(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る発光装置10の上面図である。
図2は、発光装置10が有する第2基材200の平面図である。
図3は
図1のA−A断面図である。実施形態に係る発光装置10は、第1基材100、第2基材200、発光素子300、及び制御部400を備えている。第1基材100は可撓性を有しており、発光素子300を保持している。制御部400は発光素子300を制御する。第2基材200は可撓性を有しており、一部が第1基材100に固定されることにより、第1基材100との間に区画された空間を形成する。この空間の中には、制御部400及び発光素子300が位置している。そして、第2基材200の材料は、第1基材100の材料よりも柔軟性が大きい。以下、詳細に説明する。
【0012】
第1基材100は発光素子300の基板として使用される。第1基材100は、例えば透光性を有する樹脂を用いて形成されている。この樹脂としては、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いることができる。第1基材100の厚さは、例えば200μm以下である。また、水分が第1基材100を透過して発光素子300に到達することを抑制するために、第1基材100の少なくとも発光素子300が形成される面(第1面110、好ましくは第1面110及び第2面120の双方)には、SiN
xやSiONなどの無機バリア膜が形成されている。
【0013】
発光素子300は、例えば有機EL素子であり、第1電極、第2電極、及び有機層を有している。
【0014】
第1電極は、光透過性を有する透明電極であり、発光素子300のうち光を放射する面側に位置している。透明電極を構成する透明導電材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。第1電極には、補助電極が設けられていてもよい。補助電極は、例えばMo合金層、Al合金層、及びMo合金層をこの順に積層したMAMなどで形成される。
【0015】
第2電極は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極は遮光性を有している。第2電極の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。ただし、第2電極は、第1電極の材料として例示した材料を用いて形成されていてもよい。第2電極は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。
【0016】
有機層は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。さらに、発光層を複数有するマルチフォトン構造を有していてもよい。この場合、発光層と発光層の間には、電荷発生層または前述した第1電極あるいは第2電極を形成する材料で形成される中間電極が設けられている。有機層は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層の残りの層は、蒸着法によって形成されている。また、有機層のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0017】
なお、発光素子300は、第1端子及び第2端子を有している。第1端子は第1電極に電気的に接続しており、第2端子は第2電極に電気的に接続している。これら第1端子及び第2端子は、制御部400に電気的に接続している。
【0018】
第2基材200は、例えば矩形などの多角形であり、第1基材100に対向する面(一面)に凹部230を有している。凹部230は、制御部400を配置するために設けられている。そして、第2基材200の一面のうち凹部230が形成されていない部分の少なくとも一部は、第1基材100に固定されている。本図に示す例では、第2基材200は板状の基材の縁の全周に、第1面110側に向けて突出した側部220を設けた形状を有している。なお、第2基材200の縁には側部220が設けられていない領域があってもよい。そして、側部220の上面222は平坦であり、第1基材100の第1面110のうち発光素子300の周囲に位置する部分に、接着剤などを用いて固定されている。そして、第1基材100の凹部230と第2基材200によって、制御部400を収容する空間の少なくとも一部(本図に示す例ではその空間の全体)が形成される。なお、第1基材100のうち発光素子300を保持している面は、第2基材200に対向している。このため、発光素子300は上記した空間に位置している。
【0019】
第2基材200は、可撓性を有しており、また、第1基材100よりも柔軟性が高い材料を用いて形成されている。第2基材200を構成する材料は、例えばシリコーン樹脂やポリウレタンである。
【0020】
制御部400は、例えばマイコン及び他の電気素子を、回路基板に取り付けた構成を有している。ここで、回路基板は可撓性を有しているのが好ましい。ただし、例えば回路基板が小さい場合など、回路基板が可撓性を有していなくてもよい場合もある。制御部400は、例えば第2基材200のうち第1基材100に対向している面に載置又は固定されている。
【0021】
また、制御部400が収容されている空間、すなわち第1基材100と第2基材200で区画された空間の中には、電池500が収容されている。電池500は、配線520及び制御部400を介して、発光素子300に電力を供給している。なお、電池500は可撓性を有しているのが好ましい。ただし、例えば電池500が小さい場合など、電池500が可撓性を有していなくてもよい場合もある。
【0022】
