特許第6484414号(P6484414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484414
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20190304BHJP
   B65D 5/355 20060101ALI20190304BHJP
   B65D 5/468 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B65D5/42 Z
   B65D5/355
   B65D5/468 100
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-167638(P2014-167638)
(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公開番号】特開2016-43940(P2016-43940A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
(72)【発明者】
【氏名】太田 奈津美
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭47−026977(JP,Y1)
【文献】 特開平06−199304(JP,A)
【文献】 実開昭52−010133(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3188443(JP,U)
【文献】 実開昭61−147776(JP,U)
【文献】 特開2004−075142(JP,A)
【文献】 実開昭58−103717(JP,U)
【文献】 実開平06−042641(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/355
B65D 5/468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から受ける荷重に応じて高さが変化する被包装物を包装する段ボール包装箱であって、
多角筒状の胴部と、該胴部の上下を閉塞する蓋板とを備え、
前記胴部は、水平方向に延びる帯状の屈曲可能部を備え、上方から付与される荷重に応じて前記屈曲可能部が胴部の内方に突出するように屈曲するものにおいて、
前記屈曲可能部は、前記胴部の角部を開放する開放部を介して不連続に設けられ、
前記屈曲可能部は、互いに平行に形成された一対の第1折曲げ可能線と、両第1折曲げ可能線間の中央に沿って形成されて第1折曲げ可能線の折り曲げ方向と反対方に折り曲げられる第2折曲げ可能線とを備え、
前記第2折曲げ可能線は、前記胴部を貫通する把持部を介して不連続に設けられており、
各折曲げ可能線は、復元力をもって弾発的に折曲げ可能とされている
ことを特徴とする段ボール包装箱。
【請求項2】
前記第2折曲げ可能線は、前記胴部を貫通する孔部を介して不連続に設けられていることを特徴とする請求項1記載の段ボール包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から受ける荷重に応じて高さが変化する被包装物に好適な段ボール包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、四角筒状の胴部と、該胴部の上下を閉塞する蓋板とを備える段ボール包装箱においては、例えば、被包装物として合成樹脂製ボトルを包装することが行われる。
【0003】
しかし、合成樹脂製ボトルは、上方からの荷重により高さが低くなるように変形するが、近年では、このときの変形量が許容範囲内であれば比較的大きく変形しても品質上問題が生じないものが多い。このため、合成樹脂製ボトルを包装した段ボール包装箱は、上方から荷重を受けると、高さが変化する合成樹脂製ボトルの変形に追従できず、胴膨れや座屈に伴う不規則な皺等の損傷部分が生じて外観が著しく低下する。
【0004】
そこで、胴部の一部に屈曲し易い部分を予め形成しておき、上方から荷重が付与されたときに、胴部の一部を積極的に全周にわたって屈曲させることにより、不規則な皺等の発生を抑えて外観低下を防止する包装箱が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−72044号公報
【特許文献2】特開2005−53552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のように胴部の一部に屈曲し易い部分を予め形成しても、胴部の角部においては屈曲変形を吸収することはできず、胴部の角部に不規則な皺が生じるために、外観上は潰れと同等の印象を与えてしまう不都合がある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、上方から荷重を受けたときの被包装物の高さの変化に確実に追従させることができるだけでなく、胴部に不規則な皺等を発生させることなく良好な外観を維持することができる段ボール包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、上方から受ける荷重に応じて高さが変化する被包装物を包装する段ボール包装箱であって、多角筒状の胴部と、該胴部の上下を閉塞する蓋板とを備え、前記胴部は、水平方向に延びる帯状の屈曲可能部を備え、上方から付与される荷重に応じて前記屈曲可能部が胴部の内方に突出するように屈曲するものにおいて、前記屈曲可能部は、前記胴部の角部を開放する開放部を介して不連続に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の屈曲可能部は、前記胴部の角部を開放する開放部を介して不連続であることにより、胴部の角部を除く各周壁面に設けられている。