(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
図1は、実施の形態1から3に係る照明装置の斜視図である。照明装置10は長尺形状であり、着脱可能の照明ランプ11と、照明ランプ11に電力を供給し照明ランプ11を点灯させる照明器具12とを具備する。照明装置10は照明ランプ11を室内に向けて天井又は壁面に取り付けられ、照明ランプ11が点灯することによって室内空間に光を照射する。
【0012】
照明器具12は、給電ソケット13と、アースソケット14と、器具本体15とを備えている。給電ソケット13及びアースソケット14はそれぞれ器具本体15に設けられている。給電ソケット13とアースソケット14は、照明ランプ11を機械的に保持することができる。また、給電ソケット13とアースソケット14は照明ランプ11を機械的に保持することで、照明ランプ11と電気的に接続される。なお、アースソケット14は、照明ランプ11を機械的に保持するだけで、照明ランプ11と電気的に接続されない構成でも良い。
【0013】
器具本体15は、電源ボックス16を内部に収納し、V字ばね又は継手等の取付具(図示省略)を有する筐体である。照明器具12は取付器具によって天井又は壁面に取り付けられる。また、電源ボックス16はスイッチ(図示省略)と、電源装置(図示省略)とを収納した筐体であり、電源装置はスイッチがONの状態では外部電源から電力を給電ソケット13へ供給し、スイッチがOFFの状態では電力の供給を停止する。つまり、照明装置10は、給電ソケット13を介して照明ランプ11に電力の供給を行うことができる。なお、電源ボックス16はスイッチと電源装置のみで構成してもよい。
【0014】
また、電源ボックス16内の電源装置から発生する熱を放熱するために、一般的に器具本体15と電源ボックス16は、金属等の熱伝導性の高い素材を用いられる。
【0015】
図2は、実施の形態1から3に係る照明ランプの斜視図である。照明ランプ11は、カバー20と、給電口金30と、アース口金40と、光源モジュール50を有している。カバー20は、両端に開口と内部にカバー内空間60を持つ筒状の部材であって、内部に光源モジュール50を収納している。また、一方の端部の開口には給電口金30と、他方の端部の開口にはアース口金40が取り付けられている。なお、
図2ではカバー20の一部を透過し、光源モジュール50の構成の一部を示している。
【0016】
カバー20は、透光性を有しており、光源モジュール50より発せられる光はカバー20を透過する。また、カバー20は、ポリカーボネートやアクリル等の樹脂材料を押出成型することによって形成される。カバー20に使用する樹脂材料には、仕様に応じて、拡散材を混ぜ込んだ樹脂材料を使用するなどの工夫を行い、拡散、反射、演色等の光学的な機能を持たせても良い。さらに、カバー20の少なくとも一部に透光性を有していれば良く、例えば、カバー20の一部のみを透光性を有した樹脂材料で構成し、その他の部分を反射性の高い樹脂材料で構成しても良い。
【0017】
給電口金30は、導電性を有する2本の給電端子31と、給電端子31がインサート成型等の製法で埋め込まれ、絶縁性を有する給電口金筐体32とを備えている。給電口金30は、カバー20の一方の端部の開口を給電口金筐体32で覆うように取り付けられる。給電端子31は、給電ソケット13に機械的に接続可能である。また、給電端子31は、給電ソケット13に機械的に接続すると同時に、電気的にも接続され給電ソケット13より電力の供給を受けることができる。なお、アース口金40と照明ランプ11と電気的に接続されていない場合は、2本の給電端子31のいずれか片方から給電ソケット13より電力の供給を受け、もう一方の給電端子31はアースの役割を果たす。
【0018】
アース口金40は、導電性を有するアース端子41と、アース端子41がインサート成型等の製法で埋め込まれ、絶縁性を有するアース口金筐体42とを備えている。アース口金40は、カバー20の給電口金30が取り付けられていない側の端部の開口をアース口金筐体42で覆うように取り付けられる。アース端子41は、アースソケット14に少なくとも機械的には接続可能である。また、アースソケット14が照明ランプ11と電気的に接続する場合は、アース端子41は、アースソケット14に機械的に接続すると同時に、電気的にも接続される。
【0019】
図3は、実施の形態1に係る照明ランプの
図2のA−A断面斜視図である。
図4は、実施の形態1に係る照明ランプの
図2のA−A断面図である。
図5は、実施の形態1に係る照明ランプの
図2及び
図3のB−B断面図である。なお、説明のために、照明ランプ11が照明器具12に取り付けられた時に、室内空間と対向する側を出射側、器具本体15と対向する側を器具側と称する。また、
図3ではカバー20の一部を透過させ、カバー20内部の光源モジュール50を表記している。
【0020】
図3,
図4及び
