(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空中に張架される伸縮不能な可撓性の索条と、その索条へ走行自在に係合される少なくとも前後一対の滑車と、上記索条とほぼ平行に延在して、その少なくとも一対の上記滑車を枢支連結する一定長さの連結アームと、ドローンへそのプロペラの包囲状態に取り付けられたガードフレームと、上記連結アームからドローンのガードフレームを吊り下げるべく、一定の引き出し最大長さを有し、且つ常時巻取方向への弛まない程度の弾圧付勢力が与えられた伸縮作用し得るリードとを備え、
そのリードの上端部を上記連結アームの中途部へ、その連結アームの軸線廻りに振れ動き得る枢支状態に取り付ける一方、
同じくリードの下端部を上記ガードフレームにおけるドローンの重心位置に近い中心部へ着脱自在として、且つあらゆる方向へ動き得る枢支状態に取り付けると共に、
上記索条を地面からリードの引き出し最大長さよりも高い位置に張架して、上記ドローンを地面までは墜落しないように飛行させることを特徴とするドローンの安全飛行システム。
滑車の凹周面とその滑車用軸受ブラケットの凹溝とが、その向かい合う上下方向から索条を挟み拘束するように定めたことを特徴とする請求項3記載のドローンの安全飛行システム。
滑車をその軸受ブラケットへ、連結アームと直交する横方向から抜き差し操作できる貫通ピンによって軸支したことを特徴とする請求項3記載のドローンの安全飛行システム。
索条の一端部と他端部を取り付ける一対のポールのうち、その少なくとも索条の他端部を巻き付ける索条巻取り用具が付属するポールを、テレスコピック式の伸縮ポールとして形作り、
その最も細い最上段ポールの先端部に上記索条の通し込み配線用ガイドリングを取り付ける一方、
最も太い最下段ポールの手元部に上記索条巻取り用具を取り付けたことを特徴とする請求項6記載のドローンの安全飛行システム。
屋根枠と壁枠を炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂又はその両繊維強化樹脂のハイブリッドから成る直管材又は/及び曲管材の抜き差し可能な差し込み一本化によって組み立てたことを特徴とする請求項8又は9記載のドローンの安全飛行システム用ガードフレーム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示の安全飛行システムはその段落〔0012〕や〔0029〕の記載から明白なように、棒状(好ましくは剛体棒)の吊り下げ部(3b)を具備することによって、ドローン(1)とガイドライン(2)との間隔距離を一定に保ち、ドローン(1)のプロペラ(1b)などがガイドライン(2)へ接触することを防ぐものであるため、ドローン(1)はガイドライン(2)に沿って前後方向へ単純な往復直線運動を行うに過ぎず、たとえプロペラ(1b)を有する無人航空機であるとしても、上昇・下降並びに左右方向への横移動(斜め上方と斜め下方も含む)を自由に行うことができない。その結果、操縦コントロールの教習などに供することさえも不適当である。
【0007】
また、棒状吊り下げ部(3b)の上端がT字状のライン保持部(3a)として、その水平部がガイドライン(2)へ直かに通し込まれているため、その水平部がたとえ一定長さを有するとしても、ガイドライン(2)からの一点支持状態として吊り下げられていることに変りはなく、その結果ガイドライン(2)がドローン(1)の荷重を受けてV字状に沈み込み変形しやすく、そうするとガイドライン(2)に沿うドローン(1)の走行が停止してしまうのである。
【0008】
更に、
図2(b)の球面軸受け(4c)を用いた回動継手(4)の場合は、そのドローン(1)が球面に沿う360度の旋回と吊り下げ部(3b)へ接触しない範囲内での起伏的な傾き動作とを行えるとしても、
図2(a)の二軸を備えた回動継手(4)の場合は、その水平回動軸(4b)を中心とする360度の旋回は行えても、垂直回動軸(4a)を中心とする上下方向への回動は行えない。ドローン(1)が棒状の吊り下げ部(3b)へ衝突することになるからである。
【0009】
何れにしても、特許文献1に記載の安全飛行システムでは、その吊り下げ部(3b)が一定長さの剛体棒でなければ、ドローン(1)とガイドライン(2)との接触を防ぐことができず、そのドローン(1)との連結部(3c)へ
図2(a)(b)のような回動継手(4)を組み込むこともできないのであり、ドローン本来のあらゆる方向へ自由自在に飛行する性能を束縛し過ぎていると言わねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような諸問題の抜本的な解決を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では空中に張架される伸縮不能な可撓性の索条と、その索条へ走行自在に係合される少なくとも前後一対の滑車と、上記索条とほぼ平行に延在して、その少なくとも一対の上記滑車を枢支連結する一定長さの連結アームと、ドローンへそのプロペラの包囲状態に取り付けられたガードフレームと、上記連結アームからドローンのガードフレームを吊り下げるべく、一定の引き出し最大長さを有し、且つ常時巻取方向への弛まない程度の弾圧付勢力が与えられた伸縮作用し得るリードとを備え、
【0011】
そのリードの上端部を上記連結アームの中途部へ、その連結アームの軸線廻りに振れ動き得る枢支状態に取り付ける一方、
【0012】
同じくリードの下端部を上記ガードフレームにおけるドローンの重心位置に近い中心部へ着脱自在として、且つあらゆる方向へ動き得る枢支状態に取り付けると共に、
【0013】
