(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルム包材を筒状に成形するフォーマと、該フォーマに向けて前記フィルム包材が移送される過程にて、前記フィルム包材の一方の面に帯状のジッパーを仮付けするジッパー仮付け装置とを具備し、
前記ジッパーが仮付けされたフィルム包材から製品が充填されたジッパー付きの袋を完成させる縦形製袋充填包装機において、
前記包装機は、前記フィルム包材の幅方向及び繰り出し方向に関してジッパー位置を特定するうえでの基準となる少なくとも1個の基準模様を有したフィルム包材の使用を前提として、ジッパー検査機器を更に具備し、
前記ジッパー検査機器は、
前記ジッパー仮付け装置と前記フォーマとの間に配置され、仮付けされた前記ジッパーの両端部を前記基準模様とともに撮影するカメラ装置と、
前記カメラ装置から得られる検査画像に基づき、前記ジッパーの良否を判定する画像判定装置と
を備え、
前記画像判定装置は、前記基準模様に対しての前記ジッパーの両端の端位置、ジッパー長及び前記ジッパーの傾斜角の検査項目がそれぞれ許容範囲内にあるか否かを判定する、
ジッパー検査機器を備えた縦形製袋充填包装機。
前記カメラ装置は、前記フィルム包材の前記一方の面側にそれぞれ配置され、前記ジッパーの両端部をそれぞれ撮影する第1及び第2カメラを含み、これら第1及び第2カメラの少なくとも一方は前記基準模様を同時に撮影する、請求項1に記載のジッパー検査機器を備えた縦形製袋充填包装機。
前記カメラ装置は、前記フィルム包材の前記一方の面側にそれぞれ配置され、前記ジッパーの両端部をそれぞれ撮影する第1及び第2カメラと、前記フィルム包材の他方の面側にて配置され、前記第1及び第2カメラと同一の撮影タイミングで、前記他方の面に付与された前記基準模様を撮影する第3カメラとを含み、
前記画像判定装置は、前記第1〜第3カメラによりそれぞれ得られた個々の撮影画像から前記検査画像を生成する、請求項1に記載のジッパー検査機器を備えた縦形製袋充填包装機。
前記カメラ装置は、前記第1及び第2カメラと撮影対象の前記フィルム包材との間をそれぞれ周囲から隔離する第1及び第2カバーを更に含み、これら第1及び第2カバーは光源を内蔵する、請求項2又は3に記載のジッパー検査機器を備えた縦形製袋充填包装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1の縦形製袋充填包装機の場合、ジッパーの仮付け後、ジッパーの良否が検査されることなく、製品を既に充填した袋が完成されることになるため、ジッパー不良の袋が製造される虞がある。
具体的には、ジッパー不良には該袋の幅方向及び繰り出し方向に関してのジッパー位置のずれや、ジッパー長の過不足、そして、ジッパーの傾斜等が含まれる。詳しくは、ジッパー位置のずれや、長過ぎるジッパー長は袋の側縁からのジッパーの突き破りを招き、袋の密封性が損なわれる。
【0006】
一方、ジッパーが傾斜していれば、ジッパーの本付けが不完全になるばかりでなく、ここでの本付けにて袋の互い対向した内面同士が不所望な箇所にて直接に接着されてしまい、袋の開封を不能にする。
更に、特許文献1の縦形製袋充填包装機の場合、ジッパーにおける両端部の押し潰し状態にもまた検査されることがないので、ここでの押し潰しが不良であれば、ジッパーの両端部からエアが漏れるようなジッパー不良をも招く。
【0007】
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、本発明の目的はジッパーが仮付けされた段階で、ジッパーの良否を判定できるジッパー検査機器を備えた縦形製袋充填包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、本発明に係る縦形製袋充填包装機によって達成され、
該包装機は、フィルム包材の幅方向及び繰り出し方向に関してジッパー位置を特定するうえで基準となる少なくとも1個の基準模様を有したフィルム包材の使用を前提として、ジッパー検査機器を更に具備し、
該ジッパー検査機器は、
ジッパー仮付け装置とフォーマとの間に配置され、仮付けされたジッパーの両端部を前記基準模様とともに撮影するカメラ装置と、
該カメラ装置から得られる検査画像に基づきジッパーの良否を判定する画像判定装置と
を備え、
