特許第6484616号(P6484616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6484616アルドステロン合成酵素の阻害剤としてのフェニル−ジヒドロピリジン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484616
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】アルドステロン合成酵素の阻害剤としてのフェニル−ジヒドロピリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 221/04 20060101AFI20190304BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20190304BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20190304BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 5/42 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 5/46 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/435 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C07D221/04CSP
   C07D413/12
   C07D401/12
   C07D401/06
   A61P13/12
   A61P9/10
   A61P9/12
   A61P5/42
   A61P5/46
   A61K31/435
   A61K31/4545
   A61K31/5377
   A61P43/00 111
【請求項の数】22
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2016-521350(P2016-521350)
(86)(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公表番号】特表2016-533355(P2016-533355A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2014071940
(87)【国際公開番号】WO2015055602
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2013/085412
(32)【優先日】2013年10月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】エービ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】アムライン,クルト
(72)【発明者】
【氏名】ブリトン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ホルンスペルガー,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】クーン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】メルキ,ハンス・ペー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン,ライナー・エー
(72)【発明者】
【氏名】マイヴェーク,アレクサンダー・ファオ
(72)【発明者】
【氏名】タン,スーフェイ
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/041591(WO,A1)
【文献】 特表2008−500997(JP,A)
【文献】 特表2008−501000(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/156423(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/055604(WO,A1)
【文献】 HETEROCYCLES,1993年,35(2),1089-1101
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
、R、R及びRは、独立に、H、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ及びシクロアルコキシより選択され;
は、ハロアルキルであり;
、R、R、R、R10及びR11は、独立に、H、ハロゲン、アルキル及びハロアルキルより選択され;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換アリール又は置換ヘテロアリール(ここで、置換アリール又は置換ヘテロアリールは、R18、R19及びR20で置換されている)であり;
は、−(CR1415−NR1617、−(CR1415−OR17、−(CR1415−C(O)NR1617又は−(CR1415−C(O)OR17であり;
14及びR15は、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル及びハロシクロアルキルより選択され;
16は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル又はハロアルコキシアルキルであり;
17は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、置換アリール又は置換ヘテロアリール(ここで、置換アリール及び置換ヘテロアリールは、R21、R22及びR23で置換されている)であるか;
あるいは、R16及びR17は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリール(ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R21、R22及びR23で置換されている)を形成し;
18、R19、R20、R21、R22及びR23は、独立に、H、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びハロアルコキシより選択され;
nは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2である]で示される化合物
又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
、R、R及びRが、独立に、H、ハロゲン及びハロアルキルより選択される、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項3】
及びRが、独立に、H及びハロゲンより選択される、請求項1若しくは2記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項4】
及びRが、Hである、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項5】
nが、0であり、R、R、R及びRが、Hである、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項6】
12が、H、アルキル又は置換アリールである、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項7】
12が、置換アリール又は置換ヘテロアリールであり、18、R19及びR20が、Hである、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項8】
が、−(CR1415−OR17又は−(CR1415−C(O)NR1617である、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項9】
が、−(CR1415−OR17である、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項10】
が、−(CR1415−NR1617又は−(CR1415−C(O)NR1617であり、16が、Hである、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項11】
17が、H、アルキル、アルコキシアルキル又は置換ヘテロアリールであるか、あるいは、R16及びR17が、それらが結合している窒素と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキルを形成する、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項12】
17が、H、アルキル、アルコキシアルキル又は置換ヘテロアリールである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項13】
17が、置換アリール又は置換ヘテロアリールであるか、あるいは、R16及びR17が、それらが結合している窒素と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリールを形成し;そして、21、R22及びR23が、独立に、H及びアルキルより選択される、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項14】
pが、1又は2であり、14及びR15が、Hである、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項15】
pが、0又は1である、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項16】
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−アミン;
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−イソプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(+)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(−)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(R)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(S)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
エチル 2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)アセタート;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−メチルアセトアミド;
N−(シクロプロピルメチル)−2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)アセトアミド;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−プロピルアセトアミド;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−(ピペリジン−1−イル)エタノン;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−モルホリノエタノン;
2−[4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリンジン−5−イル]−N−イソオキサゾール−3−イル−アセトアミド;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−(1H−ピラゾール−3−イル)アセトアミド;
2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−(ピロリジン−1−イル)エタノン;
N−エチル−2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−メチルアセトアミド;
2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−イソプロピル−N−メチルアセトアミド;
N−シクロプロピル−2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−メチルアセトアミド;
N−シクロプロピル−N−エチル−2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)アセトアミド;及び
2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−((S)−2−メチルピロリジン−1−イル)エタノン
より選択される、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物
又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項17】
請求項1〜8及び10〜16のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の調製方法であって、式(III)で示される化合物の存在下での式(II)で示される化合物の反応を含む、方法:
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R15、R16、R17及びは、請求項1で定義されたとおりであり、pは、1であり、24は、アルキルであり、Aは、−(CR1415)−C(O)NR1617である]。
【請求項18】
治療活性物質として使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む、医薬組成物。
【請求項20】
慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群からなる群より選択される少なくとも1つの治療又は予防のための、請求項19記載の医薬組成物
【請求項21】
慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群からなる群より選択される少なくとも1つの治療又は予防のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項22】
慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群からなる群より選択される少なくとも1つの治療又は予防用の医薬の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における治療又は予防に有用な有機化合物、特に、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のためのアルドステロン合成酵素阻害剤に関する。
【0002】
本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
、R、R、R及びRは、独立に、H、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ及びシクロアルコキシより選択され;
、R、R、R、R10及びR11は、独立に、H、ハロゲン、アルキル及びハロアルキルより選択され;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、置換アリール又は置換ヘテロアリール(ここで、置換アリール又は置換ヘテロアリールは、R18、R19及びR20で置換されている)であり;
は、−(CR1415−NR1617、−(CR1415−OR17、−(CR1415−C(O)NR1617又は−(CR1415−C(O)OR17であり;
14及びR15は、独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル及びハロシクロアルキルより選択され;
16は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル又はハロアルコキシアルキルであり;
17は、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルコキシアルキル、置換アリール又は置換ヘテロアリール(ここで、置換アリール及び置換ヘテロアリールは、R21、R22及びR23で置換されている)であるか;
あるいは、R16及びR17は、それらが結合している窒素と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキル又は置換ヘテロアリール(ここで、置換ヘテロシクロアルキル及び置換ヘテロアリールは、R21、R22及びR23で置換されている)を形成し;
18、R19、R20、R21、R22及びR23は、独立に、H、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ及びハロアルコキシより選択され;
nは、0、1又は2であり;
pは、0、1又は2である]で示される新規な化合物及びその薬学的に許容し得る塩を提供する。
【0003】
本明細書において、本発明者らは、絶対的又は相対的に過剰なアルドステロンによって引き起こされる臓器/組織障害を防ぐ可能性を有する、アルドステロン合成酵素の阻害剤を記載する。先進国において成人人口の約20%が高血圧を罹患している。60歳以上の人では、このパーセンテージは60%超に増加する。高血圧患者では、卒中、心筋梗塞、心房細動、心不全、末梢血管疾患及び腎機能障害を含む、他の生理学的合併症のリスクが増加する。レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は、高血圧、体液量及び塩分バランスに関連している経路であり、また、最近では、心不全又は腎疾患の進行期における末期臓器損傷に直接的に起因している経路である。ACE阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)は、患者の寿命及び生活の質の改善に使用され成功している。これらの薬物は、最大限の防御をもたらすわけではない。比較的多くの患者では、ACE及びARBは、いわゆるアルドステロンブレイクスルー(アルドステロンレベルが、まず初期低下を起こし、その後に、病理学的レベルまで再上昇する現象)を導く。アルドステロンレベルの不適切な増加(塩分摂取/レベルに対して)によって生じる有害な結果は、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストを用いたアルドステロン遮断によって最小限に抑えることができることが実証されている。アルドステロン合成の直接阻害は、アルドステロンの非ゲノム効果も同様に低下させるだろうから、更に良好な防御を提供すると期待されている。
【0004】
Na/K輸送に対するアルドステロンの作用は、腎臓におけるナトリウム及び水の再吸収ならびにカリウムの分泌の増加を導く。全体として、これは血液量の増加をもたらし、それによって血圧を増加させる。腎臓のナトリウム再吸収の調節において役割を果たす以外に、アルドステロンは、腎臓、心臓及び血管系に対して、特に、「高ナトリウム」環境において有害作用を及ぼす可能性がある。そのような状態下では、アルドステロンは、最終的に臓器損傷の一因になり得る酸化ストレスの増加を導くことが知られている。腎機能損傷ラット(高い塩分処理又は一側性腎摘出のいずれかによる)へのアルドステロンの注入は、腎臓に様々な損傷(タンパク尿に反映される、糸球体拡大、有足細胞損傷、間質性炎症、メサンギウム細胞増殖及び線維症を含む)を引き起こす。より具体的には、アルドステロンが、腎臓において接着分子ICAM−1の発現を増加させることが示された。ICAM−1は、糸球体の炎症に大きく関与している。同様に、アルドステロンが、インターロイキンIL−1b及びIL−6、MCP−1ならびにオステオポンチンのような炎症性サイトカインの発現を増加させることが示された。細胞レベルでは、血管の線維芽細胞において、アルドステロンが線維症のメディエーターであるI型コラーゲンmRNAの発現を増加させたことが実証された。アルドステロンは、また、ラットのメサンギウム細胞においてIV型コラーゲンの蓄積を刺激し、平滑筋細胞においてプラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の発現を誘導する。まとめると、アルドステロンは、腎損傷に関与する重要なホルモンであることが明らかとなった。アルドステロンは、心血管系リスクの媒介において同様に重要な役割を担っている。
【0005】
MRアンタゴニスト(スピロノラクトン及びエプレレノン)が、様々な前臨床モデルにおいて、血圧、心臓及び腎臓の機能を改善するという数多くの前臨床証拠がある。
【0006】
