【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、分析機器は以下の通りである。また、全ての実施例の操作はアルゴン雰囲気下で行なった。
NMR:Varian Unity (400 MHz), Bruker Advanced III (500 MHz)
【0028】
(参考例1)ligand(A)の合成
イミダゾール(408.7mg,6.0mmol)のジメトキシエタン(DME)10mL溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%,309.3mg,7.73mmol)を0℃で徐々に加えた。続いて、ジクロロ−m−キシレン(4.87mmol)を加えた後、室温で15時間撹拌を行なった。20%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH=20/1)で精製することにより目的物を無色固体として98%の収率で得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.53 (s, 2H, NCHN), 7.35 (t, J = 2.5 Hz, 1H, Ar), 7.10 (s,2H, Ar), 7.09 (s, 2H, CH2NCHCH), 6.92 (s, 1H, Ar), 6.88 (s, 2H, CH2NCHCH), 5.10 (s,4H, NCH2)
【0029】
(参考例2)ligand(B)の合成
(a)(5−(tert−ブチル)−1,3−フェニレン)ジメタノールの合成
テトラヒドロフラン(THF)(50mL)中に、5−tert−ブチルイソフタル酸(2.22g,10.0mmol)及び水素化ホウ素ナトリウム(1.17g,30.9mmol)を加え、この懸濁液に0℃でBF3・OEt
2(3.70mL,30.0mmol)を徐々に加えた後、室温で23時間撹拌した。水を加えて反応をクエンチした後、酢酸エチルで抽出を行い、得られた有機層を1M塩酸水、飽和重曹水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH=30/1〜20/1)で精製することにより目的物を無色固体として95%の収率で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33 (s, 2H, Ar), 7.20 (s, 1H, Ar), 4.70 (s, 4H, CH2), 1.33 (s, 9H, CH3)
(b)1−(tert−ブチル)−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼンの合成
ジクロロメタン(15mL)中に、上記(a)で得られた(5−(tert−ブチル)−1,3−フェニレン)ジメタノール(5.0mmol)及びトリエチルアミン(15.0mmol)を加え、この溶液に−15℃で塩化メタンスルホニル(14.9mmol)を徐々に加え40分間撹拌した後、50℃で14時間撹拌した。反応液を1M塩酸水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、得られた粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt=30/1)で精製することにより目的物を無色固体として84%の収率で得た。
1H NMR (400 MHz,CDCl3) 7.35 (s, 2H, Ar), 7.25 (s, 1H, Ar), 4.58 (s, 4H, CH2), 1.33 (s, 9H, CH3)
(c)ligand(B)の合成
上記(b)で得られた1−(tert−ブチル)−3,5−ビス(クロロメチル)ベンゼン及びイミダゾールを用いて、参考例1と同様の方法により目的物を無色固体として91%の収率で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.52 (s, 2H, NCHN), 7.10 (d, J = 6.4 Hz, 2H, Ar),
7.10 (d, J = 6.4 Hz, 2H, CH2NCHCH), 6.88 (s, 2H, CH2NCHCH), 6.70 (s, 1H, Ar), 5.08 (s, 4H, CH2)
【0030】
(実施例1)亜鉛錯体の製造
下記の反応式に示すように亜鉛四核クラスター錯体Zn
4(OCOCF
3)
6Oに所定量のリガンドA及びBを反応させて、本発明の亜鉛錯体を調製した。
得られた各亜鉛錯体についてX線単結晶構造解析を行った。解析データを表1に示す。
【0031】
表1
【0032】
また、得られたX線単結晶構造の結果を
図1〜
図3に示す。
