(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484517
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】消火器アクチュエータアセンブリおよび消火器アクチュエータアセンブリ設置方法
(51)【国際特許分類】
A62C 35/02 20060101AFI20190304BHJP
A62C 37/46 20060101ALI20190304BHJP
A62C 3/08 20060101ALI20190304BHJP
B64D 25/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A62C35/02 Z
A62C37/46
A62C3/08
B64D25/00
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-139294(P2015-139294)
(22)【出願日】2015年7月13日
(65)【公開番号】特開2016-19734(P2016-19734A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2018年1月16日
(31)【優先権主張番号】14/328,794
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510079477
【氏名又は名称】キッダ テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド フレイジャー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ライト ポーターフィールド,ジュニアー
【審査官】
堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06394188(US,B1)
【文献】
特開昭49−044430(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0098639(US,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02241562(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0098636(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0205129(US,A1)
【文献】
特公昭50−005520(JP,B1)
【文献】
特表2003−518423(JP,A)
【文献】
米国特許第02441011(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
B64D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火器用の消火器アクチュエータアセンブリであって、前記消火器は、消火剤貯蔵部と、前記消火剤貯蔵部および吐出ヘッドの間に吐出バリアを形成して、前記消火剤貯蔵部内に加圧消火剤を保持する破裂板と、を備え、
シャトル本体に連結されたカッターを備えるカッターシャトルアセンブリであって、前記消火器内で前記破裂板に隣接して係留されるとともに、前記シャトル本体および前記破裂板の間に均圧化領域を形成するように付勢される、カッターシャトルアセンブリと、
突き刺し部材を備える作動装置であって、前記破裂板を突き刺して、前記均圧化領域から圧力を解放し、それによって、前記カッターを駆動して前記破裂板を貫通させ、前記吐出ヘッドを通して前記加圧消火剤を放出するように動作可能である、作動装置と、を備える、消火器用の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
前記シャトル本体が、前記消火剤貯蔵部の主内部領域に対して前記均圧化領域において平衡圧力を確立するように、少なくとも1つの均圧化孔を備える、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの均圧化孔のうちの1つが、前記突き刺し部材が前記破裂板を突き刺すために貫通可能な寸法にされる、請求項2に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