最近の前臨床研究で、心血管及び腎臓の疾病率及び死亡率にCYP11B2が大きく寄与していることが明らかにされた。CYP11B2阻害剤のFAD286及びMRアンタゴニストのスピロノラクトンが、慢性腎疾患のラットモデル(高いアンジオテンシンII曝露;高い塩分及び一側性腎摘出)で評価された。アンジオテンシンII及び高い塩分処置は、アルブミン尿、高窒素血症、腎血管肥大(renovascular hypertrophy)、糸球体障害、増加したPAI−1及びオステオポンチンmRNAの発現ならびに尿細管間質線維症を引き起こした。両方の薬物は、これらの腎臓への効果を抑制し、心臓及び大動脈の中膜肥厚を軽減した。FAD286による処置の4週間後、血漿アルドステロンは減少したが、一方でスピロノラクトンでは、処置の4及び8週目の時点でアルドステロンが増加していた。同様に、FAD286ではなくスピロノラクトンだけが、大動脈及び心臓においてアンジオテンシンII及び塩刺激によるPAI−1のmRNAの発現を増大させた。他の研究で、CYP11B2阻害剤のFAD286は、実験的心不全ラットにおいて血圧及び心血管の機能及び構造を改善した。同じ研究において、FAD286が腎臓の機能及び形態を改善することが示された。
【0007】
原発性アルドステロン症の患者への活性CYP11B2阻害剤のLCI699の経口投与から、この阻害剤が、原発性アルドステロン症の患者において、CYP11B2を効果的に阻害して血中アルドステロンレベルを著しく低下させ、そして、低カリウム血症及び軽度の血圧低下を修正するという結論に到達する。この糖質コルチコイド系への効果は、該化合物の不良な選択性及びコルチゾール合成の潜在的阻害と一致した。まとめると、これらのデータは、CYP11B2阻害剤が不適切に高いアルドステロンレベルを低下させることができるという概念を支持する。CYP11B1に対して良好な選択性を達成することは、HPA系への望ましくない副作用を回避するために重要であり、また、異なるCYP11B2阻害剤との差別化になるであろう。
【0008】
式(I)に係る本発明の化合物は、CYPB11B2の強力な阻害剤であり、そして、改善された代謝安定性と合わせて、CYP11B1に比べてCYP11B2に対する改善された選択性を提示する。
【0009】
本発明の目的は、式(I)の化合物ならびにそれらの前述の塩及びエステル、治療活性物質としてのそれらの使用、前記化合物の製造プロセス、中間体、医薬組成物、前記化合物、その薬学的に許容し得る塩若しくはエステルを含有する医薬、病気の治療又は予防のための、特に、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防における前記化合物、塩又はエステルの使用、ならびに、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための医薬の製造のための前記化合物、塩又はエステルの使用である。
【0010】
用語「アルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、及びtert−ブトキシが挙げられる。特定のアルコキシ基には、メトキシが含まれる。
【0011】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがアルコキシ基によって置き換えられているアルキル基を意味する。典型的なアルコキシアルキル基には、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル及びイソプロポキシメチルが含まれる。特定のアルコキシアルキル基は、メトキシエチルである。
【0012】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子の一価の直鎖状又は分岐状飽和炭化水素基を意味する。特定の実施態様において、アルキルは、1〜7個の炭素原子、より特定の実施態様において、1〜4個の炭素原子を有する。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルを含み、そして。特定のアルキル基は、メチル、エチル及びプロピルを含む。
【0013】
用語「アリール」は、6〜10個の炭素環原子を含む、一価の芳香族炭素環の単環式又は二環式環系を意味する。アリール部分の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。特定のアリール基は、フェニルである。
【0014】
用語「シアノ」は、−C≡N基を意味する。
【0015】
用語「シクロアルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、シクロアルキル基である)で表される基を意味する。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロへキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、及びシクロオクチルオキシが挙げられる。特定のシクロアルコキシ基は、シクロプロポキシである。
【0016】
用語「シクロアルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがシクロアルコキシ基によって置き換えられているアルキル基を意味する。シクロアルコキシアルキル基の例には、シクロプロポキシメチル、シクロプロポキシエチル、シクロブトキシメチル、シクロブトキシエチル、シクロペンチルオキシメチル、シクロペンチルオキシエチル、シクロヘキシルオキシメチル、シクロヘキシルオキシエチル、シクロヘプチルオキシメチル、シクロヘプチルオキシエチル、シクロオクチルオキシメチル、及びシクロオクチルオキシエチルが挙げられる。
【0017】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の環炭素原子の一価の飽和単環式炭化水素基を意味する。特定の実施態様において、シクロアルキルは、3〜8個の環炭素原子の一価の飽和単環式炭化水素基を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。特定のシクロアルキル基は、シクロプロピルである。
【0018】
用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがシクロアルキル基によって置き換えられているアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの例には、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルプロピル、2−シクロプロピルブチル、シクロペンチルブチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルメチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルエチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルメチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルエチル、アダメンタニルメチル及びアダマンタニルエチルを含む。
【0019】
用語「ハロアルコキシ」は、アルコキシ基の水素原子のうちの少なくとも1つが同じ又は異なるハロゲン原子によって置き換えられているアルコキシ基を意味する。用語「ペルハロアルコキシ」は、アルコキシ基の全ての水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置き換えられているアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの例には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、トリフルオロメチルエトキシ、トリフルオロジメチルエトキシ、及びペンタフルオロエトキシが挙げられる。
【0020】
用語「ハロアルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがハロアルコキシ基によって置き換えられているアルキル基を意味する。ハロアルコキシアルキルの例には、フルオロメトキシメチル、ジフルオロメトキシメチル、トリフルオロメトキシメチル、フルオロエトキシメチル、ジフルオロエトキシメチル、トリフルオロエトキシメチル、フルオロメトキシエチル、ジフルオロメトキシエチル、トリフルオロメトキシエチル、フルオロエトキシエチル、ジフルオロエトキシエチル、トリフルオロエトキシエチル、フルオロメトキシプロピル、ジフルオロメトキシプロピル、トリフルオロメトキシプロピル、フルオロエトキシプロピル、ジフルオロエトキシプロピル、及びトリフルオロエトキシプロピルが挙げられる。
【0021】
用語「ハロアルキル」は、アルキル基の水素原子の少なくとも1個が同じ又は異なるハロゲン原子に置き換えられている、アルキル基を意味する。用語「ペルハロアルキル」は、アルキル基の全ての水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子に置き換えられている、アルキル基を意味する。ハロアルキルの例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメチルエチル及びペンタフルオロエチルを含む。具体的なハロアルキル基は、トリフルオロメチルである。
【0022】
用語「ハロシクロアルキル」は、シクロアルキル基の水素原子の少なくとも1個が同じ又は異なるハロゲン原子、特定するとフルオロ原子に置き換えられている、シクロアルキル基を意味する。ハロシクロアルキル基の例には、フルオロシクロプロピル、ジフルオロシクロプロピル、フルオロシクロブチル及びジフルオロシクロブチルを含む。
【0023】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、本明細書において互換的に用いられ、そして、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。特定のハロゲンは、クロロ及びフルオロである。特定のハロゲンは、フルオロである。
【0024】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、5〜12個の環原子の一価の芳香族複素環の単環式又は二環式環系を意味する。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、イソオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、イソベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル及びキノキサリニルを含む。特定のヘテロアリール基は、イソオキサゾリル及びピラゾリルである。
【0025】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、N、O及びSから選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4〜9個の環原子の一価の飽和又は部分不飽和の単環式又は二環式環系を意味する。二環式は、2個の環原子を共有する2個の環からなるもの(すなわち、2個の環を分離する橋が単結合又は1若しくは2個の環原子の鎖である)を意味する。単環式の飽和ヘテロシクロアルキルの例は、4,5−ジヒドロ−オキサゾリル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、2−オキソ−ピロリジン−3−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8−オキサ−3−アザ―ビシクロ[3.2.1]オクチル、9−アザ―ビシクロ[3.3.1]ノニル、3―オキサ−9−アザ―ビシクロ[3.3.1]ノニル又は3−チア−9−アザ―ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−ピリジニル又はジヒドロピラニルである。ヘテロシクロアルキル基の更なる特定の例は、ピロリジニル、ピペリジニル及びモルホリニルである。
【0026】
用語「ヒドロキシ」は、−OH基を意味する。
【0027】
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基によって置き換えられているアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキルの例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシメチルプロピル、及びジヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0028】
用語「ニトロ」は、−NO基を意味する。
【0029】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にも又はその他の点でも望ましくないことはない塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸(特に、塩酸)及び酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどの有機酸と形成される。加えて、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を付加させることにより調製し得る。無機塩基から生成される塩には、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩などを包含する。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容し得る塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩及びクエン酸塩である。
【0030】
「薬学的に許容し得るエステル」は、一般式(I)の化合物を官能基で誘導体化して、インビボで親化合物に変換し戻ることが可能な誘導体を提供し得ることを意味する。そのような化合物の例には、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル及びピバロイルオキシメチルエステルなどの生理学的に許容し得かつ代謝的に不安定なエステル誘導体が含まれる。加えて、一般式(I)の化合物の任意の生理学的に許容し得る等価体は、インビボで一般式(I)の親化合物を製造することが可能な代謝的に不安定なエステルと同様に、本発明の範囲内である。
【0031】
用語「保護基」(PG)は、合成化学において慣用的にそれに関連する意味で、化学反応を別の保護されていない反応部位で選択的に行うことができるように、多官能性化合物中の1つの反応部位を選択的にブロックする基を意味する。保護基は、適切な時点で除去されることができる。典型的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基又はヒドロキシ保護基である。特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びベンジル(Bn)である。更なる特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0032】
略語uMは、マイクロモルを意味し、記号μMに相当する。
【0033】
本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子の1つ以上に非天然の割合の原子同位体を含有することもできる。例えば、本発明は、1つ以上の原子がその原子について天然に通常見出される主要な原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換わっているという事実以外は、本明細書に記載したものと同一である、同位体標識された本発明の変形体も包含する。指定されるような任意の特定の原子又は元素の全ての同位体が、本発明の化合物及びそれらの使用の範囲内にあることが意図される。本発明の化合物に組み込むことができる典型的な同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えば、H(「D」)、H(「T」)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iが含まれる。特定の同位体標識された本発明の化合物(例えば、H又は14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(H)及び炭素14(14C)同位体は、それらの調製及び検出を容易にするために有用である。より重い同位体、例えば、ジュウテリウム(すなわち、H)による更なる置換は、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の増加又は必要用量の低減)をもたらすことができ、そのため幾つかの状況において好ましい。陽電子放出同位体、例えば、15O、13N、11C及び18Fは、基質受容体占有率を調べるポジトロン放出断層撮影(PET)研究に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、一般的に、本明細書において後述するスキーム及び/又は実施例に開示されるものと類似の手順に従って、非同位体標識試薬を同位体標識試薬で置換することによって調製することができる。特に、1つ以上のH原子がH原子により置き換わっている式(I)の化合物も本発明の一実施態様である。
【0034】
式(I)の化合物は、いくつかの不斉中心を含有することができ、かつ光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ体)、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0035】
Cahn-Ingold-Prelog順位則に従って、不斉炭素原子は、「R」又は「S」の立体配置をとることができる。
【0036】
また、本発明のある実施態様は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物及びその薬学的に許容し得る塩又はエステル、特に、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物及びその薬学的に許容し得る塩、より特定すると、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0037】
また、本発明のある実施態様は、R、R、R、R及びRが、独立に、H、ハロゲン及びハロアルキルから選択される、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0038】
本発明の特定の実施態様は、R及びRが、独立に、H及びハロゲンから選択される、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0039】
本発明の更なる特定の実施態様は、Rが、ハロアルキルである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0040】
本発明の更なる実施態様において、R及びRが、Hである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0041】
本発明の別の更なる実施態様は、nが0であり、そしてR、R、R及びRが、Hである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0042】
本発明の別の実施態様は、R12が、H、アルキル又は置換アリール(ここで、置換アリールは、R18、R19及びR20で置換されている)である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0043】
本発明の別の実施態様は、R18、R19及びR20が、Hである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0044】
本発明のより特定の実施態様は、Aが、−(CR1415−OR17又は-(CR1415−C(O)NR1617である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0045】
本発明の特定の実施態様は、Aが、−(CR1415−OR17である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0046】
本発明の別の特定の実施態様は、R16が、Hである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0047】
また、本発明の特定の実施態様は、R17が、H、アルキル、アルコキシアルキル又は置換ヘテロアリール(ここで、置換ヘテロアリールは、R21、R22、及びR23で置換されている)であるか、あるいは、R16及びR17が、これらが結合している窒素と一緒になって、置換ヘテロシクロアルキル(ここで、置換ヘテロシクロアルキルは、R21、R22、及びR23で置換されている)を形成する、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0048】
