【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のジャッキ装置はパッケージで(適用範囲を予め設定した設備の一部として)設計及び製作されているため、最大高さ及び最小高さに制約が存在し、結果的に昇降ストロークの範囲が限られる。例えば、特許文献1において跨道橋の据え付け位置が高い場合は、ジャッキ装置付き架台とは別にベント材と呼ばれるボルトで堅固に上下を固定できる単位架構を自走式運搬台車上に配置して、ジャッキ装置付き架台の据え付け高さを嵩上げする必要がある。また、跨道橋を更に高所にジャッキアップする必要がある場合は、運搬前の跨道橋の組立て位置を高所にすると共に、複数のジャッキ装置付き架台を積重ねて使用する必要がある。その結果、ジャッキダウンした状態の跨道橋の高さ(即ち、自走式運搬台車で運搬する際の最低高さ位置)が高くなり、跨道橋を運搬する際に障害物の回避が困難になるという問題が生じる。
【0006】
特許文献3〜5で使用するボルト組立式架構は、鉛直方向の荷重のみならず水平荷重に抗する能力が高いとされている。一方、高ストロークジャッキは高負荷荷重には耐えられるが、水平荷重に抗する能力はほぼ皆無である。そのため、高ストロークジャッキによる重量物のジャッキアップ又はジャッキダウン時は、自走式運搬台車を確実に停止させ、なおかつ水平を確保する等の極めて慎重な作業が要求され、作業が煩雑になるという問題が生じる。また、ベント材と高ストロークジャッキの両者を準備する必要があるので段取りが大掛かりになる。そして、ジャッキアップ作業においては、ベント材1台分に相当する高さを高ストロークジャッキで持上げ、新たなベント材を挿入しボルト結合した後、再び高ストロークジャッキで持上げるという作業の繰り返しになるので、作業に要する時間が長くなるという問題がある。
更に、ベント材同士を左右方向にもボルト締めする場合、ベント材の使用量が2倍となり、ベント材同士をボルト結合する手間も増すことになり、ジャッキアップ作業に要する時間は更に長くなるという問題が生じる。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、重量物を持上げる際の高さの制約がなく、運搬時に加わる水平荷重に強い対抗能力を有する重量物の輸送及び昇降システ
ムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う第1の発明に係る重量物の輸送及び昇降システムは、支持架台に支持された大型の重量物を受け取り、設置架台が設けられた場所まで輸送し該設置架台の載置部に載せかえる重量物の輸送及び昇降システムにおいて、
それぞれ垂直軸回りに回転可能な複数の車軸と、該車軸の両側に設けられた車輪を有する単位自走台車を複数組み合わせて配置して形成され、前記設置架台に向けて移動可能な自走式運搬台車と、
前記自走式運搬台車の積載部の前後及び左右に分散配置され、使用にあっては前記重量物を載せる直方体又は立方体形状の上積層箱の下端に、該上積層箱と平面視した形状が同一の下積層箱を上下方向に接続機構を介して直列に連結して多段式箱柱を形成すると共に、それぞれの該多段式箱柱の下部にあって、同期して該多段式箱柱を昇降する箱柱形成昇降手段と、
を有
し、
前後方向及び左右方向にそれぞれ隣り合う前記多段式箱柱の前記上積層箱同士又は同一高さ位置に配置された前記下積層箱同士は補強部材で連結され、
前記箱柱形成昇降手段は、前記各単位自走台車に配置されたベース部と、前記ベース部上に載置され、該ベース部の中央部に置かれた前記上積層箱又は前記下積層箱を収納する空間部を内側に備え、該ベース部上で昇降する枠状の昇降フレーム部と、前記昇降フレーム部に取付けられ、前記ベース部の中央部に置かれた前記上積層箱又は前記下積層箱に掛止する連結用突起及び該連結用突起を出し入れする駆動部を備えた複数の掛止機構と、上限位置に移動した前記昇降フレーム部の直下の前記ベース部の中央部に前記下積層箱を送り出す運搬機構とを有し、
前後方向及び左右方向にそれぞれ近接して隣り合う前記昇降フレーム部の少なくとも対向する側部材には、上方に開口し、上方から挿入される前記補強部材の両端部側をそれぞれ並べて収納する切欠き部が設けられている。
