(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抑制手段は、前記抑制手段と前記主表面との間の空間に気体を噴出し、かつ、前記抑制手段と前記主表面との間の空間から気体を吸引することで、前記抑制手段と前記主表面との間の距離を調整する、
請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
前記検査工程の後において、前記切断工程で形成された前記切断面を有する前記ガラス基板と、合紙とを交互に積層して梱包して、ガラス基板積層体を製造する梱包工程をさらに備える、
請求項7に記載のガラス基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(特開2009−236771号公報)に開示される検査装置は、上部把持手段および下部把持手段によってガラス基板に上下方向の張力を付与するため、液晶ディスプレイ装置に使用されるような大型かつ薄いガラス基板を把持する場合、ガラス基板が割れるおそれがある。
【0005】
また、ガラス基板を移動させながらガラス基板の欠陥を高い精度で検知するためには、ガラス基板の姿勢を安定化させ、ガラス基板の振動を抑制する必要がある。特に、ガラス基板の表面の法線の向きを安定化させること、および、ガラス基板の表面の法線方向の振動を低減することが、ガラス基板の検査精度の向上に重要である。
【0006】
本発明の目的は、ガラス基板の欠陥を高い精度で検知することができるガラス基板の製造方法およびガラス基板の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガラス基板の製造方法は、搬送工程と、抑制工程と、検査工程とを備える。搬送工程は、ガラス基板の主表面に平行な第1方向にガラス基板を搬送する。抑制工程は、搬送工程においてガラス基板が搬送されている間に、複数の抑制手段を用いて、主表面と直交する第2方向におけるガラス基板の動きを抑制する。検査工程は、搬送工程においてガラス基板が搬送されている間に、複数の検査手段を用いて、主表面の欠陥を光学的に検査する。搬送工程は、ガラス基板を、ガラス基板の一の端部が把持されることにより吊り下げられた状態で、第1方向に搬送する。抑制手段は、ガラス基板の少なくとも一方の主表面に向かって気体を噴出することで、第2方向におけるガラス基板の動きを抑制する。少なくとも1つの検査手段は、第1方向において抑制手段の前に配置される。少なくとも1つの検査手段は、第1方向において抑制手段の後に配置される。
【0008】
また、ガラス基板の製造方法は、抑制手段および検査手段が鉛直方向に交互に配置されている第1ユニットを少なくとも1つ用いて、ガラス基板の第2方向の動きを抑制し、かつ、主表面を検査することが好ましい。
【0009】
また、ガラス基板の製造方法は、抑制手段および検査手段が第1方向に交互に配置されている第2ユニットを少なくとも1つ用いて、ガラス基板の第2方向の動きを抑制し、かつ、主表面を検査することが好ましい。
【0010】
また、抑制手段は、抑制手段と主表面との間の空間に気体を噴出し、かつ、抑制手段と主表面との間の空間から気体を吸引することで、抑制手段と主表面との間の距離を調整することが好ましい。
【0011】
また、抑制手段は、搬送工程においてガラス基板が搬送されている間に、抑制手段と主表面との間の距離が徐々に短くなるように、抑制手段と主表面との間の距離を調整することが好ましい。
【0012】
また、ガラス基板の製造方法は、ガラス基板を洗浄する洗浄工程をさらに備えることが好ましい。洗浄工程は、少なくとも検査工程の前に行われる。
【0013】
また、洗浄工程は、主表面に付着している異物であって、主表面から10μm以上離れている部分を有する異物を、主表面から除去することが好ましい。
【0014】
また、洗浄工程は、検査工程の前において、搬送工程においてガラス基板が搬送されている間に、ガラス基板を洗浄することが好ましい。
【0015】
また、ガラス基板の製造方法は、成形工程と、徐冷工程と、切断工程とをさらに備えることが好ましい。成形工程は、オーバーフローダウンドロー法により熔融ガラスからシート状のガラスリボンを成形する。徐冷工程は、成形工程で成形されたガラスリボンを下方に搬送しつつ、温度管理しながら冷却する。切断工程は、徐冷工程で冷却されたガラスリボンを切断してガラス基板を得る。洗浄工程は、切断工程で切断されたガラス基板の切断面に付着している切断面付着物を除去する。検査工程は、ガラス基板の内部欠陥を検査する。
【0016】
また、ガラス基板の製造方法は、梱包工程をさらに備えることが好ましい。梱包工程は、検査工程の後において、切断工程で形成された切断面を有するガラス基板と、合紙とを交互に積層して梱包して、ガラス基板積層体を製造する。
【0017】