そして、蓋板上から下方に向って荷重を受けると、蓋板に押圧された被包装物の高さの変化に追従して屈曲可能部が屈曲する。これにより、角部を除く各周壁面は、屈曲可能部によって歪が吸収され、不規則な皺等の発生が防止される。そして、本発明によれば、前記開放部を設けたことによって、胴部の内方に向って突出するように屈曲した屈曲可能部が胴部の角部で干渉することがなく、屈曲動作が円滑に行われるようにすることができると共に、胴部の角部における皺等の発生を確実に防止することができる。従って、本発明の段ボール包装箱によれば、胴部に不規則な皺等を発生させることなく良好な外観を維持することができる。
【0010】
また、本発明において、前記屈曲可能部は、互いに平行に形成された一対の第1折曲げ可能線と、両第1折曲げ可能線間の中央に沿って形成されて第1折曲げ可能線の折り曲げ方向と反対方に折り曲げられる第2折曲げ可能線とを備え、各折曲げ可能線は、復元力をもって弾発的に折曲げ可能とされていることを特徴とする。
【0011】
これによれば、上方から胴部に付与される荷重により屈曲可能部が屈曲するとき、各折曲げ可能線が折り曲げられる際に生じる弾性力を上方からの荷重に抗して作用させることができるので、被包装物に付与される荷重を軽減することができる。よって、被包装物を確実に保護して良好な包装状態を維持することができる。
【0012】
また、このとき、前記第2折曲げ可能線は、前記胴部を貫通する孔部を介して不連続に設けられていることが好ましい。これによれば、孔部の大きさ或いは孔部の数によって屈曲可能部が屈曲する際に第2折曲げ可能線の折曲げ弾性を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の段ボール包装箱を示す斜視図。
図2】本実施形態の段ボール包装箱の展開図。
図3】本実施形態の段ボール包装箱の屈曲可能部が屈曲した状態を示す斜視図。
図4】屈曲可能部の屈曲状態を平面視した説明図。
図5】本実施形態の段ボール包装箱の作用を示す要部の説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の包装箱1は、図1に組立状態を示すように、四角筒状の胴部2と、該胴部2の上端を閉塞する天蓋板3(蓋板)と、該胴部2の下端を閉塞する底蓋板4(蓋板)とによって直方体状に形成されている。
【0015】
包装箱1の胴部2内には複数の合成樹脂製(例えばポリエチレンテレフタレート製)ボトルW(図5に一部を示す)が被包装物として収容される。
【0016】
包装箱1は、図2に展開して示すように、一枚の段ボール板紙1aから形成されている。なお、図2は、段ボール板紙1aの裏面側を示している。段ボール板紙1aは、第1側板5と、第1側板5の一側縁に折目線を介して連設された第2側板6と、第2側板6の一側縁に折目線を介して連設された第3側板7と、第3側板7の一側縁に折目線を介して連設された第4側板8とを備えている。更に、第1側板5の他側縁には折目線を介して接着片9が連設されている。
【0017】
各側板5,6,7,8の夫々の上端縁には、折目線を介して天蓋フラップ10,11,12,13が連設されている。また、各側板5,6,7,8の夫々の下端縁には、折目線を介して底蓋フラップ14,15,16,17が連設されている。後述するが、天蓋フラップ10,11,12,13は天蓋板3を構成するものであり、底蓋フラップ14,15,16,17は底蓋板4を構成するものである。
【0018】
接着片9、第1側板5、第2側板6、第3側板7、及び第4側板8には、帯状の屈曲可能部18が設けられている。屈曲可能部18は、各側板5,6,7,8の夫々の上端縁から所定距離を存した下方に位置し、図1に示すように水平方向に延びる。
【0019】
屈曲可能部18は、図2に示すように、互いに平行に形成された一対の第1折曲げ可能線19,20と、両第1折曲げ可能線19,20間の中央に沿って形成された第2折曲げ可能線21とを備えている。第2折曲げ可能線21は、屈曲可能部18を上部屈曲片18aと下部屈曲片18bとに区分している。
【0020】
第1折曲げ可能線19,20は、段ボール板紙1aの裏ライナ及び中芯を潰すようにして形成され、これによって、上部屈曲片18aと下部屈曲片18bとが胴部2の内側に折り曲げられるように折り曲げ方向を案内している。第2折曲げ可能線21は、段ボール板紙1aの表ライナ及び中芯を潰すようにして形成され、上部屈曲片18aと下部屈曲片18bとが互いに重合するように折り曲げ方向を案内している。これにより、後述するが、屈曲可能部18の屈曲状態は、図3に示すように、包装箱1の外側から見て谷折り状に屈曲する。
【0021】
また、屈曲可能部18は、図2に示すように、4つの開放部22によって不連続に設けられた状態となっている。即ち、開放部22は、第1側板5と第2側板6の境界位置、第2側板6と第3側板7の境界位置、第3側板7と第4側板8の境界位置、接着片9と第1側板5との境界位置(組立後、第1側板5と第4側板8の境界位置)に夫々形成されている。そして、各開放部22は、図1に示すように、組立状態の包装箱1における4つの角部を夫々開放する。
【0022】
