(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に空間である流体室が形成された本体部と、前記流体室の後部に開口するインレットと、前記流体室の底部に開口するアウトレットと、を備え、前記アウトレットの前記流体室への開口部の周囲に弁座が形成されたバルブボデーと、
前記弁座と密接した遮断位置と前記弁座から離間した開放位置との間で移動される弁体と、を有し、
前記バルブボデーは、前記本体部の前方側が前記本体部の後方側よりも低くなるように傾斜して取り付けられ、
前記本体部には、前記インレットにブローエアが供給された場合に、前記ブローエアが前記インレットと前記弁体の反対側で対向する前記流体室に形成された前壁面側から前記開口部に流入するように、前記ブローエアを案内する案内部が形成され、
前記案内部は、前記弁座の周囲から前記弁座に向かって徐々に高くなるように傾斜した傾斜面を含む流体制御弁。
内部に空間である流体室が形成された本体部と、前記流体室の後部に開口するインレットと、前記流体室の底部に開口するアウトレットと、を備え、前記アウトレットの前記流体室への開口部の周囲に弁座が形成されたバルブボデーと、
前記弁座と密接した遮断位置と前記弁座から離間した開放位置との間で移動される弁体と、を有し、
前記バルブボデーは、前記本体部の前方側が前記本体部の後方側よりも低くなるように傾斜して取り付けられ、
前記本体部には、前記インレットにブローエアが供給された場合に、前記ブローエアが前記インレットと前記弁体の反対側で対向する前記流体室に形成された前壁面側から前記開口部に流入するように、前記ブローエアを案内する案内部が形成され、
前記案内部は、前記流体室の底面において、前記弁座の両側方から前記弁座と前記前壁面との間に向かって、溝底部が前記弁座よりも低くなるように形成された流通溝を含む流体制御弁。
前記案内部は、前記前壁面及び前記流体室の両側面と離間して形成され、前記流体室の内壁面との間にブロー流路を形成し、前記前壁面側の下部に前記開口部に向けて開口した流出穴が形成された導風部材を含む請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の流体制御弁。
水素ガスをアノード極に供給するためのアノード流路と、酸素ガスを含んだガスをカソード極に供給するためのカソード流路が形成され、前記アノード極に供給された前記水素ガス及び前記カソード極に供給された酸素ガスによって発電を行う燃料電池スタックの前記カソード流路の下流側に接続され、
前記流体室の底面の前記前壁面と前記弁座の側方位置との間には、前記燃料電池スタックから排出され前記ブローエアによって排出された水のうち残留する水を貯留する水貯留部が形成されている請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の流体制御弁。
水素ガスをアノード極に供給するためのアノード流路と、酸素ガスを含んだガスをカソード極に供給するためのカソード流路が形成され、前記アノード極に供給された前記水素ガス及び前記カソード極に供給された酸素ガスによって発電を行う燃料電池スタックと、
前記カソード極に前記酸素ガスを含んだガスを供給するコンプレッサと、
前記カソード流路の下流側に接続され、前記カソード流路内の圧力を調整する請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の流体制御弁と、
を備える燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(燃料電池システム)
以下、
図1を用いて、本実施形態の流体制御弁4が搭載された燃料電池システム1について説明する。
図1に示すように、流体制御弁4は、車両に搭載された燃料電池システム1の酸素系2に適用されている。しかしながら、流体制御弁4はこれに限定されるべきものではなく、燃料供給系システムあるいは油圧ブレーキシステムといった、車両用流体制御弁として広範囲に使用することが可能であり、また、家庭用機器もしくは一般産業機械用の流体制御弁としても適用することが可能である。
【0010】
図1に示すように、燃料電池システム1は、酸素系2、燃料系5、燃料電池スタック6、動力系7、冷却系8及び制御装置9とから形成されている。燃料電池スタック6は、これに限定されるべきものではないが、複数の固体高分子型の単セルが積層されることで形成されている。なお、
図1においては、便宜的に単一のセルのみを表している。複数の単セルは電気的に直列に接続されており、各々の単セルは電解質膜6cと、これを挟むアノード極6a及びカソード極6bを含んでいる。単セルには、アノード極6aに水素ガスを供給するためのアノード流路61と、カソード極6bに空気(酸素ガスを含んだガス)を供給するためのカソード流路62が形成されている。アノード極6aに水素ガスが供給され、カソード極6bに酸素が供給されると、アノード極6aとカソード極6bの間に電位差が生じ、燃料電池スタック6において発電が行われる。
【0011】
酸素系2は、酸素系供給配管21aを備えている。酸素系供給配管21aは、燃料電池スタック6内のカソード流路62の一端と接続されている。酸素系供給配管21a上には、燃料電池スタック6に向けて順に、エアフィルタ22、エアコンプレッサ23、インタークーラ24、及び切替弁3が設けられている。
【0012】
