特許第6484518号(P6484518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイホン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6484518-インターホン機器 図000002
  • 特許6484518-インターホン機器 図000003
  • 特許6484518-インターホン機器 図000004
  • 特許6484518-インターホン機器 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484518
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   H04M1/02 G
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-139883(P2015-139883)
(22)【出願日】2015年7月13日
(65)【公開番号】特開2017-22609(P2017-22609A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2017年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔平
(72)【発明者】
【氏名】中尾 幸伸
【審査官】 中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−273039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02−1/23
H04M 9/00−9/10
H04N 5/222−5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの前面にスピーカ孔が開設されているとともに、前記本体ケース内で、前記スピーカ孔の後方となる位置にスピーカが取り付けられたインターホン機器であって、
前記本体ケースの内面側に、前記スピーカ孔を覆うように合成樹脂製の防水シートを配置させ、前記防水シートの後方から前記スピーカを前記本体ケースに取り付けることにより、前記スピーカ孔と前記スピーカとの間に前記防水シートを介在させるとともに、
前記本体ケースの内面側に、前記スピーカ孔を囲むように取付リブを突設し、前記取付リブにより囲まれた空間をスピーカ取付部とするとともに、前記取付リブよりも前記本体ケースの外側に、前記防水シートを配置した際に前記防水シートの周縁部が接触可能なシート接触部を設けており、
前記シート接触部の前記本体ケース内側に周縁部が接触した状態で前記スピーカ取付部を覆うように前記防水シートを配置させることで、前記スピーカを取り付ける際に前記防水シートの配置位置からの位置ずれ防止されるとともに、前記防水シートの配置後、前記防水シートの後方から前記スピーカを前記スピーカ取付部へ嵌め込むことにより、前記防水シートが前記本体ケース側と前記スピーカ側とで挟み込んで取り付けられていることを特徴とするインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話部としてスピーカ部を備えており、たとえば来訪者により呼出操作されると、居室内のインターホン親機と通話可能に接続されるインターホン子機等といったインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばインターホン子機を始めとするインターホン機器には、他のインターホン機器との間で通話するための通話部としてスピーカ部が設けられている(たとえば特許文献1)。そして、そのようなインターホン機器では、スピーカ部における本体ケースの内面側において、スピーカとスピーカ孔との間に合成樹脂製の防水シートを介在させ、スピーカ孔から本体ケース内へ浸入してきた雨水等がスピーカに悪影響を及ぼさないようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−201535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような防水シートを取り付けるにあたっては、スピーカ孔を覆うように本体ケースの内面側に防水シートを配置させ、防水シートの後方からスピーカを取り付けることで、防水シートをスピーカ側と本体ケース側とで挟み込むといった方法が一般的に採用されている。しかしながら、防水シートは薄くて軽いため、スピーカを取り付ける際に、防水シートの位置がずれやすい。