図4は、湾曲させた発光装置10の断面図である。発光装置10を湾曲させたとき、第1基材100と第2基材200の接合部(具体的には第1基材100の縁と第2基材200の側部220の上面222との接合部)には応力が発生する。そしてこの応力により第1基材100にひずみが発生し、その結果、発光素子300に応力が加わる可能性が出てくる。これに対して本実施形態では、第2基材200の側部220は第1基材100よりも柔らかい材料を用いて形成されている。従って、側部220が変形することにより、第1基材100に加わる応力が小さくなる。その結果、発光素子300に加わる応力を小さくすることができる。
【0023】
ここで、第1基材100の厚さ及び第2基材200の厚さの少なくとも一方を調節することにより、発光装置10が曲がりすぎないようにすることが好ましい。例えば、発光装置10が300N程度の力が発光装置10に加わった場合の発光装置10の曲率が、発光素子300が破壊しない程度になるように、第1基材100の厚さ及び第2基材200の厚さの少なくとも一方を調節する。
【0024】
なお、
図4において、発光装置10は、第1基材100に引張応力が加わる方向(すなわち第1基材100の第2面120が凸になる方向)に湾曲している。ただし、発光装置10は、第1基材100に圧縮応力が加わる方向(すなわち第2面120が凹になる方向)に湾曲していてもよい。
【0025】
(変形例1)
図5は、変形例1に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、
図6は
図5に示した発光装置10の平面図である。
図5は実施形態の
図3に対応しており、
図6は実施形態の
図1に対応している。本変形例に係る発光装置10は、以下の点を除いて実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0026】
まず、発光素子300は第1基材100ではなく、第3基材600に形成されている。第3基材600は、例えばPEN、PES、PET、又はポリイミドを用いて形成されている。第3基材600の厚さは、例えば200μm以下である。
【0027】
そして、第1基材100は枠状になっており、縁を除いて開口している。言い換えると、第1基材100は開口130を有している。そして第1基材100の第1面110のうち外縁の近くに位置する部分には第2基材200の側部220の上面222が固定されており、内縁の近くに位置する部分には第3基材600のうち発光素子300とは逆側の面の縁部が固定されている。これにより、開口130の少なくとも一部(図の例では全部)は第3基材600によって塞がれている。そして、発光素子300は開口130と重なっている。
【0028】
なお、第1基材100が透光性を有している場合、第1基材100は開口130を有していなくてもよい。この場合、第3基材600の全面は、第1基材100の第1面110に固定される。
【0029】
本変形例によっても、実施形態と同様の理由により、発光装置10を湾曲させたときに発光素子300に加わる応力を小さくすることができる。
【0030】
また、実施形態では第1基材100に発光素子300が形成されているため、第1基材100に、高い平坦性やガスバリア性などが要求される。このため、第1基材100の製造コストが高くなる。これに対して本実施形態では、第3基材600に発光素子300が形成されているため、第3基材600に高い平坦性やガスバリア性などが要求される。第3基材600の面積は、実施形態における第1基材100の面積よりも小さい。このため、第3基材600の製造コストは、実施形態における第1基材100の製造コストよりも低くなる。一方、本変形例における第1基材100には、平坦性やガスバリア性などは要求されない。従って、本変形例における第1基材100の製造コストは低い。その結果、発光装置10の製造コストは実施形態と比較して低くなる。
【0031】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、実施形態における
図3に対応している。本変形例に係る発光装置10は、第2基材200の側部220の上部が発光装置10の内側に向けて折れ曲がり、第1基材100の第2面120の縁を覆いつつここに固定されている点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。なお、変形例1において、側部220が本変形例と同様の構造を有していてもよい。
【0032】
本変形例によっても、実施形態と同様の理由により、発光装置10を湾曲させたときに発光素子300に加わる応力を小さくすることができる。また、第1基材100の第2面120が側部220の上部よりも発光装置10の内側に位置し、かつ第1基材100の側面も側部220で覆われるため、第1基材100に力が加わって発光素子300が破損することを抑制できる。
【0033】
(変形例3)
図8は、変形例3に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、実施形態における
図3に対応している。本変形例に係る発光装置10は、第1基材100と第2基材200とで区画された空間内に、シート状部材700を備えている点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0034】
シート状部材700は、可撓性を有しており、かつ平坦である。シート状部材700は、制御部400及び電池500と、発光素子300との間に位置している。これにより、発光装置10を曲げたときに、発光素子300に制御部400や電池500が接触して発光素子300が破損することを抑制できる。シート状部材700を構成する材料は、例えばPETなど、第2基材200を構成する材料よりも固い(伸縮性が小さい)ものが好ましい。
【0035】
また、本変形例によっても、実施形態と同様の理由により、発光装置10を湾曲させたときに発光素子300に加わる応力を小さくすることができる。なお、第1基材100と第2基材200で区画された空間に可撓性を有する樹脂を充填することも考えられるが、本変形例に示した方法のほうがコストは低く、また発光装置10を軽量化できる。