カソード流路62の他端には、酸素系排出配管21bの一端が接続されている。酸素系排出配管21b上には、2ポートのエア調圧弁である流体制御弁4が設けられている。つまり、流体制御弁4は、カソード流路62の下流側に接続されている。また、切替弁3は、3ポートの流体制御弁であって、バイパス配管21cの一端が接続されている。バイパス配管21cの他端は、酸素系排出配管21bの流体制御弁4よりも下流側部位(燃料電池スタック6が接続されていない側)に接続されている。
【0013】
燃料系5においては、燃料系供給配管51aの一端に水素タンク52が接続されている。燃料系供給配管51a上には遮断弁53が設けられている。燃料系供給配管51aの他端は、燃料電池スタック6内のアノード流路61の一端と接続されている。アノード流路61の他端には、燃料系排出配管51bが接続されている。燃料系排出配管51b上には、燃料電池スタック6に近い側から順に、気液分離器54、及び排水弁55が設けられている。
【0014】
気液分離器54は、燃料系循環路51cを介して、燃料系供給配管51a上の遮断弁53とアノード流路61との接続部との間の部位に接続されている。燃料系循環路51c上には循環ポンプ57が設けられている。循環ポンプ57は、気液分離器54からアノード流路61に向けて水素ガスを循環させる。
【0015】
動力系7は、車両を走行させるための電動モータ71を備えている。電動モータ71は燃料電池スタック6の正極及び負極と接続されており、燃料電池スタック6の発電によって駆動される。
【0016】
冷却系8は水冷ポンプ81を備えている。水冷ポンプ81は、燃料電池スタック6内に冷却水を循環させて、燃料電池スタック6を冷却する。
【0017】
制御装置9は、エアコンプレッサ23、切替弁3、流体制御弁4、遮断弁53、循環ポンプ57、及び冷却ポンプ81と電気的に接続されている。制御装置9は車両の走行状態に応じて算出された燃料電池スタック6の必要な発電量に基づき、これらの各構成要素の作動を制御している。
【0018】
上述した構成により、車両が運転開始すると、制御装置9は、エアコンプレッサ23を作動させてカソード流路62へ空気を供給するとともに、遮断弁53及び循環ポンプ57を作動させてアノード流路61へ水素ガスを供給し、燃料電池スタック6において発電を行う。
【0019】
酸素系2において、エアフィルタ22を介して吸引された酸素を含んだ空気は、エアコンプレッサ23において圧縮された後、インタークーラ24によって冷却される。切替弁3は、燃料電池スタック6の発電量に応じてバルブ部材の位置を変位させ、インタークーラ24から供給された空気を分流してバイパス配管21cへ逃すことにより、燃料電池スタック6への空気の流量を制御している。また、流体制御弁4は、その開度を調整して、燃料電池スタック6内におけるカソード流路62に残存した空気の排出量を調整することにより、カソード流路62内の圧力を調整している。
【0020】
アノード流路61から排出される水素オフガス(燃料ガスオフガス)には、発電に使用されなかった水素ガスと発電によって生成された水(水蒸気)が含まれている。気液分離器54は、水素ガスと水を分離する機能を有している。気液分離器54で分離された水素ガスは、循環ポンプ57により燃料系循環路51cを介して燃料系供給配管51aに供給され循環される。気液分離器54で分離された水(液状)は、排水弁55が開弁状態になったとき、水素ガスとともに排出される。
【0021】
(第一実施形態の流体制御弁)
次に、第一実施形態の流体制御弁4の構造について詳細に説明する。なお、
図2における上方及び下方を、それぞれ流体制御弁4の上方及び下方とし、
図2における右方及び左方を、それぞれ流体制御弁4の前方及び後方として説明しているが、車両における流体制御弁4の実際の取付方向とは無関係である。なお、車両における流体制御弁4は、バルブシャフト44が水平面に対して傾斜するように、すなわち
図5Aに示すように、弁体45が水平面に対して傾斜するように、車両に設けられた取付部11aに取り付けられている。
【0022】
図2に示すように、流体制御弁4は、バルブハウジング41の外周面にモータアッセンブリ42(駆動装置)が取り付けられて構成されている。バルブハウジング41は、合成樹脂材料や金属等にて形成されたバルブボデー411と、バルブカバー412とを互いに結合させて構成されている。なお、本実施形態においては、駆動装置として、電動モータを使用したモータアッセンブリ42を使用しているが、ソレノイドアクチュエータやガス圧によって駆動されるアクチュエータなどを使用してもよい。
【0023】
バルブボデー411は、本体部411q、インレット411d、及びアウトレット411eが一体に形成されている。本体部411qは、内部に空間である流体室414が形成されている。本実施形態では、本体部411qは、後方が開口した円筒形状である。インレット411dは、筒状であり、水平方向に形成されている。インレット411dの前端は、本体部411qの後端に接続されて開口し、本体部411qの内部の流体室414と連通している。インレット411dの後端は、後方に開口していて、上述した酸素系排出配管21bを介して、燃料電池スタック6のカソード流路62の他端に接続されている(
図1参照)。本実施形態では、インレット411dの断面形状は、四角形となっている。インレット411dと本体部411qの底面411iは、ほぼ同じ高さとなっている。
【0024】
