特許第6484750号(P6484750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6484750
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】弁尖サイザー
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20190304BHJP
   A61F 2/76 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   A61F2/24
   A61F2/76
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-200785(P2018-200785)
(22)【出願日】2018年10月25日
【審査請求日】2018年10月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507320502
【氏名又は名称】尾崎 重之
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 重之
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/039095(WO,A1)
【文献】 特開2009−77838(JP,A)
【文献】 特開2007−313307(JP,A)
【文献】 国際公開第01/50985(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に接触させられる背面と、
左右方向の少なくとも一端において前記背面側に形成され、生体に接触させられる触針部と、
左右方向の端面に設けられ、他の弁尖サイザーと接続する接続手段と
を備える弁尖サイザー。
【請求項2】
接続される他の弁尖サイザーが備える触針部が嵌まる凹部が、左右方向の端部に形成されている
請求項1に記載の弁尖サイザー。
【請求項3】
前記触針部は、接続される他の弁尖サイザーの左右方向の端部に形成された凹部に嵌まる
請求項1または請求項2に記載の弁尖サイザー。
【請求項4】
前記接続手段により他の弁尖サイザーと接続したときに、前記触針部は、当該他の弁尖サイザーに形成されている触針部に合わさる
請求項1に記載の弁尖サイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁尖サイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
大動脈の弁尖のサイズを測定する発明として、例えば、特許文献1に開示された弁尖サイザーがある。この弁尖サイザーは、円弧面を有し、弁尖の交連部に接触させる触針部が円弧面の両端に設けられている。弁尖サイザーは、円弧面の長さが異なる複数のサイズのものが設けられており、複数の弁尖サイザーの各々は、使用者により把持されるハンドルを有する。術者は、弁尖のサイズを測定する際には、弁尖サイザーを大動脈の弁輪部分に挿入し、二つの触針部の位置が交連部の位置と一致する弁尖サイザーの呼び径を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−77838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大動脈の弁尖については、先天性の二弁尖である場合がある。大動脈弁形成術により二弁尖を三弁尖にする場合、新たに交連部となる部分の位置が分かりにくいと、弁尖を正常に形成することが困難となる。
【0005】
本発明は、弁尖を形成するときに交連部となる位置を分かりやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、生体に接触させられる背面と、左右方向の少なくとも一端において前記背面側に形成され、生体に接触させられる触針部と、左右方向の端面に設けられ、他の弁尖サイザーと接続する接続手段とを備える弁尖サイザーを提供する。
【0007】
本発明においては、接続される他の弁尖サイザーが備える触針部が嵌まる凹部が、左右方向の端部に形成されている構成としてもよい。
【0008】
また、本発明においては、前記触針部は、接続される他の弁尖サイザーの左右方向の端部に形成された凹部に嵌まる構成としてもよい。
【0009】
