特許第6484785号(P6484785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484785
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20190311BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20190311BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20190311BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20190311BHJP
【FI】
   C12N15/13ZNA
   C07K16/28
   !C12P21/08
   !C12N15/09 Z
【請求項の数】3
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-24038(P2018-24038)
(22)【出願日】2018年2月14日
(62)【分割の表示】特願2014-36111(P2014-36111)の分割
【原出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-90608(P2018-90608A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年2月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-40211(P2013-40211)
(32)【優先日】2013年3月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】803000056
【氏名又は名称】公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昌夫
(72)【発明者】
【氏名】國安 弘基
(72)【発明者】
【氏名】深澤 征義
(72)【発明者】
【氏名】石井 明子
(72)【発明者】
【氏名】多田 稔
(72)【発明者】
【氏名】八木 清仁
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/114733(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/087978(WO,A1)
【文献】 Cancer Science, 2009, Vol.100, p.1623-1630
【文献】 Anticancer Research, 2010, Vol.30, p.4555-4562
【文献】 Gastroenterology, 2010, Vol.139, p.953-964
【文献】 Hepatology, 2010, Vol.51, p.1144-1157
【文献】 Urology, 2012, Vol.80, No.3, Suppl.1, p.S197-S198, Abstract Number:EP.023., EMBASE [online],[retrieved on 26.04.2018],EMBASE Accession No.0050883737
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C07K 16/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VHの配列が配列番号5、VLの配列が配列番号6であるラット抗クラウディン4モノクローナル抗体。
【請求項2】
モノクローナル抗体が、遺伝子組換え抗体である請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
請求項1に記載のラット抗クラウディン4モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウディン(CLDN)4抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
CLDNは、タイトジャンクションの主要なタンパク質で、タイトジャンクションにおけるストランド形成を担っており、細胞間バリアーを作り出している。CLDN分子は現在27種類のファミリー分子が報告されており、CLDN分子同士がホモフィリック若しくはヘテロフィリックに結合し、細胞間接着に機能すると考えられている。
【0003】
このうちCLDN4は、膵臓癌、乳癌、膀胱癌等で高発現しており、非特許文献1にはこのCLDN4が癌診断や癌治療における創薬ターゲットとして着目されていることが記載されている。
【0004】
また例えば特許文献1には、哺乳動物の皮膚を通過する薬物の送達を増強するために、CLDN4に特異的に結合する抗体を含む試薬を使用する手法が記載されている。
【0005】
また例えば特許文献2には、NIR色素及びCLDN4に特異的に結合する抗体を使用して生体内のCLDN4をイメージングし、CLDN4と癌との関連を判断する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2003−524384号公報
【特許文献2】特表2009−531332号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J Oncol,2010,541957,2010;Lab Invest,83,1045,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、CLDN4は細胞外領域の小さな4回膜貫通タンパク質であること、細胞外領域の種間ホモロジーが高いことから、十分な標的結合性を備えるモノクローナル抗体の創製は立ち後れている。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、十分な標的結合性を備える抗CLDN4モノクローナル抗体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる抗CLDN4モノクローナル抗体は、VHの配列が配列番号5、VLの配列が配列番号6であるラット抗クラウディン4モノクローナル抗体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、十分な標的結合性を備える抗CLDN4モノクローナル抗体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】各ラット抗CLDN4モノクローナル抗体のVHを示す図である。
図2】各ラット抗CLDN4モノクローナル抗体のVLを示す図である。
図3】各ラット抗CLDN4モノクローナル抗体のフローサイトメーター(FCM)解析の結果を示す図である。
図4】ヒト膵癌細胞株に対するCLDN4/4D3抗体の細胞増殖阻害活性を示す図である。
図5】ヒト膵癌細胞株に対する5-FU細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図6】5-FUのMIA-PaCaヒト膵癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図7】ヒト膵癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図8】ヒト膀胱癌細胞株に対するシスプラチン(CDDP)細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図9】CDDPのT24ヒト膀胱癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強作用を示す図である。
図10】膵癌におけるCLDN4及びCLDN1の発現を示す図であり、そのうち(a)はグレードごとの発現であり、(b)はステージごとの発現であり、(c)はTファクターごとの発現であり(d)はNファクターごとの発現であり、(e)はMファクターごとの発現である。
図11】膀胱癌におけるCLDN4及びCLDN1の発現を示す図であり、そのうち(a)はTファクターごとの発現であり、(b)はステージごとの発現である。
図12】各CLDN4抗体のADCC活性を示す図であり、そのうち(a)は3B11,3G2,4D3,4F4,4F10のADCC活性を示す図であり、(b)は3G2,4B8,5A5,5D12のADCC活性を示す図である。
図13】CLDN4抗体(5D12,4B8,4D3,5A5)の各種CLDNに対する結合性を示す図である。
図14】CLDN4抗体(3G2,4F4,3B11,4F10)の各種CLDNに対する結合性を示す図である。
図15】(a)はMKN74細胞を皮下移植した担癌マウスにおける腫瘍体積を示す図であり、(b)はLoVo細胞を皮下移植した担癌マウスにおける腫瘍体積を示す図であり、(c)はMKN74細胞を皮下移植した担癌マウスにおける体重を示す図であり、(d)はLoVo細胞を皮下移植した担癌マウスにおける体重を示す図である。
図16】ヒトIgG1キメラ抗体の作製を示す写真図である。
図17】ヒトキメラ化抗体の各種CLDNに対する結合性を示す図である。
図18】(a)はMKN74細胞を用いたヒトIgG1キメラ抗体の補体依存性細胞傷害活性評価であり、(b)はMia Paca-2細胞を用いたヒトIgG1キメラ抗体の補体依存性細胞傷害活性評価である。
図19】ヒトIgG1キメラ抗体のADCC活性を示す図である。
図20】(a)はLoVo細胞を皮下移植した担癌マウスにおける腫瘍体積を示す図であり、(b)はMKN74細胞を皮下移植した担癌マウスにおける腫瘍体積を示す図であり、(c)はLoVo細胞を皮下移植した担癌マウスにおける体重を示す図であり、(d)はMKN74細胞を皮下移植した担癌マウスにおける体重を示す図である。
図21】CLDN4抗体/5A5の細胞内取込みをタンパク質合成阻害因子融合抗ラット抗体(rat-ZAP)を用いて解析した図である。(a)はMKN74細胞の細胞生存率を示す図であり、(b)はLoVo細胞の細胞生存率を示す図であり、(c)はMia Paca-2細胞の細胞生存率を示す図である。
