電子部品200Aと第2電子部品200Bの厚みが相違する場合には、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの第1端部31Aと第1端部31Bとの位置が相違する。言い換えれば、高さも相違することになる。
【0090】
この高さの相違に対応して、蓋部材4は傾くことができる。蓋部材4が傾くことで、第1端部31A、第2端部31Bの位置の相違を吸収できる。この吸収によって、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとが付与する圧力を略同一にできる。
【0091】
蓋部材4が傾く場合あるいは傾かない場合のいずれにおいても、第1加圧コア3Aは、第1電子部品200Aに対して第1圧力を付与する。同様に、第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bに対して、第2圧力を付与する。このとき、第1圧力と第2圧力とは略同一である。
【0092】
(押さえ部材)
押さえ部材5は、蓋部材4の上部と接触して、蓋部材4を押さえる。このとき、蓋部材4が傾いている場合でも(勿論、傾いていない場合でも)、押さえ部材5は、蓋部材4を押さえつける。この押さえつけによって、蓋部材4を介して第1加圧コア3Aや第2加圧コア3Bによる圧力付与が不十分となることを防止できる。また、蓋部材4は傾いたままで、押さえ部材5が蓋部材4を押さえることができる。このため、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの高さが異なる場合でも、第1圧力と第2圧力とを略同一に維持できる。
【0093】
押さえ部材5は、蓋部材4と固定や接続されておらず、蓋部材4とは組み合わされた状態である。このため、押さえ部材5は、蓋部材4との関係において、組み合わされた自由度を有する。このため、蓋部材4が傾く場合でも、蓋部材4に対する押さえを維持できる。台座コア2、第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4、押さえ部材5のそれぞれでの関係は、相互に接続や固定されていない。これらは、相互に接触可能に組み合わされている。よって、蓋部材4の傾きや、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの一違いなどによっても、加圧が実現される。
【0094】
但し、押さえ部材5は、後述する第2型枠に固定されている。押さえ部材5が第2型枠に固定されていることで、その内部で組み合わされている加圧コア3と蓋部材4との動きに対しても、押さえ部材5は、蓋部材4に圧力付与を維持できる。
【0095】
(動作説明その1:電子部品の厚みの差分が余りない場合)
次に、本発明の電子部品実装装置1の動作について説明する。まず、動作説明その1として、電子部品の厚みの差分が余りない場合について説明する。
【0096】
図3は、動作説明その1での開始時の状態を示している。この状態が、電子部品実装装置1による実装の開始である。図4は、本発明の実施の形態1における動作説明その1での加圧状態を示す模式図である。図4は、図3の後の状態を示している。
【0097】
(開始時)
電子部品実装装置1は、図3のように基板100に第1電子部品200Aと第2電子部品200Bが載せられたものをセットする。電子部品実装装置1が、上下方向の移動を前提として組み合わされている場合には、台座コア2は、基板100の下方に設置される。第1加圧コア3Aは、第1電子部品200Aの上方に設置される。第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bの上方に設置される。
【0098】
もちろん、加圧のための移動方向が水平方向であれば、これらの要素は水平方向にそって設置されて組み合わされる。
【0099】
開始時においては、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと台座コア2とは、十分に離隔している。この離隔によって、第1加圧コア3Aは第1電子部品200Aに圧力を加えておらず、第2加圧コア3Bは第2電子部品200Bに圧力を加えていない。
【0100】
移動制御部6は、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと台座コア2とを近づけるように移動させる。このとき、移動制御部6は、台座コア2のみを移動させて近づけてもよいし、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bのみを移動させて近づけてもよいし、全てを移動させて近づけてもよい。
【0101】
(加圧時)
図4は、上述の通り第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと台座コア2とが近付いている状態を示している。この近接によって、第1加圧コア3Aは、第1電子部品200Aに圧力を付与し、第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bに圧力を付与する。図4のように、第1加圧コア3Aは、第1電子部品200Aに接触しており、第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bに接触している。