前記作動装置が、前記破裂板を突き刺した後に、前記突き刺し部材を引き込むためのバネをさらに備える、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記バネが、前記突き刺し部材に連結された剛性のある板と、前記バネを取り囲む管状のシュラウドの基部との間に配置され、前記管状のシュラウドが、前記加圧消火剤の循環を可能にするベント孔を備える、請求項4に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記カッターシャトルアセンブリが、前記均圧化領域から圧力が解放されるまで、可撓性シールによって係留される、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記作動装置が、前記消火剤貯蔵部に設置される、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
前記作動装置が、前記吐出ヘッドに設置される、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項9】
前記破裂板が密閉される、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項10】
前記カッターが、中心点で交わる4枚の刃を備える、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項11】
前記作動装置が、火工トリガ装置なしで、電気的に駆動される、請求項1に記載の消火器アクチュエータアセンブリ。
【請求項12】
消火器に消火器アクチュエータアセンブリを設置する方法であって、前記消火器は、消火剤貯蔵部と、前記消火剤貯蔵部および吐出ヘッドの間に吐出バリアを形成して、前記消火剤貯蔵部内に加圧消火剤を保持する破裂板と、を備え、
前記消火器内で前記破裂板に隣接してシャトル本体に連結されたカッターを備え、かつ前記シャトル本体および前記破裂板の間に均圧化領域を形成するように付勢された、カッターシャトルアセンブリを係留し、
前記作動装置のトリガに応じて、前記破裂板を突き刺して、前記均圧化領域から圧力を解放し、それによって、前記カッターを駆動して前記破裂板を貫通させて、前記吐出ヘッドを通して前記加圧消火剤を放出するように、突き刺し部材を備える作動装置を配置することを含む方法。
【請求項13】
前記作動装置が、前記消火剤貯蔵部に設置され、前記突き刺し部材が、前記破裂板を突き刺すために均圧化孔を貫通するように配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記作動装置が、前記吐出ヘッドに設置される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記作動装置が、火工トリガ装置なしで、電気的に駆動される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される発明の主題は、消火器アクチュエータに関する。より具体的には、主題の開示は、圧力不均衡を形成してカッターを駆動して破裂板に貫通させることによって、破裂板を穿刺して消火剤を放出させる、消火器アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機環境においては、一般的に、火工カートリッジまたはスクイブなどの火工トリガ装置を用いて、直接的な爆発の衝撃エネルギーによって、密閉された消火器を作動させる。衝撃エネルギーは、衝撃によって破裂板が破裂するように、ドーム形破裂板に集中させる。破裂板は、一般に、耐食鋼で製作される。普通、火工トリガ装置は、破裂板に直接面するような仕方で、吐出ヘッド内に保持される。吐出ヘッドは、消火器の出口に取り付けられて、一般に、消火剤を所望の場所に導く配管または管類など、航空機のインターフェースに消火剤流を誘導するために使用される。フィルタスクリーンが吐出ヘッド内に配置されて、爆発の衝撃エネルギーで生じたあらゆる大きい破裂板の破片を捕捉する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
火工トリガ装置を使用することは有効であり得るが、火工トリガ装置には、特別な取扱い手順および訓練が必要であり、このことが、全体的な航空機の管理および維持のコストを増大させる。加えて、火工トリガ装置は、期待される耐用年数には限界があり、そのため、定期的な交換が必要であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、消火器用の消火器アクチュエータアセンブリが提供される。消火器は、消火剤貯蔵部と、消火剤貯蔵部および吐出ヘッドの間に吐出バリアを形成して、消火剤貯蔵部内に加圧消火剤を保持する破裂板とを含む。消火器アクチュエータアセンブリは、シャトル本体に連結されたカッターを有するカッターシャトルアセンブリを含む。カッターシャトルアセンブリは、消火器内で破裂板の傍に係留されて、シャトル本体および破裂板の間に均圧化領域を形成するように付勢される。消火器アクチュエータアセンブリはまた、突き刺し部材を有する作動装置を含む。作動装置は、破裂板を突き刺して、均圧化領域から圧力を解放し、それによって、カッターを駆動して破裂板に貫通させて、吐出ヘッドを通して加圧消火剤を放出するように動作可能である。