図22】(a)はヒト肺癌細胞株に対するCLDN4/4D3抗体の細胞増殖阻害活性を示す図であり、(b)はヒト肺癌細胞株に対するCLDN1抗体クローン2C1の細胞増殖阻害活性を示す図である。
図23】ヒト肺癌細胞株に対するCLDN4/4D3抗体の細胞増殖阻害活性を示す図である。
図24】5-FUのPC-9ヒト肺癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図25】ヒト肺癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図26】ヒト大腸癌細胞株に対するCLDN4/4D3抗体の細胞増殖阻害活性および5-FU細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図27】5-FUのHT29ヒト大腸癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図28】(a)はヒト大腸癌細胞株HT29細胞に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図であり、(b)はヒト大腸癌細胞株Colo320細胞に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強を示す図である。
図29】非小細胞肺癌におけるCLDN1の発現を示す図である。
図30】非小細胞肺癌におけるCLDN4の発現を示す図である。
図31】肺腺癌におけるCLDN4の発現を示す図である。
図32】肺扁平上皮癌におけるCLDN4の発現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
【0014】
(抗体)
本発明にかかる抗CLDN4モノクローナル抗体は、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体である。本発明にかかる抗CLDN4モノクローナル抗体は、CLDN4遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、且つ該細胞外領域に結合する。
【0015】
CLDN4の細胞外領域には、例えばリガンド結合ドメイン(Ligand binding domain)、第一及び第二のフィブロネクチンドメイン(Fibronectin domain)のいずれも包含する。モノクローナル抗体、キメラ型抗体、ヒト化抗体は、任意のアイソタイプであることができる。抗体は、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、あるいはそれらの改変体、ラットIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgD、IgE、あるいはそれらの改変体であってもよい。任意の重鎖は、κ又はλ型の軽鎖と対形成してもよい。抗体にはFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、又はFvフラグメントが包含される。
【0016】
本発明者らは、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体として8つのクローンの作成に成功しており、それぞれ3B11、3G2、4D3、4F4、4F10、5A5、4B8、及び5D12と命名している。完全な抗体分子は、2つの重(H)鎖可変領域(VH)及び2つの軽(L)鎖可変領域(VL)を有しているところ、3B11では、VHは、QVQLKESGPGLVQPSQTLSLTCTVSGFSLRSYGVIWVRQPPGKGLEWVGVMWNNGNTEYSSPLKSRLTISRDTSKSQVFLKMNNLQTEDTAMYFCARSWDTNHIYGWFPYWGQGTLVTVSSAであった(配列番号1)。また、3B11では、VLは、DTVLTQSPALAVSPGERVTISCRATESVSTLMHWYQQKPGQQPKLLIYLASHLDSGVPARFSGSGSGTDFTLTIDPVDADDTATYYCQQSWNAPYTFGAGTKLELKRであった(配列番号2)。
【0017】
3G2では、VHは、EVQLVESGGGLVQPGRSLRVSCAASGFTFSIYGMAWVRQAPTKGLEWVASIINSGGSTYYRDSVRGRFTISRDNAKSTLYLQMDSLRSEDTATYYCTTVDGSHYFDYWGRGVMVTVSSAであった(配列番号3)。また、3G2では、VLは、DTVMTQSPASLSTSVGERVTVNCKASQHVHAAVAWFQQKPGQSPRRLIYLATSRHTGVPDRFTGSGFGRDFTLTISNVEAEDLAVYYCLQYGSIPFAFGSGTKLELIRであった(配列番号4)。
【0018】
4D3では、VHは、EVQLTESGGGLVPPGRSLKLSCEASGFIFSDYGMAWVRQGPTKGLEWVASITNSGGNTFYRDSVKGRFTISRDNAKRTLYLQMDSLRSEDTATYYCTTVDGSHYFDYWGQGVMVTVSSAであった(配列番号5)。また、4D3では、VLは、DTVMTQSPASMSTSVGERVTVNCKASQHVTAVVAWFQQKPGQSPKRLIYLSTYRHTGVPNRFTGSGFGRDFTLTISNVEAEDLAVYYCLQYGSIPFTFGSGTRLEIKRであった(配列番号6)。
【0019】
4F4では、VHは、EVQLVESGGGLVQPKGSLKLSCAASGFDFNSYGMSWVRQAPGKGLDLVADISSKSYSYATYYADSVKDRFTISRDDSQSMVYLQMDNLKTEDTALYYCAMILYGGFGGWGQGVMVTVSSAであった(配列番号7)。また、4F4では、VLは、DIVLTQSPALAVSPGQRATISCRASQSVSISSVNLMNWYQQKPGQQPKLLIYHASNLDSGIPTRFSGSGSGTDFTLTIDPVQADDIATYYCQHSRESPPTFGSGTKLEIKRであった(配列番号8)。
【0020】
4F10では、VHは、QVKLLQSGAELVKPGSSVKLSCKTSGFTFNKSYMSWLKQVPGQSIEWIGNIYAGHGGTHYNQKFKNKATLTVDTSSSTAYMDLSSLTSEDSALYFCARPDGGYNLNWFVYWGQGTLVTVSSAであった(配列番号9)。また、4F10では、VLは、DTVLTQSPALAVSPGERVTISCRASESVTTLMNWYQQKPGQQPKLLIYLASHLESGVPARFSGSGSGTDFTLTIDPVEADDTATYYCQQSWNDPKTFGVGTKLELKRであった(配列番号10)。
【0021】
5A5では、VHは、EVQLVESGGGLAQPKGSLKLSCAASGFDFDSYGVSWVRQAPGKGLDLVADISSKSYNYATFYADSVKDRFTISRDDSQSMVYLQMDNLKTDDTALYYCTVIAGGYLDYWGQGVMVTVSSAであった(配列番号11)。また、5A5では、VLは、DIVLTQSPALAVSLGQRATISCRASQSVSISGFNLMHWYQQKPGQQPKLLIYRASNLASGIPARFSGSGSGTDFTLTINPVQADDIATYYCQQSRESPPTFGEGTKLELKRであった(配列番号12)。
【0022】
4B8では、VHは、KLQLVESGGGLVQPGASLKLSCVASGFTLSDFWMSWVRQTPGKTMEWIGDIKYDGSYTNYVPSLKNRFTISRDSAKNTLYLQMSNVRSEDTATYYCTRVRGADFFDYWGQGVMVTVSSAであった(配列番号13)。また、4B8では、VLは、DTVMTQSPASMSTSVGERVTMNCKASRSVTAVVAWFQQKPGQSPKRLIYLATNRHTGVPDRFTGSGFGRDFTLTISNVEAEDLAVYYCLQYDSIPYTFGTGTKLELKRであった(配列番号14)。
【0023】
5D12では、VHは、EVQLVESGGGLVQPKGSLKLSCGASGFGFSSYAMSWVRQAPGKGLDWIATISIKTQNYATHYAESLKERVTISRDDSQSMVYLQMNNLKTEDTAFYYCTVNIPFDNWGQGVMVTVSSAであった(配列番号15)。また、5D12では、VLは、NIVMTQSPKSMSISVGDRVTMNCKASQNVGNNIAWYQQKPGQSPKVLIFYASYRFTGVPDRFTGGGYGTDFTLIINSVQAEDAAFYYCQRIYNSPYTFGAGTKLDLKRであった(配列番号16)。
【0024】
VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)に細分することができ、フレームワーク領域(FR)が散在している。本発明者らは、ハイブリドーマmRNAからRACE法(rapid amplification of cDNA ends)にてVH領域の配列を決定したところ、図1に示されるとおりの配列であり、また、VL領域の配列を決定したところ、図2に示されるとおりの配列であった。
【0025】
本実施形態にかかる抗体は、任意の種類の分子と抗体との共有結合により修飾又は複合化された、抗体誘導体を包含することも可能である。このような抗体誘導体として、例えば、アセチル化、グリコシル化、アミド化、PEG化、リン酸化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解的開裂、又は細胞内配位子又は他のタンパク質あるいは低分子化合物への結合により修飾されている抗体が挙げられる。
【0026】