アウトレット411eは、筒状であり、垂直方向に形成されている。アウトレット411eは、本体部411qの底部に接続して開口している。アウトレット411eの本体部411qの底部への接続位置は、本体部411qの前端の壁面であり、インレット411dと弁体45の反対側で対向する前壁面411vよりも後方側に隣接した位置である。このような構成によって、アウトレット411eは、本体部411qの内部の流体室414と連通している。アウトレット411eの下端は、下方に開口していて、上述した酸素系排出配管21bに接続されている。インレット411dからアウトレット411eまで流路R1が形成されている。
【0025】
図3及び
図4に示すように、本体部411qとアウトレット411eの上端との接続部分、つまり、アウトレット411eの上端側の開口部411kの周囲には、弁座411fが形成されている。弁座411fは平坦な円環状に形成されている。弁座411fは、インレット411dや本体部411qの底面411iよりも上方に突出している。本体部411q(流体室414)の底面411iにおいて、弁座411fの両側方から弁座411fと前壁面411vとの間に向かって流通溝411gが形成されている。第一実施形態では、流通溝411gは、本体部411qの弁座411fの外周に全周に亘って形成されている。流通溝411gの溝底部は、インレット411dや本体部411qの底面411iよりも低くなっている。つまり、流通溝411gの溝底部は、弁座411fよりも下方に位置している。流通溝411gと弁座411fの間には、流通溝411g(弁座411fの周囲)から弁座411fに向かって徐々に高くなる円錐面である傾斜面411jが形成されている。
【0026】
本体部411qには、フランジ部411bが形成されている。フランジ部411bには、流体制御弁4を車両に取り付けるための金属スリーブ411cがインサートされている。金属スリーブ411cの内周面には、雌螺子が形成されている。フランジ部411bは、車両の取付部11aにネジ止め固定されている。
図5A〜
図5Eに示すように、弁体45が水平面に対して傾斜するように、つまり、本体部411qやインレット411dの前方側が、本体部411qやインレット411dの後方側に比べて低くなるように、バルブボデー411(流体制御弁4)が傾斜して取付部11aに取り付けられている。つまり、本体部411qやインレット411dの底面411iは、前方に向かって徐々に下方に位置するように傾斜している。
【0027】
流体室414の底面の前壁面411vと弁座411fの側方位置との間は、水を貯留する水貯留部R1aとなっている。つまり、バルブボデー411(流体制御弁4)が傾斜して取付部11aに取り付けられている状態で、弁座411fの外周において弁座411fよりも下方の本体部411qが、水貯留部R1aとなっている。本実施形態では、
図5Aに示すように、本体部411qには、流通溝411gが形成され、傾斜面411jが形成されて弁座411fが本体部411qの底面411iよりも高い位置に位置しているので、水貯留部R1aの容積が、流通溝411g及び傾斜面411jが形成されていない実施形態よりも大きくなっている。
【0028】
バルブカバー412は、取付ボルト(図示省略)によって、バルブボデー411の上端面に取り付けられている。バルブカバー412は、バルブボデー411への取付面412aと、取付面412aから上方へと突出したモータ取付部412bと、モータ取付部412bの中央部において段付状に下降し、下端部が開口したシャフト収容部412cとにより構成されている。また、モータ取付部412bの上面には、複数の雌螺子穴412dが設けられている。
【0029】
モータ取付部412bの上面には、上述したモータアッセンブリ42が取り付けられている。モータアッセンブリ42は、モータケース421の機構収容部421aの外周面を、シャフト収容部412cの内周面に嵌合させた状態で、取付フランジ421bに貫通させた複数の取付スクリュー43を、モータ取付部412bの雌螺子穴412dに締め付けることによってバルブカバー412に固定される。取付スクリュー43は、取付フランジ421bに形成された貫通孔(図示省略)に対して遊嵌している。
【0030】
モータケース421の内壁には、ステッピングモータ422(駆動装置)が固定されている。ステッピングモータ422は、弁体45が弁座411fと密接した遮断位置と、弁体45が弁座411fから離間した開放位置との間で、弁体を移動させるものである。ステッピングモータ422の出力シャフト422aの先端は円筒形状を呈しており、その軸心部には駆動孔422bが形成されている。駆動孔422bの内周面には所定の長さの雌螺子が形成されており、バルブシャフト44の端部外周面に形成された雄螺子部441と螺合している。
【0031】
バルブシャフト44はステンレス等の金属材料にて形成され、その雄螺子部441の下方には二面幅部442が形成されている。二面幅部442は、モータケース421の下端部に形成された一対の対向面(図示省略)と係合している。これによって、バルブシャフト44は、モータケース421に対して回転不能となっている。したがって、ステッピングモータ422の出力シャフト422aが一方向に回転すると、バルブシャフト44がバルブハウジング41内において軸方向に下降し、出力シャフト422aが反対方向に回転すると、バルブシャフト44は上昇する。
【0032】
バルブシャフト44の二面幅部442の下方には、モータケース421から突出し一定の径により軸方向に延びた円柱部443が形成されている。円柱部443の外周面は、バルブカバー412のシャフト収容部412cの下端に形成されたシャフトリテーナ部412eにより、軸方向に移動可能に支持されている。