X線単結晶構造解析から、本発明の亜鉛錯体A及び亜鉛錯体Cは、一つの亜鉛原子に対して、イミダゾール基の一方の窒素原子が四つ配位し、且つ、原子団CF
3COOがトランス型に二つ配位したオクタヘドラル構造を呈している。そして、亜鉛錯体Aは1次元方向に連続的に結合が伸びた無限鎖錯体であり、亜鉛錯体Cは2次元方向に連続的に結合が伸びた無限鎖錯体であることが認められた。これに対して、亜鉛錯体B(対照)は、一つの亜鉛原子に対して、イミダゾール基の一方の窒素原子が二つ配位し、かつ、原子団CF
3COO基がトランス型に2つ配位したテトラヘドラル構造を呈する一次元の無限錯体であった。
亜鉛錯体AのMS測定結果を
図4に示す。また、亜鉛錯体CのMS測定結果を
図5に示す。比率は、亜鉛、トリフルオロ酢酸、イミダゾリル基を有するリガンドの比を示す。
なお、MS測定は以下の機器で行なった。
MS(直接導入 (direct inlet, direct infusion))
亜鉛錯体A:JMS−T100GCV(日本電子)イオン化モード:FD
亜鉛錯体C:LC−MS−IT−TOF(島津製作所) イオン化モード:ESI
【0033】
(実施例2)エステル交換反応
実施例1で調整した亜鉛錯体Aを触媒比5モル%(亜鉛原子モル比率(Zn/基質=Zn/S))として用い、安息香酸メチル(1.0モル当量)とベンジルアルコール(1.2モル当量)によるエステル交換反応を行なった。その結果、92%の収率で安息香酸ベンジルが得られた。
【0034】
(比較例1)亜鉛錯体Bによるエステル交換反応
触媒を実施例1で調整した亜鉛錯体Bに変えて、実施例2と同様に反応を行なった結果、エステル交換反応は進行しなかった。
【0035】
(実施例3)in situ法によるエステル交換反応
実施例2における亜鉛錯体Aの代わりに、触媒として同量のZn
4(OCOCF
3)
6O及びligand(A)(Zn
4(OCOCF
3)
6Oに対して8当量)を加えて、同様に反応を行なった結果、収率91%で安息香酸ベンジルが得られた。
【0036】
(実施例4〜10)エステル交換反応
下記の式に示されるように、Zn
4(OCOCF
3)
6O(1モル当量)と各種リガンド(8モル当量、亜鉛原子1モル当量に対してリガンド2モル当量)とを触媒として用い、溶媒クロロベンゼン(PhCl)中で安息香酸メチルとシクロヘキサノールとのエステル交換反応系に添加して触媒反応を行った(触媒比 1.25モル%)。
反応結果を下記の表2にまとめて示す。
【0037】
表2
また、リガンドを添加しない場合は収率10%、リガンドとして他の含窒素複素環(N−メチルベンゾイミダゾール)化合物を加えた場合には収率15%となり、本発明に用いられるリガンドと比較して活性が低いことが明らかとなった。
なお、ligand(C)〜(G)は以下のスキームの方法により得た。
【0038】
(ligand(C)の合成)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.51 (s, 2H, NCHN), 7.35 (m, 5H, Ar), 7.10 (s, 2H,
CH2NCHCH), 6.86 (s, 2H, CH2NCHCH), 6.65 (s, 2H, Ar), 6.52 (s, 1H, CH2CCHCCH2),
5.04 (s, 4H, NCH2), 4.96 (s, 2H, OCH2)
【0039】
(ligand(D)の合成)
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.52 (s, 2H, NCHN), 7.10(s, 2H, CH2NCHCH), 6.88 (s, 2H, CH2NCHCH), 6.58 (s, 2H, Ar), 6.50 (s, 1H, Ar), 5.04 (s, 4H, NCH2), 3.84 (t, J = 6.5 Hz, 2H, OCH2), 1.73 (tt, J = 7.5, 6.5 Hz, 2H, OCH2CH2),1.41-1.35 (m, 4H, CH2CH2CH3), 0.92 (t, J = 7.0 Hz, 3H, CH3)
【0040】
(ligand(E)の合成)
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.53 (s, 2H, NCHN), 7.23 (s, 2H, CH2NCHCH), 7.12 (s, 2H, CH2NCHCH), 6.87 (s, 2H, Ar), 6.80 (s, 1H, Ar), 5.07 (s, 4H, CH2)
【0041】
(ligand(F)の合成)
1H NMR (500MHz, CDCl3) δ 7.44 (s, 2H, NCHN), 7.38 (dd, J = 9.0, 2.5 Hz, 2H, Ar), 7.12 (s,2H, CH2NCHCH), 7.09 (dd, J = 9.0, 2.0 Hz, 2H, Ar), 6.79 (s, 2H, CH2NCHCH), 5.03 (s,4H, NCH2)