本実施形態にかかる抗体を取得する方法としては、取得したい抗体を産生するハイブリドーマを培養し、得られた培養上清から常法によって抗体を精製して取得することができる。取得したハイブリドーマから抗体を採取する方法は、特に限定されるものではないが、例えば通常の腹水形成法や細胞培養法等を用いることが可能である。腹水形成法においては、例えば、骨髄腫細胞由来の哺乳動物と同種の動物の腹腔内にプリスタン等の鉱物油を投与し、その後ハイブリドーマ1×10〜1×10個を腹腔内に投与し、ハイブリドーマを大量に増殖させる。そして、1〜4週間後に腹水又は血清を採集する。細胞培養法においては、例えば、ハイブリドーマを10〜20%仔ウシ血清含有IMDM、RPMI-1640、MEM、E-RDF又は無血清培地等の動物細胞培養培地中で、通常の培養条件(例えば37℃、5%CO2濃度)で3〜14日間培養し、その培養上清から抗体を取得することができる。抗体の精製は、例えば、硫安塩析法、DEAEセルロース等の陰イオン交換体を利用するイオン交換クロマトグラフィー、プロテインAセファロース等を用いるアフィニティークロマトグラフィー、分子量や構造によってふるい分ける分子ふるいクロマトグラフィー等の公知の方法を適宜に選択して精製することが可能である。
【0027】
また、別の方法としては、取得したい抗体を産生するハイブリドーマから抗体をコードする遺伝子、より詳細には免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を取得して、該遺伝子を発現するためのベクターを作成し、宿主細胞(哺乳類細胞、昆虫細胞、微生物等)に導入して、該抗体を産生させることも可能である。このとき、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子について、望む形質を導入するための遺伝子改変を行ったり、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域を用いてヒトIgG骨格を有するキメラ抗体あるいはヒト化抗体、低分子抗体やスキャフォールド抗体を作成することは、公知の技術を用いることで、当業者であれば実施することができる。
【0028】
また、本発明は、CLDN4エピトープ(epitope)に結合する分子にも関する。エピトープ(epitope)とは、抗体が認識して結合する抗原の特定の構造単位であり、例えば有機合成化合物やペプチド等である。抗体は病原微生物や高分子物質等と結合する際、その全体を認識するわけではなく、エピトープを認識して結合し、エピトープは抗原性のための最小単位である。
【0029】
(医薬組成物)
本実施形態にかかる医薬組成物は、本実施形態にかかるラット抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒトキメラ抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒト化抗CLDN4モノクローナル抗体若しくはそのフラグメント又はCLDN4エピトープに結合する分子を有効成分とする。
【0030】
本実施形態にかかる医薬組成物は、経口、非経口投与のいずれかによって投与される。特に好ましくは非経口投与による投与方法であり、具体的には、注射投与、経鼻投与、経肺投与、経皮投与等である。注射投与の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射等によって本実施形態にかかる抗CLDN4モノクローナル抗体が全身又は局部的に投与される。
【0031】
投与方法は、特に限定されるものではなく、例えば患者の年齢、症状により適宜選択される。投与量としては、例えば、一回の投与につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で投与量が選択される。また例えば、患者あたり0.001から100000mg/bodyの範囲で投与量が選択される。本実施形態にかかる医薬組成物は、その投与時期として、疾患の臨床症状が生ずる前後を問わず投与することができる。本実施形態にかかる医薬組成物は、例えば、1日1〜3回、1週間に1〜7日投与することが可能である。
【0032】
本実施形態にかかるラット抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒトキメラ抗CLDN4モノクローナル抗体及びヒト化抗CLDN4モノクローナル抗体は、常法に従って製剤化され(例えば、Remington's Pharmaceutical Science, latest edition, Mack Publishing Company, Easton, U.S.A)、医薬的に許容される担体や添加物が共に含まれ得ることにより、医薬組成物として形成される。
【0033】
経口投与の製剤の場合、分散剤及び/又は溶解改善剤を製剤担体と共に錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤等の形態で製剤化して得られる。製剤担体としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、及び可塑剤等を使用できる。賦形剤としては、例えば、白糖、塩化ナトリウム、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、炭酸カルシウム等を使用できる。結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース等を使用できる。崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、乾燥デンプン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等を使用できる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコール等を使用できる。可塑剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油等を使用できる。分散剤及び/又は溶解改善剤としては、水溶性高分子及び界面活性剤等を使用できる。水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等を使用できる。界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のアルキル硫酸塩を使用できる。
【0034】
経口液体製剤は、甘味料(例えば、ショ糖)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、着色料、香料等とを混合して調製する。
【0035】
非経口投与用製剤のうち注射用製剤は、例えば、液剤、乳濁液、又は懸濁液の形態で調製され、血液に対して等張にされる。液体、乳濁液又は懸濁液の形態の製剤は、例えば、水性媒体、エチルアルコール、プロピレングリコール等を用いて調製される。水性媒体としては、水又は水を含有する媒体が挙げられる。水としては、注射用水が使用される。水を含有する媒体としては、例えば、生理食塩水、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)又は乳酸配合リンゲル液等が挙げられる。
【0036】
注射用製剤において、当技術分野で通常使用されている添加剤を適宜用いることができる。添加剤としては、例えば、等張化剤、安定化剤、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤、又は溶解補助剤等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール等の糖類、塩化ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等が挙げられる。保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール、クロロクレゾール、フェネチルアルコール、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。キレート剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、デキストラン、ポリビニルピロリドン、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン、サリチル酸アミド、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
【0037】
本実施形態にかかる医薬組成物は、白金製剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、ホルモン製剤、分子標的薬、又は血管新生阻害薬の何れからなる抗癌剤と、本実施形態にかかるラット抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒトキメラ抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒト化抗CLDN4モノクローナル抗体若しくはそのフラグメント又はCLDN4エピトープに結合する分子と、を併用して有効成分とすることも可能である。即ち、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒトキメラ抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒト化抗CLDN4モノクローナル抗体若しくはそのフラグメント又はCLDN4エピトープに結合する分子を使用することにより、化学抗癌剤による癌患者に対する治療に際して、この化学抗癌剤の治療効果を増強し、且つ、化学抗癌剤に起因する副作用を低減することが可能となる。治療効果の増強とは、治療の奏功率が上昇すること、治療のために投与される化学抗癌剤の量が低減すること、化学抗癌剤による治療期間が短くなることをいう。
【0038】