図5に示すように、カバー20は略円形の断面である。カバー20は、カバー20の外部空間に面する外周面21と、カバー内空間60に面する内周面22の2つの面を有している。カバー20の中心軸よりも器具側の位置の内周面22には、カバー内空間60へ突出した一対の載置突起部23と嵌合突起部24がカバー20の長手方向の全長にわたって形成されている。なお、実施の形態1では、カバー20の断面は略円形であるが、これに限らず、例えば方形等の形状でも良く、カバー内空間60が形成されており外周面21と内周面22を持つ筒状の断面形状であれば良い。
【0021】
カバー内空間60には光源モジュール50がカバー20の軸方向に沿って挿入されている。光源モジュール50は、複数のLED光源51と、長手方向の長さがカバー20の軸方向の長さと略等しい基板52と、少なくとも基板52が設置可能な基板52と略長手方向の長さが等しいヒートシンク53を備えている。また、光源モジュール50は、出射側よりLED光源51、基板52、ヒートシンク53の順番に積層配置されている。このため、光源モジュール50を基準とした場合、出射側はLED光源側と称することができ、また、器具側はヒートシンク側と称することができる。カバー内空間60に挿入された光源モジュール50は、カバー20の中心軸よりも器具側に位置している。LED光源51から出射される光は、光の出射方向に向かうにつれて拡散する。このため、LED光源51はカバー20の中心軸よりも器具側に位置することで、LED光源51から出射される光はより一層拡散され、広範囲を照らすことができる。
【0022】
LED光源51は、基板52の長辺に対して並行に基板52に実装される。なお、LED光源51は、基板52と一体化されていても良い。LED光源51には、実施の形態1では、440〜480nmの青色光を発するLEDチップ上に青色光を黄色光に波長変換する蛍光体を配してパッケージ化した擬似白色LEDが用いられる。しかし、LED光源51の基板52に実装する数、LED光源51の配置、LED光源51の種類は、照明ランプ11の用途に応じて決定されるため、LED光源51の数、配置、種類は限定されない。さらに、LED光源51に代えて、レーザダイオード(LD)又は有機EL等の発光素子を使用しても良い。これらの素子を用いた場合、複数の発光素子を基板52に実装する代わりに、長手方向の長さが基板52の長手方向の長さと略同様の1つの長尺な発光素子を基板52に実装しても良い。
【0023】
基板52のLED光源51が実装される面には、例えば、ダイオード、コンデンサ、ヒューズ又は抵抗等の電子部品(図示省略)と、LED光源51が点灯する様に各LED光源51と各電子部品を電気的に接続させる回路パターン(図示省略)が設けられている。基板52に実装されたLED光源51は回路パターンを介して給電端子31と電気的に接続されている。つまり、LED光源51は外部電源から電力を供給され、点灯することができる。
【0024】
図6は、実施の形態1に係る基板の上面図である。基板52の短手方向の両端には、基板切欠き部52aが基板52の長手方向に断続的に設けられている。また、説明のため、基板切欠き部52aが形成され短手方向の幅が狭くなっている部分を基板幅狭部52bと称し、基板切欠き部52aが形成されず短手方向の幅が広くなっている部分を基板幅広部52cと称する。
【0025】
図4に示すように基板幅狭部52bの幅は、カバー20の内周面22に形成された一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも短くなるよう形成されている。また、
図5に示すように基板幅広部52cの幅は、一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも長くなるよう形成されている。
【0026】
光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、基板幅広部52cは載置突起部23の出射側の面に載置され、カバー20と光源モジュール50が接する。基板幅広部52cが載置突起部23に載置された際に、カバー内空間60は光源モジュール50を基準として、出射側と器具側の2つの空間に分けられる。ここで基板52よりも出射側、つまりLED光源側のカバー内空間60を出射側空間61(本発明の第1の空間に相当)と称する。また、基板52よりも器具側、つまりヒートシンク側のカバー内空間60を器具側空間62(本発明の第2の空間に相当)と称する。なお、光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、載置突起部23が基板幅広部52cの出射側の面に載置されるような構成であっても構わない。この場合でもカバー内空間60は、出射側空間61と器具側空間62に分けられる。
【0027】
また、光源モジュール50はカバー20の中心軸よりも器具側に位置するため、出射側空間61の容積に比べて器具側空間62の容積は小さくなっている。
【0028】
基板52の素材には、ガラスエポキシ材料、紙フェノール材料、コンポジット材料あるいはアルミニウム等の金属材料が、材料コスト等の設計事項を勘案して選定される。基板52の厚さは、実施の形態1では1mm程度であるが、この厚さに限定されない。
【0029】