【0042】
(ligand(G)の合成)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.45 (s, 2H, NCHN), 7.09 (s, 2H,CH2NCHCH), 6.86 (s, 2H, CH2NCHCH), 3.95 (d, J = 7.6 Hz, 4H, NCH2), 2.11 (m, 2H,CH2CH2CH), 1.65 (m, 2H, CH2CH2CH), 1.47-1.33 (m, 6H, CH2CH2CH);
【0043】
(実施例11〜14)エステル交換反応
下記の式に示されるように、溶媒をトルエンに変えて、Zn
4(OCOCF
3)
6O(1モル当量)と各種リガンド(8モル当量、亜鉛原子1モル当量に対してリガンド2モル当量)とを触媒として用い、安息香酸メチルとベンジルアルコールとのエステル交換反応系に添加して反応を行った(触媒比 1.25モル%)。
反応結果を下記の表3にまとめて示す。
【0044】
表3
【0045】
実施例14のligand(D)を触媒として用いた場合、反応開始1時間後は均一系であったが、反応終了時に固体が析出した。析出した固体を回収したところ、63%の収率で触媒である本発明の亜鉛錯体Cを回収できた。回収された亜鉛錯体Cを用いて同様にエステル交換反応を行ったところ、同程度の収率(92%)で反応が進行したことから、本発明の触媒はリサイクルを行っても良好な結果が得られると考えられる。
【0046】
(実施例15)エステル交換反応(触媒の回収及びリサイクル使用)
下記のエステル交換反応において、ligand(B)を用いた場合のリサイクル使用を検討した。
反応後(安息香酸ベンジルの収率は全て90%以上)に反応液を室温まで放冷後、溶媒を加えて攪拌し、溶液部分を除去した後、残部を真空乾燥させて亜鉛錯体を回収した。結果を表4に表す。
【0047】
表4
さらに条件検討を行った結果、反応溶媒であるトルエンを先に蒸留によって除去後、ヘキサンを加えることで、ほぼ定量的に錯体を回収できることが明らかとなった。この方法を用いて触媒を回収して、再度反応を行ったところ、反応収率が前回より低下することなく触媒反応が行うことができた。また、5回目の反応終了後には91%の回収率に到った。
【0048】
(実施例16)エステル交換反応
下記の式に示されるように、トリフルオロ酢酸亜鉛水和物1モル当量に対してligand(A)2モル当量をエステル交換反応系に添加して反応を行った。安息香酸メチルに対して亜鉛原子比3mol%でクロロベンゼン中5時間還流した。その結果、94%の転化率であった。
【0049】
(実施例17)エステル交換反応
前記の実施例16と同様に反応を行った。4‐シアノ安息香酸メチルに対して触媒比2mol%でクロロベンゼン中5時間還流した。その結果、原料である4‐シアノ安息香酸メチルが消失し、ほぼ100%の転化率であった。
【0050】
(実施例18)エステル交換反応
下記の式に示されるように、トリフルオロ酢酸亜鉛水和物1モル当量に対してligand(A)2モル当量をエステル交換反応系に添加して触媒反応を行った。4‐ニトロ安息香酸メチルに対して触媒比3.3mol%で塩化ベンゼン中5時間還流した。原料である4‐ニトロ安息香酸メチルが消失し、99.9%の転化率を示した。
【0051】
(実施例19)エステル交換反応
下記の式に示されるように、4‐ニトロ安息香酸メチルまたは4‐シアノ安息香酸メチルとシクロヘキシルメタノールのエステル交換反応(溶媒:クロロベンゼン、還流下5時間)を行った。基質に対して触媒比が2.7mol%において、定量的にエステル化反応が進行した。
【0052】
(実施例20)カーボネート化反応
亜鉛錯体A 触媒比2.5モル%で炭酸ジメチルを溶媒としてシクロヘキシルメタノールとのカーボネート化反応(還流下5時間)を行った。原料であるシクロヘキシルメタノールは、ほぼ消失してカーボネート化反応が定量的に進行した。
リサイクル実験として、触媒をろ過後、再度上記反応を行なった。初回と同様に原料であるシクロヘキシルメタノールは、ほぼ消失してエステル交換反応が定量的に進行した。このことから、本発明の触媒は、繰返し使用することが可能であることを確認した。
【0053】
(実施例21)カーボネート化反応
前記実施例20と同様に亜鉛錯体A及び亜鉛錯体Cに対してそれぞれ触媒比2.5モル%を用いて、炭酸ジメチルを溶媒としてシクロヘキサノールとのカーボネート化反応(還流下、5時間)を行った。転化率はそれぞれ、97%及び91%であった。
【0054】
(実施例22)アセチル化反応
ligand(B)及びZn
4(OCOCF
3)
