(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6484911
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】永久磁石内蔵型ソレノイド
(51)【国際特許分類】
H01F 7/122 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
H01F7/122 C
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-174093(P2014-174093)
(22)【出願日】2014年8月28日
(65)【公開番号】特開2016-51708(P2016-51708A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】松井 健志
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−133505(JP,A)
【文献】
特開昭64−74707(JP,A)
【文献】
特開昭59−6503(JP,A)
【文献】
特開昭63−146415(JP,A)
【文献】
実開昭63−128704(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第0442311(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/122
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁コイルと、前記電磁コイルの外側の略対称形の固定鉄心と、前記固定鉄心の内側に設けられた可動鉄心と、を備えるソレノイドにおいて、
前記固定鉄心はボディと、前記ボディの内側に装着して該ボディの内径に対して同軸に形成され、外周面が該ボディ内径に対して空隙を形成し、かつ側壁面が前記ボディの側面に係合するように設けられた永久磁石と、側面が前記永久磁石に密着し前記ボディの内径に対して同軸に形成され、外径が前記ボディの内径に対してエアギャップを形成するように設けられたストッパと、で形成し、
前記可動鉄心はガイド部材に摺動自在に嵌挿されたプランジャと、前記プランジャに装着されたピンと、で形成し、さらに、
前記ストッパに対して軸心方向に空隙を設けて前記ボディの内周面に配設された前記電磁コイルと、
鍔部が前記電磁コイルの端面に係合し外周面が該電磁コイルの内周面に嵌挿された前記ガイド部材と、
前記プランジャの凹部に遊挿され両端が該プランジャ及び前記ストッパ若しくはプレートに支持されたばね部材と、を有し、
前記鍔部と前記ストッパとの間には前記エアギャップの隙間より大きな間隔が形成され、
前記電磁コイルが非励磁で、かつ前記プランジャと前記ストッパが密着した状態にて流れる前記永久磁石の第一の磁路が形成され、
前記第一の磁路の軸心方向の磁束とは逆向きに前記電磁コイルに励磁を行い、前記電磁コイルの磁束が前記ガイド部材と前記鍔部と前記ボディとリングを通過する第二の磁路を形成した際に、前記第一の磁路が前記エアギャップを通過する第三の磁路に切り替わり、
前記ストッパと前記プランジャとの吸着部は、前記第二の磁路及び前記第三の磁路の磁束流れから縁切りした箇所に設けられていることを特徴とする永久磁石内蔵型ソレノイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソレノイドに係り、さらに詳細には永久磁石を付設した永久磁石内蔵型ソレノイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のソレノイドは、コイルの非通電で永久磁石の吸着力で吸引力を発生し、磁束が吸着部を通過している。
コイルに通電するとコイルによって発生した磁束が、磁石の磁束と打ち消すように流れ、磁石の磁束は別部分の磁路を通るようになり、吸着部を通過する磁石の磁束が減少するため、吸引力が低下し、吸引力を解除することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−1814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1ではコイルに通電し始めると、コイルによって発生した磁束は磁石の磁束と対抗する様に流れ、吸着部を通過する磁石の磁束量は減少し、吸引力が低下する。コイルが磁石の磁束をちょうど打ち消しあうだけの量の磁束を、発生した場合、吸着部を通過する磁束はなくなるため、吸引力はほぼ零となる。