該画像判定装置は、前記基準模様に対してのジッパーの両端の端位置、ジッパー長及びジッパーの傾斜角の検査項目がそれぞれ許容範囲内にあるか否かを判定する(請求項1)。
【0009】
上述の縦形製袋充填包装機によれば、ジッパー検査機器はカメラ装置及び画像判定装置を備えているので、フィルム包材に仮付けされたジッパーをカメラ装置により直ちに撮影し、この後、画像判定装置は、カメラ装置を用いて得られた検査画像に基づき、基準模様に対するジッパーの端位置、ジッパー長及びジッパーの傾斜角のそれぞれを特定することで、これら検査項目で良否を判定する。
ここでの判定に基準模様を使用することで、フィルム包材が透明の場合、ジッパーの端位置の特定が可能となり、また、フィルム包材に蛇行が生じていても、判定がその蛇行よって悪影響を受けることはない。
【0010】
例えば、カメラ装置は、フィルム包材の一方の面側にそれぞれ配置され、ジッパーの両端部をそれぞれ撮影する第1及び第2カメラを含み、これら第1及び第2カメラの少なくとも一方は前記基準模様を同時に撮影する(請求項2)。このような検査機器は透明なフィルム包材に適用可能である。
【0011】
一方、カメラ装置は、フィルム包材の一方の面側にそれぞれ配置され、ジッパーの両端部をそれぞれ撮影する第1及び第2カメラと、フィルム包材の他方の面側に配置され、前記第1及び第2カメラと同一の撮影タイミングで、前記他方の面に付与された基準模様を撮影する第3カメラとを含むことができ、この場合、画像判定装置は、第1〜第3カメラによりそれぞれ得られた個々の撮影画像から前記検査画像を生成する(請求項3)。このような請求項3の検査機器は透明又は不透明の何れのフィルム包材にも適用可能である。
【0012】
更に、本発明の縦形製袋充填包装機は、ジッパー仮付け装置によるジッパーの仮付けに先立ち、ジッパーの両端部をそれぞれ押し潰して押し潰し部を形成する押し潰し装置を更に具備し、この場合、画像判定装置は押し潰し部の面積を更なる検査項目とし、該検査項目が許容範囲内にあるか否かを判定する(請求項4)。
請求項4の検査機器は、ジッパーの両端部に形成された押し潰し部の面積が許容範囲内にあるか否か、つまり、押し潰し部での密封性の良否をも判定する。
【0013】
更にまた、請求項2又3のカメラ装置は、第1及び第2カメラと撮影対象のフィルム包材との間をそれぞれ周囲から隔離する第1及び第2カバーを更に含み、これら第1及び第2カバーは光源を内蔵する(請求項5)。このような第1及び第2カバーを備えたカメラ装置は外乱による影響を受けることなく、ジッパーの両端部の撮影を可能にする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るジッパー検査機器を備えた縦形製袋充填包装機(請求項1)は、ジッパー仮付け装置とフォーマとの間にジッパー検査機器を備えているので、ジッパーが仮付けされた直後にジッパーの良否を判定でき、ここでの判定結果は、例えば袋内への製品の充填の可否に利用可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ジッパー付きの袋を製造する縦形製袋充填包装機(以下、単に包装機と称する)は、前述の特許文献1からも明らかなように公知であるので、ここでは
図1を参照しながら、包装機の概略を以下に簡単に説明する。
フィルム包材FWは包材ロールWRから繰り出され、繰り出されたフィルム包材FWは包装繰り出し経路10に沿い鉛直な製袋チューブ12のフォーマ14まで導かれる。なお、包材繰り出し経路10は多数のガイドローラ16によって規定されている。
【0017】
フィルム包材FWが製袋チューブ12のフォーマ14を通過する際、フォーマ14はフィルム包材FWを円筒状に成形し、フォーマ14と製袋チューブ12との間の環状ギャップを通じてフォーマ14の下方に製袋チューブ12を囲む筒状包材Wcとして導出させる。この際、フィルム包材FWの両側縁は挟み込みガイド18にて所定の形態、図示の例ではフィンシールの形態で重ね合わされる。なお、挟み込みガイド18はフォーマ14の正面の下部に配置されている。
【0018】
上述の筒状包材Wcは製袋チューブ12に沿い、製袋チューブ12の下端から更に下方に引き出されている。このような筒状包材Wcは製袋チューブ12の両側の一対の吸着型包材フィーダ20(
