特許第6484487号(P6484487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484487
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20190304BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20190304BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20190304BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190304BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190304BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   H05B33/10
   H05B33/28
   H05B33/26 Z
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-78053(P2015-78053)
(22)【出願日】2015年4月6日
(65)【公開番号】特開2016-197581(P2016-197581A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】觀田 康克
(72)【発明者】
【氏名】會田 政勝
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−107511(JP,A)
【文献】 国際公開第08/066122(WO,A1)
【文献】 特開2005−195944(JP,A)
【文献】 特開2005−241778(JP,A)
【文献】 特開2009−38243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域に配置する複数のアノード電極と前記画素領域の外側に配置する複数のダミー電極とを形成する、第1の透明導電膜と金属膜と第2の透明導電膜とが基板側から順に積層された3層積層構造を形成し、
前記第2の透明導電膜及び前記金属膜をエッチングし、
前記第1の透明導電膜をエッチングする表示方法の製造方法であって、
前記複数のダミー電極のパターンの密度が、前記画素領域から離れるにつれて減少することを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記複数のダミー電極の面積は、前記画素領域から離れるにつれて、小さくなることを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記複数のダミー電極の数は、前記画素領域から離れるにつれて、減少することを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2の透明導電膜及び前記金属膜のエッチングは、前記基板を傾斜した状態で行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数のダミー電極のパターンの密度は、前記傾斜によるエッチング液の流れの上流方向に向かう方向に、減少することを特徴とする請求項4記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記金属膜の材料は銀であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の透明導電膜及び前記第2の透明導電膜の材料はITOであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の透明導電膜をエッチングは、シュウ酸により行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2の透明導電膜及び前記金属膜をエッチングは、混酸により行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記複数のダミー電極は、前記金属膜のエッチングに用いるエッチング液の上流側に配置することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記複数のダミー電極は、前記画素領域の外側に隣接して配置する複数のダミー画素に隣接して配置することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
基板と、
前記基板上の画素領域に配置された複数のアノード電極と、
前記基板上の前記画素領域の外側に配置された複数のダミー電極と、を含み、
前記複数のアノード電極は、前記基板側から透明導電膜と該透明導電膜上に形成された金属膜とを有し、
