(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御装置は、再開された電力供給の電源が蓄電池であると判定されない場合に、熱源装置での消費電力を増強させるように構成されている、請求項1から3の何れか一項の熱源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源が商用電源である場合と、電源が蓄電池である場合とでは、それぞれの電源の特性に応じて、熱源装置の動作を異なるものとした方が好ましい。熱源装置において、電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを自動的に判定することができれば、その判定結果に基いて熱源装置の動作を適正に行うことが可能となる。
【0005】
本明細書では、上記の課題を解決する技術を提供する。本明細書では、商用電源または蓄電池である電源から電力を供給されて動作する熱源装置において、電源の種別を自動的に判定することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電力を消費して熱媒を加熱する電気式熱源機と、不揮発性メモリを備える制御装置を備える熱源装置を開示する。熱源装置は、電力の供給状況が互いに異なる商用電源または蓄電池である電源から電力を供給されて動作するように構成されている。制御装置は、電源からの電力供給がされている間、熱源装置への電力の供給状況を不揮発性メモリに記憶するように構成されている。制御装置は、電源からの電力供給が停止された状態から、電源からの電力供給が開始された時に、不揮発性メモリに記憶されている電力の供給状況に基いて、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを判定するように構成されている。
【0007】
電源が商用電源である場合と、電源が蓄電池である場合とでは、電力供給が停止される前の電力の供給状況は異なるものとなる。上記の熱源装置では、電源からの電力供給がされている間、熱源装置への電力の供給状況を不揮発性メモリに記憶する。そして、電源からの電力供給が停止して、その後に電源からの電力供給が再開されたときに、制御装置が不揮発性メモリに記憶されている電力の供給状況、すなわち電力供給が停止される前の電力の供給状況に基いて、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを判定する。上記の熱源装置によれば、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを自動的に判定することができる。
【0008】
上記の熱源装置では、前記熱源装置への電力の供給状況が、熱源装置での消費電力を含んでいてもよい。
【0009】
一般的な蓄電池には、放電する電力が上限放電電力以上になると、放電を遮断する保護回路が設けられている。このため、電源が蓄電池である場合には、熱源装置での消費電力が蓄電池の上限放電電力以上となると、電源からの電力供給が停止されることになる。逆に、電源が商用電源である場合には、熱源装置での消費電力が蓄電池の上限放電電力以上であっても、電源からの電力供給が停止されることはない。そこで、上記の熱源装置では、電源からの電力供給が停止する直前での熱源装置での消費電力に基いて、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを判定する。このような構成とすることによって、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを正確に判定することができる。
【0010】
上記の熱源装置では、前記熱源装置への電力の供給状況が、熱源装置への電力供給の継続時間を含んでいてもよい。
【0011】
一般的な蓄電池には、種々の条件のもとで放電を遮断する保護回路が設けられている。このため、電源が蓄電池である場合には、電源が商用電源である場合に比べて、電源からの電力供給が停止されやすい。そこで、上記の熱源装置では、電源からの電力供給が停止する直前までの電力供給の継続時間に基いて、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを判定する。このような構成とすることによって、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを正確に判定することができる。
【0012】
上記の熱源装置は、制御装置が、再開された電力供給の電源が蓄電池であると判定されない場合に、熱源装置での消費電力を増強させるように構成されていてもよい。
【0013】
熱源装置での消費電力が少ない状況では、電源として蓄電池が用いられている場合でも、蓄電池の保護回路が作動せずに、電源からの電力供給の停止がそれほど生じないことがある。このような場合には、電源からの電力供給が停止されるまでの熱源装置への電力の供給状況から、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを確実に判定することが困難となる。そこで、上記の熱源装置では、電源からの電力供給が開始された後、電源が蓄電池であると判定されない場合に、熱源装置での消費電力を増強させる。この場合、電源が蓄電池であれば、保護回路が作動して、電源からの電力供給が再び停止する。そして、その後に電源からの電力供給が再開されると、電源からの電力供給が停止するまでの熱源装置への電力の供給状況から、再開された電力供給の電源が蓄電池であると判定することができる。逆に、電源が商用電源であれば、熱源装置での消費電力を増強させても、電源からの電力供給が停止することはない。この場合、再開された電力供給の電源が商用電源であると判定することができる。上記の熱源装置によれば、再開された電力供給の電源が商用電源および蓄電池の何れであるかを確実に判定することができる。
