【実施例】
【0024】
実施例1〜実施例3:ウェットブルー中間段階の製造
実施例1
石灰漬け、脱毛およびフレッシングプロセスが完了している200kgのハイドを、同じ重量の水でなめしドラム中10分間洗浄する。
【0025】
すべての実施例について、その後に添加される原料のすべては、初期ハイド重量の重量パーセントである。
【0026】
洗浄後、水浴を排出させ、ハイドを、1.8%の硫酸アンモニウム、およびジカルボン酸に基づく1%の市販の脱灰剤(例:Rhodia Poliamida e Especialidades Ltdaにより商品化されたRhodiaeco Descal SD)を使用して脱灰およびベーチングに供する。結局、ベーチングプロセスが行われ、0.08%の標準的な市販のタンパク質分解酵素を添加する(60分間運転)、(pH=8.0)。これらの操作の最後に、ハイドの断面は、フェノールフタレイン指示薬によってピンク色を示さない。
【0027】
ハイドを、裸皮重量(pelt weight)に基づいて、100%の水で2回洗浄し、洗浄液を排出する。
【0028】
酸漬け工程:
ハイド重量に対して、40%の水、続いて、5%の塩化ナトリウム(Be(ボーメスケール)6〜7)を添加し(15分間運転)、0.4%の市販の漂白剤を添加する(15分間行う)。この時点後、ドラム中に水に希釈した(1対10)0.8%の85%ギ酸を添加し(30分間運転)、続いて、水に希釈した(1対3)2−メチルグルタル酸(MGA)、エチルコハク酸(ESA)およびアジピン酸(AA)の0.75%の混合物を添加し、ドラムをさらに15分間運転する。この時点後、浴のpHは、ほぼ3.5である。
【0029】
なめし工程:
この時点で、3%の市販の硫酸クロム塩(例:塩基性硫酸クロム、これは33%のアルカリ度および25〜26%の酸化クロムIIIを提示する)を添加する(60分間運転)。3%の硫酸クロムの第2の添加を添加し、ドラムをさらに6時間運転し、その時点後、クロムはハイド断面を完全に横切っていた。
【0030】
塩基性化工程:
この時点後、20%の水、続いて0.35%の市販の塩基性化剤(例:酸化マグネシウム)を添加する(90分間運転)。水浴を35℃から50℃に5時間加熱し、ドラムを排水し、ウェットブルーを100%の水(裸皮重量に基づく)で洗浄し、排水し、再び80%の水で洗浄する。
【0031】
得られたウェットブルーを、全クロム含量、層中のクロムの分析および走査電子顕微鏡(EDS)による評価に供する(表1および
図1a)。
【0032】
実施例2
石灰漬け、脱毛およびフレッシングが完了している1000kgのハイドをなめしドラム中100%の水(裸皮重量に基づく)で10分間洗浄する。その後、ハイドを実施例1に従って脱灰およびベーチングに供する。
【0033】
ハイド重量に対して、ドラム中に40%の水および5%の塩化ナトリウム(Be6〜7)を添加し(15分間運転)、続いて0.4%の市販の漂白剤を添加する(15分間運転)。この時点後、水に希釈した(1対10)0.8%の85%ギ酸を添加し(30分間運転)、続いて、2−メチルグルタル酸(MGA)、エチルコハク酸(ESA)およびアジピン酸(AA)の混合物の2.5%の水溶液を添加し、ドラムをさらに15分間運転する。この時点後、浴のpHは、ほぼ3.5である。
【0034】
この時点で、3%の市販の硫酸クロム塩(例:塩基性硫酸クロム、これは、33%のアルカリ度および25〜26%酸化クロムIIIを提示する)を添加する(60分間運転)。3%の硫酸クロム塩の第2の添加を添加し、ドラムをさらに6時間運転し、その時点後、クロムはハイド断面を完全に横切っていた。
【0035】
この時点後、ドラム中に20%の水を添加し、0.35%の市販の塩基性化剤(例:酸化マグネシウム)を添加する(90分間運転)。水浴を35℃から50℃に5時間加熱し、ドラムを排水し、ウェットブルーを100%の水(裸皮重量に基づく)で洗浄し、排水し、再び80%の水で洗浄する。
【0036】
実施例3(比較例;強酸性化による伝統的方法)
石灰漬け、脱毛およびフレッシングが完了している200kgのハイドをなめしドラム中100%の水(裸皮重量に基づく)で10分間洗浄する。その後、ハイドを実施例1に従って脱灰およびベーチングに供する。
【0037】