前記複数のダミー電極のパターンの密度は、前記画素領域から離れるにつれて減少することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造方法及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示のように、半導体デバイスの多層配線として、Alをベースとする合金配線が用いられる場合がある。ここで、当該合金配線には、Cu、Siなど異種の金属が含まれており、そのエッチングレートの相違から、CuやSiなどのエッチング残渣が発生し、配線の短絡等を引き起こす場合がある。そこで、当該残渣の発生を抑制するため、下記特許文献1には、当該合金配線のエッチング工程において、基板の実際の配線等が設けられない広い部分にダミー配線を設けることにより、エッチング工程における残渣の発生を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−199481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode)に代表される有機EL(Organic Electro-luminescent)素子と呼ばれる自発光体を用いた表示装置においては、例えば、アノード反射電極として、ITO、Ag、ITOを順次積層した3層積層構造が用いられる。
【0005】
ここで、アノード反射電極の形成は、例えば、混酸(リン硝酢酸)とシュウ酸による2段階のウェットエッチングにて行われる。具体的には、例えば、図11A及び図11Bに示すように、まず表面のITO111とAg112を混酸でエッチングし、その後、図11C及び図11Dに示すように、Ag112層下のITO113をシュウ酸でエッチングする。なお、図11A及び図11Cはエッチングの処理中の図を表し、図11B及び図11Dはエッチング完了後の図を表す。
【0006】
この場合、図11Dに示すように、混酸によるエッチングが完了した段階でAg112の残渣114が発生し、次のシュウ酸によるエッチングにより当該Ag112の残渣114がリフトオフされる場合がある。Ag112は、シュウ酸に不溶であることから、当該リフトオフされたAg112の残渣114はシュウ酸中をパーティクルとして漂う。これにより、画素回路の短絡等が生じるおそれがある。なお、図11A乃至図Dに示すように、上記のようなエッチングにより加工を行わない部分には、レジスト115が配置され、また、ITO113は、TFT等が形成された基板116上に配置される。
【0007】
そこで、本発明は、例えばアノード反射電極のエッチングによる形成において残渣を少なくすることのできる表示装置の製造方法及び当該残渣の少ない製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様における表示装置の製造方法は、画素領域に配置する複数のアノード電極と前記画素領域の外側に配置する複数のダミー電極とを形成する、第1の透明導電膜と金属膜と第2の透明導電膜とが基板側から順に積層された3層積層構造を形成し、前記第2の透明導電膜及び前記金属膜をエッチングし、前記第1の透明導電膜をエッチングする表示方法の製造方法であって、前記複数のダミー電極のパターンの密度が、前記画素領域から離れるにつれて減少することを特徴とする。
【0009】
本発明の態様における表示装置は、画素領域に配置された複数のアノード電極と、前記画素領域の外側に配置された複数のダミー電極と、を含み、前記複数のダミー電極のパターンの密度は、前記画素領域から離れるにつれて減少することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の一例を概略的に示す。
図2】表示装置の機能的構成の一例を説明するための図である。
図3】各画素の回路構成の一例を説明するための図である。
図4A】各画素の動作の一例を説明するための図である。
図4B】各画素の動作の一例を説明するための図である。
図4C】各画素の動作の一例を説明するための図である。
図4D】各画素の動作の一例を説明するための図である。
図5A】表示装置の製造方法のエッチング工程について説明するための図である。
図5B】表示装置の製造方法のエッチング工程について説明するための図である。
図5C】表示装置の製造方法のエッチング工程について説明するための図である。
図5D】表示装置の製造方法のエッチング工程について説明するための図である。
図6A】表示装置の製造方法のエッチング工程について説明するための図である。
図6B図6AのVI−VI断面の一例を示す図である。
図7A】ダミーパターンの設置について説明するための図である。
図7B】ダミーパターンの設置について説明するための図である。
図7C】ダミーパターンの設置について説明するための図である。
図7D】ダミーパターンの設置について説明するための図である。
図8A】複数のダミー電極の配置パターンについて説明するための図である。
図8B】複数のダミー電極の配置パターンについて説明するための図である。
図9A図8AのIVA−IVA断面の一例を示す図である。
図9B図8BのIVB−IVB断面の一例を示す図である。
図10A】本実施の形態における効果について説明するための図である。
図10B】本実施の形態における効果について説明するための図である。
図10C】本実施の形態における効果について説明するための図である。
図11A】本発明の課題の一例について説明するための図である。
図11B】本発明の課題の一例について説明するための図である。
図11C】本発明の課題の一例について説明するための図である。
図11D】本発明の課題の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置100の一例を概略的に示す図である。図1に示すように、表示装置100は、有機ELパネルが設けられたTFT(Thin Film Transistor)基板150を挟むように固定する上フレーム110及び下フレーム120と、表示する情報を生成する回路素子を備える回路基板140と、当該回路基板140において生成されたRGBの情報をTFT基板150に伝えるフレキシブル基板130を含む。なお、図1に示した表示装置100は例示であってこれに限定されるものではない。
