(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のボイラユニットのそれぞれには、各ボイラユニットで発生した蒸気と水とを分離し、分離された前記水を前記蒸発器に循環させる気水分離器が接続されていることを特徴とする請求項2に記載のガスタービンコンバインドサイクル設備。
前記気水分離器は、各ボイラユニットの側方且つ上方に配され、その相対位置が、各ボイラユニットで同一とされ、前記排熱回収ボイラは、自然循環ボイラとされていることを特徴とする請求項3に記載のガスタービンコンバインドサイクル設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のような構成のGTCC設備を船舶やフロート構造物等の水上設備上に設置しようとした場合、以下に示すような課題がある。
まず、水上設備においては、各種設備の設置面積が限られるため、少しでもGTCC設備の設置床面積を小さくすることが望まれる。これには、特許文献1に記載したように上下に機器類を積層すればよいが、その結果、GTCC設備の高さが増大する。すると、GTCC設備の重心が高くなり、水上設備の揺れが大きくなる原因となる。したがって、GTCC設備の高さをなるべく抑えることが望まれる。
そこでなされた本発明の目的は、設置床面積を抑えつつ、高さを抑えて低重心化を図り、水上設備の安定性を高めることのできるガスタービンコンバインドサイクル設備、水上設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のガスタービンコンバインドサイクル設備は、ガスタービンユニットと、前記ガスタービンユニットの排ガスから排熱を回収して蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記ガスタービンユニットの排ガスを前記排熱回収ボイラに案内する排気ダクトと、前記ガスタービンユニット、前記排熱回収ボイラ、及び前記排気ダクトを支持する支持架構と、を備え、前記支持架構は、上下方向に
重なるように並んで配置された3層のベース部材を含み、前記3層のベース部材は、最上層に配置された最上層ベース部材、最下層に配置された最下層ベース部材、及び前記最上層ベース部材よりも下方で、かつ前記最下層ベース部材よりも上方に配置された中間層ベース部材を備え、前記最上層ベース部材上には、前記ガスタービンユニットを構成する吸気ダクトが配置されており、前記中間層ベース部材には、前記ガスタービンユニッ
トが配置されており、前記最下層ベース部材には、前記中間層ベース部材よりも上方に至る高さとされた前記排熱回収ボイラが配置されており、前記ガスタービンユニッ
トの鉛直下方の前記最下層ベース部材上には、前記タービンユニットの補機および前記排熱回収ボイラの補機の少なくとも一部が配置されており、前記排熱回収ボイラは、高さ方向に積み上げられた複数のボイラユニット備え、
前記ガスタービンユニットと前記排熱回収ボイラとは、平面視したときに、前記ガスタービンユニットのタービン軸方向と、前記排熱回収ボイラにおける前記排ガスの流れ方向とが、互いに平行になるよう並列配置されていることを特徴とするガスタービンコンバインドサイクル設備。
これにより、ガスタービンユニットに対して排熱回収ボイラをより近くに配置できるとともに、ガスタービンユニットと排熱回収ボイラとを積層する場合に比較して、その高さを抑えることができる。
【0008】
また、前記排熱回収ボイラは、前記排気ダクトから導入される前記排ガスとの熱交換によって蒸気を発生させる蒸発器を含むボイラユニットを複数備え、前記複数のボイラユニットは、各ボイラユニットの向きを揃えた状態で、少なくとも高さ方向に積み上げられて配され、これら複数のボイラユニットのそれぞれに前記排ガスが導入されるようにしてもよい。
このように、排熱回収ボイラを、複数組のボイラユニットから構成することによって、各組のボイラユニットのそれぞれが小型化、軽量化される。したがって、排熱回収ボイラの設置床面積を小さくしつつ、軽量化を図ることが可能となる。
【0009】
また、複数のボイラユニットのそれぞれには、各ボイラユニットで発生した蒸気と水とを分離し、分離された前記水を前記蒸発器に循環させる気水分離器が接続されているようにしてもよい。
複数のボイラユニットによって排熱回収ボイラを構成せず、一つのボイラユニットで排熱回収ボイラを構成し、蒸発器や気水分離器も一つのみ備えた場合、蒸発器や気水分離器が大型のものとなる。これに対し、複数のボイラユニットのそれぞれに蒸発器、気水分離器を備えることで、蒸発器や気水分離器が小型となり、その設置スペースの自由度が高まり、排熱回収ボイラの小型化にも寄与できる。