【0014】
上記の熱源装置は、燃料を消費して熱媒を加熱する燃料式熱源機をさらに備えており、制御装置は、電源からの電力供給が停止された状態から、電源からの電力供給が開始された時に、燃料式熱源機による熱媒の加熱を実行して、燃料式熱源機への燃料の供給の有無を判定するように構成されていてもよい。
【0015】
上記の熱源装置によれば、電源の種別の判定に加えて、燃料の供給の有無についても、自動的に判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。
【0018】
HPユニット4は、外気から吸熱して水を加熱する熱源である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16を備えている。圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、水との熱交換により冷媒を冷却する。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、外気との熱交換により冷媒を加熱する。HPユニット4は、冷媒(例えばフロン系冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。HPユニット4はさらに、凝縮器12に水を循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出する戻りサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水の温度を検出する往きサーミスタ22と、外気温度を検出する外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラ24を備えている。
【0019】
タンクユニット6は、タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34を備えている。タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。本実施例のタンク30の容量は、例えば100リットルである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動すると、タンク30の底部から水が吸い出されて凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水は、タンク30の頂部からタンク30内に戻される。HPユニット4によって加熱された水がタンク30に流れ込むと、タンク30の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。タンク30には、上部の水の温度を検出する上部サーミスタ36と、中間部の水の温度を検出する中間部サーミスタ37と、下部の水の温度を検出する下部サーミスタ38が取り付けられている。本実施例では、上部サーミスタ36はタンク30の頂部から6リットルの位置に配置されており、中間部サーミスタ37はタンク30の頂部から12リットルの位置に配置されており、下部サーミスタ38はタンク30の頂部から30リットルの位置に配置されている。
【0020】
タンクユニット6には、給水経路40を介して水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44が取り付けられている。給水経路40は、タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ逆止弁50,52が取り付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54が取り付けられている。タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、混合弁32に流入するタンク30からの水の流量を検出する湯側水量センサ60が取り付けられている。
【0021】
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込むタンク30からの水を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、ステッピングモータによって弁を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。
【0022】
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、台所やシャワー、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水の温度を検出する給湯出口サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34が取り付けられている。
【0023】
タンクユニット6はさらに、タンクコントローラ74と、タンクコントローラ74と通信可能なリモコン76を備えている。タンクコントローラ74は、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御する。タンクコントローラ74は、不揮発性メモリ75を備えている。リモコン76は、スイッチやボタン等を介して、ユーザからの各種の操作入力を受け入れる。また、リモコン76は、表示や音声によってユーザに給湯システム2の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
【0024】