そのため、インターホン機器の組み立て作業が煩わしく、歩留まりが悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、防水シートの位置がずれにくく、組み立て作業が簡易で、歩留まりの向上を図ることができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースの前面にスピーカ孔が開設されているとともに、本体ケース内で、スピーカ孔の後方となる位置にスピーカが取り付けられたインターホン機器であって、本体ケースの内面側に、スピーカ孔を覆うように合成樹脂製の防水シートを配置させ、防水シートの後方からスピーカを本体ケースに取り付けることにより、スピーカ孔とスピーカとの間に防水シートを介在させるとともに、本体ケースの内面側に、防水シートを配置した際に防水シートの周縁部が接触可能なシート接触部を設けており、シート接触部に防水シートの周縁部を接触させておくことにより、スピーカを取り付ける際に防水シートの配置位置からの位置ずれを防止可能としたことを特徴とする。
したがって、本発明によれば、インターホン機器の組み立て作業が従来よりも簡易となるし、歩留まりの向上をも図ることができる。
【0007】
また、本発明は、本体ケースの内面側に、スピーカ孔を囲むように取付リブを突設し、取付リブにより囲まれた空間をスピーカ取付部とするとともに、取付リブよりも本体ケースの外側にシート接触部を設けており、シート接触部の本体ケース内側に周縁部が接触した状態でスピーカ取付部を覆うように防水シートを配置させた後、防水シートの後方からスピーカをスピーカ取付部へ嵌め込むことにより、防水シートが本体ケース側とスピーカ側とで挟み込んで取り付けられていることを特徴とする
したがって、本発明によれば、防水シートの取り付け、ひいてはインターホン機器の組み立てが一層簡易であるし、防水シートを取り付けるための専用の構成要素を設ける必要がなく、インターホン機器の小型化や本体ケース内の設計自由度の向上等を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本体ケースの内面側に、防水シートを配置した際に防水シートの周縁部が接触可能なシート接触部を設けており、シート接触部に防水シートの周縁部を接触させておくことにより、スピーカを取り付ける際に防水シートの配置位置からの位置ずれを防止可能としている。したがって、インターホン機器の組み立て作業が従来よりも簡易となるし、歩留まりの向上をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】インターホン子機を前側から示した斜視説明図である。
図2】前ケースの後面側を示した斜視説明図である。
図3】防水シートを配置させた状態を示した斜視説明図である。
図4】インターホン子機の上下方向での断面を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン子機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0012】
図1は、インターホン子機1を前側から示した斜視説明図である。図2は、前ケース2の後面側を示した斜視説明図である。図3は、防水シート10を配置させた状態を示した斜視説明図である。図4は、インターホン子機1の上下方向での断面を示した説明図である。
【0013】
インターホン子機1は、前側に配置される前ケース2と、後側に配置される後ケース3と、前ケース2の前面を覆うように取り付けられる化粧パネル4とで構成される本体ケースを有している。この本体ケースの前面上部には、来訪者等を撮像するためのカメラ部5が設けられているとともに、来訪者が居住者と通話等するためのマイク部6が設けられている。また、カメラ部5の下側には、同じく来訪者が居住者と通話等するためのスピーカ部7が設けられているとともに、スピーカ部7の更に下側には、来訪者が居住者を呼び出す際に操作する呼出ボタン8が設けられている。そして、このようなインターホン子機1は、住戸の玄関の壁面等に設置されており、来訪者による呼出ボタン8の操作に応じて、住戸内に設置されているインターホン親機(図示せず)を呼び出すとともに、カメラを作動させて来訪者を撮像する。なお、9は、インターホン子機1を壁面等に取り付けるための基台である。また、カメラにより撮像された映像は、インターホン親機に備えられているモニタに表示される。
【0014】
ここで、本発明の要部となるスピーカ部7について詳細に説明する。