【0013】
図2は、図1に示した表示装置の機能的構成の一例を説明するための図である。図2に示すように、表示装置100は、表示画面を表示する画素領域201、データ線制御部202、走査線制御部203、表示制御部204を有する。なお、図2では、表示制御部204、データ線制御部202、走査線制御部203等を別々のユニットとして記載しているが、1つのユニットとして形成してもよい。
【0014】
画素領域201は、マトリクス状に配置された複数の画素(図示せず)を有し、当該複数の画素は、それぞれ対応するデータ線205及び走査線206に接続される。なお、各データ線205は、データ線制御部202に接続され、また、各走査線206は、走査線制御部203に接続される。なお、画素領域201には、その他、駆動トランジスタ303を駆動するための駆動電圧供給線307等が接続されるが、説明の簡略化のため、図2においては省略する。
【0015】
表示制御部204は、データ線制御部202及び走査線制御部203に接続される。表示制御部204には制御信号群等(図示せず)が入力され、当該制御信号群に応じて、データ線制御信号207及び走査線制御信号208を、それぞれデータ線制御部202及び走査線制御部203に出力する。なお、データ線制御信号207及び走査線制御信号208は、その他水平同期信号等の制御信号群を含むものとする。
【0016】
データ線制御部202は、表示制御部204からのデータ線制御信号207に応じて、各データ線205を介して、階調値に対応した表示電圧を各画素に出力する。
【0017】
走査線制御部203は、表示制御部204からの走査線制御信号208に応じて、各走査線206を介して、各画素に配置されたTFTスイッチ(図示せず)を制御するための走査信号を出力する。
【0018】
なお、上記データ線制御部202及び走査線制御部203からの当該走査信号及び当該表示電圧等により、各画素が制御され発光される。
【0019】
図3は、各画素の回路構成の一例を説明するための図である。図3に示すように、各画素301は、例えば、保持容量302、駆動トランジスタ303、書き込み制御スイッチ304、発光制御スイッチ305、有機EL306を有する。
【0020】
保持容量302は、データ線205及び駆動トランジスタ303に接続される。駆動トランジスタ303のゲートは、保持容量302に接続され、ソースまたはドレインの一方は駆動電圧供給線307に接続され、他方は発光制御スイッチ305に接続される。
【0021】
発光制御スイッチ305のゲートは発光制御線308へ接続され、ソースまたはドレインの一方は、駆動トランジスタ303の出力側に接続され、他方は有機EL306に接続される。
【0022】
書き込み制御スイッチ304のゲートは書き込み制御線309に接続され、ソースまたはドレインの一方は、駆動トランジスタ303のゲートに接続され、他方は駆動トランジスタ303の出力側及び有機EL306に接続される。有機EL306の一端は、発光制御スイッチ305に接続されるとともに、他端は接地310される。
【0023】
次に、当該表示装置100の動作の一例について、説明する。まず、書き込み期間及び発光期間における各画素301の動作について説明する。書き込み期間には、図4A図4Cに示すように、順にプリチャージ動作、書き込み動作、非書き込み時動作を行い、その後の発光期間に発光動作を行う。
【0024】
なお、図4においては、説明の簡略化のため、書き込み制御スイッチ304等をスイッチ等の記号にて示すが、同一の符号は同一の要素を示すことはいうまでもない。また、Vccは、駆動トランジスタ303を駆動するための駆動供給電圧を示し、当該駆動供給電圧は、例えば、外部の電源(図示せず)より供給される。
【0025】
まず、時刻T1において、データ線205に出力される映像信号に対応した表示電圧(Vdata)が出力される。次に、図4Aに示すように、次の時刻T2において、書き込み制御スイッチ304、発光制御スイッチ305がオンされる。よって、矢印(a)のように電流が流れ、駆動トランジスタ303のゲートは低電圧となる。
【0026】
次の時刻T3においては、図4Bに示すように、発光制御スイッチ305がオフされ、駆動トランジスタ303のゲートの電圧は、駆動電圧供給線307の電圧Vccと駆動トランジスタ303の閾値電圧Vthの差、Vcc−Vthとなる。このとき、保持容量302の電圧は、Vcc−Vth−Vdataとなる。なお、このとき矢印(b)のように電流は流れる。
【0027】
次の時刻T4においては、図4Cに示すように、書き込み制御スイッチ304がオフされ、他の画素への書き込みが行われるが、その際、保持容量302の電圧は保持される。
【0028】
次の時刻T5においては、図4Dに示すように、全てのデータ線205に基準電圧(以下、「VSL」とする)を印加するとともに、発光制御スイッチ305をオンにする。これにより、Vcc−Vth−Vdata+VSLに応じた電流が有機EL306に流れ、有機EL306が発光する。上記のような動作を繰り返すことにより、各画素301が駆動される。なお、上記に説明した各画素301の構成及び動作は一例であって、本実施の形態は上記に限定されるものではない。
【0029】
次に、本実施の形態における表示装置100の製造方法について説明する。図5Aに示すように、まず、基板601上に、例えば、駆動トランジスタ303を形成するTFTや配線を含むTFT層501が形成される。
