【課題を解決するための手段】
【0006】
この理由から、第1の態様によれば、この発明の主題は、マクロモノマーのサイドセグメントがグラフト化されているポリマー骨格からなる櫛型コポリマーであって、該ポリマー骨格が、該櫛型コポリマーの構成成分モノマー単位(d'unites monomeriques)100mol%に対して、
55mol%より大きく90mol%まで、より詳細には60mol%〜80mol%の、2−メチル2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸(以後ATBSと示す)に由来するモノマー単位であって、遊離しているか、部分的に塩化しているか、又は完全に塩化している、モノマー単位と、
1mol%〜20mol%、より詳細には4mol%〜15mol%の、カチオン性モノマーに由来する単量体単位(d'unites monomeriques)、又は式(I):
CH
2=C(R
1)−C(=O)−Y−(CH
2)
m−N
+(R
2)(R
3) (I)
(式中、mは1〜4の数を表し、YはO又はNHを表し、R
1は水素原子又はメチルラジカルを表し、R
2及びR
3は、同一又は異なって、メチルラジカル又はエチルラジカルを表す)、のモノマーに由来するモノマー単位のいずれかと、
任意に、0.005mol%〜1mol%、より詳細には0.01mol%〜0.5mol%の、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を含む少なくとも1つの架橋性モノマーに由来するモノマー単位と、
からなることと、
前記マクロモノマーのサイドセグメントが、該櫛型コポリマーの100mol%構成成分に対して、9mol%〜30mol%、より詳細には15mol%〜25mol%の、式(II):
CH
2=C(R
4)−C(=O)−N(R
5)(R
6) (II)(式中、R
4は水素原子又はメチルラジカルを表し、R
5及びR
6は、互いに独立して、水素原子、又は任意にヒドロキシル基で置換される、1個〜3個の炭素原子を含むアルキルラジカルを表し、R
5又はR
6ラジカルの少なくとも一方は水素原子を表すものでないことが理解される)
のN−アルキルアクリルアミド又はN,N−ジアルキルアクリルアミドの重合によるものであることとを特徴とする、櫛型コポリマーである。
【0007】
少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を含む架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、テトラアリルオキシエタン、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート若しくはメチレンビス(アクリルアミド)、又はこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0008】
上記に規定される方法の特定の態様によれば、上記の段階e)において、架橋剤をより詳細には0.01%以上かつ0.25%以下のモル比率で用いる。
【0009】
本発明の2つの特定の態様によれば、上記に規定される上記櫛型コポリマーは、上記ポリマー骨格が、式(I)のモノマーに由来するモノマー単位を含む場合、上記式(I)中、mが2若しくは3に等しく、及び/又はR
2及びR
3がそれぞれメチルラジカルを表すことを特徴とする。
【0010】
これらの特定の態様によれば、上記に規定される櫛型コポリマーは、上記ポリマー骨格が、式(I)のモノマーに由来するモノマー単位を含む場合、これらのモノマー単位が、
ジメチルアミノエチルメタクリレート(以後DMAEMAと示す)、又は、
N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド(以後DMAPAAと示す)、
に由来することを特徴とする。
【0011】
カチオン性モノマーは、上記に規定される櫛型コポリマーに関して、主として第4級アンモニウム官能基及び少なくとも1つの(une liaison)エチレン結合を含むモノマーを意味する。そのようなモノマーは、特に強酸の塩の形態で一般的に入手可能である。
【0012】
強酸の塩は、より詳細には上記第4級アンモニウム官能基を有するモノマーの硫酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩又は臭化物、塩化物若しくはヨウ化物等のハロゲン化物を意味する。
【0013】
本発明の別の特定の態様によれば、上記に規定される上記櫛型コポリマーは、上記ポリマー骨格が、カチオン性モノマーに由来するモノマー単位を含む場合、これらのモノマー単位が、式(III):
CH
2=C(R
7)−C(=O)−Y−(CH
2)
r−N
+(R
8)(R
9)(R
10)X
− (III)
(式中、rは1〜4の数を表し、YはO又はNHを表し、R
7は水素原子又はメチルラジカルを表し、R
8及びR
9及びR
10は、同一又は異なって、メチルラジカル又はエチルラジカルを表し、アニオンX
−は、臭化物イオン又は塩化物イオンから選択されるアニオンを表す)、のカチオン性モノマーに由来することを特徴とする。
【0014】
この他の特定の態様によれば、上記ポリマー骨格が、式(III)のカチオン性モノマーに由来するモノマー単位を含む場合、これらのモノマー単位が、以下の第4級アンモニウム塩:
N,N,N−トリメチル−3−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウム塩、
N,N,N−トリメチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウム塩、
N,N,N−トリメチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エタンアンモニウム塩、又は、
N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エタンアンモニウム塩、
非常に詳細には、
N,N,N−トリメチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(APTACとして知られる)、
N,N,N−トリメチル−3−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド(MAPTACとして知られる)、
N,N,N−トリメチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エタンアンモニウムクロリド(ADQUATとして知られる)、又は、
N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エタンアンモニウムクロリド(MADQUAT(商標)として知られる)、
好ましくは、