6Oを触媒として用い、酢酸エチルによるn−ブタノールのアセチル化を行なった。n-ブタノールを酢酸エチル溶媒中で18時間還流したところ、99%の収率で目的物が得られた。
【0055】
(実施例23)水酸基選択的アシル化反応(アルコールとアミン存在下でのエステル交換反応
亜鉛錯体C 5モル%を用い、シクロヘキシルアミンとシクロヘキサノールとの混合物の安息香酸メチルによるエステル交換反応を、ジイソプロピルエーテル(i−Pr
2O)を溶媒として、還流下、46時間行なった。その結果、安息香酸シクロヘキシルが67%の収率で得られ、シクロヘキシルベンズアミドは全く生成しなかった。アミノ化合物存在下におけるアルコール化合物選択的アシル化反応にも適用できることが示された。
【0056】
(実施例24)水酸基選択的アシル化反応(アミノアルコールのエステル交換反応)
安息香酸メチルとトランス−4−アミノシクロヘキサノールについて亜鉛錯体A 2.5モル%でエステル交換反応(溶媒:クロロベンゼン(PhCl)、還流下5時間)を行った。転化率75.9%であり、水酸基と安息香酸メチルが反応した化合物とアミノ基と安息香酸メチルが反応した化合物との比(選択率)は、84:16であった。アミノ基存在下における水酸基選択的アシル化反応について適用できることが示された。
【0057】
(実施例25)水酸基選択的カーボネート化反応(アルコールとアミン存在下でのカーボネート化)
炭酸ジメチルを溶媒としてシクロヘキサノールとシクロへキシルアミンのカーボネート化を、亜鉛錯体A 5.0モル%を触媒として用い、3.5時間還流を行なった。カーボネート化合物の収率は95%でカルバメート化合物の収率は5%であった。アミノ化合物存在下におけるアルコール化合物選択的カーボネート化反応にも適用できることが示された。
生成物の確認は、別途、シクロヘキサノール及びシクロヘキシルアミンをクロロギ酸メチルでエステル化及びウレタン化した化合物を調製し、本実施例の生成物とガスクロマトグラフィー(GC)による分析により比率確認を行なった。
【0058】
(実施例26)水酸基選択的カーボネート化反応(アミノアルコールのカーボネート化)
炭酸ジメチルとトランス−4−アミノシクロヘキサノールとを、亜鉛錯体A 2.5モル%を触媒として用いカーボネート化反応(還流下、5時間)を行った。トランス−4−アミノシクロヘキサノールの転化率は86%であり、O−選択率が91%、N−選択率が4%及びO,N−選択率が5%であった。これよりアミノ基存在下における水酸基選択的カーボネート化反応について適用できることが示された。生成物の確認は、別途、トランス−4−アミノシクロヘキサノールをクロロギ酸メチルでエステル化及びウレタン化した化合物を調製し、本実施例の生成物とガスクロマトグラフィー(GC)による分析により比率確認を行なった。
【0059】
(実施例27)カルバメートのエステル交換反応
N−フェニルカルバメートとシクロヘキシルメタノールとを用いて、トリフルオロ酢酸亜鉛水和物1モル当量に対してligand(A)2モル当量を加え、触媒比1.5モル%、クロロベンゼン溶媒中でエステル交換反応を5時間行った。その結果、転化率92%であった。
【0060】
(実施例28)エステル交換反応
安息香酸メチルとL−メントールとを用い、亜鉛錯体A及び亜鉛錯体Cを触媒としてエステル交換反応(溶媒:クロロベンゼン(PhCl)、5時間還流)を行った結果、それぞれ34%及び46%の転化率で得られた。
【0061】
(実施例29)エステル交換反応
安息香酸メチル1当量と(+)−メントール1.2当量を用い、Zn
4(OCOCF
3)
6Oとリガンドを加えて触媒としてエステル交換反応(溶媒:トルエン、5時間還流)を行った結果を表5に示す。リガンドを加えない場合、反応しなかった(比較例6)。
【0062】
【0063】
表5
【0064】
ligand(H)、(I)及び(J)はligand(E)を原料として合成した。
ligand(H):
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.53 (s, 2H, NCHN), 7.10 (s, 2H, CH
2NCHCH), 6.92 (s, 2H, Ar), 6.88 (s, 2H, CH
2NCHCH), 6.72 (s, 1H, Ar), 5.07 (s, 4H, CH
2), 2.47-2.42 (m, 1H, CH), 1.83-1.71 (m, 6H, cyclohexyl), 1.40-1.20 (m, 4H, cyclohexyl);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ150.1, 137.5, 137.1, 130.0, 125.6, 123.4, 119.2, 50.6, 44.3, 34.3, 26.7, 25.9.