また、本発明においては、前記接続手段により他の弁尖サイザーと接続したときに、前記触針部は、当該他の弁尖サイザーに形成されている触針部に合わさる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、弁尖を形成するときに交連部となる位置を分かりやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る弁尖サイザー1の平面図。
図2】弁尖サイザー1の正面図。
図3図1のA−A線断面図。
図4】弁尖サイザー1の端部を径方向に見たときの図。
図5】弁尖サイザー1の使用方法を説明するための図。
図6】変形例に係る弁尖サイザー1Aおよび弁尖サイザー1Bを示した図。
図7】変形例に係る弁尖サイザー1C〜1Eを示した図。
図8】弁尖サイザー1C〜1Eを組み合わせた状態を示した図。
図9】変形例に係る弁尖サイザー1Fおよび弁尖サイザー1Gを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る弁尖サイザー1の平面図であり、図2は、弁尖サイザー1の正面図である。また、図3は、図1のA−A線断面図である。弁尖サイザー1は、大動脈弁形成術などにおいて用いられる外科手術器具である。
【0013】
弁尖サイザー1は、中空円柱を中心軸方向に三等分した形状を基本形状としている。即ち、弁尖サイザー1は、周方向(左右方向)の一方の端面17を延長した線と周方向の他方の端面18を延長した線とがなす角度が120度となっている。弁尖サイザー1は、合成樹脂で形成されている。弁尖サイザー1の素材は、合成樹脂に限定されるものではなく、他の素材であってもよい。
【0014】
弁尖サイザー1は、患者の大動脈の血管内壁に接触させられる外周面10(背面)を有している。外周面10は、弁尖サイザー1を上から見たときに円弧の形状となっている。外周面10より中心側には、外周面10から内周面15(正面)に至る上面11が形成されている。外周面10の高さと内周面15の高さを比較すると、外周面10の高さが内周面15の高さより高くなっており、上面11は、底面16に対して傾斜している。上面11は、径方向の断面が直線であるが、径方向の断面が曲線であってもよい。
【0015】
弁尖サイザー1は、複数のサイズがあり、それぞれ外周面10の周方向の長さが異なっている。弁尖サイザー1のサイズは、例えば、三等分する前の円柱形状の直径を、弁尖のサイズを特定する呼び径として用い、呼び径が17のものから35のものまで奇数となっている。弁尖サイザー1の呼び径は、上面11に記載されており、図1の示した弁尖サイザー1の場合、呼び径が19であることを示している。なお、呼び径は、偶数であってもよく、また、奇数と偶数の両方を備える構成であってもよい。また、呼び径のサイズは、17未満のものや35を超えるものがあってもよい。
【0016】
上面11の周方向の一端には、円柱形状の第1触針部13が形成され、上面11の周方向の他端には、円柱形状の第2触針部14が形成されている。第1触針部13の上端と第2触針部14の上端には、交連部の位置に合わせるために、目印41が設けられている。中心と第1触針部13の目印41を結ぶ線と、中心と第2触針部14の目印41を結ぶ線とがなす角度は、120度となっている。第1触針部13と第2触針部14は、弁尖のサイズを測定するときに弁尖の交連部に接触させる部位である。底面16から第1触針部13の上端までの高さと、底面16から第2触針部14の上端までの高さは同じ高さとなっており、底面16から上面11までの高さより高くなっている。これにより、第1触針部13の上端と第2触針部14の上端を、交連部に当接させて、弁尖のサイズを測定しやすくなる。
【0017】
図4は、第1触針部13を弁尖サイザー1の中心側から径方向に見た図である。第1触針部13を円柱形状とする場合、円柱形状の半分が周方向の端面17より周方向へ突出しているのが好ましい。なお、第2触針部14についても、第1触針部13と同じ構成である。
【0018】
また、上面11には、目印40が設けられている。目印40は、端面17と目印40から弁尖サイザー1の中心へ延びる仮想線とのなす角度が60度となる位置に設けられている。目印40は、他の部分とは異なる色に着色されている。目印40は、弁尖の縫合の開始位置をスキンマーカで描画するときの目印である。
【0019】