【0010】
さらに、前記気水分離器は、各ボイラユニットの側方且つ上方に配され、その相対位置が、各ボイラユニットで同一とされ、前記排熱回収ボイラは、自然循環ボイラとされているようにしてもよい。
これにより、複数のボイラユニット間で、各ボイラユニットと気水分離器とを循環する経路における圧力損失が均一になるので、各ボイラユニットにおける蒸気発生量が均一化される。
その結果、気水分離器とボイラユニットとの間で水を強制循環させるための循環ポンプが不要となり、自然循環式とすることが可能となり、さらなる軽量化を図ることが可能となる。
【0011】
また、前記ボイラユニットと前記気水分離器とが、予め一体化された組立体とされているようにしてもよい。
これにより、排熱回収ボイラの組立時に、予め、上下方向の段数に応じて組立体を組み立てておくことで、組立体を上下方向に積層すれば排熱回収ボイラを組み立てることができる。
【0012】
また、前記ガスタービンユニットの補機、および前記排熱回収ボイラの補機の少なくとも一部が、前記ガスタービンユニットの下方に配置されているようにしてもよい。
これにより、GTCC設備におけるスペースの有効利用を図り、設置床面積を抑えつつ、低重心化を図ることが可能となるという効果を一層顕著なものとすることができる。
さらに、排熱回収ボイラの上方に補機類を配置しないで済むようになるので、排熱回収ボイラのメンテナンスを行う際に、補機類を取り外す必要がなく、メンテナンス性が向上する。
【0013】
本発明の水上設備は、水に浮かぶ浮体と、前記浮体上に設けられた上記いずれか一つのガスタービンコンバインドサイクル設備と、を備えることを特徴とする。
このような水上設備によれば、設置床面積を抑えつつ、その高さを抑えて低重心化を図ることができるGTCC設備を備えることによって、水上設備の安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、設置床面積を抑えつつ、高さを抑えて低重心化を図り、水上設備の安定性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明によるガスタービンコンバインドサイクル設備、水上設備を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクル設備(以下、単にGTCC設備と称する)を備えた船の概略構成を示す図である。
図2は、本実施形態に係るGTCC設備の構成を示す斜視図、
図3は、本実施形態に係るGTCC設備を
図2とは異なる角度から見た斜視図である。
図4は、GTCC設備に備えられた排熱回収ボイラの構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態における水上設備は、例えば天然ガスを液化するためのものであり、海洋上の液化天然ガスの採取現場で用いられる船舶(浮体)Fと、船舶F上に設置されたGTCC設備10Aと、を備えている。
【0018】
図2、
図3に示すように、GTCC設備10Aは、例えば天然ガスを燃料として駆動されるガスタービンユニット20と、ガスタービンユニット20からの排ガスの排熱を回収して蒸気を生成する排熱回収ボイラ(HRSG)30と、ガスタービンユニット20から排熱回収ボイラ30に排ガスを送り込む排気接続ダクト32と、ガスタービンユニット20により駆動され、天然ガスを液化するための冷媒(低温側)を昇圧するガス圧縮機40と、排熱回収ボイラ30で生成された蒸気により駆動される蒸気タービン50と、蒸気タービン50により駆動される天然ガスを液化するための冷媒(高温側)を昇圧する圧縮機60と、これらの機器およびそれぞれの補機類を支持する支持架構70と、を主に備えている。
【0019】
例えば天然ガスを燃料とするガスタービンユニット20は、圧縮空気と燃料ガスとを混合させた混合ガスを燃焼させて生成した燃焼ガスによりタービン軸を回転駆動させる。このため、ガスタービンユニット20には、ケーシング21内に空気を取り込む吸気ダクト22が設けられ、ケーシング21内に、取り込んだ空気を圧縮し、圧縮空気と燃料ガスとを混合させた混合ガスを燃焼させる不図示の燃焼器、多数のタービンブレードを有した不図示のタービン軸等が設けられている。また、ガスタービンユニット20のケーシング21には、ガスタービンユニット20の制御基板等を空気で冷却するための冷却用吸気ダクト23および冷却用排気ダクト24が上方に向けて突出して設けられている。
【0020】