化学抗癌剤とラット抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒトキメラ抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒト化抗CLDN4モノクローナル抗体若しくはそのフラグメント又はCLDN4エピトープに結合する分子との投与の順番は、抗CLDN4モノクローナル抗体の投与後に化学抗癌剤が投与され得るし、化学抗癌剤と抗CLDN4モノクローナル抗体とが同時に投与され得るし、また、化学抗癌剤の投与後に抗CLDN4モノクローナル抗体が投与され得る。
【0039】
白金製剤としては、例えばシスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン等が使用されるが、好ましくはシスプラチンである。また、代謝拮抗剤としては、例えば5−フルオロウラシル、エノシタビン、カペシタビン、カルモフール、クラドリビン等が使用されるが、好ましくはフルオロフラシルである。
【0040】
本実施形態にかかる医薬組成物は、膵癌、膀胱癌、乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝細胞癌、胆管細胞癌、肺癌、前立腺癌、腎細胞癌、口頸部癌、子宮癌、卵巣癌、又は皮膚癌等の癌疾患に適用でき、好ましくは膵癌、膀胱癌である。
【0041】
なお、本発明は、癌治療に有効な量のラット抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒトキメラ抗CLDN4モノクローナル抗体、ヒト化抗CLDN4モノクローナル抗体及び使用説明書を含む、キットを構成することも可能である。
【0042】
(腫瘍マーカー)
本実施形態にかかる腫瘍マーカーは、癌疾患の予後予測をするための腫瘍マーカーであり、CLDN4からなる。本実施形態においては、腫瘍マーカーとして患者のCLDN4の発現量を測定することにより、癌の検査を行う。CLDN4の発現量が上昇している場合、癌治療に対する予後が不良と予測する。
【0043】
本実施形態においては、CLDN4を腫瘍マーカーとして検出又は定量する方法は、生体検体中のCLDN4を確認可能な方法であれば良く、特に限定されない。各生体検体におけるCLDN4は、以下に例示する通り任意の方法で検出又は定量することができる。なお、CLDN4の検出又は定量は、単にCLDN4の有無を検出するものであってもよく、またCLDN4の発現量を相対的又は絶対的に決定するものでもよい。CLDN4発現は、タンパク質レベルで検出又は定量してもよく、またmRNAレベルで検出又は定量してもよい。
【0044】
CLDN4発現のタンパク質レベルでの検出又は定量は、免疫学的手法によるのが簡便であり、好適である。例えば、免疫染色法(蛍光抗体法、酵素抗体法、放射性同位元素標識抗体法を含む)、電気泳動法による分離と蛍光、酵素、放射性同位元素などによる検出又は定量との組み合わせ(ウェスタンブロット法、蛍光二次元電気泳動法を含む)、酵素免疫測定吸着法(ELISA)、ドット・ブロッティング法等により行うことができる。また、mRNAレベルでの検出又は定量は、例えば、RT-PCR(好ましくはリアルタイムRT-PCR)、ノーザン・ブロッティング法等により行うことができる。
【0045】
CLDN4発現の検出又は定量の結果は、2種類の段階(陽性及び陰性)に分類することができる。CLDN4発現の分類は、検出又は定量方法に応じて、十分な経験を有する病理医、臨床医、検査技師又は検査施設が行うことが好ましい。
【0046】
なお、CLDN4発現の分類は、患者からの生体検体におけるCLDN4の発現量を、コントロールにおけるCLDN4の発現量と比較することにより行うことが好ましい。CLDN4発現の結果を分類する段階の数に応じて、複数のコントロールを用いることが好ましい。例えば、CLDN4発現の結果を2種類の段階(陽性及び陰性)に分類する場合は、それぞれの段階に対応した2種類のコントロール(CLDN4陽性コントロール及びCLDN4陰性コントロール)を用いることが好ましい。
【0047】
なお、本発明には、癌を患う患者の予後を予測するための検査用試薬並びに検査用試薬キットも含まれる。本実施形態にかかるキットにより、患者から得られた生体検体におけるCLDN4の発現を検出又は定量することができる。すなわち、タンパク質レベルでCLDN4の発現を検出又は定量するための検査用試薬キットとして、免疫学的手法、例えば免疫組織染色やウェスタンブロット法などに使用される検査用キットが挙げられる。免疫学的手法により検査を行う場合には、少なくとも抗CLDN4抗体が検査用試薬に含まれる。
【実施例】
【0048】
1)細胞融合
ヒトCLDN4発現プラスミドの皮下免疫により血清中抗体の上昇が観察されたWistarラット個体(Rt12, 13, 14, 15)に対し、最終免疫(ブースティング)を行った。最終免疫後、常法に従い、動物からリンパ細胞を回収し、マウスミエローマ細胞(P3U1)と細胞融合を行った。融合後の細胞を96well plate 10枚に播種し、培養培地1*にて14日間、37℃、5% CO2下で培養した。
*培養培地1:D-MEM(wako, 044-29765)+10%FCS(Hyclone, Lot.FQF24009), 10% BM condimed H1 Hybridoma cloning supplement(Roche, 1088947), 1×HAT supplement(Invitrogen, 21060017), 50μg/mL Penicillin/Streptomycin(Invitrogen, 15140122), 4mM L-Glutamine(Invitrogen, 25030081)
2)特異モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの樹立
培養後、全てのプレートウェルから培養上清を回収した。ヒトCLDN4発現プラスミドをCHO細胞にLipofectamine2000 (Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後、24時間で一過性強制発現細胞を回収した。通常のCell-ELISAプロトコルに従い、回収した一過性強制発現細胞を用い、上記で回収した培養上清、及びHRP標識抗ラットIgG抗体で染色した後、蛍光基質Amplex Red reagent(Invitrogen)と反応させ、プレートリーダーで蛍光強度を測定した。この結果、合計84ウェルで陽性を示す蛍光強度が確認された。
【0049】
更に、陽性の84ウェル分の培養上清に関して、以下のようにFCM解析(Mock有)を行った。ヒトCLDN4発現プラスミド、又はcontrolベクターを293T細胞にLipofectamine2000 (Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後、24時間で一過性強制発現細胞を回収した。回収した一過性強制発現細胞を用い、培養上清、及びPE標識抗ラットIgG抗体で染色し、フローサイトメーター(FCM)解析を行った。この結果、36ウェルで陽性を示すシフトが確認された。
【0050】
FCM陽性の36ウェル(36クローン)からそれぞれハイブリドーマ細胞を回収し、各クローンに関し1.2 cells/wellで96-well plate1枚(合計36枚)に撒き、培養培地1*にて10〜12日間、37℃、5% CO2下で培養した。培養後、全てのプレートウェルから培養上清を回収した。ヒトCLDN4発現プラスミドをCHO細胞にLipofectamine2000 (Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後、24時間で一過性強制発現細胞を回収した。通常のCell-ELISAプロトコルに従い、回収した一過性強制発現細胞を用い、上記で回収した培養上清、及びHRP標識抗ラットIgG抗体で染色した後、蛍光基質Amplex Red reagent(Invitrogen)と反応させ、プレートリーダーで蛍光強度を測定した(CELISA解析, Mock無)。この結果、合計25プレート(25クローン)において、陽性の蛍光強度を示すウェルが確認された。
【0051】
陽性の確認された25クローン分のプレートから、顕微鏡下でシングルコロニー形成の認められるウェルをプレートあたり3ウェル選択し、24well plateに37℃、5% CO2下で拡大し培養培地1*にて培養を行った。3日間培養後、全てのウェルを6-well plateに拡大し培養培地2*にて培養を行った。3日間培養後、培養上清を回収した。ヒトCLDN4発現プラスミド、又はcontrolベクターを293T細胞にLipofectamine2000 (Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後、24時間で一過性強制発現細胞を回収した。回収した一過性強制発現細胞を用い、培養上清(Cell-ELISA陽性の25X3ウェル分)、及びPE標識抗ラットIgG抗体で染色し、フローサイトメーター(FCM)解析を行った。この結果、図3に示すように、11クローン分で陽性を示すシフトが確認された。
【0052】
シフト強度が強く、且つ細胞数の多いウェルを各クローン1ウェルずつ選択し、75cm2Flaskに37℃、5% CO2下で拡大し培養培地2*にて培養を行った。3〜5日間培養後、150cm2dish3枚に拡大し培養培地2*にて培養を行った。うち、2枚に関しては、3日間培養後、細胞を回収しセルバンカー(血清タイプ)にて細胞ストックを3本作製し、-80℃保管した。(バイアルあたり3×10e6 cells)残り1枚に関しては、5日間培養後、培養上清(25mL、オーバーグロース)を回収し、20mL分を-20℃で保管した。
【0053】
ヒトCLDN4発現プラスミド、又はcontrolベクターを293T細胞にLipofectamine2000 (Invitrogen)を用いてトランスフェクションした。トランスフェクション後、24時間で一過性強制発現細胞を回収した。回収した一過性強制発現細胞を用い、回収した培養上清の一部、及びPE標識抗ラットIgG抗体で染色し、FCM解析を行った。また、培養上清の一部を用いて、Rat immunoglobulin isotyping ELISA kit(BD)を用いて培養上清中の抗体のクラス、サブクラス決定を行った。