【0033】
円柱部443の先端部には、連結部444が一体に形成されている。
バルブシャフト44の先端部である連結部444には、バルブシャフト44の軸心に対し半径方向に延びるように、弁体45が取り付けられている。弁体45のバルブフレーム451は、ステンレス等の金属板がプレス成形されて形成されている。バルブフレーム451は、バルブシャフト44の軸心に対し、半径方向に円板状に延びた平板部451aを有しており、平板部451aには外周縁を覆うようにシール部材452が固着されている。
【0034】
シール部材452は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)等の合成ゴム材料にて形成されている。シール部材452の下面には、弁体45の下降により、バルブボデー411に形成された弁座411fと当接可能なシールリップ452aが突出している。
図2に示すように、シールリップ452aは、断面リップ状に形成されている。このシールリップ452aは、発電停止時に、燃料電池スタック6内に残留した水素ガスと酸素の反応や燃料電池スタック6の温度低下による残留水蒸気の凝縮などによって発生する負圧によりセルフシールするように、半径方向内向き(アウトレット411eに向いて)に形成されている。
【0035】
さらに、シール部材452の上面には、壁部452bが形成されている。壁部452bは、バルブハウジング41の流路R1であって弁座411fが形成されている部分のうち流路R1内の液体が自重によって水貯留部R1aに対応するシール部材452の上面縁部に形成されている。流体制御弁4の取付位置(取付角度)が事前に決定されているときには、壁部452bは、車両の駐車姿勢を考慮して設定されるのが好ましい。
【0036】
バルブフレーム451には、平板部451aの半径方向中心部に連続した段部451bが形成されている。段部451bはバルブシャフト44の軸方向に延びており、径方向の段差が軸方向に並ぶように2箇所に形成されている。バルブフレーム451は、一端が段部451bに連続した円筒部451cを有している。円筒部451cは、平板部451aに対して垂直方向に延び、バルブシャフト44の円柱部443が挿入されている。さらに、バルブフレーム451は、円筒部451cの他端に連続して形成され、先端が袋状に閉じていることにより、バルブシャフト44の連結部444を収容し、取付けられる取付部451dを有している。
【0037】
なお、バルブフレーム451がバルブシャフト44に取り付けられた状態において、円筒部451cの内周面と、挿入されたバルブシャフト44の円柱部443の外周面との間には、バルブシャフト44の軸心に対する半径方向の隙間εが全周に亘って形成されている。
【0038】
図2に示すように、バルブフレーム451の段部451bの内周面には、上方からスプリングリテーナ453が圧入固定されている。スプリングリテーナ453は、金属板がプレス工程にて絞られて形成されている。スプリングリテーナ453は、段部451bの下方に形成された段差と円柱部443との間に位置する円筒状の固定部453aと、固定部453aから半径方向外方へと拡がった肩部453bと、肩部453bから上方へと延びた連結部453cと、連結部453cから半径方向外方へと拡がる締付部453dと、を有している。
【0039】
スプリングリテーナ453の固定部453aは、肩部453bがバルブフレーム451の平板部451aの上面に当接するまで、バルブフレーム451の段部451bの内周面に圧入されている。
【0040】
また、ダイヤフラム保持体455は、半径方向内端にバルブシャフト44の軸方向に延びる係合部455aを有し、係合部455aの上端からは、押圧部455bが半径方向に延びている。
【0041】
ダイヤフラム46は、液密的に取付けられ、弁体45とともに移動するものである。ダイヤフラム46の内周縁は、スプリングリテーナ453の締付部453dとダイヤフラム保持体455の押圧部455bとの間に狭圧され、固定されている。
【0042】
ダイヤフラム46の外周縁は、前述したバルブボデー411の上端面とバルブカバー412のモータ取付部412bの下端との間において挟圧されて、固定されている。また、このように、ダイヤフラム46がバルブハウジング41の内周面と弁体45とに取り付けられることにより、ダイヤフラム46及び弁体45によって、バルブハウジング41の内部が2つに区分けされている。すなわち、バルブハウジング41の内部は、インレット411d、本体部411q、アウトレット411e及び弁座411fを含み供給された流体(気体)が通過する流体室414と、流体等の進入が防止され空気が充填されている空気室415とが形成されている。空気室415は、バルブカバー412に設けられた図示しない通気孔により外気に連通している。
【0043】
スプリングリテーナ453の肩部453bと、バルブカバー412のシャフト収容部412cの段部との間には、バルブシャフト44を円周方向に取り囲むようにコイルスプリング47が介装されている。コイルスプリング47は、スプリングリテーナ453とバルブカバー412との間に弾発的に装着され、弁体45をバルブシャフト44の先端方向に向けて付勢している。
【0044】
インレット411dからバルブハウジング41の内部に、空気等の所定の圧力を有した流体が供給されると、上述したダイヤフラム46が流体から圧力を受けて、弁体45の上部は、ダイヤフラム46により円周上を均等に引っ張られて、バルブシャフト44の軸心からずれずに(センタリング)、バルブシャフト44の軸心に対して傾かずに保持される。
