(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484530
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ICタグを含むゴム製品
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
G06K19/077 220
G06K19/077 232
G06K19/077 156
G06K19/077 160
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-170422(P2015-170422)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-49650(P2017-49650A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104318
【弁理士】
【氏名又は名称】深井 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100182796
【弁理士】
【氏名又は名称】津島 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100181308
【弁理士】
【氏名又は名称】早稲田 茂之
(72)【発明者】
【氏名】島井 俊治
【審査官】
甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−208370(JP,A)
【文献】
特許第5486155(JP,B2)
【文献】
特開2013−222411(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3155566(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00−19/077
B42D 25/00−25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップおよびICチップに格納された情報を電気的に送受信するアンテナを備えたICタグの少なくとも片面に、被覆材を積層した被覆ICタグを含むゴム製品であって、
前記被覆材は、伸縮性を有する布にゴムを含浸させた布であることを特徴とするゴム製品。
【請求項2】
前記布が、伸縮性を有する織布または編布である請求項1に記載のゴム製品。
【請求項3】
前記布に含浸させるゴムが未加硫ゴムである請求項1または2に記載のゴム製品。
【請求項4】
前記ICタグのICチップ部分に、ICチップより大きな面積を有する保護シートがさらに積層され、保護シートを含むICタグが前記被覆材で被覆されている請求項1〜3のいずれかに記載のゴム製品。
【請求項5】
前記ゴム製品がシート状製品である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製品。
【請求項6】
前記被覆材が、前記ICタグを封止するように前記ICタグの両面に積層されており、前記ICタグの両面に積層された被覆材同士が、その周縁部で溶着されている請求項1〜5のいずれかに記載のゴム製品。
【請求項7】
前記溶着が高周波ウェルダー加工またはヒートシールによって行われる請求項6に記載のゴム製品。
【請求項8】
前記ICタグがUHF帯の電波によってICチップに格納された情報を送受信する請求項1〜7のいずれかに記載のゴム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグとゴム製品とが一体化されており、気泡が存在せず優れた耐久性を有する、ICタグを含むゴム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外部からの情報を無線通信によって読み書き可能なICタグが、種々の用途に使用されている。ICタグは、例えば、柔軟性を有する製品に取り付けたり、ベルトのように巻いて使用したり可撓性が要求される用途にも使用されている。可撓性が要求される用途に使用されるICタグとしては、ICチップおよびアンテナを備えたインレットと繊維構成体シートと弾性体シートとが接着されたものなどが挙げられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなICタグを、例えばゴム製品に取り付けて一体化させるには、ゴム製品を加硫成形させる際に行うことが望ましい。通常、加硫成形は170℃前後の高温環境下で加圧しながら行われるため、ICタグには耐熱性および耐圧性のような耐久性が要求される。
【0004】
従来、耐熱性を有するICタグとして、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂などの高耐熱樹脂で、ICチップなどが封止されたものが存在する。しかし、シリコン樹脂やフッ素樹脂は接着力が弱く、さらに加硫成形する温度では溶融しないため、これらの樹脂を用いたICタグはゴム製品に接着させることができない。PPS樹脂は、シリコン樹脂やフッ素樹脂と同様、ゴム製品との接着が困難であり、さらに硬質であるためにゴム製品の柔軟性を損なうおそれもある。
【0005】