バーナユニット8は、バーナ80と、熱交換器82と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88を備えている。バーナ80は、燃料ガスの燃焼によって熱交換器82を流れる水を加熱する補助熱源機である。バーナ80には、ガス供給管81を介して燃料ガスが供給される。熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。熱交換器82を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。バーナ往路90には、バーナ往路90を流れる水の流量を調整する水量サーボ86と、バーナ往路90を流れる水の流量を検出する水量センサ91が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90からバーナバイパス経路94へ流れる水の流量を調整する。バーナ復路92には、熱交換器82から流れ出る水の温度を検出するバーナ給湯サーミスタ96が取り付けられている。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。湯はり経路98には、湯はり弁88が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。バーナユニット8はさらに、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御するバーナコントローラ100を備えている。
【0025】
給湯システム2のHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8には、電力供給ユニット9から電力が供給される。電力供給ユニット9は、分電盤102と、蓄電池104と、切替器106を備えている。分電盤102は、商用電源108に接続されており、商用電源108から供給される電力を切替器106と蓄電池104に分配して供給する。蓄電池104は、例えばリチウムイオン二次電池などの二次電池である。蓄電池104は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力を充電することもできるし、充電した電力を切替器106に放電することもできる。蓄電池104には、図示しない保護回路が内蔵されており、放電する電力が上限放電電力(例えば650W)以上になると、切替器106への放電が遮断される。切替器106は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する状態と、蓄電池104から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する状態の間で切り替わる。商用電源108からの電力供給が正常に行われている状況では、切替器106は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する。商用電源108からの電力供給が正常に行われていない状況では、切替器106は、蓄電池104から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する。
【0026】
HPコントローラ24とタンクコントローラ74は、互いに通信可能である。タンクコントローラ74とバーナコントローラ100は、互いに通信可能である。従って、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100が協調して制御を行うことで、給湯システム2は沸上げ運転や給湯運転等の各種の動作を行うことができる。また、タンクコントローラ74は、電力供給ユニット9からの電力供給がされている間、電力供給ユニット9から給湯システム2への電力の供給状況を、不揮発性メモリ75に記憶する。例えば、タンクコントローラ74は、電力供給ユニット9からの電力供給がされている間、電力供給ユニット9からの電力供給の継続時間を、不揮発性メモリ75に記憶する。この場合、電力供給ユニット9からの電力供給が停止し、その後に電力供給ユニット9からの電力供給が再開されると、不揮発性メモリ75には、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する直前までの、電力供給ユニット9からの電力供給の継続時間が記憶されていることになる。および/または、タンクコントローラ74は、電力供給ユニット9からの電力供給がされている間、給湯システム2における消費電力を、不揮発性メモリ75に記憶する。この場合、電力供給ユニット9からの電力供給が停止し、その後に電力供給ユニット9からの電力供給が再開されると、不揮発性メモリ75には、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する直前での、給湯システム2における消費電力が記憶されていることになる。なお、給湯システム2における消費電力の大半はHPユニット4における消費電力であるから、タンクコントローラ74は、電力供給ユニット9からの電力供給がされている間、給湯システム2における消費電力の代わりに、HPユニット4における消費電力を、不揮発性メモリ75に記憶するように構成してもよい。以下では、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100を総称して、単にコントローラとも呼ぶ。
【0027】
以下では、給湯システム2が行う沸上げ運転および給湯運転について説明する。
【0028】
沸上げ運転では、給湯システム2は、HPユニット4を駆動して、タンク30内の水を沸かし上げる。沸上げ運転を開始するタイミングは、様々な観点から設定することが可能である。例えば、割安な深夜電力を利用可能な時間帯が終了する直前に、タンク30内の水の沸かし上げが終了するように、コントローラが沸上げ運転の開始タイミングを決定してもよい。あるいは、前日までの給湯実績に基いて、大きな給湯需要の発生が予想される時刻の直前に、タンク30の水の沸かし上げが終了するように、コントローラが沸上げ運転の開始タイミングを決定してもよい。あるいは、ユーザがリモコン76を介してタンク30の水の沸かし上げを指示することで、コントローラが沸上げ運転を開始してもよい。