【0005】
別の態様によれば、消火器内に消火器アクチュエータアセンブリを設置する方法が提供される。消火器は、消火剤貯蔵部と、消火剤貯蔵部および吐出ヘッドの間に吐出バリアを形成して、消火剤貯蔵部内に加圧消火剤を保持する破裂板とを含む。方法は、消火器内で破裂板に隣接してシャトル本体に連結されたカッターを含み、かつシャトル本体および破裂板の間に均圧化領域を形成するように付勢された、カッターシャトルアセンブリを係留することを含む。突き刺し部材を含む作動装置は、作動装置のトリガに応じて、破裂板を突き刺して、均圧化領域から圧力を解放し、それによって、カッターを駆動して破裂板に貫通させて、吐出ヘッドを通して加圧消火剤を放出するように配置される。
【0006】
本発明の対象は、本明細書の末尾にある特許請求の範囲において、特定され、かつ明確に請求されている。本発明の上記およびその他の特徴および効果は、添付の図面と併せて読めば、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による消火器システムの概略図である。
【
図2】一実施形態による、作動前の消火器アクチュエータアセンブリの詳細図である。
【
図3】一実施形態によるカッターシャトルアセンブリの上面図である。
【
図4】一実施形態によるカッターシャトルアセンブリの側面図である。
【
図6】一実施形態による、切断前の破裂板の斜視図である。
【
図7】一実施形態による、切断後の破裂板の斜視図である。
【
図8】一実施形態による、非作動状態にある作動装置の概略図である。
【
図9】一実施形態による、作動状態にある作動装置の概略図である。
【
図10】一実施形態による、作動装置の管状のシュラウドを示す概略図である。
【
図11】一実施形態による、作動時の
図2の消火器アクチュエータアセンブリの詳細図である。
【
図12】一実施形態による、作動前の消火器アクチュエータアセンブリの詳細図である。
【
図13】一実施形態によるカッターシャトルアセンブリの上面図である。
【
図14】一実施形態による、非作動状態にある作動装置の概略図である。
【
図15】一実施形態による、作動状態にある作動装置の概略図である。
【
図16】一実施形態による、作動時の
図12の消火器アクチュエータアセンブリの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な実施形態では、火工トリガ装置なしで作動される、消火器用の消火器アクチュエータアセンブリが提供される。消火器アクチュエータアセンブリは、非火工作動装置を圧力差で動くカッターシャトルアセンブリと組み合わせて使用して、二段階作動および加圧消火剤放出を提供する。一般に、破裂板の破片は、火工トリガ装置による点火によって散らばることから、カッターを用いて消火器の破裂板を迅速に開口することにより、消火器システムの吐出ヘッドに破片フィルタスクリーンを含めなくてもよくなり得る。
【0009】
ここで
図1を参照すると、一実施形態による消火器システム100の概略図が示されている。消火器システム100は、消火器102と、吐出ヘッド104とを含む。消火器102は、消火剤貯蔵部106と、消火剤貯蔵部106および吐出ヘッド104の間に吐出バリアを形成して、消火剤貯蔵部106内に加圧消火剤を保持する破裂板108とを含む。吐出ヘッド104を配管/管類に接続して、航空機内などにおける所望の場所に消火剤を導くことができる。
【0010】
図2は、一実施形態による、作動前の消火器アクチュエータアセンブリ200の詳細図である。
図2の例では、消火器アクチュエータアセンブリ200は、シャトル本体206に連結されたカッター204を有するカッターシャトルアセンブリ202を含む。カッターシャトルアセンブリ202は、消火器102内で破裂板108に隣接して係留されて(detained)、シャトル本体206および破裂板108の間に均圧化領域208を形成するように付勢される。カッターシャトルアセンブリ202は、均圧化領域208からの圧力が解放されるまで、可撓性シール210によって係留され得る。加圧消火剤212は、消火器内圧214の下で、消火剤貯蔵部106に保持される。シャトル本体206は、少なくとも1つの均圧化孔216、217を含んで、消火剤貯蔵部106の主内部領域218に対して、均圧化領域208において平衡圧力を確立する。