本発明の別の実施態様は、R17が、H、アルキル、アルコキシアルキル又は置換ヘテロアリール(ここで、置換ヘテロアリールが、R21、R22及びR23で置換されている)である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0049】
本発明の別の特定の実施態様は、R21、R22及びR23が、独立に、H及びアルキルから選択される、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0050】
本発明の更なる特定の実施態様は、R14及びR15が、Hである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0051】
本発明のより特定の実施態様は、pが、0又は1である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0052】
本明細書に記載されるような式(I)の化合物の特定の例は、以下から選択される:
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−アミン;
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−イソプロピル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(+)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(−)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(R)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
(S)−4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール;
エチル 2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)アセタート;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−メチルアセトアミド;
N−(シクロプロピルメチル)−2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)アセトアミド;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−プロピルアセトアミド;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−(ピペリジン−1−イル)エタノン;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−モルホリノエタノン;
2−[4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−[2]ピリンジン−5−イル]−N−イソオキサゾール−3−イル−アセトアミド;
2−(4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−(1H−ピラゾール−3−イル)アセトアミド;
2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−(ピロリジン−1−イル)エタノン;
N−エチル−2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−メチルアセトアミド;
2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−イソプロピル−N−メチルアセトアミド;
N−シクロプロピル−2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−N−メチルアセトアミド;
N−シクロプロピル−N−エチル−2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)アセトアミド;
2−(4−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル)−1−((S)−2−メチルピロリジン−1−イル)エタノン
及びその薬学的に許容し得る塩。
【0053】
本明細書に記載される式(I)で表される化合物の製造方法は、本発明の目的である。
【0054】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施し得る。本発明の合成は、以下の一般スキームに示される。本反応及び生じた生成物の精製を実施するのに必要な技能は、当業者には公知である。エナンチオマー又はジアステレオ異性体の混合物が反応の間に生成される場合、これらのエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、本明細書に記載されている方法又は当業者に公知の方法、例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化により分離することができる。方法の以下の記載に使用される置換基及び指数は、本明細書で先に示された意味を有する。
【0055】
下記の略語を本文中で使用する:
BH=ボラン、CDI=1,1−カルボニルジイミダゾール、DBU=2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−ピリミド[1,2−a]アゼピン、DCC=N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DCM=ジクロロメタン、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、EDCI=1−(3−ジメチル−アミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、EtOAc=酢酸エチル、h=時間、HATU=1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドへキサフルオロホスファート、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、HOBT=1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ヒューニッヒ(Huenig's)塩基=iPrNEt=N−エチルジイソプロピルアミン、LiAlH=水素化アルミニウムリチウム、LiBH=水素化ホウ素リチウム、MeOH=メタノール、MPLC=中圧液体クロマトグラフィー、NaBHCN=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、NaBH=水素化ホウ素ナトリウム、NaBH(OAc)=トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、NHOAc=酢酸アンモニウム、rt=室温、TBTU=O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウムテトラフルオロボラート、TosMIC=イソシアン化トルエンスルホニルメチル、THF=テトラヒドロフラン。
【0056】
式(I)の化合物は、高温で、オキサゾールとシクロペンテンとの環化付加反応により調製されることができる(スキーム1、工程a)。この特別な逆電子要請型ヘテロ−/レトロ−ディールス・アルダー(hetero-/retro-Diels-Alder)反応(ihDA/rDA反応に関する近年の総説については: R. A. A. Foster, M. C. Willis, Chem. Soc. Rev. 2013, 42, 63を参照のこと)は、Kondrat'eva反応(J. I. Levin, S. M. Weinreb, J. Org. Chem. 1984, 49, 4325を参照のこと)としても知られており、環状ピリジン系への好都合な到達方法を提供する(J. Lehmann, T. Alzieu, R. E. Martin, R. Britton, Org. Lett. 2013, 15, 3550)。同様に、反応は、シクロペンテンに代えて、対応するシクロヘキセン又はシクロヘプテンを用いて実施されることができる。5−アリール置換オキサゾール(1)は、市販されているか、あるいは、例えば、塩基(例えば、炭酸カリウム)及び溶媒(メタノールのような)の存在下、アリールアルデヒド及びTosMIC(F. Besselievre, F. Mahuteau-Betzer, D. S. Grierson, S. Piguel, J. Org. Chem. 2008, 73, 3278)から当業者に公知の方法により、又は、塩基(例えば、炭酸カリウム)、ピバル酸及びホスフィン配位子(3,4,5,6−テトラメチル−tert−Bu−X−Phosのような)の存在下、極性溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミド)中、オキサゾールの直接位置選択的パラジウム(0)−触媒アリール化により、調製されることができるかのいずれかである(N. A. Strotman, H. R. Chobanian, Y. Guo, J. He, J. E. Wilson, Org. Lett. 2010, 12, 3278)。Kondrat'eva反応は、古典的なバッチ条件(すなわち、マイクロ波照射による加熱)下で、又はより好ましくは、連続フロー条件下で実施されることができる。連続フロー条件の使用は、この変換に使用される一般構造のアルケンの高い揮発性(すなわち、低沸点)のせいで特に好ましい。好ましくは、この反応は、無極性溶媒(例えば、トルエン、クロロベンゼン又はトリフルオロメチルベンゼン)中、温度範囲(150℃〜280℃の間、より好ましくは200℃〜280℃の間)で、酸(例えば、トリフルオロ酢酸)の存在下で実施される。R、R、R12及びBがHとは異なる場合、所望の異性体は、位置異性体の混合物からシリカカラムクロマトグラフィー、MPLC又は分取HPLCのようなクロマトグラフィーの手段により、分離され得るだろう。
【0057】
環状ピリジン(R12及びBは、Hである)は、混合原子価ジロジウム(II, III)テトラキスカプロラクタマート触媒(触媒の調製:M. P. Doyle, L. J. Westrum, W. N. E. Wolthuis, M. M.に記載されている。以下を参照のこと:W. P. Boone, V. Bagheri, M. M. Pearson, J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 958)及び塩基(例えば、重炭酸ナトリウム)の存在下、ヒドロペルオキシド(例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP))を用いて、マイルドな条件下、ベンジル位で選択的に酸化されて、所望のケトンを与えることができる(A. J. Catino, J. M. Nichols, H. Choi, S. Gottipamula, M. P. Doyle, Org. Lett. 2005, 7, 5167;スキーム1、工程b)。必要な位置異性体4aは、望ましくない異性体4bから古典的な精製方法(例えば、シリカカラムクロマトグラフィー、中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC))により分離することができる。代替的には、対応するアルコールを与える、構造の化合物のベンジル位における酸化は、塩基としてリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)を用い、亜リン酸トリエチル及び乾燥酸素の存在下、インサイチューでのヒドロペルオキシドクエンチ手順によって達成されることができる(N. Catozzi, M. G. Edwards, S. A. Raw, P. Wasnaire, R. J. K. Taylor, J. Org. Chem. 2009, 74, 8343; スキーム1、工程c)。この反応中に生成されたエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、当業者に公知の方法(例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化)により分離されることができる。
【0058】
【化2】
【0059】
ケトン4aは、適切な還元的アミノ化手順(例えば、ロイカート・ヴァラッハ(Leuckart-Wallach)反応)により、例えば、1工程手順で、溶媒(メタノール又はエタノールのような)中、好ましくは、およそ室温〜還流温度で、適切なアミン(例えば、NHOAc又はメタノール若しくはエタノール中のアンモニア)及び還元剤(NaBH、LiBH、NaBHCN又はNaBH(OAc))での処理により、タイプのアミン(R12は、Hである)に変換されることができる(スキーム2、工程d)。代替的に、該反応は、2工程手順で実施されることができる:追加溶媒を用いずに、0℃〜室温の間で適切なアミン(例えば、メタノール中のアンモニア)及びチタン(IV)イソプロポキシドを用いるか、又は、好ましくは室温〜溶媒の還流温度の間の温度で、溶媒(メタノール又はトルエンのような)中での最初の処理;そして続いて、好ましくは0℃〜室温の間で還元剤(例えば、NaBH)の添加。更に、ケトン中間体4aは、ヒドリド還元剤(例えば、BH又はNaBH)(例えば、メタノール中、およそ室温で; スキーム2、工程e)、又は、アルミニウム還元剤(例えば、LiAlH)を使用することにより、対応するヒドロキシル化合物(R12は、Hである)に変換されることができる。この反応中に生成されるエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、当業者に公知の方法(例えばキラルクロマトグラフィー又は結晶化)により分離されることができる。適切なキラル配位子の存在下(例えば、キラルオキサザボロリジン(chiral oxazaborolidines)、 E. J. Corey, R. K. Bakshi, S. Shibata, J. Am. Chem. Soc. 1987, 109, 5551)、反応はまた、エナンチオ選択的様式で実施されることができ、高い鏡像体過剰率(典型的にはee>95%)で単一エナンチオマーへの到達を提供する。代替的に、4aの不斉還元はまた、適切な還元剤の存在下、還元酵素利用生体触媒によって達成されることができる(例えば、パン酵母; 総説について: K. Nakamura, R. Yamanaka, T. Matsuda, T. Harada, Tetrahedron Asym. 2003, 14, 2659を参照のこと)。当技術分野において周知の方法により、溶媒(THF又はジエチルエーテルのような)中、リチウム塩(例えば、リチウムクロリド)の存在下、温度範囲(−78℃〜室温の間)で、ケトン4aの、グリニャール試薬R12MgX(X=ハロゲン、R12は、Hとは異なる)との、又はリチウム試薬R12Li(R12は、Hとは異なる)との反応は、化合物への到達を提供する(スキーム2、工程e)。化合物及びは、古典的なやり方(例えば、シリカカラムクロマトグラフィー、MPLC又は分取HPLC)で精製されることにより、ラセミ化合物又はジアステレオマー混合物を与えることができる。この反応の間に生成されたエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、当業者に公知の方法(例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化)により得ることができる。
【0060】
【化3】
【0061】
一般構造のカルボン酸は、スキーム1(工程a)に概説されているように、Kondrat'eva反応により、2−シクロペンタ−2−エン−1−イル酢酸(タイプの化合物[式中、Bは、−(CR1415−COOHである])及び対応するアリールオキサゾールから調製されることができる。アミド化合物は、周知のカップリング方法を使用して、例えば、EDCIを使用し、場合によりHOBT又はDMAP及び塩基(ヒューニッヒ塩基(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)のような)の存在下、溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド)中、好ましくは0℃〜室温の間で、あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド中、HATU又はTBTU及びトリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンの使用により、好ましくは0℃〜室温の間で、化合物と第一級若しくは第二級アミン(HNR1617)とのアミドカップリング反応により形成される(スキーム3、工程f)。構造のカルボン酸エステルは、酸触媒(例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸)又はアンバーライト(Amberlite)イオン交換樹脂)の存在下、適切なアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)を用いて、親カルボン酸の還流を介して到達可能である(スキーム3、工程g)。カルボン酸とアルコールとの代替エステル化反応は、アミン塩基(ヒューニッヒ塩基の又はトリエチルアミンのような)の存在下、溶媒(DMFのような)中、好ましくは0℃〜室温の間で、カップリング試薬(例えば、HATU又はTBTU)を用いる。代替的に、当業者に周知の全ての方法に従って、DMAP又はカルボン酸クロリド若しくはカルボン酸無水物の存在下、DCC又はEDCIの使用を、用いることができる。カルボン酸のエステル化はまた、塩基(例えば、炭酸カリウム若しくは炭酸ナトリウム又はDBUのようなアミン塩基)の存在下、溶媒(例えば、アセトン又はTHF)中、アルキル化剤(例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、エチルブロミド又はジメチル硫酸)を用いて実施されることができる。アミド化合物はまた、反応アミンの存在下、溶媒(トルエン又はTHFのような)中、好ましくは0℃〜室温の温度範囲で、トリメチルアルミニウム(TMA)での処理により、カルボン酸エステルから到達可能である(スキーム3、工程h)。化合物は、対応する第一級アミドの形成(スキーム3、工程i、例えば、メタノールのような適切な溶媒中でアンモニアを用いるアミド形成によるか、又は、けん化によりそして続くアンモニアとの標準アミドカップリングによる)を介し、続いて、ホフマン(Hofmann)転位(エタノールのような溶媒中、好ましくは0℃〜溶媒の還流温度で、水酸化ナトリウム及び臭素での処理)により、アミノ化合物10に変換されることができる(スキーム3、工程j)。
【0062】
代替的に、エステル化合物は、ワインレブアミド(Weinreb amide)を介して、ケトン13[式中、R14aは、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル又はハロシクロアルキルである]に変換されることができる(スキーム5): エステルの加水分解(工程l)、メトキシ−N−メチル−アミドへの変換(工程m)、続いて、溶媒(THFのような)中、−78℃〜室温の間の温度範囲で、グリニャール(Grignard)試薬R14aMgX又はリチウム試薬R14aLiとの反応(工程n)により、ケトン13を与える。化合物13は、当技術分野において周知の方法により、溶媒(THFのような)中、温度範囲−78℃で、ヒドリド還元剤(水素化ホウ素ナトリウムのような(例えば、メタノール中、およそ室温))と、又はグリニャール試薬R15aMgXと、又はリチウム試薬R15aLiと、反応させて、化合物14を与えることができる(工程o)。14中のヒドロキシ置換基は、当技術分野において公知の方法により、脱離基(例えば、ハロゲン、トシラート、メシラート又はトリフラート)に変換されることができ(工程p)、その後、場合により塩基(ヒューニッヒ塩基又は水素化ナトリウムのような)の存在下、溶媒(DMF、DMA又は1−メチル−2−ピロリドンのような)中、0℃〜約100℃の間の温度範囲で、アミノ化合物15と反応させて、置換アミノ化合物16を与えることができる(工程q)。スキーム4に記載されているように、R16及びR17は、更に修飾されて、式(I)の最終化合物を与えることができる。
【0063】
構成単位14は、塩基(水素化ナトリウムのような)の存在下、又は、例えば水素化ナトリウムによるアニオン形成の後に、溶媒(DMF、DMA又は1−メチル−2−ピロリドンのような)中、0℃〜約100℃の間の温度範囲で、対応するR16−ハライド、R16−メシラート又はR16−トシラートを使用して、エーテル17[式中、R16は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル又はハロアルコキシアルキルである]に更に変換されることができる(スキーム5、工程r)。
【0064】
【化4】
【0065】
また本発明の実施態様は、上で定義されたように式(I)で示される化合物の調製方法であって、式(III)で示される化合物の存在下、式(II)で示される化合物の反応を含む、方法:
【化5】