【0029】
沸上げ運転が開始されると、コントローラは、圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において沸上げ温度まで加熱されて、タンク30の頂部に戻される。タンク30内の水が全て沸上げ温度まで加熱された水で置き換えられると、コントローラは沸上げ運転を終了する。
【0030】
給湯運転では、給湯設定温度の水を給湯箇所へ供給する。コントローラは、水側水量センサ54で検出される流量と、湯側水量センサ60で検出される流量を合算した流量(給湯流量ともいう)が最低動作流量(例えば2.4L/分)以上となると、給湯箇所の開栓や浴槽への湯はりなどにより給湯が開始されたものと判断する。そして、コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度に応じて、以下の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。
【0031】
上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度以上である場合、コントローラは、非燃焼給湯運転を実行する。非燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を禁止するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。これによって、給湯箇所に給湯設定温度に温度調整された水が供給される。
【0032】
上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度未満の場合、コントローラは、燃焼給湯運転を実行する。燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。
【0033】
上記の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行中に、給湯流量が最低動作流量を下回ると、コントローラは、給湯箇所の閉栓や浴槽への湯はりの終了などにより給湯が終了したものと判断して、給湯運転を終了する。
【0034】
(電力供給開始時の動作)
電力供給ユニット9からの電力供給が停止した状態から、電力供給ユニット9からの電力供給が開始されると、コントローラは、
図2に示す処理を実行する。
【0035】
ステップS2では、コントローラは、不揮発性メモリ75から、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する直前までの電力供給の継続時間(通電継続時間ともいう)を読み出す。
【0036】
ステップS4では、コントローラは、不揮発性メモリ75から取得した通電継続時間が所定時間(例えば24時間)以上であるか否かを判断する。仮に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が商用電源108である場合、それほど頻繁に電力供給ユニット9からの電力供給が停止することは考えにくい。逆に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が蓄電池104である場合、蓄電池104の保護回路の作動によって、電力供給ユニット9からの電力供給はしばしば停止するものと考えられる。そこで、本実施例の給湯システム2では、不揮発性メモリ75から取得した通電継続時間が所定時間に満たない場合に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が蓄電池104であると判断する。また、不揮発性メモリ75から取得した通電継続時間が所定時間以上の場合に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が商用電源108であると判断する。
【0037】
ステップS4において、通電継続時間が所定時間以上の場合(YESの場合)、処理はステップS6へ進む。ステップS6では、コントローラは、給湯システム2における非燃焼給湯運転を禁止する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、タンク30に貯えられた水の温度に関わらず、給湯システム2は燃焼給湯運転を実行する。
【0038】
ステップS8では、コントローラは、バーナ80への燃料ガスの供給が行われているか否かを判断する。具体的には、コントローラは、燃焼給湯運転において、バーナ80の燃焼が正常に行われた場合に、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていると判断する。逆に、コントローラは、燃焼給湯運転において、バーナ80の燃焼が正常に行われない場合に、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていないと判断する。
【0039】
ステップS8で、バーナ80への燃料ガスの供給が行われている場合(YESの場合)、処理はステップS10へ進む。ステップS10の処理を実行する時点では、商用電源108からの電力供給が正常に行われており、かつガス供給管81からの燃料ガス供給も正常に行われていると考えられる。そこで、ステップS10では、コントローラは、給湯システム2における非燃焼給湯運転を許可する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた水の温度に応じて、非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。ステップS10の後、コントローラは、
図2の処理を終了し、通常通りの動作を行う。
【0040】