ヒートシンク53は、基板設置部53a、ヒートシンク嵌合部53bが一体になって構成されている。ヒートシンク53はLED光源51から発生する熱を放熱する役割と照明ランプ11の剛性を向上させる役割を有している。このため、一般的にヒートシンク53は、熱伝導性と剛性が良く、線膨張係数が小さい素材を用いられ、実施の形態1ではアルミニウムを用いている。また、ヒートシンク53は、押出成型によって形成しても良い。
【0030】
基板設置部53aは出射側の面と器具側の面を有している。光源モジュール50がカバー内空間60に挿入された際に、基板52のLED光源51が実装されていない側の面と基板設置部53aの出射側の面とが対向するように、基板52は基板設置部53aに固定されている。固定方法としては、シリコン樹脂などの接着剤あるいは両面テープなどの接着部材によって接着する方法や、基板設置部53a及び基板52にねじ孔を設けねじ留めする方法が挙げられる。接着剤あるいは接着部材を用いて設置する場合は、LED光源51から発生する熱をヒートシンク53に伝達するため、接着剤または接着部材は熱伝導性の良い材料を選択することが望ましい。なお、基板52と基板設置部53aが一体になった構成、つまり基板設置部53aに基板52の回路パターンと点灯回路素子が設けられ、LED光源51が基板設置部53aに設置される構成でも良い。
【0031】
基板設置部53aの短手方向の幅は、カバー20の内周面22に形成された一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも短くなっている。また、前述のように基板52の基板幅狭部52bでは一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも短い。このため、光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、
図4に示すように基板設置部53a及び基板幅狭部52bは載置突起部23と接触せず、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が光源モジュール50とカバー20の内周面22の間に形成されている。
【0032】
また、基板設置部53aの器具側の面には、器具側へ突出したヒートシンク嵌合部53bがヒートシンク53の長手方向に延びるように形成されている。ヒートシンク嵌合部53bはカバー20の嵌合突起部24と嵌合する形状であり、ヒートシンク53をカバー20に固定している。
【0033】
前述のようにヒートシンク53は、LED光源51に発生する熱を放熱する役割を有している。また、ヒートシンク53は、出射側空間61には面しておらず、器具側空間62のみに面している。このため、LED光源51に発生する熱は、出射側空間61よりも器具側空間62に多く放熱されるように照明ランプ11は構成されている。さらに、前述のように出射側空間61に比べ器具側空間62は容積が小さいため、器具側空間62の熱容量は出射側空間61の熱容量よりも小さい。このため、出射側空間61内の空気の温度に比べて器具側空間62内の空気の温度の方が高くなり、出射側空間61と器具側空間62に温度差が発生する。この温度差は、カバー20の反りの原因となってしまう。
【0034】
しかしながら、実施の形態1の照明ランプ11は、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が形成されており、出射側空間61と器具側空間62の間で空気及び熱の移動が可能である。このため、出射側空間61と器具側空間62の温度差が縮小し、当該温度差に起因する反りが抑制される。
【0035】
また、基板53の基板切欠き部52aは基板52の長手方向に断続的に設けられているため、基板切欠き部52aが形成されていない基板幅広部52cの端部はカバー20の載置突起部23に載置されている。このため、光源モジュール50は載置突起部23に支持されており、カバー20と光源モジュール50はより安定に固定されている。
【0036】
次に基板52の製造方法について説明する。
図7は、実施の形態1に係る基材の上面図である。なお、
図7では基材70にLED光源51が配置されているが、これに限らず、基板52の製造段階ではLED光源51は配置されていなくても良い。
図7に示す1枚の矩形の基材52より
図6に示す基板52は複数枚得ることができる、説明の便宜上、基材70より基板52を切り取った際に基板52の長手方向に当たる方向をX方向、短手方向に当たる方向をY方向とする。
【0037】
基材70には、基材貫通孔71が、X方向及びY方向へ断続的に形成され、格子状になっている。また、基材70の矩形の四辺には、基材貫通孔71と並行に基材切欠き部72が断続的に形成されている。さらに、基材70には、X方向に並ぶ基材貫通孔71同士又は基材貫通孔71と基材切欠き部72を繋ぐように、ミシン目又はVカット等の切取りを容易とするための切取り加工部73が形成されている。
【0038】
これらの基材貫通孔71、基材切欠き部72及び切取り加工部73を形成する方法としては、一般的な加工方法を用いればよい。加工法の一例としては穴開け用のプレス機などの穴開け機械を用いて形成する方法が挙げられる。