【0045】
また、上述したコイルスプリング47のバルブシャフト44の先端方向に向けた付勢力により、弁体45の下方部も、バルブシャフト44の軸心からずれずに(センタリング)、バルブシャフト44の軸心に対して傾かずに保持される。なお、コイルスプリング47は、スプリングリテーナ453とバルブカバー412との間に設ける代わりに、ダイヤフラム保持体455の押圧部455bとバルブカバー412との間に介装されていてもよい。
【0046】
次に、流体制御弁4の作動について説明する。バルブシャフト44が上方にあり、弁体45のシール部材452が弁座411fから離間している開放位置にある時、流体制御弁4は開弁状態にある。この状態において、インレット411dとアウトレット411eとが連通しており、双方の間の空気等の流体の流通は許容されている。
【0047】
制御装置9からの駆動信号により、ステッピングモータ422が一方向に回転すると、弁体45がバルブシャフト44とともに軸方向に下降し、シール部材452が弁座411fに着座し(
図2参照)、弁体45が弁座411fを覆うように弁座411fと密接した遮断位置に位置される。これにより、流体制御弁4は閉弁状態となり、インレット411dとアウトレット411eとの間の連通が遮断され、双方の間の流体(気体)の流通は断たれる。すなわち、流体制御弁4においては、モータアッセンブリ42の出力シャフト422aが閉弁位置にて位置決め固定されることにより、弁体45が弁座411fに接触しバルブハウジング41の流路R1が閉じられる状態が維持される。
【0048】
(第一実施形態の流体制御弁の作用)
以下に
図3〜
図5を用いて、第一実施形態の流体制御弁4の作用について説明する。なお、
図3において、紙面左側を流体制御弁4及びこれを構成する各部材の前方、紙面右側を流体制御弁4及びこれを構成する各部材の後方、紙面上側を流体制御弁4及びこれを構成する各部材の右方、紙面下方側を流体制御弁4及びこれを構成する各部材の左方とする。
【0049】
車両の燃料電池システム1が停止されると、燃料電池スタック6のカソード流路62が湿潤状態であり、カソード流路62の水蒸気の凝縮水が水滴として流体制御弁4内の流路R1内壁面に発生する。すると、流体制御弁4は傾斜して取り付けられているので、
図5Aに示すように、水滴が自重によって流路R1の下部に向かって流れて、水貯留部R1a(流通溝411gを含む)に水Wが溜まる。
【0050】
水滴や水W(以下、適宜水分と略す)を流体制御弁4から排出するために、燃料電池システム1が停止後に、制御装置9は、切替弁3によってバイパス配管21cを閉塞し、流体制御弁4を開弁状態とし、エアコンプレッサ23を数秒間稼働させることにより、ブローエアによって流体制御弁4内にある水滴や水Wを外部に排出する。
【0051】
この際に、インレット411d内を流通するブローエアは、本体部411q内において、傾斜面411jの後部にぶつかる。すると、ブローエアは、傾斜面411jの右側及び左側に分流し、傾斜面411jの右方側の流通溝411gを流通するとともに(
図3、
図4の1)、傾斜面411jの左方側の流通溝411gを流通する(
図3、
図4の2)。そして、傾斜面411jの右方側の流通溝411gを流通したブローエアと、傾斜面411jの左方側の流通溝411gを流通したブローエアが、流通溝411gの前端で互いにぶつかる(
図3、
図4の3)。すると、前壁面411vによってブローエアの前方への流通が阻止されているので、ブローエアが、前壁面411v側から、傾斜面411jの前端位置において傾斜面411jの下方から上方に沿って流通し、開口部411k内に流通する(
図3、
図4の4、
図5B)。
【0052】
この際に、水貯留部R1a溜まっている水Wは、
図5のBに示すように、ブローエアの開口部411k内への流通に伴って、当該ブローエアに同伴されて、開口部411kから流体制御弁4の外部に排出される。
【0053】
流体制御弁4内の水分がブローエアによって排出された後に、カソード流路62や流体制御弁4内の流路R1内に水滴が発生し、又は残っていたとしても、
図5Cや
図5Dに示すように、当該水滴は流通溝411gを含む水貯留部R1aに貯留され、水Wがシールリップ452aに付着しない。このために、流体制御弁4内が氷点下以下となったとしても、水貯留部R1aに貯留されている水Wが凍結するだけで、シール部材452の弁座411fへの固着が防止される。
【0054】
本実施形態では、
図2や
図5A〜
図5Eに示すように、弁座411fはインレット411dや本体部411qの底面411iよりも上方に突出していて、流通溝411gが形成されているので、水貯留部R1aの容積が大きい。このため、水Wが容量の大きい水貯留部R1aに貯留され、水Wとシール部材452との接触が抑制され、シール部材452(弁体45)の弁座411fへの固着が抑制される。
【0055】
もし仮に、流体制御弁4内の水分がブローエアによって排出された後に、カソード流路62や流体制御弁4内の流路R1内に大量の水滴が発生し、又は残っていて、
図5Eに示すように、当該水滴の容積が水貯留部R1aの容積を超えたとしても、壁部452bによって弁体45の上面すなわちバルブフレーム451及びシール部材452の上面が浸水しない。すなわち、水Wが弁体45の上面を覆うことを抑制することができるため、周囲が低温となって、水貯留部R1aに溜まった水Wが凍結しても、弁体45の上面が氷で覆われるのを抑制することができる。このため、駆動力の比較的大きな大型・高コストの駆動装置を設けることなく、従来どおりの比較的小駆動力の小型・低コストの駆動装置を使用することで、凍結固着した弁体45を作動させることができるため、流体制御弁4(流体制御弁)の開弁性を高く維持することができる。