ステップS8で、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていない場合(NOの場合)、処理はステップS12へ進む。ステップS12の処理を実行する時点では、商用電源108からの電力供給が正常に行われており、かつ燃料ガス供給源からの燃料ガス供給が正常に行われていないと考えられる。そこで、ステップS12では、コントローラは、給湯システム2における非燃焼給湯運転を許可する。そして、ステップS14では、コントローラは、給湯システム2における燃焼給湯運転を禁止する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた水の温度に関わらず、非燃焼給湯運転を実行する。
【0041】
ステップS16では、コントローラは、HPユニット4の加熱能力を最大加熱能力に設定する。従って、これ以降に給湯システム2が沸き上げ運転を行う際には、HPユニット4の最大加熱能力によって、タンク30の水の沸かし上げが行われる。これによって、給湯システム2が燃焼給湯運転を禁止されている間に、タンク30の蓄熱量が不足する事態を抑制することができる。
【0042】
ステップS18では、コントローラは、電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてから所定時間(例えば24時間)が経過するまで待機する。バーナ80への燃料ガスの供給が正常に行われていない場合でも、電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてから所定時間が経過すれば、ガス供給管81からバーナ80への燃料ガスの供給が復旧されていると考えられる。電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてからの経過時間が所定時間に達すると(ステップS18でYESとなると)、処理はステップS20へ進む。
【0043】
ステップS20では、コントローラは、給湯システム2における燃焼給湯運転を許可する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた水の温度に応じて、非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。ステップS20の後、コントローラは、
図2の処理を終了し、通常通りの動作を行う。
【0044】
ステップS4で、不揮発性メモリ75から取得した通電継続時間が所定時間に満たない場合(NOの場合)、処理はステップS22へ進む。
【0045】
ステップS22では、コントローラは、給湯システム2における非燃焼給湯運転を禁止する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、タンク30に貯えられた水の温度に関わらず、給湯システム2は燃焼給湯運転を実行する。
【0046】
ステップS24では、コントローラは、バーナ80への燃料ガスの供給が行われているか否かを判断する。具体的には、コントローラは、燃焼給湯運転において、バーナ80の燃焼が正常に行われた場合に、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていると判断する。逆に、コントローラは、燃焼給湯運転において、バーナ80の燃焼が正常に行われない場合に、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていないと判断する。
【0047】
ステップS24で、バーナ80への燃料ガスの供給が行われている場合(YESの場合)、処理はステップS26へ進む。ステップS26の処理を実行する時点では、商用電源108からの電力供給が正常に行われておらず、代わりに蓄電池104から電力供給が行われており、かつガス供給管81からの燃料ガス供給は正常に行われていると考えられる。そこで、ステップS26では、コントローラは、給湯システム2における沸き上げ運転を禁止する。これ以降は、給湯システム2は沸き上げ運転や非燃焼給湯運転を実行することなく、常に燃焼給湯運転によって給湯を行う。これによって、沸き上げ運転の実行により蓄電池104の電力を消費してしまう事態を抑制することができる。
【0048】
ステップS28では、コントローラは、電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてから所定時間(例えば24時間)が経過するまで待機する。電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてから所定時間が経過した場合、商用電源108からの電力供給が復旧されていると判断する。電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてからの経過時間が所定時間に達すると(ステップS28でYESとなると)、処理はステップS30へ進む。
【0049】
ステップS30では、コントローラは、給湯システム2における沸き上げ運転を許可する。そして、ステップS32では、コントローラは、給湯システム2における非燃焼給湯運転を許可する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた水の温度に応じて、非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。ステップS32の後、コントローラは、
図2の処理を終了し、通常通りの動作を行う。
【0050】