【0011】
消火器アクチュエータアセンブリ200はまた、破裂板108を破裂させるのに使う先の尖ったシャフトである突き刺し部材222を有する作動装置220を含む。作動装置220は、破裂板108を突き刺して、均圧化領域208から圧力を解放し、それによって、カッター204を駆動して破裂板108に貫通させて、吐出ヘッド104を通して加圧消火剤212を放出するように動作可能である。
図2の例では、均圧化孔217は、突き刺し部材222が破裂板108を突き刺すために貫通するような寸法にされる。
図2に見られるように、作動装置220は、消火剤貯蔵部106に設置され得る。作動装置220は、火工トリガ装置なしで、電気的に駆動され得る。例えば、作動装置220は、ソレノイド装置、または突き刺し部材222を駆動して破裂板108に貫通させるように動作可能なその他の電気機械装置であり得る。破裂板108が突き刺されて、加圧消火剤212が均圧化領域208を出ると、消火器内圧214が可撓性シール210による係留する力に打ち勝って、カッターシャトルアセンブリ202を破裂板108に向けて駆動する。そこで、カッター204が破裂板108を切って開いて、消火剤貯蔵部106の主内部領域218から吐出ヘッド104の外へ加圧消火剤212を吐出する。
【0012】
理解されるように、消火器アクチュエータアセンブリ200は、図面の簡略化のために図にはない電気接続だけでなく、作動装置220を支持および安定化するためのその他の構造要素を含むことができる。消火剤貯蔵部106は、多様な設置法に適合するような寸法にされ得る。例えば、消火剤貯蔵部106の寸法は、40立方インチ(655.5cm
3)から2,500+立方インチ(40,968+cm
3)の範囲であり得る。消火剤貯蔵部106内における圧力変化は、周囲温度の変化に起因して生じ得る。例えば、航空機環境においては、消火器102は、真夏日の地上では、華氏240度(摂氏115.6度)になり得、また離陸後の高所では、華氏−65度(摂氏−53.9度)になり得る。このような温度変化は、消火器内圧214にかなりの変化をもたらす。消火器内圧214に変化が生じると、均圧化孔216および217が、消火器102の圧力を平衡圧力に保たせる。消火器内圧214の例示的な名目上の圧力値の範囲は、華氏70度(摂氏21.1度)で、約300重量ポンド毎平方インチ(2,068kPa)から約800重量ポンド毎平方インチ(5,515kPa)の間であり得るが、温度が高くなれば圧力も高くなり、温度が低くなれば圧力も低くなる。
【0013】
図3は、一実施形態によるカッターシャトルアセンブリ202の上面図である。
図3の例に見られるように、シャトル本体206は、2つの均圧化孔216および217を含む。カッター204は、均圧化孔216および217の間に配置される。均圧化孔217の直径は、均圧化孔217を貫通する
図2の突き刺し部材222を収容するために、均圧化孔216よりも大きい。均圧化孔216および217は、シャトル本体206の下方にある
図2の均圧化領域208の
図2の吐出ヘッド104内への圧力の解放によって生じる、
図2の消火器内圧214に対する、素早い差圧変化に追随できないような寸法にされる。
【0014】
図4は、一実施形態によるカッターシャトルアセンブリ202の側面図である。シャトル本体206は、その周縁の周囲に、
図2の可撓性シール210を保持するためのグランド209を含み、可撓性シール210は、衝撃および振動の最中、カッターシャトルアセンブリ202を所定の位置に保持して、カッター204が
図1の破裂板108を早目に切ってしまわないようにする戻り止めとして機能する。
【0015】
図5は、一実施形態によるカッター204の斜視図である。
図5の例に見られるように、カッター204は、中心点226すなわち切断用先端部で交わる4枚の刃224を含む。刃224は、刃224の間隔を約90度にした状態で、均等に離間させてもよい。刃224はまた、中心点226がカッター204の頂部になるように、角度をつけたり、傾斜をつけたりしてもよい。
【0016】
図6は、一実施形態による、切断前の破裂板108の斜視図である。破裂板108は、破裂板108の外縁上で溶接を施すことによって、破裂板取り付けアセンブリ211に対して密閉されてもよい。
図7は、一実施形態による、切断後の破裂板108の斜視図である。
図2のカッター204が破裂板108に押し通されると、破裂板108は、複数の花弁状切片(petals)228へと引き裂かれて開く。
図5の4枚の刃224が、4枚の花弁状切片228を作り出す。