【0030】
次に、図5Aに示すように、上記TFT層501上に、第1の透明導電膜502(Bottom ITO(Indium Tin Oxide))、金属膜503(Ag)、第2の透明導電膜504(Top ITO)を順に積層する。なお、表示装置100において、金属膜503は反射膜として機能し、第1の透明導電膜502、金属膜503、第2の透明導電膜504の3層積層構造でいわゆるアノード反射電極(アノード電極)を形成する。また、第2の透明導電膜504の厚さは、例えば約30nm、金属膜503の厚さは、例えば約150nm、第1の透明導電膜502の厚さは、例えば約30nm、TFT層501の厚さは、例えば、約200nmとすればよい。また、当該3層積層構造は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。
【0031】
次に、図5Aに示すように、上記3層構造等が形成された基板601上状の所定の位置に、例えば、後述する画素のアノード電極802(下部電極)、ダミー画素を形成するためのアノード電極(ダミーアノード電極)803、及びダミー電極801を形成する位置等に、レジスト505を塗布する。
【0032】
次に、第2の透明導電膜504及び金属膜503を混酸でエッチング(第1のエッチング)する。これにより、図5Bに示すように、不要な第2の透明導電膜504及び金属膜503を除去する。
【0033】
次に、第1の透明導電膜502をシュウ酸によりエッチング(第2のエッチング)する。これにより、図5Bに示すように、不要な第1の透明導電膜502を除去する。
【0034】
ここで、上記第1及び第2のエッチングは、図6A及び図6Bに示すように、基板601を移動させつつ、また基板601を水平方向に対して傾斜して行われる。なお、図6Bは、図6AのVI−VI断面の概要を示す。また、図6A及び図6Bに示すように、エッチング液は、例えば、基板601の縦及び横方向に所定の間隔毎に設置された複数のノズル602から滴下する。ここで、基板601は、上記のように第1の透明導電膜502、金属膜503、第2の透明導電膜504等が形成された基板601に相当する。また、図6Aにおける矢印604は、基板601の移動方向を示し、また、図6Bにおける矢印605は、滴下されたエッチング液の流れる方向を示す。
【0035】
次に、図5Dに示すように、レジスト505を剥離する。
【0036】
次に、図7A及び図7Bを用いてダミー電極801のパターンの配置位置について説明する。図7Aは一例として複数の画素領域201が形成される基板を用いて、一度に複数の画素領域201についてエッチングする場合について説明するための図である。なお、図7Aにおいて、上側は上記第1及び第2のエッチングの傾斜の上流側が図6Bの左側に相当し、下側が、上記第1及び第2のエッチングの傾斜の下流側が図6Bの右側に相当する。また、矢印703は当該傾斜に伴い、エッチング液の流れる方向を示す。
【0037】
図7Bは、図7Aの画素領域201及び当該画素領域201の周辺の端子領域701(図7Aの点線で囲んだ領域704)を拡大した図である。図7Bに示すように、例えば、後述する複数のダミー電極801のパターン(ダミーパターン702)は、画素領域201の上流側の一辺に沿って、画素領域201と隣接するように形成される。
【0038】
なお、ダミーパターン702は、その他、図7Cに示すように下流側にも設置してもよいし、また、図7Dに示すように、画素領域201の4辺に沿って、画素領域201と隣接するように設置してもよい。また、図7Aにおいては複数の画素領域201が形成された1の基板601を示すが、例えば、1の画素領域201毎に切断された後の基板601についてダミーパターン702の形成を行うように構成してもよい。また、図7A乃至7Dにおける画素領域201は、後述するダミー画素領域804を含むが、図面の簡略化のため、図7A乃至7Dにおいてはダミー画素領域804を省略する。
【0039】
次に、図8A及び図8Bを用いて1のダミーパターン702における複数のダミー電極801の配置パターンについて説明する。図8Aは、複数のダミー電極801の配置パターンの一例を示す平面図である。なお、ダミー電極801の形状は一例であって、本実施の形状は図8A及び図8Bに示す形状に限定されるものではない。
【0040】
例えば、複数のダミー電極801は、当該複数のダミー電極801の密度が、前記画素領域201から離れるにつれて減少するように配置する。例えば、図8Aに示すように、画素領域201から離れるにつれて、画素領域201に形成されるアノード電極802と比べてのダミー電極801の面積が減少するように配置する。より具体的には、例えば、図8Aにおいては、一例として、ダミー画素領域804の左側から順に2のダミー電極801毎に20%ずつ、面積が減少する場合を示す。
【0041】
また、例えば、図8Bに示すように、例えば、ダミー電極801の数が画素領域201から離れるにつれて、減少するように、複数のダミー電極801を配置するように構成してもよい。より具体的には、例えば、図8Bにおいては、一例として、ダミー画素領域804の左側から順に2のダミー電極801毎に、20%ずつ、ダミー電極801の数が減少する場合を示す。
【0042】