【0102】
図4は、この接触により第1加圧コア3Aが第1圧力で加圧し、第2加圧コア3Bが第2圧力で加圧する状態を示している。圧力と合わせて熱も付与される。
【0103】
図4では、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bの厚みに差分がほとんどない。このため、第1加圧コア3Aの第1端部31Aと第2加圧コア3Bの第2端部31Bの位置は、略同一である。第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの移動方向の長さが略同一であれば、第1加圧コア3Aの高さと第2加圧コア3Bの高さも略同一である。
【0104】
このため、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとを押さえる蓋部材4は、水平状態である。この状態で、蓋部材4および押さえ部材5が第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの両方の加圧を実現する。第1圧力と第2圧力とは略同一の状態である。
【0105】
このように、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bの厚みが相違ない場合には、組み合わされた加圧コアや蓋部材は、略水平状態で加圧を行う。この加圧がなされることで、基板100に第1電子部品200Aと第2電子部品200Bとが、同時並行的に実装される。実装においては、実装用の接着剤などが用いられる。
【0106】
(実装状態)
図5は、本発明の実施の形態1における動作説明その1の加圧が完了して実装された状態を示す模式図である。図4などと同一の要素の符号については省略している。組み合わされている第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4および押さえ部材5のそれぞれが密に接触した状態となっている。この状態となることで、基板100、第1電子部品200Aおよび第2電子部品200Bに十分な加圧、加熱がされている。
【0107】
この十分な加圧、加熱がなされることで、接着材などを介した実装が完了する。
【0108】
(動作説明その2:第1電子部品と第2電子部品の厚みの差がある場合)
次に、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bとの厚みの差がある場合について説明する。第1電子部品200Aと第2電子部品200Bの種類の違い、あるいは、同じ種類であるが、製造時でのばらつきなどによって、厚みが異なることがある。
【0109】
(開始時)
図6は、本発明の実施の形態1における動作説明その2での開始時を示す電子部品実装装置の模式図である。第1加圧コア3Aなどはまだ近接しておらず、加圧が始められていない状態である。第1電子部品200Aの厚みが、第2電子部品200Bの厚みよりも大きい。
【0110】
第1加圧コア3Aは第1電子部品200Aに対向し、第2加圧コア3Bは第2電子部品200Bに対向する。この対向によって、第1加圧コア3Aは第1電子部品200Aに加圧を行い、第2加圧コア3Bは第2電子部品200Bに加圧を行う構成である。図では省略しているが、移動制御部6が、加圧コアと台座コア2との距離を遠近させる。
【0111】
(加圧開始)
図7は、本発明の実施の形態1における動作説明その2での、加圧開始を示す電子部品実装装置の模式図である。移動制御部6が、第1加圧コア3A,第2加圧コア3B、台座コア2を移動動作させる。この移動動作によって、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと、台座コア2とが近接する。
【0112】
近接することで、第1加圧コア3Aと第1電子部品200Aが近付いていき、やがて図7のように第1加圧コア3Aと第1電子部品200Aとが接触状態となる。
【0113】
このとき、第1電子部品200Aの厚みよりも第2電子部品200Bの厚みが小さいので、第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bに接触できない状態である。接触するにはまだ近接が不十分だからである。図7の状態では、第1加圧コア3Aは第1電子部品200Aに接触しているが、第2加圧コア3Bが第2電子部品200Bに接触していない状態である。
【0114】
第1加圧コア3Aのみが、第1電子部品200Aに加圧を開始している状態である。
【0115】
(加圧状態)
図8は、本発明の実施の形態1における動作説明その2での、加圧状態を示す電子部品実装装置の模式図である。移動制御部6が、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bと、台座コア2とを更に近接させる。図7のように、第2電子部品200Bの厚みが小さく、第2加圧コア3Bと第2電子部品200Bとが離隔した状態から、図8のように、第2加圧コア3Bが第2電子部品200Bに接触する状態となる。