*培養培地2:D-MEM(wako, 044-29765)+10%FCS (Hyclone, Lot.FQF24009), 5% BM condimed H1 Hybridoma cloning supplement (Roche, 1088947), 1×HAT supplement (Invitrogen, 21060017), 50μg/mL Penicillin/Streptomycin (Invitrogen, 15140122), 4mM L-Glutamine (Invitrogen, 25030081) 各抗体のクラス、サブクラス決定についての結果を下記表1に記載する。
【0054】
【表1】
【0055】
3)CLDN4抗体による抗癌活性
3−1)ヒト膵癌細胞株に対するCLDN44抗体クローン4D3(以下CLDN4/4D3抗体)の細胞増殖阻害活性
CLDN4を発現するヒト膵癌細胞株MIA-PaCa細胞を2000細胞/200μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群12穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体、又は、CLDN1抗体クローン2C1(VHは、QVQLQQPGAELVKTGASVKLSCKASGYTFASYWMHWVKQRPGQGPEWIGMSHPNIGATKYNEKFKTKATLTVEKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCATSGFDYWGQGTTLTVSS(配列番号17)、VLは、DIVLTQSPDTLSVTPGDSVSLSCRATQSISNNLHWYRQKSHESPRLLIKYASQSVSGIPSRFSGSGSGTDFTLNINSVETEDFGMYFCQQSNSWPFTFGSGTKLEIKR(配列番号18))を最終タンパク濃度が0.25, 0.5, 1.0μg/mLになるように添加し、対照としてPBSを10μL/穴加えた。また、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。
【0056】
以上の条件で、37℃、48時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200μL添加震盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。棒グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。
【0057】
結果を図4に示す。図4に示されるように、膵臓癌細胞の増殖抑制効果につき、CLDN1抗体では有意差はないと考えられるが、CLDN4抗体では有意差があると考えられる。
【0058】
3−2)ヒト膵癌細胞株に対する5-FU細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト膵癌細胞株MIA-PaCa細胞を2000細胞/200μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群8穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体を最終タンパク濃度が0.25, 0.5, 1.0μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10μL/穴加えた。また、同時に5-FU(和光純薬社製)を10, 50μg/mLになるように添加した。一方、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200μL添加振盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。棒グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。
【0059】
結果を図5に示す。図5に示されるように、CLDN4抗体により、ヒト膵癌細胞株に対する5-FUの細胞増殖阻害活性が増強されることが明らかとなった。
【0060】
3−3)5-FUのMIA-PaCaヒト膵癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト膵癌細胞株MIA-PaCa細胞を1×105細胞/10 mL/10 cm培養皿になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し播種した。細胞が90%コンフルエントに増加した状態で、培養液中にCLDN4/4D3抗体を最終濃度が0.25, 0.5, 1.0μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10μL/穴加えた。また、同時に5-FU(和光純薬社製)を1, 10, 50, 100μg/mLになるように添加した。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、細胞をトリプシン処理し回収しタンパク抽出キット(GEヘルスケア社製)にてタンパクを可溶化し、5-FU濃度をELISA(メイベル社製)にて測定し、5-FU処理濃度10μg/mLの際の5-FU細胞内濃度を1.0として相対的濃度を算出した。グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。
【0061】
結果を図6に示す。図6に示されるように、CLDN4抗体により、MIA-PaCaヒト膵癌細胞株細胞内に5-FUが移行することが明らかとなった。
【0062】
3−4)ヒト膵癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト膵癌細胞株MIA-PaCa細胞1x107細胞をHank’s Balanced Salt液(Sigma社製)200μLに懸濁し、BALB/cヌードマウス・オス・4週齢20匹の背部皮下に接種した。これを各群5匹の4群に分け、対照群(PBS投与)、5FU群(5-FU 10 mg/kg体重)、抗体群(CLDN4/4D3抗体 1mg/kg体重)、及び、併用群(5-FU 10 mg/kg体重+CLDN4/4D3抗体 1mg/kg体重)の各処理を行った。投与は腹腔内投与で行い、併用群では5-FUと抗体は混合せず別途投与した。投与は、腫瘍細胞接種時、接種後3日後及び7日後の3回施行した。皮下腫瘍は接種後4週まで毎週直径を測定し、平均±SDとして表示した。
【0063】
結果を図7に示す。図7に示されるように、CLDN4抗体と5-FUとの併用により、ヒト膵癌細胞株皮下腫瘍に対して腫瘍増殖阻害活性が向上していることが明らかとなった。
【0064】
3−5)ヒト膀胱癌細胞株に対するシスプラチン(CDDP)細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト膀胱癌細胞株T24細胞を2000細胞/200μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群12穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体を最終タンパク濃度が1.0μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10μL/穴加えた。また、同時にCDDP(Alexis社製)を5, 12.5μg/mLになるように添加した。一方、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200μL添加震盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。
【0065】
結果を図8に示す。図8に示されるように、CLDN4抗体とCDDPとの併用により、ヒト膀胱癌細胞株に対して腫瘍増殖阻害活性が向上していることが明らかとなった。
【0066】
3−6)CDDPのT24ヒト膀胱癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強作用
ヒト膀胱癌細胞株T24細胞を1×109細胞/10 mL/15 cm培養皿になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群12穴とした。細胞が90%コンフルエントになった状態で、培養液中にCLDN4/4D3抗体を最終タンパク濃度が1.0 μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10μL/穴加えた。また、同時にCDDP(Alexis社製)を5, 12.5μg/mLになるように添加した。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、細胞をトリプシン処理し回収しタンパク抽出キット(GEヘルスケア社製)にてタンパクを可溶化し、CDDP濃度を原子吸光分析(島津テクノリサーチ)にて測定し、CDDP無処理細胞のCDDP細胞内濃度を1.0として相対的濃度を算出した。グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。
【0067】
結果を図9に示す。図9に示されるように、CLDN4抗体により、T24ヒト膀胱癌細胞株細胞内にCDDPが移行することが明らかとなった。
【0068】
3−7)膵癌におけるCLDN4及びCLDN1の発現