ステップS24で、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていない場合(NOの場合)、処理はステップS34へ進む。ステップS34の処理を実行する時点では、商用電源108からの電力供給が行われておらず、代わりに蓄電池104による電力供給が行われており、かつガス供給管81からの燃料ガス供給が正常に行われていないと考えられる。そこで、ステップS34では、コントローラは、給湯システム2における非燃焼給湯運転を許可する。そして、ステップS36では、コントローラは、給湯システム2における燃焼給湯運転を禁止する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた水の温度に関わらず、非燃焼給湯運転を実行する。
【0051】
ステップS40では、コントローラは、HPユニット4の加熱能力を、通常時の加熱能力よりも低い抑制加熱能力に設定する。従って、これ以降に給湯システム2が沸き上げ運転を行う際には、HPユニット4の抑制された加熱能力によって、タンク30の水の沸かし上げが行われる。これによって、給湯システム2による非燃焼給湯運転を実行可能としつつ、沸き上げ運転の実行により蓄電池104の電力を過剰に消費してしまう事態を抑制することができる。
【0052】
ステップS42では、コントローラは、電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてから所定時間(例えば24時間)が経過するまで待機する。本実施例の給湯システム2では、電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてから所定時間が経過した場合、商用電源108からの電力供給と、ガス供給管81からの燃料ガス供給が復旧されていると判断する。電力供給ユニット9からの電力供給が開始されてからの経過時間が所定時間に達すると(ステップS42でYESとなると)、処理はステップS44へ進む。
【0053】
ステップS44では、コントローラは、給湯システム2に燃焼給湯運転を許可する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた水の温度に応じて、非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。ステップS44の後、コントローラは、
図2の処理を終了し、通常通りの動作を行う。
【0054】
コントローラは、
図2に示す処理の代わりに、
図3に示す処理を実行してもよい。
図3に示す処理は、
図2に示す処理とほぼ同様であるが、
図2のステップS2、S4の処理の代わりに、
図3のステップS46、S48の処理を実行する。
【0055】
ステップS46では、コントローラは、不揮発性メモリ75から、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する直前での給湯システム2での消費電力(直前消費電力ともいう)を読み出す。
【0056】
ステップS48では、コントローラは、不揮発性メモリ75から取得した直前消費電力が所定値(例えば650W)以上であるか否かを判断する。仮に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が蓄電池104である場合、給湯システム2での消費電力が所定値以上となると、蓄電池104の保護回路が作動し、電力供給ユニット9からの電力供給が停止される。逆に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が商用電源108である場合、給湯システム2での消費電力が所定値以上となっても、電力供給ユニット9からの電力供給が停止されることはない。そこで、本実施例の給湯システム2では、不揮発性メモリ75から取得した直前消費電力が所定値以上である場合は、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が蓄電池104であると判断する。また、不揮発性メモリ75から取得した直前消費電力が所定値に満たない場合に、電力供給ユニット9から給湯システム2に供給される電力の供給元が商用電源108であると判断する。
【0057】
なお、例えば夏季など、給湯システム2がそれほど大きな熱量を供給する必要がない場合には、蓄電池104が電力の供給元であっても、給湯システム2での消費電力が少なく、保護回路が作動しないことがある。この場合、
図2に示す処理では、電力の供給元が蓄電池104であるか否かを正確に判定することができない場合がある。そこで、
図2に示す処理の代わりに、
図4に示す処理のように、ステップS4とステップS6の間にステップS50を追加し、ステップS50において、コントローラが、給湯システム2の消費電力を一時的に増強させるようにしてもよい。この場合、仮に電力の供給元が蓄電池104である場合には、ステップS50で給湯システム2の消費電力を増強させることで、蓄電池104の保護回路が作動して、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する。その後、電力供給ユニット9からの電力供給が再開すると、不揮発性メモリ75に記憶されている通電継続時間が短いことから、コントローラは、電力の供給元が蓄電池104であると判定する。逆に、電力の供給元が商用電源108である場合には、ステップS50で給湯システム2の消費電力を増強させても、電力供給ユニット9からの電力供給が停止することがない。この場合、コントローラは、電力の供給元が商用電源108であると判定して、そのままステップS6以降の処理を実行する。
【0058】
同様に、
図3に示す処理の代わりに、
図5に示す処理のように、ステップS48とステップS6の間にステップS50を追加し、ステップS50において、コントローラが、給湯システム2の消費電力を一時的に増強させるようにしてもよい。この場合、仮に電力の供給元が蓄電池104である場合には、ステップS50で給湯システム2の消費電力を増強させることで、蓄電池104の保護回路が作動して、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する。その後、電力供給ユニット9からの電力供給が再開すると、不揮発性メモリ75に記憶されている直前消費電力が所定値以上であることから、コントローラは、電力の供給元が蓄電池104であると判定する。逆に、電力の供給元が商用電源108である場合には、ステップS50で給湯システム2の消費電力を増強させても、電力供給ユニット9からの電力供給が停止することがない。この場合、コントローラは、電力の供給元が商用電源108であると判定して、そのままステップS6以降の処理を実行する。