第1触針部13の中心軸および第2触針部14の中心軸に対して直交して目印40を通る基準面を設定し、第1触針部13と基準面の交点を交点ZRとし、第2触針部14と基準面の交点を交点ZLとした場合、交点ZRから第1触針部13の上端までの距離L1と、交点ZLから第2触針部14の上端までの距離L2は、4mm以上であることが好ましい。また、外周面10の周方向の両端部の下端(端面17の外周面10側の下端と、端面18の外周面10側の下端)は、前述の基準面より下にあることが好ましい。距離L1および距離L2が4mm未満であり、外周面10の周方向の両端部の下端が基準面より上にある場合、弁尖サイザー1を大動脈に接触させる際に弁尖サイザー1の外周面10が血管壁に対して傾きやすくなる。弁尖サイザー1の外周面10が血管壁に対して傾いて接触すると、第1触針部13と第2触針部14が傾き、実際のサイズとは異なるサイズで計測されてしまう。距離L1および距離L2が4mm以上であり、外周面10の周方向の両端部の下端が基準面より上とすれば、弁尖サイザー1の外周面10が血管壁に対して傾きにくくなり、第1触針部13と第2触針部14が傾かなくなるため、弁尖のサイズを正確に計測することができる。
【0020】
弁尖サイザー1の内周面15より中心側には、被支持部21と被支持部23が形成されている。被支持部21は、端面17から周方向に予め定められた幅で内周面15の位置から中心方向へ突出して形成されている。被支持部21の上面には、六角形の穴22が形成されている。穴22は、左右方向の中央から右方向へ予め定められた距離に位置する。被支持部23は、端面18から周方向に予め定められた幅で内周面15の位置から中心側へ突出して形成されている。被支持部23の上面には、六角形の穴24が形成されている。穴24は、左右方向の中央から左方向へ予め定められた距離に位置する。内周面15の高さと、底面16から被支持部21および被支持部23の上端までの高さは同じとなっている。ただし、底面16から被支持部21および被支持部23の上端までの高さは内周面15の高さより低くてもよいし、高いものであってもよい。
【0021】
穴22と穴24は、弁尖サイザー1を支持する支持棒2が挿入される穴である。被支持部21において穴22が開口している面は、傾斜しており、穴22は、弁尖サイザー1の底面16に対して所定の角度をなしている。また、被支持部23において穴24が開口している面は、傾斜しており、穴24は、弁尖サイザー1の底面16に対して所定の角度をなしている。
【0022】
支持棒2は、断面が六角形の棒である。支持棒2を穴22または穴24に挿入すると、支持棒2により弁尖サイザー1が支持される。支持棒2によって弁尖サイザー1は支持されるため、被支持部21および被支持部23は、支持棒2より周方向に広い幅、支持棒2が挿入可能な高さ、支持棒2が挿入可能な径方向への長さがあればよい。
【0023】
端面17には、周方向に凸部31が形成されている。凸部31は、断面が円形であり、端面17から予め定められた長さで突出している。端面18には、周方向に円形の凹部32が予め定められた深さで形成されている。凹部32の深さは、他の弁尖サイザー1に形成されている凸部31が嵌まる深さとなっている。凸部31および凹部32は、本発明に係る接続手段の一例である。
【0024】
図5は、弁尖サイザー1の使用方法を説明するための図である。大動脈弁形成術の際には、大動脈弁から弁尖を切除した後、支持棒2で支持された弁尖サイザー1を大動脈100に挿入する。次に術者は、支持棒2を穴22に挿入している場合、図4(a)に示したように、弁尖の切除前において弁尖の右側に位置していた交連部K1に第1触針部13を接触させ、第1触針部13にある目印41の位置を交連部K1に合わせる。術者は、図4(b)に示したように、支持棒2を回転させながら第1触針部13を基点にして外周面10を大動脈100に接触させていき、図4(c)に示したように、大動脈100に第2触針部14を接触させる。
【0025】
術者は、大動脈100において第2触針部14が接している位置を確認する。第2触針部14にある目印41が接している位置が、弁尖の切除前において切除された弁尖の左側に位置していた交連部K2の位置である場合、使用した弁尖サイザー1に記載されている値が弁尖のサイズとなる。術者は、第2触針部14が接している位置が、交連部K2の位置からずれている場合、サイズの異なる他の弁尖サイザー1を使用し、弁尖のサイズを測定する。術者は、第1触針部13の目印41の位置が交連部K1に一致し、第2触針部14の目印41の位置が交連部K2に一致した場合、縫合の開始位置を示す目印を、目印40の位置にスキンマーカで描画する。
【0026】
支持棒2を穴24に挿入している場合には、大動脈100に弁尖サイザー1を挿入した後、交連部K2に第2触針部14を接触させる。術者は、支持棒2を回転させながら第2触針部14を基点にして外周面10を大動脈100に接触させていき、大動脈100に第1触針部13を接触させ、弁尖のサイズを測定する。