上記索条を地面からリードの引き出し最大長さよりも高い位置に張架して、上記ドローンを地面までは墜落しないように飛行させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2ではリードの下端部にスイベル式のフック金具を取り付ける一方、ガードフレームの中心部に吊り環を取り付けて、
【0015】
その吊り環とフック金具とを係脱自在に係合させたことを特徴とする。
【0016】
請求項3ではリードの上端部を支持する別個なブラケットを連結アームの中途部へ、走行不能な位置決め状態に通し込む一方、
【0017】
その連結アームの前後両端部へ各々滑車の軸受ブラケットを取り付け固定すると共に、
【0018】
その各軸受ブラケットへ滑車を遊転自在に軸支したことを特徴とする。
【0019】
請求項4では滑車の凹周面とその滑車用軸受ブラケットの凹溝とが、その向かい合う上下方向から索条を挟み拘束するように定めたことを特徴とする。
【0020】
請求項5では滑車をその軸受ブラケットへ、連結アームと直交する横方向から抜き差し操作できる貫通ピンによって軸支したことを特徴とする。
【0021】
請求項6では索条の一端部を地面から据え立てたポールの先端部か、又は建物や支柱、その他の既設物へ着脱自在に取り付けると共に、
【0022】
同じく索条の他端部を地面から別途据え立てたポールの手元部に付属する索条巻取り用具へ巻き付けて、その巻取り用具の回動操作により、索条における張力の調整と巻取り回収を行えるように定め
たことを特徴とする。
【0023】
請求項7では索条の一端部と他端部を取り付ける一対のポールのうち、その少なくとも索条の他端部を巻き付ける索条巻取り用具が付属するポールを、テレスコピック式の伸縮ポールとして形作り、
【0024】
その最も細い最上段ポールの先端部に上記索条の通し込み配線用ガイドリングを取り付ける一方、
【0025】
最も太い最下段ポールの手元部に上記索条巻取り用具を取り付けたことを特徴とする。
【0026】
請求項8では請求項1記載の安全飛行システムに使用されるドローンのガードフレームであって、
【0027】
ドローンを上方から被覆する屋根枠と、その屋根枠の下端部に連結されてドローンのプロペラを横方向から包囲する壁枠と、ドローンの機体から横方向へ張り出す複数の放射アームの先端部と接近するように、上記壁枠の中途部へ部分的な橋渡し状態に横架された複数本の水平なクロスビームと、上記ドローンにおける放射アームの先端部又はその先端部に存在するプロペラ回転駆動モーター用カバーケースへ取り付けるべく、上記クロスビームの中途部へ差し込み套嵌された挟持クランプとを備え、
【0028】
上記屋根枠の中心部をドローンの重心位置へ接近するように陥没させて、その陥没した中心部に取り付けた吊り環を、リードによって吊り下げ使用するように定めたことを特徴とする。
【0029】
請求項9では屋根枠の中央部を平面視の正多角形又は円形な枠環として組み立てる一方、壁枠をその屋根枠の枠環よりも大きな相似の平面輪郭形状に組み立てると共に、
【0030】
上記屋根枠の枠環から内向きに張り出す複数本の求心アームを平面視の全体的な放射対称配列型として、しかもその中心部が陥没する側面視のV字形に組み立てて、その中心部に吊り環を取り付けたことを特徴とする。
【0031】
更に、請求項10では屋根枠と壁枠を、炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂又はその両繊維強化樹脂のハイブリッドから成る直管材又は/及び曲管材の抜き差し可能な差し込み一本化によって組み立てたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1の構成によれば、冒頭の特許文献1に開示された従来技術の諸問題を、悉く確実に解決できる効果がある。
【0033】
即ち、本発明ではドローンが空中に張架された索条から吊り下がる係留紐付きの状態にあるとしても、そのためのリードは剛体棒と異なり、伸縮(引き出し・巻き取り)作用するので、ドローンの動きをいたずらに束縛するおそれがなく、ドローンは索条に沿って前後方向やその索条と直交する左右方向、リードの長さ(伸縮)方向に沿って上昇と下降、更に旋回などの複雑・多様に飛行することができる。
【0034】
その場合、一定長さを有する連結アームの前後両端部に、少なくとも一対の滑車が軸支されており、その滑車によって索条へ2点支持された状態にある連結アームの中途部から、ドローンがリードを介して吊り下げられているため、その荷重を受けた索条がV字形に撓み変形するおそれはなく、これによって滑車の走行と延いてはドローンの前後移動を停止させてしまうことはない。
【0035】
また、上記リードの下端部(先端部)はガードフレームにおけるドローンの重心位置に近い中心部へ枢支連結されているため、ドローンが進行方向の下がる傾斜姿勢状態となりやすく、その飛行上の効果的な推進力を発揮することができる。
【0036】
ドローンが自由自在に飛行できるにも拘らず、上記索条はリードの引き出し最大長さよりも高い位置に張架されるため、ドローンが地面まで墜落したり、地上の歩行者や車両などに衝突したりするおそれはなく、使用上の安全性を確保することができるのである。
【0037】
更に、ドローンのプロペラはその機体へ取り付けられたガードフレームによって包囲されており、そのガードフレームを吊り下げる上記リードには、その係留紐を常時弛まない程度に引っ張る弾圧付勢力(巻取りバネ圧)が与えられているため、ドローンのプロペラが索条やリードなどに絡らみ付くおそれはなく、その意味でも優れた飛行安全性を得られるのである。