また、このような耐熱樹脂でICチップなどが封止されたICタグにゴムシートを積層させた後、ゴム製品と一体化させることも試みられている。しかし、このような方法には下記の(a)〜(c)のような問題がある。
(a)ゴムシートとゴム製品との隙間の空気が抜けずに気泡が発生する。
(b)高温高圧下で処理するためにゴムシートのゴムが軟化して流れ、ICタグが露出する。
(c)ゴムシートは厚みが薄く耐久性に乏しい(ゴムシートが破れてICタグが露出する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5486155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ICタグとゴム製品とが一体化されており、気泡が存在せず優れた耐久性(耐折れ曲がり性、耐熱性、耐水性など)を有する、ICタグを含むゴム製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)ICチップおよびICチップに格納された情報を電気的に送受信するアンテナを備えたICタグの少なくとも片面に、被覆材を積層した被覆ICタグを含むゴム製品であって、
前記被覆材は、伸縮性を有する布にゴムを含浸させた布であることを特徴とするゴム製品。
(2)布が、伸縮性を有する織布または編布である上記(1)に記載のゴム製品。
(3)布に含浸させるゴムが未加硫ゴムである上記(1)または(2)に記載のゴム製品。
(4)ICタグのICチップ部分に、ICチップより大きな面積を有する保護シートがさらに積層され、保護シートを含むICタグが被覆材で被覆されている上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム製品。
(5)ゴム製品がシート状製品である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のゴム製品。
(6)被覆材が、ICタグを封止するようにICタグの両面に積層されており、ICタグの両面に積層された被覆材同士が、その周縁部で溶着されている上記(1)〜(5)のいずれかに記載のゴム製品。
(7)溶着が高周波ウェルダー加工またはヒートシールによって行われる上記(6)に記載のゴム製品。
(8)ICタグがUHF帯の電波によってICチップに格納された情報を送受信する上記(1)〜(7)のいずれかに記載のゴム製品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ICタグとゴム製品とが一体化されており、気泡が存在せず優れた耐久性を有する、ICタグを含むゴム製品が提供される。本発明では、ICタグの少なくとも片面を被覆する被覆材として、ゴムを含浸させた特定の布が使用されている。そのため、一体成型の際にゴム製品と被覆材に含まれるゴムとが接着され、気泡を発生させることなくICタグとゴム製品とを一体化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係るICタグを含むゴム製品の一実施形態を示す説明図であり、
図1(A)は、ICタグをゴム製品に一体化させる前の説明図であり、
図1(B)は、一体化させた後の説明図である。
【
図2】本発明に係るICタグを含むゴム製品の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るICタグを含むゴム製品(以下、「ICタグ付ゴム製品」と記載することがある)を
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るICタグを含むゴム製品の一実施形態を示す説明図であり、
図1(A)は、ICタグをゴム製品に一体化させる前の説明図であり、
図1(B)は、一体化させた後の説明図である。
図1に示すICタグ付ゴム製品4は、ICタグ1の片面に被覆材2が積層された被覆ICタグが、ゴム製品3に取り付けられている。すなわち、ICタグ付ゴム製品4は、被覆材2、ICタグ1およびゴム製品3の順で積層され、一体化された構造を有している。
【0012】
ICタグ1は、メモリ機能を有するICチップ11と導体で形成されたアンテナ12とで構成され、ICチップ11とアンテナ12とは電気的に接続されている。
図1(A)および(B)には図示していないが、ICチップ11およびアンテナ12は、例えばフィルムなどの基材に貼り付けられている。なお、本明細書において「ICタグ」は、ICチップおよびアンテナのみで構成され無線通信可能な最小単位である「インレット」も包含する。ICタグ1は、例えば、UHF帯の電波によってICチップ11に格納された情報を送受信する。ICタグ1の大きさは、得られるICタグ付ゴム製品4の用途に応じて適宜設定され、特に限定されない。
【0013】
ICタグ1のICチップ11部分には、ICチップ11よりも大きな面積を有する保護シートが積層されていてもよい。このような保護シートを積層させることによって、例えば、ICタグ1が折り曲げられても、ICチップ11部分の屈曲は抑えられる。その結果、ICチップ11がICタグ1から剥離しにくくなる。
【0014】
保護シートとしては、ポリエチレン(PE)やPEより硬質の樹脂で形成される硬質シートなどが挙げられる。ポリエチレンより硬質の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリカーボネート、ABS樹脂、AES樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。