【0056】
一方で、
図6に示すように、弁座411fが、インレット411dや本体部411qの底面411iよりも上方に突出しておらず、流通溝411gも形成されておらず、壁部452bが形成されていない場合には、弁座411fよりも下方側の水貯留部R1aの容積が小さいので、水貯留部R1aから水Wが溢れ、弁体45の上面すなわちバルブフレーム451及びシール部材452の上面の少なくとも一部が浸水する。すなわち、水Wが弁体45の上面の一部を覆っている。この状態で、周囲が低温となって、水貯留部R1aに溜まった水Wが凍結すると、弁体45の上面の一部が氷で覆われ、弁体45がバルブボデー411に固着してしまう。
【0057】
上述した説明から明らかなように、本体部411qには、ブローエアが開口部411kの前方側(前壁面411v側)から開口部411kに流入するようにブローエアを案内する傾斜面411j及び流通溝411g(案内部)が形成されている。これによれば、ブローエアがインレット411dに供給されると、傾斜面411j及び流通溝411g(案内部)によってブローエアが開口部411kの前方側(前壁面411v側)から開口部411kに流入する。このため、開口部411kの前方側に滞留している水Wを、開口部411kの前方側から開口部411kに流入するブローエアに同伴させて、流体制御弁4の外部に排出することができる。よって、流体制御弁4内が氷点下以下となったとしても、弁体45の弁座411fへの凍結による固着を防止することができる。
【0058】
また、弁座411fの周囲から弁座411fに向かって徐々に高くなるように傾斜した傾斜面411jが形成されている。これにより、インレット411dにブローエアが供給されると、このブローエアが傾斜面411jの右側及び左側に分流し、傾斜面411jの右方側を流通するとともに(
図3、
図4の1)、傾斜面411jの左方側を流通する(
図3、
図4の2)。そして、傾斜面411jの右方側を流通したブローエアと、傾斜面411jの左方側を流通したブローエアが、傾斜面411jの前側で互いにぶつかり(
図3、
図4の3)、傾斜面411jの前端位置において、傾斜面411jの下方から上方に沿って流通し、開口部411k内に流通する(
図3、
図4の4、
図5B)。このため、ブローエアが確実に開口部411kの前方側から開口部411kに流入し、開口部411kの前方側に滞留している水Wを、ブローエアに同伴させて、確実に開口部411kから流体制御弁4の外部に排出することができる。
【0059】
また、本体部411qの底面において、弁座411fの両側方から弁座411fと前壁面411vとの間に向かって、溝底部が弁座411fよりも低くなるように形成された流通溝411gが形成されている。これにより、インレット411dにブローエアが供給されると、このブローエアが流通溝411gに沿って弁座411fの前方位置まで流通する(
図3、
図4の1、2)。そして、右方側の流通溝411gを流通したブローエアと、左方側の流通溝411gを流通したブローエアが、弁座411fの前方位置で互いにぶつかり(
図3、
図4の3)、開口部411kの前方側から開口部411k内に流通する(
図3、
図4の4、
図5B)。このため、ブローエアが確実に開口部411kの前方側から開口部411kに流入し、開口部411kの前方側の水貯留部R1aに滞留している水Wを、ブローエアに同伴させて、確実に開口部411kから流体制御弁4の外部に排出することができる。
【0060】
また、流体室414の底面の前壁面411vと弁座411fの側方位置との間には、燃料電池スタック6から排出されブローエアによって排出された水のうち残留する水を貯留する水貯留部R1aが形成されている。これにより、流体制御弁4内の掃気後に、カソード流路62や流体制御弁4内の流路R1内に水滴が発生し、又は残っていたとしても、
図5Cや
図5Dに示すように、当該水滴は流通溝411gを含む水貯留部R1aに貯留され、水Wがシールリップ452aに付着しない。このために、流体制御弁4内が氷点下以下となったとしても、水貯留部R1aに貯留されている水Wが凍結するだけで、シール部材452の弁座411fへの固着が防止される。
【0061】
(第二実施形態の流体制御弁)
以下に、
図7〜
図9を用いて、第二実施形態の流体制御弁204について、第一実施形態の流体制御弁4と異なる点について説明する。なお、
図7においては、便宜的に弁体45等の部材は省略している。
図7〜
図9に示すように、第二実施形態の流体制御弁204では、バルブボデー411の前方側に向かって、流通溝411gの深さが徐々に浅くなっている。
【0062】
第二実施形態の流体制御弁204もまた、弁座411fは、インレット411dや本体部411qの底面411iよりも上方に突出しているので、本体部411q前端の弁座411fよりも下方側の水貯留部R1aの容積が確保されている。車両の燃料電池システム1が停止されると、水滴が自重によって流路R1の下部に向かって流れて、水貯留部R1aに水Wが溜まる。
【0063】
第一の実施形態と同様に、燃料電池システム1が停止後に、制御装置9は、切替弁3によってバイパス配管21cを閉塞し、流体制御弁4を開弁状態とし、エアコンプレッサ23を数秒間稼働させることにより、流体制御弁4内をブローエアによって数秒間掃気し、流体制御弁4内の流路R1にある水滴を流体制御弁4から外部に排出させる。