【0038】
特に、請求項2の構成を採用するならば、ドローンをスイベル式フック金具の鉛直軸線廻りに自転させたり、そのフック金具と吊り環との円弧面同士の係合によって、ドローンを起伏的に傾き動作させたりすることができ、その飛行上の自由性が向上する。
【0039】
請求項3の構成を採用するならば、一定長さの連結アームによって離隔された前後一対の滑車が、索条と2点支持状態に係合するため、その索条がV字形に沈み込み変形することを防止できるほか、その連結アームの中途部へリードの上端部支持ブラケットを枢支状態に通し込むことにより、連結アームの軸線廻りにドローンを左右横方向へ飛行させることができる効果も得られる。
【0040】
その場合、請求項4の構成を採用するならば、索条が滑車の凹周面とその滑車用軸受ブラケットの凹溝との向かい合う上下相互間へ、挟まれた拘束状態に通し込み配線されたこととなるため、その索条から滑車の脱輪(脱落)するおそれはなく、滑車を円滑に走行させることができる。
【0041】
また、請求項5の構成を採用するならば、上記滑車と係合する索条の配線作業を、その滑車の支軸となる貫通ピンの抜き差し操作により、工具の必要なく容易に行え便利である。
【0042】
更に、請求項6の構成を採用するならば、空中に対する索条の張設作業やその使用後の索条回収作業などを、ポールの手元部に付属する索条巻取り用具の回動操作により、地面での安楽に便利良く行える効果がある。
【0043】
その場合、特に請求項7の構成を採用するならば、索条巻取り用具を付属しているポールがテレスコピック式の伸縮ポールであるため、その地面での伸縮操作により、上記利便性をますます向上させることができ、据立て場所の移動にも役立つ。
【0044】
他方、請求項8に記載されたドローン用ガードフレームの構成によれば、ドローンの就中プロペラが飛行中、万一他物と衝突しても、その破損のおそれなく防護し得るほか、その屋根枠におけるドローンの重心位置へ接近するように陥没された中心部の吊り環が、リードによって吊り下げ使用されることにより、ドローンをそのガードフレームの取付状態にあっても、進行方向が低く下がる傾斜姿勢状態に保ちやすく、これにより飛行上の効果的な推進力を発揮させることができる。
【0045】
また、請求項9の構成を採用するならば、ドローンの就中プロペラを上方から屋根枠に
よって、横方向から壁枠によってますます安全に防護できるほか、その屋根枠の中央部をなす枠環の求心アームにより、その中心部が陥没する安全なV字形に組み立てて、ここへ吊り環を取り付け得る効果もある。
【0046】
その場合、請求項10の構成を採用するならば、ドローンの飛行に負荷や抵抗を与えない軽く高強度な材料により、ドローンの大きさに応じたガードフレームを容易に組み立てることができ、実用性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施形態を説明する。
図1、2はそのドローン安全飛行システムの使用状態を概略的に示しており、
図3はその一部を抽出して示す拡大図である。
【0049】
本発明の実施形態に係るドローン(A)の安全飛行システムは
図1〜3から明白なように、空中に張架される伸縮不能な索条(10)と、その索条(10)へ走行自在に係合される少なくとも前後一対の滑車(遊転ローラー)(11)と、上記索条(10)とほぼ平行に延在して、その少なくとも一対の滑車(11)を枢支連結する一定長さ(X)の連結アーム(12)と、ドローン(A)へそのプロペラ(回転翼)(13)の包囲状態に取り付け一体化されたガードフレーム(G)と、上記連結アーム(12)の中途部からドローン(A)のガードフレーム(G)を吊り下げるための伸縮作用し得るリード(L)とを備えている。
【0050】
ドローン(A)は
図4〜6に例示するように機体(ボディ)(14)と、その機体(14)から横方向へ張り出す複数(図例ではクアッドコプターとして合計4本)の放射アーム(15)と、同じく機体(14)から下方へ張り出す複数の接地脚(スタンド)(16)と、各放射アーム(15)の先端部に軸支されたプロペラ(ローターブレード)(13)とを備えており、その各プロペラ(13)の回転駆動源であるモーター(図示省略)が、カバーケース(17)によって被覆された状態にある。その各モーターカバーケース(17)は上記放射アーム(15)の先端部に固定設置されている。
【0051】
図例の場合、ドローン(A)の接地脚(16)は側面視のほぼU字形をなす向かい合う一対として並列設置されているが、その安定な接地状態(ホバリング状態)に保てる限り、その形状や本数に限定はない。ドローン(A)における機体(14)の腹部に搭載されるカメラやライト、バケット、その他の各種付属機器は、図示省略してある。
【0052】
何れにしても、ドローン(A)はその各プロペラ回転駆動用モーターのリモートコントロールによって、自由に上昇・下降と前後・左右方向への横移動(斜め上方と斜め下方も含む)並びに旋回(水平回転)を行うべく、操縦されるようになっている。
【0053】
上記安全飛行システムを構成する主要な部材のうち、先ず索条(10)は可撓性を有するも硬く、伸縮しない合成繊維(好ましくはナイロン)のロープやワイヤーロープ、その他の強靱な丸い(例えば太さ3〜4mm)紐類から成り、
図1に例示する如く、その一端部が地面(GL)から据え立てたポール(P1)の先端部へ着脱自在に取り付けられると共に、残る他端部が地面(GL)から別途据え立てたポール(P2)の手元部に付属するリールやドラム、ウインチなどの索条巻取り用具(18)へ、巻き付けられることにより、その地面(GL)からの一定高さ(H)(例えば8〜12m)とそのポール(P1)(P2)同士の一定な間隔距離(D)(例えば50〜100m)を保つ空中へ、好ましくは水平状態に張架されるようになっている。(19)はその索条巻取り用具(18)の回動操作ハンドルである。