【0015】
さらに、
図1(A)および(B)には図示していないが、ICチップ11を緩衝材に貼り付けて用いてもよい。緩衝材を用いることによって、一体成型時の加圧によるICチップ11の破損がより抑制される。緩衝材としては、例えば低硬度ゴムなどが挙げられる。なお、低硬度とは、JIS K 6253に準拠してデュロメーターAタイプで測定した値が、10〜90程度、好ましくは20〜50程度をいう。
【0016】
被覆材2は、伸縮性を有する布にゴムを含浸させた布である。被覆材2として布を用いることによって、一体化させる際に織目や編目など糸と糸との隙間から空気が抜けるため、気泡が発生しない。さらに、布は一体化させる際に加熱および加圧しても、例えばゴムシートのように軟化せず流れることがない。そのため、形状(厚み)がほとんど変化せず、一体化させる際の温度や圧力の条件が異なっても寸法のバラツキなどが生じにくく、設計通りの加工がしやすくなる。また、伸縮性を有さない布を用いると、得られるICタグ付ゴム製品4の耐折れ曲がり性や、ICタグ付ゴム製品4を成形する際の加工性が乏しくなる。
【0017】
伸縮性を有する布は、織布であっても編布であってもよい。織布の場合、経糸および緯糸の少なくとも一方が、伸縮性を有する糸で構成されていればよい。このような伸縮性を有する糸としては、例えば、熱収縮させた糸(例えばウーリー糸など)、スパンデックス、撚り糸などが挙げられる。編物の場合は、編み方で伸縮性を付与することができるため、編物を構成する糸は特に限定されず、上記のような伸縮性を有する糸を用いてもよい。
【0018】
布の厚みは特に限定されず、例えば原反の目付が好ましくは80〜500g/m
2程度の布が用いられる。例えば、帆布のような厚手の布を用いることによって、耐折れ曲がり性などの耐久性をより向上させることができる。
【0019】
このような布に含浸させるゴム(すなわち、被覆材2に含まれるゴム)は特に限定されず、例えば、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ミラブルウレタン、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、カルボキシル化ニトリルゴムなどが挙げられる。これらのゴムは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。被覆材2に含まれるゴムは未加硫のゴムが好ましい。
【0020】
被覆材2に含まれるゴムの量は、後述のゴム製品3と接着可能な量であれば特に限定されない。布の種類や厚みによって異なるものの、ゴムは、布1m
2あたり50〜300g程度の割合で含浸させるのが好ましい。
【0021】
ICタグ1と一体化させるゴム製品3としては、例えば、マットやベルトなどのシート状製品、タイヤ、タイミングベルト、免震材、ジョイント、チューブ、ホースなどが挙げられる。ゴムとしては、例えば上述のゴムが挙げられ、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
ゴム製品3を形成するゴムは未加硫のゴムが好ましい。ゴム製品3を形成するゴムは、被覆材2に含まれるゴムと同種のゴムが好ましく、いずれのゴムも未加硫のゴムであることがより好ましい。同種のゴムを用いることによって、ゴム製品3とICタグ1と被覆材2とをより容易に接着させやすく、いずれも未加硫のゴムの場合には一体成型する際に加硫され、被覆材2に含まれるゴムとゴム製品3とを、より高い接着力で接着することができる。その結果、ICタグ1に水や熱が伝わりにくく、耐水性や耐熱性に優れたICタグ付ゴム製品4が得られる。
【0023】
ゴムには、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、加工助剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤などの各種添加剤が添加されていてもよい。
【0024】
次に、ICタグ1をゴム製品2に一体化させる方法を説明する。まず
図1(A)に示すように、ゴム製品3の表面にICタグ1および被覆材2を積層させる。すなわち、ICタグ1をゴム製品3と被覆材2とで挟むように配置する。次いで、加熱加圧条件下で一体成型処理して、ゴム製品3と被覆材2に含まれるゴムとを接着させる。例えば、ゴム製品3または被覆材2に含まれるゴムが未加硫であれば、この成型処理の際に加硫され、高い接着力で接着される。なお、ゴム製品3が加硫済みの製品であっても、高い接着力で接着される。被覆材2が布で構成されているため多数の微細な凹凸が存在し、接着時に高いアンカー効果が発揮されるためである。このようにして、
図1(B)に示すように、ゴム製品3、ICタグ1および被覆材2が一体化される。
【0025】
なお、
図1(B)は、ICタグ1および被覆材2がゴム製品3に嵌め込まれた構造を有しているが、必ずしも嵌め込まれた構造にする必要はない。例えば、ICタグ1がゴム製品3と被覆材2とで挟まれた構造であれば、ゴム製品3の表面に積層されたICタグ1を、被覆材2で被覆するような構造であってもよい。
【0026】