【0039】
図7に示す基材70より、
図6に示す基板52を分割するには、切取り加工部73に沿って切り離すことで分割できる。また、基板を分割する際に切り離す必要のある部分の一部が基材貫通孔71及び基材切欠き部72によって既に貫かれているため、容易に基材70を分割する作業が行える。
【0040】
基板52に分割された際に、基材貫通孔71又は基材切欠き部72は、基板52の基板切欠き部52aに相当する部分になる。また、基板52にはY方向の幅が広い部分と狭い部分が生じ、このY方向の幅が狭い部分が基板幅狭部52bに、Y方向の幅が広い部分が基板幅広部52cにそれぞれ相当する。つまり、分割される前の基板52は基板幅広部52c同士が一体化されていたことになる。
【0041】
実施の形態1の照明ランプのように出射側空間と器具側空間を連通する間隙を形成することによって、反りが生じ難い照明ランプを得ることができる。また、その間隙を基板に切欠き部を設けることで形成することによって、1枚の基材より複数枚の基板を製造する際に基材を分割する作業が容易となる。
【0042】
なお、実施の形態1では、カバー20と光源モジュール50は、嵌合突起部24とヒートシンク嵌合部53bとを嵌合することで固定されているが、これに限らず載置突起部23と基板幅広部52cでカバー20と光源モジュールを固定しても構わない。例えば、載置突起部23と基板幅広部52cを接着剤或いは接着部材によって接着する方法、又は載置突起部23と基板幅広部52cそれぞれにねじ孔を設けねじ留めする方法等で、載置突起部23と基板幅広部52cを固定する方法が挙げられる。この場合、ヒートシンク嵌合部53bと嵌合突起部24が不要となる。このため、ヒートシンク53とカバー20が簡素な形状となる。
【0043】
また、基板幅広部52cと載置突起部23を形成せずに、照明ランプ11の長手方向に渡って連続的に出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙を形成しても良い。この場合、カバー20と基板52が簡素な形状となる。特に、基板52を製造する際には、基材70に基材貫通孔71及び基材切欠き部72を形成する必要が無く、基材貫通孔71及び基材切欠き部72を形成することにより打ち抜かれた箇所の無駄が無くなる。また、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が照明ランプ11の長手方向に渡って連続的に形成されるため、出射側空間61と器具側空間62の空気及び熱の移動がより活発に成される。
【0044】
実施の形態1の変形例
次に実施の形態1の変形例について説明する。
図8は、実施の形態1の変形例に係る基板の上面図である。
図9は、実施の形態1の変形例に係る照明ランプの
図2のA−A断面斜視図である。
図10は、実施の形態1の変形例に係る照明ランプの
図2のA−A断面図である。なお、実施の形態1の変形例の基板52の形状を除く構成については実施の形態1と同様であるので、同様である点については説明を割愛する。また、実施の形態1の変形例におけるB−B断面図は実施の形態1の
図5と同様の形状のため、割愛する。
【0045】
図8に示すように、実施の形態1の変形例の基板52は、実施の形態1の基板52と比べて、基板切欠き部52a、基板幅狭部52b及び基板幅広部52cが形成されておらず、代わりに基板貫通孔52dが基板52の長手方向に渡って断続的に形成されている。なお、断続的に形成された基板貫通孔52dが連通して1つの基板貫通孔52dを形成していても構わない。
【0046】
実施の形態1の変形例の基板52は、短辺の長さが一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも長くなるよう形成されている。このため、
図9、
図10に示すように、基板52の短辺の両端は常に載置突起部23に載置されている。このため、基板52とカバーとの接触面積を実施の形態1の照明ランプよりも広く、光源モジュール50をカバー20により安定して載置することができる。
【0047】
また、基板貫通孔52dは、少なくとも光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際にヒートシンク53及び載置突起部23と重ならない箇所に設けられている。つまり、
図10が示すように、基板貫通孔52dは出射側空間61と器具側空間62を連通させる間隙を形成している。
【0048】
このため、実施の形態1の変形例の照明ランプ11も、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が形成されており、出射側空間61と器具側空間62の間で空気及び熱の移動が可能である。この結果、実施の形態1と同じく出射側空間61と器具側空間62の温度差が縮小し、当該温度差に起因する反りが抑制される。
【0049】