奈良県立医科大学分子病理で診断した91例の膵癌(膵管癌)症例の病理組織標本の代表的パラフィン包埋組織ブロックから作成した薄切標本(4μm厚)を脱パラフィン後、内因性ペルオキシダーゼを0.01%H2O2-50%メタノール液 (和光純薬社製)によりブロックした。TBS(Sigma社製)により加水した後、CLDN4/4D3抗体、又は、CLDN1抗体クローン2C1の0.5μg/mL TBS希釈液にて、室温・2時間インキュベートした後、0.5%Tween-TBS(Sigma社製)にて洗浄した。更に、ペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG抗体(DAKO社製)の1%希釈液にて、室温・1時間インキュベートした後、0.5%Tween-TBS(Sigma社製)にて洗浄した。DAB発色キット(DAKO社製)にて発色後、ヘマトキシリン液(Sigma社製)にて核染色を行った。流水にて洗浄後、エタノール脱水・キシレン透徹し封入し免疫染色標本を作製した。標本は、光学顕微鏡にて観察し、染色強度(0, 1, 2, 3の4段階に評価)と染色腫瘍細胞(%)の積(0〜300)で半定量化した。有意差はANOVA法にて検定した。棒グラフは平均±SDを示している。
【0069】
結果を図10(a)〜(e)に示す。図10(a)〜(e)に示されるように、CLDN4は膵癌の悪性度予測マーカーとして利用できることが明らかとなった。これにより、被験者試料におけるCLDN4の発現が、膵癌治療の選択枝判断の有力情報となることが判明した。
【0070】
3−8)膀胱癌におけるCLDN4及びCLDN1の発現
奈良県立医科大学分子病理で診断した86例の膀胱癌(尿路上皮癌)症例の病理組織標本の代表的パラフィン包埋組織ブロックから作成した薄切標本(4μm厚)を脱パラフィン後、内因性ペルオキシダーゼを0.01%H2O2-50%メタノール液 (和光純薬社製)によりブロックした。TBS(Sigma社製)により加水した後、CLDN4/4D3抗体、または、CLDN1抗体クローン2C1の0.5μg/mL TBS希釈液にて、室温・2時間インキュベートした後、0.5%Tween-TBS(Sigma社製)にて洗浄した。更に、ペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG抗体(DAKO社製)の1%希釈液にて、室温・1時間インキュベートした後、0.5%Tween-TBS(Sigma社製)にて洗浄した。DAB発色キット(DAKO社製)にて発色後、ヘマトキシリン液(Sigma社製)にて核染色を行った。流水にて洗浄後、エタノール脱水・キシレン透徹し封入し免疫染色標本を作製した。標本は、光学顕微鏡にて観察し、染色強度(0, 1, 2, 3の4段階に評価)と染色腫瘍細胞(%)の積(0〜300)として半定量化した。有意差はANOVA法にて検定した。棒グラフは平均±SDを示している。
【0071】
結果を図11(a)(b)に示す。図11(a)(b)に示されるように、CLDN4は膀胱癌の悪性度予測マーカーとして利用できることが明らかとなった。これにより、被験者試料におけるCLDN4の発現が、膀胱癌治療の選択枝判断の有力情報となることが判明した。膀胱癌では、癌が膀胱の筋肉層に浸潤しているステージ2では、5年生存率は80〜85%とされているが、筋肉層を越えて膀胱付近にまで癌が浸潤しているステージ3では、5年生存率は40〜55%とされており、ステージ2とステージ3とでは膀胱癌の深刻度が相違すると考えられるが、CLDN4の発現を見ることにより、例えばステージ2とステージ3との相違を判別しやすくなり、膀膀胱癌の悪性度を容易に予測できることが明らかとなった。
【0072】
3−9)CLDN4抗体の抗体依存性細胞傷害活性
各CLDN4抗体の抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)をFcγ受容体の活性化を指標に評価した。96穴プレートに標的細胞(1×104細胞/穴)を播種し、炭酸ガスインキュベーター内で24時間培養した。培養液を除去し、OPTI-MEM培地(Invitrogen社製)に懸濁した各CLDN4抗体及びFcγ受容体とルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するエフェクター細胞(1×105細胞/100 μl/穴)を添加した。炭酸ガスインキュベーター内で6時間培養後、各ウェルに100 μlのONE-Glo Luciferase Assay試薬(Promega社製)を添加し5分間反応させた後、発光プレートリーダー(パーキンエルマー社製)を用いて各ウェルのルシフェラーゼ活性を測定した。結果を図12(a)(b)に示す。各CLDN4抗体の添加濃度に依存して、エフェクター細胞の活性化が確認され、これらの抗体によりFcγ受容体を介したADCC活性が発揮されることが示された。上述の実施例ではCLDN4/4D3抗体の抗癌活性が実証されたが、本実験により各CLDN4抗体のADCC活性が確認されたことにより、CLDN4/4D3抗体と同様にこれ以外の抗体についても抗癌活性が存在することが示唆された。
【0073】
4)ラット抗CLDN4モノクローナル抗体の結合性評価
細胞は、マウスCLDN4(mCL4)発現L細胞、ヒトCLDN4(hCLDN4)発現HT1080細胞を使用し、コントロールとしてmockHT1080細胞を用いた。濃度はそれぞれ5×105cells/wellとした。抗体は、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体(3B11、3G2、4D3、4F4、4F10、5A5、4B8、5D12)を使用した。
一次抗体として各クローンの抗体(ラット精製抗体:5μg/mL、キメラ抗体:培養上清原液)を使用した(100μL/well, 10μg/mL)。0.2%BSA-PBSで1回洗浄した後に、二次抗体としてanti-rat又はanti-human IgG-FITC(1/500)(15000倍希釈, 100μL/well)を用いた。そして0.2%BSA-PBSで2回洗浄した後に、FACS caliburにて測定して結合性評価を試みた。
【0074】
図13及び図14に示されるように、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体(3B11、3G2、4D3、4F4、4F10、5A5、4B8、5D12)はいずれもがヒトCLDN4に対する結合性を有していることが示され、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体(4B8、5D12)はマウスCLDN4に対する結合性を有していること、ラット抗CLDN4モノクローナル抗体(5A5, 3B11, 4F10)はヒトCLDN3に対する結合性を有していることが示された。また、本発明にかかるラット抗CLDN4モノクローナル抗体は、ヒトCLDN1、2、5、6、7及び9に対する結合性を有していないことが示された。
【0075】
5)クローン5A5の抗腫瘍活性
Balb/c Slc-nu/nuマウス(雌性、7週齢)にヒト胃癌細胞株MKN74細胞もしくはヒト結腸癌細胞株LoVo細胞(1 × 107cells)を皮下移植した。移植後、PBS, rat IgG, rat anti-CLDN1 Ab (5A5)(0.1, 1 mg/kg body weight)を週2回腹腔内投与し、腫瘍増殖抑制効果を解析した。尚、腫瘍体積は、長径×(短径)2/2で計算した。
【0076】
MKN74細胞を皮下移植した担癌マウスにおいて、rat IgG投与では腫瘍増殖抑制効果は観察されなかったものの、5A5投与群では有意な腫瘍増殖抑制活性が認められた(図15(a))。LoVo細胞の皮下移植マウスでも、5A5投与により腫瘍増殖が抑制傾向にあった(図15(b))。またこの時、いずれの担癌マウスモデルにおいても、抗体投与に伴う体重減少は観察されなかった(図15(c)(d))。5A5はMKN74細胞やLoVo細胞に対して補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有していないこと(data not shown)、Fcγ IIIa受容体活性化能を有していることから(特願2013-40211)、5A5の抗腫瘍活性にはFcγ IIIa受容体活性化に伴う抗体依存性細胞障害性(ADCC)が関与していると推察される。
5A5以外の抗体クローンも、Fcγ IIIa受容体活性化能を有していたことから(特願2013-40211)、いずれのクローンもADCC活性を介してCLDN4発現癌細胞に対して抗腫瘍活性を引き起こすものと期待される。
【0077】
6)ヒトIgG1キメラ抗体の作製
6−1)発現ベクター作製
各抗体クローンの可変部領域のVL領域およびVH領域のアミノ酸をコードする遺伝子をPCR法により増幅した。なお、VL遺伝子の上流にAgeサイト、下流にBsiWサイト、VH遺伝子の上流にEcoRサイト、下流にNheサイトを付加した。PCR産物を電気泳動により分離・精製した。
【0078】
増幅したVL遺伝子及びヒトIgG kappa鎖定常領域をもつクローニングベクターであるpFUSE2-CLIg-hk (Invivogen)をAge及びBsiWで処理後、ライゲーションした。増幅したVH遺伝子及びヒトIgG1重鎖定常領域をもつクローニングベクターであるpFUSE-CHIg-hG1 (Invivogen)をEcoR及びNheで処理後、ライゲーションした。各ライゲーション産物をコンピテントセルDH-5αにトランスフォーメーションし、独立大腸菌クローンを培養、プラスミドDNAを回収後、シークエンスを確認し、pFUSE2-CLIg-hk-anti-CLDN4及びpFUSE-CHIg-hG1-anti-CLDN4を得た。
【0079】
6−2)ヒトIgG1キメラ抗体の作製および精製
フラスコに5×105cells/mLに調製したCHO-S細胞を150 mL入れ、37 ℃、8% CO2環境下で一晩培養した。作製した発現ベクター187.5 μg(VL:VH=1:1)にOptiPRO SFMを加え3 mLに調製し、FreeStyleMAX Reagent (Invitrogen) 187.5 μLとOptiPRO SFM 2812.5 μLを混和した溶液に加え、10分間常温で静置した。その後、CHO-S細胞の入ったフラスコに、混合液を全量加え、37 ℃、8% CO2環境下で培養し、培養6日目に培養上清を回収した。
【0080】