【0064】
この際に、インレット411d内を流通するブローエアは、傾斜面411jの後部にぶつかる。すると、ブローエアは、傾斜面411jの右側及び左側に分流し、傾斜面411jの右方側の流通溝411gを流通するとともに(
図8、
図9の1)、傾斜面411jの左方側の流通溝411gを流通する(
図8、
図9の2)。
【0065】
第二実施形態の流体制御弁204では、バルブボデー411の前方側に向かって、流通溝411gの深さが徐々に浅くなっているので、ブローエアが流通溝411gに沿って流通するにつれて、ブローエアが上向きに流れる。このため、傾斜面411jの右方側の流通溝411gを流通したブローエアと、傾斜面411jの左方側の流通溝411gを流通したブローエアが、流通溝411gの前端で互いにぶつかった後に(
図8、
図9の3)、当該ブローエアが、傾斜面411jの前端位置において、確実に傾斜面411jの下方から上方に沿って流通し、確実に開口部411k内に流通する。このため、水貯留部R1aに溜まっている水Wが、確実にブローエアに同伴されて、開口部411kから流体制御弁4の外部に排出される。
【0066】
(第三実施形態の流体制御弁)
以下に、
図10〜
図12を用いて、第三実施形態の流体制御弁304について、第一実施形態の流体制御弁4と異なる点について説明する。なお、
図10においては、便宜的に弁体45等の部材は省略している。
図10〜
図12に示すように、第三実施形態の流体制御弁304では、バルブボデー411の前方側に向かって、流通溝411gの両側方の本体部411qの底面411iが徐々に上方に位置するように傾斜し、本体部411qの底面411iの最前部と弁座411fの前部とを、これらと上下方向に同じ高さで接続する接続部411mが形成されている。このため、
図10に示すように、本体部411qの底面411iの前部の上下方向の高さが弁座411fと同じ高さとなっている。
【0067】
本体部411qの底面411iの最前部は、水貯留部R1aとなっている。車両の燃料電池システム1が停止されると、水滴が自重によって流路R1の下部に向かって流れて、水貯留部R1aに水Wが溜まる。
【0068】
第一の実施形態と同様に、燃料電池システム1が停止後に、制御装置9は、切替弁3によってバイパス配管21cを閉塞し、流体制御弁4を開弁状態とし、エアコンプレッサ23を数秒間稼働させることにより、流体制御弁4内をブローエアによって数秒間掃気し、流体制御弁4内の流路R1にある水滴を流体制御弁4から外部に排出させる。
【0069】
この際に、インレット411d内を流通するブローエアは、傾斜面411jの後部にぶつかる。すると、ブローエアは、傾斜面411jの右側及び左側に分流し、傾斜面411jの右方側の流通溝411gを流通するとともに(
図11、
図12の1)、傾斜面411jの左方側の流通溝411gを流通する(
図11、
図12の2)。
【0070】
第三実施形態の流体制御弁304では、本体部411qの底面411iの最前部と弁座411fの前部とを接続する接続部411mが形成されている。このため、傾斜面411jの右方側の流通溝411gの前端は、接続部411mによって遮断されているので、傾斜面411jの右方側の流通溝411gを流通したブローエアは、接続部411mの側面にぶつかって(
図11、
図12の3)、後方に向きを変えて、当該ブローエアが、傾斜面411jの前端位置において、確実に傾斜面411jの下方から上方に沿って流通し、確実に開口部411k内に流通する(
図11、
図12の5)。一方で、傾斜面411jの左方側の流通溝411gを流通したブローエアは、接続部411mの側面にぶつかって(
図11、
図12の4)、後方に向きを変えて、当該ブローエアが、傾斜面411jの前端位置において、確実に傾斜面411jの下方から上方に沿って流通し、確実に開口部411k内に流通する(
図11、
図12の6)。このため、水貯留部R1aに溜まっている水Wが、後方に流通するブローエアに確実に同伴されて、開口部411kから流体制御弁4の外部に排出される。また、本体部411qの底面411iの最前部と弁座411fの前部とを、上下方向同じ高さで接続する接続部411mが形成されているので、水貯留部R1aに溜まっている水Wが、接続部411mを通って、確実に開口部411kに流通する。
【0071】
(第四実施形態の流体制御弁)
以下に、
図13を用いて、第四実施形態の流体制御弁404について、第一実施形態の流体制御弁4と異なる点について説明する。なお、
図13においては、便宜的に弁体45等の部材は省略している。
図13に示すように、第四実施形態の流体制御弁404では、開口部411kの前方の上方において、前壁面411vから後方に突出する導風部411nが形成されている。導風部411nには、後方から前方に向かって徐々に低くなり、前壁面411vの内面に接続する導風面411rが形成されている。言い換えると、導風部411nの導風面411rは、インレット411dから遠ざかるにつれて、流体室414の上部側から流体室414の底面側に変位するように形成されている。
図13に示すように、本実施形態では、導風面411rの断面形状は円弧形状となっている。
【0072】
本体部411qの底面411iの最前部は、水貯留部R1aとなっている。車両の燃料電池システム1が停止されると、水滴が自重によって流路R1の下部に向かって流れて、水貯留部R1aに水Wが溜まる。