【0059】
なお、上記のステップS50での、給湯システム2における消費電力の一時的な増強は、蓄電池104の保護回路を作動させることが可能であれば、どのような手法によって行ってもよい。例えば、HPユニット4の加熱能力を最大にして沸き上げ運転を実行することで、給湯システム2の消費電力を一時的に増強してもよい。あるいは、HPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8が、図示しないヒータ(例えば、配管の凍結防止用のヒータ)を備える場合には、それらのヒータに通電することで、給湯システム2の消費電力を一時的に増強してもよい。
【0060】
なお、上記の
図2−
図5のような判定処理を実行するか否かを、ユーザがリモコン76で選択可能としてもよい。この場合、リモコン76で判定処理を実行することが選択されている場合には、コントローラは、電力供給ユニット9からの電力供給が停止した状態から、電力供給ユニット9からの電力供給が開始された時に、上記の判定処理を実行する。また、リモコン76で判定処理を実行することが選択されていない場合には、コントローラは、電力供給ユニット9からの電力供給が停止した状態から、電力供給ユニット9からの電力供給が開始された場合でも、上記の判定処理を実行することなく、通常通りの動作を行う。また、上記の
図2−
図5のような判定処理を実行している間に、ユーザがリモコン76で判定処理の中断を指示可能としてもよい。この場合、リモコン76で判定処理の中断が指示されると、コントローラは、上記の判定処理を中止して、通常通りの動作に復帰する。
【0061】
上記の
図2−
図5の判定処理において、実行している処理の内容をリモコン76に表示する構成としてもよい。例えば、ステップS14やステップS36で燃焼給湯運転を禁止してから、ステップS20やステップS44で燃焼給湯運転を許可するまでの間、リモコン76に「ガス禁止」と表示する構成としてもよい。および/または、ステップS16でHPユニット4の加熱能力を最大加熱能力に設定している間、リモコン76に「HP能力最大」と表示する構成としてもよい。および/または、ステップS40でHPユニット4の加熱能力を抑制加熱能力に設定している間、リモコン76に「HP能力抑制」と表示する構成としてもよい。
【0062】
上記の
図2−
図5の判定処理において、電源の種別についての判定結果をリモコン76に表示する構成としてもよい。同様に、上記の
図2−
図5の処理において、燃料ガスの供給の有無についての判定結果をリモコン76に表示する構成としてもよい。
【0063】
上記の
図2、
図4の判定処理では、電力供給ユニット9からの電力供給が停止する直前までの電力供給の継続時間に基いて、電力の供給元が商用電源108および蓄電池104の何れであるかを判定している。これとは異なり、例えば、電力供給ユニット9からの電力供給が停止した状態から、電力供給ユニット9からの電力供給が再開する度に、コントローラが、電力供給ユニット9からの電力供給の開始時刻を不揮発性メモリ75に記憶していき、電力供給ユニット9からの電力供給の再開が、所定時間(例えば24時間)の間に所定回数(例えば2回)以上行われている場合に、コントローラが、電力の供給元が蓄電池104であると判定するように構成してもよい。
【0064】
以上のように、本実施例の給湯システム2(熱源装置の一例)は、電力を消費して水(熱媒の一例)を加熱するHPユニット4(電気式熱源機の一例)と、不揮発性メモリ75を備えるコントローラ(制御装置の一例)を備えている。給湯システム2は、電力の供給状況が互いに異なる商用電源108または蓄電池104である電源から電力を供給されて動作するように構成されている。コントローラは、電源からの電力供給がされている間、給湯システム2への電力の供給状況を不揮発性メモリ75に記憶するように構成されている。
図2−
図5に示すように、コントローラは、電源からの電力供給が停止された状態から、電源からの電力供給が開始された時に、不揮発性メモリ75に記憶されている電力の供給状況に基いて、再開された電力供給の電源が商用電源108および蓄電池104の何れであるかを判定するように構成されている。
【0065】
図3、
図5に示すように、本実施例の給湯システム2では、給湯システム2への電力の供給状況が、給湯システム2での消費電力を含む。
【0066】
図2、
図4に示すように、本実施例の給湯システム2では、給湯システム2への電力の供給状況が、給湯システム2への電力供給の継続時間を含む。
【0067】
図4、
図5に示すように、本実施例の給湯システム2では、コントローラは、再開された電力供給の電源が蓄電池104であると判定されない場合に、給湯システム2での消費電力を増強させるように構成されている。
【0068】
本実施例の給湯システム2は、燃料ガス(燃料の一例)を消費して水を加熱するバーナ80(燃料式熱源機の一例)をさらに備えている。
図2−
図5に示すように、コントローラは、電源からの電力供給が停止された状態から、電源からの電力供給が開始された時に、バーナ80による水の加熱を実行して、バーナ80への燃料ガスの供給の有無を判定するように構成されている。
【0069】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0070】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。