ただし、コイルの発生する磁束が磁石の磁束に対して十分大きい場合、吸着部を通る磁束は磁石のものからコイルのものへ切り替わり、再度吸引力を発生し始めるという欠点がある。
本発明は係る課題を解決するためになされたもので、非通電時に磁石の磁束が通過するメインの第一の磁路と、コイルの磁束が通過する第二の磁路と、コイルが磁束を発生した時に磁石の磁束が切り替わる微小なエアギャップを持ったサブの第三の磁路の、三つの磁路を形成し、吸着部を第二及び第三の磁路から縁切りした箇所に設けることで、コイルが発生する磁束が磁石の磁束に対して大きい場合も、吸着部を通過する磁束量の増加を抑え、確実に吸引力を低下させることができる永久磁石内蔵型ソレノイドを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための発明は、
電磁コイルと、前記電磁コイルの外側の略対称形の固定鉄心と、前記固定鉄心の内側に設けられた可動鉄心と、を備えるソレノイドにおいて、
前記固定鉄心はボディと、前記ボディの内側に装着して該ボディの内径に対して同軸に形成され、外周面が該ボディ内径に対して空隙を形成し、かつ側壁面が前記ボディの側面に係合するように設けられた永久磁石と、側面が前記永久磁石に密着し前記ボディの内径に対して同軸に形成され、外径が前記ボディの内径に対してエアギャップを形成するように設けられたストッパと、で形成し、
前記可動鉄心
はガイド部材に摺動自在に嵌挿されたプランジャと、前記プランジャに装着されたピンと、で形成し、さらに、
前記ストッパに対して軸心方向に空隙を設けて前記ボディの内周面に配設された
前記電磁コイルと、
鍔部が前記電磁コイルの端面に係合し外周面が該電磁コイルの内周面に嵌挿された
前記ガイド部材と、
前記プランジャの凹部に遊挿され両端が該プランジャ及び前記ストッパ若しくは
プレートに支持されたばね部材と、を有し、
前記鍔部と前記ストッパとの間には前記エアギャップの隙間より大きな間隔が形成され、
前記電磁コイルが非励磁で、かつ前記プランジャと前記ストッパが密着した状態にて流れる前記永久磁石の第一の磁路が形成され、
前記第一の磁路の軸心方向の磁束とは逆向きに前記電磁コイルに励磁を行い、前記電磁コイルの磁束が前記ガイド部材と前記鍔部と前記ボディとリングを通過する第二の磁路を形成した際に、前記第一の磁路が前記エアギャップを通過する第三の磁路に切り替わり、
前記ストッパと前記プランジャとの吸着部は、前記第二の磁路及び前記第三の磁路の磁束流れから縁切りした箇所に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、非通電時に磁石の磁束が通過するメインの第一の磁路と、メインの第一磁路の途中に存在するコイルの磁束が通過する第二の磁路と、コイルが磁束を発生した時に磁石の磁束が切り替わる微小なエアギャップを持ったサブの第三の磁路と、を形成し、吸着部を第二及び第三磁路から縁切りした箇所に設けることで、コイルが発生する磁束が磁石の磁束に対して大きい場合も、吸着部を通過する磁束量の増加を抑え、確実に吸引力を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る永久磁石内蔵型ソレノイドの概略構造を示す略縦断面図である。
【
図2】
図1の永久磁石内蔵型ソレノイドの動作説明図である。
【
図3】
図1におけるメインの磁路の流れの説明図である。
【
図4】
図1におけるコイルの磁路及びサブの磁路の流れの説明図である。
【
図5】他の実施の形態に係る永久磁石内蔵型ソレノイドの概略構造を示す略縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る永久磁石内蔵型ソレノイドについて好適な実施の形態を挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は永久磁石内蔵型ソレノイド10(以下、ソレノイド10という。)の概略構造を示す略縦断面図である。
図1において参照符号11は円
筒状のボディを示すもので、一端(
図1で上端)に側壁面11aを形成し、該側壁面11aに略中央には円形の開口部12が形成されている。
ボディ11の内側には側壁面11aに密着する円筒形状の永久磁石13が設けられており、該永久磁石13はボディ11の内径に対して同心となるように形成され、かつ外径はボディ11の内径に対して空隙が形成されている。永久磁石13には中心部に円形の開口部13aが形成されている。なお、ボディ11の内径と永久磁石13の外径との空隙に非磁性体の物
質を埋めてよい。
【0009】
永久磁石13にはその下面に円筒状のストッパ14が
密着しており、該ストッパ14の外径はボディ11の内径に対してエアギャップ15が形成されている。