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R15、R16、R17、n及びpは、本明細書で定義されたとおりであり、R24は、アルキルであり、そしてAは、−(CR1415)−C(O)NR1617である]である。
【0066】
具体的には、EDCIの存在下、場合により、HOBT又はDMAP及び塩基(ヒューニッヒ塩基(N、N−ジイソプロピルエチルアミン)のような)の存在下、溶媒(N,N−ジメチルホルムアミドのような)中で、好ましくは0℃〜室温の間で、あるいは、N,N−ジメチルホルムアミド中、HATU又はTBTU及びトリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンの使用により、好ましくは0℃〜室温の間で。
【0067】
また、本発明の目的は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載される式(I)に係る化合物である。
【0068】
同様に、本発明の目的は、本明細書に記載される式(I)に係る化合物と治療上不活性な担体とを含む、医薬組成物である。
【0069】
本発明はまた、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0070】
本発明はまた、糖尿病性腎症の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0071】
本発明はまた、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0072】
本発明はまた、慢性腎疾患の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0073】
本発明はまた、うっ血性心不全の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0074】
本発明はまた、高血圧の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0075】
本発明はまた、原発性アルドステロン症の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0076】
本発明の特定の実施態様は、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0077】
また、本発明の特定の実施態様は、糖尿病性腎症の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0078】
別の本発明の特定の実施態様は、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0079】
また、本発明の特定の実施態様は、慢性腎疾患の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0080】
また、本発明の特定の実施態様は、うっ血性心不全の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0081】
また、本発明の特定の実施態様は、高血圧の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0082】
また、本発明の特定の実施態様は、原発性アルドステロン症の治療又は予防のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0083】
本発明はまた、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0084】
本発明はまた、糖尿病性腎症の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0085】
本発明はまた、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0086】
また、本発明のある実施態様は、慢性腎疾患の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0087】
また、本発明のある実施態様は、うっ血性心不全の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0088】
また、本発明のある実施態様は、高血圧の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0089】
また、本発明のある実施態様は、原発性アルドステロン症の治療又は予防用の医薬の製造のための、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0090】
また、本発明の目的は、慢性腎疾患、うっ血性心不全、高血圧、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0091】
また、本発明の目的は、糖尿病性腎症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本願明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0092】
また、本発明の目的は、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本願明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0093】
また、本発明のある実施態様は、慢性腎疾患の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0094】
また、本発明のある実施態様は、うっ血性心不全の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0095】
また、本発明のある実施態様は、高血圧の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0096】
また、本発明のある実施態様は、原発性アルドステロン症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む、方法である。
【0097】
また、本発明の実施態様は、記載するプロセスのいずれか1つに従って製造される、本明細書に記載されるような式(I)の化合物である。
【0098】
アッセイ手順
本明細書において、本発明者らは、CYP11ファミリーの酵素を異所的に発現する(一過性に又は安定的に)宿主細胞としてG−402細胞株が使用できるかを確認した。具体的には、本発明者らは、ヒトCYP11B1、ヒトCYP11B2、ヒトCYP11A1、カニクイザル(cynomolgus)CYP11B1又はカニクイザルCYP11B2酵素活性を異所的に発現する安定なG−402細胞を開発した。重要なことに、確認した細胞株G−402は、CYP11ファミリーの活性に重要な補因子(アドレノドキシン及びアドレノドキシン還元酵素)を発現し、そして、CYP11ファミリーの無関係な酵素活性(H295R細胞と比較して)がこれらの細胞で検出された。したがって、G−402細胞株は、CYP11ファミリー由来の酵素の異所的発現の宿主細胞として独自に適する。G−402細胞は、ATCC(CRL−1440)から得ることができ、これは腎平滑筋芽腫由来のものであった。
【0099】
発現プラスミドは、好適なプロモーター(CMV−プロモーター)及び好適な耐性マーカー(ネオマイシン)の制御下にあるヒト/カニクイザルCYP11B1又はCYP11B2のいずれかのORFを含有する。標準的な技術を用いて、発現プラスミドをG−402細胞にトランスフェクトし、次に、これらの細胞において所与の耐性マーカーを発現するものを選択する。次に、所望の酵素活性を示す個々の細胞クローンを、11−デオキシコルチコステロン(Cyp11B2)又は11−デオキシコルチゾール(Cyp11B1)を基質として使用して選択及びアッセイする。
【0100】
CYP11構築物を発現するG−402細胞を上述したように構築し、これを、10%FCS及び400μg/ml G418(Geneticin)を含有するMcCoy's 5a改変培地(ATCC Catalog No.30-2007)中、5%CO/95%大気の雰囲気下、37℃で維持した。細胞酵素アッセイを、2.5%活性炭で処理したFCS及び適切な濃度の基質(0.3〜10uM 11−デオキシコルチコステロン、11−デオキシコルチゾール又はコルチコステロン)を含有するDMEM/F12培地中で実施した。酵素活性をアッセイするために、細胞を96ウェルプレート上にプレーティングし、16時間インキュベートした。次に、上清のアリコートを移し、目的の生成物(CYP11B2の場合アルドステロン;CYP11B1の場合コルチゾール)の濃度を分析した。これらのステロイドの濃度は、アルドステロン又はコルチゾールを分析するCisBio社のHTRFアッセイを用いて決定することができる。
【0101】
生成したステロイドの放出の阻害は、細胞酵素アッセイ中に加えられる試験化合物による各酵素の阻害の指標として使用することができる。化合物による酵素活性の用量依存的阻害は、加えられた阻害剤の濃度(x軸)と測定されたステロイド/生成物レベル(y軸)をプロットすることによって計算する。次に、最小二乗法を使用して、下記の4パラメーターシグモイド関数(Morgan-Mercer-Flodin(MMF)モデル)を原データ点にフィッティングすることによって阻害を計算する:
【数1】