【0065】
ligand(I):
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.53 (s, 2H, NCHN), 7.10 (s, 2H, CH
2NCHCH), 6.95 (s, 2H, Ar), 6.88 (s, 2H, CH
2NCHCH), 6.72 (s, 1H, Ar), 5.07 (s, 4H, CH
2), 2.85 (qq, J = 7 Hz, 1H, CH), 1.19 (d, J = 7 Hz, 6H, CH
3);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 150.9, 137.4, 137.2, 130.0, 125.3, 123.5, 119.3, 50.6, 34.0, 23.8.
【0066】
ligand(J):
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.53 (s, 2H, NCHN), 7.10 (s, 2H, CH
2NCHCH), 6.90 (s, 2H, Ar), 6.88 (s, 2H, CH
2NCHCH), 6.74 (s, 1H, Ar), 5.06 (s, 4H, CH
2), 2.52 (t, J = 7.5 Hz, 2H, CH
2), 1.56 (tq, J = 7.5, 7.0 Hz, 2H, CH
2CH
3), 0.90 (t, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 144.7, 137.4, 137.1, 130.0, 127.2, 123.4, 119.3, 50.5, 37.7, 24.4, 13.7.
【0067】
(実施例30)カーボネート化反応
L−メントール及びD−メントールを炭酸ジメチル溶媒で亜鉛錯体A 触媒比5.0モル%でカーボネート化反応(9時間還流)を行ったところ、原料であるメントールが消失した。ヘキサンを加えて亜鉛触媒を沈殿させ、濾過した。溶媒留去したところ、定量的に目的物が得られた。
光学純度もGC測定によって確認した結果、反応前の光学純度を保持していることを確認した。
【0068】
(実施例31)環状カーボネート化反応
1,2−ブタンジオールを炭酸ジメチル溶媒中、亜鉛触媒A(触媒比2モル%)を用い、5時間還流を行なった。1,2−ブタンジオールの4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オンへの転化率は94%であった。また、トリフルオロ酢酸亜鉛水和物(触媒比2モル%)及びリガンド(A)(触媒比4モル%)を加えて同様に反応させたところ、9時間後に原料の1,2-ブタンジオールが消失して、亜鉛触媒Aを用いたときと同様に環状カーボネートを得ることができた。
【0069】
(比較例7)環状カーボネート化反応
実施例30において、亜鉛触媒Aの代わりにZn
4(OCOCF
3)
6Oを触媒として触媒比2モル%用いて、5時間還流し同様に反応を行なったところ、1,2−ブタンジオールの転化率は53%であり、9時間還流しても原料の1,2−ブタンジオールが消失することなく、反応が完結しなかった。
【0070】
(実施例32)エステル交換反応
アセト酢酸メチルと1−アダマンタノールとを、亜鉛錯体C(触媒比2.8モル%)を触媒として用いエステル交換反応(溶媒:クロロベンゼン(PhCl)、還流下5時間)を行った結果、46%の転化率でエステル交換物が得られた。
【0071】
(実施例33〜44)エステル交換反応
種々のエステル化合物及びアルコール化合物を用いて、本発明の方法によるエステル交換反応を行なった結果を以下に示す。
【0072】
【0073】
(実施例45)脱アシル化反応
酢酸ベンジルをメタノール溶媒中で亜鉛錯体Cを用いて脱アセチル化反応を行った。触媒量は、亜鉛原子の酢酸ベンジルに対するモル比で5モル%用いて。反応収率は93%であった。