【0036】
なお、変形例1及び変形例2において、発光装置10はシート状部材700を有していてもよい。
【0037】
(変形例4)
図9は、変形例4に係る発光装置10の構成を示す断面図であり、実施形態における
図3に対応している。本変形例に係る発光装置10は、以下の点を除いて実施形態に係る発光装置10と同様の構成である。
【0038】
まず、制御部400の回路基板のうちマイコンや素子が搭載されている面は、第2基材200に対向している。このため、制御部400のうち平坦な面が発光素子300に対向している。そして第2基材200の凹部230は、電池500及び制御部400のマイコンや素子のそれぞれに対応して設けられている。言い換えると、第2基材200には、電池500を収容するための凹部230、及び制御部400を収容するための凹部230が互いに独立して設けられている。
【0039】
本変形例によっても、実施形態と同様の理由により、発光装置10を湾曲させたときに発光素子300に加わる応力を小さくすることができる。また、制御部400のうち平坦な面が発光素子300に対向しているため、発光装置10を湾曲させたときに発光素子300が制御部400によって破損することを抑制できる。
【0040】
なお、変形例1及び変形例2において、凹部230は本変形例と同様の構成を有していてもよい。
【0041】
(変形例5)
図10は、変形例5に係る発光装置10の構成を示す斜視図であり、
図11は
図10のB−B断面図である。本変形例に係る発光装置10は、形状維持部材240を有している点を除いて、実施形態又は変形例1〜4のいずれかと同様の構成を有している。なお、本図は実施形態と同様の場合を示している。
【0042】
形状維持部材240は棒状の部材であり、第2基材200の側部220のうち下側の部分に埋め込まれている。形状維持部材240は、曲げることができ、かつ曲げた形状を維持できる材料(例えばスズなどの金属材料)を用いて形成されている。本図に示す例において、第2基材200は多角形(例えば矩形)であり、形状維持部材240は第2基材200の各辺に沿って設けられている。ただし、第2基材200の少なくとも一つの辺は、形状維持部材240を有していなくてもよい。また、形状維持部材240は、第2基材200の隣り合う2辺のそれぞれに埋め込まれた部分が互いに繋がった形状(例えばL字形状)であってもよいし、第2基材200の縁に沿う形状(例えば矩形の場合は四角の枠)であってもよい。
【0043】
なお、形状維持部材240は、例えば第2基材200に設けられた穴に差し込まれることにより、第2基材200に埋め込まれている。この際、形状維持部材240の一部(例えば中央部)は第2基材200に固定(例えば接着)されていてもよいし、形状維持部材240のいずれの部分も第2基材200に固定されていなくてもよい。このようにすると、形状維持部材240の全体が第2基材200に固定されている場合と比較して、第2基材200の曲げやすさを維持できる。
【0044】
本変形例によれば、実施形態と同様の理由により、発光装置10を湾曲させたときに発光素子300に加わる応力を小さくすることができる。また、発光装置10を曲げると形状維持部材240も曲がるため、発光装置10に加わる力を0にしても、発光装置10は曲がった状態を維持できる。
【0045】
(変形例6)
図12は、変形例6に係る発光装置10の構成を示す斜視図である。本変形例に係る発光装置10は、以下の点を除いて実施形態又は変形例1〜5のいずれかと同様の構成を有している。
【0046】
まず、第2基材200は、2つの溝250、及びスリット260を有している。
【0047】
2つの溝250は第2基材200のうち第1基材100とは逆側の面に形成されており、互いに離れている。本図に示す例において、第2基材200は矩形であり、溝250は第2基材200のうち互いに対向する2辺に沿って形成されている。
【0048】
スリット260は、第2基材200の側部220に形成されており、内部に補助部材252(
図13参照)を収容できるようになっている。なお、スリット260は第2基材200の底板となる部分を通っていてもよいし、第1基材100と第2基材200とで区切られた空間につながっていてもよい。
【0049】
図13は、補助部材252の使い方を示す図である。補助部材252は、上記したように、スリット260に収容されており、使用されるときにスリット260から取り出される。補助部材252の一方の端部は一方の溝250に固定され、補助部材252の他方の端部は残りの溝250に固定される。補助部材252の幅は溝250の間隔よりも狭い。このため、補助部材252を溝250に固定することにより、発光装置10は、第1基材100が凸となる方向に湾曲する。このような使用方法は、例えば発光装置10が卓上照明の場合に採用される。
【0050】
(変形例7)
図14は、変形例7に係る発光装置10の構成を示す斜視図である。本変形例に係る発光装置10は、以下の点を除いて変形例6と同様の構成を有している。
【0051】
まず、第2基材200には溝250が設けられておらず、その代わりに、第2基材200のうち100とは逆側の面に粘着層254が設けられている。粘着層254は、発光装置10を壁などに貼り付けるために設けられている。そして粘着層254は保護シート256によって覆われている。保護シート256は、粘着層254から剥がされた後、スリット260に収容される。そして、発光装置10を壁などから剥がした後、粘着層254は再び保護シート256によって覆われる。このような使用方法は、例えば発光装置10を壁などに貼ったり剥がしたりする際に採用される。
【0052】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。