(式中、Aは、最大y値であり、Bは、XLFitを使用して決定されるEC50因子であり、Cは、最少y値であり、そして、Dは、傾斜値である)
【0102】
最大A値は、阻害剤の非存在下で生成したステロイドの量に対応し、C値は、酵素が完全に阻害されたときに検出されるステロイドの量に対応する。
【0103】
本明細書において請求される化合物のEC50値は、記載されるG402ベースアッセイ系を用いて試験した。Cyp11B2酵素活性は、1μMデオキシコルチコステロン及び可変量の阻害剤の存在下で試験し;Cyp11B1酵素活性は、1μMデオキシコルチゾール及び可変量の阻害剤の存在下で試験した。
【0104】
【表1】
【0105】
本明細書に記載される式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩若しくはエステルは、0.000001uM〜1000uMのEC50(CYP11B2)値を有し、特定の化合物は、0.00005uM〜500uMのEC50(CYP11B2)値を有し、更なる特定の化合物は、0.0005uM〜50uMのEC50(CYP11B2)値を有し、より特定の化合物は、0.0005uM〜5uMのEC50(CYP11B2)の値を有する。これらの結果は、記載される酵素アッセイを使用して得た。
【0106】
式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、(例えば、医薬調製物の形態で)医薬として使用することができる。この製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で)、鼻内(例えば、鼻内スプレーの剤形で)又は直腸内(例えば、坐剤の剤形で)のように、内服することができる。しかし、投与はまた、筋肉内又は静脈内のように、非経口的に(例えば、注射液剤の剤形で)達成することができる。
【0107】
式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機補助剤と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのような補助剤として使用することができる。
【0108】
軟ゼラチンカプセル剤に適切な補助剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体物質及び液体ポリオールなどである。
【0109】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な補助剤は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、ブドウ糖などである。
【0110】
注射液剤に適切な補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0111】
坐剤に適切な補助剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0112】
更には、本製剤は、保存料、可溶化剤、増粘性物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。これらはまた、更に他の治療上価値のある物質を含有することができる。
【0113】
用量は、広い範囲内で変化させることができ、当然ながら、各特定症例における個々の要求に合わせることができる。一般に、経口投与の場合には、好ましくは1〜3回の個々の用量(例えば、同量からなってよい)に分割した、体重1kgあたり約0.1mg〜20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg〜4mgの1日用量(例えば、一人あたり約300mg)が、適切であろう。しかし、本願明細書においての上限値は、必要が示されれば、これを超えられることは明らかであろう。
【0114】
本発明によれば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、アルドステロン媒介疾患の治療又は予防のために使用することができる。
【0115】
本明細書の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、CYP11B2の阻害剤である。また、本明細書における式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩類及びエステル類は、CYP11B1の変動阻害を示すが、CYP11B1に比べてCYP11B2に対して改善された選択性を提示する。そのような化合物は、過剰なコルチゾール生成/レベル、又は過剰なコルチゾールレベルとアルドステロンレベルとの両方を示す状態(例えば、クッシング症候群、熱傷患者、鬱病、心的外傷後ストレス障害、慢性ストレス、副腎皮質刺激ホルモン分泌腺腫、クッシング病(Morbus Cushing))の治療又は予防のために使用してもよい。
【0116】
本発明によれば、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩類及びエステル類は、心血管疾患(高血圧及び心不全を含む)、血管疾患、内皮機能不全、圧受容器機能不全、腎疾患、肝疾患、線維症、炎症性疾患、網膜症、ニューロパシー(例えば、末梢性ニューロパシー)、疼痛、異常インスリン症、浮腫、浮腫性疾患、鬱病などを治療又は予防するために用いることができる。
【0117】
心血管疾患には、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、不整脈、動脈細動、心臓病変、駆出率の低下、拡張期及び収縮期心機能不全、冠動脈の線維素様壊死、心臓の線維症、肥大型心筋症、動脈コンプライアンスの障害、拡張期充満の障害、虚血、左室肥大、心筋及び血管の線維症、心筋梗塞、心筋壊疽病変、心不整脈、突然心臓死の予防、再狭窄、発作、血管損傷が挙げられる。
【0118】
腎疾患には、急性及び慢性の腎不全、腎症、末期腎疾患、糖尿病性腎症、クレアチニンクリアランスの低下、糸球体濾過率の低下、著しい細胞過形成を伴う又は伴わない網状メサンギウム基質の拡大、糸球体毛細血管の局所性血栓症、全身性線維素様壊死、糸球体硬化症、虚血性病変、悪性腎硬化症(例えば、虚血性収縮、微量アルブミン尿、タンパク尿、腎血流量低下、腎動脈症、毛細血管内細胞(内皮及びメサンギウム)及び/又は毛細血管外細胞(半月)の膨潤及び増殖が挙げられる。
【0119】
また、腎疾患には、糸球体腎炎(例えば、びまん性増殖性、巣状増殖性、メサンギウム増殖性、膜性増殖性、微小変化型膜性糸球体腎炎)、ループス腎炎、非免疫性基底膜異常(例えば、アルポート症候群)、腎線維症及び糸球体硬化症(例えば、結節性、又は全身性及び巣状分節状糸球体硬化症)が挙げられる。
【0120】
肝疾患には、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変、肝腹水、肝うっ血などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
血管疾患には、特に限定されないが、血栓性血管疾患(例えば、壁在線維素様壊死、赤血球の溢出及び破砕ならびに管腔及び/又は壁在血栓症)、増殖性動脈症(例えば、粘液性細胞外基質によって囲まれた筋内膜細胞(myointimal cell)の腫大及び結節性肥厚)、アテローム性動脈硬化、血管コンプライアンスの減少(例えば、剛性、心室コンプライアンスの低下及び血管コンプライアンスの低下)、内皮機能不全などが含まれる。
【0122】
炎症性疾患には、特に限定されないが、関節炎(例えば、骨関節炎)、炎症性気道疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD))などが含まれる。
【0123】
疼痛には、特に限定されないが、急性疼痛、慢性疼痛(例えば、関節痛)などが含まれる。
【0124】
水腫は、特に限定されないが、末梢組織浮腫、肝欝血、肝臓腹水、脾臓欝血、呼吸器又は肺欝血などが含まれる。
【0125】
異常インスリン症には、特に限定されないが、インスリン抵抗性、I型糖尿病、II型糖尿病、グルコース感受性、前糖尿病状態、前糖尿病、X症候群などが含まれる。
【0126】
線維症には、特に限定されないが、心筋及び腎内線維症、腎間質線維症及び肝線維症が含まれる。
【0127】
更に、本明細書に記載される式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、また、高血圧、心不全(特に、心筋梗塞後心不全)、左室肥大及び卒中からなる群より選択される心血管病態の治療又は予防のために使用することができる。
【0128】
別の実施態様において、心血管病態は、高血圧である。
【0129】
特定の実施態様において、心血管状態は、治療抵抗性高血圧である。
【0130】
別の実施態様において、心血管病態は、心不全である。
【0131】
別の実施態様において、心血管病態は、左室肥大である。
【0132】
別の実施態様において、心血管状態はうっ血性心不全であり、より特定には保存された左室駆出分画を有する患者である。
【0133】
別の実施態様において、心血管病態は、卒中である。
【0134】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、腎疾患の治療又は予防のために使用することができる。
【0135】
別の実施態様において、腎疾患は、腎症である。
【0136】
別の実施態様において、腎疾患は、自己免疫性糸球体腎炎である。
【0137】
別の実施態様において、慢性腎疾患は、糖尿病性腎症である。
【0138】
別の実施態様において、線維症は、腎臓又は心臓の線維症である。
【0139】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、II型糖尿病の治療又は予防のために使用することができる。
【0140】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、I型糖尿病の治療又は予防のために使用することができる。
【0141】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、糖尿病性網膜症の治療又は予防のために使用することができる。
【0142】
本発明は、実施例により以降説明されるが、これらは限定性を持つものではない。
【0143】
調製例では、エナンチオマーの混合物として得られるが、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載される方法又は当業者に公知の方法、例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化により分離することができる。
【0144】
実施例
中間体A−1
4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン
【化6】
【0145】
[A] 5−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]オキサゾール
【化7】