回収した上清を100g、5分間遠心にかけ、0.45 μmのフィルターを用いて夾雑物を除去した。次に、HiTrap Protein G HP(GE Healthcare)をMilli Q 5 mLで 洗浄後、0.02 M リン酸バッファー10 mLでカラムの平衡化を行った。サンプルをカラムに通した後、0.02 M リン酸バッファー20 mLで洗浄し、5 mLの0.1 M Glycine-HClにて抗体画分を溶出した。尚、抗体画分はあらかじめ37.5 μLの1 M Tris-HClを入れた容器に0.5 mLずつ回収した。溶出後のサンプルはPD-10カラム(GE Healthcare)を用いてPBSにバッファー置換し、SDS-PAGEによりキメラ抗体の精製を確認した(図16)。
【0081】
6−3)各種CLDNに対する結合性解析
ヒトCLDN1、ヒトCLDN2、ヒトCLDN3、ヒトCLDN4、ヒトCLDN6、ヒトCLDN7、ヒトCLDN9発現HT1080細胞をトリプシン処理により回収した。5.0 x 105 cellsに対し、各抗体5 μg/mLを100 μL添加し、撹拌し氷上で1時間静置した。0.2% BSA-PBSにて1回洗浄後、1% BSA-PBSにて希釈したGoat anti-human IgG(H+L)-FITC抗体(Jackson Immuno Research)を添加、撹拌、氷上で遮光し30分静置した。0.2% BSA-PBSにて2回洗浄後、0.2% BSA-PBSにて終濃度5 μg/mLとなるように希釈したPI (Miltenyi Biotec)を加え、FCM解析を行った。
【0082】
ヒトIgG1キメラ抗体の結合特異性をFCMにより解析したところ、xi3G2, xi4b8, xi5A5, xi3B11, xi5D12はヒトCLDN1, ヒトCLDN2, ヒトCLDN6, ヒトCLDN7, ヒトCLDN9発現HT1080細胞には結合せず、xi3G2, xi5A5, xi3B11はヒトCLDN3, ヒトCLDN4発現HT1080細胞、xi4b8, xi5D12はヒトCLDN4発現HT1080細胞に対して結合性を有していた(図17)。以上、いずれのクローンもラット抗体と同じ結合特異性を有していたことから、それぞれのCDR領域がCL結合に必須であると示唆される。
【0083】
7)ヒトIgG1キメラ抗体の補体依存性細胞傷害(CDC)活性評価
MKN74細胞、もしくはMia Paca-2細胞を96穴プレートに5 × 104cells/穴/45 μLで播種し、ヒトIgG1キメラ抗体を終濃度0.005、0.05、0.5 μg/mLとなるように添加、37 ℃で1時間培養した。その後、ヒト血清をヒト終濃度10%となるように添加、37 ℃で3時間培養後、WST-8法により生細胞を測定した。
【0084】
CLDN4結合性に優れた5A5, 5D12に着目し、MKN74細胞(図18(a))およびMia Paca-2細胞(図18(b))を用いてCDC活性を解析したところ、xi5A5およびxi5D12いずれでもCDC活性が認められた。しかしながら、いずれの活性も弱く、xi5D12では添加量依存性は認められていない。これは、MKN74細胞およびMia Paca-2細胞には補体抵抗性を有するCD59が発現していることに一部起因している可能性がある。
【0085】
8)ヒトIgG1キメラ抗体のADCC活性
96穴プレートにヒトCLDN4発現HT1080細胞(1 x 104細胞/穴)を播種し、炭酸ガスインキュベーター内で一晩培養した。培養液を除去し、OPTI-MEM培地(Invitrogen)に懸濁した各CLDN4抗体およびFcγ受容体とルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するエフェクター細胞(1x105細胞/100 μL/穴)を添加した。炭酸ガスインキュベーター内で6時間培養後、各ウェルに100 μLのONE-Glo Luciferase Assay試薬(Promega)を添加し5分間反応させた後、発光プレートリーダー(Perkin Elmer)を用いて各ウェルのルシフェラーゼ活性を測定した。
【0086】
ADCCには、免疫細胞上に発現しているFcγ受容体の活性化が関与している。そこで、NK細胞上に発現しているFcγIIIa受容体活性化能を解析したところ、いずれのクローンもCLDN4発現細胞の共存下で抗体添加量依存的にFcγ受容体発現エフェクター細胞の活性化が認められた(図19)。この結果より、これらヒトIgG1キメラ抗体はADCC活性を発揮するものと推察される。
【0087】
9)ヒトIgG1キメラ抗体の抗腫瘍活性
Balb/c Slc-nu/nuマウス(雌性、7週齢)にMKN74細胞またはLoVo細胞(1×107 cells)を皮下移植した。移植後、PBS, ラットIgG (5A5)、ヒトIgG1キメラ(xi5A5) (1 mg/kg body weight)を週2回、4週間腹腔内投与し、腫瘍増殖抑制効果を解析した。
【0088】
5A5に比してxi5A5では腫瘍増殖抑制活性が増強していた(図20(a))。また、MKN74細胞の皮下移植モデルに対しても、xi5A5投与2週間目には有意な腫瘍増殖抑制効果が観察されており、5A5に比してxi5A5は優れた抗腫瘍活性を有していた(図20(b))。尚、この時、両モデルにおいてxi5A5投与に伴う体重減少は認められていない(図20(c)(d))。xi5A5はFcγ受容体活性化能を有すること、Balb/c Slc-nu/nuマウスにNK細胞が存在することから、xi5A5の抗腫瘍活性にはADCC活性が関与していると推察される。xi5A5と同様、Xi3B11, xi3G2, xi4b8, xi5D12もFcγ受容体活性化能を示していることから、これらいずれのクローンも抗癌剤シーズとして有用であると期待される。
【0089】
10)5A5抗体のターゲティング能解析
サポリンを付加した抗ラットIgG抗体(rat-ZAP)を用いて、5A5のCLDN4ターゲティング能を解析した。尚、サポリンはリボソームに作用することでタンパク質合成を阻害、細胞毒性発揮する分子であり、単独では細胞内に取り込まれることはない。
【0090】
MKN74、LoVoまたはMia Paca-2細胞を96穴プレートに1×10 cells/穴で播種し、播種24時間後にラット抗体5A5(0.5, 2.5 μg/mL)を添加した。5A5添加48時間後に培地を交換し、rat-ZAP(1 μg/mL)を添加した。Rat-ZAP添加72時間後に、WST-8法により細胞生存率を測定した。
【0091】
5A5未添加群、rat-ZAP未添加群では細胞障害性が全く観察されていないのに対して、5A5およびrat-ZAPを添加することでいずれの細胞に対しても細胞毒性が認められた(図21(a)(b)(c))。
【0092】
以上の結果より、CLDN4抗体を用いることで、CLDN4発現癌細胞に対するDDS技術の開発が期待される。
【0093】
11)ヒト肺癌細胞株に対するCLDN4抗体クローン4D3(以下CLDN4/4D3抗体)の細胞増殖阻害活性
CLDN4を発現するヒト肺腺癌細胞株PC-9細胞を2000細胞/200μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群12穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体、または、CLDN1抗体クローン2C1を最終タンパク濃度が0.25, 0.5, 1.0 μg/mLになるように添加し、対照としてPBSを10 μL/穴加えた。また、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。以上の条件で、37℃、48時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25 μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200 μL添加震盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595 nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。棒グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。図22(a)(b)に示されるように、CLDN4/4D3抗体は、ヒト肺腺癌細胞株PC-9細胞に対して細胞増殖阻害活性を示した。
【0094】
12)ヒト肺癌細胞株に対する5-FU細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト肺癌細胞株PC-9細胞を2000細胞/200μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群8穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体を最終タンパク濃度が0.25, 0.5, 1.0 μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10 μL/穴加えた。また、同時に5-FU(和光純薬社製)を10, 50 μg/mLになるように添加した。一方、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25 μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200 μL添加震盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595 nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。棒グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。図23に示されるように、5-FUの細胞増殖阻害活性は、CLDN4/4D3抗体の添加濃度依存的に増大していた。
【0095】