本発明に係るガラス基板の製造装置は、搬送機構と、複数の抑制機構と、複数の検査機構とを備える。搬送機構は、ガラス基板の主表面に平行な第1方向にガラス基板を搬送する。抑制機構は、搬送機構によってガラス基板が搬送されている間に、主表面と直交する第2方向におけるガラス基板の動きを抑制する。検査機構は、搬送機構によってガラス基板が搬送されている間に、主表面の欠陥を光学的に検査する。抑制機構は、ガラス基板の少なくとも一方の主表面に向かって気体を噴出することで、第2方向におけるガラス基板の動きを抑制する。少なくとも1つの検査機構は、第1方向において抑制機構の前に配置される。少なくとも1つの検査機構は、第1方向において抑制機構の後に配置される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るガラス基板の製造方法およびガラス基板の製造装置は、ガラス基板の欠陥を高い精度で検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るガラス基板製造装置100は、主として、ガラス基板10を搬送するための搬送装置102、および、搬送装置102によって搬送されているガラス基板10を検査するための検査装置104を備えている。
【0021】
(1)ガラス基板の製造工程の概要
最初に、ガラス基板10の製造工程について説明する。ガラス基板10は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイおよび有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に用いられる。ガラス基板10は、例えば、0.2mm〜0.8mmの厚みを有し、かつ、縦680mm〜2200mmおよび横880mm〜2500mmのサイズを有する。
【0022】
ガラス基板10の一例として、以下の(a)〜(j)の組成を有するガラスが挙げられる。
【0023】
(a)SiO
2:50質量%〜70質量%、
(b)Al
2O
3:10質量%〜25質量%、
(c)B
2O
3:1質量%〜18質量%、
(d)MgO:0質量%〜10質量%、
(e)CaO:0質量%〜20質量%、
(f)SrO:0質量%〜20質量%、
(g)BaO:0質量%〜10質量%、
(h)RO:5質量%〜20質量%(Rは、Mg、Ca、SrおよびBaから選択される少なくとも1種である。)、
(i)R’
2O:0質量%〜2.0質量%(R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種である。)、
(j)SnO
2、Fe
2O
3およびCeO
2から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物。
【0024】
なお、上記の組成を有するガラスは、0.1質量%未満の範囲で、その他の微量成分の存在が許容される。
【0025】
図1は、ガラス基板10の製造工程を表すフローチャートの一例である。ガラス基板10の製造工程は、主として、成形工程(ステップS1)と、徐冷工程(ステップS2)と、切断工程(ステップS3)と、第1検査工程(ステップS4)と、粗面化工程(ステップS5)と、端面加工工程(ステップS6)と、最終洗浄工程(ステップS7)と、第2検査工程(ステップS8)と、梱包工程(ステップS9)とから構成される。
【0026】
成形工程S1では、ガラス原料を加熱して得られた熔融ガラスから、オーバーフローダウンドロー法によって、シート状のガラスリボンが連続的に成形される。
【0027】
徐冷工程S2では、成形工程S1で成形されたガラスリボンが、歪みおよび反りが発生しないように温度管理されながら、ガラス徐冷点以下まで徐冷される。徐冷工程S2では、ガラスリボンは、下方に搬送されながら冷却される。
【0028】
切断工程S3では、徐冷工程S2で徐冷されたガラスリボンが切断されて、製品サイズのガラス基板10が得られる。ガラスリボンは、例えば、レーザを用いて切断される。また、切断工程S3では、ガラスリボンの端部領域が切断されて除去される。端部領域は、ガラスリボンの幅方向の両端部に形成され、ガラスリボンの幅方向の中央領域と比べて厚い領域である。
【0029】
第1検査工程S4では、切断工程S3で得られたガラス基板10が、ガラス基板製造装置100によって検査される。第1検査工程S4では、主として、ガラス基板10の内部に存在する異物である内部異物が光学的に検出される。内部異物は、例えば、ガラスの原料成分、金属成分、および、微小な泡である。第1検査工程S4では、検出された内部異物の種類およびサイズを判定し、ガラス基板10の選別を行う。第1検査工程S4における検査に合格したガラス基板10のみが、次の粗面化工程S5に送られる。なお、
図1に示されるように、第1検査工程S4における検査に合格したガラス基板10が、粗面化工程S5〜第2検査工程S8を経ずに、梱包工程S9に直接送られてもよい。
【0030】
粗面化工程S5では、第1検査工程S4で検査されたガラス基板10の主表面の表面粗さを増加させる粗面化処理が行われる。ガラス基板10の粗面化処理は、例えば、フッ化水素を含むエッチャントを用いるウエットエッチングである。
【0031】
端面加工工程S6では、粗面化工程S5で粗面化処理が行われたガラス基板10の端面の面取り加工が行われる。面取り加工された端面の一部は、R形状を有する。
【0032】