なお、ダミー電極801のサイズは、例えば、ダミー電極801の形状を平面的にみた場合において正方形と仮定した場合において、一辺の長さが1.5μm以上とすることが望ましい。これにより、ダミー電極801自体のリフトオフをより効果的に防止することができる。また、上記図8A及び図8Bに示した配置パターンは一例であって、アノード電極802の密度が画素領域から離れるにつれて減少する限り他のパターンであってもよい。例えば、アノード電極802の数が減少するとともに、その面積も減少するように構成してもよい。
【0043】
次に、図9A及び図9Bを用いて、上記のように形成された表示装置の断面の一部について説明する。ここで、図9Aは、図8AのIVA−IVA断面に相当し、図9Bは、図8BのIVB−IVB断面に相当する。
【0044】
図8Aに示すように、TFT層501上には、上記のようにエッチングされた複数のアノード電極802、ダミー画素のアノード電極(ダミーアノード電極)803、ダミー電極801が配置される。そして、当該複数のアノード電極802が配置されたTFT層501上には、絶縁層901(リブ)が配置され、当該絶縁層901上には、有機EL層902が配置される。当該有機EL層902上には、上部電極903が配置される。そして、上部電極903上には、封止膜904が配置される。上記のように、画素領域201及びダミー画素が配置されるダミー画素領域804は、アノード電極802(下部電極)またはダミーアノード電極803、有機EL層902、上部電極903、及び、バンク905を含む。一方、表示装置100において、画素領域201及びダミー画素領域804の外側に位置する端子領域701には、図8Aに示すようにダミー電極801が残存する。
【0045】
なお、上記封止膜904上には更に充填剤等(図示なし)が充填され、当該充填剤等が充填された基板601に対向するように、カラーフィルタ等が設けられたフィルタ基板(図示なし)が配置されるが、有機EL素子を用いた表示装置の断面構造自体については周知であるため詳細な説明については省略する。また、図8Bに示した断面については、ダミー電極801の数が画素領域201から離れるにつれて減少する点を除き、図8Aと同様であるため、説明を省略する。
【0046】
本実施の形態によれば、アノード反射電極を形成するエッチング工程におけるAgの残渣の発生を抑止することができる。具体的には、図10A乃至図10Cを用いて説明する。図10A図10B図10Cは、比較例として上記本実施の形態のようなダミー電極801のパターンを設けない場合におけるAg残渣の発生について説明するための図である。なお、図10Aは、図8A及び8Bに対応する。また、図10B及び図10Cは、図11A及び図11Bに対応する。
【0047】
図10A及び図10Bの矢印101で示すように、アノード反射電極形成工程における混酸エッチングにおいて、レジスト505(厚さ1μm以上)等のパターンの粗密が変化することにより混酸の乱流が発生する。そして、ダミー画素領域804に配置されるレジスト505等のパターンと端子領域701のうちのダミー画素領域804に隣接する領域間の物理的な密度の急激な変化により、当該乱流の流速が大きい点と小さい点の差が顕著となる。ここで、Agの混酸によるエッチングは、浸漬条件でのエッチングレートは大きく、撹拌条件でのエッチングレートは小さいという特徴がある。つまり、混酸の流速が小さいとエッチングレートが大きく、混酸の流速が大きいとエッチングレートが小さいという特徴がある。したがって、上記のように密度が急激に変化する部分で、混酸の乱流が発生し、流速の大きい点でAg残渣が発生する傾向がある。
【0048】
本実施の形態によれば、複数のダミー電極801のパターンを設置して、ダミー画素領域804に配置されるレジスト505等のパターンと他の領域(例えば、端子領域701のうちのダミー画素領域804に隣接する領域)との間の物理的密度を徐々に変化させることで、上記のようなエッチング液(混酸)の乱流の流速差を抑制することができる。これにより、より残渣の少ない表示装置等を実現することができる。
【0049】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。例えば、上記においては透明導電膜502、504がITOである場合について説明したが、IZO(Indium Zinc Oxide)など他の透明導電材料で構成してもよい。また、上記においては、表示装置として、有機EL表示装置を例として説明したが、その他の自発行型表示装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 表示装置、110 上フレーム、111、113ITO、112 Ag、114残渣、115、505 レジスト、116、601 基板、120 下フレーム、130 フレキシブル基板、140 回路基板、150 TFT基板、201 画素領域、202 データ線制御部、203 走査線制御部、204 表示制御部、205 データ線、206 走査線、207 データ線制御信号、208 走査線制御信号、301 画素、302 保持容量、303 駆動トランジスタ、304 書き込み制御スイッチ、305 発光制御スイッチ、306 有機EL、501 TFT層、502 第1の透明導電膜、503 金属膜、504 第2の透明導電膜、701 端子領域、702 ダミーパターン、801 ダミー電極、802 アノード電極、803 ダミーアノード電極、804 ダミー画素領域、901 絶縁層、902 有機EL層、903 上部電極、904 封止膜、905 バンク。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D