エアギャップ15は、ストッパ14とプランジャ19との吸着部19aの隙間やガイド17とプランジャ19との摺動方向の隙間よりも大きく設定されている。
ボディ11の内径には円筒形状のコイルボビン(電磁コイル)16が嵌挿されており、該コイルボビン16の内径には鍔部17aを有する円筒形状のガイド17が嵌挿されており、鍔部17aはコイル
ボビン16の側壁面(
図1で上面)に係合している。
【0010】
鍔部17aの上面はストッパ14の下面に対して軸心方向に間隔18が形成されるように、ボディ11の内径に形成された段付部11bに着座している。コイルボビン16はボディ11の段付部11bに着座させて、ストッパ14の下面とコイルボビン16の上面との間に間隔18を保持するように形成したが、間隔18に非磁性体の物質を設けてボディ11の段付部11bを廃止してもよい。
【0011】
ガイド17の内径にはプランジャ19が摺動自在に嵌挿されており、コイルボビン16の励磁の電磁力で変位するようになっている。プランジャ19の上面には軸心方向に指向する凹部20にばね部材21が装着されており、該ばね部材21の一端(
図1で下端)は凹部20に係合し、他端(
図1で上端)はストッパ14の下面に係合するようになっている。参照符号22はプランジャ19に固着されたピンを示すものでばね部材21に遊挿されている。
【0012】
コイルボビン16の下端には円板のリング23が取着されており、該リング23の内径はガイド17の外径に嵌挿されていて、リング23及び該リング23に係合するプレートと共にボディ11に加締められている。これに
より、コイルボビン16、ガイド17はボディ11の段付部11
bに押し付けられ固定されている。
【0013】
本発明の実施に係るソレノイド10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作ならびに作用効果について説明する。
図1はコイルボビン16に
永久磁石13の軸心方向の磁束と同じ向きに励磁した電磁力又は外力によってプランジャ19が前進(
図1で上昇)し、ストッパ14に接触し、永久磁石13の磁力によって吸着状態を維持する。この状態では吸着
維持に通電又は外力
の付勢
は必要としない。
このとき、ソレノイド10に発生する磁石の磁束流れは図
3に示す
第一の磁路
25のように形成されている。
【0014】
ストッパ14とプランジャ19との接触を解除するために、永久磁石13の磁束と逆向きの磁束となるようにコイルボビン16を励磁にすると、メインの第一の磁路25の途中にある第二の磁路26にコイルの磁束が流れる。第二の磁路26は第一の磁路25の途中に位置するため、コイルの励磁によって第二の磁路26にコイルの磁束が巡ると、第一の磁路25の磁気抵抗が大きくなる。
そうすると磁石の磁束は磁気抵抗の高い第一の磁路25から微小なエアギャップを持った第三の磁路27を通過し始める。これにより、吸着部19aを通過する磁束が減少し、吸引力が減少し、吸引力が減少
するためばね部材21の弾発力によってプランジャ19は後退(
図2で下降)し、
図2の状態になる。
【0015】
図2のプランジャ19が後退した位置でコイルの励磁を止めても、プランジャ19が後退したことによって生じたストッパ14とプランジャ19の間の空隙がメインの第一の磁路25上にある。この空隙が、第三の磁路27のエアギャップより大きいため、永久磁石13の磁束は依然として第三の磁路27を通過し、吸着力が弱いためばね部材21の弾発力によりプランジャ19は後退位置で保持される。
【0016】
図5は他の実施の形態に係る永久磁石内蔵型ソレノイド30の概略構造を示す略縦断面である。
図5中、
図1の構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5において、プランジャ19に形成される凹部31は該プランジャ19の下面に形成されている。よって、凹部31に嵌挿されるばね部材21の両端はプレート24及び凹部31の底面により支持されている。
このため、永久磁石内蔵型ソレノイド30はコイル
ボビン16の非励磁
及び励磁
状態においてばね部材21
が常にプランジャ19
をストッパ14に密着
させる方向に押
しており、通常時は保持(磁石で固定)されている。通電時のみ磁石の力が打ち消され、可動状態に確保されている。
【符号の説明】
【0017】
10 永久磁石内蔵型ソレノイド 11 ボディ
12 開口部 13 永久磁石
14 ストッパ 15 エアギャップ
16 コイルボビン 17 ガイド
18 間隔 19 プランジャ
20 凹部 21 ばね部材
22 ピン 23 リング
25、26、27 磁路