最終洗浄工程S7では、端面加工工程S6で端面の面取り加工が行われたガラス基板10が洗浄されて、ガラス基板10に付着している異物が除去される。異物は、切断工程S3でのガラスリボンの切断、および、端面加工工程S6でのガラス基板10の端面加工によって生じた微小なガラス片や、雰囲気中に存在する有機物等である。
【0033】
第2検査工程S8では、最終洗浄工程S7で洗浄されたガラス基板10が検査される。具体的には、ガラス基板10の主表面が光学的に測定されて、ガラス基板10の欠陥が検知される。ガラス基板10の欠陥は、例えば、ガラス基板10の主表面に形成される脈理、ガラス基板10の主表面に存在するキズおよびクラック、ガラス基板10の主表面に付着している異物、および、ガラス基板10の内部に存在している微小な泡等である。
【0034】
梱包工程S9では、第1検査工程S4または第2検査工程S8における検査に合格したガラス基板10が、ガラス基板10を保護するための合紙と交互にパレット上に積層されて、梱包される。梱包されたガラス基板10は、FPDの製造業者等に出荷される。
【0035】
(2)ガラス基板製造装置の構成
ガラス基板製造装置100は、主として、搬送装置102と、検査装置104とを備える。第1検査工程S4において、ガラス基板製造装置100は、搬送装置102によってガラス基板10を搬送しながら、検査装置104によってガラス基板10の欠陥を光学的に検査する。欠陥は、主として、ガラス基板10の内部に存在する、微小な泡等の異物である。
図2は、ガラス基板製造装置100の斜視図である。
図3は、
図2に示される矢印IIIの方向から見た、ガラス基板製造装置100の側面図である。
図4は、
図2に示される矢印IVの方向から見た、ガラス基板製造装置100の上面図である。
図5は、
図2に示される矢印Vの方向から見た、ガラス基板製造装置100の側面図である。
図2〜5には、ガラス基板10の搬送方向が矢印で示されている。ガラス基板製造装置100は、圧力が一定になるように制御されている空間に設置されている。
【0036】
(2−1)搬送装置の構成
搬送装置102は、吊り下げられて直立した状態のガラス基板10を水平方向に搬送する。搬送装置102によって搬送されるガラス基板10の主表面の法線は、水平方向に平行である。
図2〜
図5には、三次元空間の直交座標系を構成するX軸、Y軸およびZ軸が示されている。X軸は、ガラス基板10の搬送方向に平行である。Y軸は、ガラス基板10の主表面と直交する。Z軸は、鉛直方向に平行であり、かつ、ガラス基板10の主表面に平行である。
図3および
図5は、Y軸方向に沿って見た図である。
図4は、Z軸方向に沿って見た図である。
【0037】
X軸の向きは、ガラス基板10が搬送される方向である。以下、X軸の負方向を上流側と呼び、X軸の正方向を下流側と呼ぶ。ガラス基板10は、上流側から下流側に向かって搬送される。
図4に示されるように、上流側から下流側に向かって見た場合に、ガラス基板10の右側をY軸の負方向とし、ガラス基板10の左側をY軸の正方向とする。Z軸の向きは、鉛直方向上向きである。
【0038】
搬送装置102は、主として、上部ガイド機構110と、クランプ機構112と、下部ガイド機構114と、複数のエアベアリング117a,117bとを備える。以下、ガラス基板10の左側の主表面を左主表面10aと呼び、ガラス基板10の右側の主表面を右主表面10bと呼ぶ。
【0039】
(2−1−1)上部ガイド機構
上部ガイド機構110は、搬送されるガラス基板10の上方において、X軸方向に沿って延びるガイドレールである。上部ガイド機構110は、クランプ機構112が取り付けられている。上部ガイド機構110は、クランプ機構112をX軸方向に移動させるための駆動機構(図示せず)を備える。
【0040】
(2−1−2)クランプ機構
クランプ機構112は、ガラス基板10のZ軸正方向の端部である上端部を把持する。クランプ機構112は、主として、基部112aと、複数の把持部112bとを備える。基部112aは、X軸方向に沿って延びる部材である。基部112aは、上部ガイド機構110と摺動可能なように、上部ガイド機構110に取り付けられている。基部112aは、上部ガイド機構110と摺動することにより、X軸方向に移動することができる。基部112aの下側には、X軸方向に沿って複数の把持部112bが等間隔に取り付けられている。把持部112bは、ガラス基板10の上端部を把持して、ガラス基板10をクランプ機構112に固定する。なお、把持部112bの数、および、基部112aに対する把持部112bの取り付け位置は、ガラス基板10の寸法、および、ガラス基板10の搬送速度等に応じて適宜に設定されてもよい。把持部112bの取り付け位置は、例えば、ガラス基板10の端面から、端面から5mm〜100mm離れた位置までの非検査領域である。
【0041】
クランプ機構112は、上部ガイド機構110によってX軸方向に搬送される。これにより、搬送装置102は、クランプ機構112に把持されたガラス基板10をX軸方向に搬送することができる。
【0042】
クランプ機構112は、ガラス基板10の上端部のX軸方向の両端部を把持する把持部112bを有する。上端部の両端部は、X軸方向において、上端部の両端から、両端から5mm〜100mm、好ましくは10mm〜40mm離れた位置までの領域である。