前記目的に沿う第2の発明に係る重量物の輸送及び昇降システムは、支持架台に支持された大型の重量物を受け取り、設置架台が設けられた場所まで輸送し該設置架台の載置部に載せかえる重量物の輸送及び昇降システムにおいて、
それぞれ垂直軸回りに回転可能な複数の車軸と、該車軸の両側に設けられた車輪を有する単位自走台車を複数組み合わせて配置して形成され、前記設置架台に向けて移動可能な自走式運搬台車と、
前記自走式運搬台車の積載部の前後及び左右に分散配置され、使用にあっては前記重量物を載せる直方体又は立方体形状の上積層箱の下端に、該上積層箱と平面視した形状が同一の下積層箱を上下方向に接続機構を介して直列に連結して多段式箱柱を形成すると共に、それぞれの該多段式箱柱の下部にあって、同期して該多段式箱柱を昇降する箱柱形成昇降手段と、
を有し、
前後方向及び左右方向にそれぞれ隣り合う前記多段式箱柱の前記上積層箱同士又は同一高さ位置に配置された前記下積層箱同士は補強部材で連結され、
前記箱柱形成昇降手段は、前記各単位自走台車に配置されたベース部と、前記ベース部上に載置され、該ベース部の中央部に置かれた前記上積層箱又は前記下積層箱を収納する空間部を内側に備え、該ベース部上で昇降する枠状の昇降フレーム部と、前記昇降フレーム部に取付けられ、前記ベース部の中央部に置かれた前記上積層箱又は前記下積層箱に掛止する連結用突起及び該連結用突起を出し入れする駆動部を備えた複数の掛止機構と、上限位置に移動した前記昇降フレーム部の直下の前記ベース部の中央部に前記下積層箱を送り出す運搬機構とを有し、
前後方向及び左右方向にそれぞれ近接して隣り合う前記昇降フレーム部同士はフレーム固定部材で連結されている。
【0009】
第1
、第2の発明に係る重量物の輸送及び昇降システムにおいて、前記上積層箱に両側がそれぞれ載置されて水平状態を保ち、前記重量物を載せて支持する長尺の水平部材を有することが好ましい。
水平部材を介して重量物を支持することにより、自走式運搬台車で重量部を運搬する際に多段式箱柱に加わる水平荷重に対する多段式箱柱の対抗能力を向上させることができる。
【0010】
第1
、第2の発明に係る重量物の輸送及び昇降システム
は、前後方向及び左右方向にそれぞれ隣り合う前記多段式箱柱の前記上積層箱同士又は同一高さ位置に配置された前記下積層箱同士
が補強部材で連結されてい
る。
自走式運搬台車の積載部上に配置した多段式箱柱を補強部材で連結することにより、多段式箱柱をラーメン構造の一部とすることができる。これにより、自走式運搬台車で重量物を運搬する際に多段式箱柱に加わる水平荷重に対する多段式箱柱の対抗能力を更に向上させることができる。
【0011】
第1
、第2の発明に係る重量物の輸送及び昇降システム
は、前記箱柱形成昇降手段
が、前記各単位自走台車に配置されたベース部と、前記ベース部上に載置され、該ベース部の中央部に置かれた前記上積層箱又は前記下積層箱を収納する空間部を内側に備え、該ベース部上で昇降する枠状の昇降フレーム部と、前記昇降フレーム部に取付けられ、前記ベース部の中央部に置かれた前記上積層箱又は前記下積層箱に掛止する連結用突起及び該連結用突起を出し入れする駆動部を備えた複数の掛止機構と、上限位置に移動した前記昇降フレーム部の直下の前記ベース部の中央部に前記下積層箱を送り出す運搬機構とを有す
る。
【0012】
このような構成とすることにより、ベース部の昇降フレーム部内に現れたベース部の中央部に上積層箱をセットすることができる。その状態で連結用突起を上積層箱に押し入れて昇降フレーム部に上積層箱を掛止して、上積層箱を昇降フレーム部と連結する。これにより、昇降フレーム部を上昇させると上積層箱をベース部から持上げることができ、運搬機構を用いてベース部の中央部(ベース部上の上積層箱直下の領域)に下積層箱を配置することが可能になる。次いで、昇降フレーム部を下降させて上積層箱を下積層箱の上に載せ、連結用突起を上積層箱から引き出して上積層箱との連結を解除すると、昇降フレーム部のみを下限位置に移動させることができる。これにより、下積層箱は昇降フレーム部の空間部に収納された状態となり、連結用突起を下積層箱に押し入れて昇降フレーム部と連結して昇降フレーム部と共に持上げることができる。そして、ベース部の中央部に次の下積層箱を配置し、昇降フレーム部を下降させて持上げた下積層箱を載せた後、昇降フレーム部のみを下限位置まで移動させて次の下積層箱と連結した後、昇降フレーム部と共に次の下積層箱を持上げることを繰り返すことにより、所望の高さの多段式箱柱を形成することができる。