N,N,N−トリメチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]プロパンアンモニウムクロリド、又は、
N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エタンアンモニウムクロリド、
に由来する。
【0015】
本発明の別の特定の態様によれば、上記櫛型コポリマーは、上記マクロモノマーのサイドセグメントが、R
4が水素原子又はメチルラジカルを表し、R
5が水素原子を表し、R
6が、任意にヒドロキシル基で置換される1個〜3個の炭素原子を含むアルキルラジカルを表す、上記に規定される式(II)の化合物の重合によって生じることを特徴とする。
【0016】
この特定の態様によれば、式(II)の化合物が、より詳細にはN−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド又はN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドから選択される。
【0017】
本発明のこの更に特定の態様によれば、式(II)の化合物が、N−イソプロピルアクリルアミド(以後NIPAMと示す)である。
【0018】
本発明の別の特定の態様によれば、上記櫛型コポリマーは、上記マクロモノマーのサイドセグメントが、R
4が水素原子又はメチルラジカルを表し、R
5及びR
6がそれぞれメチルラジカル又はエチルラジカルを表す、上記に規定される式(II)の化合物の重合によって生じることを特徴とする。
【0019】
この特定の態様によれば、式(II)の化合物が、より詳細にはN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド又はN,N−ジエチルメタクリルアミドから選択される。
【0020】
本発明の別の主題は、上記に規定される櫛型コポリマーの製造方法であって、以下の連続段階:
式(Va):
H
2N−R
1−S−{CH
2−C(R
2)[C(=O)N(R
3)(R
4)]−}
n−H (Va)
又は式(Vb):
HO−C(=O)−R
1−S−{CH
2−C(R
2)[C(=O)N(R
3)(R
4)]−}
n−H (Vb)
(式(Va)又は式(Vb)中、nは、2以上かつ100以下の整数を表す)、のポリ(N−アルキルアクリルアミド)テロマー又はポリ(N,N−ジアルキルアクリルアミド)テロマーを得るための、重合開始剤の存在下、tert−ブタノール/水混合物中における、式(II):
CH
2=C(R
2)−C(=O)−N(R
3)(R
4) (II)(式中、R
2は水素原子又はメチル基を表し、R
3は水素原子、又は1個〜4個の炭素原子を含む線形若しくは分岐状アルキルラジカルを表し、R
4は、R
3と同一又は異なって、1個〜4個の炭素原子を含む線形又は分岐状アルキルラジカルを表す)の化合物と、式(IVa):
HS−R
1−NH
2 (IVa)、又は式(IVb):
HS−R
1−C(=O)−OH (IVb)
(式(IVa)又は式(IVb)中、R
1は、1個〜4個の炭素原子を含む二価ラジカルを表す)、の連鎖制限化合物との反応の段階(a)と、任意に、
段階(a)において得られる式(Va)又は式(Vb)の前記テロマーの単離及び/又は乾燥の段階(b)と、
10より大きく13以下、より詳細には11以上かつ12以下の値の反応媒体のpHを維持しながら、7以上かつ9以下、好ましくは8以下の値への該pHの調整後に、式(VIIa):
CH
2=C(R
5)−C(=O)−NH−R
1−Z−{CH
2−C(R
2)[C(=O)N(R
3)(R
4)]−}
n−H (VIIa)
又は式(VIIb):
CH
2=C(R
5)−C(=O)−O−(C=O)−R
1−Z−{CH
2−C(R
2)[C(=O)N(R
3)(R
4)]−}
n−H (VIIb)
のマクロモノマーの溶液を得るための、tert−ブタノール中における、段階(a)又は任意に段階(b)において得られる式(Va)又は式(Vb)のテロマーと、グリシジルメタクリレート(VI)との、10以下かつ1以上の(VI)/(IVa)又は(VI)/(IVb)モル比における反応の段階(c)と、任意に、
段階(c)において得られる式(VIIa)又は式(VIIb)の前記マクロモノマーの単離及び/又は乾燥の段階(d)と、
tert−ブタノール中における、段階(c)又は段階(d)によって生じる式(VIIa)又は式(VIIb)の前記マクロモノマーと、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及び上記に規定されるカチオン性モノマー若しくは式(I)のモノマー、及び/又は架橋性モノマー若しくは少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を含むモノマーとの、所望のモル比率における共重合の段階(e)と、必要に応じて、
段階(e)において得られる該櫛型コポリマーの精製の段階(f)と、
を含む、櫛型コポリマーの製造方法である。
【0021】
tert−ブタノール/水混合物は、上記に規定される方法において、50%以下の体積比率の水を有する混合物を示す。
【0022】
そのカチオン性及びその熱増粘性のために、本発明の主題である高分子電解質は、毛髪
のケア及び/又はコンディションを整えることを対象とした化粧品組成物又は医薬組成物における増粘剤及び/又は乳化剤として有利に使用される。
【0023】
この理由から、別の態様によれば、この発明の主題は、化粧品組成物又は医薬組成物における、より詳細には毛髪のケア及び/又はコンディションを整えることを対象とした化粧品組成物又は医薬組成物における増粘剤として上記に規定される櫛型コポリマーの使用である。
【0024】
本発明の主題である高分子電解質は、フォーム、ジェル、ローション、噴霧剤、シャンプー、コンディショナー、手及び身体のローション、日焼け止め剤及びより一般的なケア製品等の化粧品配合物又は医薬配合物に配合することができる。
【0025】
毛髪をトリートメント又はメンテナンスする場合、そのような化粧品組成物又は医薬組成物は、通常、シャンプー、乳剤、ミクロエマルションの形態で提供され、特にコンディショナーの場合に噴霧可能な乳剤の形態で提供される。
【0026】
最後の態様によれば、この発明の主題は、増粘剤として、上記に規定される櫛型コポリマーを有効量含むことを特徴とする、化粧品組成物又は医薬組成物である。
【0027】
有効量は、上記に規定される高分子電解質のおよそ0.1重量%〜およそ5重量%の重量比率を意味すると理解される。
【0028】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、本発明を制限するものではない。
【0029】
以下の実施例はこの発明を説明するものであるが、上記発明を制限するものではない。