【0043】
(2−1−3)下部ガイド機構
下部ガイド機構114は、X軸方向に沿って延びる部材である。下部ガイド機構114は、X軸方向に沿って配置される複数のガイドローラー114aを有する。ガイドローラー114aは、X軸方向に沿って搬送されるガラス基板10の下端部のY軸方向両側に配置されるローラー対である。ガイドローラー114aのローラー間の隙間は、ガラス基板10の厚みよりも大きいので、ガイドローラー114aは、ガラス基板10の下端部に力を与えて下端部を保持しない。ガイドローラー114aは、上部ガイド機構110によって搬送されるガラス基板10の下端部がY軸方向に移動することを抑制する。
【0044】
(2−1−4)エアベアリング
エアベアリング117a,117bは、搬送されるガラス基板10のY軸方向の位置を制御するための装置である。エアベアリング117a,117bは、ガラス基板10の左右両側に配置される。
図2〜
図5において、エアベアリング117a,117bは、ハッチングされた領域として示されている。 エアベアリング117a,117bは、搬送されるガラス基板10の主表面10a,10bと対向し、多数の空気噴出孔(図示せず)および多数の空気吸引孔(図示せず)が形成された表面を有する。空気噴出孔は、Y軸方向に空気を噴出する。空気吸引孔は、その開口部の近傍の空間から空気を吸引する。エアベアリング117a,117bの空気噴出孔から噴出された空気は、主表面10a,10bと衝突して、空気の噴出方向(Y軸方向)にガラス基板10を押す力をガラス基板10に付与する。エアベアリング117a,117bの空気吸引孔は、エアベアリング117a,117bと主表面10a,10bとの間の空間から空気を吸引する。これにより、空気吸引孔は、空気噴出孔が空気を噴出する方向の反対方向(Y軸方向)にガラス基板10を引く力をガラス基板10に付与する。エアベアリング117a,117bは、空気噴出孔から噴出される空気の量、および、空気吸引孔に吸引される空気の量を制御するためのレギュレータ(図示せず)を有する。レギュレータは、例えば、圧力調整弁である。エアベアリング117a,117bは、後述するように、搬送されるガラス基板10のY軸方向の移動を抑制してガラス基板10の姿勢を安定化させる効果を有する。
【0045】
図4に示されるように、ガラス基板製造装置100は、エアベアリング117a,117bを備える。エアベアリング117a,117bは、左エアベアリング117aと右エアベアリング117bとからなる。ガラス基板製造装置100は、複数の左エアベアリング117aおよび複数の右エアベアリング117bを備える。左エアベアリング117aの数は、右エアベアリング117bの数と同じである。各左エアベアリング117aは、ガラス基板10を挟んで反対側に配置される右エアベアリング117bと一対一に対応する。
【0046】
左エアベアリング117aは、ガラス基板10の左側に配置されている。右エアベアリングは、ガラス基板10の右側に配置されている。X軸方向およびZ軸方向において、左エアベアリング117aは、対応する右エアベアリング117bと同じ位置に配置されている。左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離は、対応する右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離と同じである。左エアベアリング117aは、左主表面10aに向かって空気を吹き付ける。右エアベアリング117bは、右主表面10bに向かって空気を吹き付ける。
【0047】
(2−2)検査装置の構成
検査装置104は、ガラス基板10の内部に存在する異物を光学的手法により検知する。検査装置104は、主として、複数の光源120と、複数の光センサ122とから構成される。各光源120は、各光センサ122と一対一に対応する。
図2〜
図5において、光源120および光センサ122は、ハッチングされていない領域として示されている。
【0048】
光源120は、ガラス基板10の左側に配置されている。光センサ122は、光源120と対向するように、ガラス基板10の右側に配置されている。光源120は、Y軸の負方向に向かって検査光を照射する。光センサ122は、対応する光源120から照射されてガラス基板10を通過した検査光を受光して検知するセンサである。光センサ122は、受光した検査光の強さの変化に基づいて、ガラス基板10の歪みを検出して、ガラス基板10の内部に存在する異物を検知する。ガラス基板10の内部異物を検出するためには、光センサ122のフォーカスエリアは、少なくとも±5mm以下である必要があるため、搬送されるガラス基板10のY軸方向の振れを±5mm以下にする必要がある。また、ガラス基板10の主表面10a,10bのキズを検出するためには、光センサ122のフォーカスエリアは、±2mm以下、好ましくは±1mmである必要がある。
【0049】
図3および
図5に示されるように、ガラス基板10の左側において、左エアベアリング117aおよび光源120がXZ平面に格子状に配置され、ガラス基板10の右側において、右エアベアリング117bおよび光センサ122がXZ平面に格子状に配置されている。具体的には、ガラス基板10の左側において、X軸方向に沿って、4個の左エアベアリング117aおよび4個の光源120が交互に配置され、かつ、Z軸方向に沿って、3個の左エアベアリング117aおよび3個の光源120が交互に配置されている。すなわち、X軸方向に8列、および、Z軸方向に6行の格子状に、左エアベアリング117aおよび光源120が配置されている。また、ガラス基板10の右側において、X軸方向に沿って、4個の右エアベアリング117bおよび4個の光センサ122が交互に配置され、かつ、Z軸方向に沿って、3個の右エアベアリング117bおよび3個の光センサ122が交互に配置されている。すなわち、X軸方向に8列、および、Z軸方向に6行の格子状に、右エアベアリング117bおよび光センサ122が配置されている。
【0050】
図3に示されるように、左エアベアリング117aおよび光源120は、X軸方向において交互に配置され、かつ、Z軸方向において交互に配置されている。
図5に示されるように、右エアベアリング117bおよび光センサ122は、X軸方向において交互に配置され、かつ、Z軸方向において交互に配置されている。
【0051】
このように、ガラス基板製造装置100は、X軸方向において左エアベアリング117aの前後に配置されている光源120、および、X軸方向において右エアベアリング117bの前後に配置されている光センサ122を少なくとも1個ずつ備えている。
【0052】
なお、
図2〜5では、エアベアリング117a,117b、光源120および光センサ122は、XZ平面上の位置を分かりやすく説明するために、Y軸方向において主表面10a,10bの近傍に配置される平板として示されている。実際には、光源120と左主表面10aとの間の距離は、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離より長く、数センチである。また、光センサ122と右主表面10bとの間の距離は、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離より長く、数センチである。
【0053】
(3)特徴
ガラス基板製造装置100は、第1検査工程S4において、搬送装置102によってガラス基板10をX軸方向に搬送しながら、検査装置104によって、ガラス基板10の内部に存在する異物を光学的手法により検知する。
【0054】
搬送装置102によって搬送されるガラス基板10は、左エアベアリング117aと右エアベアリング117bとの間を通過する。左エアベアリング117aは、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の空間に気体を噴出し、かつ、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の空間から気体を吸引することで、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離を所定の範囲内に保持する。右エアベアリング117bは、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の空間に気体を噴出し、かつ、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の空間から気体を吸引することで、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離を所定の範囲内に保持する。
【0055】
エアベアリング117a,117bは、Y軸方向の位置、空気噴出孔から吐出される空気の流量、および、空気吸引孔に吸引される空気の流量等を調整することで、エアベアリング117a,117bとガラス基板10との間の距離を高い精度で制御することができる。ガラス基板製造装置100は、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離、および、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離を、それぞれ、10μm〜50μmの範囲内の所定の値に保持する。そのため、エアベアリング117a,117bは、搬送装置102によって搬送されるガラス基板10のY軸方向の位置の変化を抑制する効果を有する。従って、ガラス基板製造装置100は、搬送されるガラス基板10のY軸方向の振動を低減することができる。
【0056】
搬送装置102によって搬送されているガラス基板10がY軸方向に振動すると、検査装置104の光センサ122の焦点位置がずれるので、ガラス基板10の内部に存在する異物の検出精度が低下するおそれがある。また、光センサ122のフォーカスエリアが±3mm以下と短い場合、光センサ122の焦点位置に高い精度が要求されるので、ガラス基板10の内部に存在する異物の検出精度が低下するおそれがある。ガラス基板製造装置100は、エアベアリング117a,117bによって搬送されているガラス基板10のY軸方向の振動を低減し、ガラス基板10のY軸方向の振動の振幅を1mm以下に抑えることができる。そのため、ガラス基板製造装置100は、搬送されるガラス基板10の姿勢を安定化することができ、ガラス基板10の内部に存在する異物の検出精度の低下を抑制することができる。従って、ガラス基板製造装置100は、ガラス基板10の欠陥を高い精度で検知することができる。