MeOH(100mL)中の3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(1.40g、7.07mmol)及びp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(1.53g、7.68mmol; TosMIC)の溶液を、炭酸カリウム(1.97g、14.14mmol)で処理し、懸濁液を14時間加熱還流した。室温に冷やした後、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、水を用いて0℃でトリチュレートした(2×25mL)。僅かに橙色の沈殿物を濾過により回収し、減圧下で乾燥させた(4.46g、92%)。MS: 232.0 (M+H)+
【0146】
[B] 4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン
【化8】

o−ジクロロベンゼン(12mL)中の5−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]オキサゾール(0.50g、2.16mmol)、シクロペンテン(2.95g、43.3mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.49g、4.33mmol)の溶液を、マイクロ波照射下で220℃に6時間加熱した。反応混合物に、トリエチルアミン(5mL)を加え、溶媒混合物を減圧下で除去した。0〜50%EtOAc − n−ヘプタンの勾配で溶離するMPLC(SiO 70g、Telos−カートリッジ)による精製により、標記化合物(0.27g、44%)を僅かに褐色の固体として与えた。MS: 282.5 (M+H)+
【0147】
代替的に、この反応工程はまた、フロー条件下で実施された:
【0148】
この反応は、Dionex P580ポンプ及び、加熱源として用いるHP6890シリーズのガスクロマトグラフィーオーブンからなる特注のフローシステムで実施した。GCオーブンには、Supelcoステンレス鋼管(ID=2.1mm)から製造されたステンレス製コイル反応器(容量53mL)を備え付けられていた。システム溶媒としてトルエンを使用して230℃に加熱した後、トルエン(1.0mL)中のシクロペンテン(1.77g、26.0mmol)とトリフルオロ酢酸(0.30g、2.60mmol)との混合物、トルエン(1.0mL)中の5−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]オキサゾール(0.30g、1.30mmol)、シクロペンテン(1.77g、26.0mmol)及びトリフルオロ酢酸(0.30g、2.60mmol)の混合物、最後に、トルエン(1.0mL)中のシクロペンテン(1.77g、26.0mmol)とトリフルオロ酢酸(0.30g、2.60mmol)との混合物を、ステンレス製コイル反応器に順次、注入した。システムを、t=150分間の公称滞留時間及び230℃でのトルエンの25%体積膨張を考慮するtR,eff=120分間の有効滞留時間と等しい流速0.35mL/分で稼働させた(R. E. Martin et al., Eur. J. Org. Chem. 2012, 47-52)。システムの圧力を維持するために、保護ガード(砂/ガラスウール充填済)を備えた750psiの背圧レギュレータを反応器の出口で使用した。反応混合物を丸底フラスコ中に回収し、トリエチルアミン(5mL)を加え、溶媒混合物を減圧下で除去した。0〜50%EtOAc − n−ヘプタンの勾配で溶離するMPLC(SiO 50g、Telos−カートリッジ)による精製により、標記化合物(0.18g、50%)を僅かに褐色の固体として与えた。MS: 282.5(M+H)+
【0149】
[C] 4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン[中間体A−1]
【化9】