図2の消火器貯蔵部106から放出された高圧が、花弁状切片228を引き裂いて開けるが、その時同時に、破裂板108の外縁の密閉が、花弁状切片228を破裂板取り付けアセンブリ211に保持している。
【0017】
図8は、一実施形態による、非作動状態にある作動装置220の概略図である。作動装置220は、
図2の破裂板108を突き刺した後に、突き刺し部材222を引き込むためのバネ230を含み得る。電気的に駆動されるソレノイドなどのリニアアクチュエータ232は、
図9に示す作動状態において、突き刺し部材222を伸長位置へと駆動し得る。突き刺し部材222に連結された剛性のある板234と、バネ230を取り囲む管状のシュラウド236の基部との間に、バネ230を配置してもよい。
図9の作動状態におけるバネ230の圧縮を示すために、
図8および
図9に管状のシュラウド236を破断図で示す。作動装置220の電力を止めると、バネ230は圧縮されなくなり、突き刺し部材222が
図8の非作動状態に戻る。
図2の破裂板108を突き刺すために、作動装置220に電力を与える時間は、極短時間だけ、例えば、40〜50ミリ秒でよい。
【0018】
図10は、破断面を省いた、一実施形態による、作動装置220の管状のシュラウド236を示す概略図である。管状のシュラウド236は、
図2の加圧消火剤212が循環できるようにするベント孔238を含み得る。ベント孔238は、管状のシュラウド236の容積内でバネ230を圧縮するために下方に移動する剛性のある板234によって生じる抵抗を防ぐことができる。
【0019】
図11は、一実施形態による、作動時の
図2の消火器アクチュエータアセンブリ200の詳細図である。作動装置220に電気信号を送信すると、作動装置220は、突き刺し部材222を駆動して破裂板108を貫通させる。破裂板108を穿刺すると、例えば、バネ230によって、突き刺し部材222は引き込まれ得る。吐出ヘッド104が約1気圧の大気圧を有することから、破裂板108の破裂孔240は、均圧化領域208内の圧力を吐出ヘッド104内へと極めて迅速に解放させる。この圧力の解放は、1〜2ミリ秒未満のうちに生じ得る。均圧化領域208の圧力を解放した結果、消火器102はもはや平衡ではなく、カッターシャトルアセンブリ202の上方にある消火剤貯蔵部106の主内部領域218における消火器内圧214が、カッターシャトルアセンブリ202を押して、カッター204を駆動して破裂板108に差し込む。図面を簡略化するために
図11に示されていないことであるが、カッターシャトルアセンブリ202は、吐出ヘッド104またはその他の保護装置が所定の場所にない状態で、消火器102が間違って吐出状態になった場合、発射体となり得ないように内部に留められる。カッターシャトルアセンブリ202は、普通、吐出ヘッド104に保持され、発射体にならないように吐出ヘッド104によって留められる。
【0020】
図12は、一実施形態による、作動前の消火器アクチュエータアセンブリ200Aの詳細図である。
図2の実施形態と同様に、消火器アクチュエータアセンブリ200Aは、シャトル本体206Aに連結されたカッター204を有するカッターシャトルアセンブリ202Aを含む。カッターシャトルアセンブリ202Aは、消火器102内で破裂板108に隣接して係留されて、シャトル本体206Aおよび破裂板108の間に均圧化領域208を形成するように付勢される。カッターシャトルアセンブリ202Aは、均圧化領域208からの圧力が解放されるまで、可撓性シール210によって係留され得る。加圧消火剤212は、消火器内圧214の下で、消火剤貯蔵部106に保持される。シャトル本体206Aは、少なくとも1つの均圧化孔216(この例では2つの均圧化孔216)を含んで、消火剤貯蔵部106の主内部領域218に対して、均圧化領域208において平衡圧力を確立する。
図12の例では、2つの均圧化孔216はあるが、
図2の実施形態に含まれるような直径の大きい均圧化孔217は存在しない。
【0021】
消火器アクチュエータアセンブリ200Aはまた、破裂板108を破裂させるのに使う先の尖ったシャフトである突き刺し部材222Aを有する作動装置220Aを含む。作動装置220Aは、破裂板108を突き刺して、均圧化領域208から圧力を解放し、それによって、カッター204を駆動して破裂板108に貫通させて、吐出ヘッド104を通して加圧消火剤212を放出するように動作可能である。作動装置220Aは、消火器102内ではなく、吐出ヘッド104に配置される。作動装置220Aは、火工トリガ装置なしで、電気的に駆動され得る。例えば、作動装置220Aは、ソレノイド装置、または突き刺し部材222Aを駆動して破裂板108に貫通させるように動作可能なその他の電気機械装置であり得る。破裂板108が突き刺されて、加圧消火剤212が均圧化領域208を出ると、消火器内圧214が可撓性シール210による係留する力に打ち勝って、カッターシャトルアセンブリ202Aを破裂板108に向けて駆動する。そこで、カッター204が破裂板108を切って開いて、消火剤貯蔵部106の主内部領域218から吐出ヘッド104の外へ加圧消火剤212を吐出する。