図1には一方のみ図示)により、製袋チューブ12に沿って間欠的に繰り出される。この際、筒状包材Wcの両側縁は挟み込みガイド18の下方に配置された縦シーラ22を通過し、この際、両側縁が互いに溶着されることで、筒状包材Wcに縦シールLSが形成される。
【0019】
一方、製袋チューブ12から下方に繰り出された筒状包材Wcは横シーラ24を通過する際、該横シーラ24の閉作動により幅方向に溶着される。ここでの溶着は筒状包材Wcに水平な横シールを形成する。詳しくは、横シーラ24は一対のヒータブロック26を含み、これらヒータブロック26は互いに接離する方向に運動し、横シーラ24の開閉作動をもたらす。更に、横シールの形成後、一方のヒータブロック26から他方のヒータブロック26内に切断刃(図示しない)が突出し、ここでの切断刃の突出は横シールを下側のトップシールTSと上側のボトムシールBSとに切断する。
【0020】
ボトムシールBSは筒状包材Wcに底を提供し、この時点で、ホッパ28及び製袋チューブ12を通じて筒状包材Wc内に製品の投入が可能となる。投入された製品は筒状包材Wc内にてボトムシールBSの上側に堆積、つまり、筒状包材Wc内に充填される。
この後、筒状包材Wcの繰り出し及び横シーラ24の閉作動が繰り返されることで、筒状包材Wcは既に形成されたボトムシールBSの上方に横シール、つまり、トップシールTSが形成され、これにより、
図1に示されるような製品を充填した袋Pが完成する。
【0021】
一方、ジッパロールZRからは帯状のジッパー連続体ZCがジッパー繰り出し経路30に沿って繰り出され、このジッパー繰り出し経路30は多数のガイドローラ32によって規定され、包材繰り出し経路10に向けて延びている。
図2に示されるように、ジッパー連続体ZCは凸条Lを有したシートWLと、溝条Gを有したシートWGとを含み、これらシートWL,WGは重ね合わされることで、凸条L及び溝条Gが互いに嵌合し合うジッパー嵌合部ZSを形成している。更に、ジッパー嵌合部ZSは溝条G側のシートWGの一側縁部に位置付けられ、そして、凸条L側のシートWLはシートWGの一側縁からはみ出た仮付けフラップPFを一体に有する。なお、シートWL,WGの他側縁はジッパー連続体ZCの幅方向でみて揃えられた状態にある。
【0022】
ジッパー繰り出し経路30はその途中に2つのガイドローラ32間にて規定された水平部を有し、この水平部に押し潰し装置36が配置されている。
図3に示されるように押し潰し装置36は、水平部の上下に配置された超音波ホーン38及びアンビル40とを含み、アンビル40は昇降可能である。それ故、押し潰し装置36はアンビル40と超音波ホーン38との間にてジッパー連続体ZCを挟み込むことができ、この際、ジッパー連続体ZCのジッパー嵌合部ZSを超音波による溶融を伴いながら部分的に押し潰すことができる。
【0023】
詳しくは、超音波ホーン38の下面38aは平坦であるものの、アンビル40の上面40aは平坦ではなく、該上面40aには
図4に示されるように1つの凹所42と、2つの溝44とが形成されている。凹所42は例えば楕円形状をなし、ここでの楕円はジッパー連続体ZCの繰り出し方向に沿う長軸を有する。一方、2つの溝44は凹所42によりも深く、該凹所42の長軸に沿って互いに離間するように凹所42の両端にそれぞれ位置付けられている。
【0024】
このような凹所42及び溝44がアンビル40に備えられていれば、押し潰し装置36は、超音波ホーン38の下面38aとアンビル40の凹所42との間で挟み込んだジッパー嵌合部ZSの一部を溶融させながら押し潰してなる押し潰し領域を形成する一方、2つの溝44により押し潰し領域内にジッパー嵌合部ZSを部分的にかしめた2箇所のかしめ部を形成する。このような押し潰し領域及びかしめ部は
図5中、参照符号FA,CKで示されており、押し潰し領域FAの大きさ(面積)は凹所42のサイズによって決定される。
【0025】
上述した押し潰し装置36によるジッパー連続体ZCの押し潰し加工は、ジッパー連続体ZCの間欠的な繰り出しに伴い周期的に繰り返され、これにより、かしめ部CKを備えた押し潰し領域FAがジッパー連続体ZCの長手方向に一定の間隔を存して形成される。
更に、