排熱回収ボイラ30は、ガスタービンユニット20からの排ガスの熱によって水を蒸発させて蒸気を生成する蒸発器を有したボイラ本体31と、ガスタービンユニット20から排出される排ガスをボイラ本体31に取り入れるための排気接続ダクト(排気ダクト)32と、ボイラ本体31から排出される排ガスを接続ダクト33aを介して外部に排気する排気筒33と、を備えている。
排熱回収ボイラ30は、さらに、ボイラ本体31に給水するフィードポンプユニット34、ボイラ本体31内で排ガスを燃焼させるための燃料を供給する燃料バルブユニット35、ボイラ本体31で生成された蒸気を液体分(水)と分離する気水分離ドラム(気水分離器)36、等を備えている。排熱回収ボイラ30は、これ以外にも、蒸気タービン50に蒸気を供給する過熱器(不図示)、過熱器に蒸気を送給する蒸発器(不図示)、蒸発器への給水を予熱する節炭器(不図示)、蒸気を冷却媒体で復水処理し、節炭器に復水を送給する復水器等37を備えている。
【0021】
また、GTCC設備10Aには、ガスタービンユニット20やガス圧縮機40、蒸気タービン50、圧縮機60等における軸受部等の潤滑を図るため、潤滑油を供給する潤滑油供給ユニット25が設けられている。
【0022】
このようなGTCC設備10Aは、ガスタービンユニット20において、吸気ダクト22から大気を吸い込んで圧縮し、その圧縮空気と燃料ガスとを混合させた混合ガスを燃焼させて生成した燃焼ガスによりタービン軸(不図示)を回転駆動させる。このタービン軸によりガス圧縮機40が駆動され、天然ガスを圧縮して液化する。
ガスタービンユニット20からの排気は、排気接続ダクト32を介してボイラ本体31に送り込まれる。ボイラ本体31においては、不図示の蒸発器で排ガスの熱と熱交換することによって、フィードポンプユニット34によって送り込まれた水を加熱して蒸気を発生させる。この蒸気により蒸気タービン50を作動させ、圧縮機60を駆動する。
ボイラ本体31を経て、温度が低下した排ガスは、排気筒33から大気中へと排出される。
【0023】
ところで、上記GTCC設備10Aにおける支持架構70は、各機器を以下のようなレイアウトで保持している。
すなわち、支持架構70は、不図示の複数の支柱間に、上下方向に複数層(本実施形態においては3層)のベース部材71A,71B,71Cが設けられている。
そして、最上層のベース部材71Aには、吸気ダクト22が設置され、中間層のベース部材71Bには、ガスタービンユニット20、ガス圧縮機40、蒸気タービン50、圧縮機60が設置され、最下層のベース部材71Cには、排熱回収ボイラ30が設置されている。
【0024】
また、最下層のベース部材71Cには、ガスタービンユニット20が設置された中間層のベース部材71Bの下方に、潤滑油供給ユニット25、フィードポンプユニット34、燃料バルブユニット35、復水器37等の補機類が配置されている。すなわち、ガスタービンユニット20の下方には、ガスタービンユニット20の補機、および、排熱回収ボイラ30の補機の少なくとも一部が配置されている。また、ガス圧縮機40、圧縮機60、復水器37等に接続された配管40p,60p,37p等も、最下層のベース部材71Cと中間層のベース部材71Bとの間に配置されている。
【0025】
ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30は、平面視したときに、ガスタービンユニット20のタービン軸方向S1と、排熱回収ボイラ30における排ガスの流れ方向S2とが、互いに平行になるよう並列配置されている。そして、最下層のベース部材71Cに設置された排熱回収ボイラ30は、ボイラ本体31が、中間層のベース部材71Bよりも上方にまで至る高さを有している。これにより、排熱回収ボイラ30は、少なくとも一部がガスタービンユニット20と高さ方向で同一位置に配されている。換言すれば、排熱回収ボイラ30は、少なくとも一部がガスタービンユニット20と、同じ高さの同一平面内に位置するよう設けられている。
【0026】
ここで、ガスタービンユニット20におけるタービン軸方向S1に沿った燃焼ガスの流れ方向と、排熱回収ボイラ30における排ガスの流れ方向S2とは、互いに平行でありながら、互いに反対向きとなるよう設定されている。したがって、ガスタービンユニット20の排ガスを排熱回収ボイラ30に案内する排気接続ダクト32は、ガスタービンユニット20の排出口20bに接続された一端32aと、排熱回収ボイラ30の取入口30bに接続された他端32bとの間が、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とで排ガスの流れの向きを変える向き変え部32cとされている。
【0027】