【0054】
その場合、索条(10)の一端部を取り付ける対象物は上記ポール(P1)だけに限らず、別な
図2に例示するような高層マンション(建物)のベランダ(20)にある物干し器具(21)、街灯や旗の支柱、道路橋、その他の各種既設構造物のほか、自然の立木などであっても良く、要するに上記索条(10)の取り付けと取りはずしを容易に行える高さ位置であれば、さしつかえない。
【0055】
但し、上記索条(10)の他端部を取り付ける対象物は、これの巻き取りと繰り出しの可能な上記索条巻取り用具(18)付きのテレスコピック式伸縮ポール(P2)として、その索条(10)における上記空中への張架作業やその巻き取り回収作業を行えるように設定することが好ましい。
【0056】
そのテレスコピック式伸縮ポール(P2)は
図7、8に示すように、最も太い最下段のポール(22)から所要数の中1、2段ポール(23)(24)を経て、最も細い最上段のポール(25)まで太さの順次段階的に変化する複数本(図例では合計4本)から、伸縮自在に接続一本化されたものである。
【0057】
しかも、その複数本の各ポール(22)(23)(24)(25)は何れもガラス繊維クロスやカーボン繊維クロス、その他のFRPクロスにフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が含浸されたプリプレグを素材として、そのFRPクロスプリプレグの加熱硬化により、数プライの積層状態に製管されたFRP管(繊維強化樹脂のコンポジット管)であるが、その最も太い最下段ポール(22)の中空内部へ残りの最上段ポール(25)と所要数の中1、2段ポール(23)(24)を悉く重合する収納状態に短縮させることができ、その一定長さ(h)(好ましくは身長程度の1700〜1800mm)の短縮状態から順次上方へ引き伸ばして、一段づつ固定ロックすることにより、
図7のように一本化された状態の全体長さ(H)(例えば8〜12m)として据え立て使用することができるようになっている。
【0058】
つまり、
図9は上記隣り合うポール(22)〜(25)同士の接続部分に共通する接手構造を示しており、これから明白なように、その隣り合う一方の太いポール側の上端部(先端部)には、抜け止めフランジ(26)が内向きに張り出し形成されているに比して、他方の細いポール側の下端部(根元部)は上記抜け止めフランジ(26)に受け止められる径大な差込み接手(27)として、厚肉な積層状態の円筒形に膨出されている。
【0059】
そして、その径大な差込み接手(27)の中空内部にはブッシュ(28)がロールピン(29)での回動不能に嵌合一体化されている。(30)はそのブッシュ(28)に内蔵された圧縮コイルバネであって、これによる背圧を付与されたロックピン(31)が、その細いポール側の上記差込み接手(27)から径方向へ常時突出する付勢状態にある。
【0060】
(32)はそのロックピン受け入れ孔であって、太いポール側に対応形成されており、その太いポール側から細いポール側を上方へ引き伸ばした時、上記ロックピン(31)がそのロックピン受け入れ孔(32)へ自づと受け入れ係止されて、接続状態を固定維持するようになっているが、そのロックピン(31)を圧縮コイルバネ(30)の付勢力に抗して沈没させることにより、逆に細いポール側を太いポール側へ引き下げて、
図8のような一定長さ(h)に短縮することもできる。
【0061】
(33)は上記最も太い最下段ポール(22)の下端部(根元部)に嵌め付けられた高強度な合成樹脂製の底蓋であり、これを取りはずして、その下方から残りの最上段ポール(25)と所要数の中1、2段ポール(23)(24)を最下段ポール(22)の中空内部へ順次差し込み収納することができ、また逆にこれらを最下段ポール(22)から順次抜き出し分解することも可能である。
【0062】
他方、伸縮ポール(P2)の上記最も細い最上段ポール(25)の中空内部には、索条(10)を通し込み配線するガイドリング(34)の脚管(35)が、上方から抜き差し自在に差し込み固定されるようになっている。
【0063】
(M)は上記伸縮ポール(P2)における就中最も太い最下段ポール(22)の据立てマウントであり、地面(GL)から安定良く確固に据え立てることができ、また据立て場所を変えることができる構成であれば足りる。例えば、これを
図10に示すような支持脚に代る金属やコンクリートなどの平盤(図示省略)として、駐車した車両のタイヤにより地面(GL)へ押え付け固定しても良い。
【0064】
尚、このような据立てマウント(M)は上記索条(10)の一端部を取り付ける別なポール(P1)にも具備されているが、図示省略してある。その索条(10)の一端部を取り付ける別なポール(P1)も、上記索条巻取り用具(18)付きか又はこれを付属しないテレスコピック式の伸縮ポール(P2)として具体化し、使用することが望ましい。
【0065】
次に、上記前後一対の滑車(11)とその連結アーム(12)について言えば、
図11〜15から明白なように、連結アーム(12)はカーボン繊維強化樹脂やガラス繊維強化樹脂、その両繊維強化樹脂のハイブリッド、その他の繊維強化樹脂の直管材から成り、その一定長さ(X)(例えば300〜500mm)を有する連結アーム(12)の両端部には、前後一対の滑車用軸受ブラケット(36)が各々差し込み套嵌された上、ロールピン(37)によって固定一体化されている。その連結アーム(12)をなす上記直管材の太さは、例えば6.0〜6.5mmである。
【0066】
各滑車(11)の軸受ブラケット(36)はABS樹脂やその他の硬質な合成樹脂から、正・背面視の上向き開口するU字形に作成されており、その上端部を上記連結アーム(12)と直交する如く横断する貫通ピン(38)によって、滑車(11)が遊転自在に軸支されているのである。
【0067】
各滑車(11)はポリプロピレンやナイロン、その他の硬質な合成樹脂から成り、その円形の凹周面(39)がこれと上記軸受ブラケット(36)の凹溝(40)との向かい合う上下相互間へ、通し込み状態に配線された上記索条(10)と係合し、その索条(10)に沿って前後方向へ走行し得るようになっている。
【0068】
つまり、前後一対の滑車(11)とその軸受ブラケット(36)によって、索条(10)を言わば上下方向から挟む拘束状態にあるため、その索条(10)から滑車(11)が脱落(脱輪)するおそれはない。また、上記索条(10)は可撓性を有するも、比較的に硬く伸縮しないナイロンロープやその他の強靱な丸い紐類から成るため、ドローン(A)がその索条(10)を左右方向から飛び越えるように高く上昇すると、滑車(11)が索条(10)に係合した状態のままで、その索条(10)の軸線を中心として、上記連結アーム(12)が360度回動することになる。
【0069】
その場合、上記索条(10)の配線作業を容易・円滑に行えるようにするため、上記貫通ピン(38)を滑車(11)とその軸受ブラケット(36)に対して、作業工具の必要なく、人手により抜き差し操作できるように定めることが望ましい。(41)はそのために上記貫通ピン(38)へ組み込まれた出没ボールであり、その貫通ピン(38)に内蔵された圧縮バネ(図示省略)の付勢力を受けて、常時貫通ピン(38)の外周面から突出することにより、その貫通ピン(38)を上記軸受ブラケット(36)へ抜けない係止状態に保っている。
【0070】
また、上記連結アーム(12)の中途部にはリード用支持ブラケット(42)が、その連結アーム(12)の軸線廻りに振り動ける枢支状態として差し込み套嵌されている。(43)はその支持ブラケット(42)を連結アーム(12)に沿う走行不能に位置決め固定する前後一対のストッパーであり、その何れもロールピン(44)によって連結アーム(12)へ押し付けられている。
【0071】
ここに、リード用支持ブラケット(42)は上記滑車用軸受ブラケット(36)との言わば逆な正・背面視の門字形として、やはりABS樹脂などの硬質な合成樹脂から作成されており、その枠内にリード(L)の紐巻取り収納ケース(45)が差し込み係止された上、結束バンド(46)によって脱落不能に保持されている。
【0072】
更に、上記リード(L)は
図16、17に示すような紐巻取り収納ケース(45)に内蔵された渦巻きバネ(ゼンマイ)(47)と、これによって係留紐(48)が常時弛まない程度に巻取方向へ弾圧付勢された巻取リール(49)とを備えており、その弾圧付勢力に抗して巻取リール(49)から引き出される係留紐(48)の先端部(下端部)には、スイベル式のフック(クリップ/スナップ)金具(50)が取り付けられている。
【0073】
つまり、リード(L)の渦巻きバネ(47)による巻取方向への弾圧付勢力は、その係留紐(48)の弛みを吸収するためのものとして、ドローン(A)とこれに取り付けられたガードフレーム(G)との重量(荷重)(例えば1500g)に応じて適度に設定されており、そのドローン(A)を常に軽く引っ張るようになっている。
【0074】
その場合、係留紐(48)のそれ自身としては一定の最大長さ(Y)(例えば5〜8m)を有する伸縮しない紐類であれば足りるが、上記索条(10)のような硬さはなく、可撓性に富む平帯状のナイロン製品やテトロン製品、その他の合成繊維製品を採用することが好ましい。ドローン(A)の動きに追従して、その引き出し(伸長)や巻き取り(短縮)が滑らかに行われるほか、巻取り状態の扁平化にも役立つからである。
【0075】
尚、紐巻取り収納ケース(45)はABS樹脂などの硬質な合成樹脂から成る組立品であり、図例ではその収納ケース(45)の一部をなす把手環(51)が、連結アーム(12)上のリード用支持ブラケット(42)へ抜き差し自在に差し込み係止されるようになっているが、その大きな口径の把手環(51)に代る小さな口径の吊り環(図示省略)を、上記紐巻取り収納ケース(45)から一体的に張り出して、その吊り環を直接上記連結アーム(12)の中途部へ枢支状態に通し込むことにより、別個な上記リード用支持ブラケット(42)と結束バンド(46)の設置を省略しても良い。
【0076】
上記ドローン(A)のガードフレーム(G)はカーボン繊維強化樹脂やガラス繊維強化樹脂、その両繊維強化樹脂のハイブリッド、その他の繊維強化樹脂から成る直管材(Sm)と曲管材(Cm)との複数本づつを用いて、
図21〜24のようなドローン(A)のプロペラ(13)を横方向から全体的に包囲できる大きさに枠組みされている。
【0077】
その枠組み方法としては、細い太さ(例えば6.0〜6.5mm) の直管材(Sm)と太い太さ(例えば8.0〜8.5mm) の曲管材(Cm)とを用いて、その端部同士を直接抜き差し自在に差し込み、その差し込み嵌合部(接続部)へロールピン(52)を貫通させることによって固定一本化してもさしつかえないが、
図18〜20に抽出して示す如く、互いに同じ太さ(例えば8mm)の直管材(Sm)と曲管材(Cm)とを用いて、その曲管材(Cm)の両端部に予じめ細い太さ(例えば6mm)の差込み接手管(53)を接着一体化しておき、その曲管材(Cm)の端部から突出する差込み接手管(53)を直管材(Sm)の端部へ、抜き差し自在に差し込み、その差し込み嵌合部(接続部)へロールピン(52)を貫通させて固定一本化することが望ましい。