図11は、実施の形態1の変形例における基材の上面図である。基材70には、基材貫通孔71が、X方向及びY方向へ断続的に形成されている。ただし、実施の形態1の変形例における基材貫通孔71同士のY方向における間隔は、途中にLED光源51を設置する箇所がある場合は広く、当該箇所が無い場合は狭くなっている。また、基材切欠き部72は形成されておらず、切取り加工部73は基材貫通孔71同士のY方向における間隔が狭くなっている部分の間にX方向へ延びるように形成されている。基板52は、基材70より分割されて製造される。
【0050】
このため、実施の形態1の変形例の基板52は、長手方向の両端辺が連続しているため、実施の形態1のような基板切欠き部52aによって長手方向の両端辺が断続している基板52よりも高い剛性を有するものになる。この結果、基板52の反りや歪みを抑制することができる。また、実施の形態1の変形例の基板52の外周形状は長方形型となるので、光源モジュール50の製造工程における、基板52とヒートシンク53との位置合わせが容易となる。
【0051】
実施の形態2
次に実施の形態2について、説明を行う。
図12は、実施の形態2に係る照明ランプの
図2のA−A断面斜視図である。
図13は、実施の形態2に係る照明ランプの
図2のA−A断面図である。
図14は、実施の形態2に係る照明ランプの
図2及び
図11のB−B断面図である。なお、実施の形態2の照明ランプの基板52及びヒートシンク53を除く構成は、実施の形態1の照明ランプと同様であるので、同様である点については説明を割愛する。
【0052】
実施の形態2の基板52は、基板切欠き部52aを有していない。このため、実施の形態2の基板52には、基板幅狭部52b及び基板幅広部52cは形成されていない。また、基板52の短手方向の幅は常に一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも短い。
【0053】
実施の形態2のヒートシンク53は、基板設置部53aの短手方向の両端には、ヒートシンク切欠き部53cがヒートシンク53の長手方向に断続的に設けられている。また、説明のため、ヒートシンク切欠き部53cが形成され短手方向の幅が狭くなっている部分をヒートシンク幅狭部53dと称し、ヒートシンク切欠き部53cが形成されず短手方向の幅が広くなっている部分をヒートシンク幅広部53eと称する。
【0054】
図13に示すようにヒートシンク幅狭部53dの幅は、カバー20の内周面22に形成された一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも短くなるよう形成されている。また、
図14に示すようにヒートシンク幅広部53eの幅は一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも長くなるように形成されている。
【0055】
このため、光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、ヒートシンク幅広部52eは載置突起部23の出射側の面に載置され、カバー20と光源モジュール50が固定される。また、ヒートシンク幅広部52eが載置突起部23に載置された際に、カバー内空間60は光源モジュール50を基準として、出射側空間61と器具側空間62に分けることができる。
【0056】
実施の形態2の照明ランプ11は、実施の形態1の照明ランプとは異なり、ヒートシンク53は出射側空間61にも面している。しかしながら、ヒートシンク53から放熱される熱量はヒートシンク53が面している表面積に比例するため、ヒートシンク嵌合部53bが面している器具側空間62へ放熱される熱量は、出射側空間61へ放熱される熱量よりも多い。さらに、実施の形態1と同じ理由で光源モジュール50はカバー20の中心軸よりも器具側に位置するため、器具側空間62の熱容量は出射側空間61の熱容量よりも小さい。このため、出射側空間61と器具側空間62に温度差が発生してしまう。
【0057】
しかしながら、基板52の短手方向の幅とヒートシンク幅狭部53dの幅は、カバー20の内周面22に形成された一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも短くなるよう形成されている。このため、光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、
図13に示すように基板52及びヒートシンク幅狭部53dは載置突起部23と接触せず、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が光源モジュール50とカバー20の内周面22の間に形成されている。
【0058】
実施の形態1の照明ランプと同じく、実施の形態2の照明ランプ11でも、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が形成されており、出射側空間61と器具側空間62の間で空気及び熱の移動が可能である。このため、実施の形態2の照明ランプ11でも実施の形態1の照明ランプと同様に出射側空間61と器具側空間62の温度差が縮小し、当該温度差に起因する反りが抑制される。
【0059】