ところで、
図4に示すように、排熱回収ボイラ30のボイラ本体31は、複数のボイラユニット31pと、後述する気水分離ドラム36と、によって構成されている。各ボイラユニット31pは、排気接続ダクト32から送り込まれた排ガスと熱交換することによって水を加熱して蒸気を生成する蒸発器(不図示)をそれぞれ備えている。
本実施形態において、ボイラ本体31は、6本のボイラユニット31pが、各ボイラユニットの向きを揃えた状態で高さ方向に3段積み上げられ、排ガスの流れ方向S2に直交する幅方向に2列、配置されることで構成されている。
【0028】
これにともない、前記の排気接続ダクト32は、一端32aから他端32bに向けて、その流路幅と流路高さが漸次増大するよう形成されている。そして、排気接続ダクト32内には、各ボイラユニット31pになるべく均等に排ガスを送りこめるよう、排気接続ダクト32内を流路幅方向に2分割、流路高さ方向に3分割するガイドベーン32gが設けられているのが好ましい。これにより、各ボイラユニット31pには、ガスタービンユニット20からそれぞれに排ガスが均等に導入されるようになっている。
【0029】
このようにして、複数のボイラユニット31pの集合体からなるボイラ本体31の上部には、ボイラユニット31pと同数の気水分離ドラム36が設置されている。
そして、各ボイラユニット31pには、それぞれ一つの気水分離ドラム36が接続されている。各気水分離ドラム36は、ボイラユニット31pにおいて発生した蒸気と水との混合体を気水分離ドラム36で蒸気と水とに分離させ、蒸気は蒸気タービン50に送給し、水は循環させて再度ボイラユニット31pに供給する。このようにして、各ボイラユニット31pは、それぞれに気水分離ドラム36を有して、独立した循環サイクルを構成している。
ここで、各ボイラユニット31pにおいては、気水分離ドラム36までの距離が互いに異なるため、気水分離ドラム36からボイラユニット31pへの水の循環量を一定にするため、不図示の循環ポンプが備えられている。
【0030】
排熱回収ボイラ30の各ボイラユニット31pにおいては、発生する蒸気圧を、例えば40kPa程度の低圧とするのが好ましい。発生する蒸気圧が高いほど、ボイラユニット31pを構成する材料の肉厚を大きくする必要があり、重量増につながる。そこで、蒸気圧を低圧とすることで、ボイラユニット31pを構成する材料の肉厚を小さくし、軽量化を図るようにしている。
【0031】
また、本GTCC設備10Aにおいては、排熱回収ボイラ30の各ボイラユニット31pに助燃装置(不図示)を備えるようにした。燃料バルブユニット35により各ボイラユニット31p内の助燃装置に燃料を供給して排ガスを燃焼させることで、蒸気発生量を増やすことが可能となる。また、この燃料バルブユニット35からの燃料供給量を調整することによって、蒸気発生量を調整することもできる。
【0032】
上述したようにして、排熱回収ボイラ30の少なくとも一部がガスタービンユニット20と高さ方向で同一位置に配され、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とを並列配置した。これにより、GTCC設備10Aの設置床面積を抑えつつ、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とを積層する場合に比較して、その高さを抑えて低重心化を図ることが可能となる。
また、このようなGTCC設備10Aを装備した船舶Fは、GTCC設備10Aの低重心化により、その安定性が高まる。
【0033】
また、排熱回収ボイラ30は、複数個のボイラユニット31pを上下方向および幅方向に並列に設けることでボイラ本体31を構成するようにした。
このようにして、ボイラ本体31を複数に分割した場合、ボイラ本体31を分割しない場合に比較して、
排ガスの処理容量Vは、スケール比Scとの間で、
V ∝ (Sc)
2
との関係が成り立ち、ボイラユニット31pの重量W1は、
W1 ∝ (Sc)
3
との関係が成り立つ。
したがって、ボイラ本体31を分割しない場合に比較したボイラ本体31の重量比W2は、
W2=(ボイラユニット31pの数N)×(ボイラユニット31pの重量W1)
=(ボイラユニット31pの数N)×(処理容量V)
3/2
となる。
上記に示した例では、ボイラ本体31を6分割したので、ボイラ本体31を分割しない場合と比較すると、ボイラユニット31pの処理容量Vは、
V=1/6
である。したがって、ボイラ本体31を分割しない場合のボイラ本体31の重量と比較したボイラ本体31の重量比W2は、
W2=6×(1/6)
3/2=0.41