【0078】
何れにしても、ロールピン(52)はこれを抜き取って、上記直管材(Sm)と曲管材(Cm)との接続状態を解くことができるように定めることが好ましい。そうすれば、同じ長さの曲管材(Cm)を使い、直管材(Sm)の長さだけを長短変化させて、その直管材(Sm)と曲管材(Cm)とを抜き差し自在に差し込み一本化することにより、ドローン(A)の大きさ変化に応じて、そのガードフレーム(G)の大きさを容易に大小調整することができるからである。
【0079】
上記ガードフレーム(G)の枠組み状態を
図21〜31に基いて詳述すると、(54)はそのドローン(A)を上方から全体的に被覆する屋根枠であって、その中央部をなす水平な設置状態の枠環(55)と、これから外向き傾斜状態に張り出す複数本(図例では8本)の放射アーム(56)と、同じく枠環(55)から内向く傾斜状態に張り出す複数本(図例では4本)の求心アーム(57)とから成る。
【0080】
上記枠環(55)は直管材(Sm)と曲管材(Cm)との差し込み一本化によって、平面視の各コーナー部が円弧状をなす正多角形(図例では正方形)に組み立てられている。また、放射アーム(56)は1本づつの直管材(Sm)から成り、その傾斜状態の上端部がT字形(三方)管接手(58)を介して、枠環(55)の中途部に連結されている。
【0081】
更に、上記求心アーム(57)は複数本の直管材(Sm)から十文字形(四方)管接手(59)により平面視の十文字形として、しかもその十文字形の交点(中心部)が陥没する側面視のV字形に組み立てられている。
【0082】
つまり、その十文字形(四方)管接手(59)の中心部がドローン(A)の重心位置へ最も接近するようになっており、ここには別個な吊り環(60)を差し込み係合するための吊り環受け入れ口(61)が、円形に開口形成されている。(62)は同じく中心部に張り出し形成された脚座である。
【0083】
尚、上記求心アーム(57)は平面視の十文字形となる4本だけに限らず、3本以上の全体的な放射対称配列型に組み立てられても良い。その交点(中心部)が最も陥没する側面視のV字形となることに変りはなく、ドローン(A)の重心位置へ接近させることができるからである。
【0084】
図示実施形態の場合、
図25〜30のような屋根枠(54)の枠環(55)と別個独立する求心アーム(57)の先端部(上端部)を、上記放射アーム(56)の上端部付近へ下方から抜き差し自在に差し込み係止させることにより、その求心アーム(57)を枠環(55)の区画内部へ配置しているが、抜き差し不能に組立一体化してもさしつかえない。
【0085】
(63)は求心アーム(57)の先端部(上端部)に取り付け固定された側面視のほぼレ字形をなす二方管接手であり、その上向き開口するU字形の差込み接手部(64)が上記放射アーム(56)へ、下方から差し込み係止されるようになっている。
【0086】
また、(65)(66)はドローン(A)のプロペラ(13)を横方向から全体的に包囲する上下一対の壁枠であって、やはり直管材(Sm)と曲管材(Cm)との差し込み一本化により、上記屋根枠(54)の枠環(55)よりも大きな平面視の各コーナー部が円弧状をなす正多角形(図例では上記枠環とほぼ相似な正方形)に組み立てられている。
【0087】
しかも、その上下一対の壁枠(65)(66)は互いに同じ大きさを有し、複数本(図例では8本)のスペーサー(67)を介して側面視の平行状態に並列しており、その上下相互間を言わば一定幅のフラットな壁面として、ドローン(A)におけるプロペラ(13)の回転領域を横方向から被覆している。
【0088】
その場合、各スペーサー(67)の上端部は
図31に示すような上記屋根枠(54)側のT字形(三方)管接手(58)と向かい合う平面視の倒立T字形(三方)管接手(68)として造形されており、これによって上記傾斜状態にある放射アーム(56)の下端部(先端部)と、上段壁枠(65)の中途部とが連結されている。(69)はその各スペーサー(67)の下端部に造形された下段壁枠用差込み接手管部であり、ここが下段壁枠(66)の中途部へ差し込み套嵌されることになる。
【0089】
更に、(70)はドローン(A)の機体(14)から横方向へ張り出す放射アーム(15)の先端部と接近するように、上記下段壁枠(66)の各コーナー部へ橋渡し状態に横架されたクロスビーム(梁)であって、1本の直管材(Sm)から成り、その一定長さの両端部が平面視のほぼV字形をなす二方管接手(71)によって、下段壁枠(66)の中途部に連結されている。そのため、クロスビーム(70)は下段壁枠(66)のコーナー補強ブレースとしても機能し、その複数本(図例では4本)が平面視の全体的な放射対称型に分布することとなる。
【0090】
そして、そのガードフレーム(G)の下段壁枠(66)をドローン(A)の機体(14)から張り出す放射アーム(15)の先端部へ取り付けるための挟持クランプ(C)が、その下段壁枠(66)における各クロスビーム(70)の中途部へ、好ましくは摺動自在に差し込み套嵌されており、その各クロスビーム(70)に沿い上記挟持クランプ(C)を摺動させて、上記放射アーム(15)の先端部へ正しく対応位置するように調整した上、ロールピン(図示省略)の貫通により固定できるようになっている。
【0091】
上記挟持クランプ(C)は