一体成型処理において、処理温度は特に限定されず、例えば150〜220℃程度で加熱され、好ましくは通常の加硫に必要な温度で加熱される。処理時間は、好ましくは3〜30分程度である。さらに、処理の際、好ましくは0.2〜5MPa程度の圧力で加圧される。高い接着が必要な場合は、0.3MPa以上の圧力で加圧するのが好ましい。また、加硫ゴムに対して接着させる場合も、高圧条件下で処理するのが好ましく、0.3MPa以上の圧力で加圧するのが好ましい。
【0027】
次に、本発明に係るICタグ付ゴム製品の他の実施形態を、
図2に基づいて説明する。なお、
図1(A)および(B)と同じ部材には同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
図2に示すICタグ付ゴム製品4は、一体化されているICタグ1が、被覆材2(第1の被覆材21および第2の被覆材22)で封止されている。すなわち、ICタグ1の両面に第1の被覆材21および第2の被覆材22が積層されており、第1の被覆材21と第2の被覆材22とは周縁部23で溶着されている。このように被覆材2はICタグ1の両面に積層されていてもよい。なお、本明細書において「積層」とは、被覆材2がICタグ1の表面のみ被覆する形態だけでなく、
図2に示すように被覆材2がICタグ1の表面からはみ出して表面を被覆する形態も包含される。
【0028】
第1の被覆材21と第2の被覆材22とを周縁部23で溶着する方法は特に限定されず、例えば、高周波ウェルダー加工、ヒートシールなどが挙げられる。第1の被覆材21および第2の被覆材22は、同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0029】
なお、
図2に示すICタグ付ゴム製品4では、ICタグ1のICチップ11部分に、上述の保護シート5が積層されている。上述のように、保護シート5を用いることによって、ICタグを折り曲げてもICチップ11部分の屈曲は抑えられる。その結果、ICチップ11がICタグ1から剥離しにくくなり、耐久性が向上する。さらに、ICタグ1には、上述の緩衝材(緩衝材6)が貼り付けられている。緩衝材6を用いることによって、上述のように、一体成型時の加圧によるICチップ11の破損がより抑制される。
【0030】
本発明のICタグ付ゴム製品は、ICタグとゴム製品とを一体化するにあたり、伸縮性を有する布にゴムを含浸させた被覆材でICタグの表面を被覆している。そのため、ゴム製品と被覆材に含まれるゴムとが接着し、一体化が可能となる。また、被覆材として布を用いているため、成形時に布の織目や編目から空気が抜け、気泡が発生しない。さらに、布は一体化させる際に加熱および加圧しても、例えばゴムシートのように軟化せず流れることがない。そのため、形状(厚み)がほとんど変化せず、一体化させる際の温度や圧力の条件が異なっても寸法のバラツキなどが生じにくく、設計通りの加工がしやすくなる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
下記に示すゴム製品、ICタグおよび被覆材をこの順で積層して、一体成型処理に供し、
図1(B)に示すようなICタグ付ゴム製品を作製した。処理は200℃、0.3MPaの加熱加圧条件下で、6分間行った。
ゴム製品:NBR製シート
ICタグ:ALIEN TECHNOLOGY社製、ALN9640FWRCA
被覆材:ニッタ(株)製のNBRを含浸させたナイロン66の織物、2/2綾織
【0033】
(実施例2)
実施例1で用いた被覆材(第2の被覆材)、ICタグおよび被覆材(第1の被覆材)をこの順で積層して、第1の被覆材と第2の被覆材との周縁部を高周波ウェルダーによって溶着し、被覆ICタグを作製した。第1の被覆材および第2の被覆材は同じ被覆材を使用した。さらに、ICタグのICチップ部分には、PET製の保護シート(三井化学(株)製、ベルクリアGAG)が積層されている。次いで、得られた被覆ICタグと実施例1で用いたゴム製品とを一体成型処理に供し、
図2に示すようなICタグ付ゴム製品を作製した。処理は200℃、0.3MPaの加熱加圧条件下で、6分間行った。
【0034】
実施例1および2で得られたICタグ付ゴム製品について、デマチャ屈曲試験機(FT−1524、(株)上島製作所製)を用いて、剥がれの有無を目視で確認し、接着性および耐久性を評価した。試験条件は下記の通りである。なお、「裏凸」はICタグ付ゴム製品のゴム製品面側が、屈曲時に山折りとなり、「表凸」はICタグ付ゴム製品の被覆材面側が、屈曲時に山折りとなるように、屈曲させていることを意味する。
試験温度:23±2℃
往復運動:300回/分
つかみ具間の距離:最大時(最大伸長)78mm、最小時(最大屈曲)18mm
運動距離:60mm
屈曲回数:裏凸1000回→表凸1000回
【0035】
屈曲試験後に、実施例1および2で得られたICタグ付ゴム製品を目視で観察したところ、いずれも剥離などが生じておらず、接着性に優れていることがわかった。さらに、屈曲試験後のICタグ付ゴム製品について、ICタグの情報の読み取り可能な距離を測定した。いずれのICタグ付ゴム製品も、屈曲試験前の読み取り可能な距離とほぼ同じであり、耐久性に優れていることがわかった。
【符号の説明】
【0036】
1 ICタグ
11 ICチップ
12 アンテナ
2 被覆材
21 第1の被覆材
22 第2の被覆材
23 周縁部
3 ゴム製品
4 ICタグを含むゴム製品(ICタグ付ゴム製品)
5 保護シート
6 緩衝材