【0073】
第一の実施形態と同様に、燃料電池システム1が停止後に、制御装置9は、切替弁3によってバイパス配管21cを閉塞し、流体制御弁4を開弁状態とし、エアコンプレッサ23を数秒間稼働させることにより、流体制御弁4内をブローエアによって数秒間掃気し、流体制御弁4内の流路R1にある水滴を流体制御弁4から外部に排出させる。
【0074】
この際に、インレット411d及び本体部411qの上方を流通するブローエアは、導風面411rによって、下方に向きを変えて、水貯留部R1aに導かれる(
図13の1)。水貯留部R1aに導かれたブローエアは、後方に向きを変えて、開口部411k内に流通する(
図13の2)。この際に、水貯留部R1aに溜まっている水Wが、後方に流通するブローエアに同伴されて、開口部411kから流体制御弁4の外部に排出される。
【0075】
(第五実施形態の流体制御弁)
以下に、
図14及び
図15を用いて、第五実施形態の流体制御弁について、第一実施形態の流体制御弁4と異なる点について説明する。
図14や
図15に示すように、第五実施形態の流体制御弁では、バルブボデー411のインレット411d内の前端部分に、つまり、弁座411fの後方側(インレット411d側)に分流部材471が設けられている。分流部材471は、ブロック形状であり、後方側(インレット411d側)から前方側(弁座411f側)に向かって徐々に幅寸法が広くなっている。本実施形態では、分流部材471は、三角柱状である。
【0076】
本体部411qの底面411iの最前部は、水貯留部R1aとなっている。車両の燃料電池システム1が停止されると、水滴が自重によって流路R1の下部に向かって流れて、水貯留部R1aに水Wが溜まる。
【0077】
第一の実施形態と同様に、燃料電池システム1が停止後に、制御装置9は、切替弁3によってバイパス配管21cを閉塞し、流体制御弁4を開弁状態とし、エアコンプレッサ23を数秒間稼働させることにより、流体制御弁4内をブローエアによって数秒間掃気し、流体制御弁4内の流路R1にある水滴を流体制御弁4から外部に排出させる。
【0078】
この際に、インレット411dを流通するブローエアは、分流部材471によって左右に分流され(
図14の1、2)、開口部411kの外周側を本体部411qに内壁面に沿って前方側に流通する。そして、左右に分流したブローエアが本体部411qの前部でぶつかると(
図14の3)、このブローエアは後方に向きを変えて、開口部411k内に流通する(
図14の4)。この際に、水貯留部R1aに溜まっている水Wが、後方に流通するブローエアに同伴されて、開口部411kから流体制御弁4の外部に排出される。
【0079】
(第六実施形態の流体制御弁)
以下に、
図16を用いて、第六実施形態の流体制御弁について、第一実施形態の流体制御弁4と異なる点について説明する。
図16に示すように、第六実施形態の流体制御弁では、バルブボデー411の本体部411q及びインレット411dの内部に、導風部材472が設けられている。導風部材472は、前壁面411v、流体室414の左右両側の両側面411s、及びインレット411dの左右両側の側面411tと対向して離間して形成されている。
【0080】
具体的には、導風部材472は、流通部472aと導風板472bとから構成されている。流通部472aは、前壁面411v及び流体室414左右両側の両側面411sから離間して形成され、本体部411qに対応した形状となっている。つまり、流通部472aは、開口部411kや弁座411fの外周側に形成されている。本実施形態では、流通部472aは、後方が開口した円筒形状である。流通部472aの前壁面411v側(前端側)の下部には、開口部411kに向けて開口した流出穴472cが形成されている。つまり、流出穴472cは、開口部411kの前方に形成されている。
【0081】
流通部472aの後部の開口部には、互いに対向した一対の導風板472bが接続されている。導風板472bは、インレット411dの側壁と対向して、インレット411dの側壁から離間して形成されている。このような構成によって、導風部材472と流体室414及びインレット411dとの内壁面との間には、ブロー流路472fが形成されている。
【0082】
本体部411qの底面411iの最前部は、水貯留部R1aとなっている。車両の燃料電池システム1が停止されると、水滴が自重によって流路R1の下部に向かって流れて、水貯留部R1aに水Wが溜まる。
【0083】
第一の実施形態と同様に、燃料電池システム1が停止後に、制御装置9は、切替弁3によってバイパス配管21cを閉塞し、流体制御弁4を開弁状態とし、エアコンプレッサ23を数秒間稼働させることにより、流体制御弁4内をブローエアによって数秒間掃気し、流体制御弁4内の流路R1にある水滴を流体制御弁4から外部に排出させる。
【0084】
この際に、インレット411dを流通するブローエアの一部は、導風部材472によってブロー流路472f内に導かれて(
図16の1、2)、ブロー流路472f内を流通し(
図16の3、4)、流出穴472c(前壁面411v側)から開口部411k内に流通する(
図16の5)。この際に、水貯留部R1aに溜まっている水Wが、後方に流通するブローエアに同伴されて、開口部411kから流体制御弁4の外部に排出される。
【0085】
(別の実施形態)
本発明の技術的思想は、切替弁3等の流体制御弁に適用可能しても差し支え無い。以上説明した第四実施形態〜第六実施形態の流体制御弁4に、傾斜面411jや流通溝411gを形成しても差し支え無い。