【0022】
図13は、一実施形態によるカッターシャトルアセンブリ202Aの上面図である。
図13の例に見られるように、シャトル本体206Aは、実質的に同じ寸法の2つの均圧化孔216を含む。カッター204は、2つの均圧化孔216の間に配置される。均圧化孔216は、シャトル本体206Aの下方にある
図12の均圧化領域208の
図12の吐出ヘッド104内への圧力の解放によって生じる、
図12の消火器内圧214に対する、素早い差圧変化に追随できないような寸法にされる。
【0023】
図14は、一実施形態による、非作動状態にある作動装置220Aの概略図であり、
図15は、一実施形態による、作動状態にある作動装置220Aの概略図である。
図14および
図15に見られるように、作動装置220Aのトリガに応じて、突き刺し部材222Aが外向きに突出する。
【0024】
図16は、一実施形態による、作動時の
図12の消火器アクチュエータアセンブリ200Aの詳細図である。作動装置220Aに電気信号を送信すると、作動装置220Aは、突き刺し部材222Aを駆動して破裂板108を貫通させる。破裂板108の破裂孔240は、均圧化領域208内の圧力を吐出ヘッド104内へと極めて迅速に解放させる。均圧化領域208の圧力を解放した結果、消火器102はもはや平衡ではなく、カッターシャトルアセンブリ202Aの上方にある消火剤貯蔵部106の主内部領域218における消火器内圧214が、カッターシャトルアセンブリ202Aを押して、カッター204を駆動して破裂板108に差し込む。図面を簡略化するために
図16に示されていないことであるが、カッターシャトルアセンブリ202Aは、吐出ヘッド104またはその他の保護装置が所定の場所にない状態で、消火器102が間違って吐出状態になった場合、発射体となり得ないように内部に留められる。カッターシャトルアセンブリ202Aは、普通、吐出ヘッド104に保持され、発射体にならないように吐出ヘッド104によって留められる。
【0025】
図1〜
図16を参照すると、消火器アクチュエータアセンブリ200、200Aは、ある設置方法に従って、消火器102に設置され得る。先述のように、消火器102は、消火剤貯蔵部106と、消火剤貯蔵部106および吐出ヘッド104の間に吐出バリアを形成して、消火剤貯蔵部106内に加圧消火剤212を保持する破裂板108とを含む。消火器102内の破裂板108に隣接してシャトル本体206、206Aに連結されたカッター204を含むカッターシャトルアセンブリ202、202Aは、シャトル本体206、206Aおよび破裂板108の間に均圧化領域208を形成するように係留かつ付勢される。突き刺し部材222、222Aを含む作動装置220、220Aは、作動装置220、220Aのトリガに応じて、破裂板108を突き刺して、均圧化領域208から圧力を解放し、それによって、カッター204を駆動して破裂板108を貫通させて、吐出ヘッド104を通して加圧消火剤212を放出するように配置される。作動装置220は、消火剤貯蔵部106に設置され得、突き刺し部材222は、破裂板108を突き刺すために均圧化孔217を貫通するように配置され得る。代替的に、作動装置220Aは、吐出ヘッド104に設置され得る。作動装置220および220Aは、火工トリガ装置なしで、電気的に駆動され得る。
【0026】
限られた数の実施形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示された実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解されるはずである。むしろ、本発明は、これまで説明されていないが、本発明の趣旨および範囲に見合う種々の変形、代替、置き換えまたは均等な構成を組み込むように修正され得る。加えて、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の態様が、記載された実施形態の一部だけを含む場合もあることを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されるものとしてみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。