となり、ボイラ本体31を分割しない場合に比較して、ボイラ本体31の重量が半分以下となる。
【0034】
また、排熱回収ボイラ30の設置床面積A1の、ボイラ本体31を分割しない場合の設置床面積A2に対する比A1/A2は、
A1/A2 = (Sc)
2×(ボイラユニット31pの列数L)
= (処理容量V)×(ボイラユニット31pの列数L)
となる。
したがって、上記に示した例では、処理容量V=1/6、ボイラユニット31pの列数L=2であるので、排熱回収ボイラ30の設置床面積A1の、ボイラ本体31を分割しない場合の設置床面積A2に対する比A1/A2は、
A1/A2 = 1/6×2=0.33
となる。すなわち、ボイラ本体31を分割しない場合に比較して、排熱回収ボイラ30の重量が半分以下となる。
【0035】
このようにして、排熱回収ボイラ30において、複数個のボイラユニット31pを上下方向および幅方向に並列に設けることでボイラ本体31を構成することによって、排熱回収ボイラ30の設置床面積を小さくしつつ、軽量化を図ることが可能となる。
【0036】
また、一つのボイラユニットで排熱回収ボイラを構成し、蒸発器や気水分離器も一つのみ備えた場合、蒸発器や気水分離器が大型のものとなる。これに対し、複数個のボイラユニット31pのそれぞれに蒸発器(不図示)、気水分離ドラム36を備えることで、蒸発器や気水分離ドラム36が小型となり、その設置スペースの自由度が高まり、排熱回収ボイラ30の小型化にも寄与できる。
【0037】
また、GTCC設備10Aにおいては、ガスタービンユニット20の下方に、潤滑油供給ユニット25、フィードポンプユニット34、燃料バルブユニット35、復水器37等、補機類の少なくとも一部が配置されている。
これにより、GTCC設備10におけるスペースの有効利用を図り、設置床面積を抑えつつ、低重心化を図ることが可能となるという上記効果を一層顕著なものとすることができる。
【0038】
また、ガスタービンユニット20の下方に、潤滑油供給ユニット25、フィードポンプユニット34、燃料バルブユニット35、復水器37等、補機類の少なくとも一部が配置されることによって、排熱回収ボイラ30は、その上方に他の機器類が配置されていない構成とされている。これにより、排熱回収ボイラ30に接続された各種の配管の交換等のメンテナンスを行う際に、他の機器類を取り外す必要がなく、メンテナンス性が向上する。
【0039】
(第1の実施形態の変形例)
上記実施形態では、排熱回収ボイラ30のボイラ本体31上に気水分離ドラム36を設けるようにしたが、これに限るものでない。
例えば、
図5は、排熱回収ボイラの変形例を示す図であり、(a)は上下に積層した各段のボイラユニットの正面図、(b)は(a)のボイラユニットを複数段に積層した排熱回収ボイラを示す斜視図である。
図5(b)に示すように、排熱回収ボイラ30のボイラ本体31は、複数のボイラユニット31pと、ボイラユニット31pのそれぞれに接続された気水分離ドラム36と、を備えている。本実施形態において、ボイラ本体31は、6本のボイラユニット31pが、上下方向に3段、排ガスの流れ方向S2に直交する幅方向に2列、配置されることで構成されている。
ボイラ本体31の上下方向の各段においては、幅方向に2列に並んだ2つのボイラユニット31p,31pが一体化されている。
【0040】
そして、
図5(a)に示すように、各気水分離ドラム36は、各ボイラユニット31pの側方かつ上方に設けるようにした。各段の2つボイラユニット31p,31pに対し、その幅方向両側に、これら2つのボイラユニット31p,31pに接続された2つの気水分離ドラム36,36が配置されている。
さらに、複数のボイラユニット31p間において、各ボイラユニット31pに対する気水分離ドラム36の相対位置が、各ボイラユニット31pにおいて同一の位置関係となるように設けられている。これにより、各ボイラユニット31pにおいて、気水分離ドラム36までの配管39の長さを均一にすることができる。
【0041】
なお、ボイラ本体31の上下方向の各段を構成する2つのボイラユニット31p,31pと、2つの気水分離ドラム36,36と、これらを接続する配管39,39は、予め一体に組み立てられた組立体38とすることもできる。
ボイラ本体31の組立時に、予め、上下方向の段数に応じて組立体38を組み立てておくことで、組立体38を上下方向に積層すればボイラ本体31を効率よく組み立てることができる。さらに、各段の組立体38は、構成する部品寸法等が共通となるので、組立を効率よく行えるのに加え、部品コストも抑えることが可能となる。
【0042】