13)5-FUのPC-9ヒト肺癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト肺癌細胞株PC-9細胞を1x105細胞/10mL/10cm培養皿になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し播種した。細胞が90%コンフルエントに増加した状態で、培養液中にCLDN4/4D3抗体を最終濃度が0.25, 0.5, 1.0 μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10 μL/穴加えた。また、同時に5-FU(和光純薬社製)を10, 50 μg/mLになるように添加した。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、細胞をトリプシン処理し回収しタンパク抽出キット(GEヘルスケア社製)にてタンパクを可溶化し、5-FU濃度をELISA(メイベル社製)にて測定し、5-FU処理濃度10 μg/mLの際の5-FU細胞内濃度を1.0として相対的濃度を算出した。グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。図24に示されるように、5-FUのPC-9ヒト肺癌細胞株細胞内移行は、CLDN4/4D3抗体の添加濃度依存的に増大していた。
【0096】
14)ヒト肺癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト肺癌細胞株PC-9細胞1x107細胞をHank’s Balanced Salt液(Sigma社製)200 μLに懸濁し、BALB/cヌードマウス・オス・4週齢20匹の背部皮下に接種した。これを各群5匹の4群に分け、対照群(PBS投与)、5FU群(5-FU 10 mg/kg体重)、抗体群(CLDN4/4D3抗体 1 mg/kg体重)、および、併用群(5-FU 10 mg/kg体重+CLDN4/4D3抗体1 mg/kg体重)の各処理を行った。投与は腹腔内投与で行い、併用群では5-FUと抗体は混合せず別途投与した。投与は、腫瘍細胞接種時、接種後3日後および7日後の3回施行した。皮下腫瘍は接種後4週まで毎週直径を測定し、平均±SDとして表示した。図25に示されるように、in vivoにおいて、ヒト肺癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性がCLDN4/4D3抗体により増強していた。
【0097】
15)ヒト大腸癌細胞株に対するCLDN4抗体クローン4D3(以下CLDN4/4D3抗体)の細胞増殖阻害活性および5-FU細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
CLDN4を発現するヒト大腸癌細胞株HT29細胞を2000細胞/200 μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群12穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体を最終タンパク濃度が0.25, 0.5, 1.0 μg/mLになるように添加し、対照としてPBSを10 μL/穴加えた。また、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。以上の条件で、37℃、48時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25 μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200 μL添加震盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595 nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。棒グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。
【0098】
ヒト大腸癌細胞株HT29細胞を2000細胞/200μL/穴になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し96穴プレート(ベクトン・ディッキンス社製)に播種した。このとき1群8穴とした。培養液中には、CLDN4/4D3抗体を最終タンパク濃度が0.25, 0.5, 1.0 μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10 μL/穴加えた。また、同時に5-FU(和光純薬社製)を10 μg/mLになるように添加した。一方、陰性対照として培養液のみをウェルに加えた。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、MTT試薬(Sigma社製)を25 μg/mLになるように培養液に添加し、1時間後に培養液を吸引除去し、DMSO(和光純薬社製)を200 μL添加震盪後、マイクロプレート分光光度計を用い、595 nm吸光度を測定した。陰性対照の吸光度を除いた吸光値について、PBS対照群を100%として、各抗体濃度における吸光値を相対増殖率(%)として算出した。棒グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。図26に、ヒト大腸癌細胞株に対するCLDN4/4D3抗体の細胞増殖阻害活性が示された。また、5-FU細胞増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強が示された。なお、HT29細胞ではTNFα処理によりCLDN4発現が低下することを確認しており、上記の系にTNFαを加え4D3抗体の作用点を低下させると4D3抗体による5FUの増強効果が減弱した。
【0099】
16)5-FUのHT29ヒト大腸癌細胞株細胞内移行のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト大腸癌細胞株HT29細胞を1x105細胞/10 mL/10cm培養皿になるよう10%ウシ胎児血清(Sigma社製)添加DMEM培養液(Sigma社製)に希釈し播種した。細胞が90%コンフルエントに増加した状態で、培養液中にCLDN4/4D3抗体を最終濃度が0.25, 0.5, 1.0 μg/mLになるように添加した。対照としてPBSを10 μL/穴加えた。また、同時に5-FU(和光純薬社製)を10, 50 μg/mLになるように添加した。以上の条件で、37℃、24時間培養したのち、細胞をトリプシン処理し回収しタンパク抽出キット(GEヘルスケア社製)にてタンパクを可溶化し、5-FU濃度をELISA(メイベル社製)にて測定し、5-FU処理濃度10 μg/mLの際の5-FU細胞内濃度を1.0として相対的濃度を算出した。グラフは3回施行した実験の平均±SDを示している。図27に示されるように、5-FUのヒト大腸癌細胞株HT29細胞内移行は、CLDN4/4D3抗体の添加濃度依存的に増大していた。
【0100】
17)ヒト大腸癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性のCLDN4/4D3抗体による増強
ヒト大腸癌細胞株HT29細胞1x107細胞をHank’s Balanced Salt液(Sigma社製)200μLに懸濁し、BALB/cヌードマウス・オス・4週齢20匹の背部皮下に接種した。これを各群5匹の4群に分け、対照群(PBS投与)、5FU群(5-FU 10 mg/kg体重)、抗体群(CLDN4/4D3抗体 1 mg/kg体重)、および、併用群(5-FU 10 mg/kg体重+CLDN4/4D3抗体1 mg/kg体重)の各処理を行った。投与は腹腔内投与で行い、併用群では5-FUと抗体は混合せず別途投与した。投与は、腫瘍細胞接種時、接種後3日後および7日後の3回施行した。皮下腫瘍は接種後4週まで毎週直径を測定し、平均±SDとして表示した(図28(a))。
【0101】
同様の実験をCLDN4発現レベルがHT29細胞の13%であるColo320細胞 を用いて上記と同様の実験を行った(図28(b))。図28(a)(b)に示されるように、in vivoにおいて、ヒト大腸癌細胞株皮下腫瘍に対する5-FU腫瘍増殖阻害活性が、特にHT29細胞において、CLDN4/4D3抗体により増強していた。
【0102】
18)肺癌におけるCLDN4およびCLDN1の発現
奈良県立医科大学分子病理で診断した186例の肺癌症例(腺癌86例、扁平上皮癌100例)の病理組織標本の代表的パラフィン包埋組織ブロックから作成した薄切標本(4μm厚)を脱パラフィン後、内因性ペルオキシダーゼを0.01%H2O2-50%メタノール液 (和光純薬社製)によりブロックした。TBS(Sigma社製)により加水した後、CLDN4/4D3抗体、または、CLDN1抗体クローン2C1の0.5 μg/mL TBS希釈液にて、室温・2時間インキュベートした後、0.5%Tween-TBS(Sigma社製)にて洗浄した。さらに、ペルオキシダーゼ標識抗ラットIgG抗体(DAKO社製)の1%希釈液にて、室温・1時間インキュベートした後、0.5%Tween-TBS(Sigma社製)にて洗浄した。DAB発色キット(DAKO社製)にて発色後、ヘマトキシリン液(Sigma社製)にて核染色を行った。流水にて洗浄後、エタノール脱水・キシレン透徹し封入し免疫染色標本を作製した。標本は、光学顕微鏡にて観察し、染色強度(0, 1, 2, 3の4段階に評価)と染色腫瘍細胞(%)の積(0〜300)で半定量化した。有意差はANOVA法にて検定した。図29及び図30に示されるように、CLDN1と比較してCLDN4は肺癌のバイオマーカーとなりうることが判明した。また、図31及び図32に示されるように、CLDN4は、肺腺癌及び肺扁平上皮癌の何れにおいてもバイオマーカーとなりうることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0103】
抗癌剤として利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]