【0116】
このとき、第2加圧コア3Bの第1端部31Bは、第1加圧コア3Aの第1端部31Aよりも下方に位置するようになる。すなわち、第2加圧コア3Bは、第1加圧コア3Aよりも下がった状態となる。第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとの高さが異なる状態である。
【0117】
高さが異なる状態に対応して、蓋部材4は、傾く。図8は、蓋部材4が傾いている状態を示している。蓋部材4が傾くことで、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの異なる高さを吸収できる。蓋部材4は、固定的に接続されるのではなく、分離および接触可能に第1加圧コア3Aなどと組み合わされているだけである。このため、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとの高さの差があっても、傾くことで、これを吸収できる。
【0118】
また、蓋部材4の上の押さえ部材5が傾いた状態の蓋部材4を押さえることができる。この結果、蓋部材4が傾いた状態でも、押さえ部材5、蓋部材4、第1加圧コア3A、第2加圧コア3Bとの連結が、電子部品200および基板100に圧力を加えることができる。
【0119】
また、蓋部材4が傾いて第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bのそれぞれの加圧を実現する。このため、第1圧力と第2圧力とは略同一になる。蓋部材4が第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの両方を、傾きながら押し込むからである。加えて、台座コア2が余分圧力を逃がすことができるので、実装に過分となる圧力を逃がすことができる。これもあわさって、最適な圧力である第1圧力と第2圧力が、加圧として加わる。
【0120】
このように、厚みの異なる第1電子部品200Aと第2電子部品200Bであっても、略同一の加圧を加えつつ、同時並行的に実装を行うことができる。
【0121】
(加圧コアと蓋部材との組み合わせ)
図6図8に示されるように、第1加圧コア3Aと蓋部材4とが接触できる端部である第2端部32Aは、凸形状を有する。蓋部材4の底面は、この凸形状と対応する凹形状を有する。第2端部32Aの凸形状と蓋部材4の底面の凹形状とは、摺動可能に組み合わさる。摺動可能であることで、第2端部32Aの凸形状の曲面に対して、蓋部材4の底面の凹形状の曲面が滑るように動く。この動きによって、蓋部材4は、傾きを作ることができる。
【0122】
同様に、第2加圧コア3Bの第2端部32Bは、凸形状を有する。蓋部材4の底面は、この凸形状と対応する凹形状を有する。第2端部32Bの凸形状と蓋部材4の底面の凹形状とは、摺動可能に組み合わさる。摺動可能であることで、第2端部32Bの凸形状の曲面に対して、蓋部材4の底面の凹形状の曲面が滑るように動く。この動きによって、蓋部材4は、傾きを作ることができる。
【0123】
凸形状と凹形状の組み合わせによって、摺動可能であることで、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの高さが異なる状態であっても、蓋部材4は、傾きながらこれを吸収できる。
【0124】
ここで、第2端部32A、32Bの凸形状の表面は曲面を有する。同様に、蓋部材4の底面の凹形状の表面は曲面を有する。この曲面同士が接触することで、摺動可能となる。図8のように、第1加圧コア3Aが第2加圧コア3Bよりも高い位置となる。このときは、第1加圧コア3Aの第2端部32Aに対して蓋部材4の凹形状が摺動する。摺動によって、蓋部材4は斜めに傾く。傾いた上で、蓋部材4の凹形状が、第2加圧コア3Bの第2端部32Bと接触できる。
【0125】
このように、曲面同士の摺動によって、蓋部材4と加圧コアとの接触が維持される。結果として、第1加圧コア3Aは、第1電子部品200Aに第1圧力を加え、第2加圧コア3Bは、第2電子部品200Bに第2圧力を加える。第1圧力と第2圧力とは略同一である。
【0126】
(蓋部材と押さえ部材との組み合わせ)
図8に示されるように、蓋部材4の上面は凸形状を有する。押さえ部材5の底面は凹形状を有する。蓋部材4の上面の凸形状は曲面を有する。押さえ部材4の底面の凹形状も、これに対応する曲面を有する。この曲面同士で接触可能であることで、蓋部材4と押さえ部材5とが接触する際に、相互に摺動可能である。
【0127】
この摺動性によって、蓋部材4は、押さえ部材5と接触した状態で傾くことができる。接触状態であることで、蓋部材4が傾く場合でも、押さえ部材5が蓋部材4を押さえて、圧力付与が維持できる。
【0128】
第1電子部品200Aと第2電子部品200Bとが、図8のように厚みが異なる場合には、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとの高さが相違する。この相違を、加圧コアとの接触を維持しながら傾く蓋部材4が吸収する。更に、傾いた蓋部材4と押さえ部材5が接触を維持できる。これらの結果、押さえ部材5から台座コア2までが、一連連結を維持して加圧を維持できる。加えて、傾きによるだけであるので、第1圧力と第2圧力の略同一も維持できる。