実施の形態2の照明ランプのように、ヒートシンクに切欠き部を設けることで出射側空間と器具側空間を連通する間隙を形成することによって、反りが生じ難い照明ランプを得ることができる。
【0060】
なお、実施の形態1の変形例の基板52の基板貫通孔52dのように、ヒートシンク切欠き部53cの代わりに貫通孔をヒートシンクの基板52及び載置突起部23と重ならない箇所に設けることで間隙を形成しても構わない。
【0061】
実施の形態3
次に実施の形態3について、説明を行う。
図15は、実施の形態3に係る照明ランプの
図2のA−A断面斜視図である。
図16は、実施の形態3に係る照明ランプの
図2のA−A断面図である。
図17は、実施の形態3に係る照明ランプの
図2及び
図15のB−B断面図である。なお、実施の形態2のカバー20と基板52を除く構成は、実施の形態1の照明ランプと同様であるので、同様である点については説明を割愛する。
【0062】
実施の形態3のカバー20は、載置突起部23がカバー20の長手方向の全長にわたって断続的に設けられている。
【0063】
実施の形態3の基板52は、基板切欠き部52aを有しない。このため、実施の形態2の基板52には、基板幅狭部52b及び基板幅広部52cは形成されていない。また、基板52の短手方向の幅は常に一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも長く、基板52の短手方向の端がカバー20の載置突起部23を除く内周面22に接触しないほどの長さである。
【0064】
このため、光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、基板52の短手方向の端は載置突起部23の出射側の面に載置され、カバー20と光源モジュール50が固定される。また、基板52が載置突起部23に載置された際に、カバー内空間60は光源モジュール50を基準として、出射側空間61と器具側空間62に分けることができる。
【0065】
また、実施の形態3の照明ランプ11も実施の形態1の照明ランプと同様に、ヒートシンク53は器具側空間62のみに面しており、器具側空間62の熱容量は出射側空間61の熱容量に比べて小さい。このため、出射側空間61と器具側空間62の温度差が発生してしまう。
【0066】
しかしながら、載置突起部23は断続的に設けられているため、
図16に示すように基板52が載置突起部23に載置されている箇所もあれば、
図17に示すように基板52が載置突起部23に載置されていない箇所も存在する。また、前述のように基板52の短手方向の端はカバー20の内周面22に接触しないほどの長さであるため、
図17に示すように出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が光源モジュール50とカバー20の内周面22の間に形成されている。
【0067】
実施の形態1の照明ランプと同じく、実施の形態3の照明ランプ11でも、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が形成されており、出射側空間61と器具側空間62の間で空気及び熱の移動が可能である。このため、出射側空間61と器具側空間62の温度差が縮小し、当該温度差に起因する反りが抑制される。
【0068】
実施の形態3の照明ランプのように、照明ランプの長手方向に対して載置突起部23を断続的に設け、基板52の短手方向の端はカバー20の内周面22に接触しないほどの長さにし、出射側空間と器具側空間を連通する間隙を形成することによって、反りが生じ難い照明ランプを得ることができる。
【0069】
なお、カバー20は射出成形によって製造されるのが一般的である。このため、実施の形態3のように内周面22に載置突起部23を断続的に設けたカバーを製造する場合は、載置突起部23を長手方向に連続的に持つカバー20を射出成形により作成してから、載置突起部23の一部を取り除く後作業を行う必要がある。その際、内周面22の載置突起部23の一部を取り除く後作業は、非常に困難である。そこで、カバー20を一体で形成せず、
図18の実施の形態3に係る
図2のA−A断面図においてカバーを分解した断面図のように、例えば、嵌合突起部24と、載置突起部23の突出方向に対して垂直に成るように二つに分割した第1のカバー部品20aと第2のカバー部品20bとを、後で接合する構成にする構成にしても良い。この場合は、嵌合突起部24,第1のカバー部品20a及び第2のカバー部品20bはそれぞれ曲げプレス加工によって形成することができるため、困難な後作業を行うことなくカバー20を容易に製造することができる。
【0070】
さらに、実施の形態3では、基板52の短手方向の幅が常に一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも長く、その端部がカバー20の載置突起部23を除く内周面22に接触しないほどの長さであるが、それに限らない。例えば、ヒートシンク53の基板設置部53aの短手方向の幅が、常に一対の載置突起部23のそれぞれの先端同士の距離よりも長く、その端部がカバー20の載置突起部23を除く内周面22に接触しないほどの長さであっても良い。