図1に概略的に示されているようにジッパー繰り出し経路30には押し潰し装置36の下流に切断セクション46を更に備え、この切断セクション46は切断刃48を含む。この切断刃48は、ジッパー連続体ZCを各押し潰し領域FAの中央にて切断し、ジッパー連続体ZCから所定長さのジッパーZを形成する。
図5中の2点鎖線は切断刃48によるジッパー連続体ZCの切断位置を示す。
【0026】
それ故、このようにして形成された個々のジッパーZはその両端部に押し潰し領域FAの半体からなる押し潰し部FBをそれぞれ有し、これら押し潰し部FBはかしめ部CKを1個ずつ備えている。ここで、押し潰し部FBの面積はジッパーZの端部での密封性が十分であるか否かを判定するうえで、好適な指標となる。即ち、押し潰し部FBの面積が凹所42の面積のほぼ半分に達していれば、前述の押し潰し装置36によるジッパー嵌合部ZSの溶融が十分になされ、押し潰し部FBでの密封が確実になっていることを示す。
【0027】
この後、ジッパーZはジッパー繰り出し経路30に沿って包材繰り出し経路10上に供給され、ジッパー仮付け装置50により、包材繰り出し経路10上のフィルム包材FWに仮付けされる。具体的には、ジッパー仮付け装置50は、包材繰り出し経路10上のフィルム包材FWの上下に配置された仮付けヒータブロック52及び受けブロック54を含む。図示の例では、仮付けヒータブロック52は昇降可能であり、受けブロック54との間にてジッパーZでの仮付けフラップPFを挟み込み、該仮付けフラップPFをフィルム包材FWの一方の面に溶着する。ここで、フィルム包材FWの一方の面とは前述した筒状包材Wcの内面となる側の面である。
【0028】
ジッパーZはフィルム包材FWの幅方向でみて、フィルム包材FWの中央に仮付けされる一方、このようなジッパーZの仮付けはフィルム包材FWの長手方向に所定の間隔を存して繰り返され、ここでの間隔は前述した袋Pの長さに一致する。
なお、ジッパーZの仮付けは、フィルム包材FWに予め付与されているレジマーク(図示しない)を基準として実施され、これより、フィルム包材FW、即ち、袋Pの長手方向に関してのジッパーZの位置決めがなされる。
【0029】
この後、ジッパーZが仮付けされたフィルム包材FWは前述したように個々の袋Pに成形され、この際、ジッパーZは袋PにおけるトップシールTSの下側にて、互いに向かい合う袋Pの内面に本付けされる。
このようなジッパーZの本付けを可能にするため、包装機は前述した横シーラ24の直下にジッパー本付け装置56を備え、このジッパー本付け装置56は横シーラ24と同様に一対のヒータブロック58を有する。これらヒータブロック58は例えば、横シーラ24側の対応するヒータブロック26と連動して作動し、これにより、ジッパー本付け装置56はヒータブロック58間にて袋Pの外側からジッパーZを挟み込み、該ジッパーZを袋Pの互いに向き合った内面にそれぞれ溶着させる。
【0030】
具体的には、
図7に示されているように一対のヒータブロック58の内面は、ジッパー嵌合部ZSを避けてジッパーZのシートWL,WGを挟み込むトップ挟持面60と、前述のかしめ部CKを避けてジッパーZの両端及び袋Pの両側縁を一緒に挟み込む一対のサイド挟持面62とを有し、これらトップ挟持面60及びサイド挟持面62は協働して門形をなす。なお、サイド挟持面62は前述した押し潰し部FBでの厚みの減少を考慮してトップ挟持面60から突出し、一方、トップ挟持面60の中央には袋Pの縦シールLSの厚みを考慮して凹み64が形成されている。
それ故、ジッパーZがジッパー本付け装置56によって本付けされたとき、
図8に示されるようにジッパーZは門形のヒートシール域HSを介して袋Pの内面に接着される。
【0031】
次に、上述した縦形製袋充填包装機に適用される本発明の一実施形態に係るジッパー検査機器について説明する。
図1に示されるようにジッパー検査機器66はカメラ装置68を備え、このカメラ装置68は包材繰り出し経路10にて、前述したジッパー仮付け装置50とフォーマ14の間に配置されている。本実施形態の場合、カメラ装置68は3台のカメラ、即ち、第1〜第3カメラ70、72,74を含み、第1及び第2カメラ70,72は共に包材繰り出し経路10上のフィルム包材FWの上方に配置されている。第1カメラ70はジッパーZの一端部を撮影し、第2カメラ72は前記ジッパーZの他端部をそれぞれ同時に撮影する。
【0032】
一方、第3カメラ74は、包材繰り出し経路10、即ち、フィルム包材FWを挟んで第1及び第2カメラ70,72とは反対側に配置され、フィルム包材FWの他方の面、即ち、袋Pの外面となる面に予め付与された少なくとも1個の基準模様を第1及び第2カメラ70,72と同一のタイミングで撮影する。
ここで、基準模様はフィルム包材FWの幅方向に関してジッパー位置を特定するうえでの基準となり、例えば、
図9に示されるように仮付けされたジッパーZに対して2個割り当てられ、これら第1及び第2基準模様は仮付けされたジッパーZの一端及び他端の近傍にそれぞれ位置すべくフィルム包材FWに付与されている。
【0033】
具体的には、第1及び第2基準模様は袋Pの外面に描かれている絵柄の一部又は前述のレジマークであってもよいし、該絵柄やレジマークとは別に付与されたものであってもよい。また、第1及び第2基準模様は同一である必要もない。
第3カメラ74は、フィルム包材FWが例えばアルミニウムの被膜を有する不透明な包材である場合に必要不可欠であるが、フィルム包材FWが透明であれば、第3カメラ74は不要となる。この場合、第1及び第2カメラ70,72は、ジッパーZの対応する側の端部及び基準模様を併せて撮影する。
しかしながら、本実施形態のように第1〜3カメラ70,72,74が予め備えられていれば、フィルム包材FWが透明か不透明かに拘わらず、ジッパーZの両端部を第1及び第2基準模様とともに撮影可能であるので、汎用性に優れたジッパー検査機器が提供される。
【0034】
第1及び第2カメラ70,72にて撮影対象を明瞭に撮影するうえで、
図10に示されるようにカメラ装置68は第1及び第2カメラ70,72とフィルム包材FWとの間を周囲から隔離する第1及び第2カバー76,78を備えているのが望ましく、これら第1及び第2カバー76,78はその下端部がボウル形状をなす反射鏡80として形成され、この反射鏡80内に光源としてのリングライト82が内蔵されている。
更に、本実施形態では、第1カメラ70と第1カバー76は1つのユニットとして支持プレート84に取り付けられ、同様に、第2カメラ72と第2カバー78もまた1つのユニットとして支持プレート84に取り付けられている。支持プレート84は包材繰り出し経路10上のフィルム包材FWを横断して延び、そして、支持プレート84に対する各ユニットの取り付け位置はフィルム包材FWの幅方向に調整可能となっている。
【0035】
カメラ装置68が上述した第1及び第2カバー76,78を備えていれば、第1及び第2カメラ70,72は外乱の影響を受けることなく、ジッパーZの対応する端部のみ又は端部及び基準模様の両方からなる対象を明瞭に撮影することができる。また、上述の各ユニットの取り付け位置がフィルム包材FWの幅方向に調整可能であるので、フィルム包材FWの間欠繰り出しが停止したとき、対象の上方に対応するカメラを正確且つ容易に位置付け可能となる。
【0036】
第1〜第3カメラ70,72,74にて得られた撮影画像は
図1から明らかなように画像判定装置86に送信され、この画像判定装置86は撮影画像に基づきジッパーZの良否を判定する。
具体的には、画像判定装置86は
図11に示されるような機能ブロックを備え、以下、
図11を参照しながら画像判定装置86の機能を以下に説明する。
画像判定装置86は検査画像生成部88を備え、該検査画像生成部88は第1〜第3カメラ70,72,74にて撮影した撮影画像をそれぞれ受け取り、これら撮影画像に基づき、例えば
図9中の(a),(b),(c)にそれぞれ示されるような検査画像を生成する。これら検査画像には、少なくともジッパーZの両端部及び第1及び第2基準模様が含まれている。
【0037】
検査画像生成部88から端位置特定部90に検査画像が送られ、この端位置特定部90は検査画像に基づき、ジッパーZの一端及び他端の端位置EP
1,EP
2(検査項目)をそれぞれ特定する。具体的には、
図9中の(a)から明らかなように、ジッパーZの一端を示す端位置EP
1は例えば第1基準模様の対応する側の端を既知の第1基準端位置とし、この第1基準端位置とジッパーZの一端との間の距離D
1に基づき特定される。同様に、ジッパーZの他端を示す端位置EP
2は第2基準模様の対応する側の端を既知の第2基準端位置とし、この第2基準端位置とジッパーZの他端との間の距離D
2に基づき特定される。
【0038】
このようにして特定された端位置EP
1,EP
2は判定部92に送られ、この判定部92にて端位置EP
1,EP
2がそれぞれ許容範囲内にあるか否かが判定され、ここでの判定結果が判定部92から出力される。例えば、
図9中の(c)にて、実線のジッパーZが正規なジッパー位置にあるとすれば、2点鎖線のジッパーZではその距離D
1、D
2が許容範囲外となり、この場合、ジッパーZの端位置EP
1,EP
2は不良と判定され、不良の判定結果が判定部92から出力される。
【0039】
ここで、端位置EP
1,EP
2の特定には第1及び第2基準模様が使用されているので、フィルム包材FWが透明で、該フィルム包材FWの両側縁の撮影が実質的に不能であっても、端位置EP
1,EP
2の特定が可能となり、また、フィルム包材FWに蛇行が発生していたとしても、この蛇行が起因した端位置EP
1,EP
2の特定に悪影響を及ぼすことはない。
また、本実施形態では、ジッパーZの両端部を第1及び第2カメラ70,72でそれぞれ撮影するので、これら第1及び第2カメラ70,72はジッパーZの長さがたとえ長くても、ジッパーZの両端部を撮影可能である。
【0040】
一方、前記距離D
1,D
2はジッパー長演算部94に送られ、このジッパー長演算部94にて、ジッパー長Lz(検査項目)が距離D
1,D
2に基づいて求められる。詳しくは、前述した第1及び第2基準端位置は既知であるから、これら第1及び第2基準端位置の離間距離もまた既知であるので、この離間距離に距離D
1,D
2を加算した値がジッパー長Lzとなる。
このようにして求めたジッパー長Lzは判定部96に送られ、この判定部96にて、ジッパー長Lzが正規のジッパー長に対して許容範囲内にあるか否かが判定され、ここでの判定結果が判定部96から出力される。
【0041】
検査画像は検査画像生成部88から傾斜角演算部98にも送られ、この傾斜角演算部98にて、検査画像に基づいてフィルム包材FWの幅方向に対するジッパーZの傾斜角α(検査項目)が演算される。例えば、ここでは
図9中の(b)を参照すれば明らかなように、フィルム包材FWの長手方向に沿う第1基準端位置とジッパーZとの間の第1距離及び第2基準端位置とジッパーZとの間の第2距離が求められ、これら第1及び第2距離に基づき、ジッパーZの傾斜角αが演算される。
この後、傾斜角αは判定部100に送られ、この判定部100にて、ジッパーZの傾斜角αが許容範囲内にあるか否か、つまり、フィルム包材FWの幅方向に対するジッパーZの平行度が許容範囲内にあるか否かが判定され、ここでの判定結果が判定部100から出力される。
【0042】
更に、検査画像は検査画像生成部88から面積演算部102に送られ、この面積演算部102にて、検査画像に基づき、ジッパーZがその両端部にそれぞれ有する押し潰し部FBの面積A(検査項目)が演算される。
この後、面積Aは判定部104に送られ、この判定部104にて、面積Aが許容範囲内にあるか否かが判定される。例えば、ここでの判定には、前述したアンビル40における凹所42の面積の半分が基準面積として使用でき、この基準面積に対して面積Aが許容範囲内にあるか否か、即ち、押し潰し部FBでの密封性が十分に確保されているか否かが判定され、その判定結果が判定部104から出力される。
【0043】
前述した判定部92,96,100,104からの何れかの判定結果が否である場合、ジッパーZはその仮付け位置、仮付け姿勢及び押し潰し部FBでの密封性に関し、何れかが不良であることを示す。この場合、包装機は不良の袋Pに対する製品の充填を回避でき、製品を充填した袋Pが不所望にして製造されてしまうことはない。
【0044】
本発明は上述した一実施例のジッパー検査機器に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、ジッパーZの両端部が1個の共通カメラにて撮影可能であれば、該共通カメラを第1及び第2カメラ70,72の代わりに使用でき、そして、フィルム包材FWが透明であれば、共通カメラは第3カメラもまた兼用することができる。
また、一実施形態では、ジッパーZの両端部に対して第1及び第2基準模様が割り当ているが、これら第1及び第2基準模様は1つの共通基準模様であってもよい。
更に、一実施形態の画像判定装置86での画像処理手順は単に一例を示しただけであり、前述の検査項目の特定には種々のアルゴリズムに基づいた画像処理が可能である。