【0129】
また、台座コア2は、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bの両方の領域に対応する領域を、基板100に対向させる。このため、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとが加える圧力を、台座コア2が受けることができる。一つの台座コア2がそれぞれの加圧を受けることで、第1加圧コア3Aによる加圧と第2加圧コア3Bによる加圧とが、適切に電子部品200に加えられる。
【0130】
以上のように、実施の形態1における電子部品実装装置1は、厚みの異なる複数の電子部品200を、同時並行的に実装できる。このとき、電子部品毎に加わる圧力を略同一にできることで、いずれかの実装不足を生じさせたり、いずれかに破損などを生じさせたりすることを防止できる。
【0131】
(実施の形態2)
【0132】
次に、実施の形態2について説明する。
【0133】
(シート)
図9は、本発明の実施の形態2における電子部品実装装置の模式図である。図9においては、第1加圧コア3Aと第1電子部品200Aとの間、および第2加圧コア3Bと第2電子部品200Bとの間の少なくとも一方に、シート310が設置される。
【0134】
シート210は、樹脂、紙、金属や合金、化学製品などの素材で製造された薄い部材である。フィルム状の物でもよい。シート310が設置されていることで、第1加圧コア3Aは、このシート310を介して、第1電子部品200Aに加圧する。同様に、第2加圧コア3Bは、シート310を介して、第2電子部品200Bに加圧する。
【0135】
このように、加圧の際に、加圧コア3が電子部品200に直接接触しない。この間接的な接触によって加圧するので、電子部品200を傷つけなくて済む。
【0136】
(弾性部材)
図10は、本発明の実施の形態2における弾性部材を備える電子部品実装装置の模式図である。図10の電子部品実装装置1では、押さえ部材5は、蓋部材4に圧力を加える弾性部材8を更に備える。弾性部材8は、押さえ部材5に設けられる内部空間に備わる。
【0137】
押さえ部材5は蓋部材4と組み合わさり、圧力を加える。このとき、弾性部材8は、押さえ部材5の内部から蓋部材4に接触可能状態である。この接触によって、弾性部材8が、蓋部材4に圧力を加えることができる。
【0138】
弾性部材8によって圧力を受ける蓋部材4は、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとに押付けられる。この結果、蓋部材4と押さえ部材5との間に隙間ができ、蓋部材4の傾きなどの移動動作を円滑にする効果が有る。
【0139】
例えば、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bの厚みが異なることで、蓋部材4が傾くこともあり得る。蓋部材4と押さえ部材5とが接触していると接触抵抗で蓋部材の傾き動作が阻害されて傾かないで動作不良を起こすことがある。このとき、弾性部材8が弾性力で押さえつけることで、蓋部材4は、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bに向けての圧力を受け、押さえ部材5との間に隙間を持たせ、蓋部材4の傾き動作を円滑に行うことができる。
【0140】
(型枠)
図11は、本発明の実施の形態2における型枠を備える電子部品実装装置の模式図である。図11では、第1型枠20と第2型枠30を備える状態が示されている。なお、図示の都合上、第1型枠20と第2型枠30の一部の外形を、実線で示している。
【0141】
第1型枠20は、台座コア2を格納する。第2型枠30は、第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4および押さえ部材5を格納する。移動制御部6は、第1型枠20と第2型枠30の少なくとも一方を移動させる。この第1型枠20と第2型枠30とが遠近することで、結果として、台座コア2と第1加圧コア3Aなどとが遠近する。
【0142】
すなわち、移動制御部6は、第1型枠20と第2型枠30とを近接させる。この近接によって、台座コア2と第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bとを近接させる。この近接によって、実装のための加圧が実現される。
【0143】
このとき、第2型枠30は、第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4および押さえ部材5を格納している。このため、第2型枠30が第1型枠20に近接すると、第2型枠30に格納されている第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4および押さえ部材5の全てが一緒に近接する。この近接によって、第1加圧コア3A、第2加圧コア3Bに加えて、蓋部材4と押さえ部材5も、近接する。この全体の近接によって、相互に組み合わされた要素全体が、加圧を実現できる。