スピーカ部7では、上下方向へ長いスリット状のスピーカ孔11が、本体ケースの前面側に貫通するように設けられている。また、前ケース2の後面(内面)には、スピーカ孔11を囲むように取付リブ13、13・・が後方へ立設されており、当該取付リブ13、13・・で囲まれる空間がスピーカ12を嵌め込んで取り付けるためのスピーカ取付部として機能する。さらに、前ケース2の後面で取付リブ13、13の外側には、スピーカ12をネジ止め固定するための取付ボス14、14が後方へ突設されている。加えて、前ケース2の後面で取付リブ13、13の上側は、取付リブ13、13よりも後方へ隆起した段部15となっており、該段部15上に、防水シート10の位置ずれを防止するための一対の位置ずれ防止リブ16、16が後方へ突設されている。一方、防水シート10は、合成樹脂製の従来周知のシート部材であり、スピーカ取付部よりも大きな円形状に形成されている。なお、各位置ずれ防止リブ16は、防水シート10の周縁部にあわせた円弧状に延設されている。
【0015】
そして、スピーカ12を取り付けるに際しては、まず前ケース2の後面において、スピーカ孔11を後方から覆うように、ひいてはスピーカ取付部を後方から覆うように、防水シート10を配置させる。このとき、防水シート10の上縁を位置ずれ防止リブ16、16の下面に当接させつつ防水シート10を配置させることで、防水シート10を適切な位置に配置させることができる。そして、当該状態において、防水シート10の後方から防水シート10も共にスピーカ取付部内へ押し込むようにして、スピーカ12をスピーカ取付部内へ嵌め込んだ後、スピーカ12の後面に当接させた固定板17を取付ボス14、14にネジ止めする。すると、スピーカ12が、その前面側を防水シート10に覆われた状態でスピーカ孔11の後側に固定されることになる。また、このようにしてスピーカ12が取り付けられた状態において、防水シート10は、取付リブ13、13・・(本体ケース側)とスピーカ12の周縁部(スピーカ側)とで挟まれて固定されている(すなわち、本体ケース内において、スピーカ孔11とスピーカ12との間に防水シート10が介在される)。
【0016】
以上のような構成を有するインターホン子機1によれば、前ケース2の後面で、スピーカ取付部の外側となる位置に、位置ずれ防止リブ16、16を突設しており、防水シート10の周縁部を位置ずれ防止リブ16、16に当接させつつ防水シート10を配置させることにより、スピーカ12を取り付ける際に防水シート10の位置がずれてしまう事態を防止することができる。したがって、インターホン子機1の組み立て作業が従来よりも簡易となるし、歩留まりの向上をも図ることができる。
【0017】
また、前ケース2の後面側に、スピーカ孔11を囲むようにして取付リブ13、13・・を立設して、取付リブ13、13・・により囲まれた空間をスピーカ取付部とするとともに、当該スピーカ取付部を覆うように防水シート10を配置させた後、防水シート10の後方から防水シート10も共にスピーカ取付部内へ押し込むようにして、スピーカ12をスピーカ取付部内へ嵌め込むことにより、防水シート10を取付リブ13、13・・とスピーカ12の周縁部とで挟んで取り付けることができる。したがって、防水シート10の取り付け、ひいてはインターホン子機1の組み立てが一層簡易であるし、防水シート10を取り付けるための専用の構成要素を設ける必要がなく、インターホン子機1の小型化や本体ケース内の設計自由度の向上等を図ることができる。
【0018】
なお、本発明に係るインターホン機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、インターホン機器の全体的な構成は勿論、位置ずれ防止リブ等に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0019】
たとえば、上記実施形態では、スピーカ取付部の上側に位置ずれ防止リブを設けているが、位置ずれ防止リブを、スピーカ取付部の左右両側や下側に設けてもよく、位置ずれ防止リブの設置位置や数等については適宜変更可能である。
また、位置ずれ防止リブに、防水シートを差し込むためのスリットを設ける等して、位置ずれの更なる効果的な防止を図っても良い。さらにまた、上記実施形態では、シート接触部としてリブを設けているが、シートの周縁部に引っ掛かる爪状のシート接触部や、シート周縁部を挟み込むシート接触部等、シート接触部をどのような構造とするかは適宜変更可能である。
【0020】
さらに、上記実施形態のように、シート接触部として専用の構成要素を設けるのではなく、たとえばカメラを設置するための構成要素をシート接触部としても機能させるように構成することも可能である。
加えて、上記実施形態では、インターホン機器の一例であるインターホン子機について説明しているが、スピーカ部を有するものであれば、集合玄関機等の他のインターホン機器であっても何ら問題はない。
【符号の説明】
【0021】
1・・インターホン子機(インターホン機器)、2・・前ケース(本体ケース)、3・・後ケース(本体ケース)、7・・スピーカ部、10・・防水シート、11・・スピーカ孔、12・・スピーカ、13・・取付リブ、16・・位置ずれ防止リブ(シート接触部)。
図1
図2
図3
図4