【0071】
また、実施の形態1の変形例の基板52の基板貫通孔52dのように、連続的に載置突起部23を設け、載置突起部23とヒートシンク53及び基板52と重ならない箇所に貫通孔を設けることで間隙を形成しても構わない。
【0072】
実施の形態4
次に実施の形態4について、説明を行う。
図19は、実施の形態4に係る照明装置の斜視図である。
図20は、実施の形態4に係る照明装置の
図19のC−C断面図である。
図21は、実施の形態4に係る照明装置の
図19のD−D断面図である。
図22は、実施の形態4に係る照明装置の
図19のE−E断面図である。
図23は、実施の形態4に係る照明装置の
図19のF−F断面図である。実施の形態2の照明装置110は、器具本体15と、カバー20と、光源モジュール50から構成されている。
【0073】
実施の形態4のカバー20は、カバー円弧部25、カバー平面部26及びカバー側壁部27に囲まれたカバー内空間60を有する筒状の部材である。形状以外の点については実施の形態1のカバー20と同様である。カバー円弧部25は、出射側に位置する円弧形状の部分を指す。また、カバー平面部26は、器具側に位置する平面形状の部分を指す。さらに、カバー側壁部27は、カバー20の短手方向における、カバー平面部26とカバー円弧部25の端部を接続する箇所である。
【0074】
カバー平面部26には、後述する器具本体15の一部が収納できるように、器具本体15の長手方向に対して平行な側面同士の間隔と、略同様の間隔で一対の挿入孔28が形成されている。
【0075】
また、それぞれのカバー側壁部27の内周面22には、カバー内空間60に突出するように載置突起部23がカバー20の長手方向に渡って設けられている。一つのカバー側壁部27に対して二つの載置突起部23が設けられており、同一のカバー側壁部27に設けられた載置突起部23の間隔は、後述する基板52の厚さと略等しい間隔で配置されている。
【0076】
実施の形態4の光源モジュール50は、実施の形態1と同じく、LED光源51、基板52、ヒートシンク53より構成されている。LED光源51の構成は実施の形態1と同様である。また、基板52の構成も実施の形態1と同じく、基板切欠き部52aが形成され、基板52は基板幅狭部52bと基板幅広部52cを有している。基板幅狭部52bの短手方向の幅は、異なるカバー側壁部27に設けられた載置突起部23の間隔よりも短くなるよう形成されている。また、基板幅広部52bの短手方向の幅は、異なるカバー側壁部27に設けられた載置突起部23の間隔よりも長くなるよう形成されている。
【0077】
ヒートシンク53は、出射側の面と器具側の面を有した基板設置部53aと、基板設置部53aの器具側の面より基板設置部53aに対して垂直に突出し、ヒートシンク53の長手方向に延びるように形成された一対のヒートシンク壁部53fから構成されている。それぞれのヒートシンク壁部53fには、互いに対向する側の面にヒートシンク突起部53gを有している。また、基板設置部53aの短手方向の幅は、異なるカバー側壁部27に設けられた載置突起部23の間隔よりも短くなるよう形成されている。なお、実施の形態4のヒートシンク53は形状以外の点は、実施の形態1のヒートシンク53と同様である。
【0078】
光源モジュール50は、
図20,22に示すように載置突起部23に沿って基板52が挿入されることでカバー内空間60に収納されている。収納時に、基板52の基板幅広部52cは、同一のカバー側壁部27に設けられた載置突起部23の間に入り込み、光源モジュール50とカバー20は固定される。また、カバー内空間60は、光源モジュール50を基準として出射側空間61と器具側空間62に分けることができる。
【0079】
また、
図21,23に示すように、ヒートシンク53の基板設置部53aの幅と、基板52の基板幅狭部52bの幅は、異なるカバー側壁部27に設けられた載置突起部23の間隔よりも短くなるよう形成されている。このため、光源モジュール50をカバー内空間60に挿入した際に、基板設置部53a及び基板幅狭部52bは載置突起部23と接触せず、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙が光源モジュール50とカバー20の内周面22の間に形成されている。
【0080】
カバー20の挿入孔28に器具本体15の長手方向に対して平行な側面を挿入することで、カバー20のカバー内空間60に器具本体15の一部が収納されている。この際に器具側空間62は、器具本体15の長手方向に対して平行な側面によって、第1の器具側空間62a、第2の器具側空間62b、第3の器具側空間62cに分けられる。また、
図21,23で示すように、第1の器具側空間62a及び第3の器具側空間62cと連通するように間隙は形成されている。
【0081】
また、器具本体15の長手方向に対して平行な側面には、ヒートシンク壁部53fが接している。器具本体15の長手方向に対して平行な側面には、ヒートシンク突起部53gに応じた位置に器具本体嵌合孔17が設けられており、器具本体嵌合孔17とヒートシンク突起部53が勘合することで器具本体15と光源モジュール50は固定される。