【0144】
第2型枠30は、格納空間を有しているので、この格納空間に、第2型枠30は、第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4を非連結(非接続)の状態で格納する。押さえ部材5は、着脱可能な状態で第2型枠30に固定されている。すなわち、第2型枠30に固定された押さえ部材5を上部として、第1加圧コア3A、第2加圧コア3B、蓋部材4は、非連結の状態で組み合わさっている。言い換えれば、これらの要素と押さえ部材5とも、相互の関係では非連結で組み合わさっている。
【0145】
このような組み合わせにより、蓋部材4は、傾くことができ、傾いた蓋部材4を、押さえ部材5が押さえることができる。第2型枠30が近接される際に、内部に格納されているこれらの要素が合わさって近接するので、全体によって、圧力が加わる。
【0146】
(台座コアによる余分圧力処理)
台座コア2は、第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bから受ける圧力の内、余分な圧力である余分圧力を逃がす役割を果たす。余分圧力を逃がすことにより、実装に必要な圧力のみが電子部品200および基板100に加わり、過剰な圧力が付与されない。この結果、従来技術のように、電子部品200や基板100の破損などが生じることが無い。
【0147】
台座コア2は、油圧、空気圧などによって、その下方が接続されている。この油圧や空気圧によって、一定以上の圧力が加わる場合には、第1加圧コア3Aなどから加わる圧力方向に、余分圧力を逃がすことができる。
【0148】
例えば、第1加圧コア3Aなどから加わる圧力の内、過剰な余分圧力に対応して、台座コア2が圧力付与方向に沿って移動可能である。この移動によって、余分圧力を逃がすことができる。
【0149】
このとき、第1電子部品200Aおよび第2電子部品200Bに加わる圧力を検出する圧力検出部を更に備えることも好適である。図12は、本発明の実施の形態2における圧力検出部を備える電子部品実装装置の模式図である。
【0150】
圧力検出部40は、第1電子部品200Aおよび第2電子部品200Bに加わる圧力を検出する。ここで、第1電子部品200Aに加わる圧力と第2電子部品200Bに加わる圧力とは、既述したように略同一である。圧力検出部40は、検出した圧力を、台座コア2に通知する。あるいは、台座コア2の動作を制御する制御部に通知する。
【0151】
台座コア2は、圧力検出部40が検出した圧力に基づいて、余分圧力を逃がす。例えば、基準圧力が定まっており、圧力検出部40が検出した圧力が、この基準圧力を超えている場合には、この超えている分について、台座コア2が移動して逃がす。
【0152】
台座コア2そのものが移動したり、台座コア2を制御する制御部が、台座コア2を移動させたりして余分圧力を逃がす。例えば、移動制御部6が、この台座コア2を移動させて余分圧力を逃がすことでもよい。このような、台座コア2の移動(位置変化)によって、余分圧力を逃がすことができる。
【0153】
以上のように、実施の形態2における電子部品実装装置1は、実装精度や能力を更に高めることができる。なお、実施の形態1、2では、第1電子部品200Aと第2電子部品200Bとの2つの電子部品の同時並行的な実装を説明したが、3以上の電子部品の同時並行的な実装に展開してもよい。
【0154】
なお、実施の形態1〜2で説明された電子部品実装装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0155】
1 電子部品実装装置
2 台座コア
3A 第1加圧コア
3B 第2加圧コア
31A、31B 第1端部
32A、32B 第2端部
4 蓋部材
5 押さえ部材
6 移動制御部
8 弾性部材
20 第1型枠
30 第2型枠
40 圧力検出部
100 基板
200 電子部品
200A 第1電子部品
200B 第2電子部品
310 シート
【要約】      (修正有)
【課題】厚みのばらつきに係らず複数の電子部品を、実装ばらつきを低減して、基板に実装できる電子部品実装装置を提供する。
【解決手段】台座コア2と、第1電子部品200Aに対向する第1加圧コア3Aと、第2電子部品200Bに対向する第2加圧コア3Bと、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bの上部を接触可能に押さえる蓋部材4と、蓋部材を押さえる押さえ部材5と、台座コア2と、第1加圧コア3Aと第2加圧コア3Bとを、移動させて遠近させる制御を行う移動制御部6と、を備える。第1加圧コア3Aおよび第2加圧コア3Bは、相互に独立して移動し、第1加圧コア3Aの第1端部31Aの位置と、第2加圧コア3Bの第1端部31Bの位置は、第1電子部品200Aの厚みと第2電子部品200Bの厚みの差分によって相違することが可能で、台座コア2は、余分圧力を可動によって逃がす。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12