【0027】
なお、大動脈弁については、先天性の二弁尖の場合がある。二弁尖の場合、術者は、弁尖を切除した後、弁尖のサイズを弁尖サイザー1で測定する。例えば、先天性の二弁尖の大動脈弁においては、二つ交連部の位置とは異なる位置に縫線がある場合がある。この場合、術者は、縫線を交連部とみなし、弁尖が三つの場合と同様に測定を行う。なお、先天性の二弁尖で縫線がない場合、二弁尖の場合の弁尖のサイズ測定に対応した呼び径の大きな弁尖サイザー1を用意してもよい。術者は、測定したサイズを加算して3で割った値を求める。求めた値が弁尖サイザー1の呼び径のいずれかと一致する場合、呼び径が一致する三つの弁尖サイザー1を円環状に接続する。例えば、測定したサイズを加算して3で割った値が21である場合、弁尖サイザー1の呼び径は、17から35まで奇数であり、21に対応する弁尖サイザー1があるため、呼び径が21の弁尖サイザー1を三つ用意して接続する。なお、他の弁尖サイザーと接続するための弁尖サイザーとして、第1触針部13を備え、第2触針部14を備えていない弁尖サイザー、または第2触針部14を備え、第1触針部13を備えていない弁尖サイザーを用意する。また、呼び径が偶数の弁尖サイザー1を設ける場合、3で割った値が偶数であると、呼び径が偶数の弁尖サイザー1を三つ用意して接続する。
【0028】
術者は、円環状に接続するための三つの弁尖サイザー1を円環状に並べ、各弁尖サイザー1の凸部31を、隣り合う弁尖サイザー1の凹部32に挿入し、三つの弁尖サイザー1を円環状に接続する。術者は、円環状となった三つの弁尖サイザー1を大動脈に挿入し、大動脈の内壁において第1触針部13が接している位置、第2触針部14が接している位置および目印40の位置に、スキンマーカで目印を描画する。
【0029】
なお、求めた値が弁尖サイザー1の呼び径と一致しない場合がある。この場合、接続する三つの弁尖サイザー1の呼び径の合計値が測定したサイズの合計値と一致するように、三つの弁尖サイザー1を選択する。例えば、測定したサイズの合計値が65である場合、3で割った値は、17から35まで奇数の弁尖サイザー1の呼び径と一致しない。この場合、測定値の合計値と一致するように、例えば、呼び径が23、21および21の三つの弁尖サイザー1を接続する。なお、呼び径が偶数の弁尖サイザー1を設ける場合、呼び径が偶数の弁尖サイザー1を組み合わせてもよい。
【0030】
支持棒2が挿入される穴が弁尖サイザー1の左右方向の中央にある場合、弁尖サイザー1は支持棒2に対して左右均等となって安定するため、外周面10を大動脈100に接触させようとするときに、弁尖サイザー1を大動脈100の方向へ押す動作を無意識に行ってしまうことがある。本実施形態によれば、支持棒2が挿入される穴が弁尖サイザー1の左右方向の端にあり、支持棒2に対して弁尖サイザー1が左右均等とならないため、弁尖サイザー1を大動脈100の方向へ押す動作よりも回転させる動作に誘導され、大動脈100が弁尖サイザー1により径方向に押されにくくなり、大動脈100が広がらず、弁尖のサイズを正確に測定することができる。また、本実施形態によれば、被支持部21と被支持部23は、周方向に見ると周方向の端部に形成されているため、測定の開始時に第1触針部13または第2触針部14を交連部に接触させるのが容易となる。また、本実施形態によれば、支持棒2が挿入される穴が周方向の両端にあるため、支持棒2を挿入する穴を替えることにより、右利きの術者と左利きの術者の両者が容易に測定を行うことができる。また、本実施形態によれば、二弁尖の患者に対して三弁尖にする手術を行う場合、三つの弁尖サイザー1を結合して円環状とし、円環状に接続した弁尖サイザー1を大動脈に挿入することにより、交連部の位置および弁尖の縫合開始位置に印をつけやすくなり、弁尖の縫合が容易となる。
【0031】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態および以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0032】
被支持部21および被支持部23の形状は、特に限定されないが、基本的には、直方体を面取りした形状であることが好ましい。また、図示は省略するが、被支持部21および被支持部23は、図に示した形状とは異なる他の形状としてもよい。
【0033】