第2折曲げ可能線21は、図2に示すように、互いに間隔を存して直線状に並ぶ孔部23により不連続となっている。なお、第2側板6の屈曲可能部18と第4側板8の屈曲可能部18とに設けられている孔部23は、他の孔部23に比べて大きく開口した形状に形成されていることにより、把持部として用いることができるようになっている。
【0023】
第1折曲げ可能線19,20及び第2折曲げ可能線21は、段ボール板紙1aが有する復元弾性により弾発的に折り曲げられるが、孔部23の数や大きさによって第2折曲げ可能線21の折り曲げ時の復元弾性が適度に調節されている。
【0024】
図1に示す包装箱1は、図2に示す上記構成の段ボール板紙1aから組み立てられる。即ち、段ボール板紙1aの各側板5,6,7,8を夫々折目線に沿って同一方向に折り曲げ、次いで、第1側板5の端縁に連設されている接着片9を第4側板8の端部の内側面に重合させて接着する。これにより、四角筒状の胴部2が形成される。
【0025】
続いて、各底蓋フラップ14,15,16,17を各折目線に沿って水平に折り曲げ、各底蓋フラップ14,15,16,17の重合部分を接着剤で接着することにより、底蓋板4が形成される。そして、胴部2の内部に被包装物(本実施形態においては複数本の合成樹脂製ボトルW)を入れる。その後、各天蓋フラップ10,11,12,13を各折目線に沿って水平に折り曲げ、各天蓋フラップ10,11,12,13の重合部分を接着剤で接着することにより、天蓋板3が形成され、図1に示すように、包装箱1が形成される。
【0026】
次に、本実施形態の包装箱1の使用状態について、図1図3図4図5の各図を参照して説明する。
【0027】
包装箱1は、図1の状態で例えば輸送や保管時に積み重ねられる等により上方から荷重がかかる場合がある。この荷重によって、包装箱1は、図3に示すように、胴部2の全周にわたり、屈曲可能部18が復元力をもって弾発的に屈曲するようになっている。このとき、屈曲した屈曲可能部18は、図4に示すように、胴部2の内方に向って突出するが、各側板5,6(7,8)からその内側に突出した屈曲可能部18は、開放部22によって角部で干渉することなく、円滑に屈曲する。これにより、屈曲した屈曲可能部18が胴部2の角部で不規則な皺等を形成することなく、図3に示すように、包装箱1として良好な外観が維持される。
【0028】
ところで、包装箱1の内部には、図5(a)に示すように、合成樹脂製ボトルWが包装されている。包装箱1の上方から荷重がかかると、この荷重は、天蓋板3を介して合成樹脂製ボトルWに付与される。近年の合成樹脂製ボトルWは、上方から荷重を受けるとその高さを縮小させる方向に柔軟に変形し、荷重の付与が解除されると元の形状に復元するようになってる。
【0029】
そして、本実施形態の包装箱1は、図5(b)に示すように、合成樹脂製ボトルWが荷重を受けて高さが縮小するように変形すると、胴部2の屈曲可能部18が屈曲して合成樹脂製ボトルWの高さの変化に追従する。これにより、図3に示すように、屈曲可能部18以外の胴部2の外面に不規則な皺等が発生することはない。
【0030】
その後、包装箱1への荷重の付与が解除されると、屈曲可能部18がその弾性により復元する。これにより、合成樹脂製ボトルWが元の形状に復元する動作を阻害することなく、図1に示す状態となる。これにより、包装箱1は、良好な外観が維持される。
【0031】
更に、本実施形態の包装箱1においては、図5(b)に示すように、屈曲可能部18が、合成樹脂製ボトルWの上部に形成されている小径部分24に対応する位置に配設されている。合成樹脂製ボトルWの小径部分24は、口部とその下方に連続する上端部に形成されている。そして、合成樹脂製ボトルWの小径部分24に対応する包装箱1の胴部2の内部においては、比較的大きな空間が形成される。そこで、屈曲可能部18を、胴部2における合成樹脂製ボトルWの小径部分24に対応する位置に設けることで、胴部2の内方に突出して屈曲状態となる屈曲可能部18を、合成樹脂製ボトルWの小径部分24の周囲に形成される空間に収容することができる。よって、屈曲する屈曲可能部18と合成樹脂製ボトルWとの干渉が防止でき、屈曲可能部18の屈曲動作を円滑に行わせることができる。
【0032】
なお、本実施形態においては、被包装物として合成樹脂製ボトルWを挙げたが、これに限るものではく、上方から受ける荷重に応じて高さが変化する被包装物であれば好適に包装することができる。この場合、被包装物が他部より小径の部分を備えていれば、胴部2において当該小径部分に対応する位置に屈曲可能部18を設けることが好ましい。
【0033】
また、本実施形態においては、第2側板6の屈曲可能部18と第4側板8の屈曲可能部18とに設けられている孔部23を把持部として用いるものを示したが、これに限るものではなく、第2側板6の屈曲可能部18と第4側板8の屈曲可能部18とに設けられている孔部23は、第1側板5の屈曲可能部18と第3側板7の屈曲可能部18とに設けられている孔部23と同一の形状とし、複数形成してもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、胴部2が四角筒状の包装箱1を示したが、本発明はこれに限るものではなく、図示しないが、三角筒状或いは五角以上の多角筒状の胴部を備える包装箱であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…包装箱(段ボール包装箱)、2…胴部、3…天蓋板(蓋板)、4…底蓋板(蓋板)、18…屈曲可能部、19,20…第1折曲げ可能線、21…第2折曲げ可能線、22…開放部、23…孔部。
図1
図2
図3
図4
図5