【0013】
第1の発明に係る重量物の輸送及び昇降システム
は、前後方向及び左右方向にそれぞれ近接して隣り合う前記昇降フレーム部の少なくとも対向する側部材
に、上方に開口し、上方から挿入される前記補強部材の両端部側をそれぞれ並べて収納する切欠き部が設けられてい
る。
このような構成とすることにより、補強部材を予め準備しておくことができるので、多段式箱柱を形成する過程で、同一高さ位置に配置される上積層箱同士又は下積層箱同士を補強部材で効率的に連結することができる。
【0014】
第1
、第2の発明に係る重量物の輸送及び昇降システムにおいて、前後方向及び左右方向にそれぞれ近接して隣り合う前記昇降フレーム部同士
がフレーム固定部材で連結され
る構成とすることにより、自走式運搬台車の積載部上に昇降フレーム部を用いたラーメン構造を形成することができる。これにより、昇降フレーム部と昇降フレーム部内に存在する下積層箱とを連結することにより、多段式箱柱を用いたラーメン構造を補強することができ、多段式箱柱に加わる水平荷重に対する多段式箱柱の対抗能力を更に増すことができる。
【0015】
第1
、第2の発明に係る重量物の輸送及び昇降システムにおいて、前記単位自走台車の一つに運転操作盤を有して、該各単位自走台車は前記重量物の形状、重量、及び重心位置に基づいて前後及び左右にそれぞれ分散配置され、前記運転操作盤を備える単位自走台車の移動に同期して移動することが好ましい。
ここで、運転操作盤とは、運転操作盤を備える単位自走台車を人が直接運転する場合は、単位自走台車の各部の動作を制御する機器が設けられた運転台の操作盤をさし、単位自走台車をリモートコントローラ(リモコン)等により運転操作する場合は、その運転操作が可能なリモコン等をさす。
このような構成とすることにより、分散配置された単位自走台車全体を同期して移動することができ、重量物の適用範囲を拡大することができると共に、重量物の輸送作業を安全かつ効率的に実施することが可能になる。
【0016】
重量物の輸送及び昇降方法は、支持架台に支持された大型の重量物を受け取り、設置架台が設けられた場所まで輸送し該設置架台の載置部に載せかえる重量物の輸送及び昇降方法において、
単位自走台車を組み合わせて形成した自走式運搬台車の積載部の前後及び左右に、箱柱形成昇降手段を分散配置する第1工程と、
前記箱柱形成昇降手段内に上積層箱を設置し、前記自走式運搬台車を前記支持架台に向けて移動させる第2工程と、
前記箱柱形成昇降手段を用いて前記上積層箱の下部に下積層箱を接続機構を介して複数連結して多段式箱柱を形成する第3工程と、
前記多段式箱柱で前記重量物を支持した後に、前記多段式箱柱を同期して上昇させて前記自走式運搬台車の前記積載部上で前記重量物の高さ位置を前記設置架台の前記載置部の高さ位置より高く保持する第4工程と、
前記自走式運搬台車を前記設置架台まで移動させて該設置架台間に進入させ、前記多段式箱柱を同期して下降させて、前記重量物の両側を前記設置架台の前記載置部に載せる第5工程とを有する。
【0017】
重量物の輸送及び昇降方法において、前記第2工程では、前記自走式運搬台車を前記支持架台に向けて移動させる前に、前後に隣り合う前記上積層箱の上に水平部材を載置し、前記第4工程では、前記水平部材を介して前記多段式箱柱で前記重量物を支持することが好ましい。
これによって、自走式運搬台車で重量部を運搬する際に多段式箱柱に加わる水平荷重に対する多段式箱柱の対抗能力を向上させることができる。
【0018】
重量物の輸送及び昇降方法において、前記第3工程では、前記多段式箱柱を形成する際に、前後方向及び左右方向にそれぞれ隣り合う前記多段式箱柱の前記上積層箱同士又は同一高さ位置に配置された前記下積層箱同士を補強部材で連結することが好ましい。
このような構成とすることで、ラーメン構造の一部となる多段式箱柱を効率的に形成することができる。