上述した実施形態においては、穴22および穴24は、六角形の穴であるが、穴22および穴24の形状は、六角形以外の多角形であってもよい。また、穴22および穴24の形状は、多角形に限定されるものではなく、円形または楕円形であってもよい。また、穴22および穴24は、上述した実施形態においては底面16に対して傾斜しているが、傾斜していない構成であってもよい。
【0034】
本発明においては、支持棒2、穴22および穴24に螺子を切り、支持棒2を穴22または穴24に挿入する際に、螺子で支持棒2を被支持部21または被支持部23に固着させる構成としてもよい。
【0035】
上述した実施形態においては、弁尖サイザー1は、被支持部21および被支持部23を備えているが、被支持部21と被支持部23のいずれか一つのみを備えている構成であってもよい。
【0036】
上述した実施形態においては、弁尖サイザー1は凸部31と凹部32を備える構成であるが、両方を備える構成に限定されるものではない。例えば、円環状に組み合わせるための弁尖サイザーは、図6に示した弁尖サイザー1Aのように、第1触針部13および第2触針部14を備えず、周方向の両端に凸部31を備える構成であってもよい。また、図6に示した弁尖サイザー1Bのように、第2触針部14を備えず、周方向の両端に凹部32を備える構成であってもよい。弁尖サイザー1、弁尖サイザー1Aおよび弁尖サイザー1Bを、図6に示したように配置すれば、凸部31を隣り合う他の弁尖サイザーの凹部32に嵌め合わせ、弁尖サイザー1、弁尖サイザー1Aおよび弁尖サイザー1Bを、円環状に接続することができる。
【0037】
上述した実施形態においては、弁尖サイザー1は、被支持部21および被支持部23を備えているが、被支持部21および被支持部23を備えていない構成であってもよい。図7は、被支持部21および被支持部23を備えていない弁尖サイザーの一例を示した図である。
【0038】
弁尖サイザー1Cにおいては、周方向の一端に半円柱形状の第1触針部13Cが形成され、周方向の他端に半円柱形状の第2触針部14Cが形成されている。弁尖サイザー1Cの上面においては、周方向の一端側に支持棒が挿入される穴22Cが形成され、周方向の他端側に支持棒が挿入される穴24Cが形成されている。穴22Cは、左右方向の中央から右方向へ予め定められた距離をおいて形成され、穴24Cは、左右方向の中央から左方向へ予め定められた距離をおいて形成されている。弁尖サイザー1Cにおいて第1触針部13Cがある側の端面には、凹部32Cが形成されている。また、弁尖サイザー1Cにおいて第2触針部14Cがある側の端面には、凸部31Cが形成されている。
【0039】
弁尖サイザー1Dにおいては、周方向の一端に断面が扇形の触針部13Dが形成され、周方向の他端には第1触針部13Cが嵌まる凹部14Dが形成されている。弁尖サイザー1Dの上面においては、周方向の一端側に支持棒が挿入される穴22Dが形成され、周方向の他端側に支持棒が挿入される穴24D(図示略)が形成されている。穴22Dは、左右方向の中央から右方向へ予め定められた距離をおいて形成され、穴24Dは、左右方向の中央から左方向へ予め定められた距離をおいて形成されている。弁尖サイザー1Dにおいて触針部13Dがある側の端面には、凹部32Dが形成されている。また、弁尖サイザー1Dにおいて凹部14Dがある側の端面には、凸部31Dが形成されている。
【0040】
弁尖サイザー1Eにおいては、周方向の一端に断面が扇形の触針部14Eが形成され、周方向の他端には第2触針部14Cが嵌まる凹部13Eが形成されている。弁尖サイザー1Eの上面においては、周方向の一端側に支持棒が挿入される穴22Eが形成され、周方向の他端側に支持棒が挿入される穴24Eが形成されている。穴22Eは、左右方向の中央から右方向へ予め定められた距離をおいて形成され、穴24Eは、左右方向の中央から左方向へ予め定められた距離をおいて形成されている。弁尖サイザー1Eにおいて触針部14Eがある側の端面には、凸部31E(図示略)が形成されている。また、弁尖サイザー1Dにおいて凹部13Eがある側の端面には、凹部32E(図示略)が形成されている。
【0041】
図8は、弁尖サイザー1C〜1Dを接続した状態を示した図である。弁尖サイザー1C〜1Dを接続する場合、周方向の端面に設けられている凸部が隣り合う弁尖サイザーの周方向に設けられた凹部に嵌まる。また、第1触針部13Cが凹部14Dに嵌まり、第2触針部14Cが凹部13Eに嵌まり、触針部13Dと触針部14Eが合わさり、弁尖サイザー1C〜1Eを円環状に接続することができる。
【0042】