ハイド重量に対して、ドラム中に40%の水、6%の塩化ナトリウム(Be6〜7)を添加し(15分間運転)、0.4%の市販の漂白剤を添加する(15分間運転)。ドラム中に、水に希釈した(1対10)0.6%の85%ギ酸を添加し(30分間運転)、続いて、水に希釈した(1対15)0.3%の硫酸を添加し(15分間運転)、水に希釈した(1対15)0.3%の硫酸を添加し(15分間運転)、そして水に希釈した(1対15)0.4%の硫酸を添加する(3時間運転)。この時点後、浴のpHは、ほぼ2.5〜3である。
【0038】
この時点で、3%の市販の硫酸クロム塩(例:塩基性硫酸クロム、これは33%のアルカリ度および25〜26%の酸化クロムIIIを提示する)をドラム中に添加する(60分間運転)。3%の硫酸クロム塩の第2の添加を添加し、ドラムをさらに3時間運転し、その時点後、クロムはハイド断面を完全に横切っていた。
【0039】
この時点後、20%の水、続いて、0.35%の市販の塩基性化剤(例:酸化マグネシウム)を添加する(90分間運転)。0.15%の酸化マグネシウムの第2の部分を添加し、ドラムをさらに90分間運転する。水浴を35℃から50℃に5時間加熱し、ドラムを排水し、ウェットブルーを100%の水(裸皮重量に基づいて)で洗浄し、排水し、再び80%の水で洗浄する。
【0040】
得られたウェットブルーを、全クロム含量、層中のクロムの分析および走査電子顕微鏡(EDS)による評価に供した(表1および
図1b)。
【0041】
実施例4:実施例1〜実施例3の再なめしハイドの製造(クラスト工程)
実施例1および実施例3で得られたウェットブルーを異なる印で識別し、合わせ、標準的な再なめしプロセスに供する。印したウェットブルーハイドをドラムに入れ、30℃にて200%の水(ウェットブルー重量に基づいて)で30分間洗浄し、洗浄液を排水する。
【0042】
150%の水、2%のギ酸ナトリウムおよび0.3%の重炭酸ナトリウムをドラム中に添加し、60分間運転し、その時点後、水浴はpH=4.4を示した。
【0043】
水浴を排水し、30℃で60%の水、2%の市販のポリアクリレート(粉末)を添加し(60分間運転)、水浴を排水する。
【0044】
60℃で150%の水、2%の市販の亜硫酸化合成油、2%の市販の硫酸化乳化植物油を添加し、ドラムを45分間運転し、水浴を排水する。
【0045】
水に希釈した(1対5)0.3%の85%のギ酸を添加し(20分間運転)、水浴を排水し、再なめしハイドを洗浄する。
【0046】
再なめしハイドを12時間放置し、伸長させ、自然乾燥させ、軟化させる。
【0047】
再なめしハイドの特性を、引張り強度、破断強度、引裂き強度、進行性引張り強度、クラストの平方フィート重量に基づく再なめし生成物の取り込み性、光堅牢度、色外観、および走査電子顕微鏡(EDS)による比較評価に関して、評価および比較する。(表2〜表4ならびに
図2aおよび
図2b)。
【0048】
実施例5および実施例6:ウェットブルー中間段階の製造
実施例5(国際公開第2004/015148号パンフレットに従う比較例)
石灰漬け、脱毛およびフレッシングプロセスが完了している500kgのハイドを、なめしドラム中100%の水(裸皮重量に基づく)で10分間洗浄する。その後、ハイドを実施例1に従って脱灰およびベーチングに供する。
【0049】
ハイド重量に対して、40%の水、5%の塩化ナトリウム(Be6〜7)を添加し(15分間運転)、続いて、0.4%の市販の漂白剤を添加する(15分間運転)。水に希釈した(1対10)、0.8%の85%ギ酸を添加し(30分間運転)、続いて、0.75%のDioro(ジカルボン酸の混合物に基づくRhodia Poliamida e Especialidades Ltdaからの市販の製品)を添加し、ドラムを15分間運転する。この時点後、浴のpHは、ほぼ3.4〜3.6である。
【0050】
この時点で、3%の市販の硫酸クロム塩(例:塩基性硫酸クロム、これは33%のアルカリ度および25〜26%の酸化クロムIIIを提示する)を添加する(60分間運転)。3%の硫酸クロム塩の第2の添加を添加し、ドラムをさらに6時間運転し、その時点後、クロムはハイド断面を完全に横切っていた。
【0051】