図32〜34に抽出して示すように、各クロスビーム(70)との差込み接手管(72)と、これから連続的に垂下するクランプ本体(73)と、そのクランプ本体(73)と凹凸嵌合する別個な台座(74)とを備えており、そのクランプ本体(73)と台座(74)との凹凸嵌合によって、上記放射アーム(15)の先端部を上下方向から挟持すると共に、その挟持状態を垂直の貫通ボルト(75)とその締結ナット(76)によって固定するようになっている。
【0092】
その場合、挟持クランプ(C)の差込み接手管(72)はこれを差し込み套嵌したクロスビーム(70)の軸線廻りに振れ動くため、そのクロスビーム(70)から垂下する挟持クランプ(C)の姿勢状態を調整することにより、上記放射アーム(15)の先端部へ容易・正確に挟み付け固定することができる。
【0093】
上記ガードフレーム(G)を組み立てるための各種管接手(58)(59)(63)(68)(71)やスペーサー(67)、放射アーム用挟持クランプ(C)は、ABS樹脂やポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、その他の耐衝撃性がある硬質な合成樹脂から作成されている。
【0094】
尚、図示の実施形態では上記ガードフレーム(G)の壁枠(65)(66)と、屋根枠(54)の枠環(55)とを平面視の正多角形に組み立てているが、その何れも平面視の円形に枠組み造形すると共に、その円形な下段壁枠(66)の部分補強ブレースとなる複数本の水平なクロスビーム(70)を、全体的な放射対称型に分布する橋渡し状態に固定横架させても良い。
【0095】
また、図示の実施形態では屋根枠(54)と上下一対の壁枠(65)(66)を備えたガードフレーム(G)によって、ドローン(A)のプロペラ(14)を全体的に包囲しているが、そのガードフレーム(G)の枠組みとしてはドローン(A)における複数のプロペラ(13)を個別に包囲できる形状・大きさに設定してもさしつかえない。
【0096】
本発明の好適な実施形態に係るドローン(A)の安全飛行システムは上記した構成を備えており、その使用に当っては
図1に例示するように、可撓性を有するも伸縮しない強靱な索条(10)の一端部を、ポール(P1)の先端部へ取り付けると共に、同じく索条(10)の他端部を別なポール(P2)が付属している索条巻取り用具(18)へ、巻き付けておく。
【0097】
その場合、一対のポール(P1)(P2)として、何れも
図7〜10のようなテレスコピック式の伸縮ポールを採用するならば、その伸縮ポールを地面(GL)での短縮させた状態において、上記索条(10)の取付作業や巻き付け作業をすばやく安楽に行える利点があり、その準備作業後に地面(GL)からの一定高さ(H)(例えば8m)まで伸長させた状態に据え立てれば良い。
【0098】
また、未だ地面(GL)上での準備作業として、前後一対の滑車(11)と、リード(L)が予じめ係止された状態にある連結アーム(12)上の滑車用軸受ブラケット(36)との向かい合う相互間へ、上記索条(10)を通し込んだ状態に配線する。
【0099】
このような配線は、上記索条(10)の一端部をポール(P1)の先端部へ取り付ける前に、その一端部から滑車(11)と滑車用軸受ブラケット(36)との向かい合う相互間へ通し込んでおいてもさしつかえないが、上記索条(10)を一対のポール(P1)(P2)へ取り付けた後に、連結アーム(12)上の滑車用軸受ブラケット(36)から貫通ピン(38)を抜き取って、その軸受ブラケット(36)から滑車(11)を一旦取りはずし、その滑車(11)の凹周面(39)と上記軸受ブラケット(36)の凹溝(40)によって、索条(10)を挟み拘束するように配線した後、滑車(11)を上記貫通ピン(38)の差し込みにより、その軸受ブラケット(36)へ軸支させることが好ましい。
【0100】
他方、ドローン(A)についてはそのガードフレーム(G)を予じめ上方から覆い被せて、その下段壁枠(66)のクロスビーム(70)に差し込み套嵌されている挟持クランプ(C)を、ドローン(A)における放射アーム(15)の先端部又はその先端部に存在するプロペラ回転駆動モーター用カバーケース(17)へ、各々上下方向から挟み付け状態に固定する。そうすれば、ガードフレーム(G)における屋根枠(54)の中心部がドローン(A)の重心位置に接近することとなる。
【0101】
上記のように前後一対の滑車(11)とその連結アーム(12)を、索条(10)へ走行可能な係合状態に保った後、その連結アーム(12)に係止されているリード(L)の係留紐(48)を引き出して、その先端部にあるスイベル式のフック金具(50)を上記ガードフレーム(G)の中心部にある吊り環(60)へ枢支状態に係止させる。そうすれば、ドローン(A)はその重心位置に近い中心部を、リード(L)によって吊り下げられることになるため、進行方向が下がる傾斜姿勢状態となりやすく、その飛行上の効果的な推進力を発揮し得るのである。
【0102】
このような地面(GL)上での準備作業を終えたならば、一対のポール(P1)(P2)を
図1のような一定の間隔距離(D)(例えば50m)と、地面(GL)から一定の高さ(H)(例えば8m)とを保つ状態に据え立て固定し、上記索条(10)の他端部をその巻取り用具(18)により、ポール(P2)の手元部から少しづつ巻き取って、空中での水平状態に張架し、その索条(10)から言わば一対の滑車(11)とその連結アーム(12)を介して、リード(L)における一定長さ(Y)(例えば5m)の係留紐(48)付き状態にあるドローン(A)を、前後・左右への移動や上昇・下降、旋回(水平回転)する如く、複雑・多様に飛行させることとなるが、その飛行開始当初は
図35のように上記索条(10)を垂れ下がり状態に弛緩させて、ドローン(A)を地面(GL)へ着地した静止状態に保つ。
【0103】