なお、図7に示した弁尖サイザー1Dにおいては、触針部13Dの形状を第1触針部13Cと同じ形状とし、弁尖サイザー1Eにおいては、触針部14Eの位置に、凹部13Eと同じ形状の凹部を設ける構成としてもよい。
【0043】
上述した実施形態においては、支持棒2を穴22または穴24に挿入する構成となっているが、弁尖サイザー1を他の弁尖サイザー1に接続せず、弁尖のサイズの測定にのみしようする場合、支持棒2を弁尖サイザー1に一体化した構成としてもよい。
【0044】
前述の変形例では、三つの弁尖サイザーを組み合わせて円環状としているが、複数の弁尖サイザーを接続して円環状にする構成は、前述の構成に限定されるものではない。図9は、変形例に係る弁尖サイザー1Fと弁尖サイザー1Gの一例を示した図である。
【0045】
弁尖サイザー1Gは、中空円柱を中心軸方向に三等分した形状を基本形状としている。弁尖サイザー1Fにおいては、周方向の一端に半円柱形状の第1触針部13Fが形成され、周方向の他端に半円柱形状の第2触針部14Fが形成されている。第1触針部13Fの上端と第2触針部14Fの上端には、交連部の位置に合わせるための目印となる溝42が形成されている。弁尖サイザー1Fの上面においては、周方向の一端側に支持棒が挿入される穴22Fが形成され、周方向の他端側に支持棒が挿入される穴24Fが形成されている。穴22Fは、左右方向の中央から右方向へ予め定められた距離をおいて形成され、穴24Fは、左右方向の中央から左方向へ予め定められた距離をおいて形成されている。弁尖サイザー1Fの正面には、背面側に向かって溝状に形成された凹部60が形成されている。凹部60の開口部は、水平方向に沿って第1触針部13Fの近傍から第2触針部14Fの近傍まで開口している。
【0046】
弁尖サイザー1Gは、中空円柱を中心軸方向に三等分し、三等分したうちの1/3を取り除いた形状を基本形状としている。弁尖サイザー1Gは、周方向の中央に触針部13Gを有している。触針部13Gの上面には、交連部の位置に合わせるための目印となる溝42が形成されている。アーム部51は、弁尖サイザー1Gの周方向の一端から板状に突出した形状であり、先端には上面から下面へ貫通した穴53が形成されている。アーム部52は、弁尖サイザー1Gの周方向の他端から板状に突出した形状であり、先端には上面から下面へ貫通した穴54が形成されている。
【0047】
アーム部51とアーム部52を凹部60に挿入し、支持棒を穴22Fから穴53または穴24Fから穴54に通すと、弁尖サイザー1Fと弁尖サイザー1Gが接して円環状となる。二弁尖の患者の場合、接して円環状となった弁尖サイザー1Fと弁尖サイザー1Gを大動脈に挿入し、三つの溝42のいずれか一つを二つの交連部のいずれかに接触させ、残りの二つの溝42の位置にスキンマーカで目印を描画する。なお、弁尖サイザー1Fと弁尖サイザー1Gにおいて、実施形態と同様に周方向の端面に凹部と凸部を設け、凹部に凸部を挿入することにより、弁尖サイザー1Fと弁尖サイザー1Gを円環状に一体化してもよい。また、弁尖サイザー1Fと弁尖サイザー1Gにおいて、実施形態と同様に周方向の端面に凹部と凸部を設ける場合、アーム部51およびアーム部52を備えていない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1、1A〜1G…弁尖サイザー、2…支持棒、10…外周面、11…上面、13、13A〜13C…第1触針部、13D…触針部、14、14C…第2触針部、14D…凹部、14E…触針部、15…内周面、16…底面、17、18…端面、21…被支持部、22、22C〜22E…穴、23…被支持部、24、24C〜24E…穴、31、31C〜31E…凸部、32、32C〜32E…凹部、40〜41…目印、42…溝、51、52…アーム部、53、54…穴、100…大動脈、K1、K2…交連部
【要約】
【課題】弁尖を形成するときに交連部となる位置を分かりやすくする。
【解決手段】弁尖サイザー1の左右方向の端面17には、端面17から突出した凸部31が形成されており、端面18には、他の弁尖サイザー1に形成されている凸部31が嵌まる凹部32が形成されている。凸部31を隣り合う他の弁尖サイザー1の凹部32に挿入することにより、三つの弁尖サイザー1を円環状に接続される。円環状となった三つの弁尖サイザー1を大動脈に挿入し、大動脈の内壁において第1触針部13が接している位置、第2触針部14が接している位置および目印40の位置に、スキンマーカで目印を描画する。
【選択図】図1
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