【0082】
さらに、器具本体15の長手方向に対して平行な側面のうち、ヒートシンク壁部53fが接していない箇所には、器具本体貫通孔18が器具本体15の長手方向に沿って断続的に設けられている。これは第1の器具側空間62a、第2の器具側空間62b及び第3の器具側空間62cを連通させ、それぞれの空間で空気や熱の移動を可能としている。つまり、第2の器具側空間62bも第1の器具側空間62a及び第3の器具側空間62cを介して出射側空間61と連通している。
【0083】
スイッチ(図示省略)と電源装置(図示省略)を収納した電源ボックス16は、第2の器具側空間62bに収納されている。また、電源ボックス16は、ヒートシンク53の基板設置部55の器具側の面に接するように配置されている。また、器具本体15と電源ボックス16は、例えば金属材料のような、電源装置の発熱をヒートシンク53に伝達できる熱伝導性の高い素材が用いられる。なお、
図20,21の断面図において、電源ボックス16の内部の詳細な断面図については割愛する。
【0084】
電源ボックス16の電源装置は外部電源と接続されており、スイッチがONの状態では、基板52の回路パターンを介してLED光源51に電力を供給し、スイッチOFFの状態では電力の供給を停止する。つまり、実施の形態1の照明装置10とは異なり、給電ソケット13及び給電端子31を介さずに、電源装置はLED光源51に電力を供給する。
【0085】
実施の形態4の照明装置は、ヒートシンク53は出射側空間61には面しておらず、器具側空間62のみに面している。また、第2の器具側空間62bは、ヒートシンク壁部53f及び器具本体15によって第1〜3の器具側空間62a〜cに分けられており、第1〜3の器具側空間62a〜cのそれぞれの熱容量は出射側空間61の熱容量よりも小さい。また、第2の器具側空間62bには、電源ボックス16が収納されているため、電源ボックス16内の電源装置の発熱が電源ボックス16を介して第2の器具側空間62bへ放熱される。このため、第2の器具側空間62b内部の温度は、第1の器具側空間62a及び第3の器具側空間62c内の空気の温度に比べて高くなる。このため、「第2の器具側空間62b>第1の器具側空間62a及び第3の器具側空間62c>出射側空間61」の順番で空間内部の温度が高くなり、それぞれの空間で温度差が発生してしまう。
【0086】
しかしながら、出射側空間61は、間隙を介して第1の器具側空間62a及び第3の器具側空間62cと連通している。また、第2の器具側空間62bは、器具本体貫通孔18を介して第1の器具側空間62a及び第3の器具側空間62cと連通している。このため、出射側空間61、第1〜3の器具側空間62a〜cは連通しており、それぞれの空間で空気及び熱の移動が可能である。このため、実施の形態4の照明装置110でも実施の形態1の照明ランプと同様に出射側空間61と第1〜3の器具側空間62a〜cの温度差が縮小し、当該温度差に起因する反りが抑制される。
【0087】
実施の形態4の照明装置のように、出射側空間と器具側空間を連通する間隙を形成することによって、反りが生じ難い照明ランプを得ることができる。
【0088】
なお、実施の形態4の照明装置110は、基板52に基板切欠き部52aを設けることで出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙を形成したが、これに限らない。例えば、実施の形態1の変形例の照明ランプのように基板52に基板貫通孔52dを設ける方法、実施の形態2の照明ランプのようにヒートシンクにヒートシンク切欠き部を設ける方法、又は実施の形態3の照明ランプのように載置突起部を照明装置の長手方向に対して断続的に形成する方法で出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙を形成しても構わない。
【0089】
また、実施の形態4の照明装置110は、器具本体貫通孔18が照明装置110の長手方向に断続的に設けられているが、これに限らず、例えば一つの器具本体貫通孔18が照明装置110の長手方向に連続的に設けられていても構わない。
【0090】
さらに、実施の形態1〜4では、器具側空間62内の空気が出射側空間61内の空気に比べて温度が高い場合に限って説明してきたが、これに限らない。例えば、器具側空間62の熱容量に比べて出射側空間61の熱容量が小さい、又は器具側空間62へ放熱される熱量よりも出射側空間61へ放熱される熱量の方が多い等の理由で、器具側空間62内の空気の温度よりも出射側空間61内の空気の温度が高い場合も想定できる。このような場合でも、器具側空間62と出射側空間61で温度差が生じるために、照明ランプに反りが生じてしまう。本発明は、出射側空間61と器具側空間62を連通する間隙を設けることで出射側空間61と器具側空間62の温度差を縮小しているため、器具側空間62内の空気の温度よりも出射側空間61内の空気の温度が高い場合でも、当該温度差に起因する照明ランプ11又は照明装置110の反りを抑制する効果を奏する。