DCM(0.5mL)中の4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン(76.0mg、0.27mmol)及びジロジウム(II, III)テトラキスカプロラクタマート(1.8mg、0.0027mmol; 合成については、M. P. Doyle et al., J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 958-964に記載されている)の溶液に、重炭酸ナトリウム(22.7mg、0.27mmol)及びtert−ブチルヒドロペルオキシド(0.25mL、1.35mmol)を加えた。反応混合物を室温で48時間撹拌した。この間に、更に等量のtert−ブチルヒドロペルオキシド(1.25mL、6.75mmol)を少しずつ加えた。溶媒を減圧下で除去し、粗反応混合物を、0〜50%EtOAc − n−ヘプタンの勾配で溶離するMPLC(SiO 20g、Telos−カートリッジ)により精製して、4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5,6−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−7−オン[15.5mg、19%;MS: 296.1(M+H)+]及び標記化合物[17.4mg、22%;MS: 296.4(M+H)+]をいずれも僅かに黄色の固体として与えた。
【0150】
中間体A−2
4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン
【化10】
【0151】
[A] 4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン
【化11】

4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン(中間体A−1、工程B、フロー手法)の調製に関して記載された手順と同様にするが、5−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]オキサゾールを5−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]オキサゾール(CAS[1146694-91-8])に置き換える。フロー方法を、250℃にてtR,eff=120分間の有効滞留時間で実行した。標記化合物を明褐色の固体(54%)として得た。MS: 282.1(M+H)+
【0152】
[B] 4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン[中間体A−2]
【化12】

4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン(中間体A−1)及び4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5,6−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−7−オン(中間体A−2)の調製に関して記載された手順と同様にするが、4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジンを4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジンに置き換える。標記化合物[20%;MS: 296.1(M+H)+]及び4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5,6−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−7−オン[30%;MS: 296.1(M+H)+]をオフホワイトの固体として得た。
【0153】
中間体A−3
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸及び(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸
【0154】
【表2】
【0155】
4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン(中間体A−1、工程B、バッチ手法)の調製に関して記載された手順と同様にするが、シクロペンテンを2−シクロペンタ−2−エン−1−イル酢酸(CAS[13668-61-6])に置き換える。反応は無溶媒で実施し、マイクロ波照射下で180℃に17時間加熱した。0〜100%EtOAc − n−ヘプタンの勾配で溶離するMPLC(SiO 70g、Telos−カートリッジ)による精製の後、標記化合を僅かに褐色の油状物(36%;およそ1:1の混合物)として得た。MS: 340.2(M+H)+(2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸)及びMS: 340.2(M+H)+(2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸)。続く反応は、2つの位置異性体の更なる分離をせずに実施した。
【0156】
中間体A−4
(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸及び(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸
【0157】
【表3】
【0158】
4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン(中間体A−1、工程B、バッチ手法)の調製に関して記載された手順と同様にするが、シクロペンテンを2−シクロペンタ−2−エン−1−イル酢酸(CAS[13668-61-6])に置き換える。反応を無溶媒で行い、マイクロ波照射下で200℃に10時間加熱した。0〜100%EtOAc − n−ヘプタンの勾配で溶離するMPLC(SiO 70g、Telos−カートリッジ)による精製の後、標記化合物を僅かに褐色の油状物(34%;およそ1:1の混合物)として得た。MS: 340.5(M+H)+(2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸)及びMS: 340.5(M+H)+(2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸)。続く反応は、2つの位置異性体の更なる分離をせずに実施した。
【0159】
実施例1
(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−アミン
【化13】

MeOH(7mL)中の酢酸アンモニウム(1.57g、20.4mmol)の溶液を、4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン(中間体A−1)(0.20g、0.68mmol)で処理し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.15g、2.39mmol)を加え、撹拌を室温で続けた。15分後、反応混合物を90分間加熱還流した。溶媒を減圧下で除去し、塩化アンモニウムの飽和水溶液(2mL)及びHClの1M 溶液(2mL)を加え、水相をDCM(3×5mL)で洗浄した。水相に、NaOHの1M 溶液(4mL)を加え、DCM(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。標記化合物を明褐色の固体(74mg、37%)として単離した。MS: 297.4(M+H)+
【0160】
実施例2
(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化14】

メタノール(1mL)中の4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−[2]ピリンジン−5−オン(中間体A−1)(15.9mg、0.054mmol)の溶液を、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(2.0mg、0.954mmol)で処理した。10分後、反応混合物を酢酸(0.43mL)の添加によりクエンチし、粗反応混合物を減圧下で濃縮した。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(5mL)を加え、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。DCM−イソプロパノールの勾配で溶離するMPLCによる精製により、標記化合物をオフホワイトの固体(14mg、88%)として与えた。MS: 298.1(M+H)+
【0161】
実施例3
(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化15】

ジエチルエーテル(3mL)中の4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−[2]ピリンジン−5−オン(中間体A−1)(25mg、0.085mmol)及びリチウムクロリド(10.9mg、0.25mmol)の溶液を、アルゴン下、メチルリチウム(0.063mL、0.10mmol;ジエチルエーテル中1.6M 溶液)で処理し、反応混合物を0℃で撹拌した。1時間後、撹拌を室温で3時間続けた。反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液(10mL)の添加によりクエンチし、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。アセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物をオフホワイトの固体(12mg、46%)として与えた。MS: 312.1(M+H)+
【0162】
実施例4
(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化16】