【0057】
さらに、ガラス基板製造装置100では、
図3および
図5に示されるように、左エアベアリング117aおよび光源120が格子状に配置され、右エアベアリング117bおよび光センサ122が格子状に配置されている。すなわち、ガラス基板10の搬送方向(X軸方向)において、検査装置104(光源120および光センサ122)は、エアベアリング117a,117bと同じ位置にある。そのため、検査装置104は、エアベアリング117a,117bによってY軸方向の振動が低減されているX軸方向の位置において、ガラス基板10を検査することができる。従って、
図3および
図5に示されるようにエアベアリング117a,117bおよび検査装置104を配置することで、ガラス基板製造装置100は、検査装置104の誤検出を抑制し、検出精度を向上させることができる。
【0058】
なお、各検査装置104は、ガラス基板10の主表面10a,10bの一部の領域のみを検査する。ガラス基板製造装置100は、全ての検査装置104が取得した検査データを組み合わせることで、ガラス基板10の主表面10a,10b全体の検査データを取得する。ガラス基板製造装置100は、主表面10a,10b全体の検査データに基づいて、検出された内部異物の種類およびサイズを判定し、ガラス基板10の選別を行う。
【0059】
(4)変形例
以上、本発明に係るガラス基板製造装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および変更が施されてもよい。
【0060】
(4−1)変形例A
実施形態のガラス基板製造装置100は、搬送装置102によってガラス基板10をX軸方向に搬送しながら、検査装置104によってガラス基板10を検査する。しかし、ガラス基板製造装置100は、検査装置104によってガラス基板10を検査する前に、ガラス基板10を洗浄してもよい。ガラス基板10を検査前に洗浄する工程では、ガラス基板10の主表面10a,10bに付着している異物が除去される。異物は、例えば、切断工程S3においてガラスリボンの切断面から発生して主表面10a,10bに付着したガラス片であるカレットである。
【0061】
ガラス基板製造装置100は、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離、および、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離を、それぞれ、10μm〜50μmの範囲内の所定の値に保持する。そのため、例えば、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離が10μmに制御されている場合、左主表面10aに付着したカレットが、左主表面10aから10μm以上離れている部分を有すると、ガラス基板10の搬送中に左主表面10aに付着しているカレットが左エアベアリング117aと接触する。そして、左エアベアリング117aと接触したカレットによって、カレットが付着している左主表面10aにキズおよびクラックが形成されるおそれがある。そのため、ガラス基板製造装置100は、検査工程の前に、主表面10a,10bに付着している異物を除去することが好ましい。例えば、ガラス基板製造装置100は、検査工程の前に、主表面10a,10bに付着している異物であって、主表面10a,10bから10μm以上離れている部分を有する異物を、主表面10a,10bから除去することが好ましい。
【0062】
主表面10a,10bに付着した異物を除去する方法としては、搬送装置102によって搬送されるガラス基板10の主表面10a,10bに、エアノズル等で高圧の空気を吹き付ける方法を用いることができる。主表面10a,10bに向かって吹き付けられた空気は、主表面10a,10bに付着した異物を吹き飛ばして、主表面10a,10bから異物を取り除く。
【0063】
(4−2)変形例B
実施形態のガラス基板製造装置100では、エアベアリング117a,117bは、ガラス基板10の左右両側に配置されている。しかし、左エアベアリング117aのみが、ガラス基板10の左側に配置されてもよく、または、右エアベアリング117bのみが、ガラス基板10の右側に配置されてもよい。
【0064】
エアベアリング117a,117bは、エアベアリング117a,117bとガラス基板10との間の距離を高い精度で制御することができる。そのため、ガラス基板製造装置100が左エアベアリング117aのみ、または、右エアベアリング117bのみを備えている場合でも、搬送されるガラス基板10のY軸方向の振動が抑制されるため、検査装置104の誤検出を抑制し、ガラス基板10の欠陥を高い精度で検知することができる。
【0065】
(4−3)変形例C
実施形態のガラス基板製造装置100では、
図3および
図5に示されるように、左エアベアリング117aおよび光源120は格子状に配置され、右エアベアリング117bおよび光センサ122は格子状に配置されている。
【0066】
しかし、左エアベアリング117aおよび光源120は、格子状に配置されていなくてもよい。例えば、左エアベアリング117aおよび光源120は、
図6および
図7に示されるように配置されてもよい。
図6および
図7は、
図3と同様のガラス基板製造装置の側面図である。
【0067】
図6では、Z軸方向において左エアベアリング117aおよび光源120が交互に配置されている2種類のZ軸ユニット130,132が、X軸方向に配置されている。Z軸ユニット130,132は、第1Z軸ユニット130と、第2Z軸ユニット132とからなる。Z軸方向において、第1Z軸ユニット130の左エアベアリング117aの位置には、第2Z軸ユニット132の光源120が位置し、第1Z軸ユニット130の光源120の位置には、第2Z軸ユニット132の左エアベアリング117aが位置している。第1Z軸ユニット130および第2Z軸ユニット132は、X軸方向に沿って交互に配置されている。全てのZ軸ユニット130,132は、
図3と同様に、左エアベアリング117aおよび光源120が格子状に配置されるパターンを形成する。
【0068】
図7では、X軸方向において左エアベアリング117aおよび光源120が交互に配置されている2種類のX軸ユニット140,142が、Z軸方向に配置されている。X軸ユニット140,142は、第1X軸ユニット140と、第2X軸ユニット142とからなる。X軸方向において、第1X軸ユニット140の左エアベアリング117aの位置には、第2X軸ユニット142の光源120が位置し、第1X軸ユニット140の光源120の位置には、第2X軸ユニット142の左エアベアリング117aが位置している。第1X軸ユニット140および第2X軸ユニット142は、Z軸方向に沿って交互に配置されている。全てのX軸ユニット140,142は、
図3と同様に、左エアベアリング117aおよび光源120が格子状に配置されるパターンを形成する。
【0069】
なお、以上の説明は、右エアベアリング117bおよび光センサ122の配置にも適用可能である。
【0070】
(4−4)変形例D
実施形態のガラス基板製造装置100では、
図3および
図5に示されるように、左エアベアリング117aおよび光源120が格子状に配置され、右エアベアリング117bおよび光センサ122が格子状に配置されている。
【0071】
しかし、左エアベアリング117aおよび光源120は、互いに重なってもよい。例えば、光源120とガラス基板10との間に、複数の左エアベアリング117aが配置されてもよい。
図8は、本変形例における、ガラス基板製造装置の斜視図である。
図9は、
図8に示される矢印IXの方向から見た、ガラス基板製造装置の上面図である。
図8では、ガラス基板10、左エアベアリング117aおよび光源120のみが示されている。
図9では、ガラス基板10、左エアベアリング117a、右エアベアリング117b、光源120および光センサ122のみが示されている。
図8および
図9には、ガラス基板10の搬送方向が矢印で示されている。
【0072】
本変形例では、
図8および
図9に示されるように、光源120とガラス基板10との間に、複数の左エアベアリング117aが配置されている。左エアベアリング117aは、X軸方向およびZ軸方向に所定の間隔を置いて配置される。XZ平面において、左エアベアリング117aの位置は、実施形態の左エアベアリング117aと同じである。右エアベアリング117bおよび光センサ122も、左エアベアリング117aおよび光源120と同様に配置されている。すなわち、光センサ122とガラス基板10との間に、複数の右エアベアリング117bがX軸方向およびZ軸方向に所定の間隔を置いて配置されている。光源120からの検査光の一部は、左エアベアリング117aによって遮蔽される。光センサ122は、光源120から発せられ、左エアベアリング117aによって遮蔽されなかった検査光を受光する。本変形例は、エアベアリング117a,117b、光源120および光センサ122の配置パターンに関して、実質的に実施形態と同じである。
【0073】
(4−5)変形例E
実施形態のガラス基板製造装置100は、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離、および、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離を、それぞれ、10μm〜50μmの範囲内の所定の値に保持する。以下、左エアベアリング117aと左主表面10aとの間の距離を左側間隔と呼び、右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離を右側間隔と呼ぶ。
【0074】
本変形例では、ガラス基板10の搬送方向の上流側から下流側に向かって、右側間隔および左側間隔が徐々に狭くなる。
図10は、本変形例のガラス基板製造装置の側面図である。
図11は、本変形例のガラス基板製造装置の上面図である。