この時点後、20%の水、および0.35%の市販の塩基性化剤(例:酸化マグネシウム)を添加し、ドラムを90分間運転する。水浴を35℃から50℃に5時間加熱し、ドラムを排水し、ウェットブルーを100%の水(裸皮重量に基づく)で洗浄し、排水し、再び80%の水で洗浄する。
【0052】
得られたウェットブルーを、全クロム含量および層中のクロムの分析に供した(表1)。
【0053】
実施例6(比較例;強酸性化による伝統的方法)
石灰漬け、脱毛およびフレッシングプロセスが完了している500kgのハイドを、なめしドラム中100%の水(裸皮重量に基づく)で10分間洗浄する。その後、ハイドを実施例1に従って脱灰およびベーチングに供する。
【0054】
ハイド重量に対して、40%の水、5%の塩化ナトリウム(Be6〜7)を添加し、ドラムを15分間運転し、続いて、0.4%の市販の漂白剤を添加する(15分間運転)。水に希釈した(1対10)0.6%の85%ギ酸を添加し(30分間運転)、続いて、水に希釈した(1対15)0.3%の硫酸を添加し(15分間運転)、水に希釈した(1対15)0.3%の硫酸を添加し(15分間運転)、そして水に希釈した(1対15)0.4%の硫酸を添加し、ドラムをさらに2時間運転する。この時点後、浴のpHは、ほぼ2.6〜3である。
【0055】
この時点で、3%の市販の硫酸クロム塩(例:塩基性硫酸クロム、これは33%のアルカリ度および25〜26%の酸化クロムIIIを提示する)を添加する(60分間運転)。3%の硫酸クロム塩の第2の添加を添加し、ドラムをさらに3時間運転し、その時点後、クロムはハイド断面を完全に横切っていた。
【0056】
この時点後、20%の水、および0.35%の市販の塩基性化剤(例:酸化マグネシウム)を添加する(90分間運転)。0.15%の酸化マグネシウムの第2の部分を添加し、ドラムをさらに90分間運転する。水浴を35℃から50℃に5時間加熱し、ドラムを排水し、ウェットブルーを100%の水(裸皮重量に基づく)で洗浄し、排水し、再び80%の水で洗浄する。
【0057】
実施例7(実施例5および実施例6の再なめしハイドの製造(クラスト工程))
実施例5および実施例6で得られたウェットブルーを異なる印で識別し、実施例4に従って標準的な再なめしプロセスに供する。
【0058】
結果
再なめしハイドの特性を、引張り強度、破断強度、引裂き強度、進行性引張り強度、クラストの平方フィート重量に基づく再なめし生成物の取り込み性、光堅牢度および色に関して評価および比較する(表2〜表4)。
【0059】
【表1】
【0060】
図1は、ウェットブルー試料の走査電子顕微鏡(EDS)を表す。
【0061】
図1aは、本発明の実施例1によるウェットブルーである。
【0062】
図1bは、比較例3によるウェットブルーである。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
注記:
キセノンランプ(ENISO105−B02:2002法)
総曝露時間:24時間、紫外線をフィルター除去する。
放射照度:300〜800nmで445W/m
2。
試験後、試験片を23+/−2℃および50+/−5%の空気相対湿度で調整環境にて暗所に少なくとも1時間保存する。
【0067】
図2は、クラスト試料の走査電子顕微鏡(EDS)を表す。
【0068】
図2aは、本発明の実施例1によるウェットブルーからのクラストである。
【0069】
図2bは、比較例3によるウェットブルーからのクラストである。
【0070】
結論
有機酸(特に、2−メチルグルタル酸(MGA)、エチルコハク酸(ESA)およびアジピン酸(AA)の混合物)の使用は、酸漬け工程中の硫酸の完全な排除を可能にする。したがって、本発明は、従業員に対してより安全な方法およびより少ない危険を提供する。
【0071】
本発明は、標準的な方法に対して塩基性化工程であまり塩基性化剤(特にMgO)を必要としない。この影響は経済的であり(より少ない化学薬品)、かつまたプロセス時間を減少させる(経済的で、エネルギーを節約する)。
【0072】
本発明によって得られるウェットブルーは、標準的な方法に対して、かつまた本発明者の前の方法に対して、クロムのより均一な分布を示す。
【0073】
クラストおよび最終皮革の物理−機械的特性は、標準的な方法に対して、および本発明者の前の方法に対して改善される。