このようにすると、各ボイラユニット31pと気水分離ドラム36とを循環する配管39における圧力損失が均一になるので、各ボイラユニット31pにおける蒸気発生量が均一化される。
【0043】
その結果、気水分離ドラム36とボイラユニット31pとの間で水(気水)を強制循環させるための循環ポンプが不要となり、排熱回収ボイラ30を自然循環ボイラとすることが可能となる。その結果、さらなるGTCC設備10Aの軽量化を図ることが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかるガスタービンコンバインドサイクル設備、水上設備の第2の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第2の実施形態においては、
図1を援用するとともに、上記第1の実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る実施形態に係るGTCC設備の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、本実施形態のGTCC設備10Bは、例えば天然ガスを燃料として駆動されるガスタービンユニット20と、ガスタービンユニット20からの排ガスの排熱を回収して蒸気を生成する排熱回収ボイラ30と、排気接続ダクト32と、ガスタービンユニット20により駆動される天然ガスを液化するための冷媒を昇圧する圧縮機80と、これらの機器およびそれぞれの補機類を支持する支持架構70と、を主に備えている。
【0045】
また、本実施形態のGTCC設備10Bにおいては、ガスタービンユニット20、排熱回収ボイラ30、および、圧縮機80の組み合わせが、2組並んで配置されるとともに、幅方向に対称配置されている。
【0046】
本実施形態における排熱回収ボイラ30で生成した蒸気は、例えば、天然ガスに含まれる、酸性ガス成分を除去するための機器や天然ガスに含まれる水分を脱水するための機器の熱源、ナチュラルガスブースターコンプレッサ、スタビライザーオーバーヘッドコンプレッサ、エンドフラッシュガスコンプレッサ等を駆動する蒸気タービンの駆動エネルギとして、蒸気を供給することができる。
【0047】
上述したように、本実施形態のGTCC設備10Bにおいても、上記第1の実施形態と同様、排熱回収ボイラ30の少なくとも一部がガスタービンユニット20と高さ方向で同一位置に配され、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とが並列配置されているので、GTCC設備10Bの設置床面積を抑えつつ、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30とを積層する場合に比較して、その高さを抑えて低重心化を図ることが可能となる。
また、このようなGTCC設備10Bを装備した船舶Fは、GTCC設備10Aの低重心化により、その安定性が高まる。
【0048】
また、排熱回収ボイラ30において、複数個のボイラユニット31pを上下方向および幅方向に並列に設けることでボイラ本体31を構成することによって、排熱回収ボイラ30の設置床面積を小さくしつつ、軽量化を図ることが可能となる。
【0049】
(その他の実施形態)
なお、本発明のガスタービンコンバインドサイクル設備、水上設備は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施形態において、ボイラユニット31pの数を6個とし、高さ方向に3段、幅方向に2列に並列するようにしたが、ボイラユニット31pの数、高さ方向および幅方向の並列数は、これ以外であってもよい。
【0050】
また、上記各実施形態において、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30を、平面視した状態で並列させるようにしたが、ガスタービンユニット20と排熱回収ボイラ30は、ガスタービンユニット20のタービン軸方向S1に、互いにずれて配置されていてもよい。
【0051】
さらに、GTCC設備としては、ガスタービンユニット20で発電機を駆動するようにしてもよい。
また、GTCC設備10A、10Bを構成する機器、補機類については、その用途、処理規模等に応じて適宜変更することが可能である。
【0052】
加えて、上記各実施形態では、GTCC設備10を、船舶F上に設けるようにしたが、船舶Fに限らず、フロート構造物等、浮体(フロート)を備えた水上設備であれば、いかなるものに本発明を適用してもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。