図11では、ガラス基板10、左エアベアリング117aおよび右エアベアリング117bのみが示されている。
図10では、ガラス基板10の右側に配置される、右エアベアリング117bおよび光センサ122が示されている。実施形態と同様に、ガラス基板10の右側において、X軸方向に8列、および、Z軸方向に6行の格子状に、右エアベアリング117bおよび光センサ122が配置されている。
【0075】
本変形例では、
図11に示されるように、上流側から下流側に向かって、最初の2列の右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離である第1右側間隔D1、次の2列の右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離である第2右側間隔D2、次の2列の右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離である第3右側間隔D3、および、次の2列の右エアベアリング117bと右主表面10bとの間の距離である第4右側間隔D4に関して、D1>D2>D3>D4の関係式が成り立つように、右側間隔が調整される。例えば、第1右側間隔D1は、1.5mm〜3mmであり、第2右側間隔D2は、500μm〜1mmであり、第3右側間隔D3は、100μm〜300μmであり、第4右側間隔D4は、50μm以下である。なお、上流側から下流側に向かって、左側間隔も、右側間隔と同様に徐々に狭くなる。
【0076】
本変形例では、上流側から下流側に向かって搬送されるガラス基板10のY軸方向の振れが徐々に抑制される。これにより、ガラス基板製造装置100は、検査装置104によるガラス基板10の検査の種類に応じた光センサ122のフォーカスエリアに合わせて、ガラス基板10のY軸方向の振れを抑制することができる。具体的には、
図10において、右側間隔が第1右側間隔D1である領域R1では、検査装置104はガラス基板10の内部異物を検出し、右側間隔が第2右側間隔D2である領域R2では、検査装置104はガラス基板10の内部の泡を検出し、右側間隔が第3右側間隔D3である領域R3では、検査装置104はガラス基板10の内部の微小な泡を検出し、右側間隔が第4右側間隔D4である領域R4では、検査装置104はガラス基板10の主表面10a,10bに付着したカレットおよび主表面10a,10bに形成されたキズを検出する。
【0077】
(4−6)変形例F
変形例Eでは、上流側から下流側に向かって、右側間隔および左側間隔が徐々に狭くなる。また、変形例Eでは、上流側から下流側に向かって、検査装置104によってガラス基板10が検査されながら、右側間隔および左側間隔が調整される。
【0078】
しかし、ガラス基板製造装置100は、最初に、変形例Aに記載されるようにガラス基板10の主表面10a,10bに付着している異物を除去しながら、右側間隔および左側間隔を調整し、次に、検査装置104によってガラス基板10を検査しながら、右側間隔および左側間隔を調整してもよい。右側間隔および左側間隔は、変形例Eと同様に、上流側から下流側に向かって徐々に狭くなる。ガラス基板製造装置100は、具体的には、右側間隔が第1右側間隔D1または第2右側間隔D2である間に、主表面10a,10bに付着している異物を除去し、かつ、右側間隔が第3右側間隔D3または第4右側間隔D4である間に、検査装置104によってガラス基板10を検査する。
【0079】
本変形例では、右側間隔が第1右側間隔D1または第2右側間隔D2である間に、主表面10a,10bに付着している異物を除去しておくことで、右側間隔が第3右側間隔D3または第4右側間隔D4である間に、主表面10a,10bに付着している異物によって主表面10a,10bにキズが形成されることが抑制される。具体的には、第1右側間隔D1が1.5mm〜3mmであり、第2右側間隔D2が500μm〜1mmである場合において、右側間隔が第1右側間隔D1である間に、成形工程S1でガラス基板10に付着したサイズの大きい異物および繊維、または、切断工程S3でガラス基板10に付着したサイズの大きいカレット等を除去するための異物除去工程が行われ、右側間隔が第2右側間隔D2である間に、ガラス基板10に付着したサイズの小さいパーティクルを除去するための異物除去工程が行われる。
【0080】
(4−7)変形例G
実施形態のガラス基板製造装置100は、第1検査工程S4において、切断工程S3で得られたガラス基板10の欠陥を検知する。しかし、ガラス基板製造装置100は、第2検査工程S8において、最終洗浄工程S7で洗浄されたガラス基板10の欠陥を検知してもよい。この場合、ガラス基板製造装置100は、ガラス基板10の内部に存在する異物を検知する代わりに、ガラス基板10の主表面に形成される脈理、ガラス基板10の主表面に存在するキズおよびクラック、および、ガラス基板10の主表面に付着している異物等を検知してもよい。また、ガラス基板製造装置100は、ガラス基板10の内部に存在する異物を検知すると共に、ガラス基板10の主表面に形成される脈理、ガラス基板10の主表面に存在するキズおよびクラック、および、ガラス基板10の主表面に付着している異物等をさらに検知してもよい。