その際、リード(L)の巻取りリール(49)には係留紐(48)の弛みを吸収する程度の弾圧付勢力(巻取りバネ圧)が与えられているに過ぎないため、ドローン(A)は上記索条(10)からリード(L)を介して安定良く吊り下がり、地面(GL)への着地状態に保たれることとなる。
【0104】
そして、
図35の着地状態からドローン(A)を操縦し、そのドローン(A)が地面(GL)から浮上(離陸)したならば、上記索条(10)をその他端部からポール(P2)の索条巻取り用具(18)により、すばやく巻き取り緊張させて、
図36のような空中でのほぼ水平状態に固定保持するのである。
【0105】
そうすれば、上記のポール(P1)(P2)によって張架された索条(10)の地上高さ(H)(先に例示した8m)は、リード(L)における係留紐(48)の一定長さ(Y)(引き出し最大長さ)(先に例示した5m)よりも大きな寸法に関係設定されているため、ドローン(A)はその高低差(Z)(例えば身長よりも背高い3m)分だけ地面(GL)から浮上した高さ位置に吊り下がることとなり、その地面(GL)までドローン(A)が墜落したり、また地上の歩行者や車両などに衝突する程、低空飛行したりすることもない。
【0106】
図36のような吊り下がり状態から、引き続きドローン(A)における各プロペラ(13)の回転駆動モーター、就中その回転速度(回転数)をリモートコントロールすると、そのドローン(A)はリード(L)による索条(10)への係留紐(48)付きであっても、その制限範囲内において、
図1や
図37の矢印で示すような前後・左右への移動や上昇・下降、旋回などの多様に変化し、しかも安全に飛行するのである。
【0107】
つまり、ドローン(A)は索条(10)と係合している滑車(11)の走行により、その索条(10)に沿って前後方向へ移動することができる。その場合、一定長さ(X)だけ延在する連結アーム(12)の前後両端部にある一対の滑車(11)が、索条(10)と係合しており、その索条(10)へ2点支持された状態にある連結アーム(12)から、リード(L)を介してドローン(A)が吊り下げられているため、上記索条(10)がV字形に撓み変形するおそれはなく、滑車(11)は索条(10)に沿って円滑に走行し得る結果、ドローン(A)の前後移動が不慮に停止するおそれはない。
【0108】
尚、滑車(11)の走行ストッパー(図示省略)を索条(10)の途中へ、着脱自在に取り付け固定しておくことにより、ドローン(A)が一対のポール(P1)(P2)やその一方のポール(P1)に代る建物などの既設構造物へ衝突することを予防することが望ましい。
【0109】
また、ドローン(A)はリード(L)の伸長作用(引き出し)と短縮作用(巻取り)を行う係留紐(48)付きであるため、その長さの伸縮する如く上昇と下降を行えるほか、その高低変化する高さ位置での旋回(水平回転)も行える。
【0110】
しかも、リード(L)の上端部は連結アーム(12)の軸線廻りに振れ動く枢支状態にあるため、ドローン(A)は索条(10)と直交する左右横方向へ移動したり、斜め上方や斜め下方へ移動したりすることも可能である。
【0111】
更に、滑車(11)の連結アーム(12)はその一定長さ(X)だけ索条(10)とほぼ平行に延在しており、その索条(10)の水平軸線廻りに360度回動し得るため、ドローン(A)は
図38のように索条(10)を飛び越える如く高く上昇飛行することができる。
【0112】
そのような場合でも、ドローン(A)にはガードフレーム(G)が被覆状態に取り付け使用されているため、またドローン(A)はリード(L)における係留紐(48)の弛まない常態にあるため、そのプロペラ(13)が索条(10)やリード(L)、連結アーム(12)に絡らみ付くおそれはない。
【0113】
尚、ガードフレーム(G)の中心部にある吊り環(60)と、リード(L)の下端部(先端部)にあるスイベル式のフック金具(60)とは、その円弧面同士の係合する枢支状態にあるため、そのリード(L)によって吊り下げられたドローン(A)が、鉛直軸線を中心とする自転や上記円弧面に沿う起伏的な傾き動作を行えることは言うまでもない。
【0114】
何れにしても、上記ポール(P1)(P2)の一対が一定高さ(H)と一定間隔距離(D)を保つ状態に据え立てられる地面(GL)を、例えばイベント会場となる公園や駐車場、学校の運動場,歩行者天国となる幅広い道路、操縦の教習や練習を行う広い空き地や河川敷などとして、上記のようにドローン(A)を飛行させることにより、イベントや運動の空撮、夜間での照明、荷物の運搬などに広く使用することができる。
【0115】
そして、ドローン(A)の飛行を終えたならば、上記飛行開始当初との言わば逆な順序として、索条(10)を
図35のように緩めて、ドローン(A)を地面(GL)へ着地させ、そのドローン(A)とリード(L)を分離すると共に、上記索条(10)から滑車(11)とその連結アーム(12)を取りはずし、その索条(10)の回収とポール(P1)(P2)の撤収などを行えば良い。
【解決手段】空中に張架される伸縮不能な索条(10)と、その索条へ走行自在に係合される一対の滑車(11)と、上記索条と平行に延在して、その一対の滑車を枢支連結する一定長さ(X)の連結アーム(12)と、ドローン(A)へそのプロペラ(13)の包囲状態に取り付けられたガードフレーム(G)と、上記連結アームからドローンのガードフレームを吊り下げるべく、一定の引き出し最大長さ(Y)を有し、且つ常時巻取方向への弛まない程度の弾圧付勢力が与えられた伸縮作用し得るリード(L)とを備え、そのリードの下端部を上記ガードフレームにおけるドローンの重心位置に近い中心部へ、着脱自在に且つ枢支状態に取り付け使用するように定めた。