ジエチルエーテル(3mL)中の4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−[2]ピリンジン−5−オン(中間体A−1)(25mg、0.085mmol)及びリチウムクロリド(10.9mg、0.25mmol)の溶液を、アルゴン下、フェニルリチウム(0.050mL、0.10mmol;ジブチルエーテル中2.0M 溶液)で処理し、反応混合物を0℃で撹拌した。1時間後、反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液(10mL)の添加によりクエンチし、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。アセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の油状物(3.3mg、10%)として与えた。MS: 374.2(M+H)+
【0163】
実施例5
(rac)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化17】

(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール(実施例2)の調製に関して記載された手順と同様にするが、4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−[2]ピリンジン−5−オン(中間体A−1)を4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン(中間体A−2)に置き換える。標記化合物を白色の固体(10.6mg、66%)として得た。MS: 298.1(M+H)+
【0164】
実施例6
(rac)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−メチル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化18】

(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール(実施例3)の調製に関して記載された手順と同様にするが、4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−[2]ピリンジン−5−オン(中間体A−1)を4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン(中間体A−2)に置き換える。分取TLC(EtOAc − n−ヘプタン=1:1)による精製により、標記化合物を白色の固体(6.1mg、23%)として与えた。MS: 312.1(M+H)+
【0165】
実施例7
(rac)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−イソプロピル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化19】

THF(1mL)中のイソプロピルマグネシウムクロリド(0.044mL、0.088mmol; THF中の2.0M 溶液)の溶液を、アルゴン下、イソプロピルマグネシウムクロリド(0.044mL、0.088mmol; THF中の2.0M 溶液)で室温にて1時間処理した。反応混合物を0℃に冷却し、THF(2mL)中の4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン(中間体A−2)(20mg、0.068mmol)の溶液を加えた。2時間後、反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液(10mL)の添加によりクエンチし、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。アセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物をオフホワイトの固体(5.0mg、22%)として与えた。MS: 340.1(M+H)+
【0166】
実施例8
(rac)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フェニル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【化20】

(rac)−4−(3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−フェニル−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−オール(実施例4)の調製に関して記載された手順と同様にするが、4−(3−フルオロ−4−トリフルオロメチル−フェニル)−6,7−ジヒドロ−[2]ピリンジン−5−オン(中間体A−1)を4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オン(中間体A−2)に置き換える。アセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(5.0mg、15%)として与えた。MS: 374.1(M+H)+
【0167】
実施例9及び実施例10
(+)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フェニル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール及び(−)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フェニル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール
【0168】
【表4】
【0169】
標記化合物を、Reprosil Chiral NR カラム(イソプロパノール−n-ヘプタン=1:4)での(rac)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フェニル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール(227mg、0.61mmol;実施例8)のキラル分離により調製して、(+)−(R又はS)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フェニル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール[64.2mg、28%;MS: 374.1(M+H)+;実施例9]及び(−)−(R又はS)−4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−フェニル−6,7−ジヒドロシクロペンタ[c]ピリジン−5−オール[63.0mg、27%;MS: 374.1(M+H)+;実施例10]をオフホワイトの泡状物として与えた。
【0170】
実施例11
(rac)−エチル 2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]アセタート
【化21】

DMF(0.4mL)及びエタノール(0.4mL)中の(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸及び(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸 オン(中間体A−3)(67.9mg、0.20mmol)、及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.17mL、1.0mmol)の溶液を、アルゴン下、HATU(98.9mg、0.26mmol)で室温にて2時間処理した。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(6.2mg、17%)として与えた。MS: 368.1(M+H)+
【0171】
実施例12
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド
【化22】

DMF(0.4mL)中の(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸及び(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸 オン(中間体A−3)(50mg、0.15mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.13mL、0.74mmol)の溶液を、アルゴン下、HATU(72.9mg、0.19mmol)で処理した。この溶液に、メチルアミン(0.22mL、0.44mmol; THF中2.0M 溶液)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(8.0mg、30%)として与えた。MS: 353.1(M+H)+
【0172】
実施例13
(rac)−N−(シクロプロピルメチル)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]アセトアミド
【化23】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、メチルアミンをシクロプロピルメチルアミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明黄色の固体(6.0mg、20%)として与えた。MS: 393.2(M+H)+
【0173】
実施例14
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−プロピル−アセトアミド
【化24】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、メチルアミンをプロピルアミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(2.0mg、4%)として与えた。MS: 381.6(M+H)+
【0174】
実施例14
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−(1−ピペリジル)エタノン
【化25】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、メチルアミンをピペリジンに置き換える。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(4.8mg、16%)として与えた。MS: 407.6(M+H)+
【0175】
実施例16
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−モルホリノ−エタノン
【化26】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、メチルアミンをモルホリンに置き換える。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(4.2mg、14%)として与えた。MS: 409.6(M+H)+
【0176】
実施例17
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−イソオキサゾール−3−イル−アセトアミド
【化27】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、メチルアミンをイソオキサゾール−3−アミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(6.6mg、22%)として与えた。MS: 406.1(M+H)+
【0177】
実施例18
(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−(1H−ピラゾール−3−イル)アセトアミド
【化28】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、メチルアミンを1H−ピラゾール−3−アミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLCによる精製により、標記化合物を明褐色の固体(10.4mg、34%)として与えた。MS: 405.1(M+H)+
【0178】
実施例19
(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−ピロリジン−1−イル−エタノン
【化29】

(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド(実施例12)の調製に関して記載された手順と同様にするが、(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸及び(rac)−2−[4−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸−オン(中間体A−3)を、(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]酢酸及び(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−7−イル]酢酸 オン(中間体A−4)に置き換え、ならびにメチルアミンをピロリジンに置き換える。溶媒混合物の蒸発、そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLC及び順相分取TLC(DCM−MeOH=93:7)による精製により、標記化合物を白色の固体(2.2mg、8%)として与えた。MS: 393.2(M+H)+
【0179】
実施例20
(rac)−N−エチル−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド
【化30】

(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−ピロリジン−1−イル−エタノン(実施例19)の調製に関して記載された手順と同様にするが、ピロリジンをN−メチルエタンアミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発、そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLC及び順相分取TLC(DCM−MeOH=93:7)による精製により、標記化合物を白色の固体(2.4mg、9%)として与えた。MS: 381.2(M+H)+
【0180】
実施例21
(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−イソプロピル−N−メチル−アセトアミド
【化31】

(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−ピロリジン−1−イル−エタノン(実施例19)の調製に関して記載された手順と同様にするが、ピロリジンをN−メチルプロパン−2−アミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発、そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLC及び順相分取TLC(DCM−MeOH=93:7)による精製により、標記化合物を白色の固体(2.2mg、8%)として与えた。MS: 395.2(M+H)+
【0181】
実施例22
(rac)−N−シクロプロピル−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−N−メチル−アセトアミド
【化32】

(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−ピロリジン−1−イル−エタノン(実施例19)の調製に関して記載された手順と同様にするが、ピロリジンをN−メチルシクロプロパンアミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発、そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLC及び順相分取TLC(DCM−MeOH=93:7)による精製により、標記化合物を白色の固体(1.4mg、5%)として与えた。MS: 393.2(M+H)+
【0182】
実施例23
(rac)−N−シクロプロピル−N−エチル−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]アセトアミド
【化33】

(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−ピロリジン−1−イル−エタノン(実施例19)の調製に関して記載された手順と同様にするが、ピロリジンをN−エチルシクロプロパンアミンに置き換える。溶媒混合物の蒸発、そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLC及び順相分取TLC(DCM−MeOH=93:7)による精製により、標記化合物を白色の固体(2.4mg、8%)として与えた。MS: 407.2(M+H)+
【0183】
実施例24
(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−[(2S)−2−メチルピロリジン−1−イル]エタノン
【化34】

(rac)−2−[4−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[c]ピリジン−5−イル]−1−ピロリジン−1−イル−エタノン(実施例19)の調製に関して記載された手順と同様にするが、ピロリジンを(2S)−2−メチルピロリジンに置き換える。溶媒混合物の蒸発、そしてアセトニトリル−水の勾配で溶離する逆相分取HPLC及び順相分取TLC(DCM−MeOH=93:7)による精製により、標記化合物を白色の固体(2.3mg、7%)として与えた。MS: 407.2(M+H)+
【0184】
実施例A
式(I)の化合物は、それ自体既知のやり方で、以下の組成の錠剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1錠当たり
活性成分 200mg
微晶質セルロース 155mg
トウモロコシデンプン 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0185】
実施例B
式(I)の化合物は、それ自体既知のやり方で、以下の組成のカプセル剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1カプセル当たり
活性成分 100.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
乳糖 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg